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#ref(floor2.png)
Startlineシリーズは、既存の路線バスとの差別化を図るためにシャーシに様々な工夫が
なされています。
**小径タイヤの採用とATの標準化
現在国内やヨーロッパで主流の22.5インチの扁平タイヤに替えて19.5インチタイヤを採
用したことで特に前輪タイヤハウス周りがすっきりしました。これにより、タイヤハウス
上の座席にもよじ登ることなく楽に座れるようになりました。また、それに伴い従来のド
ラムブレーキからディスクブレーキへとブレーキが変わっています。それによるブレーキ
の利きや整備の不安を低減するため、StartlineシリーズはZF製のATを標準装備していま
す。ATに付属する流体式リターダをブレーキと連動させることによってブレーキの使用を
極力控え、ブレーキ自体を長持ちさせるよう配慮されているというわけです。
**中扉を前に寄せるレイアウト
これは、Startlineシリーズ(LE2を除く)独自のレイアウトで、中扉を300mm程前方
に寄せることにより中扉直後の座席前方に足元のスペースを生みだします。
それによって、その座席にノンステップで座れるようになっています。
その分中扉前方の座席が減少するという欠点はありますが、前中扉間ノンステ
LE1の短尺でもノンステップエリアに11の座席を確保しています(都市型座席配置の場
合/実在他社比 +4席)。
**コーナーエンジン方式を採用したNR271(LF系)
フルフラット型ノンステップのNR271では、コーナーエンジン方式を採用して後部
まで段差のない床面を実現しています。フルフラットノンステップといっても様々な
種類がありますが、なぜ今回コーナーエンジンというやり方を選択したのかを見て
いきましょう。
#ref(flat.png)
その前に、国産のフルフラットノンステを実例として取り上げ、それぞれの方式の
メリットやデメリットをあげてみたいと思います。
国産のフルフラットノンステは、エンジン横置きにアングルドライブを組み合わせた
ものが主流でした。日デUA460(Fタイプ)、いすゞLV・エルガタイプB、日野ブルー
リボンHUなどがこれに当たります。これらの一部は後扉の設置を想定して作られてお
り、そのためにエンジンや機器類の多くを一番後ろに寄せた意欲的な車両でした。
余計なものを後ろに纏めたため、客室は後部までフラットでした。
しかし、そのため後部には大きなデッドスペースが生じてしまうという欠点がありま
した。また、アングルドライブを介して駆動するため、機構も複雑になりがちでした。
それに対し、従来と同じくエンジンを縦向きに搭載し、なおかつ端に寄せて搭載する
ことでフルフラットを実現した車両がありました。
三菱ふそうのMPや、日デUA272(Nタイプ)がこれに当たります。
特にMPは最初からこの方式を採用し、構造も極力従来車と近づけていたため、他社よ
りもシェアでは勝っていました。またデッドスペースも他社より小さく、座席を多く
とれるという利点もあったようです。
ただ、この方式は通路部分以外の床を下げることが難しかったため、座席への着席の
しやすさなどではあまり優れていなかったようです。例えばフルフラットのMPの後部
座席3列目は、タイヤハウスと干渉するために後ろ向きに配置されていました。
対面シートを避けるには、わざわざ通路を段上げして対応しなくてはならなかったよう
です。
日デNタイプもMPと似た構造ですがエンジンを横倒しにして搭載していたため、エン
ジンの背が低くなり、フルフラットでありながらエンジンの上に座席を配置することが
できました。そのため従来車と同様後部座席を前向きで5列とることができるというもの
でした。ただ、MP同様座席は高い位置に配されていました。
#ref(flat2.PNG)
前置きが長くなりましたが、ここからがAnsin社の話です。
Ansin社では、シンプルな構造でできるだけ座席数を多くとれるようにという
設計思想でバスが作られます。そのため、日デのNタイプのようにフルフラットで
30席を確保し、なおかつ誰でも使いやすいバスを目指しました。座席数を確保する上で
最も重要なことは、デッドスペースを極力減らすことです。しかし、今回の新長期規制
からエンジンが直立型に代わったためにエンジンの背が高くなり、エンジンの上に座席
を確保することが出来なくなってしまいました。そのため、エンジン上のスペースは必
然的にデッドスペースとなってしまうのです。しかし、それならそのデッドスペースに
走行に必要な機器を配することでその分他の部分の床を下げようということにしました。
エンジンは後の端っこに寄せて配置し、その上に機器類を配置したことで非常に広い
フラットエリアが生じ、座席の半数近く(14席)がノンステップエリアに設置されまし
た。しかし、デッドスペースのために2席が失われたため、30席というトータルの座席数
の目標には達することができませんでした。
これは余談ですが、右前輪上の座席が他社と異なり2席になっているのは、30席という
