ヒロインがヤンデレのギャルゲみんなで作ろうぜ!

ジョルジュのSS

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匿名ユーザー

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「先輩! もうバカなことはやめてくれ!」

 俺は学校の屋上、金網の向こう側に立った蓬山先輩に対して叫ぶ。
 でも先輩は疲れきった微笑みを見せるだけで、その意志を曲げる気は欠片もないようだった。

「ごめんなさい。稔くん……。あたしったら稔くんの本当に望むことは何ひとつ出来なくて」
「そんなことはない! 先輩はもう十分に俺の望みを聞いてくれた! だから、だから死ぬなんて言わないでくれ!」

 先輩はここから遠くに見える地上へとその身を落とそうとしている。

「ううん、違うの。それは稔くんのお願いを聞いてあげたんじゃなくて、あたし自身の願望。
本当は、誰かのためじゃなくってあたしがやりたいことをしていただけ。
だから自分がどんなに傷つこうと平気でそれをやってきたのに、稔くんが本当にあたしのことを思って
学校を休むように言ったときは耳を貸さなかった」

 先輩はどんなに高熱が出ていようと、俺の世話をしたいからと、一日たりとも休むことはなかった。
 俺自身、先輩の体を気遣うそぶりをしながら、そんな気持ちが嬉しくって、本当に止めようとはしなかった。

「でも! でもそれは! やっぱりお互いのことが好きあっていたからこその話で、
先輩も俺も少し恋の病に振り回されていただけだっ!
悪いことばかりじゃなかった! 大勢の人が恐怖と苦しみを味わい、絶望するはずの月曜日が
こんなにも待ち遠しくて嬉しいものだと気付かせてくれたじゃないか!
三百六十五日、年中休みなんて空しいだけの願いだって!」

「月曜日が……うれしい……?」

そう言って先輩はきょとんとして表情を浮かべた。

「そうだ! 先輩も同じ気持ちだったはずだ! だからあんなに俺と一緒の時間にこだわったんだ!
まだまだ俺たちはやり直せるっ! また楽しい日々を取り戻せるはずだ!」

 俺の心のそこからの言葉だった。でも俺の目に、先輩の寂しそうな顔が映った。

「稔くんにはあたしのことがそう見えていたのね……。でも、あたしは……ずっと苦しかった。
確かに、稔くんの言うとおり、楽しいから続けていたんだと思う。でも、やっぱり心のどこかがいつも悲鳴を上げていた。
『休みが欲しい』『ニートがうらやましい』って。なのに心のもう一方だと
『誰かの世話をしなくちゃいけない』『それがあたしの生きがい』だって叫び続ける
これはもうずっと治らないんだと思う。だからあたしは、もう死ななきゃいけないの」

 屋上の淵で立った先輩の足が、徐々にすり足で空中にはみ出していく。

「お願いだ先輩! やめてくれぇ!」

 地上には大勢の生徒がこの騒ぎに押し寄せている。
 すでに警察やレスキューには連絡している。体育倉庫のマットを取りに行った毒男とジョルジュも、もうすぐ到着するはずだ。
 後もう少し時間を稼げば先輩は助かるんだ。だからそれまでは俺が、俺がなんとかして先輩を――

「ごめんなさい、稔くん。あたしはもう疲れちゃった」

 なのに、先輩は、足場から、完全に体を離して――!

「やめろおおおおおおおおおおぉぉぉっ!」

「これで――これから先もずっと休日」

 急いで先輩のところまで駆け出す。
 だが先輩の体が、スローモーションで俺の目から姿を消していく。

 金網を急いでよじ登り地上を見下ろす。
 とても安らかな笑顔で落下していく先輩の姿が見えた。

 何かを俺に伝えようと、ほんの少し、唇を動かしていた。

 ――最後に、かまってくれてありがとう。

「うあああああああああああああああ!」

 俺にはもうどうすることも出来なかった。
 ただ、これから先輩が死んでしまうのを見届ける以外に。

 ずっと苦しかっただって!?

 それはきっと先輩が少し疲れていたからだ!
 だから少し休めばきっとまたいつもの楽しい学園生活に戻れるはずだ!
 それをなんでっ! なんでこんなつまらないことでぇっ!

 お願いだ、誰か時間を止めてくれ!
 深夜のスレをハァハァガリガリガリガリしながら保守するように!

