「凜々SS」(2008/09/27 (土) 16:42:27) の最新版変更点
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**ややこしいこと
『トゥルル… トゥルル… ガチャ』
「もしもし、りぃちゃん? 家の鍵を落としちゃって家に入れないのだけど…」
「えっ? 百合って親と一緒ではありませんでしたっけ?」
「うん、そうなんだけど旅行に行って明後日まで帰ってこないの… 週末だし迷惑じゃなかったら泊めてくれない?」
『ブシュー! ぼたぼた…』
「うっうんうん、だっ大丈夫です。ワタクシ一人暮らしですから!」
何やら凜々の方にトラブルがあったようだが百合は深く詮索はしなかった。
「迷惑かけるけど、それじゃ今から行くよ。」
すると凜々は少々慌てた。
「あっ、少しだけ部屋の掃除をするので一時間ほど時間をつぶしてくださらない?」
「うん、分かったわ。それじゃ一時間後に…」
『ピンポーン』
「はいはーい… うわっ!」
『がしゃーん! がらがら…』けたたましい音が鳴り響き、鍋をかぶった凜々が部屋のドアを開けた。
大慌てで部屋の掃除をしていたのか、部屋の中が少しホコリっぽい様に百合は感じた。
部屋は学生には不釣合いな広さで、家が資産家であるということを示していた。
リビングにはわざわざイグサの敷物を敷いており、家具もどこか昔の家で使うような家具が並んでいた。
「ところで百合、夕食は食べました? まだでしたらワタクシと一緒に食べませんか?」
「うん、まだだから一緒に食べよ。りぃちゃん♪」
二人がいそいそと夕食の準備をする。――といっても既に用意されたものを盛り付けるだけであった――
今日の献立は五穀米に味噌汁、牛肉と野菜のオイスター炒め、オクラを乗せた豆腐だった。
「意外と手が込んでるのね」
百合が凜々に話しかけた。凜々は首を横に振って答える。
「そんな事ないです。あらかじめ『種』を作っておけばお湯で戻したりして完成ですもの」
味噌汁は味噌とダシを混ぜたものを作っておきお湯と好きな具を加えて完成し、
牛肉と野菜のオイスター炒めは切っておいた野菜と冷凍の肉をフライパンで炒めたものと言いたい様だ。
夕食後、片付けも終わり、コタツでくつろいでいたら凜々が話しかける。
「そうだ百合、お風呂入ります?」
凜々の言葉に驚く百合。当然である。持ち物は制服とカバンにその中にある勉強道具と財布だけで着替えがない。
「えっ… いいよ… 着替えないし…」
その言葉に凜々はにっこりと微笑む。想定済みのようだった。
「大丈夫ですよ。この通り着物ですけど着替えはありますし、下着は…和装では着けませんよ?」
凜々はそう言うと、自分の着物をめくる。確かに上も下も身に着けていないようだった。
そして百合が何か言おうとした瞬間、それをさえぎるかのように言った。
「勘違いしないでくださいね? 学校にいるときにはきちんと身に着けてますから!」
百合がまるで『はいはい』と言うように頭を縦に振る
「それではお湯を張ってきます。」
ごろんと横になり部屋を逆さに百合は見回す。視線の先に本棚があった。
本棚には茶道や華道などのお作法の本、君主論や帝王学の本がずらりと並んでいたが、それらは少しホコリを被っていた。
「何で読まないのにあるのかな…」
ぼそっとつぶやく。凜々の方には聞こえなかったらしく、キッチンで次の食事の準備をしていた。
香ばしい香りと炒める音が心地よく、さっき食べたはずなのにお腹がなりそうになる。
それを我慢するため百合は目を閉じてほかの事を考え出したようだ。
「お風呂入りましたよ。お先にどうぞ、百合…」
その一言で百合は目を開けた。凜々は百合にタオルを差し出すが、何故か満面の笑みを浮かべている。
「着替えは入っている間にもって行きますので、安心なさってください」
少々凜々を不思議に思いつつ、百合は風呂場へ移動した。服を脱ぐ前に何となく百合は風呂場の中をのぞく。
「思ったより広いのね…」
思っていたよりも広めの湯船で驚いたようだ。お湯の温度も確かめてから外に出て服を脱ぎ始めた。
上着、ワイシャツ、スカートと脱いでブラに手が掛かり美しい二つのふくらみが姿を現す。
