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※R-18 コーヒーの香りは危険な香り(原作:空の境界)」(2013/09/19 (木) 21:01:05) の最新版変更点

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「今日は私が二人にコーヒーを淹れてやろう」  始まりは唐突に起きる。  何の気まぐれか、普段は座った椅子から立つのも億劫にしか感じないような彼女が、そうおっしゃって立ち上がった。 「どうしたんですか、橙子さん」 「頭でも打ったのか?」  当然の如く、 僕と式は訝しげにそんな彼女を見つめた。 「偶には自分で淹れるのも悪くないと思ってね。そもそも黒桐が来るまでは自分で淹れていたわけだ。何も可笑しなところはないと思うがね」  そう言われればそうだが、彼女は自分以外ができることは、自分ではほとんどやろうとは思わない。  だから、本当に意外で仕方なかった。 「えっと、はい。じゃあ、よろしくお願いします」 「誰が淹れても同じだろ。こんなもの」  疑問は晴れないが、害があるわけではないだろう。好意は受け取るとする。もしかしたら、本当に気まぐれで、調子がいいだけなのかもしれないし。  ……と、僕と式は橙子さんのことを結構舐めていたのかもしれない。  後悔先に立たず。それが今の僕と式の感想か、それとも怪我の功名、不幸中の幸いとも言うべきか。どっちにしろ僕たちの判断ミスは、小さいけど大きな事件へと発展した。 「暑い…」  3人でコーヒーを飲んで、作業を…というより、僕一人が書類整理に追われる中、式がポツリと呟いた。  珍しい。式は暑さ寒さには強いタイプだというのに。  そういえば僕も、少し体が火照っている気もする。まあ、橙子さんのコーヒーが異常に熱かったのが原因だと思うけれど。 「大丈夫?式」 「――ん、だるい」  本当に気怠そうに式はソファでぐったりとしていた。  その頬は少し赤を帯びていた。 「もしかして、熱ある?」 「わかんない」  心なしか息遣いも彼女のそれにしては荒い。 「……ふむ。式、今日は帰れ」 「そうだな。…そうする」  気分が悪いのは間違いないようで、式は素直に橙子さんに従った。 「黒桐、式を送ってやるといい。今日は特に大事な要件もないからな。そのまま帰っていいぞ」 「え、ですが……」 「いい、と言ったらいい」  やはり今日の橙子さんはいつもと違う気がする。そのことを追求しようと口を開きかけるが、先に橙子さんから新たに言葉が紡がれる。 「ああ、そうだ。式」 「まだ何か?」 「お前にプレゼントがある。今日明日中にもアパートに届くだろうから受け取っておいてくれ」 「……?」  首を傾げながらも、式は早く家で眠りたいらしく、すたすたと扉に向かう。  僕は僕で、橙子さんの視線に追い返され、式の後ろを追いかけた。  アパートに着いた式はそのまま着替えることもなく、部屋で一番目立つ物体。つまりはベッドに倒れこんだ。  相変わらず趣味の欠片もない、それこそいつでも身支度一つで住居を変えられるほど、最低限のものしか置かれていない彼女の部屋。  だけど、それでも彼女らしさが滲み出ている場所。  僕はそんな彼女の傍まで寄り、彼女の額に手をのせた。  帰り道の最中、何度も触ろうとして振り払われた手は、普通に抵抗されることなく彼女の下へ辿り着いた。 「―――」 「うーん、やっぱり少し熱いね」  風邪でも引いたのかな。タオルと洗面器を借りるとしよう。  そう思って、足に力を入れて立ち上がろうとする。  がくん。 「あ、れ――?」  一瞬の眩暈と共に体が崩れる。 「幹也…?」  頬を上気させた式が、どうしたのかと体をむくりと上げて僕を見る。その表情が艶めかしくて、僕の心臓はびくんと大きく高鳴った。 「お、おい。一体どうし――」  体がどんどん熱くなってくる。  式の言葉が上手く脳に反映されないのに目は式から離れず。  彼女の熱で潤んだ瞳に吸い込まれるように、僕は――。 「幹、也……?」  普段よりも荒い彼女の吐息が聞こえる。僕の体の真下から、生を実感させる呼吸音。  あれ…、真下? 「式……」  気付けば僕は式の両肩の傍に両手をつき、四つん這いになっていた。  しかも片方の足は、小さく空いた足と足の間に落ちており。  他人から見たらこの現状は――。  いや、その、つまり。  僕が式を押し倒したみたいに見えるのでは……?    実際に押し倒したわけではないのだが、それだけでは弁明にすらなり得ない状況だった。だって、どう説明するというのだ。気付いたら、ベッドの上でこんなことになっていたなんて――。  考えようとすれば考えるほど頭には靄がかかってくる。  だけどまず、今の僕がするべきことは。 「ご、ごめん!今すぐ降りるからっ」  一刻も早くの、状況の改善だった。  式だっていきなりこんな状況になったら怒るに違いない。 「……いい」  だけど、予想外の処から邪魔が入った。  降りようともがく、僕の手が式に掴まれる。  あれ、今式はなんて――。 「えっ…?」 「だから。降りなくて、いい」  顔を真っ赤にしてそっぽを向く式。今、そんな可愛らしい表情を見せられて正気を保っていられるか。  答えは――決まっている。そんなのいくらなんでも無理だ。  体が熱い。脳は既にぐちゃぐちゃだ。もう、目の前にいる愛しい彼女しか認識できない。 「……式」  呼ばれた彼女は恥ずかしそうに此方を見る。  僕はゆっくりと彼女の顔に向かって顔を落とす。何をされるかに気付いた式は、一度だけピクリと体を震わせた後、目を瞑った。  唇と唇が触れる。  彼女の唇は暖かった。触れたのはほんの数秒間の事だけど、その一瞬を体は記録し続ける。彼女の暖かみは未だ僕の唇に残っていた。 「その、いいの?」  ゆっくりと彼女の胸部に手を近付ける。 「ここで、オレが嫌だって言ったら止めてくれるの?」 「それは――」  努力はするけれど、正直つらい。 「いいよ、コクトー。お前の好きにして」  そんな僕の心を見透かしてか、それとも彼女の中でも僕と同じようにスイッチが入っているのか、式は体の力を抜いた。 「うん。じゃあそうさせてもらうよ、式」  着物の上から優しく胸に触れた。それに反応して小さく式の体が震える。  そんな小さな挙動を悟らせまいと顔を逸らす式が愛しく思えて、僕はゆっくりと胸や性器以外の部分の愛撫を始める。 「――――んっ」  腰に這わせた右手が振動で揺れる。感じ始めているのか、先程より増して式の目はとろんとしてきた。  敢えて焦らすように服の上から優しく触れるか触れないかの愛撫を続ける。もう片方の手は彼女の左脇に。 「……はぁ、はぁ…」  今は式の息遣いが僕の耳に届く唯一の音楽だった。  腰より下、だけど大事な部分はするりと避け、彼女のふっくらした太腿に右手が届く。正直素肌で触りたいが、今は我慢だ。 「――ぅ、ぁ」  式は小さく足を動かし、快感を逃がそうとする。だけど、僕は式の足を自身の足でがっちりと固定し、逃がさない。 「幹也の意地悪」  小さく漏れる声。  僕は敢えて聞こえない振りをした。 「何か言った?式」  左手でまたもや腰を触れながら、足を大胆に触る。 「わざと、でしょ――っ」 「何のことかな?」  這わせていた指を止める。 「――――」  無言で小さく睨む式。正直、今は怖いという感情より、可愛いという感情が大きく上回っていた。 「ほら、どうしたの?何か言いたいことがあったんじゃないのかい?」 「………悪魔め」  ボソリと式は悪態付く。 「式」 「な、なんだよ……」 「式は僕にどうして欲しい?」 「ぇ――」 「式の口から聞きたいな。式がこれ以上は嫌って言うなら止めるし」  流石に、嫌と言われたらつらいが。それでも式が本当に嫌ならここで止めるべきだとは思う。  でも、式がこれ以上の交わりを求めてくれるのなら。自分の意思を伝えてくれるのなら、それは大事なことだし、喜びでもある。 「――――」  荒い息遣いが聞こえる。  暫くだんまりを決め込んだ式だったが。 