術の手引き

術の手引き
                   著・刊行:ゴールドホルム王立研究院

 術の道を志す諸君。君たちはこの書物を手にすることで、
自らの新たな可能性を開く機会を得た。
ここに、術の行使に関する概要と、初歩的な術を行使する手順について記す。
君たちの修練の第一歩を手助けすることだろう。

 術を行使するための力、すなわちマジカは、人間であれば先天的に備わっている。
人間にマジカが流れる理由に関しては、修道会の領域であるので、ここでは割愛するが、
君たちはこのマジカを体の外に放出し、操れるようにならなければいけない。

 まだ術を扱ったことがない初心者にとって、筆術は大きな助けとなるだろう。
これは、紙や武具、あるいは建物の壁や床で見かけることができ、
マジカと親和性の高い金属など(触媒)を使って、術式を書いたものだ。
術者が筆術にマジカを流すと、後は筆術がマジカの指向を誘導し、
初心者であっても簡単に術を完成させることができる。
君がこれから術を志す初心者であるなら、まずは筆術の補助に頼るといい。
繰り返し訓練することで、君の体は術式を覚え、
筆術に頼らずとも正確にマジカを流し、術を完成させることができるだろう。
筆術用のスクロールは研究院、あるいはその支部で販売している。
加工の難しい触媒を使うため、決して安いものではないが、役立てて欲しい。

 筆術は暗黒時代の遺跡に残るトラップから発見されたもので、
いまでは練習用のスクロールの他に、建物の防衛や、
武具に掘られる刻印などの形で利用されている。
また、遺跡のトラップからは全く新しい体系の術式が発見されることもあり、
王・ペトラム=ゴールドホルムの時代になって冒険者が爆発的に増加してからは、
同時に術も急速に進歩しつつある。

 筆術を卒業した術者は、次にジェスチャーとツイートによる術の行使に入る。
ジェスチャーは大まかなマジカの流れ道を示すのに、
ツイートはさらに詳細な、マジカの流れ方を示すのに使われ、
この2つの動作を同時に実行することで、術が成立する。

 ジェスチャーは筆術の式から必要な部分を手などで描いた後、
術を行使する対象に向けて、マジカを誘導する必要がある。
ツイートはいくつかの文節に分かれており、
筆術と対応表を使えば、唱えるべき文節を知ることができるだろう。
起動節、術節、修飾節、接続節、流術節、実行節、の順で詠唱するが、
これらを全て必要としない術式や、ここにない特殊な文節を必要とする術式もあるため、
注意深く筆術を読み解いて、正確に詠唱して欲しい。

 術の扱いについてもっと知りたい諸君は、
近くにある研究院か、その支部を訪ねるといい。
 また、サプリメントを使うようなより高度で、
実践的な術について興味を持つ者は、
研究院の入会試験について問い合わせるべきだろう。
研究院は、その実力を持つ全ての者に対して道を開いている。
最終更新:2012年06月03日 00:09