その時である。『ブツン』という音とともに百合の姿を監視していた凜々のモニターが消えた。
どれだけボタンを押してもカメラとの接続が出来ない。
「はぁ? ふざけんな! こんなところで切れるか! 畜生!」
凜々らしくない言葉を発しながら激怒する。わざわざ時間稼ぎをして盗撮しようとしたのだ。怒るのも無理はない。
「りっ、りぃちゃん、どうしたの?」
風呂場のほうから百合の声がし、慌てて凜々は返事をする。
「えっ? えーと、テレビがいいところでCMに入って声を荒げたのですの… うふっ、うふふふふ…」
「……………」
少々気まずい空気になったが、寒くなってきたようで百合はメガネとヘアバンドを外して風呂場に入った。
百合はシャンプーを取り、頭から洗い始めた。
「長いと本当に大変… 髪も長くなってきたし切ろうかな…」
そうつぶやくと突然に風呂場の扉が開き、着替えを持ってきた凜々が慌てた様子で入ってきた。
「いけませんよ百合! 今のままが似合ってますから!」
驚いた百合は目をぱちくりさせ、凜々に言う。
「別にショートカットにするわけじゃないのよ? ただそろそろ前髪が邪魔になってきたから美容院に行こうと思っただけ」
「そうですの… 早とちりをしてしまいましたね」
バツが悪そうにする凜々を見て、百合が声をかける。
「ねぇ、りぃちゃん。良かったら一緒に入らない?」
凜々は顔を真っ赤にしつつも無言で首を立てに振った。
着替えを取ってきてから着物を脱ぐ凜々。内心かなりドキドキしているようで手元がおぼつかない。
一度深呼吸をした後に意を決し、着物を脱ぎ始める。着物のすぐ下は白い肌襦袢を身につけ、その下には何もなかった。
そしてタオルで胸と大事な場所を隠し風呂場へ入ると、ちょうど百合が体の泡を落とそうとするところだった。
「あっ、百合。流しますよ」
そういいながら凜々は洗面器を持ち、湯船からお湯をくみ取ると百合の背中の泡を流した。
ほんのりピンクに染まった肌が綺麗で思わず凜々が百合の背中に触れる。
「ひゃん! 冷たい! もー、りぃちゃん!」
少しムッとしながら百合が振り向くと凜々の大事な場所に目がいった。個人差はあるが茂るはずのものがそこにはなかった。
「りぃちゃん… それ…」
凜々がスッと手でその部分を隠すが、百合の視線はそこから離れない。頬を染める凜々が言った。
「和装で下着を着けないって言いましたでしょ? ですから抜けると落ちてしまうのです。ですから…」
途中で声が小さくなる凜々だったがこういうことである。下着を身に着けないため、ヘアが抜けると床に落ちてしまう。
突然の来客時に見つかってしまうと非常に恥ずかしい。ならば抜ける前に剃ってしまえということだ。
「お風呂上りにすっきりしますよ! 百合もいかがですか!」
半ば諦めて自虐的にセリフを吐く凜々。百合の方は『遠慮しておくよ』というジェスチャーでやんわり断り湯船に入る。
百合は鼻のすぐ下までお湯につかり、ぷくぷくと口から息を出して泡を出しながら何気なく自分のヘアを見た。
水面下では大切な場所から生える黒々としたヘアがゆらゆらと揺れていた。
一方、凜々は少し凹みながら体をごしごし洗っていた。色々と悪いことを考えているようで顔色が悪い。
ブツブツとつぶやきながら洗っていると不意に百合が凜々に声をかけた。
「ねぇ、りぃちゃん。私も剃るから道具貸して?」
「え! 本当にするの!?」
声をあげて驚く凜々だったが百合の表情は真剣だった。
真剣な表情に押された凜々は大急ぎで体の泡を流し、軽く水を切ってから外に出ていくとT字剃刀とクリーム、ハサミを持ってきた。
まずはハサミである程度の長さまで切った後、剃刀で剃れという事らしい。
『ジョキジョキ』凜々は湯船につかり、壁の方を向いて百合の姿を見ることはないが音が響く。
そっと自分の大事な場所の裂け目に指を伸ばすと少しだけぬるっとしていた。
最初のうちは良かったが剃るのに百合は手間取っているようだった。短く切ってもやはり長い。
そのため剃刀の刃に絡まってうまく剃れない様だった。
やっとのことで納得のいく具合に持っていくときには、凜々が湯船でゆだりかけていた。
「りぃちゃん… 大丈夫?」
「……一応、大丈夫。先に出てテレビでも見てて、シャワー浴びて出るから…」
