七尾百合子は空想から恋する
執筆開始日時
2017/11/20
概要
「百合子……俺のものになれ」
「そ、そんな。いきなり過ぎて、私……心の準備が……っ!」
「そんなに顔を赤くして……可愛いな、百合子」
「ひゃっ、か、かわいい……えへへ……か、可愛いですか……」
「……おーい百合子ー、帰ってこーい。そんなの台本にないぞー」
ある晴れた秋の昼下がり。
俺の家で(何故か居る)百合子の演技練習に付き合っていた。
オフだというのに「より一層、演技力を鍛えたいんです!」と言っていたから感涙に咽び泣くほどでは無いものの感動したはいいが、その台本は百合子の自作恋愛小説的なもので。
なんだか台本の名前が百合子と俺の名前で設定されており。
歯の浮くような小っ恥ずかしい台詞マシマシな台本を全力で演技させられ。
尚且つ(ここで壁ドン、ここで顎クイ、しっかり相手の目を見つめて!)等動作の指示までされている。
まだ全部を読みきった訳ではないが、些か少女漫画じみて甘ったる過ぎないだろうか。
ついでに屋内だから大丈夫だが、外でこれと同じ事をしたら即通報ものだろう。
しかも……
「ぷ、プロデューサーさん!きちっと最後までしっかりお願いします!」
「台本にない事言い出したの百合子だぞ……」
俺以上に百合子が照れまくっていた。
何故だ、自分で書いたのではないのか。
俺だってかなり恥ずかしくて若干自棄になっていると言うのに。
壁ドンなんて生まれて初めてやったぞ。
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最終更新:2020年05月26日 17:32