索引


舞(まい)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:前田和子《伝承》,伊佐夫,平太《?》
  • 関連用語:占い,紫陽花,狐
 和子一話「折り紙の由来」に登場。
 注:先に伊佐男の項を参照ください⇒「伊佐男

 伊佐男の項でも触れたが、この「舞」は愛を向けてくる男たちに振り回されて儚くも命を落としてしまう薄幸の女性というポジションで一貫している。


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前田和子(まえだ かずこ)

  • 登場作品:晦,新生2
⇒「前田和子


前田葉子(まえだ ようこ)

  • 登場作品:晦
⇒「前田葉子


前田良夫(まえだ よしお)

  • 登場作品:晦
⇒「前田良夫


前沢美咲(まえざわ みさき)

  • 登場作品:追加
  • 種族:人間
  • 誕生日:11月3日
  • 関連人物:福沢玲子《噂》,東優斗《幼馴染,?》,西野有里《親友,?》
  • 関連用語:屋上,自殺,百合
 『追加版』「ラジオの声」に登場。
 腐れ縁的異性の幼馴染「東優斗」と、幼馴染に恋心を寄せる親友の「西野有里」の間を取り持つ仲にして、いつの間にか形成されてしまった三角関係の要を担う女生徒。

 普段は活発で幼馴染や親友の背中をぐいぐい押していくタイプだったが、その内心にはかなり繊細なものを抱えていたようだ。
 そのため、親友の有里がなんらかの思惑を抱えてよそよそしい態度を取るようになっていく際には涙ぐむ一幕もあった。

 ここで有里も彼女が流した涙をみて冷静さを取り戻し、友情が復活したかに思われたが……。
 この後三人の間で起こった事件を結末から逆算して考えれば、前沢さんと西野さんのふたりはここで腹を割って双方の抱えている思いを吐き出すべき場面だったりする。
 いわばこのシナリオに用意されたふたつの真相に共通する、プレイヤーに選べない分岐点である。

 美咲が薦めた「ラジオのおまじない」が知らないうちに親友の有里さんの心を追い詰めていったことに気付かないのと同じで、美咲もまた自分の好意もしくは悪意がどこに向かっているのか気づけない。
 東くんは話の渦中にいながら結構な蚊帳の外であり、『ラジオの声』は前沢さんと西野さんが双方に抱えている巨大な感情に気づけない、もしくは勘違いやすれ違いが生んだ悲劇と言える。

 何も知らない第三者(プレイヤー)目線に立ってみると、前沢さんが東くんをどうしたいかという感情と、傍から見た際の行動のブレに気づき西野さんが前沢さんの真意に辿り着くことができれば、といったところだが。実際は相当な無理難題である。
 その思いの正体は、言い換えるなら一方通行な感情の行き着く先に他ならない。察しろというのも酷な話というものだろう。


真壁(まかべ)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:藤村正美《仕事》,河合《恋人》
  • 関連用語:屋上,自殺,赤い靴の女の子,石の話
 正美二話「両足を失った悲しみ」に登場。
 バレリーナの「河合」さんと将来を誓い合った間柄にある男性。
 正美さんが生真面目そうで背の高いとの印象を述べた通り、よく出来た人だった。
 事実、理不尽な展開にも負けず、婚約者を守るべくがんばったとしか言いようがない男である。
 [グラフィックが当時流行っていたネルシャツだとか暗い画像のせいでオタクっぽいとか言われる。]

 入院中の彼女の元に何度も訪れ、沈んでいた彼女に笑顔を取り戻した。
 後は快復を待つばかりとなり、本来なら恋人たち同士のドラマもこれでハッピーエンドのはずだった。
 しかし、恋人達の前に障壁を立てるのが悪魔のお好みなのか、河合さんの下には足だけの幽霊が現れ跋扈することになる。
 ここで担当の「吉村先生」に相談したなら、場合によっては笑い飛ばされて終わりとなるが、そこは二人の距離の違いか真壁さんは真摯に対応してくれる。

 そして、霊に憑依された河合さんが今まさに「屋上」から飛び降りようとしたその時、真壁さんは呪いを解くためのアイテムを持って颯爽と登場する。
 それは清めの塩、もしくは「赤い靴」だった。

 ただし、解呪に選んだ選択と対処方法自体に問題無かったものの、あと一歩だけ及ばなかった。
 足の霊に憑依された河合さんに蹴り落とされてしまったり、その場を大団円っぽく乗り切ったものの聞かなきゃよかった後日談で(おそらくは「」に殺されて)死亡……などと真壁さんの生存率自体はかなり低い。

 また、恋人の死を乗り越えて、真壁さん自身が彼女の遺志を受け継ぎバレエダンサーとして大成する結末も存在するが、この場合も彼の肉体を動かしているのが本人の魂かは怪しい、などとなんともやりきれなく、切ない読後感を残すものになっている。


マザー・アンジュ

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:鈴木由香里《仕事》,NONAME
  • 関連用語:石の話,占い,丑の刻参り,お守り,呪い,パワーストーン
 由香里四話「オカルトアイテム」に登場。
 「占い」ブームの最中、由香里姉さんは占いショップでバイトをしていた。その勤め先の店主を務める占い師が彼女である。アンジュは仏語で「天使」の意、本名は不明である。
 人を導く立場の占い師であるなら神秘性やハッタリは必要なのか、ふさわしくも仰々しい名前と言えるだろう。
 顔もヴェールで覆い隠されており、当の由香里姉さんですら素顔を一度も見たことがなかった。

 プロとして様々な知恵を顧客に教授することを行っていたのだが、それでもつまづくことはある。「パワーストーン」か「呪詛人形」のどちらかが身の破滅へ繋がってしまった。
 もしくは鈴木由香里を雇ってしまったことが双方にとって不運な巡り合わせだったのかもしれない。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 前者では宝石の性質を見誤ったことで店の運勢を傾けてしまう。
 後者の場合はなぜか数ある人形のうち由香里の作った方がなぜか出来もいいと言うことで、評判になってしまう。
 よって、展開によっては嫉妬に身を焦がすように。
 連鎖するように仕事も低調になってしまい、段々と自分の内に籠るようになり、遂には由香里を呪うことをはじめてしまう。

 人影がちらついたり、視線を感じるなどの由香里に現れた症状を見る限り、呪い師としての才能はなかったのかも知れない。
 彼女の場合、見立てに従ったプロの呪いと言うより情念を飛ばして害を為していた感が否めない。
 ちなみに行った呪いは「丑の刻参り」だった。芸名のわりに一々やることが和風なのはなぜだろう?] 作法は正式なものだったが……。
 そして、古からの盟約通り、当の本人に姿を見られた者には呪いが返る。
 それも「予言の自己成就」ではないだろうが、自ら由香里にあげた御守りに吹き散らされるという皮肉な結末だった。


 この話は「石の話」を形作るピースのひとつ。部位は「脚」。

 結論として、マザーは無いものねだりをしてはいけなかったのだろう。
 占いの腕は由香里も認めるところであり、予言を見事的中させてしまったのだから。繰り返すようになるが、「呪い」と「占い」の才は別物だった。
 由香里曰く、自分は「僅かながらも意思や力を放出する」タイプ(放出系)、彼女は「強大な力で他人の心やカードの応え、空気の流れを感じる」タイプ(特質系)だそうで。

 どちらにせよ、彼女の姿から人間の持てる負の感情に目を見張ることも出来ようが……。自分でもどうすることの出来ない感情を持て余すと言うのなら、同話には由香里に恋するあまり暴走する百合少女の話が存在する。
 こちらはストレートに


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真崎恵太(まさき けいた)

  • 登場作品:送り犬
  • 種族:人間
  • 職業:
  • 関連人物:財部美穂《親戚》
  • 関連用語:
 『送り犬』(アプリ・Switch)「真相究明」ルートに登場。
 「送り犬」に魅入られた女性「財部美穂」の従兄弟の少年。
 送り犬に富と引き換えにして妙齢の女性を花嫁として差し出すという財部の家の後ろ暗い裏事情に通じていた。
 姉のように慕っている美穂を人間の世界に引き戻すために、単身で彼女のもとに赴き説得のために事情を打ち明けるのだった。


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真下弘美(ました ひろみ)

  • 登場作品:極
  • 種族:人間?
  • 関連人物:荒井昭二《噂》,相沢信彦《同士》,桑畑達也
  • 関連用語:屋上,自殺《嗜好》,ランダム分岐
 「学怖inよんはち」、『極』「荒井昭二シナリオ」に登場。
 「屋上」が好きで通っているうちに、「人が飛び降りたらどうなるか?」という疑問を抱くようになった女子生徒。
 同じくその疑問を抱いていた「相沢信彦」は、疑問が解消されない煩悶から次第に犯行へと駆り立てられようとしていた。そんな折に偶然、真下さんのつぶやきを耳にしたこと相沢さんは内心を打ち明けることにする。

 当初は自分の計画に利用できないかという打算を抱えて接近した相沢さんだったが、対する真下さんは「自殺」という概念全体に興味を持っていることなどを教えてくれた。そのことから、ふたりの間柄は自然な形で共犯関係へと発展していくことになる。

 もちろん飛び降りた先の生死という狭い疑問に関心が絞られていた相沢さんとの間では微妙な齟齬もあった。
 しかし、ふたりの利害が一致していることは確かであり、語り合っていくうちに次第にお互いの趣向は感化されていき微妙に変質した思想を共有し携える仲間として歩み寄っていくことになる。

