「……もう誰かの悲しむ顔は見たくない。見たくないんだ……!」


「……わたしは騎士になりたい。
いつまでも守られてるだけじゃなくて、守りたいんだ…!」


「ダーカーが悪いとか人類の幸せとかはわからないし、どこへ向かってるのかも不明慮だけど
それでも、誰かを守れるなら……ッ!」


フルネーム ナリア・メルフォード・カーツマン
あだ名 ナリー、ナー坊(是非呼んであげて!!(マテ)
種族 ヒューマン
年齢 15歳
一人称 わたし
性格 奇病が治まってから、毎日明るく元気をモットーに頑張る女の子。
ただし極度の寂しがり屋であり、年の割りに泣き虫である。
あとナー坊と呼ばれると怒るらしい
所属Ship ship03
所属 アークス(研修生)
クラスレベル Hu2 Fo16
IDネーム Dr.アシモフのA.I.ラボ
好きな物 あんまーーーいスイーツ
将来のゆめ とぉーっても強い騎士様!(ガンスラと盾を持って奮闘中)
密かな悩み 日々頑張ってるんだけど結果がついてこないOTL

※ナリア・メルフォード・カーツマン:調査報告書



10年ほど前、幼少の頃に両親を事故で失い、親戚の家で育てられる。
事故の詳細は不明、定期便の墜落事故とだけ記録されている。

片時も手放さず持っている、”騎士の絵本”(著者不明)に憧れ、自分も誰かを守れる存在になりたいと願っているようだ。
日々、絵本の騎士のように”カカッと謙虚な活躍”というものを望んでいるが、自身に実力がない故に、
現実と理想のギャップに悩まされている姿が度々見受けられる。
誰かを守れる”騎士”(要は守る側の人間)になろうとアークスへ入隊するが、研修試験課題をクリアする事ができず、
依然研修生のままであることを気にしている様子だ。
また、強い変身願望のようなモノがあり、騎士への願望といい、強い者への憧れと弱い自分へのコンプレックスが見て取れる。

アークスに研修生として入隊する際に、育てられた親戚の家を出て、兄の住むShip3に移る。
二人暮らしには広すぎる家であるが、兄もほとんど家に戻ることもなく、ほとんどの時間をナリアとサポート用ハウスAIと暮らしている。
実の兄であるエリヤとは遠い距離感を感じており、一人で過ごす家の中で若干の寂しさを覚えているようである。

また、本人の意識とは別に、動物などに八重歯を突きたて吸血するという奇癖を持っていた。
本人には自覚意識がないため、事後に気づくことが多く、悩まされていたようである。
現在、その症状は治まっているようで通常の生活を送れている。

持病持ちのため、定期的にオラクル本部直属のメディカルセンターにて検診にかかっている。
持病についての詳細は不明だが、上記の奇癖との関連性が疑われている。
また、検診内容も不明、本部直属のメディカルセンターを使用していること、頑丈なセキュリティの下で検診が行われていることを考えると、
正直胡散臭いものを感じる。

なお、彼女については10年以上前の彼女の経歴には若干の矛盾が生じており、偽装されている可能性が高い。
上記の件といい、彼女には何か隠蔽されている事があるのではないのだろうか。
それも本部直属の施設を使用するほどの規模の何かが……。
彼女、及び彼女の兄については引き続き調査を続けていく必要がある。
※追記:最近は、コスプレなるものに目覚めている様子である。
 変身願望の件とどう繋がるかは不明だが時折、巨大な鳥の着ぐるみを着込んでいる姿が見かけられる

                 A.P.237/10/20


出来事


バーに出没するようになり……

数日ほど前から、兄と同じくブロック20のバーに出没する姿が目撃されている。
兄との距離を埋めるための行動と思われるが、今一それが実を結ぶ様子はない。
最近は、遅い時間までバーに残り雑談を楽しんでいるようで、帰宅時間を巡ってハウスロイドと口論する様子が確認されている。
また普段は兄と二人暮らしではあるが、兄は家に帰ることは稀であり、彼女がバーに行くのは家では独りで寂しいという理由からである。


初仕事と戦場

バーで出会ったアークス、セイアと共にダーカーに侵攻されつつある市街地への増援へ向かう姿が確認された。

救援に向かった先、襲撃されたシップで彼女が目にした光景……それはまるで戦場のように見えただろう。
……いや、実際に戦場、か。

破壊された街並みの中を彼女達は進んでいく。
所々に人々の生活の跡が生々しく残された街並みが、ナリアに奇妙な現実味を感じさせたのかもしれない。
彼女は必死に吐き気を抑え、その光景に嘆きの言葉を向けていた。

……理想ばかりを追い求めた子供には、現実はあまりに無残で辛すぎたようだ。

それでも彼女は砕けかけた心で、セイアに励まされながらも先へと進んでいく。
途中、息切れと胸の痛みを感じてる様子は見られたが、それが精神的なものなのか、それとも身体的なものなのか、
あるいはその両方なのか……それは本人のみ知ることなのだろう。

その後、宇宙港街を抜け、エリア2へと辿りつく姿が確認されている。
戦闘が激化するエリア2にて、彼女達は巨大な鋏を持つ大型ダーカー”グワナーダ”と遭遇する。
その巨体と圧倒的な威圧感を前に、尻込みし、動けなくなってしまうナリア。

彼女の心は一度ここで砕けてしまったのかもしれない。
圧倒的な”現実”を前にして、少女の幻想は無残にも”砕け散ってしまったのだ”

しかし、そんな彼女を救ったのは、同行したセイアだった。
セイアはテクニックを詠唱すると、瞬時にグワナーダを蒸発させてしまう。
……ナリアにとって、それは圧倒的な光景だったであろうな。

その後、市街地ブロック内にベイゼが発生したとの通知が入った。
結局ベイゼを破壊することができず市街地は汚染され、ナリア達はキャンプシップへの撤退を余儀なくされた。

今回の任務で、彼女は自分の無力さを痛いほど思い知らされ、また自分の求める夢、そして理想が如何に無垢で無意味な幻想であると思い知った事であろう。
……この時、私は彼女に対してそう感じていた。

しかし、シップ3に戻り、キャンプシップから降り立った彼女の表情は、私の予想に反していた。
表情からは多少、戸惑いの色は覗かれていたが、それでも、まるで何かを決心したかのような強さが感じられた。
あのキャンプシップの中で何かあったのだろうか、彼女がダーカーへの恐怖を拭えるだけの何かが……。
詳細は不明であるが、彼女と同行していたアークス、セイアが関連していることはほぼ間違いないだろう。
彼女も含め、引き続き様子の観察を継続していくとしよう。

その後...


その後、彼女はメディカルセンターに入院しているようだ。
なんでも、救援任務があった日、バーからの帰りに突然倒れ、メディカルセンターに搬送されたらしい。
なお、原因は不明とのことだ。
いや、連中が、”不明という事にしている”のだろうか?

私の……私個人の予想を言わせてもらうなら原因は、恐らく先日の市街戦にあるものと予想している。
考えてもみてくれ。
不自然な息切れ、胸の痛み、そして倒れたのが任務のあった日である事など、気になる要素はいくつもあるのだから。

彼女がエリヤの妹である事を考慮すれば、やはり彼女にもダーカーに関連する”何か”があるのだろうか?

