ヒロインがヤンデレのギャルゲみんなで作ろうぜ!

早紀 共通候補

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先輩との出会い


「くそっ、ググレカスめ……」
 俺は片手につかんでいるプリントの束を振りながら職員室への廊下を歩いていた。
「ちょっと寝ていたからって、授業プリントを俺に押し付けるとは」
 さっきの数学の授業中に居眠りをしていた俺は、数学教師の九暮和也(通称ググレカス)に、
 授業プリントをクラス分まとめて職員室にもってくるよう命令されたのだった。
 ただでさえ貴重な昼休みの時間を、こんなことに費やすわけにはいかないのである。
 俺は早足でリノリウムの廊下を抜けた。
「んっ……えいっ」
 職員室前に着くと、戸の前で大きなダンボールを抱えた女生徒がいた。
 すらりとした長身でウェーブのかかったロングヘアが魅力的だなと、つい見てしまった。
 両手に荷物を抱えているので、戸を開けるのに手間取っているようだ。
「開けましょうか?」
 急いでいる俺はその女生徒の後ろから声をかけた。
 彼女は首だけ動かしてこっちを向き、えっ、という顔をした。
 俺は横から手を伸ばして戸をスライドさせる。
「ほい、開いたよ。どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
 おずおずと首をたてに振りながら、女生徒は中に入っていった。
 学年章を見たところ、どうやら先輩にあたる3年生のようだった。
 それよりも目を見張ったのは胸元の膨らみ――随分と大きい――である。
 ジョルジュが見たらすぐに飛び込んでしまうのではないか。
 ――っと、それよりも早くググレの所にプリントをもっていこう。
「……ああ、ご苦労だった藤宮」
「では、失礼します」
 余計な事を言われないうちに俺は足早に職員室から出ることにした。

 昼飯だってまだなのに、これ以上遅れるようでは困る。そのまま学食へ向かおうとすると、肩を後ろからぽんっと叩かれた。
「えっと、」
 振り向くとさっき職員室前でまごついていた先輩だった。
「なんですか?」
「先ほどはどうもありがとうございました」
 そう述べた先輩の言葉は、純真で心がこもっているように感じた。
「そんな、そこまで言われる程じゃないよ」
「ううん、あの場には他にもいたのに、助けてくれたのは藤宮くんだけだったから」
「あれ? どうして俺の名前を?」
「藤宮くんは、ひめっちの弟でしょう? あたしは、蓬山早紀(よもやま さき)。 前にひめっちと話していたのを見たことあるし、顔だって似ているから」
「ああ、姉さんのこと知ってるのか。俺と姉さん、そんなに似ているかな? あんまり言われたことないけど……」
「そっくり、って言う程じゃないけど、あたしから見るとすぐわかったかな」
「……まあ、気にしてもしょうがないよな、姉弟なんだから当たり前だしなっと、それよりも先輩、学食のメニューが売切れそうになるんで、俺いきますね」
「うん、それじゃあね」

「おーい、稔。ここ空いてるぞ」
 学食に着くと、友人の毒男とジョルジュが俺の席をとっておいてくれていた。
「サンキュー、ようやく飯にありつけるぜ」
 速攻で券売機まで進み、硬貨を投入。 こういうときは早い安い美味い多いと4点拍子のカレーライスだ。
 食券をもっていって10秒で大皿一杯の食料にありつける。
 俺が席についたときには既に毒男とジョルジュは食い終わりかけていた。
「さて稔。お前から発する匂いについて答えてもらおう」
「急に何を言い出すんだ。カレーに決まってるだろうが」
「違う! そんなもので迷彩しようとしても無駄だ。お前の身体の残り香からは、おっぱい先輩の匂いがするぞ!」
「……まさかお前がそんな変態だとは思わなかったぜ」
「話を逸らすな! 蓬山早紀という極上のおっぱいをもった先輩に近付くとは、なんと羨ましい」
「といっても、職員室前で少し話しただけだぜ」
「常に笑顔を絶やさないお姉さんキャラのおっぱい先輩は、クラスの中でも困ったときのおっぱいちゃんと呼ばれ、休み時間は誰かのために奉仕をしているという……」
「へえ、そんな先輩だったのか。ていうか人の話を聞けよ」
「聞いている。だからお前のために説明してやってるだろうが」
「……そうだったのか、知らなかったぜ」
「ジョルジュといると、会話が楽でいいよね」
 毒男がさも当然のように言う。そうなのか?

