木場真奈美「木場サンタ?」
執筆開始日時
2012/12/25
概要
12月24日。時刻は午後九時を少し回ったところ。
昼間大降りだった雪も今はほぼ止んでおり、吹雪じみていた風もしんと凪いでいる。
街灯に照らされて踊る雪の粒に都会の情緒を感じつつ、事務所へと帰ってきた私は、傘にまぶさるように乗っていた雪を払い落とし、まだいくらか明かりの点いている事務所ビルの中へと歩を進めた。
しんとした廊下に、濡れた靴音が擦れるようにして響く。
こんな時間だ。普段は動物園のごとく騒がしいこのプロダクションも今は静まり返っていた。
クリスマスイヴというのも影響しているだろうか……
ぽつぽつと考えを巡らせながら、まだ明かりの漏れる事務室へと向かい、扉を開ける。
手に感じる冷たい感触と裏腹な暖気がふわりと体を包む――帰ってきた、という感じがしてどこか心地良い。
「ただいま、今帰ったよ」
「お帰りなさい真奈美さん、お疲れさまです。スタミナドリンクは…… 今はさすがに要りませんね」
「フフッ、流石の私もこれから仕事というのは勘弁だな。歌の仕事ならやらないでもないがね?」
迎えてくれたちひろさんと軽い冗談を交わしつつ、荷物を置きに上の階のロッカールームへと向かおうとする。
……するのだが、今日は珍しいことに、ちひろさんが私を引き留めた。
「あ、すいません真奈美さん。ちょっとお願いしてもいいですか?」
タグ
^木場真奈美 ^イヴ・サンタクロース
まとめサイト
最終更新:2013年01月05日 11:26