ムギ・ショコラ・ブラマンジェ



フルネーム ムギ・ショコラ・ブラマンジェ
種族 ヒューマン
性別 女性
身長 156cm前後
誕生日 A.P.0222/06/04(登録情報上)
所属 アークス チーム:麦文。
所属Ship Ship04:アンスール
クラスレベル ハンター Lv70~
ファイター Lv45~
レンジャー Lv22~
ガンナー Lv17~
フォース Lv42~
テクター Lv32~
ブレイバー Lv75
バウンサー Lv72~
IDネーム 麦城むぎ
Last Update 2015-12-30 11:42:42 (Wed)
「なんだかんだ言って、この世界にもこの世界を守る理由が出来ちゃったんですよ」


◆ムギ・ショコラ・ブラマンジェ
(Mugi Chocola Blancmange)

  種族は人間。自称16歳。女。元々は魔法剣士。
  数々の世界を渡り歩いて来た異世界の旅人。

  異世界間を渡り歩く過程で、ムギの身体の成長は止まってしまっている。
  ゆえに外見年齢は16歳ほどの少女だが、実年齢は不明。

  彼女が旅をしてきた世界は非常に数多いが、
  パイオニア2とラグオル(PSO)、グラール太陽系(PSU・PSPoシリーズ)、
  さらには地球と月(PSZ)での戦いも経ているなど、
  なにかとダークファルスとの因縁が深い。
  現在は河城にとりを相棒として、PSO2世界に来訪している。

+ ■生い立ちから現在に至るまで
  元々はとある世界の貴族の娘だった。
  だが、幼いころから剣術と魔法術に関して類まれなる才能を芽吹かせ、
  周囲の子供はおろか大人すらも圧倒させるほどの実力を持ったことが災いして、
  他の貴族たちから一家まるごと疎まれてしまい、
  最終的にはそんな陰湿で虚栄心の強い貴族たちの謀略によって、
  名誉と財産を根こそぎ奪い取られてしまう。

  それからムギとムギの両親は、夜逃げ同然に愛娘を連れ、スラム生活へ転落した。
  そしてひたすらに、ムギを生き延びさせるため可能なかぎり働き続けた。
  やがてそれにも限界がきた頃、両親はついに、自分たちの身体のすべてを売ってでも娘を生かすことを決断する。
  そうして得たなけなしの金と、すべてを奪われ続けてもなお守り通した愛娘ムギに次ぐもうひとつの宝、
  「宝剣ブラマンジェ」をムギへと託し,両親は娘に永遠の別れを告げた。
  聡明なムギも、わかっていた。そうしなければ自分は生きられず、
  なにがあっても自分が生き延びることこそが、母と父の最高の願いなのだと。
  ムギはだから、両親との別れを受け入れた。
  やがてムギが一人前の魔法剣士になったとき娘に渡すはずだった宝剣ブラマンジェには、
  ムギの両親がまじないの巫女に頼み彫り込んでもらった、娘へ贈る、たったひとつの願いの言葉があった。

  ――「この子が、しあわせに愛されますように」。


  その後ムギは、自分の力を活かして、10歳と少しの幼さで傭兵稼業に身を落とす。
  幸いにも戦う力においては規格外だったムギはすぐに仕事になじみ、
  また、始めは子供・小娘と馬鹿にしていた傭兵ギルドの人間も、
  その並外れた実力にすぐに認識を改めることになり、
  ムギはギルド内でも有数の実力者となっていく。

  そうして数年を傭兵として働き過ごしていたムギは、
  ある日不思議な少女と出会う。

  少女は自分の名前以外の記憶を失っていたが、高い魔法力を有していた。
  ムギは少女を放っておくこともできず、
  記憶が戻るまで自分の仕事を手伝ってみないかと誘う。
  行く宛てもない少女はムギの提案に迷いながらも肯き、
  ムギと少女はその日からコンビで傭兵ギルドの仕事をこなすようになる。
  それからしばらく、二人は様々な仕事をこなし、
  ギルドでは一目置かれるコンビとなり、
  また互いに、すでに親友と呼べる間柄になっていた。

  しかし二人の短く続いた、危険も伴いながらも穏やかな日常は、
  突然の事件と、それが発端となり明かされた事実により壊されてしまう。
  少女は、別の世界の住人であった。
  事件のさなか記憶を取り戻した少女は、
  自分の果たすべき使命も同時に思い出し、理解した。
  ムギも、そんな彼女の使命を彼女自身から聞き、知った。
  知ったからこそ、その使命を、親友とともに背負うつもりでいた。
  だが少女は、そう思ってはいなかった。

   これ以上ムギに迷惑はかけられない――
   だから自分は自分の使命を果たすために、一人で自分の世界へと帰る。
   今までありがとう。

  事件の終幕、少女はそう言い残して消える。
  残されたムギは、両親を失ったときに感じたものと
  同じほどの喪失感と孤独感に襲われる。
  ムギと少女が最後に二人で終結させた事件の終わりは、
  彼女にとっては二度目の孤独の始まりだった。
  けれど、少女を追いかける手段は、たった一つだけ残されていた。
  ムギはそれを用いて、親友を追いかけることを迷いなく決める。
  ムギは異世界への扉を開き、自分の世界に半ば永遠の別れを告げた。
  親友にもう一度会いたい――その想いだけを胸に。

  そしてムギは、異世界を放浪する旅人となった。



【PSO2の世界においては】

  ムギはどこかの世界へと消えてしまった親友を探すため、
  数多くの世界を飛び回ってきた。
  この(PSO2)世界に訪れたのも、そんな旅の途中である。
  どうやらまたしても外れだったようだが、
  本人はあまり気にしている風はない。
  というのも、様々な世界を渡り歩いて旅をするうち、
  異世界の旅そのものに楽しみを見出しているからである。
  元よりいつ終わるかも知れない旅――
  焦っても仕方がない。そんな楽天的な考えのもと、
  今日もアークスとしての活動に精を出すのである。

+ ■ストーリー
  この世界に訪れてまだ間もない頃、とあるレンジャーの少女が
  エネミーに苦戦していたところを助けたことがある。
  それがきっかけとなり、
  その少女からは一方的な恋心に近い何かを向けられることになる。
  そんな成り行きで、なんとなくムギは彼女にチームを組まないかと誘った。
  かつての親友のような面影を見たのかもしれない。
  ムギを好いた少女がその誘いを断るわけもなく、二つ返事で快諾、
  二人はチーム『麦文。』を結成する。
  なお、チーム名はムギ発案らしい。よくわからないネーミングセンスである。

  一時は新たなパートナー、アヤ=シズカとの心の離れを感じて
  内心に寂しさを抱えても居たが、そんな寂しさを感じたことで
  自分の気持ちに正直になろうと思ったのか、
  彼女自身も自分がアヤに対してそこはかとない想いを寄せるようになっていることを
  自覚し始め、今では素直にアヤからの好意を受け止めるようになった。

