第九次ダンゲロス

長い注意2

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dng9th

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「うそをつけええええええええええ!」
「えー!?」
「どんな対策だろうと効果なんてないのよ! 貴女に、おっぱいを育つと吹きこまれ豊胸体操をし牛乳を呑み、結局絶望するしかなかった絶壁同盟おっぱいの何が分かる!」
「お、おっぱいは悪くありません!」
「おっぱいが悪いのよー!」
 垂直にそそり立つ絶壁と地に広がるおっぱいが口論をしている。乳を失ったホルスタインがひん、貧ーと鳴いた。
 やがて、将華は泥沼の論戦を早々にその絶壁のように切り上げる。
 必貧乳の理を持つ概念武装に近い武器マサカッターを振り上げ――
「ええい黙りなさい! これであなたも失うのよ、その鬱陶しいおっぱぁっ!?」
 ――振り上げた瞬間、口から何かを吐き出した。細かな粒が宙に舞い、その一部がかぶりに掛かる。
 将華の身体ががくり、とのけぞり、背後に後ずさる。まるで派手な吐血でもしたかのように、口もとを手で抑えるも、ぼたぼた、とその指の隙間から零れ落ちる。
 将華はその正体に気付き、瞠目する。――それは!
「……お、米……!?」
 そう、あろうことか、彼女の口からどんどん出て来るのは、お米。白米だ。
 それも、炊かれてなどいない、精米直後のざらざらとした米粒。
  カブリエール
「《受米告知》――ようやく効いてきたようですね」
 ようやく立ち上がれるかぶり。その表情には、うっとりとした笑みが刻まれている。
「この……んっ、んくっ、ひゃあっ……!」
 変わりというように膝をつく将華。苦痛の声は、そのうちに艶やかな嬌声に近いものに変わっていく。
 まるで身体を内側からくすぐられるような異物感。
それは少女の下腹部――もっともデリケートな位置を中心に生じている。
それでも、まさかりの柄を離していないのは流石であったが、鋭かった眼は焦点が揺らぎ、端正な顔は既に薄赤く染まってきている。
「ありがちな能力ですいませんけれど、『稲を孕ませ、人を喰らう米を生やす』――それがわたしのカブリエールの効果です」
「怖げふぉっ! 話に聞いてはいたけど怖っ! あなた、よく人のことおぞましいとか言えたわね!? ――あっひっあんっ!」
「はあ、別にそうは思いませんけど……米が人の糧などと言う認識はもう古いでしょう?
……そうです。一方的な搾取なんて、人間の傲慢なんですよ! これこそが、わたしの――稲(いな)、世界の理想の姿!」
 かぶりが目を見開く。それはタイ米の如き凶悪な瞳! 
 立ち上がると、思い切り左右に両手を広げ(豊満な胸が大きく弾んだ!)、熟達した扇動者さながらに、熱に浮かされた瞳で高々と自らの『認識』を謳い上げ―― 
「人は米を糧として育ち、米の糧となって消えていくべし! 無限に続く輪廻の稲、それこそが私の求める米と人との理想のせかおぼろろろおろろろろろおろ」
 四つん這いになって米を吐いた。
 玄米であった。
「なんでアンタにも効いてるのよ!?」
「う、おえええええええいえあの、つい、――えろろろろろろろげっほっ! ごほっ! えろろろろろおうええいつもの癖であぱっ! うぇっほ、えっほ、んぐっひうううえおおおおえ」
 しかも明らかに将華より症状は重かった。四つん這いの態勢が崩れ、上半身が地面に突っ伏す。
 自らの下腹部を両手で抱えてびくんびくんと痙攣している。びくんびくん。
「あっ、ダメっそんなっ! 激しい……っあ!? やっ大きい……大きすぎて、しろいの(米)出ちゃううううう!」
 吐血ならぬ吐米。嘔吐ダンゲロス。
 『受米告知』。
 それは、米を愛し、米を搾取するばかりの現状に悲しんだ少女が、「自分も米を生みたい」という一心で発言した――本来は、自己使用系の能力なのである。

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