今後、私はナリア、及びエリヤ、そして周囲の人間を探っていくとしよう。
詳細が掴め次第、追って連絡する。それまでは、君自身もくれぐれ用心して欲しい。


                A.P.237/11/19 A.I.N                                              


ナリア・M・カーツマン死亡報告

UAVを通して観測された映像データを見て私は驚愕したのを覚えている。
ナリアはブリアーダーの毒液を被り、そのまま倒れたのだ。
不自然な事に、この時、上層部からの彼女への監視が見当たらなかった。
何より不思議だったのは、彼女がダーカーの毒で倒れた事だ。
これが真実であれば、彼女に対する私の予測は見当違いとなってしまう。

その後、メディカルセンターにおいて、正式に彼女の死亡が確認されたという情報を手にした。
……突然の状況に私自身も困惑している。詳細は後ほど追って連絡する。

バーにて

その後、バーでの映像記録によると、この件を巡ってエリヤとナリアの指導役…たしかヒスイと言ったか、彼女と口論している姿が見られる。
エリヤはヒスイに対し”ナリアを見捨てた”そう感じていたようだ。
ヒスイの方もそれを不定しようとせず、エリヤを煽った。
ヒスイの言動に激昂したエリヤは、彼女に手渡された短刀で彼女を刺殺しようとするも、彼は刃を彼女に突き立てることはできなかった。
……これもまた、不可解だ。
以前の彼ならば、躊躇なく彼女を殺していたであろう。
奴は、バーの人間たちに情でも移ったのだろうか?
いや、あの男に限り、そんな甘さは持ち合わせていなさそうだがな。

その後

……詳細は不明だが、ナリア・M・カーツマンは生きていた。
私が彼女の家を訪ねた時には、意識は戻っており、当時の事を訪ねると苦笑を浮かべた。
話しよると、ナリアをあえて避け、遠くから守ったつもりになっているエリヤに対し、ナリアに死を演じさせることによって傍にいなければ守れない、
そう悟らせるためにヒスイが思いついた、いわば大掛かりな”嘘”だったらしい。

「まさかこんなに心配されているなんて思っていなかったけどね。」

と苦笑を浮かべた後、後処理どうしよう、と困惑した表情で付け加えた。
だが、この時の彼女の顔は少しだけ嬉しそうだった。
その後のナリアとエリヤの兄妹関係も良好な様子で、以前のような重苦しい雰囲気も感じなくなっていた。

さて、今回の一件は実にハタ迷惑な兄妹問題だったが、個人的に気になる事がひとつある。それは、彼女の死を演出できた事だ。
偽装された死亡届け、衛星データの偽装を行った(と思われる)、最後にはそれらの事象を”なかった事”にしてしまうだけの力。
上層部に関わりのあるエリヤにすら明かされていない事象。
私にはこれが不可解で仕方がない。
上層部とは別のところで、別の力が働いているのか?
それとも上層部が隠している何かのひとつなのか?
どちらにしても、あのヒスイという女性。彼女が影響したであろうことは間違いないのだろう。
彼女、及び関わりのある人間…バーの人間の調査をエリヤの動向調査と共に平行して行っていこうと思う。詳細はわかり次第連絡するとしよう。
毎回の情報と機器の提供、貴方には本当に感謝している。
お陰で父と母、そして同僚達の無念を晴らすことが出来そうだよ、人形使い殿。

                 A.P.???/?/?? A.I.N※データに破損箇所が見られます

このお話の正しい展開をクルムさんがSSとしてまとめてくれました。

本当にありがとうございます♪→[http://pso2cloud9.yaekumo.com/]




人間関係


セイア(井蛙)

ナリアがバーで出会ったアークスの女性。
試験に合格できないナリアのために、座学を教えたりと何かと面倒見の良い性格である。
ナリアも彼女の事「センパイ」と呼び慕っている。
また、ナリアの初ミッションとなるシップ救援任務に同行しており、
厳しい現実に打ちひしがれ、砕けかけた彼女の意思を繋ぎとめた。


★補足

※この子は、主に自分の書いていた某ゲームの二次創作小説の主人公を基に設定をPSO向けに変更したものです。
元々は、PSOに移住してくるフレに向けて私の目印となるようにと作ったキャラなのですが、
設定とか悶々考えていたら、なんか出来上がっちゃいました(汗
細かな部分をPSO2の物に合わせてみたので、オリジナルスタイルに投稿させて頂きました。




「……この船団は牢獄さ。逃げ場所なんて何処にもない」

「オレは……英雄じゃない、英雄にはなれない……」

「オレは所詮、野良犬だ。帰る場所なんてない」


フルネーム エリヤ・メルフォード・カーツマン
あだ名 該当データなし
種族 ヒューマン
年齢 25歳
一人称 私、オレ
性格 趣味:ナンパ、とプロフィールに書くようなナンパ野郎。
しかし、その割にはアルコールにめっぽう弱かったりもする。
仕事では、任務を確実にこなすタイプであり、
障害になるものは徹底的に叩くという冷徹な一面も併せ持っている。
実はかなりのスイーツ狂
所属Ship ship03
所属 アークス
クラスレベル Gu30 HU12
IDネーム Dr.アシモフのA.I.ラボ
好きな物 実は甘い物に目がない
苦手な物 アルコール(ものすごーーーく弱いらしい)
悩み 服装センスがないとよく言われることが密かな悩み

※エリヤ・メルフォード・カーツマン 調査報告書



妹同様過去10年以上前の経歴には矛盾が生じており、こちらも偽装である可能性が高い。
両親の事故後アークスに入隊までの一年は、オラクル内の施設で育ったとの事だが場所の特定までは至っていない。
ハッキリ言って、妹以上に胡散臭い男である。

普段は無類の女好きであるようで、非番の日は家に戻ることもなく、遊び歩いているようである。
ただし、真意は不明、個人的な予測を言わせて貰うなら、奴は何かアリバイでも作ってるように思う。
理由は後ほど記入するとしよう。

また、奴は一介のアークスでありながらアークス上層部、オラクルの一部役員とは少なからず関係があるようである。
……なお、情報部の中で奴の動向を探った私の同僚達は”不慮の事故”とやらでこの世を去っている。
最近のアークスの動向といい、胡散臭い事だらけだ。
奴が何かよからぬ事に加担しているというのなら、暴き出してやるまでだ。

また、データベースより調べた情報によると、ダーカーの出現した市街地には高い確率で奴が滞在している。
ただの偶然なのか、それともヤツにはダーカーの出現位置がわかるのか……、
もしくは、彼自身が何らかの方法でダーカーを誘い出しているのか……。
流石にこれは考えすぎなのかもしれないな。
どちらにしても、ダーカーのシップ襲撃には防衛も兼ねて不自然な事が多い。
詳細は下記に記載するとして、引き続き調査を進めていくとしよう。

奴には年の離れた妹がいる。ナリア・M・カーツマンだ。
ただ、彼はナリアには冷たく、突き放しすように接している。
正直、その様子はとても兄妹には見えない。
彼は、ナリアがアークスに入隊した事が気に入らないようにみえる。
上層部との関係がある彼なら、圧力をかければ彼女の除隊など軽いと思われるのだが……。
何か他に事情があるのだろうか?


彼の主な戦闘術は、相手の銃口から弾道を分析し、それを逸らすと同時に死角に回り込む奇妙な体術(追伸:ガン=カタと言うらしい)や
相手(人間)の反射反応をそのまま利用する奇妙な武術(運動工学と生物工学を格闘に応用した武術らしい)を得意とし、
相手の剣戟を"流す"と同時に反撃に移るという奇妙な戦術を愛用する。
その戦い方はエネミーやダーカーを相手にするよりも、まるで人間を相手にするために精錬されたかのようにさえ感じられる。

上記の情報もあり、アークス任務以外での不審な行動も多く見られてはいるが、アークス内での評価はかねがね好評である。
……解せないものだ。

ただ、時折私は、あの男……エリヤが堪らなく恐ろしく思えるのだ。
アークスとしてのカンもあるが、もっとこう……深層的な部分で恐ろしさを感じるのだ。
それは、ダーカーに感じるソレに近い。ある意味、それが奴に対する不信感への先駆けだったのかもしれない……。
殆どの情報が調査中ではあるが、ただひとつだけ間違いない事は、奴は一部のオラクル上層部の人間と繋がりがあるということ。
そして、この船団内には何かよからぬ事を画策している人間達がいるということだ。


                   A.P.237/10/20


シップ襲撃におけるオラクルの不審な動向


頻度を増したダーカーのシップ襲撃。
ダーカーによるシップの襲撃は、それ自体が脅威だが、これには不審な点が多い。
まずダーカーの接近を知りつつも、まるでそれを向かい入れるかのように無防備なシップ。
緊急警報と共に駆けつけたとしても、到着するまでの僅かな時間では不可能なほどの被害。

……そして何より襲撃されたシップ内での消息不明者があまりに多い事。
MIAが多いのはどの戦場でも同じだろう。
だが、あまりにも不自然なのだ。
確かにダーカー侵攻からの避難に遅れた民間人の生存率は極めて低い。
しかし、我々アークスが駆けつけた時には市街地内には民間人の影は愚か、その死体すらも見つからない。
瓦礫などに埋もれたりした者も多いかもしれない、それでも不自然なほど、数が少ないのだ。

私が経験した中で一番酷かったのは、破られたシェルター内での一件であろう。
そこには、確かに人がいた形跡、夥しい量の血痕があるにも関わらず、誰もいないのだ。
更に、シェルターの破壊痕は内側から破壊されていた。
空間歪曲能力を持つダーカーであってもフォトンを張り巡らせてあるはずのシェルターには侵入することは不可能、
(フォトンを有するアークスにダーカーが寄生できないのと同じ原理)
そして何より中にいたはずの人間、もしくはその死体はどこに消えたのか……?

