ヒロインがヤンデレのギャルゲみんなで作ろうぜ!

早紀SS08

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匿名ユーザー

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向日葵先生と遊んでたら先輩が釣れた

「あ、稔君 お昼休みになったら校舎裏に来なさい いいわね?」
 男子トイレで用を足し廊下へ出た直後、金髪ロングのメガネ白衣美人と遭遇
 二秒で用件を言われ、五秒後にはもうその姿が無かった
 向日 葵(ひなた あおい)先生  何故か毎回、奇妙な仕事の手伝いを頼んでくる我が校の物理教師だ
「貴重な昼休みの時間を浪費したくないけど、行かなかったらまた大騒ぎになるんだろうな」
 憂鬱な気分から思わず独り言と溜息が洩れる

「現場の藤宮です。これから校舎裏にて向日葵オン☆ステージが始まろうとしています」
「稔君 遅いわ! そんな事だから敵は金星から月まで来るのよ!」
「スタジオの楓さ~ん、今の台詞の解説をお願いしま~す」
 校舎裏に植えられた楓の樹(樹齢?歳 擬人化妙齢美女)に話を振ってみるものの、答えは返って来なかった
「・・・・まさか・・・・稔君まで奴らに洗脳を・・・・」
 流石にこれ以上続けると自分の身が危険に晒されそうな予感がする
「いやいや、この資材の山と変な機械群を見たら誰でも現実逃避したくなりますよ」
 木材、竹材、ロープ、アンテナ、針がブレまくる計器類の類、演算を続ける数台の大型電子機器、羅針盤、メトロノーム
 それらを繋ぐ大小のコードが犇(ひしめ)き、地を這うミミズの如くウネウネと何処かへ伸びている
 アルコールランプで熱せられた紫色の液体がボコボコと煮え滾り、黒色火薬のような粉が天秤に揺られリズムを刻んでいる
 無数の歯車で箱状に組み上げられた物体からは数本のレバーが飛び出していて、これが何の役に立つのか予測すら出来そうにない
 その奇妙なオブジェが持つ幾何学的な、それでいて非幾何学的な構造は常人には理解出来ないある種の美を感じさせていた
 コメディ映画に出てくる狂った科学者の実験室のような光景に正気を奪われそうになる
「んで、俺に何をさせたいんですか?」
「アメリカ・マサチューセッツ州、ミスカトニック大学の神智学研究グループと友人から送られてきたデータを元に奴らを捕獲するの」
「友人って例のランドルフ・カーター氏ですよね・・・・」
「そう、いい稔君? あの植え込みは先月の二十七日、園芸部の女の子が枯れ枝で指を刺したところ」
 なんの変哲も無い植え込みを指差す先生
「そして、あの樹は枝に積もった根雪が今月初めに男子生徒の頭に落ちて来た所」
 と、今度は先ほどの楓さんを真剣な目で見つめる
「この二つの特異点を結ぶここ! 今、私が立って居るこの場所に罠を仕掛けるのよ!」

 程なくして木材とロープを使った罠が完成した 日向先生のお手伝いは稀に技術が身に付く事がある
 ジャングルでゲリラ戦をする兵士か船乗りにでもならない限り、ロープワークやトラップ作成知識が将来役に立つことはないだろうが
「えらく原始的なトラップですね、あの機械群は使わないんですか?」
「Simple is the bestよ! 気にしたら負けだわ あとはこの餌を配置すれば・・・・」
 包装されたままのメガマッ○を地面にそっと置く仕草が少し可愛いらしい じゃなくて!
「先生、いくらなんでもその餌は無理ですよ」
「どうして? 美味しい物に釣られるのは宇宙の真理よ! 奴らとて例外はないわ」
「・・・・・自分で掛からないでくださいよ? 三度目は助けませんからね」
「うっ、だ、大丈夫よ それより稔君 放課後、奴らが捕獲されてないか見に来てくれないかしら?」
「特に用事はないからいいですけど」
「私は職員会議ですぐに来られないからお願いね、本命は夜間だから捕獲されてなければ罠はそのままでいいわ」
 不意に五時限目の予鈴が鳴り響き、俺の貴重な休み時間は終わりを告げた 