 なお、このふたりの間で流れていた感情だが、男女間で絆されるものと解釈できるかといえば定かではない。
 真下さんが相沢さんのことを一方的に利用していたとされる結末、屋上という場所の「魔」に呑まれて相沢さんのことを手にかけてしまう結末も存在する。この場合、真下さんが相沢さんに向ける好意の有無がどちらであれ話は成立するためである。

 いずれにせよ、真下さんの提案によって例のごとく不良の「桑畑達也」を実験材料に選ぶ。
 ただし、桑畑の最後の抵抗に巻き込まれる形で真下さんが落下死してしまう場合は、さすがに相沢さんは慌てふためいていた。
 相沢さんの方が恋愛感情に至っていたかは別として、彼女になんらかの好意を抱いていたことはほぼ確実だろう。

 ただ、その場合の真下さんはやり口は異なるものの、相沢さんに末期の言葉で訴えかけることによって彼を死に誘うのだった。
 なお真下さんが関わるこれら新展開だが、内容としては相沢さんが単独で犯行を重ねる本ルートの追補といった感がある。

 ただし相沢信彦が本編ではついぞもらえなかった共感をもらったことで救いを得られた可能性がある、と解釈することもできる(『学怖S』追加分岐で桑畑を共犯者に得る展開も用意されているが、趣が違う分差別化は容易だろう)。
 また、真下さんの心境についてはほぼ伏せられている。彼女をどうとらえるかはプレイヤー次第といえるだろう。 

 結局、相沢さんの見たかったものを真下さんは見るつもりがなかったのかもしれない。もちろん見たかったのかもしれない。
 それと、たとえ同じものを見ることができたとしても結局ふたりともひとりきりで死んでいくでしかないのかもしれない。
 ……などと追想することで、本編に通じる虚しさや、渇いた読後感や一抹の切なさが一層増幅されると考えてもよいのだろう。


真島義孝(まじま よしたか

  • 登場作品:最終
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 教師
  • 関連人物:岩下明美《噂》,小野塚彩《恋人》
 『最終版』追加シナリオ「教師編」に登場。
 「小野塚彩」共々、鳴神学園の卒業生である。共通点から惹かれ合った婚約者の小野塚さんと美術室で逢瀬を楽しんでいた。
 また、彼は交通事故により右腕に障がいを抱えており、自由に動かすことができなかったらしい。そんな彼を受け入れてくれる小野塚さんは貴重な理解者だった。

 ある日、彼女が学生時代に自分を描いた肖像画を見つけてからというもの、絵を食い入るように見つめる日々を過ごす。あまりの執心ぶりに小野塚さんは嫉妬するが、彼は絵の中の人物に心を奪われていたわけではなかった。肖像画の人物を自分をひき逃げした犯人だと確信し、目に焼き付けていたのだ。そしてその絵のモデルの正体を知り、彼女に襲い掛かるが……。


増村寛(ましむら ひろし

  • 登場作品:学怖,学怖S,稲in
  • 種族:人間(故人)
  • 関連人物:岩下明美《噂》,小松沢孝明,清水智子
  • 関連用語:美術部《顧問》
 『学怖(S)』岩下三話「美術室の肖像画」に登場。
 「小松沢孝明」同様に話のさわりで名前だけが紹介される美術教諭で、有名なコンクールで幾つも入選し個展も度々開いているらしい。
 この時点では上の名字しか明らかにはなっておらず、フルネームは不明だった。

 『稲in』に登場。
 フルネームに加えて具体的な人となりやエピソードなどが断片的にではあるが、明らかとなった。
 『学怖S』から数えてもおおよそ二十七年ぶりの壮挙である。

 増村寛氏は作中の時間軸から十年ほど前にこの世を去った鳴神学園の美術教師である。
 しかも「小松沢孝明」、「清水智子」の両名は彼に師事することで才能を開花した間柄だったという。そんな彼らにまつわる怖い話を「七不思議の集会」で披露し、ふたたび「あなた」に向けて教えてくれるのは、やはりあの岩下明美に他ならない。

 そんな増村氏はかつては天才画家として一世を風靡していたようだが、大御所と喧嘩をして画壇から追放されたという。
 そこを鳴神学園に招聘されて美術教師として教鞭をとることになったらしい。

 が、経歴が経歴であるため、教師として振舞おうという姿勢はゼロだったようである。
 この際には元々人間的にも褒められたものではなかったと岩下さんの口から付記して語られている。
 以前からそうだったのか、不遇の身になって以降悪化したのかは不明だが学校にいる時も終始酒浸りになっており、授業に顔を出すことも稀だったとか。晩年の姿だろう缶ビールを片手に佇む老人の立ち絵はその姿勢を反映しているようにも思われる。

 ただ、そんなありさまに落ちぶれてなお才能が健在であることを証明するエピソードは語られている。また、増村先生自身の画風もかつての印象派から抽象派に変化したと言っても、見込んだ生徒への指導力はいかんなく発揮できたようである。
 加えて増村先生自身のネームバリューは高かったため、学園とその美術部には多くの才能が集い、彼が手掛けずとも多くの才能がそこから巣立っていくことになる。とは言え増村先生の要求は高く、直接指導した生徒は「小松沢孝明」のみだった。

 けれども幸運なことに増村先生は定年間際にして最高の弟子である「清水智子」さんと巡り合うことができ、喜んで彼女を指導する。しかし増村先生は長年の酒毒にやられたのか、彼女が羽ばたく姿を待たずして亡くなってしまう。

 清水さんのことは同じく増村先生が見込んだ弟子である小松沢孝明に託されることになるのだが……?
 彼にとって唯一の救いは、宝石のように大事にしていた弟子たちが辿った末路を見ることがなかったという点に尽きるだろう。


マジル

  • 登場作品:極,ナポin,鳴七
  • 種族:人間
  • 関連人物:新堂誠《噂,視聴者》,村崎藍《噂》
  • 関連用語:呪い《犠牲者》,ゲーム実況《配信》
 『極』新堂誠分岐シナリオ「ゲーム実況怪談」に登場。
 「呪いのゲーム実況者」を肩書としていた男性。
 ちなみにマジルは本名の「マサル」と「呪(まじな)い」を組み合わせたハンドルネーム。
 新堂さん自身はマジルと面識はないもののダチのダチ(「友達の友達」)という微妙に迂遠なつながりから彼の名刺を受け取ったことから彼の実況に出会うことになる。

 当意即妙の弁舌やいわゆるスーパープレイなどに長けた器用なタイプの実況者ではなかったが、視聴者からは怖がった反応が皆無と言われるほど強心臓の持ち主で恐怖耐性は人一倍だった。
 プレイヤーを脅かすために設計されたホラーゲームを実況のメインジャンルに据えていたが、再生数を伸ばすためにいわくつきの呪いのゲームに挑戦するプレイスタイルに移行する。

 そしてさらに再生数を伸ばすべくリアルな人脈を駆使して、一般に流通していない封印ゲームの類から成るコレクションを手に入れ、それらに挑戦することでさらに実況数を伸ばしていった。
 そうして手ごたえを感じたマジルは、その中でもことさら厳重に梱包されていていたACTゲーム『クリミナル・キッズ』を初実況生放送の題材に選ぶのだったが……。

 当のマジルは何の前情報もなく挑むなか、グロい死にざまと高難易度が特徴的なだけと思われていた8bitゲーム『クリミナル・キッズ』が仕掛けていた真の罠にかかることになってしまう。
 ついでに視聴者である新堂さんに危うく火の粉がかかりそうになり、その場はかろうじて逃れたものの拭いきれないトラウマを抱えることになってしまった。

 ちなみにコアなゲームファンである荒井さんもマジルのこの事件のことを知っており、初実況生放送の視聴者が(参考)三百人程度であったことなどから、知る人ぞ知るくらいの知名度をこの時点では得ていた模様である。

 『ナポin』最終話「呪われたゲーム」に登場。
 「村崎藍」がホラーゲームよりも恐ろしい呪われたゲームの一例として、マジルの実況した『クリミナル・キッズ』を挙げている。
 「実況中に死者が出た」と一部では噂になったようだ。

 『鳴七』「ゲーム実況怪談」に登場。
 基本的に『極』版とシナリオに相違はない。
 『極』版ではO府K市在住でほぼ確定している彼だが、今回はI県M市の「鳴神学園」に通う高校生だった可能性が高いと設定が変更されている。また「ヒッキー」だったらしい。新堂さん自身とマジルは間接的にも接点があるわけでもなかったが、鳴神生であるという噂を聞いて誰なのか見極めてやろうと思って彼の動画を視聴するようになったのだとか。

 [繰り返すようだが、マジルの本名はマサルという。
 『鳴七』では新堂さんと知り合いのマサルが別のシナリオで登場する。ちなみにこちらのマサル、ゲームに関しては特に言及されている部分がないが、とある人物との仲が深まることもあり、少々強引ではあるが同一人物なのでは? という考察が出来なくもない。いずれにせよマジルには顔グラフィックがないため推測の域を出ないのだが。]


益田洋一(ますだ よういち)

  • 登場作品:鳴神学園短編集
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 一年I組
  • 関連人物:荒井昭二《協力》,倉田恵美《クラスメート》
  • 関連用語:保健室
 「鳴神学園短編集」「恵美ちゃんの荒井さん観察日記」に登場。
 ある日、先生の指名で「保健室」当番を任された荒井昭二の元に現れた男子生徒。

