ウォーハンマーRPG

ウォーハンマーFRP


 死と混沌に満ちた暗黒の中世ファンタジーを生き抜く、名もなき英雄達を遊ぶ本格ファンタジーTRPGです。

ルールの配分

 楽しいキャラ作成:★★★
 深いワールド:★★★★★
 物語性の高いセッション:★★★★★
 疑似体験性の高いセッション:★★★★★
 ゲーム性の高いセッション:★★★★★
 パーティゲーム性:★★★★
 楽しい成長:★★★★

 キャラクター作成はダイスを振れば名前から身長・体重まで決まってしまうものです(一応GMが許可すれば、名前やプロフィール、出自的なものは自由に決定する事が出来ます)。
 これはこれで楽しいのですが、何が何でも思い通りのキャラクターでなければ我慢がならない、というプレイヤーには向かないかもしれません。
 ワールドは現実のヨーロッパを適度にモチーフにしてあり、それ自体も充分深みがあるものなのですが、その気になれば歴史書などからいくらでもワールドへの理解を深める事が出来ます。
 ワールドの重厚さはそのままシナリオの背景となり、物語性、疑似体験性の土台となります。 
 ウォーハンマーはウォーゲームとしての展開もしており、相互にフィードバックが行われた結果、軽快かつ自由なゲーム性の高いシステムに仕上がっています。
 「何をしてもいい」を体現した、古いタイプのTRPGと言えるでしょう。
 キャラクターが簡単に、しかもむごたらしく死ぬ(それでも死なないゲームと比べれば、という話です)という一点さえ我慢できるなら、ただ敵を適当に並べてワイワイ戦闘するだけでも楽しめるでしょう。
 成長は地味ながら、早すぎず遅すぎず、成長して無敵になるわけでもなく、かといって無意味でもない絶妙なラインで設定されています。転職システムも相まって、不思議と楽しい成長ルールです。

所要時間(★1-5で評価)

 ルール把握:★★
 シナリオ作成:★★
 キャラ作成:★★
 実プレイ:★★
※これは当然、「慣れ」や「参加者の背景」で変わるものです。目安程度に捉え、自分の基準と異なるからといって、あまりめくじらを立てないで下さると嬉しいです。

 ルール把握は簡単です。オーソドックスな1d100下方ロールが基本で、覚えるべき事は戦闘の流れと、技能判定の仕方くらい。あとは戦闘オプションも覚えておけば便利です。
 ワールドは重厚ながら、半面で変にひねった部分がなく、弱すぎも強すぎもしないPCが相手ですので、シナリオはオーソドックスなファンタジーと同程度には作りやすいでしょう。
 キャラ作成はこだわったところでたかが知れているので、ルールを初めて読みながら作るのでなければ1時間もあれば終わるはずです。
 実プレイ時間もまた、変に偏って重い部分がないので、素直に計算できます。

ルールの概要

 キャラクターが簡単に、しかもむごたらしく死ぬルールです。
 と、ルールでもそう紹介されていますし、ウォーハンマーを知るプレイヤー達もそのように言うでしょう。
 が、実際のところ、他の「死ななすぎる」ルールを除外すれば、さほど死ぬというわけでもありません。少なくとも、予備のキャラクターを大量に用意してプレイに臨む必要はありません。
 むしろ、周囲から散々「ここは冷たく無慈悲な世界だ」と脅されている分、キャラクターがヒロイックな行動をすればそれに価値が生じるゲームでもあります。
 運命点・幸運点といったファクターはそのような「ばかげた」行動を後押しするものでもありますので、実際のところは他のどんなルールにも勝って「英雄譚や人情劇を遊ぶ」ルールなのかもしれません。

 キャラクター達は正義の冒険者ではありません(正義に生きるのは自由ですが、GMがそれを強制するべきではありません)ので、変に好奇心だの良心だの「だけ」を動機にシナリオを組むと、齟齬が生じるかもしれません。