  連続して世界を渡ることはできない。一度世界を渡れば、
  しばらくはその世界にとどまる必要がある。
  ムギが次の世界へ渡る日は、アヤとの別れの日でもある。
  しかしムギはそれをアヤとの永遠の別れにするつもりはない。
  アヤに、必ずここへ――『いつか帰るところ』へ帰ってくると約束したから。
  ムギの胸元には、あるバレンタインの日に貰った
  アヤお手製のフォトンネックレスが、淡い光をたたえて輝いている。

  それは、離れてもまた必ず会おう――そんな約束と絆の証だった。



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  PSO2世界にとってのイレギュラーであるがゆえにか、
  シオンの助けを借りて、PSO2世界の歴史へと介入することができる。
  シオンからの依頼による最初の歴史介入で出会った、
  白き少女――マトイに、ムギは既視感を感じた。
  ……記憶を失い、倒れていた少女。
  その出会いは、かつての親友との出会いとよく似ていた。
  それが、ムギのこの世界での戦いのはじまりだった。


※以下PSO2ストーリークエストのネタバレ

+ 【EP1】
【EP1】
 [出会いとはじまり]
  何度か歴史への介入を繰り返すうち、ムギは
  ゲッテムハルトを媒介として復活した、
  ダークファルス・エルダーと衝突することになる。
  が、激しい交戦の後、ゼノを見捨てる形でエコーを連れてその場を逃れてしまう。
  そのことに負い目を感じ、しばらくはアヤにも秘密で
  ダークファルス関係の事件について個人的な調査を開始。
  最初は乗り気ではなかったシオンの頼みにも自発的に応じはじめ、
  それからは積極的にシオンから提示されるマターボードの"マター"を収集しつつ、
  クーナと出会い、六芒均衡たちの意味深な立ち回りに不可解さを感じながら、
  虚空機関《ヴォイド》の内情など、アークス中枢に潜む暗部に迫っていく。

+ 【EP2】
+ 【EP2-1】
【EP2-1】
 [支配の終わり]
  ダークファルス・アプレンティスや、アークスの実質的な支配者、
  ルーサーとの対面を経てアークスの暗部へ至ったムギは、
  シオンの依頼で、マトイを伴い、不可侵とされるオラクル船団の中枢、マザーシップへ突入する。
  だが、アークスを私物化していたルーサーの謀略により、
  アークスの面々やレギアスら奇数組の六芒均衡から追われる立場となる。
  しかしシャオや、時間遡行したムギに救われたのち六芒均衡の四となったゼノ、
  マリアら他の偶数組六芒均衡などの力を借りつつ、ルーサーの手駒と化したテオドールを救い、
  さらに、シオン自らの望みから彼女を犠牲にする形で、ルーサーを退けた。
  ダークファルス・ルーサーとの決戦においては、アヤや他のアークスと共闘しつつ、
  ついに様々な人間にとって仇敵と言えるルーサーを倒すことに成功する。

  決戦からしばらくして、今度はシャオからの依頼で、
  何者かによって隠蔽されたと思われていた10年前の記録を探るべく、
  ムギは、10年も過去の世界へと時間跳躍することになった。
  跳んだ先で出会ったのは、10年前に存在したとされる二代目クラリスクレイス――マトイに瓜二つな少女。
  彼女との会話は、性格こそ違うものの、確かにマトイを彷彿とさせるものだった。
  記憶を失ったマトイが倒れていた場所と、彼女がお気に入りだという場所の一致。
  幼き日のゼノや、過去のレギアスとの邂逅。
  今まで不可解だった事物のいくつかに納得をしつつ、ムギは、
  シオンが隠した、何人もの人間の運命を狂わせた悲劇が起き、自分とこの世界との接点となった
  はじまりの時間へと歩みを進める――。

+ 【EP2-2】
【EP2-2】
 [白き少女の真実]
  ルーサーの手引きによりダークファルス・アプレンティスはアークスシップへと強襲をかけていた。
  その前に、二代目クラリスクレイスが現れ、今にも殺される寸前だった少女――サラを救う。
  子供故に侵食の度合いが深刻だったサラを救うため、
  自分の得物である《白錫クラリッサ》をサラの体内の浄化修復のために使い、クラリッサとともに
  サラをその場から避難させる。

  自分の力に唯一耐えうる武器であるクラリッサを手放したクラリスクレイスは、
  周囲に散らばるアークスの一般武器を壊しては拾い換えを
  繰り返しながら、アプレンティスを追い込んでいく。
  初めこそアプレンティスを圧倒していたかに思われたクラリスクレイスだったが、
  アプレンティスは、密かに周囲のアークスたちをその能力で魅了させ、
  自分の手駒としてクラリスクレイスに差し向けた。
  アプレンティスは、追い詰められた振りをしていたのだ。
  仲間であるアークスを前に、クラリスクレイスは上手く戦うことが出来ず、
  精神的揺さぶりを受けながら劣勢へと追い込まれる。

  そのさなか、クラリスクレイスは、自分が守ろうとしてきた『みんな』というものが何なのか、
  『みんなを守る』という意志は果たして自分の意志なのか、そんな迷いに心を占められてしまう。
  一時、戦意を喪失してしまった隙をつかれ、アプレンティスの傀儡と化したアークスたちが
  一斉にクラリスクレイスに襲いかかるが、間一髪、"ムギ"がそこに助けに入り、傀儡たちを跳ね除け、
  その助力にクラリスクレイスは戦意を取り戻し、アプレンティスに法撃による猛攻を加え、
  撃退することに成功する。
  "ムギ"の助力により安堵するクラリスクレイス。
  だが、次の瞬間。クラリスクレイスは"ムギ"に、その得物で胸を貫かれてしまう。
  "ムギ"と瓜二つの姿をしていたその者は、ダークファルス・ペルソナだったのだ。

  一方、クラリスクレイスの手元を離れていた彼女の得物《白錫クラリッサ》を手に、
  クラリスクレイスの下に急行していたムギ本人だったが、時既に遅く、
  ムギがその場に到着した時目にしたのは、自分に瓜二つの人間が、
  禍々しい色のフォトンの刃を持つ大剣でクラリスクレイスを貫いている状況だった。
  ムギとまったく同じパラメータを持ち、時間移動能力をも持つ
  ダークファルス・ペルソナに驚愕するシャオとムギ。

  彼女のために、彼女はここで死ぬべきなのだ――ペルソナの言葉に疑問を抱きながらも、
  クラリスクレイスを殺そうとするペルソナを止めようと激戦を演じるムギだったが、
  その戦いの最中、様子のおかしいクラリスクレイスに気づく。

  アプレンティスから受けた精神的揺さぶりと、
  ムギの姿をしたペルソナに傷つけられたことで脆くなった精神状態、
  そして胸を貫かれたその傷が原因か、
  クラリスクレイスが数多のダーカーを狩り続けてきたことで自らに溜めこんだ膨大なダーカー因子が
  彼女の身体から溢れ、クラリスクレイスの身体を侵食しだし、
  それを抑えることの出来ないクラリスクレイスはその膨大な闇をもって、
  ダークファルスすら遥かに凌ぐ【深遠なる闇】になろうとしていた。

