第四の壁の向こう



あなた

  • 登場作品:四八,学恋V,レトin,新生2,秘密,稲in
  • 種族:人間ほか
  • 年齢/誕生日:???
  • クラス:???
  • 身体:???
  • 好きな/嫌いな食べ物:
  • 関連人物:瑠戸怜人,坂上修一《?》
  • 関連用語:

概要

 モニターのむこうのあなた。
 プレイヤーの分身、またはビーコンとなるキャラクター、それに他ならない。
 ただし、この「あなた」という概念は主人公とはある程度区別されるほか、様々な用いられ方がされている。
 一概に語ることは難しいが、あえて言うならこの場合の「あなた」はいわゆる無個性型主人公とも異なる。内面描写が(ほぼ)されないか、通り一辺倒で平坦であったりで一人の登場人物として像を捉えるのが困難であることが挙げられる。

 ちなみに「坂上修一」、「倉田恵美」、「前田葉子」の三名は当初はプレイヤーの意思を(彼や彼女らのクオリアを通したのちに)代弁する無個性型主人公として作品世界に生を受けた。
 が、その後は多少紆余曲折を経て、プレイヤーからは(ある程度)独立したキャラクターとして「あなた」とは無関係に作品世界を闊歩している。坂上修一はまた独自の立ち位置を得ているのだが、いずれにせよ「あなた」とは区別されるべき概念である。

 なお、「あなた」が主人公である作品は具体的な姓名はゲーム開始時にプレイヤー自身が入力して決定する方式を取っていることが多い。もしくはデフォルト名がそもそも設定されていないか、設定されていてもプレイヤー間での認知度は低かったりする。
 プレイヤーの分身というより、ゲーム上にプレイヤーの意思を反映させるための単なるファクターとして活用されることもある。

 なお、元々「アパシー・シリーズ」およびそれを主導する原作者「飯島多紀哉」氏は虚構と現実が交差する「メタ・フィクション」を愛好し、ゲームシナリオ上での演出手法として活用することが多い作家である。
 例えばゲーム上に表示されている「あなた」を飛び越えてプレイヤーである「あなた」自身に語り掛ける手法などはその代表例だろう。

 変わった例としては名前と内面描写を伏せ「あなた」の行動を第三者視点から追跡し、プレイヤーに向けて「あなた」の行動録を提供するというシナリオも存在する。
 その場合の「あなた」は具体的なプロフィールや自我を備えた何者かであり、最終的には種明かしとしてプレイヤーに向けて開示される。当然ながらその場合はプレイヤーと「あなた」はノットイコールとなるのだが、その辺を追っていくのも楽しみと言える。

 なお、この「あなた」は基本的には『四八(仮)』で提唱された概念である。それ自体は諸事情あって失敗作に終わったが、原作者がそのリベンジとして各種作品の世界観に密接に関わるファクターとして大いに活用されていった――という経緯を辿っている。
 もちろんプレイヤーによって解釈は分かれるが、後年の作品になるにつれ理解はしやすくなっているのは間違いないはずである。


 (執筆者募集中) 


四八

 ゲームの冒頭で「あなた」は新作ゲーム『四八』のサンプルモニターに選ばれる。
 なんとも奇妙な入れ子構造になっているが、ここではあくまで現実に寄って立つプレイヤー視点から解説する。
 ゲーム自体は「あなた」の視点から展開される一本道の作中劇「あなたシナリオ」と通常の分岐型ノベルアドベンチャー「都道府県シナリオ」の二重構造になっているのだが、ここが本作を物語る上での肝となっている。

 まず、「あなたシナリオ」の視点によれば、「あなた」は最初こそサンプルゲーム『四八』を意気揚々と進めていくも、徐々にゲームそのものと、それにまつわり現実に起こる奇妙な出来事の数々によって徐々に精神を蝕まれていったとされている。
 ちなみにプレイヤーとほぼイコールで結ばれることになる「あなた」のデフォルト名は「佐藤隆明」だが、実名プレイを誘導する作りになっているためこちらの知名度は高くないだろう。

 当然ながら都道府県シナリオパートでは登場しないが、登場人物などの口から各シナリオの最後に、終わりもしくは死を連想させる不吉な文言とともに「あなた」の名前が語られることが多い。
 間違いなく『四八』世界のカギを握っているのだが、その存在は住人たちからすれば歓迎せざる者のようである。

 そうして「あなたシナリオ」の最後に行き当たって夢と現の区別が怪しくなった「あなた」はなぜか顔を包帯で[ボンバーマンのごとく]覆い隠した状態で「精神病院」らしき不可思議な空間にいる。
 精神の均衡を失った「あなた」だったが、単に要領の得ないことを現実(?)における病院の職員に述べるだけではなかった。

