-2-始まりの朝



 窓から入る、暖かな陽光と小鳥のさえずりが夢の底から優しく現実に引き戻してくれた…。
「うぅ…。眩しい…。」
今日はぁハンターせぇかつ一日目なんだからぁ起きない…と……。Zzz
「やば!」
慌てて飛び起きる。
「うわぁ、準備しなきゃ。」
…慌て過ぎだ。
必要な物は、とりあえずは武器のハンターナイフだけだ。大剣も支給されているが、初めは動き易い物が良いだろう…多分(笑)

家から出た。
あ~明るい。寝過ごした。
「あ~、村長のとこ行かなきゃ。」
村長は私の家から左奥の集会所の前にいる。
「遅いぞ。腹減っとるか?」
あぅ、そんな睨らまなくてもいいじゃない。
「ごめん、村長。」
村長は、もう集会所に向かい歩き始めていた。
「(笑)待ってよ。」
リュートも歩き出す。

集会所に入るとたくさんの視線が集まる。まぁ殆どは目線だけだ。
そこに、隠る感情は様々だ。好奇、嫌悪、忌避、いい感じのモノはない。
「…気にするな。」
一言の後、村長が周りを一瞥すると、集まっていた視線が散った。
「気になるでしょ。」
つい、苦笑いしながら言ってしまう。
「ふっ」
ちょっ、笑ったな!?
「顔に出とるぞ?」
「えっ、うそ!?」
慌て顔を押さえる。まぁそんなことしても意味ないけども。
「早よう来んか。」
いつの間にか席についてるし…。リュートもさっさと席につく。
「はぁ…」
なんか溜め息出るわぁ。
「ふっ、何食べるンじゃ?」
また笑いやがって。はぁ、とりあえず
「何でもいいよ。」
村長は若干不服そうな顔をした。
「おい、七味ソーセージサンドにポピ酒とミルクをくれ。」
どうやら、給仕に聞こえたようだ。集会所はかなり騒がしいが、何故か村長の声は良く通る。
「なぁ、早くクエスト見せてくれないか?」
クエストとは、ハンターが請け負う依頼のことだ。これを受けて、ハンターは狩場へ向かう。
村のクエストには、村長クエストと集会所クエストがあり、それぞれ近隣からの依頼と各地からの依頼がくる。
「そう急かすな。」
村長はそう言うが、こっちは早くクエストに行きたい。居心地悪いし。
「また顔に出とるぞ。」
「むぅ…。」
いやぁ、だってなんかいつもより人が多いし。
「まぁ、注目されとるからの。」
「…あんた、心が読めんのか?」
「だから、顔に出とるだけじゃよ。」
むぅ、そんなに顔に出てるかなぁ。
「なぁ、」
「まぁ食え。」
言うが早いか、目の前に料理が置かれる。謀ったか?
「いいから食え。」
なんか、気に入らないけど、腹が減ってるのは事実だ。今は欲望に従おう。
「戴きます。」
七味ソーセージサンド(要はホットドッグ)を一口噛じる。
「ん~、旨い。」
村長は黙々と食べている。もう半分くらい食べている。
急いで食べて、ミルクを一気に煽る。
「ぷはっ、よし村長。」
村長も食べ終えている。
ポピ酒をちびちびやりながら、
「そうじゃの。」
といって、手付金が入っていると思われる袋と羊皮紙を一枚取り出した。
…一枚?
「村長、なんで一枚しかないんだ?」
村長はニヤリとして、
「今回は、こちらで決めさせてもらった。」
どういうことだろう。
普通なら初めてのでも自分で選ぶのに。
「ん~、まぁいいけども、何に行けと?」
またもニヤリとして、
「ランポス5頭の討伐じゃ。」
「はい…?……っていきなりそれ!?」
村長はニヤニヤしながら、
「そうじゃ。これで周りの奴等も黙るじゃろう。」
何て言う。否定はしないが…。
「うぅ~。分かったよ、行けばいいんでしょ。」
諦めて、従おう。まぁどうにかなるだろ。
「うん、今回は契約金要らないから。」
「じゃ食事代もよろしく。」
言いながら、羊皮紙にサインし、手付金を引ったくって席を立つ。
「あいよ。死ぬなよ。」
「当たり前だ。誰が死ぬかよ。」
全く、怖いこと言うな。
「ふっ。まぁ頑張れ。」
リュートは村長を置いて、集会所を出た。

「さぁ、行くか。」
リュートは独り呟き、歩き出す。

‐この始まりの朝を。


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