「――触って…」  小さく、普段からは想像できない程か細い声で。 「直に、触って、欲しぃ」  確かに、そう口にした。 「分かったよ。じゃあ腰を少し浮かしてくれるかな?」  そう言う僕に、小さく首を傾げながらも式は頷く。  力が入らないのか、式は両腕でかろうじて自身の体を持ち上げる。  すかさずその腰に腕を当てて、帯紐を解いた。 「………」  無言でそれを見守る式。僕はゆっくりと彼女のシンボルでもある着物を崩していった。  彼女の胸に巻かれていたさらしを、体を支えながらゆっくりと解いていく。  そしてようやく彼女の肌が露出した。控えめな胸に、か細い肩。なんとなくもったいなく感じて、僕は彼女を半脱ぎの状態で、一度手を止める。  その代わり、着物の裾を捲り上げ、先程まで触っていた太腿を空気に触れさせた。 「……んぁ」  式は小さく吐息を漏らす。 「綺麗だよ。式」  それは本当に素直な黒桐幹也の感想だった。  さて、それでは素肌に触れていくとしよう。  ピンポーン。  そう思い、式を押し倒そうと肩を持った瞬間。来客の合図を告げるベルが鳴った。 「なっ……」  動揺は式のもの。 「どうしてこんなタイミングで」  式のアパートに来る客は少ない。しかもそのうちの一人である僕はこうして中にいる。  となると――。 「もしかして、秋鷹さん…?」 「――っ」  そんな僕の憶測に怯えたように身を隠す式。  さすがの式でも、肌を露出したうえに、頬を赤く染めた今の状態を他人に見られるのは嫌らしい。 「えっと、じゃあ僕が出てみるよ」  幸い僕の服に着崩れはない。何とかごまかせるだろうと思う。  立ち上がり、ドアへと向かう。 「はい。どなたでしょうか?」  意を決して僕は式が外に見えないように小さくドアを開けた。 「あ、両儀さん宛ての宅配便です」  そこにいたのは、想像していたものとは全然別の人物だった。 「ああ、どうも。サインでいいですか?」 「はい。構いませんよ」  両儀っと。あまり慣れていない文字を走らせる。 「どうぞ」 「確かに。では」  配達員から少し大きめの箱を渡される。なんだろう、これ。 「ありがとうございました」 「いえいえ。毎度どうもありがとうございました」  笑顔で礼をして立ち去る配達員。どうやら何もおかしく思われることはなかったようだ。 「ふぅ…」  小さく息を吐いてドアを閉める。 「式。君に届け物だってさ」 「届け物…。あ、確かトウコがそんなこと言っていたな」  少しお預けを食らったせいなのか、式は仏頂面になっていた。とはいえ、それでも頬から赤みが取れているかというとそうでもないようだ。 「開けてみる?」 「…そうだな。このまま忘れたら後でトウコに何言われるか分からないし」  橙子さんもどうしてこう、間が悪いんだろう。  心の中でぼやきながら、段ボールのテープを剥がし、蓋を開ける。  そこには……。 「手錠…?」 「はあ…?」  いや、正確には足枷もある。だがそれよりも、なんだこれは……。  ベルト、というには少々小さすぎる革製のソレ。  どうみても首輪だった。あ、リードまである…。  ……橙子さん、貴方が何をしたいのかわかりません……。  こんなものを式に送ってなんのつもりだろう。  そう思って、見なかったことにしようかとした時、小さな白い紙を見つける。  はぁ、念のために見ておくとしよう。 『やあ、これを読んでいるのは黒桐だな? どうせ丁度良いところで配達が来て悪態付いていることだろう。まあ、そんなことはどうでもいい。』  どうでもいいんですか。というか、橙子さん。鋭すぎです。いや、寧ろ計画的に……さすがにそれはない、よね。 『いいか、黒桐。式は普段の言葉遣いや態度こそ男顔負けだが、その実、内面的な部分では、他人に依存したいという思いが強い。』  それには確かに同感だ。式も女の子なんだし、それに――。  今の式は本当に可愛い。  ベッドの上で此方をどうしたのかと見下ろすその姿は小動物をイメージさせる。うん、やっぱり式は動物に例えるなら兎だと思う。 『そういった輩はな、ただエロいことをしただけでは満たされない。ぶっちゃけて言えばな、式自身はドMなのだよ』  え、えぇ…? 『支えてくれる人間がいないと、まともに立って歩けないほどのな。故に、黒桐は準備しているわけがないと思ってそういった心を満たしてくれるアイテムを準備しておいた』  アイテムって、これですか。手足枷にリードの着いた首輪。 『心配するな。初心者用のアイテムしか送ってないし、嫌がるなら使わなければいい。そこはお前たち次第だ。ではな、精々頑張れよ黒桐』 「………」  十分首輪はハードですよ、橙子さん。でも、もしそれを式が望んでいるのなら………。 「――幹也。トウコの奴、なんて書いてるんだ?」 「い、いや何でもない。説明書みたいだ、これ」  なんとなく誤魔化す。 「そうか。で、なんで手錠なんか入ってるんだ?」 「次の依頼に必要とかじゃないかな?」 「ふーん、まあいっか」  あまり、気にした様子もなく、式は受け入れた。  微妙に罪悪感を感じないでもないが、橙子さんからの入知恵だと思わせるのもよくない、と思うし――。 「その、式」 「――ん?」 「このアイテム使ってみていいかな?」 「は…?」  式は少し驚きの色を含ませる。 「式相手に、今だけ、その――」  式は段ボール箱の中身を一瞥した後、小さく息を吐いて。 「幹也がそうしたいなら」  まんざらでもなさそうな顔で、呟いた。 「うん。そうさせてもらう」  取り敢えず、首輪は背中に隠したまま、枷を手に取る。  ベッドでさらに顔を赤くした式の下に歩み寄り、体を支えながら、彼女の腕を後ろに組ませた。 「変なプレイが好きなんだな。幹也は」 「そういう式は、こんなことされて感じない?」 「………」  無言で式は視線を逸らす。  恥ずかしがるということは、つまり橙子さんの考えは外れていない、ということなのだろう。式なら、本当に嫌なことは嫌というはずだ。 「じゃあ、締めるね」  カシャリという音がして、小さな鎖がつながっている手枷が式の手の自由を奪う。  今は手枷だけ。足枷はその必要ができた時にすればいいだろう。  僕はお預けにされていた、彼女の柔肌にそっと触れる。 「ぅ……ん、ぁ…」  やはり着物の上からとは感度が全然違うようで、徐々に式の喘ぎ声は増えていった。 「首筋舐めるね」  乳房を優しく揉みしだきながら、首に顔を近付ける。 「首って―――ひゃんっ」  可愛い声が漏れる。如何やら、相当感じるらしい。 「ちょ、幹、也ぁ…ん」  そのまま僕は顔を少し上に向けて、彼女の耳を軽くはんだ。  必死に手を動かそうとするが、残念ながらぴったりと拘束された腕は払い除けるだけの力を持ってはいない。 「式は首や耳が弱いんだね」  腰や脇、太腿も随分弱そうだったけど。 「そんなことっ、な――ぃゃぁぁ」  言葉を言い終える前に、強く胸を揉みながら、脇を舐める。  少し汗ばんだ式の肌はしょっぱくて、それでいて甘かった。  そんな式が可愛くてつい、意地悪をしたくなる。 「式。僕は触ってすらいないのに、君の乳首はもう起ってるよ」 「そ、そんなわけ…」 「嘘じゃないよ。自分で見てみればいいじゃないか」  式はおそるおそる、自身の胸に視線をやる。そこにあるのは見紛うことなき、硬くなった突起。 「う、嘘でしょ…」  だから、嘘じゃないってば。 「ぇ――はふぅ――ぁん…んっ!」  自分自身の体の素直さに茫然とした式は、次なる快感にピクピクと痙攣を起こした。  太腿から足の裏まで一直線に舐める。当然、足枷をしていない足は途中で異変に気付いて、止めようともがくが、僕とて男である。弱った式ならばある程度は腕ずくで抑えることが出来る。 「舐め、すぎ――だ、幹也ぁ」  もう片方の足も舐める。はっきりと感じてきているらしく、式の声はどんどん色っぽさを増す。  その声に、僕の理性はゆっくりと犯されていく。 「じゃあ、もう舐めない方がいいかな?」 「――ぇ?」  あくまで触れるか触れないか程度の、胸に対するタッチ以外の行為をいったん中止。  