 どうやら「あなた」はこの世界におけるなんらかの真理をつかんだらしく、自身を担当してくれた職員のひとりをゲーム世界へと取り込むのだった。なお、この職員はゲーム世界であなたを導いてきたオブザーバーたちと役者を兼任している。
 おそらく『四八』はそれ自体が現実(?)の住人を内部に引きずり込むことで自らの存在を拡大していく怪物じみた存在であると思われる。ただ、この時点ではわけのわからない演出であるとして多くのプレイヤーの理解の及ぶところではなかったようだ。

学恋V

 高校一年の三学期に親の転職で鳴神学園に転校してきた生徒。
 怪しい占い師にかけられた「あと一ヶ月で死ぬ」という呪いを回避すべく、『心から愛する人』を探すことになる。性別、性格、所属クラブ等はプレイ毎に設定できる。

 今回の「あなた」はプレイヤー自身のアバターとして鳴神学園に送り込んだ、正しく分身と言える。 
 ただし、性格などは選択肢によってスライド式のパラメーターなどで変動するため、プレイヤーの意向からある程度は離れた、かなり極端な行動を取る余地が生まれていたりもする。


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新生2

 「正義のネゴシエーター」に登場。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 このシナリオは「岩下明美」が「あなた」に向けて語りかける形で進行する。
 同作品中に収録された二編のシナリオが「坂上修一」を主人公とし立ち絵を持つ彼の視点からシナリオが展開する中、例外的な処置といえる。と、言うよりもこの場合は「あなた」が「坂上修一」であるように誤認させる狙いがあるように思われる。

 実際に、話中で岩下さんがあなたに向けて語りかける際に「坂上くん」など個人を特定する呼称が一切用いられていないことから勘のいいプレイヤーなら途中で気づけるかもしれないが、いささか分が悪いかもしれない。
 ただ、原作者がなぜこのような仕掛けを用意したかについてはシナリオの最奥に隠れている結末が物語ってくれることだろう。


レトin

 鳴神学園に転入してきて早々、なぜか「新聞部」への入部を希望した生徒。一人称は僕。
 なお、シナリオ中で焦点が当たるのはゲーム実況者レトルト氏をモチーフとした謎の仮面の男「瑠戸怜人」である。劇中では新聞部副部長の「日野貞夫」から「瑠戸怜人」の都市伝説について調べるという入部テストを課せられたことから、渦中に巻き込まれていくことになる。

 「あなた」個人の内心での独白はけっこう見られ、都市伝説には懐疑的だがそれなりの好奇心は有している。
 ただし、一般生徒の範疇から出ることはない。都市伝説の住人その人「瑠戸怜人」が同じクラスに転入してくるなどする不条理極まりない事態には対応できず、なし崩し的にずぶずぶと彼の要求を呑まされる羽目になってしまうのだ。
 瑠戸怜人からおなじみ六名の語り部のことを身代わりの生贄として指名され、犠牲にしたのもつかの間、なぜかループする物語の構造に翻弄され、自分が何者なのかも次第にわからなくなっていく。


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秘密

 冒頭「あなた」は「坂上修一」に謎の手紙にどう対応するかについて選択を委ねられる。
 以降の登場はその後の選択肢によりけりではあり、「あなた」の正体もその都度変動する。
 展開によっては、坂上がプレイヤーによって動かされていることを認識することもある。

 「行かない方がいい」ルート。
 直後、明確な形で「あなた」の正体が判明する。
 この場合の「あなた」は坂上修一が配信している「Yチューブ」の番組視聴者たちである。いわば不特定多数に向けた呼びかけであり、ネタになりそうな謎の手紙をどう扱うかアンケート機能を使用して尋ねたというオチになる。



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稲in

 本作『稲in』は『鳴神学園霊怪記』に採用される予定のシナリオ構造に則り構成されているゲーム/実況作品である。
 まず前提としてゲーム開始直後の「あなた」自身が何者なのかはわからない。所属する部活を決めるよう設問がなぜか提示されることにはじまり、流れに乗せられるうちに「あなた」の正体についての像が結ばれていくシナリオ構成となっている。

 シナリオの進行につれて 今回の「あなた」はいろんな意味で話題が絶えない「鳴神学園」の新入生であることが判明する。
 続いて両親と姉ひとりという四人家族の一員であることがわかる。この際に、結構イイ性格をしている「姉」や両親の不可解な動きさえ考慮のうちに入れなければ、ほぼ違いなく実態を持った生身の人間であろうことも理解できる。


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最終更新:2024年03月22日 14:47