『オルガ・オルカ』<orga-orca>【固有名詞】
アリシェの内部――フォトン網の内側にまで潜伏ののち発現していた”ダーカーの意識”
他のダーカーと異なるアイデンティティを持ち、明確な「自我」とその制御に強く拘りを持つ。
「ダーカーは全てが同じグループではなく、幾つかのグループ=コロニーに分かれている」など
いくつかの情報をもたらした。
数度の活動ののち、眠るようにアリシェの人格と交代。
ダーカー因子の揮発は見られなかった為消滅したと断言できないが、少なくとも表層へ出たり
今現在何かを考えるほどの意識は残っていないだろう。
名前の由来はそのままオルカ(Orca)であり
思念波に近い方法で意思疎通を続けてきた”ダーカーの”オルカにとって「声(=音)での伝達はとてもロマンチック。まるで唄を歌うよう」に感じており
アリシェに”降りる”までに他のアークスから吸収した情報にあった生物の名を拝借した。
彼女(?)がもたらした情報は希少なものではあったが、同時に
- 同じように上層部をはじめ、あちらこちらに”明確な意思を持ち活動する憑依体”が存在すること。またその善悪はまちまちである可能性が高いこと。
- 憑依されたアークスを通じ、A.I.Sなどの兵器を実用上問題なく運用できる(オルカの場合、アリシェの脳を使って強引に処理を行ったため非常に負荷は高かったが)
- オルカのケースにおいては、アリシェの記憶などをほぼ完全に継承でき、完全に成りすますことも可能であったようだ。これは非常に高速なコンピュータでデータ(=記憶など)を検索するのに近いらしい。
などの喜ばしくない例をも残した。
初回の表出からおよそ数ヵ月後、世壊領域にて重度侵食を受けたアリシェの命をつなぐ形で再度表出。というより、「因子侵入が強烈でたたき起こされるようだった」とのこと。
因子の抑制および制御のため。そして侵蝕により変異・崩壊したアリシェの身体を維持再生するために長らく表に立つ。
能動的に期間を短縮する術が無かったため、常時意識化で因子への干渉と身体再生を行いつつ、周囲の人間や環境とかかわり思考するという”趣味”のために動いていた。
同じくアークスに降りた存在である【渡鴉】<レイヴン>や、キャストであり己を人間と主張するアニマなど、普通の人間でない相手とも関わる。
互いに興味を持つ部分もそれなりに多かったようだが、前者は【渡鴉】が。後者はオルカが先に消滅することにより完全な対話は叶わないままである。
常に思考し、観測し、整理し続ける中、アリシェへと”差し戻す”準備が整う。
結局のところはダーカーとも、ヒトとも言いがたい”何か”であるオルカにとっては共存も、別個として生きる道も無く、仮にあっても選ばないだろうことを己で確信しながら
あくまでダーカーを名乗り、かすかに笑い、かすかに泣いて、消滅した。
確定した形状ではなく、散り行く無数の花弁として現出。それは存在しないものでありながら、誰もがどこかで見たような錯覚を覚える花である。
眼前から散る花弁のその内容にコアと推定される存在があったようだが、確認できてはいない。
己が統べる群体の構成を失い、ヒトではなく、ダーカーでもなくなったオルカは、自らの核について特段意識せずに現出させた。
存在せず、しかしどこかで見たような錯覚を抱かせるその花は、何を乗せて散ったのだろうか。
最期には急速に自我が欠落。得たものを失う中で何かを得、同時に消滅した。
存在の急激な拡散による混濁か、名実共に完全な消滅なのか、それは誰にもわからない。
ただ、彼女は多くのものを得て、同時にアリシェに、周囲に、何かを残したかもしれない。
『キッカ・ヨシノ作のヤシャ』【刀】【物品】
アリシェが手に入れた”キッカ・ヨシノ作の”ヤシャ。つまり贋作である。
フォトンを含有しない(もしくは弱すぎて計測できない)金属刀であるが、ダーカーに極めて有効であることや閃光めいた鋭さは光属性のそれに近い。