ゆだりかけているせいで、素の言葉遣いが出かけている凜々を心配しつつも百合は外に出た。
外には浴衣が用意されており、それを身に着けた。リビングに戻るとエアコンが入り心地よい温度になっていた。
――数分後―― 何事もなかったかのように凜々は風呂場から出てきた。飲み物がほしいようで冷蔵庫に手が伸びる。
「そうだ百合、何か呑みます?」
冷蔵庫を開けながら百合に話しかける。既に手にはレモンの飲料が握られていた
「ん? 何があるのりぃちゃん」
「レモン、ライム、コーラ、キウイと、あとはグレープフルーツ」
「キウイの飲み物って珍しいね。それ飲んでみようかな?」
「それではワタクシはレモンを呑みましょうか」
凜々があまり見かけないパッケージの缶を百合の前に置いて言った。
「実はですね、あまり知らないメーカーの作ったもので不安でしたの。一緒に呑む人がいて助かりました」
「どんなメーカーが作っても大体同じじゃないかな? のどがカラカラだし早く飲みましょう?」
凜々が出てくる前にコップ一杯の水を飲んだきりの百合は早くものどがカラカラになっていた。
『プシュッ… ごくっ、ごくっ、ごくっ…』
二人はコタツの中に入り、よほどのどが渇いていたのか、一気に飲み干してしまった。
「キウイらしい甘みと苦味があっておいしいね。一度に全部飲んじゃった」
ニコニコと笑いながら百合が感想を言った。
「それじゃ、もう一本いきますか?」
「いいね♪ 次はグレープフルーツお願い」
再び部屋にプシュッと気持ちの良い音が響く。ふと百合は缶のラベルに目をやるとあることに気がついた。
「ねぇ、りぃちゃん… これってお酒…?」
「ええ、そーれすけど何か問題れも?」
よく見ると既に凜々の近くに大量の空き缶とビール瓶が転がっていた。
不安げに質問する百合に対して、少し良い感じになっている凜々。
「私たちまだ未成年よ? お酒を飲んじゃ体に悪いよ…」
すると凜々が百合の方へ近づいてきて、じっと百合の目を見ながら話し出した。
「成長が止まるって言いたいんでしょ? いいのよ。どうせもうワタクシの胸はつるつるぺったんこですよ。それに比べて百合は…」
凜々の両手が百合の胸をわしづかみにするが、百合は驚きのあまり声も出せないようだった。
そして凜々はゆっくりと百合を押し倒して浴衣の帯を解いた。襟元が乱れてなんとも扇情的な光景である。
「りぃちゃん… 嫌…」
消え入りそうな声で百合が拒絶しようとするが凜々には良いスパイスでしかなかったようだ。
置いてあったウイスキーに手を伸ばすとウイスキーを口に含み、口移しで百合に呑ませた。
呑み慣れていない者にウイスキーのストレートは非常に不味い。百合は懸命に吐き出そうとするが凜々がそれを許さない。
しばらく拒絶していてもウイスキーがのどの奥に流れ込んでくる。
酔いが回ったせいかそれとも諦めたのか定かではないが、百合は抵抗をやめて大人しくウイスキーを飲んだ。
それを見て凜々は何度も口移しでウイスキーを飲まさせた。
「一緒に酔って何もかもを忘れて気持ちよくなりましょ… 百合…」
トロンとした目で凜々が話しかけるが、かなり酔いが回った百合にまともな意識は残っていなかった。
「ねぇ、りぃちゃんを気持ちよくできるたら、私はいらない子じゃない?」
「何を言っているの? 百合はいらない子なんかじゃないですよ」
「………そう、わかった…」
「ん、ん~… あら? 何で私は裸で… えっ!?」
伸びをして百合が目を覚ますと二人は裸で寝ていた。百合にはっきりとした記憶は無かったが、人には話せないことをしたのは確かだ。
覚えていなくても状況がそう物語っている。状況が把握できずに固まっていると凜々が目覚め、百合の方を見る。
「おっおはようございますっ 百合!」
ぎこちなく挨拶をする。気まずそうではあるが様子がどこか変である。ただ気まずいのではなくどこかに恥じらいが見られた。
「りぃちゃん… 昨日何があったの?」
「わっワタクシの方からあのような事をされた事を言うことは出来ません!」
「『された事』って…、私が何かしたの!?」
「それも言えません!」
何やらややこしいことになったようである。
~Fin~
【[[next>凜々02]]】 >
*注意