式を真っ直ぐと見つめた。  式はゴクリと生唾を飲み込んで、目で訴えてきた。  だけど、言葉にしてもらわなければ僕は動かない。あくまで式の乳房を焦らし続けるのみ。 「幹也……」 「なに?式」 「焦らさないで……もっと、舐めて……私の大事な処っ」  少し涙目になりながら、意地悪をした僕を睨みつけた。 「それじゃあ。僕の言うこと、これから何でも聞く?」  こくんと頷く式。 「じゃあ、これを嵌めてもらうよ」  背中に隠していたソレを、式に見せる。 「首、輪…?」 「そう。これを付けている間は、式は僕のものだよ」 「私が、幹也のもの……」 「そう。そして付けている間、君は絶対僕の指示に従わなきゃならない。出来るかい?式」  小さく頷く式。  でも、今回はそれで納得にはしない。 「『お願いします』だよ。式」  ちょっとやりすぎだと思うけど、式がそれで満たされるのであれば。 「……っ。お願いします」 「うん。了解」  彼女の首に触れ、苦しくない程度にベルトを締める。ベルト自体は後ろで固定するようになっており、本人の意思ではとれないような設計となっている。  リードをちょっと引っ張って、彼女の体をこちらに預けさせる。 「さて、じゃあ。式の要望通り始めよう」  だから、これ以上焦らすのは辞めよう。 「―――んっ」  ようやく僕の左手は胸の中心部である突起に。そして、もう片方の乳房を優しく口に含む。 「ひゃぁん――、はふぅ…、あふ」  硬くなった乳首をちょっと強めに抓む。充血していた乳首は、既に快感を得るためだけの物となっていた。僕は乳輪を舌で舐め回しながら、時折左手が乳首を抓むのと同時に右の乳首を吸う。  ピクピクと式は度々痙攣を起こし、このままでは乳首だけでイってしまいそうだった。 「まだイカないでね。式」 「……はい」  首輪を嵌めたせいか、式は口調が先程から丁寧語になっている。こういった、普段のギャップというのも式自身にとって、自虐プレイか何かなのだろうか。 「膝を曲げて、足を開いてくれるかな」  所謂M字開脚。最初は戸惑ったような表情を見せたが、軽くリードを引っ張ると式は無言でそれに従った。 「うわ、パンツ。凄く濡れてるね」  式の体に跨るようにして、彼女の秘部に顔を埋める。 「仕方ないでしょ――、です」 「そうかな。式が淫乱だからこんなに濡れてるんじゃない?」 「それはっ――ひゃん!?」  濡れた布きれの上から、圧迫するように女性のもっとも敏感な部分に触れる。  暫く中指の腹で、ツンツンと突いたりしてみる。既にパンツを穿いたまま、式の中は愛液で溢れきっているようで、先程から白い液体が滴り落ちていた。 「このままじゃ気持ち悪いだろうし、脱がせるよ。式」  ピクリと式の体が震える。  返事を聞くまでもなく、僕は彼女を守る最後の防壁を摺り下ろしていく。  式は耐えるようにしてじっとそれを見つめている。足首まで下ろすと、片足だけ脱がせ、代わりに最後の枷を手に持つ。 「さて、最後の抵抗を封じさせてもらうよ」  板により最初から位置を固定された足枷は、式の意思とは関係なく、開脚させたままの状態で彼女の自由を奪う。普通は共についていた付属品でベッドに固定するように出来ているのだろうが、別にその必要はないだろう。  カシャリ。  式が見守る中、僕は容赦なく彼女の開ききっていた足を固定した。  そのまま露わになっていた彼女の性器をまじまじと見つめる。 「幹也、そんな……」 「うん?」  恥ずかしいのか、式はもぞもぞと太腿を擦る。 「もっとよく見せて欲しいな。式のお○んこ」 「み、幹也っ――?」  彼女の膝の間に腕を入れ強引に開ききる。  ああ、綺麗だ。純粋にそう思った。  淡いピンク色をしているそれから滝のように白い液が滴り落ちている様は僕の息を更に荒くさせる。  とはいえ、最初からそれに臨むわけにはいかない。 「あぁんっっ――!?」  再び彼女の上に跨ると、僕は先程まで手で弄っていたもの――ク○トリスに小さくキスをした。  またもや彼女の体が大きく痙攣する。そろそろ近いのかもしれない。 「さぁ、本人と同じで恥ずかしがり屋な処には、いい加減出てきてもらおうかな」  リードを時折引っ張り、己の状況を式に把握させつつ、未だ皮を被っているそれを丁寧に上下に舐めていく。割れ目の先端から指で腹の方へ持ち上げ、ク○トリス○ードをゆっくりと剥いていく。 「ま、待って幹――ぁんっ!」  確かに感じている、という証拠にそれは少しずつ大きくなっていく。程なくしてそれは支えなしで完全に衆目にさらされる位置まで立ち上がっていた。男のペ○スと同じで勃起したのだ。  僕は膨れ上がったそれを中指と人差し指の間に挟み、ゆっくりと上下させる。  はぁ、はぁと荒い息が式から漏れる。それが僕をさらに興奮させる。  時折、唾液をどろりとかけ、滑りを良くする。どんどんピンク色だったそれは赤く染まっていく。  小さいとはいえ、沢山の神経が張り巡っているのだ。  感じれば感じるほど痛みも感じていることだろう。式は声を我慢して、僕の指を受け入れるのに必死だった。  だが、そのままでは一向に進まない。意を決して、僕は軽くデコピンの要領で軽くクリ○リスを弾いた。 「痛っ――はぁん、あひぃぃぃん!」  ドロドロとした白濁液が式の秘部から溢れだす。 「ねえ、式。我慢しなくていいんだよ?僕に式の可愛い声を聞かせてよ」  中指の腹にくちゅくちゅと音を立てながら彼女の愛液を絡めつけて、強くク○トリスを圧迫する。 「ひゃぁっ!駄目、これ以上は、もう――」  限界だ、と。  式は怯えるような目で僕を見つめる。咄嗟に焦らしたくなり、手を放そうとする。  しかし、それは駄目だ。さっき、もう焦らしたりはしないと約束したのだから。 「イっていいよ。式!」  寧ろ、彼女が心地よくイケるように、僕は素早く指を動かした。 「ひゃぁぁぁあああん!イっちゃうっ――コクトーの指で私ぃ、イっちゃうよおぉ――!!」  初めて聞く彼女の絶頂に僕の胸は最高潮に高鳴った。息をするのさえ苦しくなるぐらいに、収まることを知らない。  ふるふると式の体が震え、先程の比ではない量の愛液が、彼女のア○ルに垂れていく。  焦点が合わないのか、ボンヤリとした式は自身の胸の鼓動を抑えようと必死に息継ぎする。 「可愛かったよ、式」  そんな彼女が愛おしくて、咄嗟に唇を奪う。 「――んっ」  嫌がる素振りはなく、式は受け入れる。だけど唇を放すと、そこには不満そうな式の顔があった。 「嫌だった?」 「いや、だったわけじゃないけど。幹也は色々と酷い」  拗ねたように振る舞う式。真っ赤な顔でぷいっとそっぽを向かれると、あまりにもの可愛さに動悸がさらに高まる。 「ごめん」 「その、たまには、ペットから甘えるのも、有り、だよな……?」 「えっ…?」  どういう意味だろう。考えようとして顔を伏せた瞬間、式に顎を掴まれて、彼女の唇に僕の唇が塞がれた。  其の儘、式は僕の唇を舌で舐め回した。急なことで驚いて、僕が口を少し開くと、待っていたとばかりに式の舌が僕の口内に滑り込んでくる。唾液を僕に飲ませるように伝い込ませ、僕の舌に絡まりつく。 「――くちゅ――ちゅぱっ――」  卑猥な音が脳内を支配する。  その、これはつまり――。  ディープ、キスなんだろうか、やっぱり。  僕も絡ませたままの舌を彼女の口内へと滑り込ませる。唾液と唾液を交換し合い、息が続く限界まで、僕は彼女に弄ばれ、僕も彼女を弄ぶ。 「――ぷはぁっ」  やっとまともに見た式の顔は、トロンと目尻が下がり恍惚とした表情をしていた。  それがとても僕には美しくもあり、儚いものに見えた。 「ねえ、式」 「なんで、すか……」  小さく小刻みに未だ快感の余韻に浸っている式。  そんなものを見せられていれば、もう僕も我慢の限界だった。 「本番始めちゃってもいいかな?」  ピクリと式の肩が震える。  そして、己の首に巻かれた首輪と僕の手に握られたリードを交互に見て。 「はぃ…」  小さな声で返事をしてくれた。  可愛らしい式にまたもや悪戯したくなって、僕は意地悪な顔をする。 