注意
性的表現を連想させたり、性的表現そのものが含まれる作品です
これらに苦手意識や嫌悪感を抱く方が見るのはお勧めしませんが、文章なので18禁ではありません
「ひぁ……みの、りんっ……!」
仄暗い部屋の中、噛み殺しきれなかった嬌声が響く。
ぬいぐるみに囲まれた部屋の中央、小さなベッドに身を横たえながら、小金沢伊万里は大きく息をついた。
この場に彼女を知っているものがいれば、目を疑っただろう。
『そういう系』の話題には拒絶反応を示す彼女が、まさかこのような行為に及んでいようとは。
しかし、今の彼女はいつもの彼女ではない。その頭にあるのは、愛しい愛しい想い人のことだけ。
一緒の登校は彼の姉に妨害され、
休み時間には既に親友が談笑していて、
昼は彼が上級生を手伝っていて、
帰りは一緒に帰ろうとすれば、彼は忘れ物をして引き返し、そのまま教室で学級委員長と……。
「んぅぅぅっ!」
彼だけのために今まで秘めてきた部分を、強くつねりあげる。
きゅうっと体に力が入り、顔をうずめていた枕が湿り気を帯びていく。
せつなかった。
熱っぽい喘ぎ声は、嗚咽でもあった。それに重なるように、くちゅくちゅと卑猥な水音が混じり始めた。
とろとろと見えざる炎が神経を炙る。内に育っていく悦楽の芽。
しかし伊万里はその性格ゆえに、少なからず罪悪感を抱かずにはいられなかった。
仄暗い部屋の中、噛み殺しきれなかった嬌声が響く。
ぬいぐるみに囲まれた部屋の中央、小さなベッドに身を横たえながら、小金沢伊万里は大きく息をついた。
この場に彼女を知っているものがいれば、目を疑っただろう。
『そういう系』の話題には拒絶反応を示す彼女が、まさかこのような行為に及んでいようとは。
しかし、今の彼女はいつもの彼女ではない。その頭にあるのは、愛しい愛しい想い人のことだけ。
一緒の登校は彼の姉に妨害され、
休み時間には既に親友が談笑していて、
昼は彼が上級生を手伝っていて、
帰りは一緒に帰ろうとすれば、彼は忘れ物をして引き返し、そのまま教室で学級委員長と……。
「んぅぅぅっ!」
彼だけのために今まで秘めてきた部分を、強くつねりあげる。
きゅうっと体に力が入り、顔をうずめていた枕が湿り気を帯びていく。
せつなかった。
熱っぽい喘ぎ声は、嗚咽でもあった。それに重なるように、くちゅくちゅと卑猥な水音が混じり始めた。
とろとろと見えざる炎が神経を炙る。内に育っていく悦楽の芽。
しかし伊万里はその性格ゆえに、少なからず罪悪感を抱かずにはいられなかった。
「んくっ……ボクっ、てば、こんな……に」
粘液をまとった指を、胸に抱いたテディベアに見せつける。
何年も何年も想いをぶつけてきた、彼女にとっては思い出の品。幼い頃に他ならない彼から貰ったプレゼントなのだ。
「あ、んっ……ボク、の……」
自分は想い人に痴態を晒している――そんな異常な妄想がふと脳裏を掠める。
同時に押し寄せてきた快楽の波が、躊躇わせていた罪悪感を押し流していく。
怯えたように動いていた指は、いまやかつてない激しさで上へ下へ往復し始めた。下着などとうに穿いていない。
直接触れると、その刺激はまた格別だった。
「ひぃあぁぁぁ……い、いっ!?」
もうどうでもよい。この、張り裂けそうな胸の苦しみと、やり場のないもどかしさ。
それを忘れさせてくれるならば、魔の悦楽であってもかまわない。
それに――
「みのりん……っ!」
小さな窓に向かって呟く。普段は閉め切っているカーテンは、今日このときに限っては全開だった。
彼女と彼の家は隣同士である。その気になれば、相手の部屋を覗くくらい造作もない。
色気のない下着のみを身に着けた、半裸の肢体。
あられもない姿を見られるかもしれない――だが、それをどこかで期待している自分がいることに、伊万里は気づき始めていた。
幼馴染という名の殻を打ち破りたかった。恋人になりたかった。
いつも考え、いつもできない。失敗したら――そればかりが考えを占めてしまうのだ。
