何だろなこれ


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媚薬美琴


「はぁ、はぁ」
 美琴は走る。街を走る。
「やぁっ、もう、ダメ……」
 辛い。切ない。耐えられない。
(もう少し、もう少しもって私の体っ!!)
 しかしそれでも容赦なく風が、走る振動が、人々の視線が美琴を襲う。
 公衆トイレをチラリと見る。木の陰をチラリと見る。
(ううん。だめ、そんなの駄目よ! 人としてそれはっ)
 首を振るが、体は既に限界に近い。
 大体にして、自分は何故そこへ向かっているのだろうか。そこへ行ってどうしようというのか。
 分からない。分からないけど彼ならこの状況を打破してくれると美琴は信じた。
 だから走った。頭がおかしくなりそうになりながらも走った。


 ピンポーン、と呼び鈴が鳴る。
 そろそろ風呂に入って寝ようかとしていた上条はやや嫌な予感を覚えながらも玄関の扉を開けた。
「はいはーい、どちらさ……おい、御坂!?」
 扉の前には御坂美琴が可愛らしいパジャマのままうずくまっていた。
 はぁはぁと荒い呼吸をしている。見るからに辛そうだ。
 その体からはバチンバチンと電気が放電されている。手を近づけただけで電気が触れて気絶しそうな
勢いだ。
「大丈夫か? こんな寒い中、どうしたんだよ」
 それでも上条は躊躇うことなく美琴の肩を掴む。右手が触れた瞬間、電撃が消えると同時に、いかに体が
冷えているかが分かった。
「ぎゃうぅぅっ!!」
 触れた瞬間に、美琴の悲痛な叫び声。
「わ、悪ぃ。どっか痛かったか?」
 上条は心配そうな声で語りかける。
 その事が美琴の心に突き刺さった。
「ご、ごめん。ちょっとびっくりしただけ」
 美琴は赤い顔をしながらも、優しい笑顔で上条に応じる。
「とりあえず入れ。今は誰も居ないから」
「今は?」
「え、ああ。いや、さっきまで隣の友達がいたってだけだよ」
 本当は最近になって居なくなった、と言う意味だったが、そこは誤魔化しておく。
「悪いわね、寒いから、ちょっと上がらせて貰うわ」
 美琴はふらふらと立ち上がると上条の脇をすり抜けて部屋へと入る。
 上条はその体を支えたいと思うが、またさっきのような事にならないかと思い、触れないように誘導した。


「ほら、ココアと毛布とちゃんちゃんこ。あとこたつ最強にしたから」
「ほんと、悪いわね。冬休みとは言え、こんな時間に」
 美琴はそれらを纏ってもブルブルと、ビクンビクンと不規則に震えている。まるで何かの悪い病気みたい
であった。
 だがとりあえず電撃の放出は何とか治ったらしい。
「落ち着いたら、出て行くから」
「バカ。そんな入院一歩手前みたいな状態で出せるわけねえだろ? 物わかり良いなんてお前らしくもない。
一体何があったんだよ」
「あ、あはは。弱ってる女の子、ってのは、中々良いでしょ」
「はいはい、冗談言ってないで」
「……、黒子と、ちょっと喧嘩しちゃってさ」
「……はあ?」
「たまらず、逃げてきた。ってわけ」
「そういうことじゃなくて。その体の震えは何だよ?」
「寒いだけよ」
「ウソくせー……、とりあえず熱計るぞ。いいな?」
「う、うん」
 上条が体温計を渡すと、美琴は脇の下にそれを挟めた。
「それでお願いがあるんだけど」
「泊めろってのは却下な」
「なっ……、あ、アンタ私がそんな安直な頼み、するわけ……ないじゃ……うっううっ」
 強がろうとしたらしいが、いきなり美琴の瞳から大粒の涙がポロポロとこぼれてくる。
「え、ええ? な、何でそこで泣くんでせう?」
「し、知らないわよ。ぐすっ」
「分かった分かった! 泊めるから、泊まって良いから泣くなほら!」
 慌ててワイシャツの袖でぐりぐりと美琴の頬を拭ってやる。
「ホント?」
「はうっ!? 二言は、ねえよ」
 一瞬、美琴に泣きながら上目遣いで見つめられ、上条の鼓動が高鳴った。
 そんな捨てられた子犬のような表情、はっきり言って心臓に悪い。
(一体何だってんだよ。こいつはそう言うキャラとはほど遠いヤツだろうに)
 何かが彼女を弱らせているのだろうか。
「あ、熱終わったみたい」
「どれ……。平熱、か」
「でしょ?」
「うーん。具合悪いところあったら正直に言えよ?」
「無いわよ。具合悪いところなんて」
 断言。ウソをついているようには見えない。
「飯はもう食ったのか?」
「うん」
「風呂はどうする?」
「入りたい、かな。走ってきたから。匂いそうだし」
「そうか? 汗の匂いなんかしないと思うけど」
「ぎゃああ、ってバカ! 嗅ごうとするなー!!」
 ビリビリー。
「ジョーク! ジョークだっつの!!」
 とか言いつつ軽く止めるあたりはいつも通りである。
「んじゃ、お前が先に入ってこいよ。寒そうだし。分からない事あったらその都度」
「……嫌よ」
「へ? ああ、俺に後から入られるのが嫌か? なら俺が先に……って、なんすか?」
 立ち上がろうとした上条だったが、ワイシャツの端を美琴が弱々しく掴んだ。
 上条には意味が分からない。
 顔を見やると、思いっきり背けられた。
「………………ダメ」
「はい?」
「ダメ。私、早く入りたい」
 ぼそぼそとか細い声で呟く。
「御坂さん? じゃあお前が先に」
「嫌」
「おい、怒るぞ? 子供じゃ無いんだからってわー! だから何で泣くんだよ!?」
「ご、ごめん。ホントに自分でも分からないんだけど、涙腺おかしいのよ、さっきから。はははは。
何なのかしらねこれ」
「……、ったく」
 上条は座り直す。
「ホント、意味分からないヤツになってて悪いわね。先入ってて頂戴」
「…………お前一人で大丈夫か? 何か……、精神感応系能力者にでもやられたとか?」
「ははは。ばっかね、この私がそんなもんやられるわけないじゃないの」
「いやでも、ほら、常盤台のもう一人のレベル5とか」
「無い無い。アイツが私に攻撃してきたら、私だって反撃するし。そんな命賭けたじゃれあいするほど
には仲良くないわよ」
「そっか」
「だからほら、さっさと入る」
「あ、ああ」
 上条はいぶかしげな表情を残したまま風呂場に向かった。


