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サウンド機能

大型の鉄道模型なら、それ自体が聞き応えのある走行音を奏でるのは事実だが、HO以下のモデルではリアルな走行音はあまり期待できない。大型模型であっても、細密に再現されたSLやDLの車体から発する音が内蔵モーターの駆動音だけ、というのは少々さびしい。鉄道模型は鉄道車両という静止した対象を楽しむのではなく、鉄道という動きのあるモノを模型化しているのだから、やはり模型の精密感に応じたリアルなサウンドを楽しみたいという欲求が生まれるのは自然の成り行きだろう。

目次


鉄道模型のサウンドシステム:発声場所について

鉄道模型のサウンドを大きく分けると、(1)レイアウト上で鳴らすもの、(2)コントローラ付近で鳴らすもの、(3)車両自体から鳴らすものの3種類に分けられる。それぞれ、(1)鉄道環境音(自然の音や雑踏の音、駅構内放送等)、(2)運転手や機関手が聞く車内の音、そして(3)鉄道車両自体が発する音を再現するのに適しているが、(2)についてはTOMIXより「N-S2-CL」という商品が発売されており、日本型に限っては臨場感のあるサウンドを簡単に楽しめるようになった。また(1)についても、レイアウト志向が日本より強い欧米では昔から多くの製品が販売されており、多様な音を手軽に楽しめる。さらに最近はパソコンの3Dサウンド機能を活用した新たな展開も見られる(後述)。
(3)の車両から発する音については、大型模型はともかく一般的なHOやNスケールでは発声装置やスピーカの搭載が難しく、なかなか実用的なものが現れなかったため、あまり普及が進まなかった。しかし、やはり車両走行音にこだわりたいファンは多く、過去にもいくつかのシステムが販売されてきた。

鉄道模型のサウンドシステム:音源場所について

車両にスピーカを積んで発声させる場合、その音源をどこに置くかで大きく2種類に分けることができる。ひとつは音源(サウンド生成装置)をコントローラ側に置き、車両はスピーカと簡単な制御回路だけにする方法。もうひとつは、サウンド生成装置を車両に搭載してしまう方法である。

前者の例がPFM方式と言われるもので、天賞堂からSL-1という商品名で販売されていたのでご存知の方も多いかと思う。線路に流れる走行用電流が単純な直流であることから、そこにサウンド信号を載せてしまうという仕組みがこのシステムのポイントで、車載装置が単純・小型(スピーカの他はチョークコイル等わずかな部品だけ)である上、キャブコントロール等でうまく制御すれば複数の車両に別々の音を発させることもできた。しかしこの方式の発展限界は低く、また電気的ノイズの多い線路をサウンド信号が通過することから、どうしても雑音を排除しきれない問題もあって、「すべての車両が個別に質のいい音を出すべき」というファンの希望を果たすことは残念ながらできなかった。それでもレイアウトや車両の加工が最小限ですむことが評価されて、現在に到るまで改良は続けられ、後継製品も発売されているとのこと。

後者の方式、すなわち音源を車載する方法も、実は歴史は長く、前述PFM方式の原型が戦後すぐの1950年代に開発されたのに対し、車載サウンド装置については戦前の大型鉄道模型ですでに存在していた(もちろん簡単な音を鳴らす原始的なものではあるが)。レイアウトに複雑な装置を設置することなく、車両だけで完結することから、装置を車載できるならばこちらの方式を採用するに越したことはない。たとえばプラレールのサウンドシステムなどもこの方式で、レールに設置したトリガーを通過すれば車載装置が特定のサウンドを発するというアイデア自体は古いものである。
ただし、HO以下の小型模型で、任意のタイミングで汽笛吹鳴等が制御でき、しかもリアルな音を発声させたいとなると、やはり車載装置の進化と小型化を待たねばならなかった。電子部品が安価に大量生産できる時代になり、車載サウンド装置(およびそれを遠隔操作する仕組みと装置)もさまざまな製品が開発・販売されてきたが、やはり決定版となったのは1990年代の、DCCと連携するサウンド・デコーダ登場であろう。集積回路技術や音声圧縮技術の向上により、大型スピーカで聞いても遜色ない音色と、線路を介さないことによる低ノイズ、また多数のファンクションを制御できるDCCならではの、さまざまな鉄道サウンドの再現(エンジンや発電機の起動音、多様な警笛・警鐘の使い分け等)等がファンの心を掴み、今ではHO以上の模型ではサウンド機能の搭載が当たり前となりつつある。