そして、その可能性は低くない。彼の周りには魅力的な女性がたくさんいるのだから……。
異性への興味でもかまわない、せめて彼を惹きつけられれば。
今まで彼の幼馴染をやってきて、性別の違いを考えさせられたことがなかったとは言わない。
自分の貧相な肢体にコンプレックスを抱いていることも認めよう。
それでも、これほどまでに『女』を意識したことはなかった。
粘液をまとった指を、胸に抱いたテディベアに見せつける。
何年も何年も想いをぶつけてきた、彼女にとっては思い出の品。幼い頃に他ならない彼から貰ったプレゼントなのだ。
「あ、んっ……ボク、の……」
自分は想い人に痴態を晒している――そんな異常な妄想がふと脳裏を掠める。
同時に押し寄せてきた快楽の波が、躊躇わせていた罪悪感を押し流していく。
怯えたように動いていた指は、いまやかつてない激しさで上へ下へ往復し始めた。下着などとうに穿いていない。
直接触れると、その刺激はまた格別だった。
「ひぃあぁぁぁ……い、いっ!?」
もうどうでもよい。この、張り裂けそうな胸の苦しみと、やり場のないもどかしさ。
それを忘れさせてくれるならば、魔の悦楽であってもかまわない。
それに――
「みのりん……っ!」
小さな窓に向かって呟く。普段は閉め切っているカーテンは、今日このときに限っては全開だった。
彼女と彼の家は隣同士である。その気になれば、相手の部屋を覗くくらい造作もない。
色気のない下着のみを身に着けた、半裸の肢体。
あられもない姿を見られるかもしれない――だが、それをどこかで期待している自分がいることに、伊万里は気づき始めていた。
幼馴染という名の殻を打ち破りたかった。恋人になりたかった。
いつも考え、いつもできない。失敗したら――そればかりが考えを占めてしまうのだ。
そして、その可能性は低くない。彼の周りには魅力的な女性がたくさんいるのだから……。
異性への興味でもかまわない、せめて彼を惹きつけられれば。
今まで彼の幼馴染をやってきて、性別の違いを考えさせられたことがなかったとは言わない。
自分の貧相な肢体にコンプレックスを抱いていることも認めよう。
それでも、これほどまでに『女』を意識したことはなかった。
「ひぁう……くんっ!」
募る苛立ちに胸を握りつぶす。強すぎる刺激に痛みさえ感じた。
薄い薄い胸。掴むと言うのもおこがましい、慎ましやかな隆起。女性的な柔らかさはなく、芯でも入っているかのように固い。
――みのりんは……。
こんな貧相な肢体でも振り向いてくれるのだろうか?
いや、考えてみれば、彼も男なのだ。人並みに性欲はあるだろうし、ならば女性に求めるのは……。
――イヤ、イヤ、だよぅ……。
そんなことは認めたくなかった。
指が乱暴に陰核を押し潰す。
「ひきぁっ!?」
――助けて、みのりん……。
痛々しいほどに歪む蕾。遅れて悦楽の波が背筋を駆け上った。
彼の名を叫びながら、テディベアを強く強く逃がさないように抱きしめる。
――ボクってば、みのりんを……。
悩みも苦しみもない。すべて消える。視界は真っ白になる。そして二人っきり。目の前には彼が……。
――アイ、シテ……。
募る苛立ちに胸を握りつぶす。強すぎる刺激に痛みさえ感じた。
薄い薄い胸。掴むと言うのもおこがましい、慎ましやかな隆起。女性的な柔らかさはなく、芯でも入っているかのように固い。
――みのりんは……。
こんな貧相な肢体でも振り向いてくれるのだろうか?
いや、考えてみれば、彼も男なのだ。人並みに性欲はあるだろうし、ならば女性に求めるのは……。
――イヤ、イヤ、だよぅ……。
そんなことは認めたくなかった。
指が乱暴に陰核を押し潰す。
「ひきぁっ!?」
――助けて、みのりん……。
痛々しいほどに歪む蕾。遅れて悦楽の波が背筋を駆け上った。
彼の名を叫びながら、テディベアを強く強く逃がさないように抱きしめる。
――ボクってば、みのりんを……。
悩みも苦しみもない。すべて消える。視界は真っ白になる。そして二人っきり。目の前には彼が……。
――アイ、シテ……。