 ◆


 シャー、という音がする。
 恐らくシャワーを使っているのだろう。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。当麻、当麻? 当麻が居ない、当麻が居ないよぉ」
 せっかく上条に会えて落ち着いたのに、再び禁断症状が訪れる。体全体が疼くのを抑えきれない。
 ベッドの中でしか言った事のない上条の名前を連呼しながら、部屋を彷徨う。
 上条のベッド、上条のクッション、上条の制服、上条の食器、上条の歯ブラシ、上条の――――
(もっと、もっと) 
 ふらふらと風呂場に向かう。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。当麻の、脱いだワイシャツ」
 脱衣スペースには上条の服が脱ぎ捨てられていた。その一つであるワイシャツをほぼ無意識に手に取る。
(何で、こんなことしてるんだろ。私)
 自分でも分からない。分からないが、美琴は徐々にワイシャツに吸い寄せられ、やがてそれに顔を埋め
てしまう。
「すーーっ、はーーっ、すーーーーーっ、はーーーーーっ」
 ワイシャツに顔を埋めたまま何度も息を吸う。ほんのり汗の匂いと、いつもの上条の匂いがする。鼻腔を
通して肺、そして血管中に行き渡る感じがした。
 おかしな行為をしているのは分かっている。その証拠に手は震え、心臓はバクバク言い、喉が乾き、
吐き気までする。
 しかしそのワイシャツの匂いを嗅ぐたびに、ドラッグでもやったかのように気が落ち着く。背徳感や胸の痛み
や緊張が消える代わりに体中を快感が包む。
 更に別の布を掴む。
(バカ、それはやめろ私! そんな事本当にしたいの!? 本当に望んでる事なの!?)
 手が一瞬止まる。躊躇する。とりあえず布の感触を確かめる。
「!?」
 その布の前の部分を裏返すと、まだ乾ききっていない粘性のある体液を発見した。
 たがが一気に外れる。
「はむっ」
 その部分を咥え、レロレロと舐めると、背筋がぞくぞくと震えた。一瞬頭が真っ白になり、膝がガクガク言い。
喉から自然と笑いが漏れる。太ももから何かが垂れるのを感じた。短パンの中がグチャグチャで気持ち悪い。
 美琴はそのまま風呂場の方を見た。戸を一枚隔てたところに、全裸の上条が居る。その事がさらに美琴に
追い打ちを掛ける。
 心の一部が気づかれては居ないか恐れる。他方でその恐れが快感に変わる。
 さらにぞくぞくと体を震わせた時、
「はあ。ったく不幸だ。……持ってくれよ俺の理性」
 一瞬、理解できない。脳の動きが鈍い。
 なのに、体はふらふらと風呂場に近づき、気づいた時には扉を開けていた。
「っわーぁっ!?? 御坂!?」
 ばしゃーん! と水しぶきが跳ねる。上条がバスタブに逃げ込んだらしい。
「な、何してんだよ閉めろって!!」
「…………当麻? 当麻だ」
 上条の体――――上半身しか見えないが――――をまじまじと眺める。
 美琴は自分の顔が真っ赤に染まるのを感じた。しかし、シャワーのお湯がパジャマを濡らすのには気づい
ていない。
「はいはい。上条さんですよー。お前ほんとどっか悪いだろ!? とにかく閉めてくれませんかねー!?」
「ご、ごめん」
 バタン。と戸が閉められる。
「……えーっと。御坂さん?」
「うん。何?」
 ただし美琴は風呂場に入ったまま。
「そのままだと、上条さんは体洗えないですの事よ? ……あ、あと、パジャマ、透けてる。あ、俺悪くない
からね!? ここで電撃は大惨事
だからね!!」
 上条はチラッ、チラッと美琴の方を2回ほどみてから、完全に後ろを向いて身を縮こまらせてしまう。
 美琴はパジャマの下に短パンしか穿いていないらしい。上半身は透けて見えるかギリギリのところだったが、
とにかく体に張り付いていて直視出来ない様子であった。
「そ、そそそそそうね。じゃあ、私が洗ってあげる」
「……は?」
「背中流してあげるっつってんの! ありがたく思え!」
「何というか、それは本末転倒というか。あの、パジャマで?」
「あ、パジャマ。濡れちゃってる」
「遅っ!」
 美琴は慌ててシャワーのを止めた。
「こ、これまずいわね……、」
「まずいですね」
「脱がないと」
「えー、脱ぐんですか?」
「あ、でも」
「はい」
「と、特別に。アンタが、脱がして、良いわよ?」
「…………………………あっはは。何だコレ夢かー」
 ガツン!
「痛い……」
「何やってんのよ。頭おかしくなった?」
「……、お前に言われたくない」
「早く脱がせてってば。何だか風邪引きそう」
「断る!」
「……………ぐすっ」
「……やります」

  • 全部読んでないけどこれとあるですかwwww -- ann (2012-06-18 14:10:03)
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