「そこは『どうぞよろしくお願いします、御主人様』って言うんだよ」 「そんなことっ――」  流石に恥ずかしいと身悶える式。だけど、僕はそれで許してやるつもりは毛頭ない。  リードを強く引っ張り、早くしろと催促する。 「うぅ――っ」  自虐心を煽られた式は、顔を真っ赤にして顔を伏せながら。 「どうぞ、よろしく、ぉねがい、しますっ。ご、御主人様ぁ」  どうにか、言葉に出した。  言いながらも愛液が溢れてくるのを見て、彼女が感じていることを再確認する。 「うん、よく言えました」  僕はズルリとズボンを脱ぎ、自身のペ○スを式の目の前に現した。 「幹也の、すごく、大きい……」 「式の可愛い姿を沢山見せてもらったからね」 「でも、こんなの入らないよぉ……」  小さく体を震わせる式。 「試してみれば分かるさ。――出来るだけ、優しくするから。式も力を抜いて」  優しく彼女の漆黒の髪を撫でながら、押し倒す。  びくびくと式は依然として震えていたが、体はだらりと力が抜かれていっている。 「じゃあ、入るよ式」 「――――っ!」  これ以上がないというぐらいに濡れている式のお○んこに僕のをゆっくりと擦りつけながら白濁液を塗りたくる。 「――んっ――んんっ!」  充分に濡れたのを確認すると、僕は彼女の中に押し込むように動き始める。ゆっくりゆっくり、だけど確かに彼女の中に入っていく。 「あふ――んぁ、はぁんっ」  式の喘ぎ声を聞きながら掘り進めていくと、途中で通行止めにあう。 「式、ここからは一気に貫くよ!」 「ぇっ――――ひゃあん!?」  処女膜を引き裂く為に、精一杯力を入れて、僕は彼女を貫いた。 「痛っ――」  予想は出来ていたけど、裂けた代償に彼女の膣から愛液と混ざって血が流れてきた。 「入ったよ式。ごめん、痛かったよね。大丈夫?」 「大丈夫、じゃないけどっ―――大丈夫。幹也と繋がってるって分かるからっ」 「式の中、とても暖かくて気持ちいいよ」 「莫迦。そんなこと言うなよぉ……」 「バカは酷いなぁ。君は今、僕の物なんだよ?」  リードを引っ張り、存在を示す。式はそれを思い出すと、かあっとさらに赤くなった。 「もうそろそろ動いても大丈夫?」 「駄目って言っても、動くんでしょ」 「うん、まあそうだけど」  このままでいるのは正直とてもつらいです。 「じゃあ聞くなよ」  それが彼女に出来る精一杯の抵抗か。  僕はそんな彼女が微笑ましくてしょうがなくて。 「じゃあ少しずつ動いていくね」  快楽を共有せんと、彼女の中で動き始める。 「うっ――式の中、結構締まるっ」  まあ、先程まで処女だったのだから当然と言えば当然なのだが、未開発の式の中は想像を絶する気持ちよさだった。  僕はゆっくりと出し入れをしながら、彼女の中を僕の形に開発していく。 「んっ、はぁ――はぁ」  痛みより快感が優ってきたのか、式もまた快感に身を任せ始めてきた。  僕もまた、さらなる快感を求めてスピードを上げていく。 「はぁん、はふ――ぁんっ―――ああんっ」  式の口から声が漏れる。 「幹也のが、幹也の大きいのが壁を擦って…!」 「式はここら辺が気持ちいんだね?」  ならばと集中的に、彼女のGス○ットを攻める。 「そこっ――いいっ…気持ちいよぉ幹也ぁ」  更に強弱を付けながら、僕は空いていた手で最初と同じように乳房を揉みしだき、脇を舐める。 「んふぅ――ひゃああっ!?」  突然の新たなる快感に式はものすごい勢いで痙攣し始める。 「同時攻め、なんて、聞いてな――」 「最初から聞いてたら、興醒めだと思ってね」  親指と中指を使って、ピンポイントに両乳首を弄る。  勿論、その間も式の中に入ったり出たりピストン運動を繰り返す。 「こんなの、気持ち、良すぎて、頭が真っ白になっちまう……」 「いいよ。もっと感じて、式」  言いながらも式の唇を奪う。今度は自分から式の唾液を求めて舌を絡める。 「あふ――はぁんっ…こんなの感じるなって方が無理だよぉ…」  普段の強気は何処へやら。式は完全に快感の虜となっていた。  そろそろ彼女も、本日2度目の絶頂が近いらしく足が震えている。  そう判断する僕もまた、そろそろきつくなってきた。  ラストスパートをかけるべきかと、僕は更に力を入れて彼女の子○口に勢い良くキスさせる。何度も何度もどんどん垂れ下がってくるソレを攻める。 「幹、也。もう、私――っ」 「僕も…出すよっ式!君の中に!!」 「来てっ幹也ぁ!!」  彼女の絶頂に合わせて僕も○液を放出する。  式の中でどびゅっという音がする。  出し終わると、僕はピクピク震える式からゆっくりとなにを抜こうとするが、締め付けられる形でそれは途中でぴたりと止まる。 「……式?」 「……抜くな」  ボソリと、本当に小さな声で、でも確かにそう言った。 「どうしたの?」 「いいからっ」  そう言われて、僕は抜きかけていたそれをゆっくりと落ち着く場所まで入れなおした。 「これで、いいかな?」  でもまたどうして、急に。 「お前の○液。多すぎる……」 「式の中がとても気持ち良かったから」  うぅと式は小さく唸ると、真っ赤な顔のまま僕の方を見た。 「その、未だ体の中で感じていたいから…垂れないように蓋をしてて……」  言い切る前に顔をうつむけ恥ずかしさを噛み殺す式。  なんだこの可愛い生き物は!? 「うん。分かった。暫く、こうしているから……」  そのまま式を抱き寄せる。 「少し、疲れた……」 「僕も…」  式の熱が伝わってくる。 「このまま、少し休もうか」  そう言う僕を少しだけ恨めしそうに、式は睨んだ。 「その前に、寝る時ぐらい外して欲しい」 「あっ―――」  そうだった。今も式は後ろに手を拘束され、足もまた股開きのまま、固定されているのだった。 「ごめん、今解除するね」  鍵を不器用な手つきで解除し、体を開放する。 「首輪も外すね」 「いや、いい……」 「えっ…?」  恥ずかしそうにごにょごにょと呟く式。 「寝て、起きるまでこれは外さないでおく。幹也、オレは――私はお前の物だ」  精一杯の強がりかのように、式は言った。 「うん。式、君を一生許はなさない――」  自由になった腕で、式は僕に抱き付く。僕もまた抱き寄せた式にさらに密着する。  そうして、僕たちは夢の中に堕ちていった。  夢の中でも幸せでありますように――。  後日。 「それで、どうだった黒桐」  やっと獲物が首を持って来たとでも言った感じの口ぶりで橙子さんは前置きもなく、尋ねてきた。 「どうだった――って、何のことですか?」 「しらばっくれるな。昨日は式とお盛んだったんだろう?」  やはり、偶然というには都合がよすぎると思うんだ。  恐らく、僕も式も彼女の術中に嵌ってしまったのだろう。その、別に後悔をしているわけではないんだけど。 「――む。大体なんなんですか、あの荷物」 「役に立っただろう?それともあの程度では全然物足りなかったか?」  ニヤリと笑う橙子さんに、僕はますます仏頂面になる。 「コーヒーに媚薬を入れましたね?橙子さん」 「ん、ああ。その通りだが?」  式の妙な熱の原因はこの人だったというわけだ。 「なんであんなことを……」 「そりゃあ。お前、面白そうだからに決まっているだろう」  何でもないことのようにあっけらかんと橙子さんは答える。 「そんなことのために、僕たちを振り回さないで下さいよ」 「いいじゃないか。お前たちも良い経験ができたわけだし。私はお前たちの乱れる姿を想像して面白いし」  はぁ、この人は一体何を言っているんだろう。 「でもどうして、僕と式とじゃ効き目のレベルが大きく差が出ていたんですか?」  一緒に入れられたコーヒーだ。別に、特に分けているような様子は見られなかったし。橙子さんが飲んだコーヒーは普通に飲む前に媚薬を打ち消したのだろうが、僕と式のを分ける方法など、如何にも思いつかない。 「ああ。それはお前が自分で入れた砂糖が原因だよ。予め媚薬の効果を半減させる薬を砂糖の中に混ぜておいたのだ。ほら、式は砂糖は入れないだろう?」  なるほど、そんな手まで打っていたのか、この人は……。 「今回は、橙子さんをなめていた自分が敗因なので、諦めますけど…二度とこんなことしないでくださいね」 「さて、それはどうしたものかな」 「……はぁ」  僕は毎度のことだが、大きなため息を吐いた。