サウンド・デコーダの動作

サウンド・デコーダは車載デコーダのひとつであり、アドレスを有し、CV値により設定し、ファンクション機能により発声する、一種のファンクション・デコーダである。ただし最近はモーター制御機能を搭載したデコーダが一般的になっている。
キャブ側でファンクション操作(F1ボタンを押す、等)がなされると、DCC信号としてサウンド・デコーダに送られる。これを受け取ったデコーダは、設定に従い(汽笛等の)音を生成し発声する。音色はデジタルデータとしてデコーダに内蔵されており、商品によってはこれをパソコンで編集できるものもある。
もうひとつの重要なサウンドが走行音である。こちらは設定で「発声する」とすればファンクションに関わらず自動的に発声する。ディーゼルエンジン音や蒸機のブラスト音は、車両の速度に合わせ自動的に変化し、ランダムにコンプレッサ音等も発声する。停止時にはスロットル操作に応じてブレーキ音も鳴る。
他のファンクションとの連動が簡単なのもDCCならではで、蒸機の前照灯を点けると発電機の起動音が響くといった演出もある。

サウンド・デコーダの搭載

以前のサウンド・デコーダは、すでに搭載しているモーター用デコーダへの増設として搭載することが多かったため、普通のファンクション・デコーダのように入力側を線路電源に繋ぎ、出力としてスピーカを外付するものであった。さらに蒸気機関車のサウンド同調(シリンダの動きとブラスト音のタイミングを一致させる)のため、機関車の車輪に接点を設けるカム・コンタクト入力端子が設置されるのが一般的になった。
これらは、ファンクション・デコーダ同様、適当な空間に設置(蒸機の場合テンダーには空間があることが多い)するだけでよく、カム・コンタクトケーブルの取り回しくらいが問題になるだけだった。このため、客車や車掌車にデコーダを設置するという方法で、Nゲージ等より小さい模型にサウンド機能を搭載することもできる。またテンダーや客車等にサウンド・デコーダを搭載した場合、デコーダプログラミングの際にもモーター用デコーダと分けて設定でき、便利である。
最近主流となりつつあるモーター制御機能付のデコーダの場合は、これにモーター配線が必要となり、デコーダサイズも大きくなることから、サウンド機能だけのデコーダに比べ設置の自由度が低くなる傾向があった。ただし最近は少し前のモーター用車載デコーダと同等サイズでサウンド機能までついたデコーダが出回り、逆にスピーカ配線を少々工夫するだけで、従来サウンド・デコーダが要していた設置スペースが不要となり、むしろ搭載が簡単になる。
また、近年SUSIのようなデコーダ機能拡張モジュールを使ったサウンド搭載も選択肢に入るようになった。SUSIの場合、最大4線の通信線を介してサウンド・モジュールを増設することになるが、別途サウンド・デコーダを用意するケースに比べ、基盤サイズがひとまわり小さくなるメリットがあり(機能の多くをデコーダに依存するため)、搭載の自由度を高める他、故障時の切り分け等も簡単になる。

スピーカの選択・設置

サウンド・デコーダの搭載より、実のところスピーカ搭載のほうが問題点が多い。
大型模型では音質・音量重視で設置すればいいが、HO以下では音質・音量・サイズのバランスを取る必要がある。スピーカは小型化すれば音質・音量で不利になることから、ぎりぎり妥協できる音を出す、最小のスピーカを選ぶことになる。ただ、幸い近年は携帯電話の音楽機能が強化されたのにともない、携帯電話に内蔵できるサイズでも納得できる音質・音量のスピーカが手に入るようになってきた。各サウンド・デコーダメーカーからも発売されているが、秋葉原等の電子部品店を回れば数100円程度で十分な性能のものが手に入る。
スピーカの設置に関しては、少々のノウハウが必要となる。狭い車内にスピーカを設置する場所を探すことすら難しいのに、設置方法で音質・音量とも大きく変わってしまうからである。簡単にまとめると、注意点は特に以下の3点。
  • スピーカの向き
テンダー等にスピーカを上向きに設置すれば音は大きくなるが、広がってしまい下向き設置より聞こえにくくなることがある。また、機関車の足元から音が聞こえる下向き設置の方がリアル感がある。
  • スピーカの固定
堅くてしっかりした部品に固定しないと、十分な音量が得られない。また固定を合成ゴム接着材のような振動を吸収する材質に頼ると、音量減の原因になることもある。
  • 裏側との隔離
スピーカ裏側からの音が全面に回りこまないようにしないと、お互い逆位相の裏側と表側の音が打ち消しあってしまい、音量が激減する。これを防止するためエンクロージャ等を設ける必要がある。

車両ごとにどの搭載方法がベストかは変わってくるので、後付でスピーカを設置する場合は試行錯誤が不可欠になってしまうし、スピーカ・ボックス等、一般的な音響に関する知識も必要になる。KATO製HO模型等当初からスピーカの搭載を前提としたモデルも発売されてきてはいるが、何らかの統一規格が欲しいところではある。
なお、欧米では各種スピーカやバッフル、カムコンタクト用部品も手に入りやすいが、日本では今のところ熊田貿易さんで探すのが一番簡単かと思う。