 放課後、無駄だとは思いつつ校舎裏へと向かう 万が一、野良猫や野良犬が掛かってたら可哀想だ
「先生が言ってる【奴ら】ってどんな姿してんだ?」
 ちょっとした遊び心から空想してみる
 ーぶよぶよと定まらぬまま、丁度ナメクジの触手の如く突き出し白濁した眼球はピンポン玉大
 ー蛙のようなイボだらけの胴体は、腐敗臭がするゼリー状の粘膜に覆われた醜怪な肉の塊により構成され
 ー緑色の体液らしきものが青白い表皮を通して体内で流動している様子が窺える
 ー猛禽類の鉤爪を具えた手先からはどろどろとした猛酸性の毒液が滴り落ちて刺激臭を漂わせ
 ー出鱈目に生えた触手がてらてらと虹色に鈍く輝き、誘うような動きを繰り返す
 気分が悪くなった そんな生物がいたら悪夢以外の何者でもない
 くだらない妄想を振り払い、校舎の角を曲がるとそこには・・・・・・・・ 
 罠に嵌った早紀先輩が海老反りになりながら地面に倒れていた
 捕縛された先輩の体には数条の縄がキツく食い込み、豊かなボディーラインをいっそう強調させているかのよう
 焦点の合わない瞳は熱っぽく潤んで彼方を見つめ、開いた口から流れた唾液が紅潮した頬へと伝い落ち続けている
「ちょおおおおぉ!! せ、先輩! 大丈夫ですか!?」
 予想外の事態に混乱しながらも駆け寄って罠を解除し始める
「み・・・の・・る・・・くん?」
「そうです! 藤宮ひめの弟の稔ですよ」
 声をかけながら手早くロープを解いてゆく 単純な罠だけに、数十秒ほどで救出することが出来た

「どっか痛みますか?」
「えっとぉ」
「なんでこんな見え見えの罠にかかってるんですか?」
「ん~?」
 未だ、心ここに在らずな早紀先輩の話を要約すると、
「つまり、財布を忘れたから昼ご飯が食べられなくて空腹のあまり?」
「つい・・・」
「いや、つい・・・で落ちてる物を食べようとしないでくださいよ」
「稔くん、好き嫌いは駄目よ」
「そうぢゃなくて!! あ~もう、先生になんて言えば」
 先生? あ、ヤバイかも
 ガシガシと頭を掻く手を止めて対策を考える
「先輩、お詫びということで今からメガ○ック食べに行きませんか?」
「いいよ お詫びなんて」
 腕を組み、口元に人差し指を添えた例のポーズでやんわりと断わる先輩 
 だがここで引く訳には行かない
「いえ、このままだと先輩が解剖されちゃいますから・・・」
 素早く早紀先輩の手を取り、強引に校門へと走り出す
「んもぅ しょうがないな~」
 俺は一刻も早くこの場を離れることに夢中で、いつもの口癖を言いながら浮かべた先輩の優しい笑顔を見ることはなかった

 終わり


先輩は腹黒いんじゃね的SS

先輩(私的イメージ)


臥薪嘗胆。中国の故事。
昔から好きな言葉で、目的のために耐え忍ぶ様は美しい、と心から思っていた。
「早紀ちゃん遊びに行かない?」
「ごめん今日は無理かな」
「えー、いっつも無理ってー、たまには遊ぼうぜ?」
「あはは、本当にごめんなさい」
こんなくだらない連中にも笑顔で付き合っている自分を褒めたいぐらいだ。

何の因果か、恵まれた容姿に生まれた。
別に私はナルシストでも自己中心的な考えを持っているわけでもない。
テレビや雑誌でもてはやされた人間と自分を相対評価する。たったそれだけ。
「早紀ちゃんってかわいいよねー。芸能人って言っても通用するよー」
「えー、そういうの自分じゃ分らないよ」
なーんてね。
テレビや雑誌を見て誰それと誰それを比べてどっちが可愛いか比べられるのに、自分が絡んだ途端に分からなくなるはずがない。
だから言うが自分はまぎれもなく綺麗な部類に入る。
簡単だ。相対評価しただけなんだから。