 自分の意思を表明することが苦手な内向的な性格をしており、クラスに馴染めず保健室登校という現状に落ち着いてしまったようだ。

 ただし、静かな空間、この場合は保健室での読書を好む荒井さんと益田くんの性格はそりがあったのか、不思議と打ち解けるような間柄となっていく。ふたりは本を通しお互いの距離を近づけていった。
 しかし、クラスに戻れずにいる現状についてを荒井さんに相談するところにまでは行かず、益田くんはひとり抱えこんでいた。

 どうやら理由があってなかなか自分のクラスに戻る事ができないでいるようだが、益田くん本人はいずれ教室に入りたいと強く望みながら保健室に通っているようだった。

 教室に入れない、けれど頑張りたい。
 そんな益田くんの複雑な心境を荒井さんは汲み取ると、教室に入るところまで挑戦してみようと彼の背中を押すのだが……。

(ネタバレにつき格納)

+ ...
 恐怖に打ち勝って教室に足を踏み入れた途端、益田くんの姿は突如として消えてしまった。
 荒井さんは益田くんの正体を幽霊と見なしたが、真相は交通事故で意識不明になっていた体で意識だけが具現化して保健室登校していたのだった。
 教室に入る行為そのものが益田くんにとって自分の殻を破った現状を変える大きなきっかけになったと言えよう。
 意識を取り戻した後は教室にも問題なく通えており、倉田恵美という友人にも恵まれながら学校生活を送れている。

 残された心配を強いて言うのなら、今後恵美ちゃんに毒された益田くんが、荒井さんの苦労を更に増やすかどうか……といったところだろうか。ただでさえ恵美ちゃんの書いた同人小説で裏でややこしくなっていることであるし。



松尾(まつお)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:鈴木由香里,清水,宮本《仕事》
  • 関連人物:マネキン,手,異次元,生首《犠牲者》,エレベーター
 由香里一話「夜のデパートの恐怖」に登場。
 一昨年の年末、鈴木由香里は好奇心から深夜のデパートでアルバイトをすることにした。 
 そこの現場で何回か出会ったことがあるバイト仲間の女の子が松尾さんである。ただしドライな由香里姉さんの性分もあって、さして親しいわけでなく嫌いではない程度の仲だった。

 なお深夜という周囲の環境を反映しての演出もあるのだろうか、松尾さんのグラフィックは血の気が失せ、影が色濃く緑がかった印象を抱かせるものになっており結構怖い。
 このシナリオの最奥に存在する、松尾さんが「生首」と化す恐怖演出を目の当たりにしたプレイヤーなら、なおさら恐ろしい。なんだったらデパートで遭遇するどんな怪異よりもなお怖いと思う方もいるかもしれない。

 ただ地の文で外見についての言及はなく、展開によっては彼氏とデートに行った事実もあるため、実際は普通の女性なのだろう。別にどんな容姿でも恋人やデートはできる。
 ちなみに演者は攻略本のインタビュー写真を見ると分かるが、由香里シナリオ担当の大池叙子氏である。福沢や早苗ちゃん同様、今も昔も画質の粗さが招く怖さに巻き込まれてしまったことになる。

 どちらにせよこの松尾さんだが、話の中では全く役に立たない。足手まといに過ぎない。
 足や手が使えない幽霊や化物に襲われただけに……ではないが。愛想を尽かされ、由香里姉さんに見捨てられる展開が多い。

 所詮は他人と言うことで、非常事態では正しい態度だが薄情な由香里姉さんの性分がよく出ている。実際、彼女を助けたとしても由香里にいいことは何も無い。勝手に「異次元」にでも消えて下さいと言ったところだろう。

 先に触れたが、この松尾さんには「生首」にまつわる衝撃の展開が用意されている。そちらではなぜか「屋上」上空に乱舞する生首の群れに襲われる羽目になる。
 一応、昔いた警備員がどこかの相撲取りよろしくな女性への逆恨み(被害妄想)から大量殺人を起こしたことがあると言う出自が語られることがあるが、どちらにせよ胴体を失いふよふよと飛んでいく松尾さんの不幸には関係ない。

 なお、後日談で由香里の知人が彼女の犠牲になっている。
 これは松尾さん自身が「話をする人の元に怪異が訪れる」系の噂に変質してしまったためとされる。
 例のごとく「唯一の生還者」触れ込みの受け答えが用意されているため、「高木ババア」よろしく用心のために記載しておく。できれば覚えておくといい。

 Q.「あなたの身体をちょうだい」と訊かれたら
 A.「私の身体は傷だらけです。足は捻挫してるし、腕は骨折しています」
 と、答えてください。彼女は失った胴体を綺麗なままで求めているのです。


松岡伊吹(まつおか いぶき)

  • 登場作品:新生,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 四年三組
  • 関連人物:新堂大誠《いじめ》,金沢弘樹《部下》,松岡奏次郎《養父,?》
  • 関連用語:トーリトーネの仮面,洗脳,サブリミナル効果
 『新生』『鳴七』「危険な転校生」に登場。
 『小学怖』本編開始の二年前に「新堂大誠」のクラスにやってきた転校生。
 転校当初は品行方正な一児童を装っていたが、いじめられっ子だった「金沢弘樹」を言葉巧みにできる腹心に変えてから次第に転校先の「四年三組」を掌握していった。
 それから松岡は松岡から与えられた星の多寡によって上下が分かれ上の命令には絶対服従の「旧日本軍」に似た階級制度をクラス内に確立させ、大誠が気付いた時には彼ひとり孤立して手遅れの状況を作り上げる。

 その上、クラスの変貌は担任教師や他クラスに気づかれないように箝口令を徹底させ、表向きは彼の指導によって成績やモラルも向上した模範的クラスとして称賛の声を浴びるという徹底ぶりである。
 そしてもうひとつ体制内でのガス抜きと真の目的のために、クラス内の潮流に乗り損ねた新堂大誠のことをクラスの「共通の敵」に仕立て上げて、クラス総出で彼のことをいじめさせるように命じる。
 そして、計画の総仕上げとして「あること」を行ってから鳴神学園を去るつもりだったようである。

 実際のところ、彼は全国各地の小学校を転校して回っては数か月単位で上記のような一クラス内で完結した全体主義体制を作っては次の小学校に赴くというルーチンを繰り返していた。
 ただし、彼の計画はここで終わりを告げる。追い詰められていた新堂大誠に、好奇心交じりだったが「富樫黎雄」が接触したことをきっかけに「松戸博士」、「小門宇宙」といった二年後の「六年六組」を引っ張る麒麟児たちが出会い、友情を育むことになったからである。

松岡奏次郎(まつおか そうじろう)

 『新生』『鳴七』「危険な転校生」に登場。
 「松岡伊吹」の養父であり、時代の先端を走り天才と呼ばれていた遺伝子工学者。いわゆる学界から追放された「マッド・サイエンティスト」といえば、この「松岡奏次郎」という人物について表層的な理解はできる。だが、その真意は謎に包まれている。

 現在は表舞台から去っているが、二年前に「鳴神学園」で露見するまで“松岡伊吹”を使って数多くの学校とその児童たちを巻き込み、自身の陰謀のコマとするために暗躍してきた。
 いわば「危険な転校生」における一連の事件の黒幕であり、「新堂大誠」も危うく彼の毒牙にかかりかけている。

 彼の過去だが、人間で遺伝子組み換えの実験を行ったことが十二年前に明るみになったらしく、そのことで学会を追放された。
 [ちなみに学会を追放するという措置は現実にはみられず、近いものでは会費未納による除籍という処分が最も多いのだとか。
 研究を続ける上では確かに痛手にはなるが、フィクションの世界でみられるような決定打には案外ならなかったりする。
 この場合、非人道的な実験を行ったとみなされた松岡は同業の科学者たちから総スカンを喰らい、「学(術の世)界」から松岡を排除しようという無形の空気が盛り上がった。その結果、松岡は表の世界にはいられなくなったという流れが考えられる。]

 ただし、万能薬を目指した彼の研究は学会は元より製薬会社の利権と衝突したことから妨害にあったともいわれている。
 経緯は不明だが、結果として地位も名誉も失った松岡は、人類の発展に尽力した自身の努力が貶められたと考えた。

 そして、自らの遺伝子工学によって作り上げた優れた人類によって現状の支配構造を変えようという「選民主義」に取り憑かれ、社会から貶められた自身の復讐を仮託するための道具として“松岡伊吹”を作り上げた。
 ――というのが、「夜の科学界」を通して松岡奏次郎の助手から仕入れた情報をもとに「松戸博士(マッド)」が推測した彼のプロファイリングである。

 なお、彼の研究は十二年前の段階でさえ遺伝子研究の分野を先導するレベルだった。
 そのため松岡の才能を高く評価するマッドは、雲隠れして独自に研究を進め、また思想が先鋭化した現在においては鳴神学園における松岡伊吹の片腕「金沢弘樹」に対して遺伝子操作を施していた、もしくは施せる次元にまで達していたという推論を立てている。

 それが本当なら受精卵の段階から遺伝子を操作することで狙った才能を発現させる「デザイナーベビー」どころの騒ぎでない。
 成長した段階で後天的に発現する遺伝子の形質をいじる「エピジェネティックス」を、小学生の運動や勉強など生物学的には狙えるはずもないピンポイントな分野に適応したと考えられる。