 誰か、俺に先輩を救うチャンスをくれ!

「俺じゃなくってもいいっ! 誰でもいいから先輩を助けてくれよおおおおおおおおっ!」

「――よし稔! 俺にまかせろおおおおおおおッ!」

 その時突然、ジョルジュの声が夕暮れの空に響いた。
 窓ガラスの割れる音がした。

「なっ!?」

 ――ジョルジュが! 先輩の今いる高さの窓を突き破って! 空中に飛び出していた!

「ジョルジュっ!?」

 そのまま空中で先輩の体を捕まえる。

「な、長岡君っ!? なんで……」

 完全に覚悟を決めて微笑んでいた先輩も、そのあまりに突然の登場に驚いているようだった。

「なぜかって!?」

 ジョルジュは落下しながらも微笑む。
 そして、その答えを大声で――叫ぶ!

「――俺もあんたのことが! あんたのおっぱいが大好きだからさッ!」

「だからって、二人で落ちちゃ――!」
「黙ってろ! 舌を噛むぞ!」

 ジョルジュは先輩の体を強く抱きしめると、自らが落下の衝撃の盾となるべく体を下にした。

「あんたのおっぱいは俺が守るッ!」

 それは時間にすればほんの数秒のことだろう。

「おっぱいは正義ッ!」

 だが俺の目にはゆっくりと落下していく二人の前に、

「おっぱいは希望ッ!」

 少しずつ地面が接近してくるように映る!

「おっぱいは全人類の宝だああああああぁぁぁッ!!!」

 激突。

 二人の体が小さく弾んだ。
 ジョルジュの手から先輩の体が離れ、ツーバウンド目で地面に直接叩きつけられる。

 下にいた大勢の生徒がざわざわと声を出し、地面に倒れた二人に群がっていく。

「先輩っ! ジョルジュっ!」

 最初に、二人の男子生徒に支えられて、先輩が立ち上がった。
 見たところ、大きな怪我はないようだった。

 一瞬安堵するが、直後に先輩の身代わりとなったジョルジュのほうが不安になってくる。
 頭から血を流して、倒れたまま起き上がってこない。

 まさか……。

 と最悪の事態を予想したが、ゆっくりとジョルジュは立ち上がった。
 右腕が、だらり、と下がっている。骨が折れたのかもしれない。

 流石に無傷とはいかなかったようだが、それでも、俺の全身から力が抜けた。
 あまりの安堵感で体が脱力してしまう。金網に体を預けたまま、その場にへたりこむ。

 先輩は命の恩人であるジョルジュの前に立つと、ボロボロと涙を流し始めた。

「どうして……あたしなんかをそこまで無茶して……」
「さっきも言ったはずだ。あんたのおっぱいは俺たち男子生徒にとって希望なんだよ」
「ばかっ……」

「あんたが稔と付き合い始めてから、俺を初めとしたあんたのおっぱいファンはみんな距離を置いた」

 とジョルジュは言った。

「だから俺たちはみんな、あんたが苦しんでいることに気が付かなかった。
あれだけ世話になっておきながら、俺たちはあんたを見捨ててしまったんだ」

「………………」

「だが今は違う! 俺たちはあんたの苦しみを知った! だから今度は俺たちがあんたの力になる番なんだ!
覚えておいてくれ! あんたのことを案じているのは稔だけじゃないことを!
俺たち学校の人間、そしておっぱい同盟がいつも仲間に付いているそのことをだ!」

 先輩の流す涙が徐々に激しくなっていく。

「う……あ……うわあああああああああ……!」

 そしてジョルジュの胸の中で泣きじゃくり始めた。

 ジョルジュは残った左腕をゆっくりと掲げた。
 それが合図のように、周囲の男子生徒も次々と左腕を掲げ始めた。

 そして彼らは高らかに歌った。

\\   一  万  年  と  二  千  年  前  か  ら  お っぱ い! お っぱ い!//
  \\  八 千 年 過 ぎ た 頃 か ら も っ と お っぱ い! お っぱ い!   //
   \\       一 億 と 二 千 年 後 も お っぱ い! お っぱ い!   //
     \\ 君 を 知 っ た そ の 日 か ら お っぱ い! お っぱ い! は 絶 え な い//
       _ _∩.     _ _∩.    _ _∩.     _ _∩.    _ _∩.    _ _∩.  
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