  クラリスクレイス――"マトイ"は、もう自分はどうにもならないことを悟り、
  自分が自分であるうちに、クラリッサを使い、自分自身を"消去"することに決める。
  だが、彼女には思い残しがたくさんあった。
  ムギと、いろいろな話をもっとしたかった。もっと沢山のことを教えて欲しかった。
  可愛らしく、おしとやかに。そんなのも、やってみたかった。
  しかし、それももう、叶わない――。

  だけど、だから、"マトイ"は最後の瞬間、ムギに言った。

  「ねえ、ムギ……。
   わたし、『みんな』なんて、よくわからないもの……
   守れなくてもいいから……
   あなたのとなりで……あの場所で……
   ふつうの女の子に、なってみたかったなあ……」

+ 【EP2-3】
【EP2-3】
 [それでも彼女は笑う]
  10年前に跳び、その出来事を直接垣間見たことで、
  マトイと二代目クラリスクレイスを繋ぐ真実を知ったムギ。
  何故マトイが記憶を失ったのか。
  記憶を失う前の彼女がどんな人間だったのか。
  どうして彼女がナベリウスに居たのか。
  ――なにより、マトイに秘められた危険性を。

  二代目クラリスクレイス――マトイは、10年前の最後の瞬間、
  クラリッサによって自分で自分を消そうとした。
  だがそれは完全には上手くいかず、記憶を力を失い、
  膨大な闇を抑えこんだか、消し去るだけに留まったのだ。
  さらにシャオの手によって強引に元の時間へと帰還しようとしたムギに巻き込まれる形で、
  記憶を失ったマトイは、ナベリウスの『あの場所』へと行き着くことになった。

  それらの真実は、シオンによって隠蔽、消された歴史となった。
  最初にムギがこの世界に現れ、シオンと、そしてマトイと出会う、その時まで。

  ダークファルスたちを生み出した、全ての元凶であり、
  遠い昔、フォトナーが創りだしてしまった最大最悪の罪、【深遠なる闇】。
  シャオは言う。もしもマトイがそれになる可能性があるのなら、
  今のうちに殺してしまうことも悪い手ではない――と。
  だが、ムギは、そんな選択を認めることはできなかった。

+ 【EP3】
+ 【EP3-1】
【EP3-1】
 [白と黒の星]
  ルーサーを排除したアークスは、
  今まで隠し続けてきた組織の後ろめたい真実をすべて開示し、
  情報規制も取り払われた影響で、一時は混乱の渦中にあった。

  そうした中で半年の時が経ち、その頃には
  シャオやそれぞれの人間の尽力により、アークスは組織としての体制を
  少しずつ修復し、また、以前とは違う形に変化しつつあった。

  そんな折、ムギは、新惑星ハルコタンの発見と、
  ダークファルス・ダブルが動き出したという情報をシャオから聞かされる。
  まるで児戯のように破壊と蹂躙を行う、最凶の双子のダークファルス。
  それが惑星ハルコタンに向かったのだという。
  シャオのはからいで晴れてアークスとなったマトイとともに、
  ムギはダブルを追って、ハルコタンへと出撃する。
  シャオからの、マトイから目を離すな、という言葉を噛み締めながら。

  絶えず白と黒の民が争いを繰り広げる惑星ハルコタン。
  ムギとマトイはそこで、灰の神子・スクナヒメとその守り人・コトシロに出会う。
  さらに、ハルコタンの各地で暗躍していたダークファルス・ダブルとも遭遇する。

  スクナヒメはハルコタンを守る神と言える存在だったが、
  屈託なく人を助けようとするマトイをいたく気に入り、自分の友人と呼んだ。
  マトイも最初は戸惑ったものの、すぐに意気投合し、二人は仲良くなる。
  スクナヒメとの交流を通して、マトイは少しずつその性格に変化を生じさせていった。
  アークスシップに居た頃のおとなしい彼女と、10年前の活発だったマトイの両方を知るムギは、
  記憶を失いながらも確実に『クラリスクレイスだった頃の彼女』に近づいていっていることに、
  喜ばしくも不安な、複雑な思いを抱いていた。

+ 【EP3-2】
【EP3-2】
 [双子の策略]
  ダブルと何度かの衝突を重ねる中、ムギたちは、ハルコタンに封じられていた
  灰の神子と対をなす悪神、《禍津》の復活を許してしまう。
  スクナヒメの願いもあり、ムギも含むアークス総出で、禍津の撃退にあたるものの、
  完全な解決にはならず、その力を抑えこみ、禍津を再封印するため、
  スクナヒメはかなりの消耗を強いられることになってしまう。

  黒の民と白の民の戦いにも終わりは見えない。
  このままでは埒があかない――
  だが諸悪の根源だろうダブルを倒せば状況は良くなるはず。
  黒の民をたぶらかし、操り、白の民と争わせているのもダブルだろう、
  というのがスクナヒメの考えだった。

  禍津の再封印を完全なものにするため、そしてダブルを倒すために、
  スクナヒメは、マトイの提案によって、白の民と黒の民の力を合わせさせることをこころみようと
  それぞれの王に連絡を取るが、白の民を束ねる王からの返事はまるで協力的なものではなく、
  黒の王からの返事は遅々として来ない。

  しびれを切らしたスクナヒメはムギとマトイを伴って、黒の民の本拠地――黒の領域へ向かう。
  黒の王の待つ王座の間。様子のおかしい黒の王。――そして現れたダークファルス・ダブル。
  そこで明らかになったもの。
  それは、目の前の黒の王と、それだけではない、黒の民が一人残らず、
  ダブルによって『喰われて』いたという事実だった。

  つまり、白の民と争っている黒の民は、すべてダブルが生み出したコピーだったのだ。
  激昂するスクナヒメ。だが禍津への対応のために消耗したその身では、
  ダブルに太刀打ちできるほどの力はなかった。
  これが狙いだったとばかりにスクナヒメをも喰らおうとするダブルだったが、
  そこをムギとマトイが庇い、代わりに二人がダブルに喰われ、その腹の中へと入り込んでしまう。
  自分を庇い、友が犠牲となったことに歯噛みするスクナヒメだったが、
  二人の行動を無駄にするわけにもいかず、スクナヒメは悔やみながらもダブルの前から逃げ去った。

+ 【EP3-3】
【EP3-3】
 [思わぬ再会]
  ダブルに喰われたムギとマトイは、不可思議な空間に居た。
  それだけではなく、そこには、かつて確かに倒したはずのルーサーが、居た。
  怒りの表情を見せるマトイに、ルーサーは涼しい顔で
  「ここはダークファルス・ダブルの腹の中、ダブルの内的宇宙」だと説明する。
  シオンが消滅したことで、ルーサーはもはや外の世界への興味を失っていた。
  むしろダークファルスの腹の中に居るという稀有な体験に満足しているのだという。

  「この空間を案内しよう」というルーサーの導きに従って、
  ムギとマトイはダブルの内的宇宙を進んでいく。
  道中でルーサーは様々なことを語った。
  全知全能だったはずのシオンが自分を止めなかったことの真意。
  かつてのフォトナーたちの愚行と、それを認めたシオン。
  ダブルに次々に喰われていったダークファルスたちの行動の意味。
  そして【深遠なる闇】の復活が遠からず必ずやってくること。