 もっといえば未知の理論に基づき、本来ならその個人にまったく無縁のはずの才能を植え付けたという可能性もなくはないが、いずれにせよ2022年現在において表沙汰になっている人類の科学レベルではまったく想像できない神業と言うほかないだろう。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 松岡奏次郎本人の年齢は七十代に入っており、表向きに児童たちに接触するのは難しいとみたか。
 何も知らない四十代ほどの中年男性を自分の代役に立て、自身は裏方に徹していると思われたが……。

 「松岡奏次郎」の正体は「松岡伊吹」本人である。
 原理は不明だが、遺伝子を操作したことで自分自身が小学生ほどの年齢に若返った上で「松岡伊吹」という偽名を名乗って長期計画で将来の手駒を育成していたようだ。

 一応、自分の思想と記憶を吹き込んだ、自分を「松岡奏次郎」と思い込んでいる「松岡伊吹」本人の可能性もなくはないが、十中八九マッドが作中で指摘した通りと思われる。「松岡伊吹」=「松岡奏次郎」という構図はほぼゆるがないだろう。

 いずれにせよ、松岡は自身の計画の妨げになる「新堂大誠」以下カルテットを危険視し、学校の屋上に鳴神学園小等部「四年三組」の一同を集めた上で一気に始末をつけようとする。
 しかし、カルテットが持ち出した「トーリトーネの仮面」によって前述の自分の正体を看破され、聖人君子めいた顔で四年三組の児童たちを友人とうそぶいてきたことも嘘であるとさらけ出される。
 そして、児童たちのことも単なる手駒に過ぎないという醜い本音を吐き出した。

 直後、新堂たちを排除するための事前の仕込みが自分に向かい、松岡は屋上から落下を遂げる。
 花壇がクッションになったため一命は取り留めたものの、その後の去就は不明である。
 報道もネットも彼に対する話題が上ることはなかったという。



まつげ

  • 登場作品:学怖S,学恋2
  • 種族:人間(生霊)
  • 関連人物:新堂誠《友人》,ダチ《恋人》,NONAME
 新堂三話「親友が残した映画のチケット」に登場。
 死んだ「ダチ」のことを偲んで、ある日の放課後に奴がいた教室へやって来た新堂さんと鉢合わせた女生徒。
 なお「まつげ」は新堂さんが彼女の睫毛が長いことから勝手に付けた愛称であり、本名は別に存在する。しかし、結局教えてもらえなかったため不明のままである。ついでに言えばダチもシナリオ中ではダチとしか呼ばれないため本名不明のままである。

 その後わかったことだが、まつげは生まれつき病弱で入退院を繰り返していた。
 そこを同じく入院中だったダチと出会い、映画を一緒に見に行く約束をしたらしい。 
 が、ダチが死んだことで元気を失ったまつげは意識不明の状態に陥ってしまう。新堂さんと出会ったのはその際に霊魂が肉体から抜け出て、いわゆる「生霊」の状態となった彼女である。

 ――生きる気力のないまつげだったが、最終的には新堂さんの説得に負けて自分の体に戻ることになる。
 この際のまつげにはその場での生還か死亡のみならず、回復したと思ったら翌日死亡という三パターンの運命が用意されている。これらは単純な条件分岐だが、意外と気づかれないのか攻略本では二パターンしか結末がないように思われていたようだ。

 いずれにせよメッセージを残したダチの意図に気付き、素早くまつげの霊を見つけ出せれば生存させることができる。
 少なくともハッピーエンドかと思いきや悲劇で終わってしまうパターンは避けたいので慎重に考えるが吉というものである。

 [『学怖S』の役者さんは普通に可愛いが、まゆげの方が普通に目立つと思うのは自分だけだろうか?『学恋2』でのまゆげの登場にちょっと安堵する自分がいた。

 まつげが「清水智子」との初恋と並んで新堂誠の純愛イメージを決定付けた人物であることはほぼ間違いない。話にホラー成分は一切なかったこともあって、青春ロードムービーのような爽やかさをプレイヤーに与えてくれた。

 この話の新堂さんも珍しく「いい人」で終わってくれる。まつげが生還できたとして、彼女からの新堂さんに対する認識はいい人止まりなのは皮肉なことかもしれないが、どうも新堂さんの方もダチへの遠慮を捨てきれていないようである。
 くわえてダチがまだ成仏せずに見守っていることが判明するなど、まだまだ新堂さんに付け入る隙はなさそうである。
 でもきっと、今はそれでいいのかもしれない。

 飯島氏ブログにて、正式にアパシー・デビューが宣言され、私を含む往年のファンを喜ばせた。『学恋2』での活躍が期待される。
 『学恋2』において彼女はどんな表情を見せてくれるのだろうか? きっと、今の暗い顔を吹き飛ばしてくれることだろう。

 『学恋2』新堂編に登場。
 用心深いのか、何人か攻略した後でなければ会うことができない。
 やはりダチを喪って気落ちしていたが、校門にいたところを新堂さんと再会する。
 この場合のふたりは以前に会ったことがあり、面識を得ていたことになる。


 (執筆者募集中)  



松平純(まつだいら じゅん)

  • 登場作品:男怖
  • 種族:???
  • 年齢/誕生日:二年生だよ!/確か12月25日
  • 職業:笹ヶ岡学園高校 二年生
  • 血液型:調べた事がない
  • 趣味:何にでも興味がある
  • 好きな食べ物:美味しいもの
  • 好きな教科:国語かな
  • 中学生の時の通り名:恥ずかしいから秘密
  • 好きな女性のタイプ:みんな!
  • 関連人物:藤岡純《?》,松平良明《?,兄》
  • 関連用語:狭間の部屋
 『男怖』主要人物の一人。
 「狭間の部屋」発見に向けて調査中の一行を目撃し、その後本人の申し出により参加することになる。

 誰とも深い関わりを持たないイレギュラーとして参加しただけあり、最終局面で意外な行動に出ることが多い。
 言動ものらりくらりと掴みどころがなく、真意を図りかねる場面が多い。
 幼めな容姿そのままに純粋で好奇心旺盛な性格をしているが、意外としたたかなところもあり、狭間の部屋探索には六人の突入直前になって、他言をしないことを条件に参加を持ちかけ、渋々認めさせた。

 根幹ルートでの衝撃の正体が印象的だが、他のルートでも印象そのままに無邪気な残酷さを見せることも多くプレイヤーを警戒させることが多い。かと思えば純粋な犠牲者として終わって拍子抜けするパターンもあったりで、トリックスターとしか言いようのない人であろうか。


松平良明(まつだいら よしあき)

  • 登場作品:男怖
  • 種族:人間
  • 職業:笹ヶ岡学園高等学校 生徒
  • 関連人物:久留米剛,一乗寺奏,浅田亮平《部活》,松平純《?,弟》,藤岡豊
  • 関連用語:歴史部《所属》,狭間の部屋
 『男怖』「根幹」「影の住む町」ルートに登場。

 「根幹」。
 五年前に消息を絶った笹ヶ岡学園「歴史部」最後の世代であり、その一員だった。
 とは言え、作品の導入となるアバン部分で凄惨な最期を遂げたことが示唆される「歴史部」だが、作劇上の立ち位置としては典型的な「マクガフィン(物語には必要だが重要でないもの)」であり、例外はあるが彼ら自身についてさして語れることはない。

 ただし、この松平良明だけは例外となっている。
 メインキャラのひとり「松平純」と同じ姓を持つだけあって個別にピックアップされるルートも存在する。
 松平良明個人はなかなかに思慮深い人物のようで、突拍子のない話を聞いても一考に値すると熟慮する一幕もみせた。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 なお「藤岡純」が「松平純」の偽名を名乗ったのは万が一、歴史部のメンバーの姓名が探索一行に伝わっていた場合を危惧してのものだと思われる。
 ただ、肝心の「松平良明」の姓名がプレイヤー(守山成樹)目線で明らかになったのは「藤岡豊」の口から出た直後である。

 藤岡純自ら現れて種明かしをしたことからわかる通りに(もしその思惑があったとするなら)外したことになる。
 ただ、藤岡純はここぞというタイミングで自分が五年前の失踪者の身内であるという情報を涙ながらの告白をしながら開示し、そのことで一同から一定の信頼を得ている。彼女の役者っぷりとアドリブの上手さは天性のものと言わざるを得ないだろう。
 なにせ、よくよく聞けば彼女が語っていることはそのほとんどが真実なのだから。


 「影の住む町」。
 「松平純」の失踪した兄その人として「影の町」に迷い込んだ守山たちの前に姿を現す。


 (執筆者募集中)  



松戸博士(まつど ひろし)

  • 登場作品:小学怖,新生,新生2,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年六組
  • 誕生日:2月28日
  • 血液型:AB型
  • 趣味:短波受信
  • 好きな/嫌いな食べ物:イタリア料理/生卵
  • 関連人物:富樫黎雄,小門宇宙,新堂大誠《親友》,当摩《知人》,当摩誠司《友人》
  • 関連用語:夜の科学界《所属》
 年代不明、鳴神学園初等部六年六組に属する児童のひとり。
 見たままに勉強ができるタイプの科学至上主義者。小学生ながら「夜の科学界」という大人の科学者たちの集いに参加している才子である。クラスの友人たちからは「マッド」というあだ名で呼ばれることも多い。
 あだ名の由来は小学生ながらに科学の進歩のためなら犠牲は付き物というシビアな思考に至っているためかもしれない。[つまりはマッド・サイエンティスト。]

