商法(総則・商行為)・手形法小切手法

〔総則・商行為〕

  • 江頭憲治郎『商取引法』弘文堂(2010年4月・6版)……実務家必携の商取引法全般に関する体系書。商法自体に規定がある旅客運送等以外にも、販売代理店やフランチャイズ契約等現代における商取引についても扱っている。会社法、信託法、保険法、08年割賦販売法、特定商取引法、規則改正等に対応。商法に範囲を限定していないため、学生が試験対策として使うにはやや使いづらい。
  • 近藤光男『商法総則・商行為法』有斐閣(2008年3月・5版補訂版)……たんたんと判例・通説・自説を説明。250頁と薄いが、新司法試験の択一対策にはこれ一冊で十分といわれる。
  • 弥永真生『リーガルマインド商法総則・商行為法』有斐閣(2006年4月・2版)…通説が多い。薄い。
  • 落合誠一他『商法I(総則・商行為)』有斐閣S(2009年3月・第4版)
  • 森本滋他『商法総則講義』『商行為法講義』成文堂(2007年7月・3版,2009年4月・3版)……2冊併せるとそれなりの分量になるが、趣旨から丹念に論じており、初学者でも理解しやすい。図表の類はないが、とても読み手に親切な良書。引用判例は豊富なのに肝心の判例索引がないのが残念。
  • 大塚英明他『商法総則・商行為法』有斐閣アルマ(2008年12月・2版)
  • 藤田勝利・北村雅史編『プライマリー商法総則・商法行為』(2010年3月・3版)
  • 関俊彦『商法総論総則』有斐閣(2006年6月・2版)……著者の熱気の伝わる独特の文章。少数説多数。タイトルの通り、商行為法が載っていない。『会社法概論』と同様の、読ませる体系書。。
  • 『商法総則・商行為法 プチ・コンメンタール』税務経理協会 (2010年4月)…商法総則・商行為法に関する160頁の注釈書。ほとんど解説はなく、新しいことが唯一の利点。予備校本の方がマシなレベルである。まともな注釈書は1997年の基本法コンメンタールが最後になっている。
  • 片木晴彦『基本講義 商法総則・商行為法』(2003年5月・2版)……京大系。森本編『商法総則講義』や有斐閣アルマを書いている。

〔総則・商行為・旧商法〕

  • 鴻常夫『商法総則』弘文堂(1999年4月・新訂5版)……名著。鈴木以後の通説・判例の到達点。慣習法・実定法としての商法の解釈について示唆に富む第1章と第2章、商法総則解説部分は徹底して無駄のない解説。ひと通り勉強の終わった者が読むべき本。
  • 上柳克郎他『商法総則・商行為法』有斐閣双書(1998年3月・新版)
  • 鈴木竹男『商行為法・保険法・海商法』弘文堂(1993年3月・全訂2版)


〔手形〕

  • 大崎晴由『書式 手形・小切手訴訟の実務』民事法研究会(2009年9月・全訂2版)……実務家向けの本だが、論文で手形が出なくなった新司法試験では十分な情報量がある。初心者にもわかりやすく、訴訟実務に沿って手形法を理解できる良書である。
  • 田邊光政『最新手形法小切手法』中央経済社(2007年4月・5訂版)……独自説多め。権利外観理論で大体一貫しているので、答案に使い易くはある。
  • 川村正幸『手形・小切手法』新世社(2005年10月・3版)……著者は金融取引法の権威であり、金融取引法の一貫として手形法・小切手法を解説している。通説に近い。読みにくさを指摘する声も。徹底した権利外観法理。簡易版の『基礎理論手形小切手法』法研出版(2007年12月・2版)あり。
  • 弥永真生『リーガルマインド手形法・小切手法』有斐閣(2007年4月・2版補訂2版)……通説が多い。
  • 大塚・林・福瀧『商法Ⅲ(手形・小切手)』有斐閣S(2011年10月・4版)……コンパクトサイズだがよくまとまった一冊。基礎的理解に徹している。初学者~中級者向け
  • 上柳・鴻・北沢編『手形法・小切手法 商法講義 (有斐閣双書)』(1998年4月・新版)……手形法版ダットサン。『リーガルクエスト会社法』の執筆者の一人である伊藤靖史が2009年4月時点での推薦教科書リストの筆頭にあげるなど本自体の出来はとても良い。著者数名が鬼籍に入っており、改訂は望めないが、手形法理論の進展や判例は少ないのであまり問題はない。基本が過不足なくコンパクトにまとめられており、中級者以上がまとめとして読むのにお勧め。
  • 森本滋編『手形法小切手法講義』成文堂(2010年4月・2版)……未完に終わった森本の法教連載(手形法小切手法の理論と実務)をベースに共著で教科書化したもの。銀行員が手形取引実務を解説した「銀行取引と手形」なる章、約束手形の作成から消滅までの流れを解説した「約束手形の一生」なる章が含まれているのが本書の特徴。交付契約説+権利外観説ベースで判例実務を念頭においた無難な見解でまとめており、現時点で最適なテキストのうちの一つ。
  • 田邊宏康『手形小切手法講義』成文堂(2008年3月)……法学部学生向けの教科書。交付契約説+権利外観理論。薄いがケース・図多用で読みやすい。
  • 前田庸……『入門』(1983年3月)と『法律学大系』(1999年2月)の2冊(後者は分厚い)。創造説。文章は分かり易い。
  • 坂井芳雄『手形法小切手法の理解』法曹会(1996年3月)、『約束手形金請求訴訟における要件事実とその立証』法曹会(1996年11月・3訂版)……元裁判官で手形法実務の第一人者。創造説、有因論、白地補充権概念不要論。-裁判所書記官研修所編『手形法小切手法講義案』司法協会(2001年6月・6訂版)……判例ベース(発行説)。ただし出題範囲を超える記述もあるので注意。
  • 末永敏和『手形法・小切手法―基礎と展開』中央経済社(2007年6月・2版)……非常に薄い。
  • 関俊彦『金融手形小切手法』商事法務(2003年11月・新版)……実務を強く意識した独自説。旧来の「転々流通する手形」像に疑問を提起している。
  • 木内宜彦『手形法小切手法』新青出版(1982年4月・2版、復刊1998年4月)……契約説。かつての創造説全盛時代における契約説の旗手。著者夭折の為、古い。
  • 早川徹『基本講義手形・小切手法』新世社(2007年3月)……交付契約説+権利外観説。薄い本だが2色刷で文章も分かりやすい。百選の判例番号が引用され、参照に便利。
  • 丸山秀平『基礎コース商法I総則・商行為法/手形・小切手法』新世社(2010年1月・3版)……商総・商行為、手形法を1冊で。手形学説では逐一創造説に分量を裂いているため、契約説での論証が薄くなってしまっている。
  • 小塚荘一郎・森田果『支払決済法―手形小切手から電子マネーまで』商事法務(2010年9月)……タイトルどおり、手形・小切手に限らず、電子マネーや銀行振り込み等々の現存する支払決済の法理について、その機能を説明したもの。
最終更新:2012年05月23日 12:28