  ルーサーはそれらをムギとマトイに語り終えると、
  「【深遠なる闇】の復活により世界の滅びは必定である。
   それでも君たちはそんな世界に戻る気なのか」と二人に問う。
  対してムギとマトイは、当然のようにそれに迷いなく肯いた。
  ルーサーは二人の答えに滑稽そうに笑うが、どこか満足したような様子で、
  内的宇宙を出る方法をあっさりと教えてくる。
  「さあ、行け、『出来損ない(最高傑作)』」
  ――ダブルの腹の中を脱出し、困難に立ち向かおうとするするムギとマトイの背中に、
  ルーサーはまるで激励するように告げた。

+ 【EP3-4】
【EP3-4】
 [再誕]
  ダークファルス・ダブルの腹――内的宇宙から抜け出したムギは、
  険しい顔をしたシャオから忠告を受けていた。
  尋常ではない数のダーカーやそれに侵食されたエネミーを倒し、
  数々のダークファルスをも撃退し、ダブルの内的宇宙を打ち破って脱出するほどの力を使った
  ムギの身体には、体内フォトンで中和しきれないほどのダーカー因子が溜まっているという。
  そしてアークスになってからずっと戦い続けているマトイも、また同じなのだと。
  その影響は計り知れない。だから決して無理をしないように、と。
  ムギはそれに、とりあえずは頷いておいた。

  とはいえ、自分でも、それはなんとなくわかっていた。
  ダーカー因子があらゆるものを侵食する性質があること。
  アークスはフォトンの力のおかげで、侵食から身を守れていること。
  ならば、ダーカーとの過剰な戦闘を続けた結果、フォトンによる中和が間に合わないほどに
  ダーカー因子の影響を受け続けていればどうなるか――?
  加えて、最近になって、時折アークスの仲間に自分の気配をダーカーと間違われることが増えた。
  だからそう、その可能性には簡単に思い至ったのだ。
  自分の内に、まるでダーカーの如き莫大な闇が溜まりこんでいるかもしれない、と。
  かつての、10年前のマトイのように。

  だが、シャオの忠告を守ることは難しいだろうことも、わかっていた。
  ダブルとの決戦――それがもうすぐに迫っている。
  いまのハルコタンとスクナヒメの状況から、ムギはそう予想していたからだ。
  そして恐らく、そうなればマトイも黙ってはいないはずである。
  だからこそムギは、マトイだけは守り通す――そう思っていた。
  程なくして、ムギの予想通り、そのときはすぐに訪れた。

  黒の民すべてがダブルに喰われた事実を前にして、
  スクナヒメは、たった一人でダブルと戦う決意を固めていた。
  コトシロの制止も聞かず、スクナヒメは単身、再びダブルの下へと向かった。
  ムギとマトイも、シャオの鬼気迫る制止の声を跳ね除けて、
  スクナヒメを追って黒の領域へと出撃する。

  黒の領域へと入ったムギたちは、中腹ほどで息を切らせるスクナヒメを見つける。
  時を同じくして、コトシロと、コトシロによる説得に応じた白の民たちが、
  スクナヒメの援護のために駆けつけてきていた。
  思いもかけないコトシロの言葉と機転、そしてマトイの叱咤によって、
  消耗しきった自分ではこれ以上は役に立たないことを悟ったスクナヒメは、
  最奥に待ち構えるダブルの討伐をムギとマトイに託すことにした。

  そうして辿り着いた黒の領域の最奥部に、ダークファルス・ダブルは居た。
  双子のダークファルスを目の前に、ムギはマトイの様子が変わったことに気付く。
  それはまるで、10年前の、クラリスクレイスだった頃の彼女のような――
  ダーカーやダークファルスへと向けた、明確な殺意。
  嫌な予感を感じつつも、マトイとともに、ダブルとの決戦に臨むムギ。
  しかし相手にしたダブルは、ルーサーほどの手応えも感じず、
  驚くほどあっさりと決着がつく。
  嗤うダブル。なにがおかしい、と詰め寄るマトイ。

  ダブルは言う。
  「ただのアークスなんかに、そこまでの闇が抱え込めるものか」と。
  「エルダーやルーサーの力が吸われていたのも本当だったのか」と。
  「だから彼らを喰っても【深遠なる闇】には至れなかったのだ」と。
  そこまで聞いて、ムギの嫌な予感は確信に変わり、一つの結論を弾き出した。
  ――こいつらは、自分たちを"贄"にマトイを"器"に仕立てるつもりだ――!
  「ぼくを、あげよう」
  その声が響くが早いか、ムギは咄嗟にマトイの前に躍り出、
  今わの際にダブルの吐いた『闇』をその身に受け止めた。
  このままではムギを器にダーカーが、いや、ダークファルスが、
  否、それすらも凌ぐ――【深遠なる闇】が生まれてしまう。

  「ムギ、それはあなたの役目じゃない――!」
  「クラリッサ、力を貸して」
  「わたしの一番大切で、大好きなひとを守るために――!」
  自分を庇ったムギが闇に蝕まれていくのを見て、マトイは叫び、
  クラリッサを使い、ムギを侵食していく膨大な闇を自分に移し替えた。
  そして、彼女は、失われたすべての記憶を取り戻し――

      「……でも、いいんだ。
       やりたいこと、やりたかったこと
       たくさんいっぱい、できたから」
      「ムギ――。
       ありがとう。
       ムギからは
       いろいろたくさんいっぱい
       大切なもの、もらったよね。
       わたしはもう十分。
       十分だから――」


       ――さようなら。


  彼女は、【深遠なる闇】に、なった。

+ 【EP3-5】
【EP3-5】
 [仮面]
  昏睡状態から目を覚まし、なんとか一命は取り留めたムギだったが、
  待っていたのはマトイが【深遠なる闇】と化して、今は姿を消しているという事実だった。

  そこに、突如としてムギのもとに秘匿通信が来る。
  通信の相手は、10年前のあの場所でマトイを刺し貫き、
  その後幾度もムギの前に出没し、「マトイを殺せ」としつこく忠告してきた仮面の人影――
  ダークファルス・ペルソナだった。
  「ナベリウス、約束の地で待つ」
  そう一言だけ告げると、通信は切れた。


+ 【EP3-6-...】
【EP3-6-Zero】
 [輪廻]
  ペルソナの誘いに応じ、ムギは、力なくナベリウスの『約束の場所』へと足を運ぶ。
  約束の場所。ムギとマトイが最初に出会った場所。
  10年前、クラリスクレイスだった頃のマトイと約束した、あの場所。
  その場を知る者は、その場が『約束の場所』だと知る者は、
  マトイと、ムギしかいない。

  そこには、ペルソナが静かに佇んでいた。
  ムギが訪れたことを認めると、ペルソナは静かに語りだす。

  「……やはり貴様も彼女を救えなかったな。
   当然の結果だ。なぜなら私は――

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
   彼女を救えなかった貴様のなれの果て、なのだから。