 自分の才能を鼻にかけがちでオカルトには全否定、鼻で笑う態度から入るなど頭は固い方だが、自分の見聞きしたもの相手なら思考に入ることが出来る柔軟さもある。
 また、自分とは違った才能として黎雄宇宙大誠のことを認め合っており、カルテットのような形で行動を共にすることが多い。

 ただし、ほか三人の行動派とは違い慎重に動く傾向にあり、冒険気分な友人たちのブレーキ役として動く。
 とはいえ、自分の知的好奇心以外には冷淡で無関心な彼が嫌々ながらでも人のために動いてくれる時点で彼が友人たちに抱く感情はわかるかもしれない。
 文庫版では白衣を羽織った神経質そうな少年、新生では眼鏡をかけた小生意気そうな少年という違いはあるが、総じて彼の学術にかける性格を象徴するものになっている。

 『小学怖』月曜日「全自動安全運転システム」に登場。
 科学の徒である自分のスタンスを表明してから作品の発表された2014年、2018年になっても実現していない「完全自動運転車」について語ってくれる。

 結論としては「夜の科学界」に属する知己の科学者「当摩」氏の研究のお披露目を受け、彼の研究の核心部を知りたい一心から彼と彼の息子「当摩誠司」の家庭環境の話にまで首を突っ込むことになる。
 合理一辺倒で人の情にはどこか薄いためか、研究の核心部は薄々察しており実質言い当てていたものの、それとは別に繰り広げられた当摩親子のドラマには空気を読んで参加せずにその場を引きさがる。

 そしてその後の事態を静観していたら、当摩親子は一小学生である彼の手に届かないどこかに行ってしまい、結局彼らの身に何が起こったかは分からずじまいに終わってしまった。
 ちなみに嘘か誠かわからないものの、自分でも何らかの裏は取ったのか「陰謀論」の類はわりと信じている模様。
 事件を彼なりにまとめたマッドは自分の身にも危機が迫っていることを自覚し、自嘲してみせた。

 『小学怖』火曜日「妖怪ベロリ」「無限廊下」に登場。

 「妖怪ベロリ」。
 「妖怪ベロリ」に舐められた影響でほかのクラスメートたちと同様に元気を失っており、久しぶりに登校してきた「宇部壬太」のよくわからない質問を億劫気味に流していた。

 「無限廊下」。
 語るのは「元木香苗」さんだが、「加賀先生」からはじまった「無限廊下」にまつわる一連の現象に意見を求められた。
 相変わらず霊関係には冷たい態度のようで、わりと暴言気味なことを女の子である香苗さん相手にも述べた。
 ただし、いたずらで説明できる「林吉夫」に対しては冷笑的だったが、現実に精神を病み、死んでしまった「金田宗春」については意見を述べることもなく「それが現実だ」の一言で流している。
 オカルトを抜きにすれば、彼にも最低限のデリカシーはあるということかもしれない。

 『小学怖』水曜日「小学生アルバイト情報」に登場。
 一年前、金欠で悩むソラに自身もやっている「ネット・ティーチャー」のバイトを紹介した。
 顔を伏せた匿名で授業を行えるというのは小学生の身に甘んじている彼としては願ったり叶ったりの環境のようで、彼は高校受験生相手に人気の数学講師として月五十万を稼ぐやり手である。 

 なお、実家が金を持っているのにそれだけ稼ぐ理由は不明である。
 実験や研究にお金を費やしていることは自室に揃えた器具や資料などから察することはできる。
 それはそうと、頭はいいが軽率なソラのことは彼なりに心配していたようで、時折浮かれる彼に苦言を呈することもしばしばだった。

 とはいえ、無事に「かぐや姫」との逢瀬を終わらせたソラについては安心の傍ら、興味を隠せないようだった。
 色恋沙汰に興味がありそうではないが早熟な彼のこと、宇宙人のことしか頭にない親友にやってきた春を祝福したいと思ったのかもしれないし、そうでないのかもしれない。

 『新生』「ブラック・アイ・キッズ」「危険な転校生」に登場。

 「ブラック・アイ・キッズ」。
 都市伝説「ブラック・アイ・キッズ」検証のために黎雄くんが意見を求めたクラスのみんなのひとり。
 自らも認めている黎雄くんが行っている都市伝説検証には、くだらないことにうつつを抜かしていると徹底的に否定的。
 「ブラック・アイ・キッズ」は子どもの他愛のないいたずら、酔っ払いの戯言とため息交じりに切って捨てた意見を述べている。

 「危険な転校生」。


 (執筆者募集中)  


 『新生2』「赤い靴下」に登場。
 「富樫黎雄」を筆頭とするカルテットの一員として悪名高い人体実験の巣窟である「黒百合総合病院」に潜入調査を試みており、その過程で年上の高校生である「坂上修一」と接触する。
 今回は霊・オカルト関係の案件ではないこと、病院の悪評を知っていたこともあって、どこか物見遊山気分が抜けない友人たちとは違い、警戒を欠かさない姿勢でいた。嫌々という姿勢は隠さなかったものの、友人のためにならと動いてくれたようだ。


 (執筆者募集中)  


 『鳴七』「殺人クラブ」に登場。


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松之原瑠々(まつのはら るる)

  • 登場作品:小学怖
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年六組
  • 誕生日:8月25日
  • 血液型:B型
  • 好きな/嫌いな食べ物:タコス/刺身
  • 関連人物:藤森美沙《アイドル》,桐嶋寿里《クラスメート→友人》,トゥース・フェアリー《噂》
  • 関連用語:ホラー漫画家《夢》
 年代不明、鳴神学園初等部六年六組に属する児童のひとり。
 わがままで勝手気まま、押しが強く口も悪い方だが、特に悪気はないようでコロコロ変わる表情からもキツイ言葉の裏に隠された内心を推し測るのは非常にかんたん。
 反面、押しの強さは行動力と面倒見の良さにもつながるのか、根はいい子であるということも一瞬でわかる。

 六年六組のメンバーの中でも子どもっぽい側面を覗かせるメンバーのひとりで、一人称が「瑠々ちゃん」というのもその印象を後押ししている。
 将来の夢は「ホラー漫画家」であり、そのためのネタ探しには余念がない。小学生ながら、そのための画力は現時点でもかなり高いようである。クラスメートの藤森さんの熱烈なファンでもあり、彼女を主人公にした漫画を将来の構想に置いているいるもよう。 
 総じて何とも言えない愛嬌があるためか、人気はかなりあるようである。

 『小学怖』月曜日「トゥース・フェアリー」に登場。
 前の時間で聞き手と接触を持った藤森さんのことが気になったのか、牽制も兼ねてお昼を共にすることに。
 聞いてもいないのに藤森さんへの好意をわかりやすく表明したかと思えば、直後にわかりやすいバレバレの嘘で否定してみせる。
 話の中でいちいち藤森さんの持ち上げが入るので、ああこの子藤森さんのことが大好きなんだなあと実感すること確かだろう。

 ちなみにこの話は五年生の時に歯の生え変わりをきっかけにかかわりを持った当時のクラスメート「桐嶋寿里」と、そんな彼女の下にやってきた謎の妖精「トゥース・フェアリー」についてのもの。

 で、この瑠々ちゃん、話の中では歯に衣着せぬ言動で内心ツッコミを入れたり、一方で辛口の人間評が光ったりする。
 それとは別に突拍子もない話を受け入れる度量がある反面、人の話を聞かずに勝手に決めつけて話の進行を見過ごす頑なさも備えていた。結果として、事態が解決(?)した後、桐嶋さんが披露した最後のオチ部分は茫然と見送ることになってしまった。


松原(まつばら)

  • 登場作品:新生2
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:日野貞夫《噂》,新堂誠,吉川,田中
 『新生2』「赤い靴下」に登場。
 心霊スポット「四丁目の廃倉庫」に度胸試しや箔付けのために深夜訪れた四人の生徒の一人。
 松原は「吉川」や「田中」のような言い出しっぺではなかったが「怖いから」という理由で参加したらしい。

 そんな松原が体験した霊障は「男の声を聞いた?」というもので、三番目の祟りとして金縛りと失神のセットという謎の症状に襲われる。


松原さくら(まつばら さくら)

  • 登場作品:ドラマCD,秘密,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 三年C組
  • 関連人物:倉田恵美《噂》,葛城美和《恩師》,有馬健一
  • 関連用語:保健室
 『ドラマCD』Disc.1 オープニング「カエルですか?ネズミですか?」に登場。
 初登場作品。
 「保健室」登校をしていた女子生徒。彼女は学校が好きだったが、生まれつき体が弱く、重度の貧血だった。

 そうして気分が優れず、ベッドを貸してもらおうといつものように保健室を訪れたとある夏の日のことだった
 松原さんは十台以上もある全てのベッドが埋まっていたことに気づく。
 異変に気が付き、めまいを覚えた松原さんは、備え付けの赤いソファに横になることにした。

 その後、何者かの声に目を覚ました松原さんは、声の主を探るべく、カーテンを開ける。現れたのは、メディカルキャップを被った赤い目をした子供だった。子供は貧血の松原さんに輸血をすると言って、彼女に尋ねた。

 「カエルとネズミ、どっちがいいですか?」

 ……詳細をここで述べることはしない。
 松原さんは、奇妙な体験のおかげか貧血が治ったそうだ。変わりに、ネズミやカエルを見ると舌をチロチロさせるようだが。

 『秘密』「差出人を探そう」ルートに登場。


 (執筆者募集中)  


 『鳴七』「カエルですか?ネズミですか?」ほかに登場。


 (執筆者募集中)  


