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**車両検知 列車の情報をレイアウト上で検出する機能・装置の一般的な呼称として、当サイトで提案する用語。特に列車のデコーダ・アドレス等を[[双方向通信]]により検出・送信できるものを指すこととする。 KATO社ではDigitrax社の[[トランスポンディング]]を「列車位置検出機能」と称しているが、必ずしも一般的な呼称としては扱いにくいことから、さらに表現を単純化して「車両検知」と呼ぶこととしたい。 車両検知には二段階あり、「列車の存在を検出する」段階と「存在する列車の正体を検出する」段階に分けて考える必要がある。 前者については、ある線路ブロックに列車が存在するかを検出する[[在線検知]]という手法と、センサーによりある特定地点を通過したことを検出する手法がある。センサーによる検知についても、赤外線フォトインタラプタを使う方法、ギャップを車輪が跨ぐことによる通電を検出する方法、静電容量センサーを使う方法、マイクロスイッチによる方法等多様であり、それぞれ一長一短がある。列車の在線検知と地点通過検知は、どちらの手法とも現実の鉄道で使われているものであり、列車の運行管理を模型で再現したいと考えるファンにとっては避けて通ることのできない問題でもある。 後者については、前段で検出した列車情報をなんらかの方法で得て、それを制御側に送信する段階であるが、アナログ時代には小型化が難しく、DCC等デジタル機器が鉄道模型に応用できるようになってやっと実用的な方法が取れるようになってきた。 実は最も現実の鉄道に近い方法は、パソコン等により現在走行している列車を論理的に判断する方法であろう。閉塞運転しており、本線上を突然列車が逆走することはない、という前提に立つなら、ある列車が現在どのブロックを走行中であるかは一意に決定できる。パソコンで列車をデータベース的に管理して発車時から追跡しておけば、特になんらかのセンサーに頼って列車情報を検出しなくても、位置検出だけで事足りることになる。主要な[[パソコン制御]]ソフトはこの機能を有しており、このことを活用してアナログ自動運転を実現してきた[[オートレール]]のような製品もある。 ただ、この方法ではパソコンソフト側での運行管理が必須であり、ポイントや位置センサーを含めた総合システムの構築が求められることから、確実な動作を期待するためには高いハードルを越えなければならない難がある。 そこで最近は、電子機器の小型化・高性能化も追い風となって、車両と検出装置が通信を行い列車情報を検出する製品が開発されるようになってきた。 この検出・通信方法として一般的に考えられるのは以下の方法だろう。 -バーコード -RFID等IDタグ -赤外線通信 -無線通信 -専用の双方向通信 -汎用の双方向通信 ***バーコードを使った車両検知 各車両にバーコードを貼付し、線路側に設置したバーコードリーダーで読み込む、という方式は以前より多くのユーザーにテストされてきたが、特に受信装置が高価になること、バーコード読取精度はそれほど高くないことがネックとなり、実用レベルの製品はまず見られない。 ***RFID等IDタグを使った車両検知 IDタグは将来的に1個あたり数円程度まで下がる見込だが、現状では受信装置が高価になる。それでも読取制度がバーコードより高く動作が確実なことから、いくつかのメーカーから製品は発売されている。 :[[Littfinski DatenTechnik(LDT)>http://www.ldt-infocenter.com/]]|TrainDetectという製品名で、RFIDによる車両検知システムを販売している。ただ、車上子、受信装置のサイズにも難があり、HO以下の模型で実際に運用するにはいろいろと悩まされることになる。検知情報は[[S88]]バスにより送信され、専用の接続装置でPCに伝達する。なお、以前はHELMO 2000という名称だったが、2007年よりLDTの扱いとなった。 また、将来さらに小型化・高性能化が期待できる製品分野ではあるので、今後さらに参入メーカーが増えることも予想される。 ***赤外線通信による車両検知 赤外線リモコン等は古くから存在し、パソコン用としてはFIR等高速な赤外線通信規格も存在する等、小型の通信手段としての赤外線は有力候補である。単純な列車通過検出装置としてフォトインタラプタ等を活用するものは従来より製品化されており、自作するファンも多いが、車両検知用途の赤外線装置としては、[[Uhlenbrock]]社の[[LISSY]]が唯一の製品と思われる。赤外線装置は素子化が進んでいることから小型の受信装置が作れること、赤外線の直進性から、通信=車両検出となり、どのセンサーが通信しているかがその列車の位置情報となること、デジタル回路化が容易でDCCと比較的簡単に連携させることができること等から、実用的なシステムに仕上がりやすいと言える。またRFIDを使う製品に比べ位置検出精度が高い(センサーは直径3mm程度なのでミリ単位の精度が期待できる)ことも魅力的である。 :[[Uhlenbrock社LISSY>http://www.uhlenbrock.de/3/9/1/I2777817-026.apd/Bes68000e.pdf]]|超小型の車上子と線路間に設置した受信機(センサー)との間で赤外線通信し、車両のアドレス情報を送るとともに、センサーを2個近接して設置した場合はその通過時間から車両の走行方向や速度まで計測・送信できるシステム。検出した情報は[[LocoNet]]を通じて送信される。実用的で汎用性の高い製品ではあるが、ドイツ製のため高価なのが難点。 ***無線通信による車両検知 赤外線同様に、Bluetooth等省電力無線による車両検知も考えられる。しかし無線の無指向性から複数の受信機で車上子の送信電波を受けてしまう可能性があるため、位置検出能力に難があり、現在のところ市販品として無線通信による車両検知を実現したものはないと思われる。 ***専用双方向通信による車両検知 線路を使ったデコーダと制御機器との双方向通信により車両検知することもできる。ある特定のデコーダを搭載した車両が在線しているブロックを検出すると同時に、そのデコーダからアドレス情報等を送信させ、それを専用機器で受信すればあるブロックに在線する列車が特定できる。 位置検出がブロック単位であること、専用機能を持ったデコーダ、制御機器が必要であることを除けば、逆に専用の[[双方向通信]]であることから既存のDCCシステムと矛盾を避けることができ、導入に際してのハードルを下げることができる。 :[[Digitrax社トランスポンディング>トランスポンディング]]| 現在のところ最も実用的な車両検知システムと言える。受信装置を接続した線路区間(ブロック)にトランスポンディング機能を持つデコーダを搭載した車両が進入すると、デコーダはアドレス情報等を線路に送信する。そして線路への給電線に直結された在線検知装置とトランスポンディング受信装置は、どのブロックにどの列車(正確にはデコーダ)が存在するかを[[LocoNet]]を通じて送信するという仕組みで、従来のDCCシステムに拡張する形で導入できることから、システム全体の買い替えをともなわない。 ***汎用双方向通信による車両検知 前述の[[双方向通信]]を、車両検知だけに留まらず汎用的なデコーダと制御機器との通信規格に発展させる動きもある。[[NMRA-BiDirection>BiDi]](略して[[BiDi]])がそれで、DCC規格自体に双方向通信機能を持たせ、それを車両検知にも役立たせようというものである。 将来的には期待できるものであるが、DCC規格自体の拡張である以上、従来製品の置き換えを要求される可能性が高く、導入のハードルは低くない。 ----
**車両検知 列車の情報をレイアウト上で検出する機能・装置の一般的な呼称として、当サイトではこの用語を使用する。特に列車のデコーダ・アドレス等を[[双方向通信]]により検出・送信できるものを指すこととする。 KATO社ではDigitrax社の[[トランスポンディング]]を「列車位置検出機能」と称しているが、一般的な呼称としては言えず、当サイトではこれも表現を単純化して「車両検知」と呼ぶこととしたい。 車両検知には二段階あり、「列車の存在を検出する」段階と「存在する列車の正体を検出する」段階に分けて考える必要がある。 前者については、ある線路ブロックに列車が存在するかを検出する[[在線検知]]という手法と、センサーによりある特定地点を通過したことを検出する手法がある。センサーによる検知についても、赤外線フォトインタラプタを使う方法、ギャップを車輪が跨ぐことによる通電を検出する方法、静電容量センサーを使う方法、マイクロスイッチによる方法等多様であり、それぞれ一長一短がある。列車の在線検知と地点通過検知は、どちらの手法とも現実の鉄道で使われているものであり、列車の運行管理を模型で再現したいと考えるファンにとっては避けて通ることのできないテーマでもある。 後者の「列車の正体を検出する」段階については、前段で検出した列車の個別情報をなんらかの方法で得て、それを制御側に送信する段階といえるが、これを実現する装置はアナログ時代には小型化が難しく、DCC等デジタル機器が鉄道模型に応用できるようになってやっと実用的な方法が取れるようになってきた。 実のところ、最も現実の鉄道に近い方法なのは、パソコン等により現在走行している列車を論理的に判断する方法であろう。閉塞運転をしており、本線上を突然列車が逆走することはない、という大前提に立つなら、ある列車が現在どのブロックを走行中であるかは一意に決定できるはずである。パソコンで走行中の列車をデータベース的に管理して、発車時から常時追跡しておけば、特になんらかのセンサーに頼って列車の個別情報を検出しなくても、位置検出だけで事足りることになる。主要な[[パソコン制御]]ソフトはこの機能を有しており、このことを活用してアナログ制御による自動運転を実現してきた[[オートレール]]のような製品もある。 ただ、この方法ではパソコンソフトによる運行管理が必須であり、レイアウト上のポイントや位置センサーを含めた総合的なシステムの構築が必要であることから、確実な動作を期待するためには難易度の高いハードルを越えなければならないという問題点がある。 そこで最近は、電子機器の小型化・高性能化も追い風となって、車両と検出装置が通信を行い列車情報を検出する製品が開発されるようになってきた。 この検出・通信方法として一般的に考えられるのは以下の方法だろう。 -バーコード -RFID等IDタグ -赤外線通信 -無線通信 -専用の双方向通信 -汎用の双方向通信 ***バーコードを使った車両検知 各車両にバーコードを貼付し、線路側に設置したバーコードリーダーで読み込む、という方式は以前より多くのユーザーにテストされてきたが、特に受信装置が高価になること、バーコード読取精度はそれほど高くないことがネックとなり、実用レベルの製品はまず見られない。 ***RFID等IDタグを使った車両検知 IDタグは将来的に1個あたり数円程度まで下がる見込だが、現状では受信装置が高価になる。それでも読取制度がバーコードより高く動作が確実なことから、いくつかのメーカーから製品は発売されている。また、将来さらに小型化・高性能化が期待できる製品分野ではあるので、今後さらに参入メーカーが増えることも予想される。 :[[Littfinski DatenTechnik(LDT)>http://www.ldt-infocenter.com/]]|TrainDetectという製品名で、RFIDによる車両検知システムを販売している。ただ、車上子、受信装置のサイズにも難があり、HO以下の模型で実際に運用するにはいろいろと悩まされることになる。検知情報は[[S88]]バスにより送信され、専用の接続装置でPCに伝達する。なお、以前はHELMO 2000という名称だったが、2007年よりLDTの扱いとなった。 ***赤外線通信による車両検知 赤外線リモコン等は古くから存在し、パソコン用としてはFIR等高速な赤外線通信規格も存在する等、小型の通信手段としての赤外線は有力候補である。単純な列車通過検出装置としてフォトインタラプタ等を活用するものは従来より製品化されており、自作するファンも多いが、車両検知用途の赤外線装置としては、[[Uhlenbrock]]社の[[LISSY]]が唯一の製品と思われる。赤外線装置は素子化が進んでいることから小型の受信装置が作れること、赤外線の直進性から、通信確立=車両検出となり、どのセンサーが通信しているかがその列車の位置情報となること、デジタル回路との相性がよくDCCと比較的簡単に連携させることができること等から、実用的なシステムに仕上がりやすい。またRFIDを使う製品に比べ位置検出精度が高い(センサーは直径3mm程度なのでミリ単位の精度が期待できる)ことも魅力的である。 :[[Uhlenbrock社LISSY>http://www.uhlenbrock.de/3/9/1/I2777817-026.apd/Bes68000e.pdf]]|超小型の車上子と線路間に設置した受信機(センサー)との間で赤外線通信し、車両のアドレス情報を送るとともに、センサーを2個近接して設置した場合はその通過時間から車両の走行方向や速度まで計測・送信できるシステム。検出した情報は[[LocoNet]]を通じて送信される。実用的で汎用性の高い製品ではあるが、ドイツ製のためか高価なのが難点。 ***無線通信による車両検知 赤外線同様に、Bluetooth等省電力無線による車両検知も考えられる。しかし無線の無指向性から複数の受信機で車上子の送信電波を受けてしまう可能性があるため、位置検出能力に難があり、現在のところ市販品として無線通信による車両検知を実現したものはないと思われる。RFIDも一種の無線通信であり、そちらのほうが有望であろう。 ***専用双方向通信による車両検知 線路を使ったデコーダと制御機器との双方向通信により車両検知することもできる。ある特定のデコーダを搭載した車両が在線しているブロックを検出すると同時に、そのデコーダからアドレス情報等を送信させ、それを専用機器で受信すればあるブロックに在線する列車が特定できる。 位置検出がブロック単位であること、専用機能を持ったデコーダ、制御機器が必要であることを除けば、逆に専用の[[双方向通信]]であることから既存のDCCシステムと矛盾を避けることができ、導入に際してのハードルを下げることができる。 :[[Digitrax社トランスポンディング>トランスポンディング]]| 現在のところ最も実用的な車両検知システムと言える。受信装置を接続した線路区間(ブロック)にトランスポンディング機能を持つデコーダを搭載した車両が進入すると、デコーダはアドレス情報等を線路に送信する。そして線路への給電線に直結された在線検知装置とトランスポンディング受信装置は、どのブロックにどの列車(正確にはデコーダ)が存在するかを[[LocoNet]]を通じて送信するという仕組みで、従来のDCCシステムに拡張する形で導入できることから、システム全体の買い替えをともなわない。 ***汎用双方向通信による車両検知 前述の[[双方向通信]]を、車両検知だけに留まらず汎用的なデコーダと制御機器との通信規格に発展させる動きもある。[[NMRA Bi-Direction>BiDi]](略して[[BiDi]])がそれで、DCC規格自体に双方向通信機能を持たせ、それを車両検知にも役立たせようというものである。 将来的には期待できるものであるが、DCC規格自体の拡張である以上、従来使っていたシステム機器の置き換えを必要とする可能性が高く、導入のハードルは低くない。 ----

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