平成27年度 巡査部長試験問題

憲法
 君が、部下と共に多目的検問を実施していたところ、警察官の姿を見るなり急に減速する不審な普通乗用車を発見したため、直ちに停止
を求め、職務質問を開始した。すると、運転席の男は「約30分前に○○町のコンビニ駐車場で車を盗んできた」と申し立て、被害の確認
もできたことから、男を窃盗の事実で緊急逮捕した。逮捕手続終了後、君は部下から「憲法では、現行犯として逮捕するとき以外は令状が
なければ逮捕されないと規定されてますが、どうして緊急逮捕は令状がなくても逮捕できるのですか」と質問をされた。
 この質問にどう答えるかについて述べなさい。

行政法
 A巡査部長とB巡査は、午前2時から約2時間、飲酒運転取締り等のため、管内で飲酒運転が多いとされる橋の南詰において、通過する
車両全てに停止を求める検問を実施していた。当時、同一方向に走行してくる車両は、5分に1台程度であり、検問終了までに25台に停
止を求め、5人を酒気帯び運転で検挙した。この際、酒気帯び運転として検挙したXは、A巡査部長に対し「俺は普通に走っていたのにど
うして俺を停止させる権利があるんだ。そもそもこんな所で普通に走っている車を全部停止させていいのか」と言って、飲酒検知には応じ
たものの、A巡査部長らの検問を違法だと申し立てた。
 自動車検問の法的根拠及び適法要件と共に、A巡査部長らの行った自動車検問の適否について述べなさい。

刑法
 君がパトカー乗務員として部下の巡査と共に警ら中、自動2輪車や原付自転車約10台に分乗し、後部座席の同乗者の中には金属バット
やゴルフクラブを振り回している者もいる暴走集団を発見した。直ちに赤色灯を回転させ、サイレンを吹鳴させて追跡を開始したところ、
甲が運転する2人乗り自動2輪車がパトカーの左前方に来たかと思うと、後部座席の同乗者乙が手にしたゴルフクラブを振り上げ、パトカ
ーのボンネットを1回叩き、その後、逃走した。パトカーのボンネットには、凹みができていた。
 後日、甲は道路交通法違反で逮捕された。ゴルフクラブでパトカーを叩いた事件について、甲は、「あの時は、後ろに乗っていた乙が
『もっとパトカーに近づいてくれ』と言うので、これは持っているゴルフクラブでパトカーを叩くのだと思い、パトカーに近づいた。事前
に相談はしておらず、乙から直接『パトカーをゴルフクラブで叩く』とは聞いていなかった」と供述した。
 甲及び乙の刑責について述べなさい。
 (道路交通法違反については論外とする)

刑訴法
 A巡査部長は、窃盗の現行犯人甲を追跡していたところ、甲がマンション5階の1室(乙方)に逃げ込むのを確認した。A巡査部長が甲
を逮捕するために乙方に赴くと、玄関先に乙が現れ、「うちには誰も来ていない」と答えたが、何度も追及するうちに、「誰か来たけれど
、名前は言えない」と供述を翻した。そこで、乙の後ろに立っていた丙女に対して同様に聞こうとすると、乙がすかさず「答えるな」と丙
女を制し、犯人甲を隠匿するかのような態度を示した。そこで、A巡査部長は犯人甲を逮捕するため乙方を捜索する必要があると判断し、
応援に駆け付けたB巡査と共に乙が拒絶するのを無視して乙方に立入った。
 A巡査部長らの行為の適否について述べなさい。

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最終更新:2016年04月02日 23:31