 「カエルですか?ネズミですか?」。
 分岐により、多数の展開が追加された。
 保健室に似つかわしくない地下アイドルのチラシを見つけ、挙動不審な「葛城美和」先生にかまをかけたり、先生から止められながらもボディーガード役の「有馬健一」と共にライブに参加しようとするなどお転婆な一面もあるようだ。


 (執筆者募集中)


 「殺人クラブ」。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「松原さくら」はその中のひとりであり、「三年C組教室」にいる。


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松宮直樹(まつみや なおき)

  • 登場作品:特
  • 種族:人間,悪霊
  • 誕生日:11月22日
  • 関連人物:細田友晴《友人》,加藤,杉本,小野寺先生,横田
  • 関連用語:トイレ,第一体育館《出没》
 『特別編』細田シナリオ「禁じられたトイレ」に登場。
 「体育館」の使用禁止トイレで細田さんが出会った少年。
 ちなみに彼の立ち絵は、オールバックにした茶髪と銀色ピアスという如何にもリアルが充実してそうなチャラっぽいイケメンである。「大河内雄大」の件と言い、『特別編』の細田は妙にイケメンにモテているのだが彼もその好例である。

 そんなところで会ったのも何かの縁なのか、松宮くんは友好的に接してくれるうえ、細田さん恒例のお友達になってくださいアタックすら快く受け入れてくれた。彼の抱える裏事情を抜きにすれば、外見に反して好青年といって差し支えのない人物である。
 そう、抜きにすればの話である。この学校にそんなうまい話が転がっているわけもない。

 細田さんは松宮くんの語る、血生臭く因縁に満ちたこのトイレの過去を知らされる羽目になる。
 というより、そもそも彼らが出会ったトイレの壁には焦げ付いた輪郭に沿って人型に打ち付けられた釘という、禍々しすぎる痕跡が残っている。よって松宮直樹を知る上でこの焦げ跡の来歴を語ることは、絶対に避けては通れない話題とさえいえるのだ。

 ちなみに彼の話の結末は二分されるが、前提として「加藤」と「杉本」という凶悪な不良が過去この学校には在籍していたという点で共通する。暴行、恐喝が当たり前な彼らは、人間を釘で磔にする「人間標本」というリンチ行為まで行っていたらしい。
 そして、悪逆の限りを尽くした彼らは経緯こそ違うが“裏切り”行為を行う/行わせ、そこで火が放たれた。

 この際に巻き込まれたのが「小野寺先生」もしくは「横田」である。加藤と杉本のふたりは悪事の報いか、このトイレの焦げ跡という無惨な形となって、今に至るまで魂を縛り付けられているのだという。
 ……、以上の話を語り終えた松宮くんは、ここで自身の正体を開帳してくれる。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 松宮くんの正体はおそらくは人間、もしくは悪霊である。

 人間の場合は、小野田先生の叫びに応えて呼び覚まされたこのトイレに潜み眠っていたなにか邪悪なモノに引き込まれることを恐れたようである。そのため代わりにたまたまそこを訪れた細田さんを犠牲にしようとした。

 なお、得体の知れない邪悪な存在だが、発端である小野田先生と不良二人の血を吸いつくして魂を吸収しただけでは留まらなかった。その後も相当数の犠牲者を飲み込み、そこを訪れただけの細田さんもやつれるなどして影響を受けていた。
 その場を離れて近づかなければいいだけに思える話だが、松宮くんがそうしない辺り何か事情はありそうだが仔細は不明である。松宮くんと細田さんとの付き合いは当然切れたと考えられるが、話の終わりで不穏な示唆もしておりやはり謎は深まる。

 悪霊の場合は、松宮自身の実体験として以上の話を語ったことからもわかる通りである。自分もろとも横田、ならびに元凶である不良どもに火を放った松宮くんは、自分自身が燃え尽きることも厭わずに自分を裏切った横田を壁に打ち付け続けた。

 松宮くんが非常に苛烈な性格をしていることは言うまでもない。松宮くんは壁の焦げ跡に成り果てた横田たちの魂を今なお許さないとばかりに縛り続けているのだった。……不良たちが生前やったことを考えても、因果応報に釣り合わないかもしれない。

 よって、この項で「松宮直樹」のことを悪霊と定義するのもやむなしといえる。
 その一方で松宮くんは、終始穏やかに細田さんと接しており、意外なことだが激昂することなどもない。細田さんの感性がズレていることを考慮に入れなければ、このエンドはどことなく心地よい読後感を残す友情譚として定義づけられるだろう。

 いずれにせよ、横田たちが友達になってくれた細田さんの生気を吸い取っていると悟ると、松宮くんは細田さんに釘とハンマーを差し出す。最初は震えながらだったが、細田さんは彼に促されるままに釘を打ち付け、ふたりは無二の親友になるのだった。

 なお「トーマ君」をはじめとして細田さんにとって人外の友人はさほど珍しくはない。
 多少変わっているが、生身の人間の友人も複数人は散見される。ただ、松宮直樹のように人外でありながら、ほぼ生前の人格を保つなどした、いわば人間と人外の両方に当てはまる「細田の友人(しかも現在進行形)」は非常に稀有な例といえるだろう。


 『鳴七』
 ⇒「昆野研哉」の項を参照のこと。
 「松宮直樹」の要素・エピソードなどは上記の人物へと集約された。


松本(まつもと)

  • 登場作品:学怖,学怖S
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 一年生
  • 関連人物:新堂誠《噂》
  • 関連用語:地縛霊《》
 新堂三話「バスケット部の秘密のノート」に登場。
 時期は不明ながら男子バレーボール部のホープだった、当時一年生の部員。
 部内で怪我が頻発するようになった原因が夏合宿後にボールがひとつ増えたためと真っ先に気づき、解決のために呼び寄せた祈祷師が夜の体育館に一名の同伴を求めた際は自ら志願した。新堂さんが話の中で語った通り、スペックは元より性格も良かった。

 祈祷師は、ボールの正体はかつて交通事故に遭って試合前に不慮の死を遂げたバレーボール部員の霊であり、彼を慰めるため祈ってほしいと松本に不相応な口調で語りかける。どうも霊は自分の力だけでは上に上がれないらしかった。
 性格の良い松本は彼の気持ちになって一心に祈り、見事彼の霊を成仏させることに成功したものの、代わりに霊が引き起こしたであろうほかの部員たちの数々の怪我を一身に引き受ける羽目になってしまった。

 結果的には霊媒師に変装して成り代わった霊のひとり勝ちであり、松本が泥をかぶった代わりに怪我を負った他の部員の身体も元通りになったものの……、どうも釈然としない話である。なお、骨折、捻挫、アキレス腱断裂……など、ひとつひとつは致命的なものでないにしても、こうまで積み重なった怪我を背負わされてしまった松本のその後については語られていない。

 もちろん「焼却炉」に投げ込むなんて解決法は論外にしても、結果的には丸く収まったからいいだろうなんて言い方を新堂さんがしていないのが救いかもしれない。性格のいい奴がバカを見るなんて言い方もしていない。
 ただ、気をつけろと言われてもどう注意を払えばいいかわからない事例だったという、それだけの話である。


間土根司人(まどね しひと)

  • 登場作品:小学怖
  • 種族:人間(故人)
  • 職業:鳴神学園初等部 音楽教師
  • 関連人物:藤森美沙《噂》,   
  • 関連用語:魔音《魅了,制作》
 『小学怖』火曜日「魔音」に登場。
 具体的な年代は明言されていないが「現代」からさかのぼること数十年前に鳴神学園初等部に在籍していた音楽教師。
 大学在籍中に「魔音(まのん)」と出会ったことをきっかけにソレに魅了され、以後の終生を通じて究極の魔音作りにのめりこんだ男性である。

 児童向けには普通の教師の仮面を被っていたが、実際は魔音を制作する絶好の環境を求めて鳴神学園に職を求めており、それから十年以上試行錯誤を重ねてきた。
 そしてとある児童に出会ったことをきっかけに魔音を完成させると、それと引き換えるかのように壮絶な最期を遂げた。

 ちなみに、彼にまつわる話を教えてくれる藤森さんは某氏から聞いた悪魔崇拝者の主張を紹介する形で話を進める。
 なんでも一部の界隈で流通している本物の魔音が持つ危険性は高く、暴力的な衝動を人々に植え付け扇動し、破滅にいざなうほどの力を宿しているとされる。ほとんど本物の呪いと言って差し支えのない代物であるのだそうだ。

 などと、本物の魔音の危険性について信憑性を持たせる前置きを置いた上で、「間土根司人」が作り上げてしまった究極の魔音については自身がその場に居合わせかけたこともあって真に迫った語り口を見せるのだ。

 なお、間土根自身は前述した通りに故人でありその影響力は現代において限られているものの、後世に破滅の可能性を遺せたという意味で本懐だったに違いない。
 また彼の魔音には真土根の顔と名前が印刷されており、そうと知ってさえいれば災厄を回避できるのが一応の救いではある。


間中愛(まなか あい)

