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委員長の家庭事情

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委員長の家庭事情


 冬休み明けの実力テスト。
 結果は……惨敗ではないが、敗の字は免れない。
「あーあ……平均点より下がっちゃったよ」
 思わずため息が出た。
 委員長はどうだったんだろう。
 何となく興味が湧いて隣を見る。
 うん……まあ、あれだ。
 同じ人間なのにどうしてここまで違うんだろう。
 委員長の答案には丸ばかりついていた。
「すごいな、委員長」
「え?」
「やっぱり眼鏡があると違うのか……」
「何言ってるの、藤宮君」
 あんな点数を取っているのに、委員長は喜ぶわけでもない。
 淡々と答案を折りたたんでいる。
「いや、テストの点がさ。それ、また学年トップクラスだろ」
「そうかも知れないね」
「なあ、どうしたらそんな点数が取れるんだ?」
「どうしたらって、ただ勉強しているだけだよ」
「勉強かあ……委員長、やっぱり真面目なんだな」
「別に……家じゃ他にやることがないからやってるってだけだから」
「他にって……テレビとか見たりしないの?」
「見ようにも、私、トイレの時くらいしか部屋から出してもらえないから」
「勉強終わるまで缶詰か。教育熱心なんだな、委員長の家は」
「そうだね」
 委員長は小さく笑って頷いた。


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