>性的表現を連想させたり、性的表現そのものが含まれる作品です
>これらに苦手意識や嫌悪感を抱く方が見るのはお勧めしませんが、文章なので18禁ではありません
**ややこしいこと
『トゥルル… トゥルル… ガチャ』
「もしもし、りぃちゃん? 家の鍵を落としちゃって家に入れないのだけど…」
「えっ? 百合って親と一緒ではありませんでしたっけ?」
「うん、そうなんだけど旅行に行って明後日まで帰ってこないの… 週末だし迷惑じゃなかったら泊めてくれない?」
『ブシュー! ぼたぼた…』
「うっうんうん、だっ大丈夫です。ワタクシ一人暮らしですから!」
何やら凜々の方にトラブルがあったようだが百合は深く詮索はしなかった。
「迷惑かけるけど、それじゃ今から行くよ。」
すると凜々は少々慌てた。
「あっ、少しだけ部屋の掃除をするので一時間ほど時間をつぶしてくださらない?」
「うん、分かったわ。それじゃ一時間後に…」
『ピンポーン』
「はいはーい… うわっ!」
『がしゃーん! がらがら…』けたたましい音が鳴り響き、鍋をかぶった凜々が部屋のドアを開けた。
大慌てで部屋の掃除をしていたのか、部屋の中が少しホコリっぽい様に百合は感じた。
部屋は学生には不釣合いな広さで、家が資産家であるということを示していた。
リビングにはわざわざイグサの敷物を敷いており、家具もどこか昔の家で使うような家具が並んでいた。
「ところで百合、夕食は食べました? まだでしたらワタクシと一緒に食べませんか?」
「うん、まだだから一緒に食べよ。りぃちゃん♪」
二人がいそいそと夕食の準備をする。――といっても既に用意されたものを盛り付けるだけであった――
今日の献立は五穀米に味噌汁、牛肉と野菜のオイスター炒め、オクラを乗せた豆腐だった。
「意外と手が込んでるのね」
百合が凜々に話しかけた。凜々は首を横に振って答える。
「そんな事ないです。あらかじめ『種』を作っておけばお湯で戻したりして完成ですもの」
味噌汁は味噌とダシを混ぜたものを作っておきお湯と好きな具を加えて完成し、
牛肉と野菜のオイスター炒めは切っておいた野菜と冷凍の肉をフライパンで炒めたものと言いたい様だ。
夕食後、片付けも終わり、コタツでくつろいでいたら凜々が話しかける。
「そうだ百合、お風呂入ります?」
凜々の言葉に驚く百合。当然である。持ち物は制服とカバンにその中にある勉強道具と財布だけで着替えがない。
「えっ… いいよ… 着替えないし…」
その言葉に凜々はにっこりと微笑む。想定済みのようだった。
「大丈夫ですよ。この通り着物ですけど着替えはありますし、下着は…和装では着けませんよ?」
凜々はそう言うと、自分の着物をめくる。確かに上も下も身に着けていないようだった。
そして百合が何か言おうとした瞬間、それをさえぎるかのように言った。
「勘違いしないでくださいね? 学校にいるときにはきちんと身に着けてますから!」
百合がまるで『はいはい』と言うように頭を縦に振る
「それではお湯を張ってきます。」
ごろんと横になり部屋を逆さに百合は見回す。視線の先に本棚があった。
本棚には茶道や華道などのお作法の本、君主論や帝王学の本がずらりと並んでいたが、それらは少しホコリを被っていた。
「何で読まないのにあるのかな…」
ぼそっとつぶやく。凜々の方には聞こえなかったらしく、キッチンで次の食事の準備をしていた。
香ばしい香りと炒める音が心地よく、さっき食べたはずなのにお腹がなりそうになる。
それを我慢するため百合は目を閉じてほかの事を考え出したようだ。
「お風呂入りましたよ。お先にどうぞ、百合…」
その一言で百合は目を開けた。凜々は百合にタオルを差し出すが、何故か満面の笑みを浮かべている。
「着替えは入っている間にもって行きますので、安心なさってください」
少々凜々を不思議に思いつつ、百合は風呂場へ移動した。服を脱ぐ前に何となく百合は風呂場の中をのぞく。
「思ったより広いのね…」
思っていたよりも広めの湯船で驚いたようだ。お湯の温度も確かめてから外に出て服を脱ぎ始めた。
上着、ワイシャツ、スカートと脱いでブラに手が掛かり美しい二つのふくらみが姿を現す。
その時である。『ブツン』という音とともに百合の姿を監視していた凜々のモニターが消えた。
