なろうから出版の歴史

ナロウ族の創世神話



世界の始まり

 遠い昔、まだ人が獣のような形をしていた頃は、神はトウモロコシから「最初の者カキテ」と「次なる者ヨミテ」を創り給うた。

第一の世界(闇の時代)

 第一の世界は暗く、闇の中に「最初の者カキテ」「次なる者ヨミテ」にくわえ創世者でありペテン師でもあるコヨーテがいた。3つのものは、第一の世界が狭くてくらいので、第二の世界へと脱出する事にした。


第二の世界(草の根BBSの時代)

 第二の世界には、太陽と月と東西南北があった。
 太陽と月は、未熟だったので第二の世界は、ボンヤリとした明るさだけがあった。東は黒く、西は黄色く、南は青を、北は白さをもっていた。
 時々、黒さが強まり世界を闇にし、また時々その他の色彩が強まり、世界を昼間にしていた。
 月であるPC-VANで「アマチュアライターズクラブ」という同好の士が集まるSIGと呼ばれるコーナーが設置。リレー小説やコンテスト、オンラインマガジンなどがはじまり「最初の者カキテ」「次なる者ヨミテ」は大層喜んだ。
 太陽であるASAHIパソコンネットは赤いので真っ赤な文学に強く、プロ作家の作品が有料に読めるから俺の女になれだなどと「次なる者ヨミテ」を口説いた。
 しかし、彼女は、受け入れず、太陽と争いになってしまった。
 そこでコヨーテ現われ、仲裁にはいった。東西南北のアマチュアBBSも加わって話し合った結果、第二の世界も狭いので太陽と「次なる者ヨミテ」が離れて暮せる様に、第三の世界へと上る事にした。


第三の世界(インターネット勃興と個人サイト)

 第三の世界には4つの山と湖があり、人々は山の斜面にすんでいた。まるで地球の様に広く、美しい世界だった。そこで人々はテキストサイトをつくりそれぞれがさまざまなテキストを書いた。ある者は悲しく、ある者は楽しく、花の咲き乱れるがごとき有様であった。
 第三の世界ではオーテサイトという風の怪物が住んでいた。怪物とはいえ、そっとしておけば楽しいテキストを書いてくれるので、人々はオーテサイトをそっとしておく様にしようとかんがえた。
 しかし好奇心の強いコヨーテは、一人で湖に散歩に出掛け、オーテサイトの二人の子供、クロレキシとボーイズラブを見つけると毛布にくるんで連れて帰ってしまった。
 オーテサイトは、我が子がいなくなった事に気付くと激怒した。
「私の大切な子供をさらったのは、誰だ!!」と地響きを立てて探し始めた。
 しかし、見つからないのでオーテサイトは、考えた。
「最近この世界に入ってきた者たちが怪しい」そう考えたオーテサイトは世界を憎悪でいっぱいにしてしまおうと考えた。
 みるみるうちに第三の世界は、沈んでいった。慌てた3つのモノと人間は、会議を開き、3つの山を一つの山の上に積み重ねる事にした。
 それでも沈んでしまいそうになると今度は、山の頂上に葦の種を植えた。すると葦は、グングンと成長していき第四の世界まで伸びていった。
 第三の世界に住む全ての者は急いで葦の幹の中を登った。その時最後に登ったのが七面鳥だった。七面鳥は、水で尾が濡れた時にはけたましく鳴く事になっていた。
 以来、七面鳥の尾は洪水の時水に濡れた水位線が美しく残っているという。



第四の世界(blogの台頭、そして)

