第九次ダンゲロス

樫尾ニコについての無題SS

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dng9th

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樫尾ニコには年の離れたお姉ちゃんがいた。
体育会系の父ちゃんに似て、お世辞にも器量が良いとはいえない姉は、
母さん似で細面のニコを大層可愛がり、お人形代わりに着せ替えをしては蝶よ花よと持て囃した。
ニコももちろんお姉ちゃんのことが大好きだった。

幼稚園時代のニコはクラスでもダントツの可愛さを誇り
先生、父兄、クラスメイト、とにかく周囲全員からの寵愛を一身に受けて天真爛漫に育った。

小学校に上がった後
男が女のように振る舞うのはみっともないことなのではないかという意識が生まれ始めた。
シスコンのニコからすれば、同学年女子は幼稚過ぎるため、一緒に遊んでもつまらないと思うようになり
男子との遊びに混ざるようになった
中にはニコを男女などと揶揄するものも居たが、ニコは学校中(特に教師)からの人気を後ろ盾としていたため
いじめようと試みた男子は必ずあらゆる角度からの猛反発を受けるハメになった。
というより、当の男子も本当はニコの可愛さにどう接したらいいか図りかね、
屈折した感情を持て余した末の照れ隠しや気を引こうとしての行動だというのが実情であった。
結局、ニコに対して本気でボールをぶつけたり捕まえたりできるものなどおらず、
知らず知らずのうちに手加減された接待プレイが横行し、いかにニコを楽しませるかが目的となった。
この時期にニコと遊んでいた者たちは、そのほとんどが後に倒錯した性的嗜好に悩まされることとなる。

ニコはニコで自分の特権的な立ち位置を満喫しつくしていた。
何しろ大人たちはニコに甘い。
ニコも大人たちを操るためにはどのようにカワイコぶればいいかを完成させていた。
それは家でお姉ちゃんに甘えるための立ち居振る舞いを応用するだけで良いのだからごく簡単なことだった。

家にいるときと大人の前ではお姫様
学校では王子様
樫尾ニコの人生におけるピークだった。


中学校
魔の時代の幕開けである。
中学を支配する3年不良どもは、それぞれかつて内なる魔の呼び声『性欲と暴力』との戦いに敗れ堕天した人間の成れの果てである。
かの人魔たちはニコを投げ込まれた供物と見做し、陵辱を求めた。
ニコの信奉者たちは無力な一年ばかりであり、かつて絶大な庇護者であった教師たちもそこでは驚くべき無力であった。
ニコに何が起きたのか、詳細を語るには忍びない。
結論をかいつまんで言うと、さらなる不幸な出来事が起こった結果、ニコの姉が死に
絶望の淵で魔人に覚醒したニコは以前とは別人になった。

ほころぶ花弁のような屈託のない笑みを見せることはなくなり
他人から身を守る棘のようなオーラを身にまとうようになった。
登校時から下校時までまとわりついていた取り巻きは一人もいなくなり
代わりにジャンガリアンハムスターに話しかけ、不安定な精神をギリギリで保つ姿が見られるようになった。

そして希望崎高校へ
大なり小なり傷を追った者同士が集う魔人学園、希望崎。
ここでニコはようやく過去から解き放たれ、新たな友人を作ることができたようである。
その頭には真っ赤なリボン。お姉ちゃんの形見に見守られて。


GK評:2点
こんなハードなバックボーンを背負いながらもパンチラ盗撮に青春をかけるニコさんは男の鑑と言わざるを得ない。

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