キッカ・ヨシノが作り現存するヤシャは3本あり、これはその一つ。うちひとつはジャポネの有名美術館に秘蔵され、もうひとつは誰かの手に渡っているという。
アリシェ曰く「不思議なほど手に馴染み、あたかも長く愛用していたかのよう」な感覚を覚えたらしい。もっとも、金属刀それ自体の修練は必要であるし、この刀への慣れも同じである。
同時期にキッカ・ヨシノが多く打っていた吉野一文字の一部作品…ヒメヨシノと似た特徴として、一種偏執的なものを感じさせるほどの全体の”整い”がある。
極めて均整が取れた細身の刀身は狂気的なまでに研ぎ澄まされ、水濡れたような鈍くも美しい輝きを放つ。
『カイコメモリ・シンジケート』【組織】
”古いもの”を収集・保管する一連の組織共同体である。比較的有名なものとしてカイコメモリ・ゲームクランがある。
基本理念を簡単に言うと「古く、良いものを伝えること」であり、例えばゲ-ムクランであれば「古きよきゲーム」を主に収集している。
所謂ナード(Nerd)集団ではあるが、それゆえに拘りは強く、手広い情報網と行動力を武器に活動している。
古い時代の武器や装備を収集・研究する一派。キッカ・ヨシノのヤシャを確保していたのもここ。
火薬銃(パウダーガン)等の実体武器への造詣が深く、また構成員も愛用している。
扱う対象には危険な物品も多数存在することをよく知っており、そのため保管は(全体的に厳重なシンジケート中でもとりわけ)厳重である。
なおキッカ・ヨシノ作のヤシャを入手した後、他組織の暗殺者を差し向けられた末身体をバラバラにして生き延びていたキャストはライオネルと名乗ったが
これは彼なりの精一杯の冗談であり、本名は別にある。
古いゲームを収集している組織。その対象の関係上、構成員数はシンジケート中でもトップクラスである。
かつて依頼を通じてアリシェ・キルシュ並びに”赤バー”の人間と接触したことがあり
特異な集団ゆえに安全性を保てるだろう、ということでヤシャの保護を依頼した経緯がある。
古い時代のゲームを紹介する為にいわゆるファンメイド・ムービーをとりたがるフシがあり
”赤バー”の人間へ依頼したのもこれのためである。
他、案外たくさんの種類が存在する。
『黒い紙』【概念】【物品】
アリシェがライオネル(偽名)からヤシャを受けとり、去る間際に置いたもの。
ある犯罪組織のマーキングであるとされる、特殊な加工が施されたB5サイズ程度の真っ黒い紙片である。
この組織はもはや都市伝説のような存在であり、全体像をまるで掴めない状況であるため
そのマーキングを偽装することで同組織の追跡を回避しようとした。
当のライオネル(偽名)を追ってヤシャを奪おうとしたのもこの組織……の、おそらくあまり高くない序列の者である。
『ブラックペーパー』【都市伝説】【組織】
武器や薬物、資源。果ては人体やキャストパーツ、”そのままの”ヒューマノイドや動物まで利益になれば何でも扱うと言われる非合法組織。
かつて古い時代には「ザ・ブラックハウンド」等をはじめとした凶悪極まりない犯罪者どもが所属し
活動圏内の移民船や惑星などに根深く浸透、暗躍していたという話である。
前述の『黒い紙』はこの組織に関係するもので、主に下位序列にあたるものが残すといわれ
実際に現場においてあることもそれなりにある模様。
現在のブラックペーパーについての情報は虚実入り乱れて半ば都市伝説と化しており、そこらの三下売人でもこの名を名乗ることがあるほど。
本当に実態が存在しない都市伝説なのか、或いはそれすらも未だ続く活動をカモフラージュするためのフェイクなのか
その真実を知る事はほぼ不可能であるし、また(都市伝説および、存在するなら組織それ自体も)強い影響力を持つため
名前を利用する者、もしくは”本物の”ブラックペーパー構成員により手を下されてもなんらおかしくはない。
ブラックペーパーは存在しないかもしれない。
だが、類するモノはいくらでも存在し得るのだ。