「伊万里12」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

伊万里12」(2008/09/27 (土) 17:52:04) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 その日の小テストの点数は最悪だった。  十点満点中3点。  はっはっは、三割バッターだぜ!!! アベレージヒッターだぜ!!!  首位打者争いも見えてきたぜ!!!  ……何が最悪かって、ググレカスの授業でこの点数を取ってしまったことが最悪だ。 「えー、点数が3点以下の奴は補習だ! いいか? 三割以下の奴は例外なく補習だ!  放課後この教室に残っておくように」 「せんせー、三点以下は三点も入るんですかー?」 「そんなことも知らんのかゆとり教育の産物どもは!  あえて言わせてもらおう! グ グ レ カ ス と!!  だがこれを口実に逃げられても腑に落ちん。三点も含む。例外は認めない!  授業は以上だ。次回の授業までに予習をしておけ。質問は聞かん。ググレカス。」  落胆に身をゆだねながら俺の貴重な放課後は、青春を謳歌すべき貴重な放課後は  ググレカスとの哀情あふれるお勉強タイムへと昇華されたのだ。  放課後。  夕焼けが目に沁みるオレンジ色の教室の中で、稔は一人机に向かっていた。  ググレカスによって出された課題プリントの消化。  他の生徒達は既に課題を終えて帰路に着いたようだ。 「だー、畜生!終わらねぇぞ!」 「しょうがないでしょー」  と、愚痴に付き合ってるのは伊万里だ。 「うるせぇ、俺の代わりにやれよー」  日は落ちていく。  ……  …………  ……………… 「お、終わった……」  冬の空は暗くのなるのも早い。辺りは真っ暗だ。 「お疲れ様ー! さっさと提出して帰ろうよ」  職員室ではググレカスがくつろいでいた。  伊万里は外で待っている。 「ボク、ググレカス苦手なんだよ」  だそうだ。 「ふん、ようやく終わったか。貴様で最後だったか?」 「はい、そうですねぇ」 「全く、こんな問題に何時間かけているんだ。だいたいだな、貴様は常日頃から……」 「(また始まった……)」 「みのるん遅いなー。先に帰っちゃうぞー?」  お手洗いに向かう伊万里の口からは愚痴が漏れる。  稔が職員室に入ってから、30分が経過していた。 「や……、やっと終わった……」  疲れた顔をしながら、何の疑問も持たず一人で帰路に着く稔の姿があった。  一人で。疑問も持たず。 「みのるん……。何やってるのかな……。」  お手洗いから戻った伊万里の口から愚痴が漏れる。  と、職員室からググレカスが出てきた。 「小金井か、貴様こんな時間まで何をやっている。」 「えーっと、藤宮君を待ってるんです。」 「は?藤宮?やつなら遠い昔に帰ったぞ。」 「え?……え?」  その日の夜、伊万里の家からはダディの悲鳴が絶えなかったという。
< 【[[back>伊万里11]]】 【[[next>伊万里13]]】 >  その日の小テストの点数は最悪だった。  十点満点中3点。  はっはっは、三割バッターだぜ!!! アベレージヒッターだぜ!!!  首位打者争いも見えてきたぜ!!!  ……何が最悪かって、ググレカスの授業でこの点数を取ってしまったことが最悪だ。 「えー、点数が3点以下の奴は補習だ! いいか? 三割以下の奴は例外なく補習だ!  放課後この教室に残っておくように」 「せんせー、三点以下は三点も入るんですかー?」 「そんなことも知らんのかゆとり教育の産物どもは!  あえて言わせてもらおう! グ グ レ カ ス と!!  だがこれを口実に逃げられても腑に落ちん。三点も含む。例外は認めない!  授業は以上だ。次回の授業までに予習をしておけ。質問は聞かん。ググレカス。」  落胆に身をゆだねながら俺の貴重な放課後は、青春を謳歌すべき貴重な放課後は  ググレカスとの哀情あふれるお勉強タイムへと昇華されたのだ。  放課後。  夕焼けが目に沁みるオレンジ色の教室の中で、稔は一人机に向かっていた。  ググレカスによって出された課題プリントの消化。  他の生徒達は既に課題を終えて帰路に着いたようだ。 「だー、畜生!終わらねぇぞ!」 「しょうがないでしょー」  と、愚痴に付き合ってるのは伊万里だ。 「うるせぇ、俺の代わりにやれよー」  日は落ちていく。  ……  …………  ……………… 「お、終わった……」  冬の空は暗くのなるのも早い。辺りは真っ暗だ。 「お疲れ様ー! さっさと提出して帰ろうよ」  職員室ではググレカスがくつろいでいた。  伊万里は外で待っている。 「ボク、ググレカス苦手なんだよ」  だそうだ。 「ふん、ようやく終わったか。貴様で最後だったか?」 「はい、そうですねぇ」 「全く、こんな問題に何時間かけているんだ。だいたいだな、貴様は常日頃から……」 「(また始まった……)」 「みのるん遅いなー。先に帰っちゃうぞー?」  お手洗いに向かう伊万里の口からは愚痴が漏れる。  稔が職員室に入ってから、30分が経過していた。 「や……、やっと終わった……」  疲れた顔をしながら、何の疑問も持たず一人で帰路に着く稔の姿があった。  一人で。疑問も持たず。 「みのるん……。何やってるのかな……。」  お手洗いから戻った伊万里の口から愚痴が漏れる。  と、職員室からググレカスが出てきた。 「小金井か、貴様こんな時間まで何をやっている。」 「えーっと、藤宮君を待ってるんです。」 「は?藤宮?やつなら遠い昔に帰ったぞ。」 「え?……え?」  その日の夜、伊万里の家からはダディの悲鳴が絶えなかったという。 < 【[[back>伊万里11]]】 【[[next>伊万里13]]】 >

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー