第九次ダンゲロス

IDP(インフィニットダンゲロスポータブル)4

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dng9th

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「ひっ! か、かいちょう おっ、怒った、ですか!? ごっ、ごめんなさい!ごめんなさい!!
余計でした!!」

白星の必死の謝罪など意に介さずズンズンと足を浮かせずに彼女に近づくよしお。
その表情は微笑みのままである。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

泣きだしそうな表情でそれしか言葉を知らない子供のようにひたすらに謝り続ける彼女の元に到達したよしおは、しゃがみ込み、二本の逞しい腕を彼女を挟むように伸ばし、彼女の後方でパントマイムを行った。

「………えっ?」

困惑する彼女が振りむいた時、ようやくよしおの赤色の意図を理解した。
グラウンドを挟んで向かいの校舎の屋上で何かが光っている。
上手く逆光に隠れているが、それは紛れもないスコープで――――

――――次の瞬間
粉砕された窓ガラスと、ライフル弾が白星とよしおを襲った。
しかしそれらは全て光の壁で受け止められる!

ガラスの飛散が落ちつくと同時に一転、攻勢に出るよしお。
スッと屋上に向け持ち上げた手のひらを下に向け、振りおろす。
たったそれだけのパントマイムで決着はついた。

白星は確かに見た。
天空から狙撃手のいる屋上に向かって堕ちてきた巨大な会長の手を!
その手の落下により轟音をあげ、衝撃でいたるところにヒビが入る校舎を!

これそパントマイムの真髄である。
よしおのパントマイムは人間はもちろん無機物にさえその存在を信じさせ、現実に効果を及ぼす!

狙撃手の追撃が無いことを確認してからよしおは表現した。

『どうやら白星くんの隙を窺っていた刺客さんのようですね
危ないところでした お怪我はありませんか?』

「あっあっありまっ……! あえっ!? あっ! あのっ…ちっ…」

そうですかそれは良かったですねと、優しい微笑みを向け、よしおは続ける。

『ところで先程のお話ですが、お気持ちだけ頂戴しておきます
今の戦闘でお分かりになったと思いますが、今の私のコンディションは最高で、むしろ明日は貴女達役員が危険な目にあわないかということが心配なのです…
無論皆さんを全力で守る所存ですが、今年度の番長グループには一 十三さんや清水おしる子さんといった強力な魔人が数多く在籍しており…って、白星くん、聞いてます?』

「ち、ちかっ! かいちょ!! ち、近い、です!」

顔を真っ赤にして抗議の声をあげる白星。
先程の狙撃強襲から白星を守るため急遽パントマイムを行ったよしおであったが、結果何も知らない第三者から見れば、どう見ても抱き合うような姿勢で二人は会話を行っていたのである。
なんたるトラブルであろうか。

『おっと、私としたことが、配慮が足りませんでしたね
大変失礼致しました』

「…あっ」

サッと身を引こうとしたよしおの腰に白星は反射的に腕をまわしていた。

『…白星くん?』

「やっ! やっぱり… ち、近くても、大丈夫、です」

『そうですか』

引きとめられ、再び座り直したよしおを遠慮がちに見上げ、ひとつ、またひとつと、白星は今までずっと噤んでいた口を開き、言葉を紡いでいく。

「…か、会長?」

『なんでしょう』

「いつか、いっぱい、会長にはありがとうって伝えたかったです
わ、私に優しくしてくれてありがとうございました
叱ってくれてありがとうございました
生徒会に誘ってくれてありがとうございました
皆に紹介してくれてありがとうございました
パントマイムを教えてくれてありがとうございました
下手くそなお弁当を食べてくれてありがとうございました
何度も守ってくれてありがとうございました
それから… それから……」

『いえいえ、会長として当然のことをしたまでです』

「か、会長のおかげで、私、生きてるのが楽しくなりました
会長のおかげでもっともっと生きたいって思いました!」

『そうですか それは素晴らしいことですね』

「それと…」


「そっ、そういえば、 私、 会長、好きです」


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