   如何に歴史を改変しようと、
   彼女が【深遠なる闇】に変異する――
   この結末だけは、変わらなかった。
   彼女が救われることは……なかった」

  ムギの目に希望はなかった。

  かつて、自分の両親が、自分を生かすためその命を捧げてくれたときの孤独を思い出す。
  かつて、自分が大切に想っていた親友が、目の前で去っていったときの絶望を思い出す。
  自分は、自分が大切にしていたものを何度失えばいいのだろうか。

  「彼女を救うには、彼女を殺すしかない」

  ペルソナは淡々とそう述べる。

  「私とともに来い、私よ。
   彼女に、安らかな終焉を与えるために」

  失意のさなかにあったムギには、
  もはやその言葉に抗う力は残されていなかった。
  だからムギは、それに、頷くしかなかった――。

  ペルソナの導きに従って、ムギはマトイの下へと訪れる。
  変わり果てたマトイは、血の涙を流しながら、しかし果たして、そこに居た。
  ムギは彼女の名を呼ぶ。
  彼女は答えない。
  もうそこに、彼女の意思は存在しないのだろうか。

  やがてムギとペルソナは、【深遠なる闇】の化身とも言えそうな姿に変わった
  マトイとの激戦を迎える。
  思うように戦えない。それはきっと、どちらの"ムギ"も同じだっただろう。
  戦いは膠着状態に陥り始めていた。
  だが――

  「――ムギ」

  一瞬だけ、【深遠なる闇】が、否――マトイが、ムギの名を、呼んだ。
  【深遠なる闇】の化身が、攻撃を躊躇ったように、見えた。
  だからムギも、攻撃の手を緩めた。
  ――が、その刹那、マトイの背後に回ったペルソナが、マトイを羽交い締めにした。
  そして叫ぶ。思いの丈をこめて。

  「……ムギ!
   その刃で、私もろとも貫け!
   彼女と……私を、解放してくれ!!」

  ムギは迷う。事ここに至って、迷う。
  マトイを助けたい。殺したくない。
  殺したく、ない。
  殺したく、ない――のに――。
  だけど、もう、ムギに、
  これ以上の救いを望む希望など、残っていなかった――。
  だから――

  ムギは、その刃を。
  マトイの胸に。
  迷わずに。
  しかし目を背けながら。

  貫き――刺した。

  あふれる鮮血。
  違う。
  それは、真っ赤な。
  真っ赤な――闇。
  10年前、ペルソナがマトイを貫いた時と同じ。
  奇しくも――そう、同じ光景、だった。

  「……これで、彼女は
   苦しみの連鎖を離れ、安らぎを得る。
   【深遠なる闇】も、消えて果てる。
   ああ、長かったな……
   ここまで、とても、長かった……」

  そう言って、何かから解放されるようにかき消える、ペルソナ。
  残されたのは、ムギの手によって胸を貫かれたマトイと、
  自分のしたことなのに、どこか現実離れした感覚しか伴わないでいた、
  ムギだけ、だった。

  「……ムギ」

  優しい声が、響く。
  その声は、ムギがよく知る、白い少女のもので。

  「ごめん、いっぱい迷惑かけちゃった。
   辛い思い、たくさんさせちゃったね」

  その声で、否が応でも、これが、自分のやったことなのだと。
  現実なのだと、思い知らされる。

  「でも、これでいいんだよ。
   これで、よかったんだよ」

  なにがいいのか。
  なにがよかったのか。
  ムギにはもう、わからなかった。
  自分は、こんなにも弱い人間ではなかったはずだ。
  そう、思っていた。そう、思いたかった。
  だけれど、今の自分は――脆弱で愚かな人間、そのものだった。
  絶望に身を任せ、最も楽な選択をしただけの――。

  「わたしと、あなたの本懐は果たされた。
  【深遠なる闇】は消えて、世界は平和になる」

  違う。
  ムギの本懐は。
  わたしの本懐は。

  「何も、悲しいことはない。
   もう、楽しいことしか起こらない。
   だからムギ――お願いがあるの」

  あなたを救えなかった未来に、なんの楽しいことがあるのか。
  だが、その選択をしたのは他ならぬ自分で。
  今更になって、後悔の念が押し寄せてきて。

  「……泣かないで、笑ってて」

  その言葉を最期に――マトイの身体は、
  影も形もなく――消滅した。

  ムギは、涙は、流さなかった。

  マトイを抱きとめようと伸ばした手に残った、
  マトイの、闇の、残滓。

  後悔、贖罪、救済。

  ――このままで終わってたまるものか。

  ムギは、だから、もう一度、やり直すことにした。
  一度だけじゃない。何度も。何十も。何百も。何千も。
  マトイを救う、ただそれだけのために。

  闇を"纏い"。
  顔を隠し。
  底に堕ちて。

  そして――ダークファルス・ペルソナは、また、生まれた。

+ 【EP3-6-True】
【EP3-6-True】
 [光と影]
  昏睡状態から目覚めたムギは、
  自分がマトイを守ると決めていたのにもかかわらず守り通せなかったことに絶望しかけ、
  一時は自棄状態に陥る。
  だが、今まで巻き込ませまいとダークファルスを巡る一連の事件から遠ざけてきた
  チームメイトであるアヤからの叱責や励まし、
  これまで様々な出来事を経た過程で、ムギが意識するしないに関わらず繋いできた、
  仲間のアークスたちとの絆によって立ち直り、改めてマトイを救い出すことを決める。
  諦めるものか、と。

  そこに、突如としてムギのもとに秘匿通信が来る。
  通信の相手はペルソナだった。
  「ナベリウス、約束の地で待つ」
  ペルソナがそう一言だけ告げると、通信は切れた。

  ――そろそろ接触して来るだろうと、ムギは予感していた。
  そしてこのダークファルスの正体と、その目的。
  どうしてああまで自分やマトイに執着してきたのか。
  ダークファルスにもかかわらず、何故他のダークファルスとは全く違う行動をとっていたのか。
  今――いや、実際はもうとっくのうちに、ムギはそれらに勘付いていた。

  ・・・ ・・・・・・・・・・・・
  彼女は、わたしのなれの果てである――と。


  ペルソナの誘いに応じ、ムギは、ナベリウスの『約束の場所』へと足を運ぶ。
  約束の場所。ムギとマトイが最初に出会った場所。
  10年前、クラリスクレイスだった頃のマトイと約束した、あの場所。
  その場を知る者は、その場が『約束の場所』だと知る者は、
  マトイと、ムギしかいない。