  • 登場作品:小学怖,新生,秘密
  • 声(CV):手塚りょうこ
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年六組
  • 誕生日:12月16日
  • 血液型:A型
  • 趣味:ストラップ収集
  • 好きな/嫌いな食べ物:インドカレー/カビの生えたチーズ
  • 関連人物:元木香苗《友人》,長瀬えくぼ《幼馴染》
  • 関連用語:携帯電話
 年代不明、鳴神学園初等部六年六組に属する児童のひとり。
 誰とでもフレンドリーに話せるタイプ、前のめり気味なテンションの高さが特徴的な女子。そんな彼女の一人称は「ワタシ」で、語尾を伸ばすことも多い。どことなくとぼけててマイペースな口調が目立つなぁ、だなんて思った読者も多いかもしれない。
 そんな彼女はわりと気分屋、話の切り替えも早い方だが、普段からファッションや流行には敏感な通り、豊富な話題に任せた飽きさせない語りで聞き手を惹きつける。

 愛称の「ラブちゃん」は自己申告だが母親やクラスメートに使われている通りかなり浸透しているもよう。
 そしてそれら子供っぽい性格が嫌味にならない程度に容姿も子供っぽく、クラスの女子陣と比較すれば小柄なグループに入る。
 媒体によってキャラクターデザインは異なるが、くりくりとした瞳や猫口が特徴的だったり、可愛らしい小物を身に着けていたりと全体的にファンシー系でまとめられている。

 『小学怖』水曜日「バグを見つけた方、ご連絡ください」に登場。
 得意分野のケータイ系都市伝説の話を皮切りに、仲良くしていた年上の幼馴染み「長瀬えくぼ」との間に起こった体験談について語ってくれる。

 彼女自身はモノに釣られたり、好奇心に任せて様子のおかしくなった幼馴染の様子を見にいっただけだけなのだが、結果として見てはいけない聞いてはいけない知ってはいけないものを知ってしまう。
 生存への立役者になった「元木香苗」と友達になるなど失うばかりの話でもなかったものの、九死に一生を得るレベルの綱渡りの事件に巻き込まれてしまったことは確かである。

 ただし、本人はそんな強烈な事件の最中でも話の切れ目切れ目で肝心なことを忘れる、その後も懲りない行動を取ったりする。
 異様な状況下に置かれた際もしっかり周囲を観察するなど危機感知能力はしっかり働いているが、トラウマが尾に引かない辺り、相当のツワモノと言えるのかもしれない。

 『新生』「ブラック・アイ・キッズ」に登場
 都市伝説「ブラック・アイ・キッズ」検証のために「富樫黎雄」くんが意見を求めたクラスのみんなのひとり。
 専門分野(?)である「ケータイ」の悪影響説をマイペースに唱えたが、ほかの子と比べれば珍説扱いである。
 ただ、それ以上に意見の後半で話があさっての方向に飛んでいく。
 どちらかと言えばそちらの脱線の方がプレイヤーの印象に残ってしまうかもしれない。

 『秘密』「差出人を探そう」ルートに登場。
 さすがは現代っ子というべきか、「ポエッター」を使って日常のできごとや身近な怖い話を取り留めもなくつぶやくことでフォロワーさんから人気を博していたようだ。

 ちなみにアカウント名はおなじみ「ラブ」で、文面も普段の喋り口調と同じものだったりする。
 そんなある日、半年くらい前に遭遇した怪奇現象のつぶやきについて聞いてくるフォロワーが現れる。とりあえず相手が困っていると察した彼女は返答を返すのだったが、どうも向こうは納得が行かない様子である。

 ただし、くだんの現象は肝心なところは「人には話してはいけない」という縛りが課せられており、ラブちゃんはどう答えればいいか困ったと思われる。とりあえず相手をブロックすることで言葉を濁すことにしたようだ。

 後日、友達の香苗ちゃんと連れあっての会話の中で某フォロワーの無事を祈るラブちゃんなのであった。
 なお会話の中で明らかになるが、半年前にラブちゃんが遭遇した出来事はなんとか自力で切り抜け、事後になって香苗ちゃんに気付かれ気を揉ませる形になったというのが真相のようである。

 ちなみにフォロワーさんの正体は「細田友晴(坂上修一)」の二人羽織である。今回は「現代」設定のため、『小学怖』メンバーも『学怖』メンバーと夢の競演を果たせたことになる。
 また、本来なら接点が生まれにくい小学生と高校生でもSNSを介すれば情報のやり取りができたということで、いやはや、なんともネットの可能性は無限大である。


真鍋ライカ(まなべ-)

 『月下美人』第一巻「蝶の道」に登場。
 はっきり言ってしまえば不美人の極みであるが、容姿と反比例するかのように美しい心を持つ女生徒である。
 立ち絵が容赦なく不細工に描かれており、偏見とは程遠い観点で冷静に人を見る荒井さんの感想も見合ったものだった。

 ライカさん自身自分の容姿には強い引け目を感じており、自己評価も極めて低い。なぜなら彼女に身寄りはなかった。里親の真鍋夫妻の下に引き取られたが、虐待というのも生ぬるい人として扱われないという極めて壮絶な仕打ちを受けていたためである。  
 そこを八年前に昆虫採集に山に来ていた白井先生と出会い、彼に助けられて地獄のような生活から解放される。

 以後は白井先生の屋敷に住まわせてもらい、教育も受け、学校にも通わせてもらい人としての尊厳を取り戻した。
 シリーズファンからは狂気の科学者としてみられているが、今作では昆虫学者でもある「白井伝三郎」先生とは懇意の仲で、血の繋がりこそないがそれこそ父と娘のような間柄といえる。

 そんなライカさんは去年の九月に「中村晃久」にお金を払って荒井さんを呼び出してもらい、その場でラブレターを手渡した。
 きっかけからしておおよそ好感が持てるとは言えない出会いであるが(しかも金銭の授受はその場で行われた)、荒井さんは文面を読みその内容をしたためられる彼女自身と、本人が取る不可解な態度に興味を持つようになっていく。

 育ちが育ちのため自信とは縁のなかったライカさんなのだが、それから紆余曲折あって荒井さんと交際をスタートさせ、白井先生との実りある学術的な時間を取り合わせながらも順調に平穏に時は過ぎていくのだと思われた。
 が、十二月のある日になってその日々は終わりを遂げる。

 前兆として体の不調を訴えかけたライカさん、それからなぜか身近な男子たちが憑かれたかのように彼女に惹かれていく。
 これらの現象は特殊な能力を持っているためと、白井先生は推測を立てているが、その意見を受け容れながらも荒井さんがライカさんを相手に目撃したのはまるで醜い幼虫がサナギを経由して美しい「」に羽化するかのような過程だった。

 そうして。
 蝶になりたいと夢見た少女は、無数の蒼い蝶の群れとなって青空に消えていった。
 けれども夢とも現ともわからない幻想的な光景を見せてもらった荒井さんは不可解な心境と「」を抱えることになる。

真鍋耕造(-こうぞう

  • 登場作品:月下美人
  • 種族:人間
  • 関連人物:真鍋ライカ《里子》,真鍋伸江《妻》,白井伝三郎《》
 『月下美人』第一巻「蝶の道」に登場。
 見た目は普通の中年男性なのだが、その本質は悪魔と呼ぶのも悪魔に失礼なほどの悪漢である。
 善悪を知らない幼児がそっくりそのまま中年になってしまったかのような、とても歪で幼い精神性を抱えている。

 そんな真鍋夫妻が当時五歳だった真鍋ライカさん(当時の名前は「美幸」)を養護施設から引き取って改名した理由も飼っていた愛犬の「ライカ」の代わりにするという身の毛のよだつほどの恐ろしいものであったという。
 が、実際の彼らが犬と称して飼育し、さんざん虐待したあげくに殺していたのは「人間の幼児」だったらしい。

 そして養女のライカを引き取る代わりに真鍋夫妻に多額の金銭を支払っていた白井先生は、彼らの口から脅しとしてこれらの事実を聞かされる。その上真鍋夫妻は、自分たちが殺しているのは犬だから罪ではないとうそぶくようなありさまだったという。
 結局、このことで覚悟を決めた白井先生は犬でなく、人を殺す汚名を着ることを覚悟の上で彼らに引導を渡すのだった。

 事が終わった後、荒井さんはライカさんの化身と思われる蝶に導かれ、悪夢の巣だった真鍋家の家屋で白井先生から以上の通りに事の真相と罪の告白を聞かされることになる。


真鍋伸江(-のぶえ

  • 登場作品:月下美人
  • 種族:人間
  • 関連人物:真鍋ライカ《里子》,真鍋耕造《夫》,白井伝三郎《》
 『月下美人』第一巻「蝶の道」に登場。
 上記「真鍋耕造」の妻。
 夫が行う狂った所業に加担して楽しめていたのだというのだから、夫が夫なら妻も妻。彼女の狂気もまた大概といえるだろう。
 夫が鉄槌を受けた直後、斬新な形で白井先生に命乞いをしようとするが、当然聞き入れられずに彼女もまた殺害された。

 夫妻の死骸、そして彼らの手にかかった犠牲者たちは今は白骨の死体となって無人となった真鍋家に転がっている。

 以上は、白井先生の口から語られたことである。
 先生自身が言っている通りに、これが真実とは限らないのだが荒井昭二という人間が先生相手に積み重ねてきた信頼を考えれば、彼の方から疑う理由はなかった。 
 また、それを追認するかのように荒井さんの口を借りてライカさんの意志が先生に語りかける一幕が用意されている。

 そう。たとえそれが荒井さんの妄想でなく本人だとしてもライカさんはきっと愛する男性が犯した罪を赦すのだろう。
 けれど今まさに罪を犯し続けている「荒井昭二」という男をライカさんが見逃しても、あの男は……どうだろうか?


