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向日葵先生 2

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向日葵先生 2


「日向先生と付き合ってらっしゃるというのは本当なのでしょうか?」
 ちょうど物理の日向先生の授業なのに委員長はいつもの顔でそんな突拍子も無い事を聞いてきた。
「な、なにを!?」
 あまりに急なことで思わずどもってしまった。
 周りに声が聞こえてしまったかもしれない。
「日向先生から信頼されてらっしゃるみたいですし」
「あれは信頼というより使いやすい駒だとか考えてるんだよ」
 やれあれ運べだとか、クソ重たい実験機材を部屋に入れるのを手伝えとか、何に使うか分からないものの処分だとか。
 そりゃたまにいつもの礼だとか言って部屋で紅茶を飲ませてくれるが、その時だっていつもの電波妄想を聞かされる。
「それはやっぱり信頼なさっている証拠ですよ」
 俺が付き合っていないという証拠を次々に並べ立てると委員長は逆にそれを信頼の証拠と受け取ったらしい。
「だからそんなんじゃないって」
 まさか委員長がこんな生徒と教師の禁断の愛なんていう三流ゴシップみたいなことを聞いてくるとは思いもしなかった。
 誰に吹き込まれたとしか……もしかして。
「委員長、それ誰かから聞いたの?」
「えぇ、毒男さんから聞いたのですが」
 それが何か?と首を傾げる委員長。
 やっぱりあいつか、なんて趣味の悪い嫌がらせだ。
 俺は前に座っている毒男の背中を一睨みすると委員長への弁解を再開した。
「委員長、毒男の言う事を間に受けちゃだめだって」
「何故ですか?」
「あいつ委員長を通して俺をからかってるんだよ、俺と先生はそんな関係じゃないって」
「そうだったのですか」
 ようやく分かってくれたらしい。
 後で毒男の野郎にお礼をしないとな。

「ですが稔さんは先生の事を少なからず思っていらっしゃるんですよね?」
「はいぃぃ!?」
 一安心してた不意を突かれ情けない声が口から飛び出す。
「稔さんが先生のことを愚痴を話すときはいつも楽しそうでしたから」
「い、いやだから!」
「そこ五月蝿いぞ、私の授業を妨害するとは良い度胸をしているな稔くん、いいだろう後で私の元に来るように」
 声が大きくなっていたようでお咎めを喰らってしまった。
 でもなんで俺だけ…。
 授業が終わり昼休み、皆が教室に戻り思い思いに過ごそうとしているのに俺は一人日向葵先生の元へ向かう。
 はぁ、やっぱり何か運ばされるんだろうな。
「稔です、先生入りますよ~」
 先生のいる物理準備室のドアを軽くノックして中に入る。
「稔くん、君は授業中彼女と何を話していたんだ、事と次第によっては君を訊問にかけなくてはならない」
 入ってきた俺に開口一番決めてくれた。
「何って別に普通の他愛のない話ですよ」
 まさか貴方と付き合ってると言われたのを弁解してたなんて言えない。
 委員長の誤解はあの後声を小さくして説得したから解けたけど、ここでまたぶり返されるとどう話が転ぶか分からない。
「いや違う、君が彼女と会話している時の表情は他愛の無い会話をしている風には見えなかった」
 そんなに見てたのか、全くこの先生は無駄に鋭いから困る。
「そんな事無いですよ」
「まさか、彼女に脅されていたのではないか?」
 どんどん話が明後日の方向に飛んでいく。
 この人の妄想っぷりにも困ったものだ。
「彼女は君の家族を人質に取り君にスパイになるように脅した、それで君はあんなにも狼狽していたのではないか」
「別に脅されてなんていませんよ」

「では一体何を話していたというんだ」
 なんでそこまで生徒の雑談内容が気になるんだ?
 他のやつだっておしゃべりくらいしてただろうに。
 それがなんで俺だけ……もしかして嫉妬?
 馬鹿か俺は、自惚れるのも大概にしろ。
「安心したまえ私はいつだって君の味方だ、どんなことだろうと解決してみせる、だから話してくれ」
 だけどこんなにも突っかかるのは俺だけだし、もしかしたらもしかするかも……。
 えぇい、男は度胸なんでもやってみるもんさ。
「先生さ、もしかして焼きもち焼いてるの?」
「なななな!」
 予想以上に反応があった。
 おいおい顔を真っ赤にして俺から距離をとってるよ。
 なんだかそうと分かるとからかいたくなってくるな。
「実はさ委員長に先生と付き合ってるんじゃないかって聞かれたんだよ、毒男が委員長に吹き込んだ嘘だったんだけどね」
「ち、違うぞ、別に私は嫉妬なんぞしてはいない、ただ純粋に君を心配していただけだ!」
 顔を真っ赤に染めて詰め酔ってくるが全く恐くない。
 口元が自然と緩んでく。
「いいか、君は私の傍にいるから普通の一般市民よりも狙われやすい、だから君の為にだなぁ」
「はいはい」
 俺は彼女の言い訳を心地よく聞きながらドアを閉めた。
 もう少し、もう少しの間この一時が続くように願って。



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