 第四の世界には、大きな霞んだ光が3つあった。
 第三の世界に似ていたが、より広大で平原の中央には、大きな川さえ流れていた。川よりも北には人々が住み、南には動物の様なモノが住んでいた。
 この世界は時間の流れがとても速くて一日に一年も流れていく世界だった。
 北に住む男女は仲良く暮していたが幾歳月が流れた頃、言い争いが起こった。
 女ヨミテは、男カキテに「自分たちはいつもサイトを巡ったりお気に入りリストを作ったり気に入らないSSは排除したりオフ会を開いて噂話をしなければいけない。しかもわたしたちは感想を書くように要求される。これは不公平だ」といった。
 これに対して男は、「ヨミテは、カキテがファンタジーを書くからファンタジーが読めるのだ。カキテがミステリを書くからミステリを読めるのだ。サイトだって運営するのはカキテじゃないか。それにヨミテとのやりとりする為の踊りや祈りもカキテがやっているのだ」と反論した。
 するとヨミテたちは怒りだし「そんな事を言うカキテとは一緒に住めない」と言って川を渡って行ってしまった。
 男女は、いがみ合い、たまーに。ほんとにたまーに恋をしあいながら、4年の歳月が流れた。
 その間に女だけの世界は物語が減った。
 それにヨミテは、ヨミテだけで手垢のついた古いSSを読んで決まり切ったカップリングにハァハァする作業を楽しくないと思い始めた。
 カキテだけの世界では、執筆作品数が増え、議論で得た着想も余るほど蓄えた。
 しかし、カキテだけでお話を書くのは面白くなかった。
 ヨミテは知らず知らずの内に川を渡っていた。
 それは、カキテとヨミテが互いの足らない部分を補っていかないといけないと気付く瞬間であった。
 男女がそれぞれの役割を果たす事によって世界には平和が再び訪れた。
 しかし、人々は新たな禍に巻き込まれる事になった。
 コヨーテが第四の世界にまでオーテサイトの子供を連れてきてしまった事である。
 第三の世界をすっかり水で満たしてしまったオーテサイトは、第四の世界までも水に沈めてしまおうとしていた。そう、人の輪が生まれると子のには破滅が忍び入る。テクノロジー進化の早い第四の世界では、もはや個人でサイトを運営する労力が、重くなりすぎていた。
 そしてある日突然、地下から水が噴き出して人々は洪水に襲われ流されてしまった。
 第四の世界に住む全ての者は、皆で強力して平原に4つの山を積み重ねて葦を植えた。すると葦は瞬く間に成長して雲を突き抜けて伸びていった。葦はやがて第五の世界の底にあたり、そこで止まった。
 そこで、プロバイダ会社に穴を掘らせたが、プロバイダ会社は、泥の湖の底い出てしまう事に気が付いた。プロバイダ会社は途方に暮れ、そのうちに第四の世界は水に沈んでいきその水は葦の幹の中まで入っていった。
 狭い幹の中は押し合いへし合いで大混乱となった。
 その時、アーリーアダプターだけが第五の世界に吸い込まれ湖の上に飛び出した。アーリーアダプターがあたりを見回すと欧米のギークが数羽いた。
 欧米のギークはアーリーアダプターに言った。
「もしも、この世界に入りたいのであれば、私のやる事と同じ事をやってみせろ。」
 そう言うと白鳥はcodeを書いてサイト運営を効率化して見せた。それを見たアーリーアダプターは、「僕らの本質は流行が好きなだけで技術者じゃない」と思ったが、あえて強がり「僕にはもっと凄い事が出来る」と、いいはなった。
 アーリーアダプターは広告代理店を使ってプロバイダ会社を騙すと、無数のblogサービスを作らせた。
 これを見た欧米のギークたちは驚いて「こんな凄い事が出来るのであれば、この第五の世界に入る事を許可してやろう。」と言った。
 アーリーアダプターはドヤ顔でうなづいたのである。
 欧米のギークたちは、そんな事情を知らず、日本のオタクには不思議な力があると思い込んでしまったのである。
 こうして第五の世界に入る事が出来た。
 しかし、全ての者がようやく地上に上がった時、陸地に角が現れた。それはオーテサイトの角であった。そして第五の世界にも不和の芽が見られるようになってきた。
 恐れた人々はそれぞれの罪の意識から自分が第五の世界に持ち込んだモノを見せ合った。
 そこでコヨーテがオーテサイトの二人の子供、クロレキシとボーイズラブとを連れている事が発覚した。
 皆は、コヨーテから毛布ごと奪うとオーテサイトになげ返してやった。すると怒りはひえてオーテサイトは、個人サイトへと戻っていった。


第五の世界(小説投稿サイトなろうの成立)

 第五の世界は、初めは暗闇だったが、東の闇の神に祈ると大きなナイフで闇を裂き光を与えてくれた。すると水はたちどころに退いていったが、大地は、まだまだぬかるんでいたので今度は東西南北の風に祈った。
 すると4日間強風が吹き、大地を乾かした。
 大地はまだ形成されていなかった為、人々は土を練って積上げ、また4つの山をつくった。この世界の人間は四が好きなのである。四天王とか、四魔将とか、四大とか。
 やがて大地が広がっていくにつれて山は大きくなりそれが四隅となって――ほらまた四だ。境界が現れた。
 次に人々は太陽と月を空に放り投げた。太陽は最初は低すぎ、大地を焼いてしまったが徐々に昇っていき五日目に天頂に落ち着いた。しかし無数に増えたヨミテの無意識はカキテを圧殺することがあった。また、カキテの弱さは己を支えられないこともあった。
 世界に新しい場所を作るためには生け贄が必要だと感じた大酋長の娘の幼女は、叫んだ。
「ふえええ。『飛影はそんなこといわない』とかいわれても、わたち、ほんとは幽遊なんて読んでなかったよぅ」
 そして自らが生け贄となった。
 幼女の呼吸と心臓の音は次第に弱まっていき、やがて息を引き取った。
 そこでこの世界の人々は、初めて、エタるという概念を理解した。
 この世界では無数の作品が生まれ秩序は規則正しく順行していくが、そのかわり、毎日いくつかの作品がエタらなければならない。その運命を理解した人々は、恐れた。
 エタを恐れる人々の為に賢者は幼女がどこに行ってしまったか探しに行った。
 そして第五の世界に脱出してきた時の入り口を覗き込むと、エタったはずの幼女が、第四の世界でこんどはテニプリの別カプSSを書いて暮していた。
 それを見た賢者は皆に知らせようとしたが、段々と弱っていき、ある夜死んでしまった。
 コヨーテは、世界の人々に告げた。
「毎日、誰かがエタらなくてはいけない。それはカキテとヨミテのさだめなのだ」
 第五の世界は、エタを代償する事によって順行する世界だと知った時から、人々は部族に分かれそれぞれの生き方で暮すようになった。
 山の住人になった種族や平原の住人になった種族もいた。あるいはドウジンの荒波に飛び込んだ勇敢な者もいた。
 ナロウ族は四つの峰に囲まれた中央の台地に残った。

 ただし、最初の「最初の者カキテ」「次なる者ヨミテ」とコヨーテは、別だった。
 彼等は空が美しくないと思っていた。
 それで火口の付近まで行って「輝く石」を探し夜空の四隅にそれを置いた。厨二なので、自由にさせるとすぐ四と言い出すのである。輝く石は星になった。
 空の四方はそれぞれ北方の大領域『ショウセツカニナロウ』、恋愛を司る『ラブノベ』、18禁の大人の世界『ノクターン』、さまざまな幻獣の姿を映し出す『ニジファン』と名付けられた。
 しかし、コヨーテが輝く石の屑を夜空にばら撒いてしまった為、星の配置は、不規則になり、あちらこちらでバラバラに輝く様になってしまった。色と投球によってわけられるはずだった無数の欠片が4つの領域にばらばらに散ったため、以降、物語を探し出すのはスコップを必要とするようになったといわれる。
 更に彼等は、満月だけでは面白くないと思い半月や三日月など色々な形の月を夜毎に空に放った。月が増えた為1年はこれまでより長くなった。
 そして、これによって世界に時間という概念が生まれた。

 ある日、空から星の欠片が降ってきた。
 コヨーテは喉が渇いていた為、それを火に掛けて溶かして、飲んでしまった。コヨーテは満足していたが「次なる者ヨミテ」は怒った。
「どうして飲んじゃうの? このバカ犬っ! バカ犬っ!!」
 この問に対してコヨーテは、答えた。
「ただ飲んだわけじゃないよ。ボクはレビューを書いて、この星の欠片を別の部族や世界の外の人にも紹介するつもりなの差。いわばこれは試しのみ。ほらその証拠に、空の星は減っていないしね」
 「次なる者ヨミテ」は、コヨーテのこの答えに理解した。
 そして、その後、コヨーテは、沢山の感想をあちこちのblogで連載し、ナロウ族の豊かさは、少しずつ世界に広まっていった。