  そこには、ペルソナが静かに佇んでいた。
  ムギが訪れたことを認めると、ペルソナは静かに語りだす。

  「……やはり貴様も彼女を救えなかったな。
   当然の結果だ。なぜなら私は――

   彼女を救えなかった貴様のなれの果て、なのだから。

   如何に歴史を改変しようと、
   彼女が【深遠なる闇】に変異する――
   この結末だけは、変わらなかった。
   彼女が救われることは……なかった」

  ムギは何も言わず、ペルソナの言葉を聞いていた。
  驚きはしない。充分予想出来ていたことだ。

  「彼女を救うには、彼女を殺すしかない」

  ペルソナは淡々とそう述べる。

  「私とともに来い、私よ。
   彼女に、安らかな終焉を与えるために」

  その言葉に、ムギは――

  「断ります」

  ――首を横に振った。

  ムギの反応は予想に反していたのかもしれない。
  それまで淡々としていたペルソナから、どこか怒気のようなものが見えた。
  「まだ彼女を苦しめるつもりか?」
  ペルソナはそう言って、ムギにとってはもはやわかりきっていることを
  さらに語り始める。ペルソナは彼女なりに、わたしを――自分を、説得しているのだろう。
  だが、ペルソナは忘れている。"ムギ"が――自分が――わたしが――
  どれほどまでに、諦めが悪い人間なのかを。

  決して諦めないというムギの態度に、ペルソナはとうとう激昂する。
  その場を去ろうとするペルソナの行く手を阻むムギ。
  マトイを殺させるわけにはいかない。諦めるにはまだ早すぎるのだ。

  「立ちはだかるつもりか……
   やはり、最初に出会ったあの時に
   私は、私を殺しておくべきだった」

  ペルソナは敵意を露わにし、ムギに向かってくる。
  ムギもそれを避けることはなく、全力で迎え撃つ。
  絶望に負けた自分と、今なお希望を捨てない自分がぶつかり合う。
  ムギはそうすることで、目の前の相手を――"自分"をねじ伏せることで、
  活を入れなおさせようとする。

  そうすれば、わかるはずだ。
  目の前の存在は、"わたし"なのだから。

  剣戟を繰り返し、肩で息をする二人の"ムギ"。
  ペルソナはムギに、どうしてそこまで抵抗するのか、と問う。
  彼女自身も死を望んでいるのにどうして、と。
  ムギはそれには答えず、ただ「諦めない」という強い意志だけを示す。
  どれだけあがいたところで無駄だ。何度やり直しても、何をしても、
  絶対に結果は変わらない。一人の力では救いようがない――
  ペルソナはそう言い、なおもムギに食い下がる。
  だがムギはそんなペルソナに対し、言う。

  「だったら二人でやればいいんですよ。
   ここには"わたし"が二人も居るじゃないですか」

  予想外のムギの言葉に、ペルソナは唖然とし、狼狽える。
  だが、ペルソナは、知っていた。わかっていた。
  そういう馬鹿なことを考えるのが――自分だった。
  目の前に居るのは、ペルソナにとっては遠い遠い昔の、
  "自分"の姿なのだから。
  そんな、無謀なまでに希望を追い求める"自分"に、
  かつて"ムギ"であったペルソナは、懐かしさを覚えた。

  ――ならば、賭けてみよう。
  絶望に負けた自分と、決して希望を捨てない自分。
  交わることのなかったはずの異なる道を選んだ自分たちが、今ここには居る。
  違う道を選びとった二人の"自分"の力を合わせることで、
  必定の運命を覆すことが出来るかもしれない。
  マトイを救うことが出来るかもしれない。

  諦めの悪い自分――"ムギ"らしく、最後まで、あがいてみせる。
  二人は頷きあい、真の意味でマトイを救い出すことを決意するのだった。

+ 【EP3-6-Answer】
【EP3-6-Answer】
 [泣かないで、笑って]
  ナベリウス、壊世区域。そこにマトイは居るという。
  シャオの指示の下、六芒均衡を中心に、マトイ救出作戦が展開されることとなった。
  マトイを救うための、すべてのカギを握るのは、他でもない、ムギ。
  ゆえにこそ、シャオも、六芒均衡も、アークスすべてが一丸となって、
  ムギをマトイのもとへと送り届けるために全力を尽くそうとする。

  心強い仲間たちの激励を胸に、ムギはナベリウス壊世区域の奥地へとひたすらに走る。
  まるでムギをマトイのもとへ行かせまいとするかのように襲い来る
  世壊種と呼ばれるエネミーと、ダーカーたち。
  だが、そこに次々と、これまでムギが自覚せずとも絆を繋いできたあらゆるアークスが、
  ある者はムギへの恩に報いるために、ある者はムギと同じくマトイを助けたいがために、
  ムギの助けとなるべく現れる。

  一方でレギアス、カスラ、クラリスクレイス――三英雄の前に、
  ダークファルス・エルダー、ダークファルス・ルーサー、
  ダークファルス・アプレンティスのコピーが立ちはだかる。
  それぞれのダークファルスと三英雄との交戦を通じてか、
  マトイは、三人の背負ってきた辛さ、苦しみ、悲しみを感じ取っていた。
  ――そんな、悲しい思いをする人がもう現れることがないように。
  すべての悲しみを、自分が抱え込んで消えてしまえば、みんな幸せになれる。
  自分はそのために生まれてきたはずなのに――なのにどうして。
  どうしてこんなにも、寂しいのだろう――。

  やがて三英雄は各々のダークファルスを退け、
  六芒均衡たちが紡いだ『六芒の結界』によって、
  【深遠なる闇】――マトイは、その地に繋ぎ留められた。
  ゼノは言う。

  「いいなムギ。忘れるな――お前さんには、俺たちがついてるからな」

  彼ら彼女らの助力によって、皆が切り拓いた道を、
  ムギは迷いなく、走り続けることができた――。

  こうしてムギはとうとう、マトイの待つ、最奥部にたどり着く。

  「一緒に帰りましょう――マトイ」

  紅い仮面のようなもので顔を覆い隠し、その下では血の涙を流し。
  禍々しくも美しい――そんな変わり果てた姿のマトイに、
  ムギは、声をかける。

  もはや彼女に、彼女自身の意識はないように見える。
  マトイはその姿を異形に変えて、ムギに牙をむいた。
  だがムギも、迷わず、ためらわずにそれに立ち向かう。
  戦いのさなかで、何度も、マトイの名を呼びかけながら。
  声には応えず、ムギに対し容赦なく闇の力を振るわせるマトイ。
  それでも必死で食い下がり、苦戦しながらもムギは、
  マトイを一時的に無力化させることに成功する。

  ふとムギは、デジャヴのような感覚を覚え、
  落ちていた剣を拾い、ゆっくりとマトイに刃を向ける。
  マトイはそうされても、佇んだまま動かない。
  かすかに脳裏をかすめる記憶。自分がマトイを貫き殺す、
  そんな経験はないのに、しかし嫌なほどリアルな記憶。

  ――違う。

  首を振る。

  ――自分は、殺すつもりなど――毛頭ない。

  ムギは剣を降ろし、マトイに歩み寄る。

  「あなたを――助けにきました」

  今度は逆にマトイが、その手の刃をムギに向ける。
  だがムギは、恐れることなく、避けることなく――目を閉じた。

  「……ほんと
   ムギは、優しすぎるよ」

  不意に、聞き慣れた声が聞こえて、ムギは目を開ける。

  「わたしはもう覚悟してたのに……
   手が、止まっちゃったじゃん。
   ――その優しさは、残酷だよ」

  彼女が、自分の顔を覆っていた仮面を取って見せると、
  果たしてそこには、馴染みのマトイの顔があった。
  ひどく悲しげで寂しそうで、でもどこか嬉しそうな表情を浮かべて。

