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---- ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「……言い過ぎた、かな」  業務を終え、水の中を漂いながら、数時間前のことを省みるノエル。  鷹絛楓は悪い子ではない。  それどころか、こんな自分を心配してくれる、とても優しい少女だ。分かってる。  でも、強くなると決めたのだ。  好奇の視線にも、悪意ある電流にも、あらゆる艱難辛苦にも負けない。  不浄の大地に身を堕とさず、背筋を伸ばし一人で戦い抜く覚悟を、自分は――。 「ふ、ああっ!? あっ、ぐうっ……!」  黙考を切り裂く、突然の電流!  遅れて響くヒールの音。  そして近づくは、垂れ下がるイリシウムに照らされた半魚人の顔――蘭丹である。  今日の展示も客足が悪かったのだろう、あからさまに不機嫌な表情をしている。 「渡良瀬さん、私昨日言ったわよね? これ以上『先輩』の顔に泥を塗るなって」 「そんっ……こと、言ったって……! あっ、やあっ!」  口答えは許さないとばかりに、少女の言葉を電撃が遮る。  両肩を掻き抱き顔を真っ赤にして痙攣するノエルを、蘭丹はじっとりとねめつける。 「私が先輩で、あなたが後輩。後輩は先輩を敬うものでしょう?  そこをあなたは、ひとの客を奪って、何様のつもりなの? 恥を知りなさい!」  イリシウムに描かれた『先輩』の文字をぴかぴか光らせて蘭丹が詰め寄るが、  当のノエルにその言葉は届いていない。 (なんでっ……私が何したって言うの……! お姉ちゃんも、こいつも、どいつも……!)  電撃の責めに混濁する意識の中、じっとりと滲む汗も、零れた涙も、全て水に消える。  誓ったはずの、打ちたてたはずの覚悟が揺らぐ。  肉体も精神も、最早限界なのだ。 「助けてっ……! 私を、助けてよ――――鷹絛っ!!」 「でりゃあああああっ!!」  ノエルの無意識の慟哭とほぼ同時、激烈な飛び蹴りが、蘭丹の背に突き刺さった。 「グワーッ!?」  蹴り飛ばされた蘭丹は、絶叫と共に館内の廊下を転がってゆく。  そして蘭丹を襲撃し、ノエルの危機を救った者――リーゼントに短セーラーの少女は、  水槽の中にノエルの姿を認めた。 「大丈夫か、ノエル」 「はあっ、はあっ……! あんた、なんでっ……!」  突然のインタラプトにより、ノエルは電撃の責め苦から解放された。  やっとのことで吐きだした言葉に、その少女――鷹絛楓は、さも当然のように答えた。 「言ったろ? ダチのピンチは助ける、それがダチだってな!」  そう言って、ニカッと笑うのであった。  なお、閉館後のこの場所に彼女が現れたのは、次のような理由によるものである。  鷹絛楓は持ち前の超直感でノエルの言動に違和感を覚え、彼女が去った後、  気付かれぬよう尾行していた。  逆立ち歩きのノエルの歩みは遅く、簡単に追いつき、この水族館まで辿り着けた。  そしてノエルの水槽をそれとなくマークしていたのだが、あろうことか彼女は  監視中に眠ってしまったのだった! なんという都合の良い睡魔か!  彼女が目を覚ましたのは、ちょうど蘭丹がノエルをいびっているところであり、  友達想いの彼女は一も二もなく割って入ったのであった。飛び蹴りで。 「あ、あなた誰よ! いきなり何をするの!」  起き上った蘭丹が喚きながら汚らしく唾を撒き散らす。  一方の楓は胸を張り、威風堂々と叫ぶ。 「オレは鷹絛楓! こいつのダチだ!」  言いきるのと同時、彼女は蘭丹に向け拳を突き出し、 「お前がノエルの火傷の犯人だな! タイマンはらしてもらうぜ!」  双眸に闘志を漲らせ、蘭丹へと突き進む! ----
---- ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「……言い過ぎた、かな」  業務を終え、水の中を漂いながら、数時間前のことを省みるノエル。  鷹絛楓は悪い子ではない。  それどころか、こんな自分を心配してくれる、とても優しい少女だ。分かってる。  でも、強くなると決めたのだ。  好奇の視線にも、悪意ある電流にも、あらゆる艱難辛苦にも負けない。  不浄の大地に身を堕とさず、背筋を伸ばし一人で戦い抜く覚悟を、自分は――。 「ふ、ああっ!? あっ、ぐうっ……!」  黙考を切り裂く、突然の電流!  遅れて響くヒールの音。  そして近づくは、垂れ下がるイリシウムに照らされた半魚人の顔――蘭丹である。  今日の展示も客足が悪かったのだろう、あからさまに不機嫌な表情をしている。 「渡良瀬さん、私昨日言ったわよね? これ以上『先輩』の顔に泥を塗るなって」 「そんっ……こと、言ったって……! あっ、やあっ!」  口答えは許さないとばかりに、少女の言葉を電撃が遮る。  両肩を掻き抱き顔を真っ赤にして痙攣するノエルを、蘭丹はじっとりとねめつける。 「私が先輩で、あなたが後輩。後輩は先輩を敬うものでしょう?  そこをあなたは、ひとの客を奪って、何様のつもりなの? 恥を知りなさい!」  イリシウムに描かれた『先輩』の文字をぴかぴか光らせて蘭丹が詰め寄るが、  当のノエルにその言葉は届いていない。 (なんでっ……私が何したって言うの……! お姉ちゃんも、こいつも、どいつも……!)  電撃の責めに混濁する意識の中、じっとりと滲む汗も、零れた涙も、全て水に消える。  誓ったはずの、打ちたてたはずの覚悟が揺らぐ。  肉体も精神も、最早限界なのだ。 「助けてっ……! 私を、助けてよ――――鷹絛っ!!」 「でりゃあああああっ!!」  ノエルの無意識の慟哭とほぼ同時、激烈な飛び蹴りが、蘭丹の背に突き刺さった。 「グワーッ!?」  蹴り飛ばされた蘭丹は、絶叫と共に館内の廊下を転がってゆく。  そして蘭丹を襲撃し、ノエルの危機を救った者――リーゼントに短セーラーの少女は、  水槽の中にノエルの姿を認めた。 「大丈夫か、ノエル」 「はあっ、はあっ……! あんた、なんでっ……!」  突然のインタラプトにより、ノエルは電撃の責め苦から解放された。  やっとのことで吐きだした言葉に、その少女――鷹絛楓は、さも当然のように答えた。 「言ったろ? ダチのピンチは助ける、それがダチだってな!」  そう言って、ニカッと笑うのであった。  なお、閉館後のこの場所に彼女が現れたのは、次のような理由によるものである。  鷹絛楓は持ち前の超直感でノエルの言動に違和感を覚え、彼女が去った後、  気付かれぬよう尾行していた。  逆立ち歩きのノエルの歩みは遅く、簡単に追いつき、この水族館まで辿り着けた。  そしてノエルの水槽をそれとなくマークしていたのだが、あろうことか彼女は  監視中に眠ってしまったのだった! なんという都合の良い睡魔か!  彼女が目を覚ましたのは、ちょうど蘭丹がノエルをいびっているところであり、  友達想いの彼女は一も二もなく割って入ったのであった。飛び蹴りで。 「あ、あなた誰よ! いきなり何をするの!」  起き上った蘭丹が喚きながら汚らしく唾を撒き散らす。  一方の楓は胸を張り、威風堂々と叫ぶ。 「オレは鷹絛楓! こいつのダチだ!」  言いきるのと同時、彼女は蘭丹に向け拳を突き出し、 「お前がノエルの火傷の犯人だな! タイマンはらしてもらうぜ!」  双眸に闘志を漲らせ、蘭丹へと突き進む! ---- [[次のページ>人魚と鷹4P]] [[前のページ>人魚と鷹2P]]

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