「先輩って綺麗だけど性格悪いっすよね」
「そう?」

そして、自分は相対評価すれば性格が悪い、とも。

1月、受験やら何やらで忙しい人が多い中、とっくに合格した自分はといえばずっと
学校で友達の面倒を見ていた。
「早紀、ここの文法分かんないんだけど」
「あ、それはね…」
もっとも、こちらは友達と思っているわけではないんだけど。
だからといって付き合いをないがしろにして友達がいない、となると社会的ステータスは不利。
そんなわけでこうして放課後の時間を使って勉強を教えてやっている。
「あー、センター試験まで時間ないのにこれじゃ終わりだよー!」
「まだ大丈夫だよ、諦めないで!」
と、気休めを言ってあげるのも友達付き合いのパターン。
まったくずいぶん友達がいがあるな、あたし。
「あ、ところでさー早紀、昨日のアレ見た!?」
「アレ?」
「アレだってほらテレビでやってたやつ!」
アンタ勉強なさいよ。2つの意味で。
ピーピリリー♪
「あ、早紀ちょっとごめん携帯鳴ったから!」
「うん」
やれやれ。
こんなので友達だっていうから頭が痛くなる。
「あーもしもし?あ、タカシ?今学校の人に勉強教えてもらってるのー」
が、学校の人・・・?
「あーうん分かったー、すぐ行くー!」
………ちょっと待て。
「ごめん早紀!用事出来たから行くね?じゃ!」
………いや、何も言うまい。

「ね?このホットいちごミルクも捨てたもんじゃないでしょ?」
「うん、おいしい」
「よーし自身を取り戻した!実はこれ伊万里に言ったら不評で・・・」
「アハハ・・・・けど藤宮くんのおごりでいいの?」
「まあ俺が勝手に飲ませたんですから」
帰り際、1つ下の後輩“藤宮稔”に出会った。自販機の前で。
正直に言えばこの子は“苦手”だ。できれば会いたくない。
しかし別段することもなかったので、彼の誘いで空いた教室でこうして飲み物を飲んでいる。
あーでもこれ、ほどよい酸味が鼻を抜けていっておいしいなー。
「幸せそうに飲みますねー」
「だって美味しいから・・・」
というかそんな顔してた?
「ってかププ…!飲ませておきながら言うのもアレですけど似合わないっすねー早紀先輩!!」
「な、なにが?」
「早紀先輩って優雅に紅茶飲んでるイメージあったから」
ほっとけ。
こういったものも好む、まぎれもなく一般大衆の一人だ。

「で、先輩なんでこんな遅くまで残ってたんですか?」
「ん?ちょっとクラスメイトに勉強を・・・」
……。
「早紀先輩ってばそういう偽善好きですよねー」
「あ、またそうやってバカにするんだね?」
「だって本当はやりたくないでしょ?」
「・・・」
この子は、正直苦手だ。
「こんな放課後残ってまで勉強教えて、しかも相手は途中で帰っちゃうとか。俺だったら殴ってますよ」
「・・・暴力反対」
「まあ先輩ってそうやって苦労してる自分が好きだからなー」
「藤宮くん?いいかげんにしないと怒るよ?」
「すでに怒ってませんか?」
「ギロリ」
時々、この子の一つ一つの言葉がグサッとくる。
でもその言葉が胸の固まった心を溶かしてゆく。
「は、ハハ、冗談っすよ冗談!!怒んないでくださいよ!」
「怒ってないよ。もう勉強教えてあげないけど」
「ちょっとそれは困るっすよ!今期ヤバいんすよ!」
そして、どこまで自分の本心か分からなくなる。
それは心地よくて…

「なーんちゃって。ジュースおごってもらった分は返すよ」
「あぶねー!ジュースおごっておいてよかったー!!」
苦手なのに、こんなやつ。できれば会いたくない。
会う前はそう思って。話してる途中でそんなこと忘れて。
いつのまにか次に会う約束までしていて。
「おごってもらった分だけだからね」
「先輩を1時間雇うと幾らになるんですか?」
「1000円」
「安っ!」
「・・・・ねえ別のこと考えてないかな?」
「あっ、いや・・・・ま、まさかアハハ・・・さあジュースも飲み終わったし帰りますか!!」
そして別れる時に“苦手”なんだと再び思い出す。
「あ・・・うん」
「じゃ、夜道には気をつけてー!」
別れるのがこんなにも辛くなるから。
だから、会いたくない。



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