……また、後日調べた情報では、データから算出した"そこに逃げ込んだはずの人間"は、全員MIA扱いになっていた。
シェルター内の映像データは消失となっており詳細不明、あまりにも不可解な一件だった。
いや、”一件”ではないか。
シップ内での戦闘では、度々このような不可解な消失事件が起きているらしい。

また、市街地で救助された生存者の中には精神を病む者も少なくなく、場合によっては特定シップ内のメディカルセンターへと搬送される。
その詳細は我々に伝えられることもない。
私には、それがまるで口封じか何かのように思えてきてしまう。
一体、救援に向かう前、襲撃されたシップでは何が起きていたのか……。
彼らは何を見た、もしくは聞いて、”精神を病んだ”とされたのか。

これは、あくまで推測だが、奴らは意図的にダーカーの襲撃を防がなかったのではないのだろうか。
目的はフォトンに特性を持たぬ民間人を利用した実験か。それとも別の何かか。
兎に角、何か目的があり、ダーカーに襲撃させ、目的を達した後は我々に駆除を依頼する……。
正直、突飛な発想で矛盾点だらけなのは理解しているつもりだ。
しかし現状の情報では、この程度の推測が関の山なのだ。
どうか無力で無知な私を許して欲しい

奴らは一体、何を考えているのか……この船団で何が起きているのか。
正直、結論はまだでない。

ただ、それでもひとつだけ言えるのは、私はそれでも私は前に進むしかない。
上層部の連中が何を企んでいるかは知らない。
時折我々アークスに下される、火山での卵型サンプル回収などの不審な任務の数々……。
情報はあまりにも少なく推測しか導きだせない状態だが、線へと繋がる点がまだどこかに隠されているはず。
ならば、私の取る行動はひとつであろう。

徹底的に奴の情報を引き出し、上層部共の企みを日の下にさらしてやる。
それが、"不慮の事故死"の憂き目に合わされた同僚たちと巻き込まれた人達への手向けになるのだから。


出来事


バーに向かう姿が確認されている。

現在、ブロック20のバーに向かう姿が目撃されるようになってる。
これは、私にとって一番意外な事かもしれない。彼が特定の場所へ、任務以外の目的で出入りするという事が……

緊急ミッションにて知り合った少年、レオーネの付き添いでバーに行くようになったのが始まりのようだ。(ケーキが目当てなのかもしれないが……)
そこで彼が見るようになった意外な一面…。
普段は見せない、人を笑わそうとする奇妙なな行動(本気かもしれないが)、そして作り笑いではない自然な笑顔。

それは、それなりに長い時間を共に過ごした私には、決して見せることのなかった自然な笑顔。
本人曰く”暖かくて居心地が良い場所、だからつい来てしまう”との事だ。
アークスでの任務以外……プライベートではあまり人とは関わりたがらない人間だと思っていたのだがな……。
彼はよく、カウンター席に座り、ケーキやらパイやら、甘い物を大量に注文しているとの事だ。しかも誰彼構わず口説き始めるとか……

この様子を見ていると、ますます彼の素性がわからなくなってくる。
彼は何を望んでいるのか、何をしようとしているのか……。

だが、それでも奴への疑惑が晴れたわけではない。
奴にとって、あの笑顔すらも作り物なのかもしれない。もしかしたら、バーの人間すらも利用するつもりなのかもしれない。
詳細はつかめていない、引き続き警戒し、様子を見ていこうと思う。

                 A.P.???/?/?? A.I.N※データに破損箇所が見られます

DFの出現について

先日、ダークファルスと呼称される超大型ダーカーの姿が確認された。
その規模は惑星のソレに匹敵し、その巨躯から繰り出される一撃は、アークスシップすらも粉砕するほどのモノだ。
もちろん、アークスもDFを迎撃に出るも、決定打は与えられずあくまで撃退に追い込むのが限界だった。
その後、何度も執拗に侵攻してくるDFに着実に我々は消耗させられていった。
そんな戦いの中にエリヤ・M・カーツマンもまた身を投じる姿が見られるようになった。

彼は、先日の一件のせいか、バーに顔を出すことはなくなった。
そこになるのは罪悪感なのだろうか?
彼は”自分にはあの場所へ行く資格はない”、そう話していた。

故に彼は一人でDFに戦いを挑んでいた。
いや、見知らぬ人間こそいたものの、彼の知る”友”はそこにはいなかった。
故に彼は独りである。
彼は、それでも死に物狂いで戦っていた。
理由は恐らく、奴をシップ03に近づけないためであろう。
ようやく分かり合う事のできた唯一の家族がいるソーンへDFを近づけさせないために。
DFが現れる度に毎回何隻ものシップが沈む。
いつ自分や家族が死んでいくかわからない恐怖の中、その恐怖の象徴たるDFに戦いを挑んでいたのだ。

そんなある日だった、DFの攻勢が激化する中で、彼はキャンプシップで見知った顔に再開することになる。
以前バーで何度か顔を合わせたことのある男…紅月・社(ヤシロ)だった。

ヤシロと共にDFへ向かう中、彼の陽気さに、身も心も疲弊しきっていたエリヤは少しずつ安らぎを感じるようになる。
それと同時に自分がなくしてしまったもの……いや、自身の手によって捨て去ってしまったものの大きさを改めて痛感していた。
バーの人間と過ごしていた時間、それは彼を彼たらしめてくれる時間だったのかもしれない。

ヤシロと共に挑んだDFとの戦い。
その眷属による圧倒的な力量さを前に敗北、一時後退するという自体に陥ってしまう。
しかし、二度目に挑んだDFの眷属ファルスアームとの再戦。
戦闘前にエリヤ達の元へと駆けつけたのは、見知った顔達だった。
それは、バーで同じ時間を過ごした者達。彼が求めていたものだった。

ほどなくして、DFの撃退は成功。
彼らもまた、帰路へとついた。

「今度、一緒にに飲みにでも行こう」

ヤシロはそう言った。
最初こそ困惑した表情を浮かべていたエリヤだったが、少しだけ考え、

「ああ。だが飲みにいくのなら、お茶しに行こう。
 久々に甘い物も食いたいしな」

穏やかな笑みを浮かべ、エリヤは答えた。

彼が死に物狂いでDFに挑んでいた理由、それはもしかしたら、”家族”のためだけではなく、
大切な”友”のためでもあったのかもしれない。


……私は、何を書いているのだろうな。
あの男は自分のため、多くに犠牲を強いた大罪人の一人、それは理解しているつもりだ。
……だが思い出してしまうんだ、彼と共に組み、戦っていた日々の事を。
あの男にまがりなりも”友”と呼ばれた日々の事を。
最初は、情報を引き出すことだけが目的だったと言うのに、私は……。
奴を憎しみ続けているというのに、私は一体何を……。

どちらにしても、こんな私情の混じった情報は使い物にならない、か。
もう一度、修正することにする。

                  A.I.N 廃棄データより

ロズニール失踪事件の記録  [エリヤ・M・カーツマン]


+ ...