 いろんな意味で懐の広いルールですので、GMもプレイヤーも変に自分の常識を相手に押し付けたりせず、好きにさせておいた方が楽しく遊べる事でしょう。
 パッと思いつく限りでは、こんな感じです。
  • クトゥルフの探索者のノリを求めると、PC達は動いてくれないかもしれません。あるいは逆に、GMはそれを期待してくるかもしれませんので、gdgd時間を取られてしまうよりは察してあげた方が互いに楽しめる事でしょう。
  • ルール上はある程度認められているものの、昨日まで骨拾いだったキャラクターがいきなり貴族になるのは不自然です。あなたの中でその経過が無理なく整合性を保っていても、相手には伝わらないかもしれません。ただ、貴方にとって不自然であっても、現実問題として「それを言い出すときりがない」のも事実です。適度に大目に見るようにした方が、ゲームを進行する上ではいいでしょう。
  • 世の中、キャラクターに過度の理想を盛り込みたいプレイヤーはいるものです。年齢・身長・体重を自由に決めた挙句、イラスト欄にビキニアーマーを着たろりっこが描かれていても鼻で笑う程度で見逃してあげて下さい。とはいえ、パーツの一つ一つに意味を持たせ、ワールドの一部である事に喜びを感じるプレイヤーもまたいるものです。あなたのルーチェたんがいるおかげで台無し感に苛まれるプレイヤーの事をたまには思い出してあげてください。

 一つだけ実際に遊んでいて気がついた点。
 ウォーハンマー自体は、確かに無慈悲で血まみれのファンタジー世界ではあるのですが、前述したように懐の広いルールです。いい意味で古くさい、「必要な物は全部書いておいたから後は勝手に遊べ」というシステムなのですが、実際に好んで遊ぶプレイヤーはオールドワールドの血なまぐさくて乱暴で世知辛い側面ばかりを好む人種が多い印象があります。
 和製であふれかえっている、優しく暖かく社会的に正しいファンタジー(WHもジェンダーフリーを取り入れる等、社会的に配慮してはいますが)に辟易している人達が集まるルールなのでしょう。ここで書かれた事をそのまま鵜呑みにして参加すると、酷い目に遭うかも知れません。注意して下さい。

 そういえば、ウォーハンマーFRPは旧版が社会思想社から出ていました。ワールド的なものをここから学ぶ事も出来ますが、ブレトニアの国柄など部分部分が改変されています。注意してください。

推奨するプレイヤー

 歴史が好きな人。
 血で血を洗う戦闘がしたい人。
 かっこいい戦士が好きな人。
 あやしい魔法使いが好きな人。
 スーパーヒーローがかっこよく戦って、勝つべくして勝つTRPGに飽きた人。

関連書籍

ルール
ウォーハンマーRPG基本ルールブック
オールドワールドの武器庫
オールドワールドの生物誌
魔術の書:レルム・オヴ・ソーサリー
ウォーハンマー・コンパニオン

シナリオ集
略奪品の貯蔵庫
ミドンヘイムの灰燼
アルトドルフの尖塔
ナルンの高炉

リプレイ集
設定資料集
シグマーの継承者
堕落の書:レルム・オヴ・コラプション
救済の書:レルム・オヴ・サルヴェイション

参考資料
ザラゴス(小説)
忌まわしき死の使い(小説)
嵐の戦士(小説)
図説「最悪」の仕事の歴史

導入ガイド

 基本ルールがあれば過不足なく遊べます。
 ファンタジーらしい魔法のアイテムとかが欲しいGM、あるいは魔法使いをプレイしたい人はレルム・オヴ・ソーサリーを導入するといいかもしれません。
 オールドワールドの武器庫はアイテムの追加と追記です。あれば嬉しいかもしれませんが、なくても遊べますしあってもその人だけ有利になりすぎる事はありません。
 敵はグリーンスキンと人間を出していれば概ね事足ります。そうでなくとも基本ルールの範疇でそれなりに遊べるはずです。それでは寂しいというGMは生物誌を導入してみるといいでしょう。
 このシリーズの特徴として、記述がいちいち深く、読んでいて純粋に楽しいです。ただひたすらに数値の並んだリストが欲しい人には贅肉ばかりと感じるかも知れませんが、ルールを眺めていればなんとなくウォーハンマーがどんなゲームか、オールドワールドがどんな世界か見えてきますので、関係ないから不要と切捨てるのではなく、一読を是非ともお勧めします。

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最終更新:2009年09月06日 23:41