馬渕清隆(まぶち きよたか)

  • 登場作品:追加
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:荒井昭二,横内彰道《友人,クラスメート》
  • 関連用語:幽霊交歓部
 『追加版』荒井シナリオ「消えた生徒の行方」に登場。
 オカルト好きな少年で、同じクラスに属する学術肌な「横内彰道」と荒井昭二の三人で並んで友人をやっている、そんな仲だったようだ。ちなみに横内くんの立ち絵から判断すると、おそらくは一年次のクラスメートである。

 そういった同好の士っぷりを認められたのか、ふたりは横内くんから「幽霊交歓部」という部活の紹介を受けることに。
 最初は旧校舎の不気味さに怯えていたものの、「糸谷妙子」ら幽霊の部員たちを紹介されると、嬉しそうに挨拶を返し、鍋をつまみにかかるなど早々に場に馴染んでいた。
 (辿る末路は置いとくとしても)よく考えなくても、なかなかに大物と言わざるを得ないだろう。


間宮ゆうか(まみや-)

  • 登場作品:流神A
⇒「間宮ゆうか


間山久恵(まやま ひさえ)

  • 登場作品:レンタル
  • 種族:人間
  • 年齢/誕生日:18歳/7月7日
  • 職業:高校三年生
  • 血液型:A型
  • 好きな/嫌いな食べ物:マシュマロ/にがいもの
  • 関連人物:久我山《恩人,?》,関口義孝《父》,間山雪江《母》,佐藤一郎,湯川加奈子《仕事》,篠田俊郎《?》
  • 関連用語:喫茶店《仕事》,レンタル家族
 『レンタル家族』「はんぶんつ」の主人公。
 大学進学を目前に控えた高校三年生。
 バイト先の人間関係も問題なく、順調に日常を営んでいたがある時、母親の再婚をきっかけに過去の思い出がある意味で偽りであったということを知らされ傷心してしまう。

 その彼女の心を救ったのはバイト先の常連である「久我山」さんだった。
 久我山さんの人生からすればあまりに数少ない邂逅であったが、これから長い人生を歩むことになるであろう彼女にとって久我山さんと過ごした日々はかけがえのない思い出であり、けして消えない絆として刻まれることになったのである。


間山雪江(まやま ゆきえ)

  • 登場作品:レンタル
  • 種族:人間
  • 関連人物:間山久恵《娘》,関口義孝《?》,篠田俊郎《?》
  • 関連用語:レンタル家族
 『レンタル家族』「はんぶんつ」に登場。
 間山久恵の母で、久恵が幼い頃に父を亡くしてからは独り身で娘のことを養ってきた。


 (執筆者募集中)  



まゆげ

  • 登場作品:学恋2
  • 種族:天使
  • 関連人物:新堂誠《知人》,まつげ《?》,ダチ《恋人》
 『学恋2』新堂編に登場。
 まつげのパロディキャラ……、以上! 
 プレイヤー各位にはぜひとも自分の力で衝撃の光景を目の当たりにしてほしい。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 我ら学怖ファンが長年夢見たネタがここにある? 確かに『学怖S』の「まつげ」って眉毛の方が目立ってたと思うし、↑にも書いてるけど……、ってか限度があるだろ! 神秘性のカケラもねえw
 村山富一も吃驚な、顔の半分を覆う巨大な眉毛がチャームポイント♪ ……嗚呼、仙人や某巡査長が生やしてる次元じゃないし。性格も清楚で可憐なまつげとは明らかに違う。はっきり言ってウザく、激しく自分を可愛いと思い込んでいるような勘違いな言動が目立ってる。

 てか、ダチ大丈夫か? 誰だよ、まゆタンとか言い出したヤツ……。そりゃダチか。グラフィックでは眉毛以外は「まつげ」のものを流用しているようだが、多分まつげとは別人。てか同一人物であってたまるか。新堂さんが邪険にしたくなる気持ちも分かる。「だが断る」って岸辺露伴になりたい気持ちもわかるよ。
 そんな彼女は攻略可能なキャラとして登場する。全編がまつげのパロディになったこのシナリオ、実はもうこの世の人ではなかったまつげに対応するように彼女も正体を明らかにする。――確かに一説では人類より遥かに多いって言うけどさ、守護天使っておま……。



マリアンナ

  • 登場作品:鳴七
  • 種族:魔女
  • 身体:178cm/63kg
  • 関連人物:カルロス・ヴィダル,シェンファ,ターシャ
  • 関連用語:魔女
 『鳴七』「マフィアの娘」ほかに登場。
 ロングヘアのネグロイド系の女性。紺色の民族衣装のようなものを纏っている。
 姉妹のように仲のいい「ターシャ」と「シェンファ」と行動を共にしていることが多い。
 そんな彼女たちの正体は謎に包まれているが、外見年齢はこの三人の中で一番上でマイペースな二人をまとめるリーダー的役割を務める。真面目に仕事をこなしながらアメとムチ(もちろん比喩表現)で二人のやる気を出させるのが上手いようだ。

 「マフィアの娘」。
 「サムソン」を通しての会話となるため、口調から発言の内容に至るまでが完全に彼のさじ加減であることを念頭に置いてもらうとして。
 甘ったるい口調で極度の恥ずかしがりのわりに、すぐに「殺すからな」と脅してくる。
 どうやらアフリカ武術が得意らしい。


 (執筆者募集中)




 (執筆者募集中)


 「フラグ眼鏡」。
 「店主」名義。
 骨董屋の店主として「野沢知美」の前に姿を現す。見た目に反して物腰が柔らかく、人見知りの野沢さんも心を開くほど。
 彼女の非日常への憧れを見抜いたマリアンナは彼女に「フラグ眼鏡」を渡す。

 しかし、その後野沢さんが辿る運命を考えれば彼女の行動は善意とは限らない。
 フラグ眼鏡は使い方を違えなければ多少は世のため人のためになるのだが、どう考えても普通の人間には過ぎたシロモノである。
 そのため、野沢さんが破滅する可能性を見越して眼鏡をよこしたとも考えられる。場合によっては、岩下さんから「悪魔」のような女と評されることもあるのだった。

 「ポプリ」。
 「名倉寧々」さんの作るポプリの秘密を探りに「八戸安蘭」さんは深い森の奥にある彼女の住居にまで訪ねていった。
 当初は尾行のつもりだったが、名倉さんに家に招かれてしまった八戸さんがなんとか対面しての窮地を逃れたその先でシェンファとターシャの両名と肩を並べて、こちらマリアンナが姿を見せることがある。 


  (執筆者募集中)  



丸茂多江(まるも たえ)

  • 登場作品:鳴七
⇒「丸茂多江


マロン

  • 登場作品:男怖
  • 種族:犬(チワワ)
  • 関連人物:斉藤圭輔《主人》
  • 関連用語:狭間の部屋,お犬帝国,人面犬
 『男怖』「お犬帝国」ルートに登場。
 「斉藤圭輔」の飼い犬。
 狭間の部屋から繋がる異世界のひとつ「お犬帝国」で一行が遭遇し、例のごとく二足歩行かつ人語を解して喋っている姿を目撃したことでかかわりを持つことになる(グラフィック上では四足歩行だが気にするな)。

 飼い主似なのか結構ガラが悪い喋り方をするが、所詮は小型犬である。言動を追っていくと飼い主ゆずりの三下臭がぬぐえない。
 同レベルという意味では飼い主は部分的に似ているが、ここでも絡んできた斉藤に向けてあげ連ねた文句の一部(未成年飲酒すんなよ)については案外正論だったりする。斉藤はそんなマロンの生意気な口ぶりに腹を立て、殴りつけようとするのだが……。

 主人公「守山成樹」がそれを止めようが止めまいが、まったくの異邦で揉め事を起こしてしまったことに変わりはない。
 犬嫌いの守山が奮闘した場合は命を救われた恩人としてマロンほか現地の犬たちに慕われた結果、地獄を見ることになるし……。
 なすすべなく殺犬現場を見過ごした場合は当然現地の警官がすっ飛んできて斉藤は連行され、ついでに一行は「ダックス・フント」王子による理不尽な審判を受ける羽目になる。

 なお、このルートの斉藤は小動物を殺してはストレス解消をしている下衆だったようで、現実世界における斉藤家でのマロンの扱いも、まぁ……お察しである。
 そして、マロンが関わってくる展開の白眉としてはこのルートのスタッフロール付きエンドが取り上げられる。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 ダックス・フントの追及をなんとか切り抜け、無事に元の世界の中野に帰還したかに思われた一行だった。
 そこで一行を出迎えたのは――「人面犬」ならぬ犬面人と言うべきか、首から上がマロンの顔になっている、すなわち奇妙なキメラと化した斉藤との再会だった。しかも見慣れているはずのブロードウェイを歩く人々は斉藤と同じような犬面人ばかり。

 斉藤はギロチンで首を落とされ、その代わりにマロンの首を縫い合わされてこの状態になった挙句、ここにいるのだという。
 斉藤は声も人格もそのままだが、おそらくは斉藤の首の人面犬になってしまったマロンも人格は保たれているのだろうか。
 奇妙な異界を抜けたと思いきや、さらに奇怪な世界に迷い込んでしまった。元の世界にはもう戻れず斉藤と同じ状態にならなければならないのかと一行が呆然とする中、チワワ頭の斉藤の哄笑が響き渡るのだった……。




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  • 増村寛、読みが判明していませんがこんな感じで -- 名無しさん (2023-05-02 16:55:59)
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最終更新:2024年04月16日 19:30