正直な話、オレも最初から最後まで状況を把握していたわけじゃない。
まずはその事を考慮してほしい、抜けてる部分があれば謝罪する。

(訳:あくまでロズセッションでのエリヤ兄ちゃんの心境を綴ったモノです。
 本来の流れとお話は、ロズニールさんがUPしくれたログをご参照ください)

まずは、ロズに異変が起き始めたのは、事件が起きる数日前からだ。
オレ自身、偶然居合わせただけだが、教会がロズの手によって荒らされていた。
荒らされ方も酷いもので、壁には大量の肉切り包丁が突き立てられ、供物棚の後ろにはファンガルフルの死体が転がっていた。
そして供物棚に置かれた”お姉ちゃんの嘘つき”そう書かれた手紙が置かれていた。。

②これは、あくまで聞いた話だ。
バーでいつものように過ごしていたオレに報告が入った。
アウルの奴からだ。目の前で話ながらも、わざわざ個人通信とはな。
奴の話によると、キリュウとヤシロの奴がロズに襲われたらしい。
キリュウは義手を破壊され、ヤシロは腕を切断される重症を負ったとか……。

……ったく、今考えるとオレも何を動揺していたのか。
その話を聞いた瞬間、個人通信にも関わらず声をあげちまってな。

とりあえず、場所を変えて状況を聞いた。
アウルの話によると、襲われた人間の共通点は、あの日教会にいた事らしい。

……どちらにしても、これはロズが一線を越えてしまった、そう判断しても良いのだろうか?
オレやアウルが襲われるだけなら未だしも一番やっかいなのは、その場に年端もいかない新米アークス「ころな」が
居合わせてしまった事だ。
……正直言うなら、巻き込みたくはなかった。
アイツくらいの年齢の子供が傷つく所は、見たくなかったからな……。

それを言うなら、ロズもまた同じ、か。
もし、ロズがオレ達に牙を剥いたら、オレはアイツを撃てるのだろうか。

いや、最悪の場合は撃つしか選択肢はない。
……わかってる、わかってるさ。



最悪の状況だ。
薄々こうなるんじゃないかとは思ってはいたのだが、状況は、悪い方へ進んでしまってたようだ。

視線の先、防護ガラスの向こうで互いに刃を向け、対立しあうディアとロズ。

結局、ロズは狂っちまっていたっていた。
「きれいにする」そう言いながら、殺傷を繰り返す狂人に変貌していたんだ。

それでもアイツは…ディアは、わかっていたんだと思う。
ディアは、すべてを承知の上でロズの誘いに乗り、教会で決着をつけようとした。
ロズと、一対一で。

オレはこの時、何か違和感を感じていた。
ロズとディアの間に流れる、奇妙な感じは……。


戦いが始まってすぐに違和感は形となって現れた。
一方的に甚振るロズと、ロズにされるがままになっているディア。

……オレには、理解できなかった。
てっきり、ディアはロズを殺すつもりで誘いにのったものだとばかり思い込んでいた。
始まりであるディア自身の手によって、ロズを殺すつもりなのだと……。

だが、ディアの考えは違った。
”血塗れの化け物”となったロズを、ディアは説得するつもりだったんだ。

それは、理解できない行為だ。
今のロズは血に飢えた獣も同然、説得など通用するはずもない、そう思っていた。



ロズがディアを蹴り飛ばした。
鈍い音が聞こえ、朱い雫を散らしながらディアが地に伏す。

ロズに押され、傷だらけになるディアの姿に、焦りばかりが積っていく。
オレは銃のグリップを掴んだまま、食い入る様にその様子を見つめていた。

どうする!?
このまま行けば、間違いなくディアーチェは殺される。
そうなれば、必然的にロズの刃はこちらに向くだろう。
最悪、オレとベルゼ、ヤシロの三人がかりなら十分にアイツを止められるだろう。
だが、このコロナ達を守りながら戦えるのか?

何よりオレは……。

オレは視線をロズに移す。
頭を過ぎていくのは、氷のお守りを自慢していた頃の無邪気な笑顔。

……オレはッ……!

「エリヤ」

不意に呼ばれ、声の方向に目を向ける。
……ヤシロ。

「肩から力を抜いておけ、力み過ぎては、いざって時逆に動けなくなる」

……!
オレは、何を迷っていたんだ。
そうだ、今までと同じようにすればいい。
簡単な事だったんだ。オレにとっての優先すべきこと。
それは、”アイツ”を守る事だ。
ロズが血に飢えた獣となり、アークスや”アイツ”にその刃を向ける前に殺してやればいい。
ディアが殺されたとしても、奴をオレ達が三人がかりで確保し、その場で息の根を止めてやればいいんだ。

それに…―

……それがロズのためでもあるんだ。
そうさ、そうに決まってる。
血に飢えた獣、血染めの魔物となった人間は、もう戻れない。
人の姿をした化け物として、討伐されるべきものなんだ。


そう、オレにとって守るべき者はただひとつだ。
天秤に架けるのなら、彼女の命は”アイツ”に比べれば…”軽い”


だが、それでもディアの行動は、やはり理解はできない。
自分が死に際にいる。それなのに何故彼女は武器を取ろうとしなかった。

それどころか、ディアは刃を向けるロズを前にして武器もユニットもすべて投げ捨てた。

理解できない。それは明らかな放棄だ。
殺してくれと言わんばかりの……。



……結局はこうなるんだな。
オレは、目の前に横たわる、紅に染まった少女を見つめて毒づいた。
正直に言ってしまえば見たくはない光景だった。
”アイツ”くらいの子が倒れる光景なんざ……。
だが、遅かれ早かれ、この光景は目にすることになっていただろう。
ディアが殺せなければ、オレ達で殺めるつもりでいたのだから。
しかし結局の所、そうはならなかった。

ロズは、ディアに敗れたからだ。
いや、敗れたという言い方は語弊があるかもしれない。
ディアの説得によって、獣としての心が砕かれたのだろう。


そして、彼女は自らナイフで、自身の胸を貫いた。
それが敗者の定めであり、彼女の選択だった


……だというのに……―


「生きて、また笑ってくれよ・・・なぁ・・・・・・っ」

ヤシロが悲痛に叫ぶ。

「誰かこの子の手を握ってあげてください、少しでも助かるようにと・・」

シスターが言った。
その言葉に続くように、周りにいた者達がロズの手を握る。

必死にロズにしがみ付き、ロズの”命”を救おうとする者達。
助かる? 助かる事が、本当にロズのためなのか?
ロズは血の味を覚えた獣だ。
助かったところで、人には戻れないだろう。
この先、彼女は自分の存在に悩み続けるんだぞ。
それなら……もう……。


「……もう、休ませてやれよ」


気が付けば、オレは小さくそう呟いていた。
その場の空気が凍り付き、驚きと疑心に満ちた視線がオレに向けられる。

「こいつにとっての世界はどう見えていたんだ。
 生きることが、本当に幸せなのか?」

ロズは人でありながら、怪物になった。
人の生き血を求めて、笑いながら他者を傷つけ、殺める怪物に……。
狂い、壊れてしまった彼女は、恐らく元通りに戻ることなんてできない。
いや、仮に戻れたとしても、怪物としてキリュウやヤシロ、多くを傷つけてしまった現実は自身を苛み、傷つけ、苦しめ続けるだろう。
そして、またいつ自身が怪物に戻るやもしれなぬ恐怖に身を震わせながら生きるのだ。


……その苦しさをオレは痛いほど知っている。だから……


「……もう、休ませてやれ」

先ほどと同じ言葉を、オレは繰り返した。


「テメェ・・・」

不意に襟首を掴まれ、無理やり声の方へ向かされる。

「殺して楽にしてやるとでも言ってみろ・・・・・
 テメェを先にぶっ殺すぞ!」

声の主が、オレの襟首を掴みあげて叫んだ。
ヤシロだ。コイツは誰に対しても、誰よりも優しい。
過去にオレもコイツの優しさには救われた。
孤独の中にいたオレは、コイツに……。


……だが……


「……ヤシロ、お前は甘いよ」

吐き捨てるように、オレは冷たく呟いた。
そう、コイツは優しい、そして、その優しさは同時に甘さだ。
それに何より、ロズの生は周りの人間が望んだ、いわば勝手な理屈だ。
……そして、なによりロズは……

「そいつは…自分から死を選んだ!」

ヤシロの手をを払いのけ、オレは吐き捨てた。

「・・・・・・っ」

ヤシロ自身もそれは理解しているのか、言葉を詰らせた。
ただ、オレを見つめる視線だけは明確な敵意と怒り、そして軽蔑の色を宿しているのが感じられる。


ヤシロ、それがお前の選択だとしたらオレはお前の事を誤解していたのかもしれない。
あの日、オレが”人でなくなったら”殺める事で止めてくれる、そう約束してくれたお前にオレはどこかで期待していたのかもしれない。
あいつの甘さは十分に理解していたはずだ。
だがヤシロは、やはり優しすぎた。

