「長い注意3」(2012/07/07 (土) 19:08:43) の最新版変更点
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「ぐっ……ずっぐ」
#口からどんどん白米が出て来る 状態の将華は、それでも何とか立ち上がる。
主に、地面に押し付けられたかぶりの豊満な胸元を見たがゆえであった。
「このっ……」
刀に戻った『マサカッター』を振り上げる。その胸元は平坦である――が、稲で服はちょっと膨らんでる。
痛みがないのが逆に怖い。栄養分だけを吸われているのだ。
「そこまでだ」
――だが、振り降ろした刀は、小さな金属音と共に止められた。
「ハルマゲドン開催前の小競り合いは推奨されていない。――何より、自分の前で諍いは許さない」
「喧嘩ゎだメだょ><;! もっとみ→んナ、ガーリーにしよぉ↑ネ!」
「…………!」
刀を受け止めているのは、二本の指にはさまれた、一枚のコインだった。
その持ち主は、黒髪の生徒であった。目元を鋭角的なサングラスで隠し、唇は紅が塗られている。中世的な少年――いや、中性的、という言葉は相応しくない。
彼は、あるいは彼女は、まさしくどちらであってどちらでもなく――その性ですら、手に持ったコイントスで決めかねない危険人物だ。
「浦加、主手……!」
「必ずしもそうとは言い切れないけれど」
「うさぎは今日もアゲ☆アゲMAX!(*^▽^*)ノ」
その肩に乗っているのは、そこに存在するだけで後光のように女子力を発する一匹のうさぎ。驚くなかれ、彼女も魔人(魔兎?)である。
「っ……!」
こちらは初見だったが、後ずさる将華。
彼女も、年頃の少女として、ある程度の女子力を備えてはいる。
歩いているだけで絵になると褒められたこともあるし、髪や肌に気は使っている。その胸は平坦であるが、おしゃれな下着も持っている。乙女のたしなみと言う奴だ。
だが、このうさぎは――今までの自分の努力が、まるで石鹸で髪を洗うが如き愚行だったのではないか――そう錯覚してしまうほどの、圧倒的女子力を放っていた!
きらきらと輝く声質、くりくりとした瞳、思わず抱きしめたくなる、干したての毛布のような毛並み!
「引いた方がいいんじゃないかな。――それとも、これで決める?」
主手がコインを構える。それは必ずしも将華を倒すものではない。
――この場にいる誰かが確実に死ぬ。それだけの能力。それをこうも容易くほのめかす精神性こそが主手の恐ろしい所だ。
「……そうね。挨拶にしては、いささか派手すぎたわ」
主手は両性。事前の調査で覚えておいた、彼女の恨みの対象ではないどころか『地均し』の能力自体が効かない魔人の一人だ。
うさぎの方はよくわからないが――試すほどの度胸はない。
「一所に魔人が五人。前夜祭には派手すぎるわね」
「――五人?」
不可思議な言葉に、主手が眉をしかめる。
次の瞬間、将華の身体が浮かび上がった。
「!」
「か、勘違いしないでよね! 別に逃げるわけじゃないんだから! ――覚えておきなさいよ、米々かぶり!」
その場に影が差す。主手が面を上げ、その首元に、うさぎが恐怖に震えて潜りこむ。ガーリーに。
影の正体――突如現れた、二メートルはあろうかという怪鳥。その足に、将華は捕まっていた。
「貴女は、必ず貧乳にして見せる! この私がね! せいぜい谷間を洗って待ってなさい! ――うう、ふええ」
「……自分で言った台詞に自分で泣くな。自分は洗うほどないのにーとか思っているんだろう」
「う、うっさいのよホールインワン!」
「胸の大小なんて俺からすればどうでもいいんだが」
「う、うう……そんなこと言われても嬉しくないんだからね!」
泣きだした将華を、流暢な人語で慰める怪鳥。
何故か口にゴルフクラブを加えている。そのまま、ばさっと翼を羽ばたかせて、飛び去っていく。
その様を、主手とうさぎが見送った。主手が、何を思い出したか、遠い目をして呟く。
「……そろそろ魔『人』という呼称がフェアでなく思えてきたな。最近」
「ふええ……コワかったよぉ……うさうさ。食物連鎖トカ、ゼッタイガーリーじゃないよネ」
もぞもぞとガーリーに這い出してくるうさぎ。泣き顔一つとってもガーリーであった。
その背後に、粗い息をつきながら、かぶりがようやく立ち上がる。あのまま一体一なら、負けていただろう。その事実に、今更ながら恐ろしくなる。
戦慄の表情で、彼女らの去っていった空を見つめるかぶり。
「平将華……恐ろしい相手でした。あの人もハルマゲドンには出て来るんですね……」
「いいからキミは腹を仕舞え。あるいは抜け」
その腹部には、成長し切った金色の稲穂が、誇らしげに風に揺られていた。
まるで3D合成のようにシームレスな生え方。それだけに不自然な光景であった。
「あ、食べます?」
「いらん!」
「身体から直接とかガーリーじゃないヨ……」
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GK評:5点
敵味方合わせて5名の登場キャラ(内2名人間じゃないけど)を、
それぞれちゃんとキャラ把握して立たせてるのが実に技在り。
前半のバカバカしいながらガチな命の取り合いもダンゲロスっぽくてグッド。
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「ぐっ……ずっぐ」