「今日は私が二人にコーヒーを淹れてやろう」  始まりは唐突に起きる。  何の気まぐれか、普段は座った椅子から立つのも億劫にしか感じないような彼女が、そうおっしゃって立ち上がった。 「どうしたんですか、橙子さん」 「頭でも打ったのか?」  当然の如く、僕と式は訝しげにそんな彼女を見つめた。 「偶には自分で淹れるのも悪くないと思ってね。そもそも黒桐が来るまでは自分で淹れていたわけだ。何も可笑しなところはないと思うがね」  そう言われればそうだが、彼女は自分以外ができることは、自分ではほとんどやろうとは思わない。  だから、本当に意外で仕方なかった。 「えっと、はい。じゃあ、よろしくお願いします」 「誰が淹れても同じだろ。こんなもの」  疑問は晴れないが、害があるわけではないだろう。好意は受け取るとする。もしかしたら、本当に気まぐれで、調子がいいだけなのかもしれないし。  ……と、僕と式は橙子さんのことを結構舐めていたのかもしれない。  後悔先に立たず。それが今の僕と式の感想か、それとも怪我の功名、不幸中の幸いとも言うべきか。どっちにしろ僕たちの判断ミスは、小さいけど大きな事件へと発展した。 「暑い…」  3人でコーヒーを飲んで、作業を…というより、僕一人が書類整理に追われる中、式がポツリと呟いた。  珍しい。式は暑さ寒さには強いタイプだというのに。  そういえば僕も、少し体が火照っている気もする。まあ、橙子さんのコーヒーが異常に熱かったのが原因だと思うけれど。 「大丈夫?式」 「――ん、だるい」  本当に気怠そうに式はソファでぐったりとしていた。  その頬は少し赤を帯びていた。 「もしかして、熱ある?」 「わかんない」  心なしか息遣いも彼女のそれにしては荒い。 「……ふむ。式、今日は帰れ」 「そうだな。…そうする」  気分が悪いのは間違いないようで、式は素直に橙子さんに従った。 「黒桐、式を送ってやるといい。今日は特に大事な要件もないからな。そのまま帰っていいぞ」 「え、ですが……」 「いい、と言ったらいい」  やはり今日の橙子さんはいつもと違う気がする。そのことを追求しようと口を開きかけるが、先に橙子さんから新たに言葉が紡がれる。 「ああ、そうだ。式」 「まだ何か?」 「お前にプレゼントがある。今日明日中にもアパートに届くだろうから受け取っておいてくれ」 「……?」  首を傾げながらも、式は早く家で眠りたいらしく、すたすたと扉に向かう。  僕は僕で、橙子さんの視線に追い返され、式の後ろを追いかけた。  アパートに着いた式はそのまま着替えることもなく、部屋で一番目立つ物体。つまりはベッドに倒れこんだ。  相変わらず趣味の欠片もない、それこそいつでも身支度一つで住居を変えられるほど、最低限のものしか置かれていない彼女の部屋。  だけど、それでも彼女らしさが滲み出ている場所。  僕はそんな彼女の傍まで寄り、彼女の額に手をのせた。  帰り道の最中、何度も触ろうとして振り払われた手は、普通に抵抗されることなく彼女の下へ辿り着いた。 「―――」 「うーん、やっぱり少し熱いね」  風邪でも引いたのかな。タオルと洗面器を借りるとしよう。  そう思って、足に力を入れて立ち上がろうとする。  がくん。 「あ、れ――?」  一瞬の眩暈と共に体が崩れる。 「幹也…?」  頬を上気させた式が、どうしたのかと体をむくりと上げて僕を見る。その表情が艶めかしくて、僕の心臓はびくんと大きく高鳴った。 「お、おい。一体どうし――」  体がどんどん熱くなってくる。  式の言葉が上手く脳に反映されないのに目は式から離れず。  彼女の熱で潤んだ瞳に吸い込まれるように、僕は――。 「幹、也……?」  普段よりも荒い彼女の吐息が聞こえる。僕の体の真下から、生を実感させる呼吸音。  あれ…、真下? 「式……」  気付けば僕は式の両肩の傍に両手をつき、四つん這いになっていた。  しかも片方の足は、小さく空いた足と足の間に落ちており。  他人から見たらこの現状は――。  いや、その、つまり。  僕が式を押し倒したみたいに見えるのでは……?    実際に押し倒したわけではないのだが、それだけでは弁明にすらなり得ない状況だった。だって、どう説明するというのだ。気付いたら、ベッドの上でこんなことになっていたなんて――。  考えようとすれば考えるほど頭には靄がかかってくる。  だけどまず、今の僕がするべきことは。 「ご、ごめん!今すぐ降りるからっ」  一刻も早くの、状況の改善だった。  式だっていきなりこんな状況になったら怒るに違いない。 「……いい」  だけど、予想外の処から邪魔が入った。  降りようともがく、僕の手が式に掴まれる。  あれ、今式はなんて――。 「えっ…?」 「だから。降りなくて、いい」  顔を真っ赤にしてそっぽを向く式。今、そんな可愛らしい表情を見せられて正気を保っていられるか。  答えは――決まっている。そんなのいくらなんでも無理だ。  体が熱い。脳は既にぐちゃぐちゃだ。もう、目の前にいる愛しい彼女しか認識できない。 「……式」  呼ばれた彼女は恥ずかしそうに此方を見る。  僕はゆっくりと彼女の顔に向かって顔を落とす。何をされるかに気付いた式は、一度だけピクリと体を震わせた後、目を瞑った。  唇と唇が触れる。  彼女の唇は暖かった。触れたのはほんの数秒間の事だけど、その一瞬を体は記録し続ける。彼女の暖かみは未だ僕の唇に残っていた。 「その、いいの?」  ゆっくりと彼女の胸部に手を近付ける。 「ここで、オレが嫌だって言ったら止めてくれるの?」 「それは――」  努力はするけれど、正直つらい。 「いいよ、コクトー。お前の好きにして」  そんな僕の心を見透かしてか、それとも彼女の中でも僕と同じようにスイッチが入っているのか、式は体の力を抜いた。 「うん。じゃあそうさせてもらうよ、式」  着物の上から優しく胸に触れた。それに反応して小さく式の体が震える。  そんな小さな挙動を悟らせまいと顔を逸らす式が愛しく思えて、僕はゆっくりと胸や性器以外の部分の愛撫を始める。 「――――んっ」  腰に這わせた右手が振動で揺れる。感じ始めているのか、先程より増して式の目はとろんとしてきた。  敢えて焦らすように服の上から優しく触れるか触れないかの愛撫を続ける。もう片方の手は彼女の左脇に。 「……はぁ、はぁ…」  今は式の息遣いが僕の耳に届く唯一の音楽だった。  腰より下、だけど大事な部分はするりと避け、彼女のふっくらした太腿に右手が届く。正直素肌で触りたいが、今は我慢だ。 「――ぅ、ぁ」  式は小さく足を動かし、快感を逃がそうとする。だけど、僕は式の足を自身の足でがっちりと固定し、逃がさない。 「幹也の意地悪」  小さく漏れる声。  僕は敢えて聞こえない振りをした。 「何か言った?式」  左手でまたもや腰を触れながら、足を大胆に触る。 「わざと、でしょ――っ」 「何のことかな?」  這わせていた指を止める。 「――――」  無言で小さく睨む式。正直、今は怖いという感情より、可愛いという感情が大きく上回っていた。 「ほら、どうしたの?何か言いたいことがあったんじゃないのかい?」 「………悪魔め」  ボソリと式は悪態付く。 「式」 「な、なんだよ……」 「式は僕にどうして欲しい?」 「ぇ――」 「式の口から聞きたいな。式がこれ以上は嫌って言うなら止めるし」  流石に、嫌と言われたらつらいが。それでも式が本当に嫌ならここで止めるべきだとは思う。  でも、式がこれ以上の交わりを求めてくれるのなら。自分の意思を伝えてくれるのなら、それは大事なことだし、喜びでもある。 「――――」  荒い息遣いが聞こえる。  暫くだんまりを決め込んだ式だったが。 「――触って…」  小さく、普段からは想像できない程か細い声で。 「直に、触って、欲しぃ」  確かに、そう口にした。 「分かったよ。じゃあ腰を少し浮かしてくれるかな?」  そう言う僕に、小さく首を傾げながらも式は頷く。  