オレは、この男に何を期待し、そして何を”背負わせようとしていたのだろうな”
彼にとって、オレが求めた事は……それは、この先、彼を責め続けてしまうことだろう。

……わかりきっていた事だというのに、オレは……―

……
……


……オレは、一人外で雪を眺めていた。
窓の向こうでは、相変わらずヤシロ達がロズを蘇生しようと必死に手を尽くしている

「……ロズ…妹が出来たら、お兄様に大切にされたように…
 大切にしてあげようって…思ってた」

時折耳に入る、悲痛な想い。
ディアーチェの……姉の妹を想う悲痛な呼びかけ。
ディアは、既に虫の息の状態であるロズに対し、必死に懺悔しているようだった。
その言葉が届いているのかは、正直わからないが……。

オレは、そんな彼女達の言動に、内心憤りすら覚えていた。

ディア、お前にはわからないのか……。
血の味を覚えた獣は…血に染まった怪物は…元になんてもどれない、
戻れないんだよ……。


「まるで自分がなった事あるみてェな言い草じゃん」

不意に声をかけられ、視線を向ける。
ベルゼか。

「……お前には関係のない話だ」

オレは冷たくそう返した。
そう、コイツには関係のない話だ。
オレが化け物だろうと、なんだろうと。

「……そっか……」

寂しそうに笑うベルゼに少しだけ胸が痛む。
……コイツはコイツなりに色々、オレを気にかけてくれた。
バーでの一件の時も、オレを心配してくれていたらしい。
事件の後日に聞いた事だが……。
だからなおの事、こいつらには言えなかった。


「なぁ、ベルゼ……なんでお前は、あの二人を信じることができたんだ?」

それは、素直な質問だった。
はっきり言ってしまえば、こんなのは、ほとんど勝算のない賭けだ。
なのに、コイツは……。

「最初は、オレも半信半疑だったけどな……
 頃合を見て大窓をブチ壊して乱入、そのままスモークでも炊いてディアを無理やりその場で確保して逃げる算段を考えてた。
 でもさ……
 全身傷だらけになりながらもロズから目を逸らさずに、真っ向から挑んでいったディアを見てる内に、な…」

……心を動かされたってわけか。
ロズを救いたい、そう思うようになった、と。


オレは視線をロズ達に移す。
その先では、ヤシロやシスター達が、変わらずロズに手を尽くしているのがわかる。

……ロズを”救いたい”、か。


「帰ってこいよ・・・お前が、笑って欲しい人だっているだろ?
 その人のために・・・・・・帰って、こい・・・な・・・?」

それは、ヤシロの声だ。
泣き出しそうなのを堪え、必死にロズに声をかけ続けている。

「もうちょっと、もうちょっとだからお願い・・・ 」

それは、シスターの願いだ。
必死に傷口を接合しながら、涙混じりに声をかけている。

「助かります。ですよね・・・?」

それはころなの想いだ。
ロズの顔に付着した血を拭いながら、まっすぐに言った。



こいつらもまた、ロズを救いたい、そう願っているのか?
コイツは、”まともな本人”の意思に反する獣を飼っているというのに。


「……もし、ロズが逃げ出したら、お前はどうするつもりだったんだ?」

オレは、視線をロズに向けたまま、ベルゼに尋ねた。

「そん時はそん時さ、例え今回がダメでも次、そのまた次を考えればいいさ」

「その間に、身内が襲われる危険だってある。
 ……危険は、何か起きる前に消しとかなきゃ遅いんだ」


そう、アイツは今回こそ法則的に、未遂に終わったが殺人を犯そうとしていた。
だが、いつそれが無差別な殺意に変わらないとも言い切れない。
いや”殺意”そのものがないのかもしれない。
逆にそれが余計にやっかいだろう。



……だから、ここでロズが吹き返すようなら、オレが……



オレが、ヤツを人のまま死なせてやる。
他の無関係な人間を……”アイツ”を、巻き込んでしまう前に。

腰につけた、ガンベルトに目をやる。
そこに収納された二挺のマシン・ピストル。
息を吹き返したのなら、何食わぬ顔でそこに近づき、コイツを抜いてトリガーを引けばいいだけだ。

……そう、それだけだ……。


「……何か起きる前に消しとく、か。
 エリヤ、お前の考えは間違っちゃいねーよ。
 でも、危険だから消す?オレ達は動物じゃねーんだ」

耳に入ってくるのは、ベルゼの言葉。
理想ばかりで、現実味を帯びない、甘さを含んだ言葉だ。

……だけど……
その響きは、酷く焦がれていたモノのように聞こえる


「もっと人と人との絆を信じてもいいんじゃないかって オレは思うぜ」


……絆、か。
それは、もしかしたら、オレが何よりも求め、焦がれていたモノなのかもしれない。


オレは、室内のロズとディアに視線をやる。


「………ロズ…お願いだよ…帰ってきて…」


目の前で、必死にロズの名を叫ぶディア。
それは、紛れもなく姉と妹の絆か。
そして、そんな彼女に続き、ロズの蘇生に力を貸すヤシロ達。


そこには、確かに”絆”があるのかもしれない。


―…ロズの宝物を見せてあげるから…―

不意に浮かぶのは、先日、キリュウ達とふざけ合っていた時のバーの光景。
”幸せ”そうな笑顔を向け、楽しそうに過ごすロズ……。


「…………」


オレはマシンピストルをガンベルトごとナノトランサーへ送った。

恐らく、これがあったところで、”もう役には立たないだろう”。
それを思い、オレもとんだアマちゃんだと自嘲した。




しばしの時間が過ぎて、ロズが目を覚ました。
窓の向こうでは、ディア達が彼女を囲み、その喜びを噛み締めている。。

ベルゼは少し前にロズ達の元へと戻って行った

「オメーもそんな所にずっと居ると風邪ひくぜ、頃合見て入ってこいよ」

そう言い残して。

だが結局オレは、アイツらの……ロズの元へは戻らなかった。
……いや、戻れなかった。
オレには、その資格はないのだろう。
一度は絆を不定し、アイツの死を願い、そして死をアイツの救いと考えるオレには……。

オレはその光景を一通り見守り、視線を虚空へと移した。
視界を覆い尽くさんばかりに広がる灰色……。


「……お前は、それでもこんな世界で生きたい、そう思うのか?」


答えのない問いかけは、空しく雪空に消えていく。
散々ゴミどもの道具とされ、弄ばれ、そんな中で生きてきて……
それでも、「この世界に在り続けたい」と、お前は言えるのか?



その日、オレはいつも通りバーへと向かった。
いつも通りの道を抜け、いつも通りの扉を抜けた先、
そこではいつも通りに、いつも通りの常連がいつも通りに談笑していた。

……何も変わらない、いつも通りの日常。
そんな中、オレはある一点を見つめる。

……ロズだ。
アイツは、楽しそうに他の常連と談笑し、オレンジジュースを飲んでいた。

すべてが元通りになった。そんな風な錯覚さえ感じさせてくれる、そんな光景だ。
そして、そんな光景を見つめていると、フッと笑みが零れた。

……恐らく、これがロズの”答え”なのだろう。

隣に座るディアとロズを見つめ、幼いのころ”彼女”が読み聞かせてくれた美女と野獣の話を思い出す。
悪い魔法使いに、野獣に変えられてしまった王子様は、お姫様の想いで元の姿に戻る。
……真に想いが届き、人に戻れた野獣……つまりは奇跡、そういう事なのかもしれない。
ディアだけではなく、大勢のロズを想う思いが、彼女を曲がりなりにも人に戻した、そういう事なのだろう。


……結局、身勝手だったのはオレの方だったという事だ。
勝手にアイツを自分と重ね合わせ、不幸であると決め込んだ。

ヤシロ、ベルゼ……お前たちはやはり甘い、甘いよ…。
だが、その甘さがアイツを救ったんだよな。

……だけど……
きっと、オレはお前達のようにはなれない、なれないよ。


シークレット・データ

+ ...
以降の項目は、エリナリさん達の核心に当たる部分が含まれております。

アークスシップ219番艦にて、研究員である父ライとその助手であった母サイネリアの間に生まれる。
それなりに裕福な家庭ではあったが上記の通り両親は多忙であり家で一人過ごすことが多かった。
ある日、そんな我が子を見かねて両親はエリヤに一体の子守用のキャストをプレゼントする。
それは、高い感受性を持つオーダーメイド機であり、彼もそのキャストを気に入り「ソレイユ」と名づけた。
ソレイユはその名の通り太陽の様に明るく彼を照らしてくれていた。