#口からどんどん白米が出て来る 状態の将華は、それでも何とか立ち上がる。
主に、地面に押し付けられたかぶりの豊満な胸元を見たがゆえであった。
「このっ……」
刀に戻った『マサカッター』を振り上げる。その胸元は平坦である――が、稲で服はちょっと膨らんでる。
痛みがないのが逆に怖い。栄養分だけを吸われているのだ。
「そこまでだ」
――だが、振り降ろした刀は、小さな金属音と共に止められた。
「ハルマゲドン開催前の小競り合いは推奨されていない。――何より、自分の前で諍いは許さない」
「喧嘩ゎだメだょ><;! もっとみ→んナ、ガーリーにしよぉ↑ネ!」
「…………!」
刀を受け止めているのは、二本の指にはさまれた、一枚のコインだった。
その持ち主は、黒髪の生徒であった。目元を鋭角的なサングラスで隠し、唇は紅が塗られている。中世的な少年――いや、中性的、という言葉は相応しくない。
彼は、あるいは彼女は、まさしくどちらであってどちらでもなく――その性ですら、手に持ったコイントスで決めかねない危険人物だ。
「浦加、主手……!」
「必ずしもそうとは言い切れないけれど」
「うさぎは今日もアゲ☆アゲMAX!(*^▽^*)ノ」
その肩に乗っているのは、そこに存在するだけで後光のように女子力を発する一匹のうさぎ。驚くなかれ、彼女も魔人(魔兎?)である。
「っ……!」
こちらは初見だったが、後ずさる将華。
彼女も、年頃の少女として、ある程度の女子力を備えてはいる。
歩いているだけで絵になると褒められたこともあるし、髪や肌に気は使っている。その胸は平坦であるが、おしゃれな下着も持っている。乙女のたしなみと言う奴だ。
だが、このうさぎは――今までの自分の努力が、まるで石鹸で髪を洗うが如き愚行だったのではないか――そう錯覚してしまうほどの、圧倒的女子力を放っていた!
きらきらと輝く声質、くりくりとした瞳、思わず抱きしめたくなる、干したての毛布のような毛並み!
「引いた方がいいんじゃないかな。――それとも、これで決める?」
主手がコインを構える。それは必ずしも将華を倒すものではない。
――この場にいる誰かが確実に死ぬ。それだけの能力。それをこうも容易くほのめかす精神性こそが主手の恐ろしい所だ。
「……そうね。挨拶にしては、いささか派手すぎたわ」
主手は両性。事前の調査で覚えておいた、彼女の恨みの対象ではないどころか『地均し』の能力自体が効かない魔人の一人だ。
うさぎの方はよくわからないが――試すほどの度胸はない。
「一所に魔人が五人。前夜祭には派手すぎるわね」
「――五人?」
不可思議な言葉に、主手が眉をしかめる。
次の瞬間、将華の身体が浮かび上がった。
「!」
「か、勘違いしないでよね! 別に逃げるわけじゃないんだから! ――覚えておきなさいよ、米々かぶり!」
その場に影が差す。主手が面を上げ、その首元に、うさぎが恐怖に震えて潜りこむ。ガーリーに。
影の正体――突如現れた、二メートルはあろうかという怪鳥。その足に、将華は捕まっていた。
「貴女は、必ず貧乳にして見せる! この私がね! せいぜい谷間を洗って待ってなさい! ――うう、ふええ」
「……自分で言った台詞に自分で泣くな。自分は洗うほどないのにーとか思っているんだろう」
「う、うっさいのよホールインワン!」
「胸の大小なんて俺からすればどうでもいいんだが」
「う、うう……そんなこと言われても嬉しくないんだからね!」
泣きだした将華を、流暢な人語で慰める怪鳥。
何故か口にゴルフクラブを加えている。そのまま、ばさっと翼を羽ばたかせて、飛び去っていく。
その様を、主手とうさぎが見送った。主手が、何を思い出したか、遠い目をして呟く。
「……そろそろ魔『人』という呼称がフェアでなく思えてきたな。最近」
「ふええ……コワかったよぉ……うさうさ。食物連鎖トカ、ゼッタイガーリーじゃないよネ」
もぞもぞとガーリーに這い出してくるうさぎ。泣き顔一つとってもガーリーであった。
その背後に、粗い息をつきながら、かぶりがようやく立ち上がる。あのまま一体一なら、負けていただろう。その事実に、今更ながら恐ろしくなる。
戦慄の表情で、彼女らの去っていった空を見つめるかぶり。
「平将華……恐ろしい相手でした。あの人もハルマゲドンには出て来るんですね……」
「いいからキミは腹を仕舞え。あるいは抜け」
その腹部には、成長し切った金色の稲穂が、誇らしげに風に揺られていた。
まるで3D合成のようにシームレスな生え方。それだけに不自然な光景であった。
「あ、食べます?」
「いらん!」
「身体から直接とかガーリーじゃないヨ……」
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[[ガン&ソード]]に続く
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GK評:5点
敵味方合わせて5名の登場キャラ(内2名人間じゃないけど)を、
それぞれちゃんとキャラ把握して立たせてるのが実に技在り。
前半のバカバカしいながらガチな命の取り合いもダンゲロスっぽくてグッド。
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