力が入らないのか、式は両腕でかろうじて自身の体を持ち上げる。  すかさずその腰に腕を当てて、帯紐を解いた。 「………」  無言でそれを見守る式。僕はゆっくりと彼女のシンボルでもある着物を崩していった。  彼女の胸に巻かれていたさらしを、体を支えながらゆっくりと解いていく。  そしてようやく彼女の肌が露出した。控えめな胸に、か細い肩。なんとなくもったいなく感じて、僕は彼女を半脱ぎの状態で、一度手を止める。  その代わり、着物の裾を捲り上げ、先程まで触っていた太腿を空気に触れさせた。 「……んぁ」  式は小さく吐息を漏らす。 「綺麗だよ。式」  それは本当に素直な黒桐幹也の感想だった。  さて、それでは素肌に触れていくとしよう。  ピンポーン。  そう思い、式を押し倒そうと肩を持った瞬間。来客の合図を告げるベルが鳴った。 「なっ……」  動揺は式のもの。 「どうしてこんなタイミングで」  式のアパートに来る客は少ない。しかもそのうちの一人である僕はこうして中にいる。  となると――。 「もしかして、秋鷹さん…?」 「――っ」  そんな僕の憶測に怯えたように身を隠す式。  さすがの式でも、肌を露出したうえに、頬を赤く染めた今の状態を他人に見られるのは嫌らしい。 「えっと、じゃあ僕が出てみるよ」  幸い僕の服に着崩れはない。何とかごまかせるだろうと思う。  立ち上がり、ドアへと向かう。 「はい。どなたでしょうか?」  意を決して僕は式が外に見えないように小さくドアを開けた。 「あ、両儀さん宛ての宅配便です」  そこにいたのは、想像していたものとは全然別の人物だった。 「ああ、どうも。サインでいいですか?」 「はい。構いませんよ」  両儀っと。あまり慣れていない文字を走らせる。 「どうぞ」 「確かに。では」  配達員から少し大きめの箱を渡される。なんだろう、これ。 「ありがとうございました」 「いえいえ。毎度どうもありがとうございました」  笑顔で礼をして立ち去る配達員。どうやら何もおかしく思われることはなかったようだ。 「ふぅ…」  小さく息を吐いてドアを閉める。 「式。君に届け物だってさ」 「届け物…。あ、確かトウコがそんなこと言っていたな」  少しお預けを食らったせいなのか、式は仏頂面になっていた。とはいえ、それでも頬から赤みが取れているかというとそうでもないようだ。 「開けてみる?」 「…そうだな。このまま忘れたら後でトウコに何言われるか分からないし」  橙子さんもどうしてこう、間が悪いんだろう。  心の中でぼやきながら、段ボールのテープを剥がし、蓋を開ける。  そこには……。 「手錠…?」 「はあ…?」  いや、正確には足枷もある。だがそれよりも、なんだこれは……。  ベルト、というには少々小さすぎる革製のソレ。  どうみても首輪だった。あ、リードまである…。  ……橙子さん、貴方が何をしたいのかわかりません……。  こんなものを式に送ってなんのつもりだろう。  そう思って、見なかったことにしようかとした時、小さな白い紙を見つける。  はぁ、念のために見ておくとしよう。 『やあ、これを読んでいるのは黒桐だな? どうせ丁度良いところで配達が来て悪態付いていることだろう。まあ、そんなことはどうでもいい。』  どうでもいいんですか。というか、橙子さん。鋭すぎです。いや、寧ろ計画的に……さすがにそれはない、よね。 『いいか、黒桐。式は普段の言葉遣いや態度こそ男顔負けだが、その実、内面的な部分では、他人に依存したいという思いが強い。』  それには確かに同感だ。式も女の子なんだし、それに――。  今の式は本当に可愛い。  ベッドの上で此方をどうしたのかと見下ろすその姿は小動物をイメージさせる。うん、やっぱり式は動物に例えるなら兎だと思う。 『そういった輩はな、ただエロいことをしただけでは満たされない。ぶっちゃけて言えばな、式自身はドMなのだよ』  え、えぇ…? 『支えてくれる人間がいないと、まともに立って歩けないほどのな。故に、黒桐は準備しているわけがないと思ってそういった心を満たしてくれるアイテムを準備しておいた』  アイテムって、これですか。手足枷にリードの着いた首輪。 『心配するな。初心者用のアイテムしか送ってないし、嫌がるなら使わなければいい。そこはお前たち次第だ。ではな、精々頑張れよ黒桐』 「………」  十分首輪はハードですよ、橙子さん。でも、もしそれを式が望んでいるのなら………。 「――幹也。トウコの奴、なんて書いてるんだ?」 「い、いや何でもない。説明書みたいだ、これ」  なんとなく誤魔化す。 「そうか。で、なんで手錠なんか入ってるんだ?」 「次の依頼に必要とかじゃないかな?」 「ふーん、まあいっか」  あまり、気にした様子もなく、式は受け入れた。  微妙に罪悪感を感じないでもないが、橙子さんからの入知恵だと思わせるのもよくない、と思うし――。 「その、式」 「――ん?」 「このアイテム使ってみていいかな?」 「は…?」  式は少し驚きの色を含ませる。 「式相手に、今だけ、その――」  式は段ボール箱の中身を一瞥した後、小さく息を吐いて。 「幹也がそうしたいなら」  まんざらでもなさそうな顔で、呟いた。 「うん。そうさせてもらう」  取り敢えず、首輪は背中に隠したまま、枷を手に取る。  ベッドでさらに顔を赤くした式の下に歩み寄り、体を支えながら、彼女の腕を後ろに組ませた。 「変なプレイが好きなんだな。幹也は」 「そういう式は、こんなことされて感じない?」 「………」  無言で式は視線を逸らす。  恥ずかしがるということは、つまり橙子さんの考えは外れていない、ということなのだろう。式なら、本当に嫌なことは嫌というはずだ。 「じゃあ、締めるね」  カシャリという音がして、小さな鎖がつながっている手枷が式の手の自由を奪う。  今は手枷だけ。足枷はその必要ができた時にすればいいだろう。  僕はお預けにされていた、彼女の柔肌にそっと触れる。 「ぅ……ん、ぁ…」  やはり着物の上からとは感度が全然違うようで、徐々に式の喘ぎ声は増えていった。 「首筋舐めるね」  乳房を優しく揉みしだきながら、首に顔を近付ける。 「首って―――ひゃんっ」  可愛い声が漏れる。如何やら、相当感じるらしい。 「ちょ、幹、也ぁ…ん」  そのまま僕は顔を少し上に向けて、彼女の耳を軽くはんだ。  必死に手を動かそうとするが、残念ながらぴったりと拘束された腕は払い除けるだけの力を持ってはいない。 「式は首や耳が弱いんだね」  腰や脇、太腿も随分弱そうだったけど。 「そんなことっ、な――ぃゃぁぁ」  言葉を言い終える前に、強く胸を揉みながら、脇を舐める。  少し汗ばんだ式の肌はしょっぱくて、それでいて甘かった。  そんな式が可愛くてつい、意地悪をしたくなる。 「式。僕は触ってすらいないのに、君の乳首はもう起ってるよ」 「そ、そんなわけ…」 「嘘じゃないよ。自分で見てみればいいじゃないか」  式はおそるおそる、自身の胸に視線をやる。そこにあるのは見紛うことなき、硬くなった突起。 「う、嘘でしょ…」  だから、嘘じゃないってば。 「ぇ――はふぅ――ぁん…んっ!」  自分自身の体の素直さに茫然とした式は、次なる快感にピクピクと痙攣を起こした。  太腿から足の裏まで一直線に舐める。当然、足枷をしていない足は途中で異変に気付いて、止めようともがくが、僕とて男である。弱った式ならばある程度は腕ずくで抑えることが出来る。 「舐め、すぎ――だ、幹也ぁ」  もう片方の足も舐める。はっきりと感じてきているらしく、式の声はどんどん色っぽさを増す。  その声に、僕の理性はゆっくりと犯されていく。 「じゃあ、もう舐めない方がいいかな?」 「――ぇ?」  あくまで触れるか触れないか程度の、胸に対するタッチ以外の行為をいったん中止。  式を真っ直ぐと見つめた。  式はゴクリと生唾を飲み込んで、目で訴えてきた。  だけど、言葉にしてもらわなければ僕は動かない。あくまで式の乳房を焦らし続けるのみ。 「幹也……」 「なに?