大局将棋の基本戦略
- 序盤
大鷲・大鷹・霖鬼・四天王は初期配置では存在せず、それぞれ飛鷲・角鷹・角将・車兵が成ることで作れる。そこでこれらの駒を成らせることを目指すわけだが、敵陣はびっしりと敵の駒で埋め尽くされているため、成るスペースを確保することすら容易ではない。
成るスペースを確保するためには、敵陣内に敵の駒が無い空白地帯を作らねばならない。そのためには、相手が陣内の隙間を補修するより早く、波状攻撃で敵の駒を大量に取っていくことが必要である。
成るスペースは基本的に一箇所あれば十分なので、攻める側は敵陣の一点に攻撃を集中し、走り駒をその一点にぶつけまくれば良い。
成るスペースは基本的に一箇所あれば十分なので、攻める側は敵陣の一点に攻撃を集中し、走り駒をその一点にぶつけまくれば良い。
では、実際に敵陣のどの部分に攻撃を集中させるべきかだが、少なくとも序盤の間は、候補地はほぼ1箇所(左右にあるので実際は2箇所)に限られる。それは角道の先である。
角道といっても角行ではなく角将の通る道のことである。実際に駒を動かしてみると分かるが、角将の通り道を開けてみると、角将に続いて飛燕や走兎を初めとした大量の走り駒が、同じ斜めの道を通って敵陣に攻め込むことが出来るのである。
これほど大量の走り駒を短期間に集中的にぶつけられる先は、角道の先以外には無い。しかもこの時攻撃に使われる駒は自陣の奥にある駒ばかりなので、消費しても自陣に隙を作る心配が少ない。角道の開け方としては、地道に駒をどかしていってもいいし、時間を節約したい場合は角将で前の邪魔な味方を消し去るという方法もある。
角道から大量の駒を敵陣にぶつけ、敵陣内に安全地帯ができたら飛鷲・角鷹・角将・車兵を成りこませて、敵の玉や太子を狙撃する。注意点としては、猛龍や副将の筋に飛び込まないこと。こいつらの捕獲範囲内では実質的に成ることができないので、飛鷲・角鷹・角将・車兵はそれ以外の場所を目指すようにする。
これが序盤の基本的な攻め方になる。
これに対する守り方としては、二つの選択肢が考えられる。
一つは、角道の先に当たる部分を強固にし、敵駒に成るスペースを作らせないという戦略。
もう一つは、急いで玉と太子の周りの駒をどかし、玉と太子が逃げ回るスペースを作ることで、相手の狙撃を無効化する戦略である。
一つは、角道の先に当たる部分を強固にし、敵駒に成るスペースを作らせないという戦略。
もう一つは、急いで玉と太子の周りの駒をどかし、玉と太子が逃げ回るスペースを作ることで、相手の狙撃を無効化する戦略である。
前者は、角道の先に当たる部分に自陣の駒をせり出していくことで守りを固めると同時に、自分の角道を開く、という一石二鳥の作戦が可能である。
後者は、玉と太子の周りに十分なスペースを作ることさえ出来れば、狙撃をほぼ完璧にシャットアウトできるので、序盤の負けの可能性をほぼ無くすことができる。スペースを確保する方法としては、地道に駒を外に出していく方法もあるが、大将や副将、猛龍で不要な駒を消去しても良い。
ちなみに、狙撃する際は極力玉将を先に取った方がよい。太子と玉将では回避力に雲泥の差がある。素早い玉将は身動き不可能な内に始末しておかないと、身動き可能になった後は仕留めるのに相当苦労する。
双方が大鷲・大鷹・霖鬼・四天王を使い果たすか、狙撃攻撃に対する回避体制を完成させた場合、狙撃戦では決着がつかなくなり、中盤戦に突入する。
駒数が甚大な大局将棋のことなので、序盤といっても1000手を越すことは珍しくない。
なお、スレの対局は1~3局目まで、全て序盤で勝負がついている(狙撃駒だけで詰めた)。
なお、スレの対局は1~3局目まで、全て序盤で勝負がついている(狙撃駒だけで詰めた)。
- 中盤
狙撃戦で決着がつかなくなった段階。
狙撃戦では決着できなくなった以上、地道に相手の駒を減らし、敵の玉や太子を裸にすることを目指さなくてはならない。いかに効率良く、性能の低い駒で敵駒を取っていくかが問題になる。
まず注目したいのは天狗・摩羯・鉤行・孔雀の4種。敵駒が効いていない場所であれば、盤面の大部分を支配下に置く厨性能。こいつらの存在を忘れて浮き駒を置いておくと、瞬く間に盤面からお掃除されてしまう。回避力も縦横無尽なため、普通の駒ではまず倒せない。同じ駒で相打ちにするのが現実的な対処法で、逆に相手だけが鉤行を残している、というような状況になるとかなりヤバイ。
次に恐ろしいのが捕獲駒。安全な着地点さえあれば、繋ぎのある駒だろうとなんだろうと問答無用で消去される。自陣内部に空白が目立つようになると、縦跳びや斜め跳びの猛攻にさらされることになる。また意外と盲点になるのが横跳びで、自陣の外に出ている駒の場合、飛将や大将の横跳びで薙ぎ払われる危険から逃れられない。
接近戦では獅鷹や奔鷲など、居食い駒が脅威の攻撃力を発揮する。狙撃駒が残っていれば、一撃必殺ではなくなっているとはいえ、玉をダイレクトに狙ってくる性能は健在であり、成るスペースの攻防に手を抜いてはいけない。
- 終盤
玉や太子を詰める段階。トリビアの対局ではここまでいった。
残った駒によっては、鉤行+狙撃駒のコンボ(玉を囲むと狙撃され、囲まないと鉤行に取られる)などであっけなく終わる可能性も。獅子系の駒も怖い。しかし特殊能力のない、普通の走り駒や踊り駒しかない場合、とても地味な戦いになる。
広大な盤面がガラガラな上、玉将が残っていたりすると脅威の逃げ足でなかなか追いつけない。駒枯れや千日手の可能性も高そうだ。奇跡的に生き残っていれば、酔象が太子になる瞬間を拝めるかもしれない。
終盤まで試合がもつれると、手数は数千手がデフォになると思われる。