『一球入魂?』
昼休み、やることもないので体育館に行った。
が、体育館に来てもやることがなかった。
筋骨隆々、体育会系の人達がわんさか。所せましと体育館を埋め尽くしている。
「…帰るか」
と思い戻ろうと体育館の入り口に行くと、そいつにばったりと出くわした。
「あ、稔だっ」
「おおみずき」
体操着に着替えたみずきだ。
1人寒そうにジャージのポケットに手を突っ込んでいる。
「お前次体育なのか?」
「うん。稔はなんでここにいるの?」
俺が体育館にいるのが心底意外なようで、みずきは目を丸くしている。
「普段運動してないから体を動かしに来たんだけどこりゃ無理そうだな」
体育館をちらと見る。
人、人、人。
やだやだ、こんな所にいたくない。
「運動したかったらうちにあるトレーニングジム使ってよ」
「いやそういう本格的にマッスルをハッスルしたいんじゃねえから」
「そう?」
俺がしたいのは軽くボールで遊ぶ程度。
しかし自前のトレーニングジムとはさすがお金持ちは発想が違うな。
とか思っていると…。
「稔っ危ないっ!!!」
バシッッ!!
「あでっ!!」
みずきが動いたと思った瞬間、頭に衝撃が走った。
「いっつー…」
「稔、大丈夫!?」
近くに転がるバスケットボール。これが当たったんだろう。
「あ、すんませーん!」
当てた相手なのかは分からないが、バスケットをしているグループの中のボウズ頭が申し訳なさそうにボールを取りに来た。
「稔、大丈夫、痛くない?」
「ん…だ、大丈夫、平気だ」
「本当に? ボール、凄く速かったよ…」
「問題ない…頭がぐらぐらするけど」
ちょっと涙ぐんでいるみずき。
しゃがんでる俺の頭を胸に抱きかかえ大事そうにさする。
ふんわりした胸の感触が俺の頬を包む。
ああ、災い転じて云々。
「あ、あの大丈夫っすか…?」
「ああ、だいじょ…」
「…許さない」
みずきは飛んできたボールを拾い上げると、取りに来たボウズ頭を睨みつけた。
みずきの態度に、取りに来たボウズ頭は困惑している。
「みずき、いいから返してやれよ」
「やだ」
「おいみずき…」
「だって稔にボールぶつけたんだよ!?」
「わざとじゃないし仕方ねえよ」
「仕方なくないっ!!」
それは俺が決めることだ、とは今の激昂するみずきに言えない。
「あのな、こんな狭い体育館じゃアクシデントがない方がおかしいんだ。ほらボール寄こせ」
「やだ」
「あのなあ…」
「稔が許してもあたしは許さないからっ!! 絶対に!!」
と叫んだ瞬間、みずきがしなやかな動作で身を翻す。
刹那、ボールがボウズ頭の顔を…!
ビュンッ!!
「ひいぃっ!」
かすめた。
「おいみずき! 危ないだろ!!」
「あは…あはははははははははっっ!!! ねえ見たあいつの顔!? 当てたらどうなったんだろ!!?」
「て、てめえ…」
ボウズ頭もさすがにキレたのか、みずきに詰め寄る。
「なに怒ってるの? 稔にボールぶつけたくせにっ!!」
「俺があてたんじゃねえよ!! 当てたのは俺の仲間だ!!」
「ちょっ、みずき!…あはは、ごめんね、こいつにはキツく言っておくから!」
「ちっ」
背中で舌打ちを聞きながらみずきを引っ張り体育館を出た。
相手はおそらく年下かなんかだろうけど、しばらく体育館には行けないな…
が、体育館に来てもやることがなかった。
筋骨隆々、体育会系の人達がわんさか。所せましと体育館を埋め尽くしている。
「…帰るか」
と思い戻ろうと体育館の入り口に行くと、そいつにばったりと出くわした。
「あ、稔だっ」
「おおみずき」
体操着に着替えたみずきだ。
1人寒そうにジャージのポケットに手を突っ込んでいる。
「お前次体育なのか?」
「うん。稔はなんでここにいるの?」
俺が体育館にいるのが心底意外なようで、みずきは目を丸くしている。
「普段運動してないから体を動かしに来たんだけどこりゃ無理そうだな」
体育館をちらと見る。
人、人、人。
やだやだ、こんな所にいたくない。
「運動したかったらうちにあるトレーニングジム使ってよ」
「いやそういう本格的にマッスルをハッスルしたいんじゃねえから」
「そう?」
俺がしたいのは軽くボールで遊ぶ程度。
しかし自前のトレーニングジムとはさすがお金持ちは発想が違うな。
とか思っていると…。
「稔っ危ないっ!!!」
バシッッ!!
「あでっ!!」
みずきが動いたと思った瞬間、頭に衝撃が走った。
「いっつー…」
「稔、大丈夫!?」
近くに転がるバスケットボール。これが当たったんだろう。
「あ、すんませーん!」
当てた相手なのかは分からないが、バスケットをしているグループの中のボウズ頭が申し訳なさそうにボールを取りに来た。
「稔、大丈夫、痛くない?」
「ん…だ、大丈夫、平気だ」
「本当に? ボール、凄く速かったよ…」
「問題ない…頭がぐらぐらするけど」
ちょっと涙ぐんでいるみずき。
しゃがんでる俺の頭を胸に抱きかかえ大事そうにさする。
ふんわりした胸の感触が俺の頬を包む。
ああ、災い転じて云々。
「あ、あの大丈夫っすか…?」
「ああ、だいじょ…」
「…許さない」
みずきは飛んできたボールを拾い上げると、取りに来たボウズ頭を睨みつけた。
みずきの態度に、取りに来たボウズ頭は困惑している。
「みずき、いいから返してやれよ」
「やだ」
「おいみずき…」
「だって稔にボールぶつけたんだよ!?」
「わざとじゃないし仕方ねえよ」
「仕方なくないっ!!」
それは俺が決めることだ、とは今の激昂するみずきに言えない。
「あのな、こんな狭い体育館じゃアクシデントがない方がおかしいんだ。ほらボール寄こせ」
「やだ」
「あのなあ…」
「稔が許してもあたしは許さないからっ!! 絶対に!!」
と叫んだ瞬間、みずきがしなやかな動作で身を翻す。
刹那、ボールがボウズ頭の顔を…!
ビュンッ!!
「ひいぃっ!」
かすめた。
「おいみずき! 危ないだろ!!」
「あは…あはははははははははっっ!!! ねえ見たあいつの顔!? 当てたらどうなったんだろ!!?」
「て、てめえ…」
ボウズ頭もさすがにキレたのか、みずきに詰め寄る。
「なに怒ってるの? 稔にボールぶつけたくせにっ!!」
「俺があてたんじゃねえよ!! 当てたのは俺の仲間だ!!」
「ちょっ、みずき!…あはは、ごめんね、こいつにはキツく言っておくから!」
「ちっ」
背中で舌打ちを聞きながらみずきを引っ張り体育館を出た。
相手はおそらく年下かなんかだろうけど、しばらく体育館には行けないな…