式」 「焦らさないで……もっと、舐めて……私の大事な処っ」  少し涙目になりながら、意地悪をした僕を睨みつけた。 「それじゃあ。僕の言うこと、これから何でも聞く?」  こくんと頷く式。 「じゃあ、これを嵌めてもらうよ」  背中に隠していたソレを、式に見せる。 「首、輪…?」 「そう。これを付けている間は、式は僕のものだよ」 「私が、幹也のもの……」 「そう。そして付けている間、君は絶対僕の指示に従わなきゃならない。出来るかい?式」  小さく頷く式。  でも、今回はそれで納得にはしない。 「『お願いします』だよ。式」  ちょっとやりすぎだと思うけど、式がそれで満たされるのであれば。 「……っ。お願いします」 「うん。了解」  彼女の首に触れ、苦しくない程度にベルトを締める。ベルト自体は後ろで固定するようになっており、本人の意思ではとれないような設計となっている。  リードをちょっと引っ張って、彼女の体をこちらに預けさせる。 「さて、じゃあ。式の要望通り始めよう」  だから、これ以上焦らすのは辞めよう。 「―――んっ」  ようやく僕の左手は胸の中心部である突起に。そして、もう片方の乳房を優しく口に含む。 「ひゃぁん――、はふぅ…、あふ」  硬くなった乳首をちょっと強めに抓む。充血していた乳首は、既に快感を得るためだけの物となっていた。僕は乳輪を舌で舐め回しながら、時折左手が乳首を抓むのと同時に右の乳首を吸う。  ピクピクと式は度々痙攣を起こし、このままでは乳首だけでイってしまいそうだった。 「まだイカないでね。式」 「……はい」  首輪を嵌めたせいか、式は口調が先程から丁寧語になっている。こういった、普段のギャップというのも式自身にとって、自虐プレイか何かなのだろうか。 「膝を曲げて、足を開いてくれるかな」  所謂M字開脚。最初は戸惑ったような表情を見せたが、軽くリードを引っ張ると式は無言でそれに従った。 「うわ、パンツ。凄く濡れてるね」  式の体に跨るようにして、彼女の秘部に顔を埋める。 「仕方ないでしょ――、です」 「そうかな。式が淫乱だからこんなに濡れてるんじゃない?」 「それはっ――ひゃん!?」  濡れた布きれの上から、圧迫するように女性のもっとも敏感な部分に触れる。  暫く中指の腹で、ツンツンと突いたりしてみる。既にパンツを穿いたまま、式の中は愛液で溢れきっているようで、先程から白い液体が滴り落ちていた。 「このままじゃ気持ち悪いだろうし、脱がせるよ。式」  ピクリと式の体が震える。  返事を聞くまでもなく、僕は彼女を守る最後の防壁を摺り下ろしていく。  式は耐えるようにしてじっとそれを見つめている。足首まで下ろすと、片足だけ脱がせ、代わりに最後の枷を手に持つ。 「さて、最後の抵抗を封じさせてもらうよ」  板により最初から位置を固定された足枷は、式の意思とは関係なく、開脚させたままの状態で彼女の自由を奪う。普通は共についていた付属品でベッドに固定するように出来ているのだろうが、別にその必要はないだろう。  カシャリ。  式が見守る中、僕は容赦なく彼女の開ききっていた足を固定した。  そのまま露わになっていた彼女の性器をまじまじと見つめる。 「幹也、そんな……」 「うん?」  恥ずかしいのか、式はもぞもぞと太腿を擦る。 「もっとよく見せて欲しいな。式のお○んこ」 「み、幹也っ――?」  彼女の膝の間に腕を入れ強引に開ききる。  ああ、綺麗だ。純粋にそう思った。  淡いピンク色をしているそれから滝のように白い液が滴り落ちている様は僕の息を更に荒くさせる。  とはいえ、最初からそれに臨むわけにはいかない。 「あぁんっっ――!?」  再び彼女の上に跨ると、僕は先程まで手で弄っていたもの――ク○トリスに小さくキスをした。  またもや彼女の体が大きく痙攣する。そろそろ近いのかもしれない。 「さぁ、本人と同じで恥ずかしがり屋な処には、いい加減出てきてもらおうかな」  リードを時折引っ張り、己の状況を式に把握させつつ、未だ皮を被っているそれを丁寧に上下に舐めていく。割れ目の先端から指で腹の方へ持ち上げ、ク○トリス○ードをゆっくりと剥いていく。 「ま、待って幹――ぁんっ!」  確かに感じている、という証拠にそれは少しずつ大きくなっていく。程なくしてそれは支えなしで完全に衆目にさらされる位置まで立ち上がっていた。男のペ○スと同じで勃起したのだ。  僕は膨れ上がったそれを中指と人差し指の間に挟み、ゆっくりと上下させる。  はぁ、はぁと荒い息が式から漏れる。それが僕をさらに興奮させる。  時折、唾液をどろりとかけ、滑りを良くする。どんどんピンク色だったそれは赤く染まっていく。  小さいとはいえ、沢山の神経が張り巡っているのだ。  感じれば感じるほど痛みも感じていることだろう。式は声を我慢して、僕の指を受け入れるのに必死だった。  だが、そのままでは一向に進まない。意を決して、僕は軽くデコピンの要領で軽くクリ○リスを弾いた。 「痛っ――はぁん、あひぃぃぃん!」  ドロドロとした白濁液が式の秘部から溢れだす。 「ねえ、式。我慢しなくていいんだよ?僕に式の可愛い声を聞かせてよ」  中指の腹にくちゅくちゅと音を立てながら彼女の愛液を絡めつけて、強くク○トリスを圧迫する。 「ひゃぁっ!駄目、これ以上は、もう――」  限界だ、と。  式は怯えるような目で僕を見つめる。咄嗟に焦らしたくなり、手を放そうとする。  しかし、それは駄目だ。さっき、もう焦らしたりはしないと約束したのだから。 「イっていいよ。式!」  寧ろ、彼女が心地よくイケるように、僕は素早く指を動かした。 「ひゃぁぁぁあああん!イっちゃうっ――コクトーの指で私ぃ、イっちゃうよおぉ――!!」  初めて聞く彼女の絶頂に僕の胸は最高潮に高鳴った。息をするのさえ苦しくなるぐらいに、収まることを知らない。  ふるふると式の体が震え、先程の比ではない量の愛液が、彼女のア○ルに垂れていく。  焦点が合わないのか、ボンヤリとした式は自身の胸の鼓動を抑えようと必死に息継ぎする。 「可愛かったよ、式」  そんな彼女が愛おしくて、咄嗟に唇を奪う。 「――んっ」  嫌がる素振りはなく、式は受け入れる。だけど唇を放すと、そこには不満そうな式の顔があった。 「嫌だった?」 「いや、だったわけじゃないけど。幹也は色々と酷い」  拗ねたように振る舞う式。真っ赤な顔でぷいっとそっぽを向かれると、あまりにもの可愛さに動悸がさらに高まる。 「ごめん」 「その、たまには、ペットから甘えるのも、有り、だよな……?」 「えっ…?」  どういう意味だろう。考えようとして顔を伏せた瞬間、式に顎を掴まれて、彼女の唇に僕の唇が塞がれた。  其の儘、式は僕の唇を舌で舐め回した。急なことで驚いて、僕が口を少し開くと、待っていたとばかりに式の舌が僕の口内に滑り込んでくる。唾液を僕に飲ませるように伝い込ませ、僕の舌に絡まりつく。 「――くちゅ――ちゅぱっ――」  卑猥な音が脳内を支配する。  その、これはつまり――。  ディープ、キスなんだろうか、やっぱり。  僕も絡ませたままの舌を彼女の口内へと滑り込ませる。唾液と唾液を交換し合い、息が続く限界まで、僕は彼女に弄ばれ、僕も彼女を弄ぶ。 「――ぷはぁっ」  やっとまともに見た式の顔は、トロンと目尻が下がり恍惚とした表情をしていた。  それがとても僕には美しくもあり、儚いものに見えた。 「ねえ、式」 「なんで、すか……」  小さく小刻みに未だ快感の余韻に浸っている式。  そんなものを見せられていれば、もう僕も我慢の限界だった。 「本番始めちゃってもいいかな?」  ピクリと式の肩が震える。  そして、己の首に巻かれた首輪と僕の手に握られたリードを交互に見て。 「はぃ…」  小さな声で返事をしてくれた。  可愛らしい式にまたもや悪戯したくなって、僕は意地悪な顔をする。 「そこは『どうぞよろしくお願いします、御主人様』って言うんだよ」 「そんなことっ――」  流石に恥ずかしいと身悶える式。だけど、僕はそれで許してやるつもりは毛頭ない。  リードを強く引っ張り、早くしろと催促する。 「うぅ――っ」  自虐心を煽られた式は、顔を真っ赤にして顔を伏せながら。 