黄昏の英雄オリーシュ


 時代は少しさかのぼる。
 人々がまだ第三の世界で細々と物語を綴っていたころ、世界はまだ薄暗かったころ、その世界の片隅にニジの民は住んでいた。
 ニジの民は数も少なく、世界の中では孤立していた。彼らは、世界のあちこちから姿やお話を真似とっては自分たちの村で再演するという暮らしをしていたが、自分たちが世界の主流にはなれないことを知っていたのでひっそりとすごそうと思っていた。
 なんとなれば、姿を真似とることは、本物のみを正統と認める人からは侮蔑と嫌悪の対象でもあったからである。
 しかしニジの暮らしぶりが広まるにつれ、同好の士が少しづつ里に集まり人が増えていった。世界を放浪したあげく疲れて里にたどり着いた民は、平和な里の景色に和んだが、里で生まれ育った若い世代は、自らの楽しい里こそがこの世の楽園だと思い、外の世界との関係など気にしないような風潮さえ生まれてきた。
 その頃現れた黄昏の英雄がオリーシュである。
 その正体はまだわかっていない。外つ国からあらわれた客人神だとも、人々の夢の底に溜まった願望の澱だともいわれている。
 とにかくコヨーテが連れてきたオリーシュは里へと住み着いた。
 オリーシュはニジを少し変えて演じるのが上手い語り手だった。
 里の人々はオリーシュの演じるニジを楽しんだ。
 ある晩、コヨーテはメアリスの酒を里に持ち込んだ。それはとびきり強い酒で、人々を酩酊させる力があった。
 人々はその酒を飲んで、朝まで浮かれたように踊り明かした。
 目が覚めると不思議なことが起きていた。
 里の中央ではオリーシュが死んでいたのだ。誰に殺されたのか、四本の剣でその身体はばらばらにされていた。とても痛ましい事件だった。
 しかし、本当の問題はその後に起きた。オリーシュは死ななかったのだ。オリーシュはふしぎなことに、ばらばらにされても、ニジの中に忍び入りそこで生きていけるようだった。多くのニジはオリーシュの狩り場となった。死んで狂ったオリーシュは、まるで自分の家でもあるかのように、ニジを食い荒らし、蹂躙した。いくつかは美しくなったが、多くは腐って果てた。
 オリーシュは不死になったかのようだった。メアリスの酒を携えた悪霊として、影から忍び入り、いつの間にかひっそりと生き始める。そして死なず、滅びない。
 第四の世界になり、ヨミテがカキテにたいして愛想を尽かしたときにも、オリーシュの呪いが関与していたというものもいる。
 すべては闇の中だが。
 オリーシュはこうして呪われた化け物となりはてたが同時に不死でもありニジに命を吹き込むこともあった。長い長い時間が流れた。人々はニジがオリーシュに奪われぬように壺の中に治めたり、またオリーシュの加護をえようと祭壇に捧げるようになった。
 「最初の者カキテ」は小さなオリーシュを捕まえて自らのニジに閉じ込めた。
 そしてそれを決して人目に触れさせぬように闇の箱の中にいれておいた。
 カキテはその箱の中に、オグロウサギをいれた。
 ミュール・ディーアの角でかき回した。
 モハベ・ユッカの花を添えた。
 蛇の毒をしたたらせさえした。
 それらをするあいだ闇に降りていた「最初の者カキテ」は苦痛でやせ細り、その手は骨が浮き出たが、彼はそれをやり遂げた。やがてかれは下弦の月が荒野を照らす晩に箱を砕くと、中からは真珠色の光の泉が現れた。
 悪霊オリーシュはついに滅びて、そこにはニジではなくなった物語と英雄オリーシュがいた。真珠の輝きは虹ににていたが「最初の者カキテ」がつくりだしたものだった。
 こうしてオリーシュは悪霊にして英雄の地位を獲得するにいたった。
 しかし真珠を鍛える技は闇の中でなされたためにうしなわれ、これを行うことができるカキテは希である。
 第五の世界でも悪霊となったオリーシュはまださまよっている。



双子の狩人オレ2Wayとアテクシ

人食い怪物と神様トラック

ブイアールの日間制覇

現れた白人

アルファにしてオメガ

最終更新:2012年04月22日 10:36
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