幼少時、エリヤの外見は、まるで少女を思わせるかのように華奢で可憐であった。
しかし、彼はそんな自分の外見を嫌っていた。その外見ゆえに周りの子にはからかわれ、内気で弱気な性格の彼は、いつも泣いてばかりいた。
そして、そんな泣いてばかりの彼を優しく抱きしめてくれていたのがソレイユだった。
彼にとってソレイユは、いつも彼を支えてくれる、大切な家族だった。



ソレイユが来てから数年、エリヤにも妹ができた事がわかった。
大きく膨らんだ母親のお腹に耳を当て、その鼓動を聞く。
姿はまだ見えないけど確かにそこにいる新しい家族。自分よりも弱くて小さい小さい妹。

…そんなある日、いつもの様に泣きじゃくる彼にソレイユは一冊の絵本を送った。
それは小さな騎士の成長を描いた、一冊の絵本だった。
それは、小さな騎士がお姫様を守るために悪い魔物に立ち向かう英雄譚。

―…坊ちゃまはもうすぐ”お兄ちゃん”になられるのです。
   これからは生まれてくるお嬢様を今度は坊ちゃまがお守りするのですよ…―

それは彼の独り立ちだったのかも知れない。
それからの彼は、どんないじめにも耐え、そして戦った。
もちろん、彼は力も体もその外見どおりに華奢で喧嘩をしても勝てるはずがなかった。
それでも、彼は決して涙を見せることはしなかった。
約束を守るために、強い”兄”になるために。
彼は”泣き虫”から卒業したのだ

しかし、幸せな日々は彼が15の時に終わりを告げる。
……アークスの大量失踪事件とそれに伴う大規模なダーカーの襲撃が起きたのだ。
彼の住む219番艦は一瞬にしてダーカーに飲まれた。

その日は丁度ソレイユがカーツマン家に来た日であり、彼女のバースディプレゼントをナリアと一緒に模索していた。

彼は5歳の妹を背負いながら、ダーカーの溢れ出す市街地を駆け抜ける。
父や母、そしてソレイユが心配だったから……。

やがて視界に入ってきたのは大きく傾き、崩れかけた自分の家だった。

歪んだドアを蹴破る。
そして必死に両親とソレイユの名を叫んだ。

神様、どうか…どうかッ!!
祈るような思いで彼は必死に探した。

やがて、居間で仰向けに倒れているソレイユを見つける。
妹を降ろし、急いで彼女の傍に駆け寄る。
「ソレイユ!」
必死に彼女の名を叫ぶ。
隣ではナリアが心配そうにその様子を見つめていた。

「……ぼ…ちゃま?…お嬢様…?」

よかった!無事だ!
彼女の声を聞いてほっと胸を撫で下ろした、その時だった。

「お、おかーさん?」

その声に思わず振り返る。

よかった!母さんも無事だったん……

そう言いかけて、彼は思わず言葉を飲み込んだ。
妹の…ナリアの目の前にいた母親は、紛れもなく彼の母親だった。
しかし、明らかに様子が変だ。

まるで、壊れたマリオネットのようにダランとした体躯。
四肢からはギチギチギチと不気味な異音をあげており、
その目は紅くギラつき、静かにナリアを見つめていた。まるで獲物を狙う猛禽類のように……。

そして何より、その腕は既に人のモノではなかった。
赤黒い鎌、それが彼の第一印象だ。
そして、その鎌を妹に向けて振り上げ、今にも振り下ろそうとしていたのだ。

「やめ…!!」

必死に叫びながら母親に飛び掛る。
しかし、彼の悲痛な叫びは、”母親だったモノ”には届かない。
無常に振り下ろされた死神の鎌は的確に妹の頭に向かい進んでいく。
最愛の娘を切り裂き、無残な屍とするために……。
彼には、その光景が酷くゆっくり見えていた。
もちろん自分自身さえも……
ダメだ…間に合わない……!

すべてを諦めかけた、その時。
何かが自身の隣を駆け抜けた。

……ソレイユだ。
彼女は人間の何倍もの脚力を生かし、”母親”に掴みかかったのだ。
必死に母親の鎌を押さえ込みながら、彼女は叫んだ。

「ぼっちゃま!
 お嬢様をはや……ガッ」

ソレイユの言葉が異様な声と共に途切れる。
彼女の背中からは無数の赤黒い槍が生えていた…。いや、違う。
貫かれたのだ。

……誰に?
    ―…母さんに―

……誰が?
    ―…ソレイユが―

「うわああああああああああああああああああああ!!!」

彼は、叫んだ。
声にならない声で。
それは嘆き、慟哭だった。
認めたくない現実。
嘘であると言ってほしい。
誰でもいい、すべては悪い夢だったのだと……。

呆然とする彼の前で、音を立てて”ソレイユだったモノ”が崩れ落ちる。
あるいは、それは彼の中の現実が砕ける音だったのかもしれない。

何も認めたくない、きっとこれは悪い夢で、朝になってソレイユに起こされるんだ。
それで、トーストを食べながら馬鹿な夢を見たなって笑いあうんだ……。

「ははは……」

渇いた笑みを浮かべるエリヤ。
もはや彼には現は見えていない。
幻想の中に想いを馳せ、辛い現実からの逃避を図っていた。
そして、そんな彼を静かに見つめる紅い瞳。
燃えるような紅い瞳でありながら、その視線はまるで凍てつくかのように、冷たい。
紅い目のソレは視線を彼に向けたまま、ゆっくりと腕を振り上げる。
抜け殻のような、息子の命を奪うために。

「やめて……おかさあぁぁあん!!」

声が聞こえた。

刃が顔を掠り、床へと突き刺さる。
……左目に焼けるような痛みが走った。
振り下ろされた刃が右目を掠り、床に突き刺さったのだ

そして、その痛みが彼を現実に引き戻した。

……ッ!
声の方へ視線を向ける。
そこには、恐怖に顔を歪ませた少女が……妹が自分を見つめていた。

―…坊ちゃまはもうすぐ”お兄ちゃん”なんです…―

不意に甦るのは、かつての約束。

―…お嬢様を今度は坊ちゃまがお守りするのですよ…―


「―ッ!うわあああああああああッ!!!」


目に入ったのは銀色に輝く刃。
かつて父親が自慢げに展示していた、一本の刀剣だ。
彼は視界に入った刃元までかけより、倒れたショー・ウィンドウの中から銀色の刃を……アギトを引き抜く。
かつて、父親が集めていた骨董品だ。
曲線と刃の波が美しいカタナと呼ばれる部類の武器であり、前世代の刀剣だ。
だが、無我夢中の彼には、そんな事を考えている余裕なんてなかった。

美しい曲線を持つそれ母親に突き立てる、全体重をかけて、深く、深く……。
刃が母親の中へと沈んでいく感触とその血の温もりがその手を通して感じる。


「おかあさん!おかあさん!!」

亡骸にに泣きつきナリアが悲痛に叫んでいた。
しかし、ソレが動くことはもうない。

「……ナリア」

泣きじゃくる妹をそっと抱きしめようとして、その手を止める。
視界に映ったその腕は赤く紅く、血に染まっていた。
そして、自分こそが母親を殺めた張本人であることを自覚する。

…紅く染まったその手では、もう彼女を抱きしめてやる事もできない。

自分の無力さを噛み締めながら、彼にできるのは、泣きじゃくる妹をただただ見守るだけだった。

自分はなんて無力なんだろう。
こんな時に、オレはアイツに何もしてやれないなんて……。


ゆっくりと、彼は母親の方を見つめた。

あの時、左目を掠った刃。
正確に自分の頭を裂こうとしていた刃。
なのに、それは彼の左目を掠る程度に留まった。

もしかしたら、あの時のナリアの叫びが、母さんの一時的にでも母さんに戻したんじゃないか?
だから、抵抗もなくアギトに貫かれたんじゃないのか?