「どうぞ、よろしく、ぉねがい、しますっ。ご、御主人様ぁ」  どうにか、言葉に出した。  言いながらも愛液が溢れてくるのを見て、彼女が感じていることを再確認する。 「うん、よく言えました」  僕はズルリとズボンを脱ぎ、自身のペ○スを式の目の前に現した。 「幹也の、すごく、大きい……」 「式の可愛い姿を沢山見せてもらったからね」 「でも、こんなの入らないよぉ……」  小さく体を震わせる式。 「試してみれば分かるさ。――出来るだけ、優しくするから。式も力を抜いて」  優しく彼女の漆黒の髪を撫でながら、押し倒す。  びくびくと式は依然として震えていたが、体はだらりと力が抜かれていっている。 「じゃあ、入るよ式」 「――――っ!」  これ以上がないというぐらいに濡れている式のお○んこに僕のをゆっくりと擦りつけながら白濁液を塗りたくる。 「――んっ――んんっ!」  充分に濡れたのを確認すると、僕は彼女の中に押し込むように動き始める。ゆっくりゆっくり、だけど確かに彼女の中に入っていく。 「あふ――んぁ、はぁんっ」  式の喘ぎ声を聞きながら掘り進めていくと、途中で通行止めにあう。 「式、ここからは一気に貫くよ!」 「ぇっ――――ひゃあん!?」  処女膜を引き裂く為に、精一杯力を入れて、僕は彼女を貫いた。 「痛っ――」  予想は出来ていたけど、裂けた代償に彼女の膣から愛液と混ざって血が流れてきた。 「入ったよ式。ごめん、痛かったよね。大丈夫?」 「大丈夫、じゃないけどっ―――大丈夫。幹也と繋がってるって分かるからっ」 「式の中、とても暖かくて気持ちいいよ」 「莫迦。そんなこと言うなよぉ……」 「バカは酷いなぁ。君は今、僕の物なんだよ?」  リードを引っ張り、存在を示す。式はそれを思い出すと、かあっとさらに赤くなった。 「もうそろそろ動いても大丈夫?」 「駄目って言っても、動くんでしょ」 「うん、まあそうだけど」  このままでいるのは正直とてもつらいです。 「じゃあ聞くなよ」  それが彼女に出来る精一杯の抵抗か。  僕はそんな彼女が微笑ましくてしょうがなくて。 「じゃあ少しずつ動いていくね」  快楽を共有せんと、彼女の中で動き始める。 「うっ――式の中、結構締まるっ」  まあ、先程まで処女だったのだから当然と言えば当然なのだが、未開発の式の中は想像を絶する気持ちよさだった。  僕はゆっくりと出し入れをしながら、彼女の中を僕の形に開発していく。 「んっ、はぁ――はぁ」  痛みより快感が優ってきたのか、式もまた快感に身を任せ始めてきた。  僕もまた、さらなる快感を求めてスピードを上げていく。 「はぁん、はふ――ぁんっ―――ああんっ」  式の口から声が漏れる。 「幹也のが、幹也の大きいのが壁を擦って…!」 「式はここら辺が気持ちいんだね?」  ならばと集中的に、彼女のGス○ットを攻める。 「そこっ――いいっ…気持ちいよぉ幹也ぁ」  更に強弱を付けながら、僕は空いていた手で最初と同じように乳房を揉みしだき、脇を舐める。 「んふぅ――ひゃああっ!?」  突然の新たなる快感に式はものすごい勢いで痙攣し始める。 「同時攻め、なんて、聞いてな――」 「最初から聞いてたら、興醒めだと思ってね」  親指と中指を使って、ピンポイントに両乳首を弄る。  勿論、その間も式の中に入ったり出たりピストン運動を繰り返す。 「こんなの、気持ち、良すぎて、頭が真っ白になっちまう……」 「いいよ。もっと感じて、式」  言いながらも式の唇を奪う。今度は自分から式の唾液を求めて舌を絡める。 「あふ――はぁんっ…こんなの感じるなって方が無理だよぉ…」  普段の強気は何処へやら。式は完全に快感の虜となっていた。  そろそろ彼女も、本日2度目の絶頂が近いらしく足が震えている。  そう判断する僕もまた、そろそろきつくなってきた。  ラストスパートをかけるべきかと、僕は更に力を入れて彼女の子○口に勢い良くキスさせる。何度も何度もどんどん垂れ下がってくるソレを攻める。 「幹、也。もう、私――っ」 「僕も…出すよっ式!君の中に!!」 「来てっ幹也ぁ!!」  彼女の絶頂に合わせて僕も○液を放出する。  式の中でどびゅっという音がする。  出し終わると、僕はピクピク震える式からゆっくりとなにを抜こうとするが、締め付けられる形でそれは途中でぴたりと止まる。 「……式?」 「……抜くな」  ボソリと、本当に小さな声で、でも確かにそう言った。 「どうしたの?」 「いいからっ」  そう言われて、僕は抜きかけていたそれをゆっくりと落ち着く場所まで入れなおした。 「これで、いいかな?」  でもまたどうして、急に。 「お前の○液。多すぎる……」 「式の中がとても気持ち良かったから」  うぅと式は小さく唸ると、真っ赤な顔のまま僕の方を見た。 「その、未だ体の中で感じていたいから…垂れないように蓋をしてて……」  言い切る前に顔をうつむけ恥ずかしさを噛み殺す式。  なんだこの可愛い生き物は!? 「うん。分かった。暫く、こうしているから……」  そのまま式を抱き寄せる。 「少し、疲れた……」 「僕も…」  式の熱が伝わってくる。 「このまま、少し休もうか」  そう言う僕を少しだけ恨めしそうに、式は睨んだ。 「その前に、寝る時ぐらい外して欲しい」 「あっ―――」  そうだった。今も式は後ろに手を拘束され、足もまた股開きのまま、固定されているのだった。 「ごめん、今解除するね」  鍵を不器用な手つきで解除し、体を開放する。 「首輪も外すね」 「いや、いい……」 「えっ…?」  恥ずかしそうにごにょごにょと呟く式。 「寝て、起きるまでこれは外さないでおく。幹也、オレは――私はお前の物だ」  精一杯の強がりかのように、式は言った。 「うん。式、君を一生許はなさない――」  自由になった腕で、式は僕に抱き付く。僕もまた抱き寄せた式にさらに密着する。  そうして、僕たちは夢の中に堕ちていった。  夢の中でも幸せでありますように――。  後日。 「それで、どうだった黒桐」  やっと獲物が首を持って来たとでも言った感じの口ぶりで橙子さんは前置きもなく、尋ねてきた。 「どうだった――って、何のことですか?」 「しらばっくれるな。昨日は式とお盛んだったんだろう?」  やはり、偶然というには都合がよすぎると思うんだ。  恐らく、僕も式も彼女の術中に嵌ってしまったのだろう。その、別に後悔をしているわけではないんだけど。 「――む。大体なんなんですか、あの荷物」 「役に立っただろう?それともあの程度では全然物足りなかったか?」  ニヤリと笑う橙子さんに、僕はますます仏頂面になる。 「コーヒーに媚薬を入れましたね?橙子さん」 「ん、ああ。その通りだが?」  式の妙な熱の原因はこの人だったというわけだ。 「なんであんなことを……」 「そりゃあ。お前、面白そうだからに決まっているだろう」  何でもないことのようにあっけらかんと橙子さんは答える。 「そんなことのために、僕たちを振り回さないで下さいよ」 「いいじゃないか。お前たちも良い経験ができたわけだし。私はお前たちの乱れる姿を想像して面白いし」  はぁ、この人は一体何を言っているんだろう。 「でもどうして、僕と式とじゃ効き目のレベルが大きく差が出ていたんですか?」  一緒に入れられたコーヒーだ。別に、特に分けているような様子は見られなかったし。橙子さんが飲んだコーヒーは普通に飲む前に媚薬を打ち消したのだろうが、僕と式のを分ける方法など、如何にも思いつかない。 「ああ。それはお前が自分で入れた砂糖が原因だよ。予め媚薬の効果を半減させる薬を砂糖の中に混ぜておいたのだ。ほら、式は砂糖は入れないだろう?」  なるほど、そんな手まで打っていたのか、この人は……。 「今回は、橙子さんをなめていた自分が敗因なので、諦めますけど…二度とこんなことしないでくださいね」 「さて、それはどうしたものかな」 「……はぁ」  僕は毎度のことだが、大きなため息を吐いた。

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