サウンドの編集

サウンド・デコーダに内蔵されているサウンドは、当然デコーダ内のメモリに格納されている。これをパソコン等を使って自由に編集できれば、より自分好みのサウンドを楽しむことができるわけで、当然ほとんどのサウンド・デコーダメーカーからは接続装置と編集ソフトが販売されている。
サウンドをそっくり入れ替えるためのデータも準備されており、デコーダを別の車種に換装するようなケースでも問題なく流用できる。
ただし、どこまで編集できるかはメーカーごとにばらばらなので、サウンド・デコーダ導入前にメーカーサイトから編集ソフトをダウンロードして試用してみるのも一考である。

レイアウト上のサウンド

レイアウトにスピーカを設置して自然音や雑踏の音を再生するというのは、すでに一般的な楽しみ方になっており、市販製品も多くある。ドイツのNoch製品やアメリカのMRC製SOUND STATION CITY & COUNTRY(どちらも元は同じ製品)等は、手軽にレイアウトに臨場感を与える好アイテム。またITT社は各種環境サウンドのモジュールを販売、これらの多くはDCCとの連携も可能になっている。
またこれらのメーカーは、アナログコントローラやDCCのスロットル操作にあわせてブラスト音やエンジン音を発生するサウンドシステムも開発しており、雰囲気重視のレイアウトオーナーには手軽にサウンドの楽しさを味わえる製品となっている。

さらに近年、パソコンサウンドの飛躍的な進歩を活用した製品も開発された。パソコン制御ソフトRAILROAD & CO.シリーズのひとつである+4DSoundがそれで、環境音だけでなく、列車のサウンド(蒸機やディーゼル音等)までパソコンの立体サウンド機能で再現しようという野心的な製品である。スピーカ設置に注意を払う必要があり、正しい定位感を得られる鑑賞位置が限られる(普通はレイアウト前方中央付近だけ)上、定位感もそれほど高いわけではない等、サウンド・デコーダによる発声に比べると今ひとつという意見もあるが、もとよりNゲージより小さい鉄道模型ではサウンド・デコーダの搭載は至難の業であり、無理に小さい車載スピーカで鳴らすよりずっとリアルなサウンドで、なおかつ「列車の位置が分かる」程度には十分な定位感もあることから、一歩進んだサウンドを楽しみたいレイアウトオーナーなら検討の余地がある製品といえる。

サウンド・デコーダの主要メーカー

日本人に好んで使われているメーカーを中心に紹介。
Soundtraxx
大御所的存在のメーカー。サウンド・デコーダの先駆者と言え、1990年代半ばから多くのデコーダを発売してきた。現在はTsunamiシリーズが最新デコーダで、音質面でも機能面でも最高レベルのサウンド・デコーダとして愛用者が多い。
MRC
アメリカのホビー総合商社らしく、扱いやすいデコーダを各種販売している。値段も比較的安価で、不良品率が多いとの評判もあったものの、返品交換等の対応は悪くない。
QSI
アナログDC運転でも動作することが特徴のサウンド・デコーダを開発・販売しており、アメリカ型模型等では組込済の製品も多く見かける。また最近は天賞堂が日本型HOに組込済製品を販売している。ただし互換性については不安が残り、肝心のDCC運転では苦労することが多い。
Digitraxx
SoundFXシリーズでいよいよサウンド・デコーダにも進出してきた。KATO取扱品もあるので日本でも入手しやすくなると思われること、また日本での普及率が高いDigitraxx製品なので、機器の相性がいいと思われることがなによりのメリット。
ESU
LokSoundシリーズを開発、販売する。メルクリンの現行デジタル製品に同社の製品が採用されていることからわかるように、性能・品質は最高レベルで、DCCでもサウンド・デコーダ組込済製品の多くは同社の製品である。ただし、ユーロ高の現在、日本で購入するには最も高価格の製品ではある。
Uhlenbrock Elektronik
Intellisoundの商品名で販売、ドイツ型には組込済商品も見られるが、実はDIETZ社からのOEM提供製品である。もちろん品質は高い。

小型模型へのデコーダ搭載

今のところ、Nゲージ以下の小型模型へのサウンド・デコーダ搭載は試行錯誤段階と言える。いくつかデコーダ搭載済車両も発売されているが、重連仕様だったり固定編成のDCだったりと、1台の車両にデコーダとスピーカ双方を積み込む難しさが現れている。とはいえ蒸気機関車ならテンダー(炭水車)に余裕があるため、ファンの搭載実績は少なくない。特に最近は、小型デコーダが出そろってきたこと、携帯電話用超小型高性能スピーカが安価に手に入るようになってきたこともあって、挑戦するファンが増えてきている。