そればかりが頭を過ぎ去っていく。


「……グッ…」

唐突に、自分の胸に焼けるような痛みが走る。
その様子に、振り向いたナリアが驚きと恐怖に顔を歪め、何かを叫んでいた。

ゆっくりと自分の胸を見つめる。
自分の胸から、何かが生えていた。
そう、それはソレイユを貫いたものと同じもの。
赤黒い槍が彼の胸を貫いていたのだ。
肉を抉るような不快な音が聞こえ、ゆっくりと槍……いや、異形の腕が引き抜かる。
膝が折れ、彼はその場に崩れ落ちた。
…全身から、何かが流れ出ていくような感触がし、酷く生臭い血の香りが鼻腔を着く。
……冷たい。
視界も、音も、何もかもが冷たく、世界がモノトーンに染まっていく感覚がする。

「……いさん!に…さん!!」

誰かが呼んでいる気がする。
その少女は必死の形相で彼に泣きつき揺すっていた。
そして、自分とナリアに落とされた黒い影。視界に映った赤黒い異形……

……父さん……。


「……ッ!!」

アギトを握った右手にありったけの力を込める。
そしてその刃で、今にも振り下ろさんとする異形の大鎌を切り裂く。
赤黒い体液を辺りに撒き散らし、鎌は明後日の方角へ飛んでいき、壁に突き刺さった。
そしてそのまま刃を、バランスを失い倒れこんできた父親の首へと突き立てる。

肉を断つ感触と共に、ごとん、と嫌な音を立てて、何かが床をに落ちた。

……ああ、またこの感触だ。

彼は、静かに心の中で毒づいた。
結局、母親だけではなく、父親さえもその手にかけてしまった。
最悪の感触を、この手に残して……。

何もかもが疲れた。
だけどただひとつだけ……彼女との約束を守れたのなら、アイツを…妹を守れたなら、それで十分なのかもしれない。

遠くなる意識の中で必死に誰かが叫んでいる気がした。
……酷く、疲れたんだ。もう、休ませてくれ……。

……
……

気がつけば、メディカルセンターのベッドの上で寝かされていた。
悪い夢でも見ていた気がする。
頭痛のする頭を抑え彼はゆっくりとベットから降りようとした。
しかし、地に付いた足は、彼の体重を支えることができずに、そのまま縺れ倒れてしまう。
そのまま、自力で立ち上がることさえもできない状態の中で、彼は状況を悟った。
手術衣の開いた胸元から覗く傷。それは丁度彼の心臓の部分に位置しており、その部位だけ赤黒く染まっていた。それはまるで、あの時の両親の肉体と同じように……。

それは、悪夢の続きだった。
そして、その傷は彼にとっての悪夢であると同時に現実であることを証明する。

ならばナリアは?
アイツは無事なのか!?

ただならぬ不安が彼の心を締め上げていく。
自分だけ助かっても、アイツが助かってなければ意味がない!!

彼は叫んだ。
必死に妹の名を。
姿の見えないただひとつの希望を。

やがて、”男”が彼の元を訪ねたのはそれから5分後の事だ。

「……妹に会いたいかね?」


男に案内された先、そこはメディカルセンターの個室だった。
白い壁に白い床、白い天井……辺りを囲む白が、先ほどまでの自分の悪夢と対照的で、酷く眩しく感じた。
開かれたドアの先、彼の視界に映ったもの。
ベッドの上から、静かに外を眺める少女……。

「ナリ…ア…」

静かに、少女の名を呼ぶ。
捜し求めていたその名を。
自分にとっての最後の希望を。

ただ一人残された唯一の家族の…妹の名を……。

「……あ、兄さん」

振り向き、優しい笑顔を向ける少女。

「おとーさんとおかーさん、遅いね。
 今日は、ソレイユの誕生日だからパーティーの準備しなきゃいけないのに」

ドクン、と心臓が脈打つ音が聞こえる。
失ったはずの心臓が……その鼓動が早まっている。
少女は虚ろな瞳を彼に向けた。
それは以前、彼が幻想の中へと足を踏み込んだときと同じ、光のない瞳。

「あ!兄さん、後で買い物行こうよ。
 ソレイユがビックリするようなプレゼントを用意しようね」

―…ドクン!

エリヤは思わずナリアに手を伸ばす。
だが、視界に映るその手は紅く染まっていて……

「……ッ!」

…思わずその手を引っ込める。
実際に紅く染まっているわけではない。
しかし、エリヤには見えてしまっていた、赤黒く、血の色に染まったその手が。

ナリアはキョトンとした表情をした後、またいつもの笑顔を浮かべた。

「お父さんとお母さん、遅いね。
 どうしちゃったんだろう」

……彼は、それ以上、ナリアを見つめる事ができなかった。
本当なら、抱きしめて大丈夫だと言ってやりたい。
すべては悪夢だったんだと言ってやりたい。

……だけど今の彼にはそれができない。
血に染まったその手で、彼女に触れることなんてできなかった。

「…………」

「……救いたいかね?
 ……その娘を……」

”男”は尋ねた。


それが、すべての始まりだった。
男はエリヤに言った。
失くした心を取り戻したいなら、そして妹の身を守りたいのなら取引をしろ、と。

それは最早、取引と呼べるようなものではなかった。
心を失った妹を実験素体とし、犠牲にするか。
それとも、彼が上層部の実験に協力し、妹を守り、その心を救うのか。
「私達も”協力者”の身内を実験体として使うような非道はしないよ。
 協力者の身内、ならばね」
男は、下卑た笑みを浮かべ、エリヤに問いかけた。
そこに選択の余地はなかった。
妹を連れて逃げる、そんな考えも浮かんだ。
しかし、所詮は完全に管理された船団だ。

”彼にとっての牢獄…この船団内に、逃げ場などどこにもなかった”

そして彼は、連中に言われるがままに任務を全うした。
その多くはダーカーの制御実験だ。
シップを一隻犠牲にし、そこにダーカーをおびき出す。
司令塔が存在しない現状のダーカーに対して、彼を使いダーカーを制御するという物だ。
しかし、実験が成功する事はなかった。
ダーカーを誘き出す事まではきても、それを制御することなど到底できない。
最初からわかりきっていたことだろう。
だが、彼らの目的は”彼”がダーカーを制御することではなく、”彼”と実験のデータから、制御用システムを開発することだ。
それに、連中の目的は実験だけではなかった。
それは実験を兼ねて連中にとっての邪魔者を消すことだ。
彼の能力は、連中の目的に大いに貢献した。
無関係な人間を大勢巻き込みながら……。

そんな毎日の中。
彼はソレイユが遺した絵本を見つめ、自分が騎士になれない事を悟る。
その手を多くの血で染めて、大勢の命を奪い去った自分は差し詰め、絵本に出てくる悪い魔物だ。自分は、悪魔に魂を売った悪い魔物なのだろう……。
もう、騎士になることは……できない。

夢も大切なモノもすべて失った彼にただひとつ残されていたもの。
そこにあったのは、兄としての責務だった。
今は亡き、掛け替えのない存在が遺した言葉を今でも思い出す。
”オレがナリアを守っていく、たとえ他の何を犠牲にしたとしても……”

たった一人の”家族”を……妹を守るため、彼はその手を血に染め続けるだろう。
いつか、悪い悪魔から妹を解放する日まで。
そして彼は見つめる。
血染めの魔物である自分が、騎士に討伐されるその日を。


※データ

子守用キャスト”R.Soleil(ソレイユ)”

古い言葉で太陽を意味するオーダーメイドキャスト。
意識の根底に特殊な因子を組み込んでおり、高い感受性と創造性を所持している。
絵本を書いたり、子供の複雑な心境に共感、同調できるのは従来のアンドロイドには持ち得ない感受性、創造性故である。
エリヤにとって彼女こそが暖かな日差しであり彼女のいる場所こそが日の当たる場所であった
219番艦の襲撃事件以降、その亡骸……残骸が回収されたとの情報もあるが、詳細は不明である

ダーカー制御計画(project:MB)

強大な統率力、物量を持つダーカーを総合支配するための計画。
マグなどのように少量ながら、体内の因子及びダーカーの細胞を制御できるテクノロジー強化、発展させ最終的にはD因子、細胞を持つすべての生物を統制制御するための計画。
ダークファルス封印により、影響力の弱まった因子、細胞、そしてダーカーを制御することを目的としている。
実験体としてダーカーの細胞を体内に持つ人間を使用し、その人間からの意思により、意思をもたないダーカーにどれほどの影響を与えるか、
またそのメカニズムを解析しているのが、現段階である。
しかし、上層部の思惑とは別に、予想外の早さでDFが復活してしまった。
これにより計画自体が白紙に返り、エリヤ、ナリアを含む実験体は、すべて処分されたと思われたのが……。
現在、べつのラボにて方向性を変えられた計画が進行中との情報がある。