  「真っ黒い闇に包まれてる間も
   あなたの声は、届いてた……。
   ――だから、出てこられた。
   これが正真正銘、最後のチャンス。
   わたしは、きちんとやりとげなくちゃ」

  ムギは黙って、マトイの言葉を聞く。
  自分に必死に言い聞かせるような、そんな言葉を。

  「……もう、止められない。
  【深遠なる闇】は、わたしの内に顕現してしまった。
   でも、今ここでわたしが死ねば、
  【深遠なる闇】を閉じ込める事ができる。
   それで終わり、それでおしまい」

  諦めの思いがこめられ、
  自分をそれで無理矢理に納得させようとしているような、
  そんな言葉を。

  「だから――
   優しすぎるあなたにできないなら――
   わたしが、わたしを――」

  10年前のあのときのように、自分で自分を殺して――
  今も同じように、それですべてを救おうとするマトイの姿に、
  ムギは小さな怒りを感じた。

  「勝手に一人で諦めないでください――
   わたしはまだ、諦めてなんて、居ないんです!」

  マトイが眷属を召喚し、自害するために、
  その膨大な闇の力を自分に向けて放たせる。
  だがムギもやはり、ダブルがマトイへ闇を吐いた時と同じように、
  マトイの前に躍り出て、マトイの――【深遠なる闇】の眷属より
  放たれたエネルギーを、自らのフォトンで受け止めた。
  しかし、アークスたった一人のフォトン程度で、
  眷属とはいえ【深遠なる闇】の力の一端を受け止めきれるはずがない。
  ムギは徐々にフォトンを削られ、闇の奔流に押し込められていく。

  「だ、ダメだよ、ムギ!
   あなたも巻き込まれちゃう!
   この、わからずやっ!
   邪魔しないで! これはわたしが
   望んでやっていることなの!」

  マトイは自分を庇うムギを
  その場から引き剥がそうと、必死に言葉を尽くす。
  だけれどマトイは、実力行使でムギを退けることはない。
  あくまで言葉を紡ぐだけ。

  マトイは涙を流しながら、言う。
  今は10年前とは違う。与えられるままに『みんな』という
  曖昧なものを守っていたあの頃とは違う。
  自分で考えて、自分で決めた。
  みんなを守りたい。みんなの居るこの世界を守りたい。
  ――違う。
  ムギを、ムギの居るこの世界を守りたい――と。
  だから、怖くない。自分は何も怖くはない……。

  「……わからずやは……あなたです……。
   あなたの望みがどうだろうと関係ない……。
   あなたが生きることを望んでいる人たちがたくさんいる。
   あなたが居る世界を守りたいと思う人たちだってたくさんいる。
   ……あなたは、そんな人たちの想いを踏みにじってでも、
   自分がいなくなることを望むんですか……。
   ずっと、あなたを守ろうとしてきたわたしがバカみたいじゃないですか……。
   ――そんなことは、絶対に、許しません……!」

  歯を食いしばりながら、ムギは言うが、
  とうとうムギのフォトンが【深遠なる闇】眷属の攻撃に押し負け、
  ムギは膨大な闇の力に囚われてしまう。

  「……自ら消えてなくなること――それが望みならば、マトイ。
   きみは、なぜ泣く」
  「えっ……!?」

  突然、その場にクラリッサを携えたペルソナが現れる。
  ムギの限界を察知してだろう。

  「起きろ、クラリッサ!
   否、シオンよ!
   私たちの巡ってきた
   悠久の輪廻を、ここで終わらせる。
   そのために……力を貸してくれ」

  ペルソナは密かに、ムギたちがダブルを倒したあと、
  ――マトイが【深遠なる闇】と化したあのあと――
  その場に残されていたクラリッサを回収していた。
  そして、クラリッサにはまだ、わずかに――シオンの残滓が残されていた。

  「――もちろんだ」

  クラリッサに残されていたシオンの残滓が、ペルソナの声に応える。
  と同時に、クラリッサの力のおかげか、ムギを囚えていた闇の力と、
  ムギとマトイの体内に宿る闇が、ペルソナの身体へと引き寄せられ、
  吸収されていく。

  戸惑うマトイに、ペルソナは答える。

  「いくら器に適しているとはいえ、
   貴様らはアークス、私はダークファルス。
   ならば、ダークファルスである私に
   闇が集うのは、当然のことだろう?」

  「ペルソナ……まさか、最初からこれを……?」

  自分の身体から苦痛が取り払われていくのを感じながら、
  ムギはペルソナに――"自分"に問うた。

  「……貴様が、気付かせてくれた。
   ただ一人を救いたいという強い意志。
   それを成し遂げるためにやるべきことを!
   私は、彼女が救えればそれで十分!
   ――それ以外は――何もいらない!」

  ムギとマトイの闇を、ペルソナがその身にすべて受け取ると、
  ついにマトイは、【深遠なる闇】の呪縛から解き放たれ――
  その姿が、純白の髪を"纏う"、本来の彼女に戻る――。



  ――まばゆい光に包まれた空間で、ムギとマトイは、
  シオンと、そして、素顔を――
  ムギと同じ顔を露わにしたペルソナと対面していた。

  「……ごめんなさい、ごめんなさいっ。
   わたしは結局、覚悟なんてできてなかった……。
   だから、あなたたちを犠牲に……」

  泣きじゃくりながら謝りつづけるマトイに、
  ペルソナは優しく言った。

  「……きみは知らないだろうが、
   きみと私は、ひとつ約束をした。
   ……泣くな、笑え」


  「……【深遠なる闇】は
   わたしたちが受け取った。
   これで、彼女は生き、貴方も生きる。
   だが【深遠なる闇】もまた
   消し去ることはできていない」

  シオンは言う。そう、これで終わりではないのだ――。
  まだ、最後の詰めが残っている……。
  【深遠なる闇】。宇宙のすべてを喰らい尽くす、闇そのもの。
  マトイの生存という、全知全能のシオンすらも知り得なかった
  未来が紡がれたことによって、
  最凶最悪の禍いの復活が約束されてしまったのである。

  「ムギ。
   ここからは、貴方次第だ。
   全知の先に、進み
   新たな歴史を、紡いでくれ。
   それが、わたしたちの
   最後の願いだ」

  マトイは、笑う。シオンもそれを見て、笑う。
  そしてペルソナも――幾重もの同じ時間を渡ってきた"ムギ"も、
  晴れやかな顔をしていた。

  マトイは救われた。
  必定のはずだった運命は覆された。
  だがその代償として、大いなる禍いが残された。
  しかし、恐れることはなにもない。
  ムギたちには、数多くの仲間が居るのだ。
  人は、力を合わせることで、不可能と思われることさえ
  可能にすることが出来るのだと、証明できたのだから。
  たった一人の頑張りや犠牲だけで守られる未来ではなく――
  たいせつなものを守りたいと願い、望む、
  すべての人間の力で掴み取る未来を賭けた戦いが、始まろうとしていた――。