どれだけボタンを押してもカメラとの接続が出来ない。
「はぁ? ふざけんな! こんなところで切れるか! 畜生!」
凜々らしくない言葉を発しながら激怒する。わざわざ時間稼ぎをして盗撮しようとしたのだ。怒るのも無理はない。
「りっ、りぃちゃん、どうしたの?」
風呂場のほうから百合の声がし、慌てて凜々は返事をする。
「えっ? えーと、テレビがいいところでCMに入って声を荒げたのですの… うふっ、うふふふふ…」
「……………」
少々気まずい空気になったが、寒くなってきたようで百合はメガネとヘアバンドを外して風呂場に入った。
百合はシャンプーを取り、頭から洗い始めた。
「長いと本当に大変… 髪も長くなってきたし切ろうかな…」
そうつぶやくと突然に風呂場の扉が開き、着替えを持ってきた凜々が慌てた様子で入ってきた。
「いけませんよ百合! 今のままが似合ってますから!」
驚いた百合は目をぱちくりさせ、凜々に言う。
「別にショートカットにするわけじゃないのよ? ただそろそろ前髪が邪魔になってきたから美容院に行こうと思っただけ」
「そうですの… 早とちりをしてしまいましたね」
バツが悪そうにする凜々を見て、百合が声をかける。
「ねぇ、りぃちゃん。良かったら一緒に入らない?」
凜々は顔を真っ赤にしつつも無言で首を立てに振った。
着替えを取ってきてから着物を脱ぐ凜々。内心かなりドキドキしているようで手元がおぼつかない。
一度深呼吸をした後に意を決し、着物を脱ぎ始める。着物のすぐ下は白い肌襦袢を身につけ、その下には何もなかった。
そしてタオルで胸と大事な場所を隠し風呂場へ入ると、ちょうど百合が体の泡を落とそうとするところだった。
「あっ、百合。流しますよ」
そういいながら凜々は洗面器を持ち、湯船からお湯をくみ取ると百合の背中の泡を流した。
ほんのりピンクに染まった肌が綺麗で思わず凜々が百合の背中に触れる。
「ひゃん! 冷たい! もー、りぃちゃん!」
少しムッとしながら百合が振り向くと凜々の大事な場所に目がいった。個人差はあるが茂るはずのものがそこにはなかった。
「りぃちゃん… それ…」
凜々がスッと手でその部分を隠すが、百合の視線はそこから離れない。頬を染める凜々が言った。
「和装で下着を着けないって言いましたでしょ? ですから抜けると落ちてしまうのです。ですから…」
途中で声が小さくなる凜々だったがこういうことである。下着を身に着けないため、ヘアが抜けると床に落ちてしまう。
突然の来客時に見つかってしまうと非常に恥ずかしい。ならば抜ける前に剃ってしまえということだ。
「お風呂上りにすっきりしますよ! 百合もいかがですか!」
半ば諦めて自虐的にセリフを吐く凜々。百合の方は『遠慮しておくよ』というジェスチャーでやんわり断り湯船に入る。
百合は鼻のすぐ下までお湯につかり、ぷくぷくと口から息を出して泡を出しながら何気なく自分のヘアを見た。
水面下では大切な場所から生える黒々としたヘアがゆらゆらと揺れていた。
一方、凜々は少し凹みながら体をごしごし洗っていた。色々と悪いことを考えているようで顔色が悪い。
ブツブツとつぶやきながら洗っていると不意に百合が凜々に声をかけた。
「ねぇ、りぃちゃん。私も剃るから道具貸して?」
「え! 本当にするの!?」
声をあげて驚く凜々だったが百合の表情は真剣だった。
真剣な表情に押された凜々は大急ぎで体の泡を流し、軽く水を切ってから外に出ていくとT字剃刀とクリーム、ハサミを持ってきた。
まずはハサミである程度の長さまで切った後、剃刀で剃れという事らしい。
『ジョキジョキ』凜々は湯船につかり、壁の方を向いて百合の姿を見ることはないが音が響く。
そっと自分の大事な場所の裂け目に指を伸ばすと少しだけぬるっとしていた。
最初のうちは良かったが剃るのに百合は手間取っているようだった。短く切ってもやはり長い。
そのため剃刀の刃に絡まってうまく剃れない様だった。
やっとのことで納得のいく具合に持っていくときには、凜々が湯船でゆだりかけていた。
「りぃちゃん… 大丈夫?」
「……一応、大丈夫。先に出てテレビでも見てて、シャワー浴びて出るから…」
ゆだりかけているせいで、素の言葉遣いが出かけている凜々を心配しつつも百合は外に出た。
