ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

じ・あんたっちゃぶる

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じ・あんたっちゃぶる

―――オオサカ とある学食

よお。俺になんかようかい?
…ああ、そうだ。情報屋の“黒マフラーの生き残り”ダバダなら俺だ。
…はは。ここは学園世界だぜ?情報屋が人間かどうかなんて些細なことさ。
ま、この辺りは特にそのあたりがユルいけどな。
それで、なんについて聞きたいんだ?

…学園世界のヤバい連中?
随分変わったものを聞きたがるな。

…ほう、あんたファルスハーツのセルリーダーなのか。
出来れば、そいつらと敵対しないよう気をつけて動きたい、と。
そうだな。それが正解だ。本当にヤバいの敵に回したら並みの奴ならあっという間におだぶつだ。
分かった。教えてやるよ。

まあ、まず間違いなくヤバいのはこの世界動かしてる極上生徒会だな。
特に実動部隊の執行部。アイツら化け物クラスのつわもの揃いだからな。
魔王だって真っ向から喧嘩売るのは躊躇するって話だぜ。

他には学園世界従者連合。通称学従連。
あいつらはえらい奴に仕える従者の互助組織なんだが、執行部連中にも負けない化け物が何人かいる。
そいつらの主人や仲間…メイドとか執事には手を出さない方がいい。

あとは…あんたみてえな奴ならカゲモリって連中にも気をつけた方がいいな。
と言っても俺も名前くらいしか知らん。
…いや、調べたが尻尾がつかめなかった、が正解か。
とにかくニンジャみてえにこっそり動くのに長けた連中だ。
敵対したらある日突然後ろからさっくり、なんてなことが十分あり得る。
あんたみてえに闇にまぎれてこっそり動く奴らの天敵って言ってもいい連中だ。

…まあ、あんまし気にしてもしょうがないんだけどな。

何しろ他にも化け物クラスの戦士がひしめいてる新白連に数で押してくる選抜委員会に冒険者連中に仕事回してる学生冒険者支援協会ことSAG、
とんでも教師で組織された学教連見回り班とかヤバい連中はごろごろいる。

大体麻帆良とアリアドネーの魔法使いや学園都市の超能力者、熊本要塞に死武専、東ビ大にガルデローベ。
敵に回したら怖い学園も大量にある。どう動こうと周りに迷惑かけたらどれかと敵対するだろうさ。

…うん?じゃあ一番ヤバいのはどこかって?そりゃあ…

―――どっかのダンジョン

普通に生きていて、遭遇する出来事の中には普通ではありえない出来事というものがある。

実のところ16年以上生きてきて“ありえない出来事”と言うのは結構体験していたりする。
目からビームが出るようになった朝比奈さんの映画を撮ったりパソコンの中に入ってみたり夏休みの2週間を1万回以上繰り返したり
ある日世界が長門が内気なメガネっ子になってる世界に代わっていたりある日突然学校だらけの世界に飛ばされたりとまあ、色々。

そんなわけで若干16歳の少年が出会うにはトンでもない体験を多く重ねて来たせいかその手の出来事にはだいぶ慣れたつもりではあった。
だが、今回の出来ごとには流石に驚かざるをえない。

ありえるかどうかで言えば先ほど述べたものよりはあり得るし世の中のごく一部の方々には日々ありえる出来事ではあるらしい。
だが、ごく普通の、取り立てて特徴のない高校生に降りかかる出来事としてはやっぱり破格の“ありえない出来事”だろう。

こうして、猿轡をつけられた上に縄で縛られて地面に転がされている、という状況は。

こちらとしてはこんな目にあうような出来事はあまりしていない。
いつもの活動の帰り道に子供の泣き声を上げる袋担いだ誘拐犯なんてものを見なかったことにするのは人としてどうかと思う。
まあ、それでこちらとしても見捨てて慌てて逃げるなんて真似も出来ず、
さりとて殴り合いの喧嘩なんてものは小学校以来縁のなかった一介の高校生に勝てるわけもなく。
隙をつかれて後ろから頭を殴られ、気がついた時点でこの状態だった、と言うわけだ。

そんなわけで俺は今、誘拐されて猿轡と縄つきで、地面に転がっている。

周りからは俺と同じようにこいつ等に攫われたのであろう学生の泣き声や怯えた声が響いてくる。
声からすると子供が多い。やはり誘拐するなら抵抗の少ない子供と言うのはどこも一緒なのだろう。
中には怪我をした奴もいるらしく、うめき声も混じっている。
かくいう俺もあちこち殴られたせいか、身体が痛い。
縄も食いこんで痛みに拍車をかけている。文句を言いたいがそもそも意思疎通できるのかすら謎だ。
…ん?そう言う意味ではやっぱり破格のありえない出来事、なのか?
モンスターの誘拐犯に誘拐されている、と言うこの状況は。