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【戦闘能力】

  メインクラスは当初はフォースやハンターだったが、
  現在のところはバウンサーとブレイバーがメイン。
  得物はデュアルブレードとカタナが主力。

+ ■余談
  余談ではあるが、異世界の旅人であるムギは、
  世界を渡るごとにその世界の摂理に従い、能力に減衰補正がかけられてしまう。
  別の世界で得た後付の能力は、
  一定以上はまた別の世界に持ち越すことはできないのである。
  理由は様々あるが、ここでは省く。
  ゆえにこの世界においても、ムギは一から能力(レベル)を鍛えている。
  とはいえ、アークスにはもとよりクラスレベルによる能力制限があるが。

  幼いころ、自身の家の家訓と両親からの奨めで、
  名のある魔法剣士の教えと名門の魔法学院で剣と魔法を学んだこと、
  ムギ自身が生まれ有していた豊かな才能、
  そして過去の境遇や数多くの世界を旅し
  様々な存在との戦いを経て培った魔法術と剣術、
  これまで重ねてきた無数の実戦の経験が、
  現在の彼女の戦闘能力の基盤。

  世界を渡ることにより能力は減衰するものの、
  元々の強固な基盤があるからこそ、
  新たに別の世界に渡っても、自前の戦闘力だけで
  それなりに戦うことができるといえる。



【性格・人柄】

  飄々とした性格で、相手が目上だろうと目下の立場だろうと、
  分け隔てなく常に丁寧口調で話す。
  普段から誰に対してもフランクな振る舞いだが、
  元貴族の娘だけにどこか気品が漂う。
  礼儀正しいが、皮肉屋な面もあり、ときに丁寧な口調で痛烈な皮肉を飛ばす。
  基本的に明るく、人当たりはいい。相手に敵意がなければ誰にでも好意的な態度で接する。
  その一方で、特定個人に興味を示すことはあまりない。
  頭の回転が非常に速いが、長い間単独での戦闘ばかりこなしているせいもあってか、
  戦略的思考よりも戦術的思考の方が得意なために、その場の判断に任せすぎるきらいがある。
  多数の人間と協力するよりは単独か少数で戦う方を好みとするが、
  状況に応じて方針を変える柔軟さは持ち合わせている。


   ・好きなもの:可愛い女の子/芯の通った人間/紅茶/甘いもの
          読書/剣の手入れ/魔法研究/学生服と黒タイツ

   ・嫌いなもの:軟弱な男/悪党



【各NPCとの関係設定】

+ ■開く
  【マトイ】
   ・かつて別れた親友の面影を見ているせいか、ムギにとってはなんとなく放っておけない存在。
    さらに10年前の真実を間近で目の当たりにしたせいで、
    ムギは彼女を守ることに小さな執着を抱いている。

  【ティア】
   ・ムギのお気に入り。
    アヤとの任務がないときは、よくクエストに誘っている。
    彼女の姉のパティについては、ムギはあまり好きではない様子。理由は「煩いから」。
    ティアもムギと一緒に居るのは満更でもないらしく、
    ムギが事あるごとに彼女を口説いているせいもあり、
    ティアもムギに仄かな想いを寄せている……かも知れない。

  【カリン】
   ・ムギのケンカ友達。
    エクストリームクエストに挑戦し、ステージオーダーに失敗するたびに
    ムギは彼女から小馬鹿にされているが、ムギもそれに売り言葉に買い言葉で返すのが常。
    まだルーサーが居た頃、アークスの内情をポロリとムギにリークしてくれたりもしていたため、
    なんだかんだでカリンもムギを気に入ってる模様。
    ムギもカリンをそう悪いようには思っていないようだ。
    プログラミング、ハッキングやクラッキングなどに関して天才的な技術を持つ(独自設定)。

  【ゼノ】
   ・ムギにとってはアークスの先輩であり、
    同時に時間跳躍した際に10年前に既に出逢っており、
    幼いころのゼノが一方的にそう呼んでいただけだが、ムギの10年前の弟子でもある。
    クエストにはよく一緒に行く。ちょっとした飲み友達でもある。
    男がそれほど好きではないムギが、珍しく認める、頼もしい男。

  【クーナ】
   ・なんとなく一緒にクエストに行くことが多い。
    汚れ仕事をしていた経験のあるムギとしては何か親しい物を感じるのかもしれない。

  【メルフォンシーナ(メルランディア)】
   ・わりとよくクエストに同行する。
    ゲッテムハルトのこともあり、ムギは彼女のことを気にかけていたが、
    取り込んだゲッテムハルトの意思の影響を大きく受けていたエルダーが、
    ダブルの凶刃からメルフォンシーナを庇った一件を経て吹っ切れた彼女を見て、
    今は安心している。

  【テオドール】
   ・マザーシップ騒乱以後、罪滅ぼしと言うことで
    テオドールの方からムギに協力を申し出ることが多い。
    特に邪険にする理由もないので、彼とクエストに同行することもある。
    ルーサーの呪縛から開放され、ウルクも取り戻したテオドールは頼もしくなり、
    ムギも一目置いているようだ。

  【ラヴェール】
   ・ムギがラヴェールのクライアントオーダーを何度もこなすうちに、
    いつの間にやら茶飲み友達程度にはなっていた。
    ダーカー殺すべし慈悲はない、という思考についてはムギも共通見解のため、
    それなりに馬は合うようである。

  【カトリ】
   ・アヤほどではないがムギに対して積極的な好意を向けている。
    それが本気なのか女子特有の友情表現なのかはさておき、
    ムギとしても騒がしくも可愛らしいという理由でわりと気に入っている模樣。
    彼女の豊かな胸はムギのセクハラの対象であるが、本人は別に嫌がっていない。

  【ユクリータ】
   ・アークスシップで一人寂しそうにしているところに、
    ムギからちょっかいを出しに行く。
    本人はわずらわしそうにしているが、内心別に悪い気はしていないらしい。
    誘えばクエストにはあっさり協力してくれるあたり、
    なんだかんだで寂しいのかもしれない。



【その他】

  ・同性好き。かわいい女の子が大好物。
   それに関連して下世話な話題にも時折花が咲く。百合だけに。
   可愛ければ男の子もイケるとか。

  ・得物は剣と大鎌。
   鎌に関しては専ら魔力の触媒として使うことが多いが、ときには武器としても扱う。
   PSO2の世界でも大鎌型の長杖を使うことがある。

  ・自作魔法の名前にはお菓子関係、木の実などを由来にしていることが多い。
  (※「アプリコットレイ」「ブルーベリィボム」「カラメリゼフレア」「ウォールナッツ」など)

  ・読書好きで勉強家。特に魔法学の知識は現役魔導師すら追随を許さない。
   科学技術もかじっているため、技術関係にも関心が強い。
   また、剣の稽古や魔法の研究を欠かさない努力家でもある。

  ・制服と黒タイツフェチ。セーラー服やブレザーには目がない。着るのも見るのも好き。







 ※Twitterでも活動中。
  →@Mugi_C_Blmage
















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最終更新:2015年12月30日 11:42