NO.2「プロローグ2~決意~」

城南病院。
304号室のドアを開ける由美。しかし彼の姿はなかった。
看護婦「あら、あなたは・・・」
由美「あの・・・ここにいた人は?」
看護婦「それが退院しちゃったのよ」
由美「退院!?」
看護婦「お金払えないからって・・・自分が誰かもわからないし・・・」
由美「・・・・・・」
看護婦「まあ精密検査の結果も良かったんだけどねえ」

由美「どうしようどうしようどうしよう・・・」
夜の繁華街を行き先もなく歩き回る由美。
もしもあの人に何かあったら・・・そんなことばかりが頭をよぎる。
男「ヘイヘイネェーちゃん可愛いじゃん」
男2「レベル99だな」
男3「遊ぼうよ~!」
由美「・・・・・・」
男「おっと・・・聞こえてないわけないよね~?」
男2「俺たちの誘いを断わる気?」
男3「え、そーなのー?」
由美「やめてください・・・」
男「お~、つっぱっちゃって、可愛いねえ」
由美「ちょっと・・・放してよ!」
男2「お~!お肌スベスベ!」
由美「もー!」
由美の手が相手の顔に当たった。
男2「・・・痛てぇ~~・・・」
由美「ふん・・・」
男2「怒っちゃったもんねぇ~・・・完全に・・・怒っっちゃったもんねえー!!」
由美「キャッ・・・」
バシッ!と鈍い音と共に男が倒れる。
???「危ね~・・・」
由美「あ・・・」
???「おたくら俺の知り合いに何か用かな?」
男「何だお前・・・」
???「あぁん!?」
男3「あ、おれ塾・・・」
男「僕も・・・」
逃げる二人。
???「・・・・・・」
由美「あの・・・」
???「こんな物騒なところ一人で歩いちゃだめだぞ」
由美「あの・・・」
???「また泣く・・・俺の顔はそんなに恐いか?」

喫茶店。
???「おい、俺お金持ってないぞ」
由美「私が出します」
???「・・・悪いな」
由美「あの・・・名前・・・」
???「え・・・」
沈黙。
由美「やっぱり・・・私のせいで・・・」
???「・・・・・・」
泣き出す由美。
???「どうしたんだよ・・・?変なヤツだなぁ・・・」
男も無理に笑ってみせる。
黙り込むふたり。

帰り道。
???「家どこだよ、送っていってやるから」
由美「大丈夫です」
???「でも、さっきみたいなヤツらに・・・」
由美「ご心配なく、慣れてますから」
???「こいつー」
笑ってみせる由美。
???「ご両親心配してるだろーな」
由美「私、一人暮らしなんです」
???「え?」
由美「お父さんはいないし、お母さんは仕事で何年も帰って来ないの」
???「大変だな」
由美「そうでもないけど」
???「俺も一人だ、これから先もずーっと・・・」
由美「・・・・・・」
このとき、由美の頭にある考えが過ぎった。

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最終更新:2022年05月06日 18:43