実験体(D型人類)

制御計画用の実験体を指す。
外因的な要因などから因子に寄生され、ダーカー化へと向かいはじめた人間。
ダーカーに変異するまでの期間には個人差があり、因子に寄生されると同時に全身をD型細胞に変換される者もいれば、
数ヶ月、あるいはほぼ変異せずにすむ者もいる。(変異しない者が特殊抗体型と呼ばれている※下記参照)
しかし、大抵の者は遅かれ早かれダーカーへと変異してしまう。
感染してしまった大多数の人間が上層部に実験体として上層部に確保されているが、稀にそれを逃れられた人間もいるという。
※エリヤがこれに該当する

実験体(特殊抗体型)

因子に対する抗体を持つとされる人間。
(しかし、実際の所因子に対する抗体は見つかっていない)
要因は不明だが、ダーカーへと変異せず、因子と共生関係を持つ者がいる。
発見こそされていないが因子に対する抗体が存在するという説と
因子そのものがDFの意思を受け取っているのだとしたら、ダーカー化させない方がDFにとって有用であるとされる説がある。
どのような意味で有用なのかは不明だが……。
また、どちらの説も憶測の域を出ていない。
※ナリアがこれに該当する

ダーカー:オートノミー種(Type,Autonomy)

将来的に出現の可能性を予測されている新種のダーカー。
ブレインとも言えるDFの支配を受けず、完全に自律したダーカー種。
D型人類が完全にDFの制御下から離れ、独自にダーカー化した場合、この種へ進化するとされている。
(わかりやすく言えば自我を失わずダーカーとなった人間)
あくまで理論上のみの存在であり、この種へと変化した人間はいない。
現時点では、ダーカーに変異したすべての人間は、自我を失いDF統制下に入ってしまった。
人類にとって将来的にこの種は第三の脅威となる事も危惧されている。
……なお情報によると、この種を人類の進化と捉える考え方もあるようだ。





※※人間関係

レオーネ・バルトレッティ・ジュニア

 緊急ミッションの際、即席でチームを組んだことにより知り合った少年。
何故か、エリヤはこの少年の事を非常に買っている(同性愛的な感情ではないとは思うが……)
……だが、その様子は傍から見れば、兄弟のように見えなくもない。
無論、レオーネがしっかりし過ぎているため、逆転している感も否めないが……。

もしかしたら、エリヤはレオーネに、自分が避け続けている妹の姿を被せているのかもしれない。この事を踏まえると、彼がナリアを避けるには何かしら事情があるのだろうか?
詳細は不明であるが、エリヤが異常なまでに彼を気に入っているのは間違いないだろう。
……あの男は何を考えているのだろうな。

ベラ

エリヤが出入りを繰り返すバーで出会った女性。
詳しい事情は不明だがエリヤはこの女性に深い”親しみのようなもの”を感じているようだ。
彼女がかつて所属していたという”闇の組織”、そして彼女を含め”ダークニューマン”と呼称される種族……。
彼女についてもハッキリとした事は不明であるが、エリヤは彼女についてのデータ及び彼女が所属していたという組織の記録、
そしてダークニューマンを製作した”研究所”についてのデータを集めている様子が確認されている。
……あの男は、一体何を探り出そうと考えているのか。
彼女の情報、ダークニューマンという存在、及びダークニューマンを製作した”研究所”がエリヤ、もしくは上層部連中の思惑と関わりがあるのか?
……彼女とエリヤについても引き続き調査していく必要があるだろう。

ドラグスタ・スタッズ・コヴェイン

他に同じくバーで知り合った壮年の男性。
エリヤは彼を随分慕っているようである。
特に彼のくゆらすタバコの香り、それに何か懐かしいものを感じ取ってい様子が見受けられる。
また、エリヤは彼を自分と同じ、帰る場所を持たない”野良犬”と呼んでいた。

アークリンデ

緊急任務で、即席チームを組んだことにより知り合ったキャストの女性。
割と落ち着いた物腰のキャストのようで、バーでハイテンション状態のエリヤに突っ込みを入れてくれている。


裏話

A.I.N(アイン)さんのデータベースについて、彼のデータに調査中の項目が多いのは、
今後明かされていくであろうPSO2の設定にある程度合わせられるようにするためというのが理由のひとつです。
(設定自体のイメージは完成しているのですが、PSO2の設定を推測したものなので……。
 今後、公式設定が明かされていっても、ある程度修正が効くように少しばかりの”謎”を入れさせて頂きました)
オリジナルスタイルとして投稿させて頂く以上、公式設定を極端に改変しないための配慮としてご了承頂けたら幸いです><
いやほんと、曖昧な表現が多くてごめんなさい(汗




「ウフフ♪」


「本当の悪者ってのはね、目に見えない所にいるものなのよ」


フルネーム ニア・ニュートン
あだ名 ニア姉ちゃん
種族 ニューマン
年齢 な・い・しょ♪
一人称
性格 面倒見が良く、優しく気が利くお姉ちゃん
幼い頃から一人で暮らしてきたせいかしっかりしている
所属Ship ship03
所属 アークス
クラスレベル Ra6 Fo2
IDネーム Dr.アシモフのA.I.ラボ
好きな物 お酒かしら♪
得意な事 家事全般
密かな悩み イニシャルがNNな事

※ニア・ニュートン 調査報告書


オラクル直轄のラボで研修員として働く両親を持つ(父:アーウィン・ニュートン 母:ナタリー・ニュートン)
普段、両親は研究ラボにて住み込みで働いているため、彼女は幼い頃から親戚の家に預けられていた。
(情報の漏洩を防ぐ為に半場監禁状態だったという情報もある)
しかし、ある日、ダーカーにより彼女達の住むアークスシップが襲撃を受けてしまう。
ニアは無事にシェルターへと避難することができたが、ラボにいた両親は逃げ遅れてしまい行方不明に。
しかも、両親の働いていたラボは襲撃時、真っ先に、それも執拗に攻撃され全壊。生存は絶望的とされている……。

その後、ダーカーに対する憎悪のためなのか、アークスへと入隊。
時折エリヤとバディーを組み、任務に当たる姿が目撃されている。

その後、エリヤの妹、ナリアがアークス研修生として入隊する。
どういった経緯かは不明だが、ナリアに色々と世話を焼くようになる。
時にはアークスの先輩として、時には同じ女性として、時には年上の大人として、時には良き友人として
ナリアの相談を親身に聞いて共に悩み、一緒にショッピングモールを歩き二人楽しく笑いあう。
その様子は、まるで本当の姉妹のようにも見えるほどだ。

また、意外な事にもかなりの酒豪であり、酒が苦手なエリヤを無理やり連れ回していた時期があった。
なお、酒癖は非常に悪く、人格が代わるらしい。エリヤ曰くどこかの怪しい言語を使用しはじめるとか……。
もちろん、本人はさっぱり忘れているため、なんの事やらサッパリだ。
……ごほん、これは必要ない情報だったな。
引き続き調査を続けていくとしよう。

                                                  A.P.237/10/20 N.I


アークスとして


一見どん臭そうに見えるが意外にも眼鏡は伊達、戦闘時には髪を後ろで束ねるという活動的な一面もある。
情報収集能力、状況分析能力に優れ、主に現地でのアナライズを担当する。
戦闘では主にセミオートマチックライフルを使用し、ミドルレンジからの狙撃により味方の援護を担当している(ようはマークスマン)。
……はずだったのだが、現在のアークスでは狙撃に使用できるセミオートライフルがないため、
現在はアサルトライフルを代用している。弾がバラけて狙撃しにくい、と嘆いているようだ。
現在は狙撃用に使えるセミオート式ライフルの解禁を心待ちにしている……らしい。

エリヤとバディを組んでいたときは、彼の視力と射程を補うように立ち回っていた



Thank you for reading it.












英雄は、ひとりじゃない
誰もが誰かの英雄であり、同時にそう在ろうとする。















                     **ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました



おまけ+α

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最終更新:2013年02月22日 10:33