外には浴衣が用意されており、それを身に着けた。リビングに戻るとエアコンが入り心地よい温度になっていた。
――数分後―― 何事もなかったかのように凜々は風呂場から出てきた。飲み物がほしいようで冷蔵庫に手が伸びる。
「そうだ百合、何か呑みます?」
冷蔵庫を開けながら百合に話しかける。既に手にはレモンの飲料が握られていた
「ん? 何があるのりぃちゃん」
「レモン、ライム、コーラ、キウイと、あとはグレープフルーツ」
「キウイの飲み物って珍しいね。それ飲んでみようかな?」
「それではワタクシはレモンを呑みましょうか」
凜々があまり見かけないパッケージの缶を百合の前に置いて言った。
「実はですね、あまり知らないメーカーの作ったもので不安でしたの。一緒に呑む人がいて助かりました」
「どんなメーカーが作っても大体同じじゃないかな? のどがカラカラだし早く飲みましょう?」
凜々が出てくる前にコップ一杯の水を飲んだきりの百合は早くものどがカラカラになっていた。
『プシュッ… ごくっ、ごくっ、ごくっ…』
二人はコタツの中に入り、よほどのどが渇いていたのか、一気に飲み干してしまった。
「キウイらしい甘みと苦味があっておいしいね。一度に全部飲んじゃった」
ニコニコと笑いながら百合が感想を言った。
「それじゃ、もう一本いきますか?」
「いいね♪ 次はグレープフルーツお願い」
再び部屋にプシュッと気持ちの良い音が響く。ふと百合は缶のラベルに目をやるとあることに気がついた。
「ねぇ、りぃちゃん… これってお酒…?」
「ええ、そーれすけど何か問題れも?」
よく見ると既に凜々の近くに大量の空き缶とビール瓶が転がっていた。
不安げに質問する百合に対して、少し良い感じになっている凜々。
「私たちまだ未成年よ? お酒を飲んじゃ体に悪いよ…」
すると凜々が百合の方へ近づいてきて、じっと百合の目を見ながら話し出した。
「成長が止まるって言いたいんでしょ? いいのよ。どうせもうワタクシの胸はつるつるぺったんこですよ。それに比べて百合は…」
凜々の両手が百合の胸をわしづかみにするが、百合は驚きのあまり声も出せないようだった。
そして凜々はゆっくりと百合を押し倒して浴衣の帯を解いた。襟元が乱れてなんとも扇情的な光景である。
「りぃちゃん… 嫌…」
消え入りそうな声で百合が拒絶しようとするが凜々には良いスパイスでしかなかったようだ。
置いてあったウイスキーに手を伸ばすとウイスキーを口に含み、口移しで百合に呑ませた。
呑み慣れていない者にウイスキーのストレートは非常に不味い。百合は懸命に吐き出そうとするが凜々がそれを許さない。
しばらく拒絶していてもウイスキーがのどの奥に流れ込んでくる。
酔いが回ったせいかそれとも諦めたのか定かではないが、百合は抵抗をやめて大人しくウイスキーを飲んだ。
それを見て凜々は何度も口移しでウイスキーを飲まさせた。
「一緒に酔って何もかもを忘れて気持ちよくなりましょ… 百合…」
トロンとした目で凜々が話しかけるが、かなり酔いが回った百合にまともな意識は残っていなかった。
「ねぇ、りぃちゃんを気持ちよくできるたら、私はいらない子じゃない?」
「何を言っているの? 百合はいらない子なんかじゃないですよ」
「………そう、わかった…」
「ん、ん~… あら? 何で私は裸で… えっ!?」
伸びをして百合が目を覚ますと二人は裸で寝ていた。百合にはっきりとした記憶は無かったが、人には話せないことをしたのは確かだ。
覚えていなくても状況がそう物語っている。状況が把握できずに固まっていると凜々が目覚め、百合の方を見る。
「おっおはようございますっ 百合!」
ぎこちなく挨拶をする。気まずそうではあるが様子がどこか変である。ただ気まずいのではなくどこかに恥じらいが見られた。
「りぃちゃん… 昨日何があったの?」
「わっワタクシの方からあのような事をされた事を言うことは出来ません!」
「『された事』って…、私が何かしたの!?」
「それも言えません!」
何やらややこしいことになったようである。
~Fin~
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