「というわけでだ、稔。今度、一緒におっぱい先輩のおっぱいを見に行くぞ」
「何故俺がお前と一緒にそんなことを?」
「お前だけがおっぱい先輩のおっぱいを見るのは不公平だからだ」
「だったらお前一人で行ったほうがいいだろうに」
「それは難しい! さっきも行ったようにおっぱい先輩は休み時間は常に誰かのお手伝いをしているからどこにいるか見当がつかんのだ」
「それこそ俺がいてもしょうがないだろ」
「違う、お前は今日おっぱい先輩と会って話したのだから、縁があるんだ。お前が会おうとしたら、またおっぱい先輩に会えるにちがいない」
「おいおい、嘘を真顔で言うなよ」
「信じるものはおっぱいから救われるぞ?」
「ごちそうさん。さて戻るか毒男」
 これ以上ジョルジュのよもやま話に付き合っていられないな。

先輩は東へ西へ


「待て、稔。どこへ行くつもりだ」
 放課後になったので教室を出ようとしたら、ジョルジュから呼び止められてしまった。
「どこって、帰るに決まってるだろ」
「お前は今日の昼休みに話したことも忘れたのか。一緒におっぱい先輩のおっぱいを見に行くって言っただろ」
 おっぱい先輩のおっぱい、ってなんかおかしいよな。
 ちなみにまだ他の生徒がいる教室で、ジョルジュがおっぱいと連呼していても、誰も気にする様子がない。
 なぜならいつものことだからである。毎日このクラスの人間はジョルジュの口からその単語を100回は聞いているだろう。
 慣れっておそろしいものだな……。
「昼間の言葉は本気だったのか」
「当たり前だ。俺はおっぱいに関して嘘をついたことがないのが自慢だ」
 そんなの自慢じゃねえぞ。
「ほれ、帰ってもおっぱい姉が待ってるだけだろ。おっぱい姉のおっぱいも味があるが、先輩のおっぱいを見てからでも十分だ」
「おいおい、いつになく強引だな」
 ジョルジュは鞄の紐をぐいぐい引っ張って俺を廊下へ連れ出した。そのまま校舎の中を3年生がいる教室へと進む。
「おいジョルジュ、先輩の教室まで行く気か」
「おっぱい先輩に会いに行くのだから当たり前だ。いまはそこにいるようだしな」
 さも当然という口調で言う。
「というか先輩が教室にいるってわかるのか? 昼間の話だと、いろいろな所で手伝っているとか言ってなかったか?」
「俺のおっぱいレーダーによると、先輩は教室にいるようだ」
 おいっ! お前はおっぱいの匂いだけじゃなくて、電磁波まで感知できるのかよ!
 心の中でジョルジュに突っ込みと悪態を入れながらも、ついに先輩の教室へたどり着く。
「ふむ、さすがは3年の教室。たった1年間でおっぱいがこれほど成熟しているとは」
「お前は本当にそれが全てなんだな……。で、先輩はいるのか?」
 見知らぬ上級生しかいない教室の中を見回すが、先輩は見当たらない。
「いないようだぞ」
「そのようだ。どうやら、別の場所に行ってしまったようだな」
「おいおい、自慢のおっぱいレーダーはどうしたんだよ」
「そうは言ってもな、これだけの未知の上級生おっぱいの中に囲まれているんだ。俺のレーダーも狂ってしまうのは当然だ」
 なんと使えないレーダーだ。旧ソ連製の方がまだましだぞ。見つからないのなら、もう帰ろうかと俺が言おうとしたとき、
「稔くん? どうしてこんな所に?」
 普段からよく聞き覚えのある声で呼ばれてしまった。
「む、おっぱい姉か。これは思ってもない遭遇」
 ジョルジュのいうおっぱい姉とは、俺の姉である藤宮ひめである。小学生並みの身長・体型・童顔を備えた『お姉さん』だ。
「姉さん。蓬山先輩はどこにいったか知ってる?」
「え、早紀に用があるの? 稔くんが?」
「いや、どちらかというと俺ではなくあいつ」
 と、俺は上級生のおっぱいを観察もとい視姦しているジョルジュを指す。
「ふーん? 早紀は生徒会室にいるんじゃないかな。よく手伝っているようだし」
「よし行くぞ稔。ここにまだいたいが、今はおっぱい先輩の方が全てに優先する」
「お前の優先基準はよくわからん、っておい! ……もう行ってしまったか」
「長岡くんって、相変わらず面白いよね」
「そうか? 振り回される俺は全然、面白くないぞ」
「追わなくていいの?」
「どうせ行き先はわかってるんだ。ゆっくり追うさ。じゃあね、姉さん」
「うん、今日の晩御飯も楽しみにしてる」
 さて、ジョルジュと先輩は生徒会室か。