大きさ的には子供くらい。角と揃いの黒いマフラーが目立つ一団。
まんまるの目と柔らかそうな毛に覆われた身体はこんな状況でなければ可愛いのかもしれないが、如何せんあいつらは敵だ。
って言うか何者なんだ奴らは。
「暗黒不思議学園の転移に巻き込まれてやってきた子鬼の誘拐組織『黒マフラー』の分隊です。
 彼らはこのあと彼らの依頼人たちに連絡を取り、我々を受け渡すつもりなのは書物に書いてあった通り…」
なるほど。流石は学園世界。モンスターの誘拐組織なんてものまであるのか。
俺は何処から仕入れているのかさっぱりだが大抵は確実な群田さんの情報に呆れつつも感心し…

…!?

「…まるで『何でここにいるんですか!?』とでも言いたげな顔ですね」
その通りです。って言うかマジで何でいるんですか群田さん。
「…私も捕まったのです。うかつでした。あの時書物の読み解きに気を取られていなければ」
なるほど。そう言う事情ですか。喋らなくても伝わるって素晴らしいですね。
何処かの人の気持ちとかその辺がさっぱりのハルヒにもその力を分け与えてください。
「…そうなると涼宮ハルヒにもばれますよ?色々」
ぬう。それはまずい。やっぱ今の無しで。それにしても。
「…『縛られて身動きとれない状態なのにえらく落ち着いてませんか?』ですか?ああ、そのことなら問題ありません。
 あと10秒ほどで解決するのは書物にも書いてあったとおり…」
10秒?

そう俺が疑問に思った瞬間だった。

「―――お前らがキョンとリオだな?」
後ろから声が聞こえると同時に縄と猿轡が外れる。
ああ、楽になった。そう思い礼を言うべく後ろを向いた俺は…
「うお!?」
仮面をつけ、何故かメイド服を着た筋骨隆々の怪しげなおっさんの姿に礼の代わりに驚きの声を上げた。
「心配するな。味方だ。我が弟子の1人であるみくるに頼まれてな、お前らを助けに来た」
…朝比奈さん。なんですかこの人。って言うか師匠がこれでいいんですか?
そんな疑問をよそにそのおっさんは立ち上がる。
立ち上がったおっさんに誘拐犯の一団は色めき立ち、剣だの槍だのをおっさんに向ける。
そんな状態にも関わらず、おっさんは不敵な笑みを浮かべて、言う。
「…っくっくっく。大人しく投降するのならば許してやろうと思っていたが…しかたがあるまい。
 教えてやろう。学従連の…第1種メイドの力をな!」
メイドかよ!?
そんな俺の衝撃をよそにおっさんはどっから取り出したのか大量の銃だのなんだのをモンスターに向ける。
そして、今まさに戦いが始まろうとした寸前。
「…貴様らも運が無いな。よりによって、あの男まで敵に回していたとは」
おっさんが喋ったその瞬間だった。
思いっきり何かを叩きつける音。そして次の瞬間、扉が真っ二つに斬られ、その男が姿を現す。

…ああ。

それを見た瞬間。分かった。
あいつら、終わったと。何故ならばそこには。
「…やっと着いたぜ!お前ら、こんなことしてただで済むと思うなよ!」
そいつの身長よりもでかい剣を持った、万国びっくりショーの親玉が立っていたのだから。

―――再びオオサカ

そんなわけでな。かつては宮廷…王国をも滅ぼし恐れられた黒マフラーの93分隊はほぼ全滅。
生き残った奴も散り散りになって今じゃあ黒マフラー名乗ってるのは俺くらいさ。

…あのあと、俺は疑問を持った。
なんだって並みの宮廷なら余裕で全滅してもおかしくない難易度の本拠地マップがあっさり突破されたのかってな。
…調べて見て、改めてぞっとしたぜ。
俺たちが入念に仕掛けたトラップの山。
あれが全部解除されてたんだ。あの男たちが通ったルートのものも含めた全てが。
それと、俺たちに依頼した“依頼人”たち…闇に隠れて抵抗できないただの一般人を玩具や奴隷やメシや実験材料にしようとしてた連中。
そいつらがことごとく連絡が取れなくなってた…潰されてたんだ。知らない間にな。

それをやってのけた連中がさっき言ったカゲモリって奴らだ。
そして分かった。俺たちの敗因。

執行部に学従連、そしてカゲモリ。

学園世界屈指のヤバい組織3つがほぼ同時に俺たちを標的にした理由。
それはな、たった1つ。俺たちが気付かないうちに“とある組織”に喧嘩を売っていたことが原因だった。

いいか絶対に忘れるな。この学園世界には絶対に手を出すべきじゃない組織がある。

“SOS団”には手を出すな。

学園世界をまるごと敵に回す気がないんなら、な。


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