核実験

ここで述べる核実験とは、主に核爆発実験の事である。

基本的に核実験は人類が使用可能な最大の平気を生産・利用する能力を持っている事を内外に誇示するものである。これは特に、他国に自分の軍事力を誇示する事によって相手からの攻撃を未然に防ごうとする、核抑止戦略を採用する国にとっても有用である。故に、冷戦中のアメリカとソ連の数々の核実験は「模擬戦争」であったとも言える。また核実験は国力の誇示や国家の威信の発揚といった側面もあるので、必ずしも兵器として実用性のない核爆発装置の実験をあえて行う事もある。


核実験の禁止

効果:
①核兵器の拡散防止(核兵器の実用化防止)
②核兵器の改良・新たなタイプの開発を抑える
③核実験が行われる事による世界の緊張緩和


部分的核実験禁止条約(Partial Test Ban Treaty - PTBT)

1963年8月5日書名、1963年10月10日発効、124カ国参加

この条約は地下以外での核爆発実験を禁止する。
大気や海中での核爆発実験により、環境の汚染や責任のない人が巻き込まれる事への批判が高まっていった中、当時核を保有していた五大国のうち、米国、英国、ソ連がこの条約を発案。
⇒この際他の二国であるフランスと中国が反対ししばらく大気中での核実験を続けたが、1973年にフランスが南太平洋で核実験を行おうとした所、オーストラリアとニュージーランドが国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、ICJはフランスに核実験の一時停止を認めた。(中国とフランスは冷戦終結後、参加)


包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty - CTBT)

国連総会にて1996年9月24日署名、未発効

この条約は、軍事目的か平和目的か、また規模の大小を問わず、核実験の禁止を定めたものである。部分的核実験では認められていた地下での核実験も禁止する。
この条約の発効には1996年6月時点で、ジュネーヴ軍縮会議の構成国であり、かつ国際原子力機関の『世界の動力用原子炉』および『世界の研究用原子炉』に掲載されている44ヶ国すべての批准が必要であるが、うち12ヶ国(アメリカ合衆国、イスラエル、イラン・イスラム共和国、インド、インドネシア、ヴィエトナム、エジプト、コロンビア、コンゴ民主共和国、 中国、朝鮮民主主義人民共和国、 パキスタン)が未批准であるため、未だ発効されていない。また、ブッシュ政権が批准放棄の方針を取っているなど、発効の見通しも立っていない。


北朝鮮と核実験

北朝鮮はPTBTにもCTBTにも参加していない。






参考文献:
  • 「新版 軍縮問題入門」 黒澤満・編 東信堂

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最終更新:2007年04月16日 23:45