 生徒会室前に行くとジョルジュが独りでぽつんと立っていた。
「遅いぞ、稔。おっぱい姉と乳繰りあうのも程ほどにしておけよ」
「お前の言語ではただ会話するのもそんな表現になるのか。3秒だけ覚えておこう。で、先輩はどこに?」
 生徒会室の中で仕事をしているのだろうか。
「俺が来たときには既にこの中にはいなかった。どうやらまた別の場所で誰かの手伝いに行ったようだ」
「なんというか、分刻みのスケジュールって感じだな。そのまんま美しい国も顔負けだ」
「どうだ、これでわかっただろう。お前が昼間に先輩と遭遇したことが奇蹟だったってことを。」
「奇蹟とは大げさだな。たまたま忙しいからつかまらないだけだろ」
「そうだといいがな」
 その後も学校内をジョルジュとさまよう。
 ジョルジュはおっぱいレーダーで先輩を探知しようとしているらしいが、
 近くに良いおっぱいの女性がいたらすぐにそっちへ気がいってしまうので、そのうちに先輩を見失ってしまうのだった。
 本人は満足しているだろうが、全く役に立たない。
「むっ、あの角の先にいるのは、ゴールデンおっぱいだ!」
「何だそれは。また大層なネーミングをして」
「何をいってる。稔もよく知っている小金沢のことだぞ」
「ああ……伊万里か。でもなんであいつがゴールデン?」
「そんなことは言わずもがなだ。手の平にすっぽり包むジャストフィットな大きさ、それでいてとても収まりきれないと思わせるお椀型の流麗な曲線、毎日のストレッチで保たれた張りの良さは、どこを取ってもゴールデン!」
「そうかそうか。でもあいつの前で言うなよ。伊万里はそういうの聞くと真っ赤になるから」
「なぜだ? 良いものを良いと言わないのは、俺の信条に照らして不義にあたる。俺はゴールデンおっぱいを褒めるぞーー、稔ぅーー」
 もはや変態以外の何者でもない台詞を発してジョルジュは走っていった。
「……さて、俺は帰るか。ジョルジュと一緒にいたら、俺まで伊万里に怒られちまう」
 幼馴染の伊万里は明るくていい奴なのだが、下ネタだけは昔からご法度だからな。
 その点は同じ幼馴染のみずきとは違う。あいつは笑って鋭く切り返してくる。しかも俺に微妙にダメージを与えるように。
 見つからないように回っていくか。そう思い校舎裏に面した廊下へと向かう。
 人気のない廊下でふと窓の外を見ると、花壇が広がっている。そしてそこで水をやっている女生徒が……
「って、先輩じゃないか」
 こんなところにいたのか。それにしてもなぜ水遣りをしているのだろう。園芸委員なのだろうか。
 階段を下りて花壇に通じる裏口へと回る。上履きのまま外に出ると、足の裏に冷たさが染み込んできた。
 日は射しているが、まだまだ春にはとおいようである。土を踏まないように花壇を進み、先輩に近寄る。
 先輩はプランターの1つ1つに丁寧に水をやっていた。
「あっ、稔くん。どうしたの、こんなところに」
「上の窓から先輩が見えたので。水遣りですか」
「うん。用事の入った園芸委員の人に頼まれちゃって。ほら見て、この花。つぼみが膨らんでいるから、もう少しして暖かくなったら咲くよ」
 プランターの1つを指差す先輩。その先には、茎の先が膨らんだ植物がある。
「なんて花ですか、これ」
「えーと、サクラソウだったかな。白や紫の花がとっても綺麗に咲くみたい」
「それは楽しみですね」
「うん。さって、これでおしまい。あたしは行くけど、稔くんは?」
「あ、俺はもう帰ります。先輩はまだですか?」
「次は生徒会の人に頼まれた資料のコピーをしないといけないし、その後もクラスの卒業アルバムに載せるアンケートを集計して、とにかくいっぱいだよ。じゃあね、稔くん」
 そう一気にまくし立てると先輩は、すぐに校舎の中に入っていった。
「なんていうか、よく働く先輩だな。働きすぎのような気もするけど」
 青々とした葉を繁らせてひっそりと佇む植物を見ながら、俺はひとりごちたのだった。


 稔を放って伊万里の元へ突っ走るジョルジュ。
「そこのゴールデンおっぱい!」
 人目もはばからずに叫ぶ声を聞いた伊万里は、ギョッとして振り向く。
「あ、あんたねえ……いい加減にその呼び方はやめてよ」
「ん? だってお前はゴールデンなんだから、仕方がないだろ」
「答えになってないよっ! ボクの名前は小金沢伊万里なんだからっ」
「いやほら、小金沢だからゴールデンでいいだろ」
「別にゴールデンだけならまだ許せるけどさ、
 なんでその下におっ……余計なものまでつけて呼ぶのさっ!」
「余計なものも何も、お前の胸についてるものだ。
 しかもそんなに素晴らしく極上なおっぱいを持っていながら、
 余計なものとは……即刻撤回を要求する!」
「撤回要求したいのはボクの方なんだってば!
 あーー! もう、このわからずや!」
 デュクシ! デュクシ!
「やめろ、ゴールデンおっぱい。そんなことをするとお前のおっぱいが泣くぞ」
「まだ言うかっ!」
 デュクシ! デュクシ!
「おい稔、ぼさっとしてないで、ゴールデンおっぱいを止めるんだ」
「えっ? 稔? いやっ、嘘!?」
 伊万里は周りを見回すが、別に稔の姿はない。
「稔なんていないじゃないの!」
「ん? 本当だな。さてはあいつめ、俺に抜け駆けしておっぱい先輩の所へ行きやがったな。
 くそ、あいつのレーダーの方が高性能だったか」
「あーん、もう。なんで私がこんな奴の相手をしなければならないのさ」
 デュクシ! デュクシ! デュクシ!

 ……稔が校舎裏で先輩と会話していた頃の二人である。



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