目標に少しでも近づけるためだったとか。
#ref(floor2.png)
Startlineシリーズは、既存の路線バスとの差別化を図るためにシャーシに様々な工夫が
なされています。
**小径タイヤの採用とATの標準化
現在国内やヨーロッパで主流の22.5インチの扁平タイヤに替えて19.5インチタイヤを採
用したことで特に前輪タイヤハウス周りがすっきりしました。これにより、タイヤハウス
上の座席にもよじ登ることなく楽に座れるようになりました。また、それに伴い従来のド
ラムブレーキからディスクブレーキへとブレーキが変わっています。それによるブレーキ
の利きや整備の不安を低減するため、StartlineシリーズはZF製のATを標準装備していま
す。ATに付属する流体式リターダをブレーキと連動させることによってブレーキの使用を
極力控え、ブレーキ自体を長持ちさせるよう配慮されているというわけです。
**中扉を前に寄せるレイアウト
これは、Startlineシリーズ(LE2を除く)独自のレイアウトで、中扉を300mm程前方
に寄せることにより中扉直後の座席前方に足元のスペースを生みだします。
それによって、その座席にノンステップで座れるようになっています。
その分中扉前方のスペースが減少するという欠点はありますが、前中扉間ノンステ
LE1の短尺でもノンステップエリアに11の座席を確保しています(都市型座席配置の場
合/実在他社比 +4席)。
**コーナーエンジン方式を採用したNR271(LF系)
フルフラット型ノンステップのNR271では、コーナーエンジン方式を採用して後部
まで段差のない床面を実現しています。フルフラットノンステップといっても様々な
種類がありますが、なぜ今回コーナーエンジンというやり方を選択したのかを見て
いきましょう。
#ref(flat.png)
その前に、国産のフルフラットノンステを実例として取り上げ、それぞれの方式の
メリットやデメリットをあげてみたいと思います。
国産のフルフラットノンステは、エンジン横置きにアングルドライブを組み合わせた
ものが主流でした。日デUA460(Fタイプ)、いすゞLV・エルガタイプB、日野ブルー
リボンHUなどがこれに当たります。これらの一部は後扉の設置を想定して作られてお
り、そのためにエンジンや機器類の多くを一番後ろに寄せた意欲的な車両でした。
余計なものを後ろに纏めたため、客室は後部までフラットでした。
しかし、そのため後部には大きなデッドスペースが生じてしまうという欠点がありま
した。また、アングルドライブを介して駆動するため、機構も複雑になりがちでした。
それに対し、従来と同じくエンジンを縦向きに搭載し、なおかつ端に寄せて搭載する
ことでフルフラットを実現した車両がありました。
三菱ふそうのMPや、日デUA272(Nタイプ)がこれに当たります。
特にMPは最初からこの方式を採用し、構造も極力従来車と近づけていたため、他社よ
りもシェアでは勝っていました。またデッドスペースも他社より小さく、座席を多く
とれるという利点もあったようです。
ただ、この方式は通路部分以外の床を下げることが難しかったため、座席への着席の
しやすさなどではあまり優れていなかったようです。例えばフルフラットのMPの後部
座席3列目は、タイヤハウスと干渉するために後ろ向きに配置されていました。
対面シートを避けるには、わざわざ通路を段上げして対応しなくてはならなかったよう
です。
日デNタイプもMPと似た構造ですがエンジンを横倒しにして搭載していたため、エン
ジンの背が低くなり、フルフラットでありながらエンジンの上に座席を配置することが
できました。そのため従来車と同様後部座席を前向きで5列とることができるというもの
でした。ただ、MP同様座席は高い位置に配されていました。
#ref(flat2.PNG)
前置きが長くなりましたが、ここからがAnsin社の話です。
Ansin社では、シンプルな構造でできるだけ座席数を多くとれるようにという
設計思想でバスが作られます。そのため、日デのNタイプのようにフルフラットで
30席を確保し、なおかつ誰でも使いやすいバスを目指しました。座席数を確保する上で
最も重要なことは、デッドスペースを極力減らすことです。しかし、今回の新長期規制
からエンジンが直立型に代わったためにエンジンの背が高くなり、エンジンの上に座席
を確保することが出来なくなってしまいました。そのため、エンジン上のスペースは必
然的にデッドスペースとなってしまうのです。しかし、それならそのデッドスペースに
走行に必要な機器を配することでその分他の部分の床を下げようということにしました。
エンジンは後の端っこに寄せて配置し、その上に機器類を配置したことで非常に広い
フラットエリアが生じ、座席の半数近く(14席)がノンステップエリアに設置されまし
た。しかし、デッドスペースのために2席が失われたため、30席というトータルの座席数
の目標には達することができませんでした。
これは余談ですが、右前輪上の座席が他社と異なり2席になっているのは、30席という
目標に少しでも近づけるためだったとか。