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< 【[[back>早紀19]]】 // 【[[next>]]】 > 「いつ頃だろう… あたしがこんなことを好きになったのは…」  あたしは自問自答する 「そう あれは私が小さな頃… 両親は共働きであまり家にいなかった それで…」  封印されていた記憶のドアを次々開けていくと『寂しい』と言う記憶があふれ出てきた 「昔は分からなかったけど一家心中しようとしたんだ…」  そう思うと涙があふれ出てくる  小さい頃大好きだったお父さんの会社がなくなってお父さんに首を絞められた記憶が蘇って来た  あたしが気がついたときお父さんはお母さんを包丁で刺して殺していた 次の標的はあたしだった  ギリギリと首を締め上げられてあたしは気を失った 気がついたら病院のベッドで両親はすでに死んでいた  退院してからは親戚中をたらい回しにされ 場所によっては色々虐待もされた…  無視されることが多かったせいであたしは寂しかった 虐待はつらかったけどその人が  あたしを意識していることに間違いはないので嬉しかった 多分それがこんなことを好きになった原因なんだろう…  誰からも相手にされないのはつらい たった一人だけでもいいあたしをずっと見ていて… ----  俺は階段の上でボーッと立っている先輩を見上げた。  その目は焦点が定まっておらず、彼女がさっき突き落とした姉さんを『モノ』としか見ていないようだった。 「先輩! どうして……どうして姉さんに、こんなことを!」  俺は一気に階段を駆け上がり、先輩の肩をつかんで問い詰めた。 「どうしてって……? んー、だってこうしたら、稔くんがあたしに罰を与えてくれるよね?」 「え……?」 「あたしはひめっちを傷つけちゃったから。罪を犯してしまったから。  罰を受けないといけないよね。その罰はもちろん、稔くんが与えてくれるんでしょう?」  どうしてだろう。先輩はいつものように微笑をたたえているのに、瞳がなんだか恐い。  目をあわせることができない。 「稔くんは言ったよね。あたしが間違っているのなら、力づくでも止めるって。  ほら、あたしに、お仕置きして? ひめっちにしたように階段から突き落とす?  首をぎゅうって絞めてくれる?」 「せ、先輩、それは、ちが……」  頭の中がパニックに陥った俺の手を先輩は掴み、自分の喉元にあてがう。 「あたしは、稔くんの手が好きだな。力強くて、大きくて、あたしの首をすっぽり覆ってくれるよね、ほら」  先輩の細く白い首が俺の手の中に包まれる。頚動脈からドクドクと感じる先輩の鼓動。  前をみれば吐息のかかる距離にある先輩の顔。  このまま力を込めたら……って、何を考えて! < 【[[back>早紀19]]】 // 【[[next>]]】 >
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