刑事訴訟法


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

〔平成19年改正対応〕

  • 田口守一『刑事訴訟法』弘文堂(2012年3月・第6版)……第5版から横書き・脚注付きに変更。第3版まではコンパクトな記述が特徴だったが、現在では通常の教科書と変わらない厚さになっている。理論的な深みはなく論点の掘り下げも浅いが、無難な見解で基本事項を網羅的に解説しているという意味で(受験的)良書である。判例の引用数も多い。試験頻出の論点についても記述が薄いため、本書を基本書として利用する場合は判例集や演習書での勉強が特に重要となる。旧司法試験の頃から変わらずシェアNo.1の基本書である。
  • 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2012年2月・第4版)……ほぼ全面的に捜査実務を肯定する立場。国民全体の利益を最大化する刑事訴訟法解釈という独自の視点で書かれている。判例を豊富に取り上げているため初学者が手を出しやすいが、実は判例の分析も独自色が強く荒っぽいため、本書の記述を「判例」と考えて依拠するのはやや危険ではある。
  • ☆白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2010年10月・第6版)……田宮孫弟子。平易な記述でコンパクトにまとめてある。判例や法解釈について的確に検討しているほか、刑事訴訟法の運用の歴史や実務の現状についての記述が比較的充実している。自説は徹底して被疑者寄りだが、判例・通説・実務の現状や原理原則をしっかり踏まえた上での展開となっているため、白取説に立たなくても刑事手続について立体的に理解するには有用である。田宮とは相性が良い。
  • 上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2010年12月・第2版)……著者は「はしがき」で司法試験受験生用の教科書として執筆したことを明言している。「迷宮」となりやすい、訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力等では、基礎から詳述。確実に理解する方法を示す。碩学が受験生向けに基礎からみっちり説いた親切な本である。田口に不満を覚える学生を中心に、近時シェアを伸ばしつつある。他に『有斐閣Sシリーズ』(2006年4月)有斐閣、『基礎演習刑事訴訟法』有斐閣(1996年4月)
  • ☆総研『刑事訴訟法講義案』司法協会(2011年5月・4訂版)……裁判所職員総合研修所監修。実務寄り。条文、定義、手続を淡々と説明。証拠法には定評があるが、捜査が薄い(3訂版)。4訂版は評価待ち。
  • 田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法』有斐閣アルマ(2008年4月・第3版)……基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクトに穏当な見解でまとめている。記述が平板なので本書のみでの理解は困難だが、最初の一冊として最適。有斐閣ケースブックや『演習刑事訴訟法』などの発展学習へのつながりも良い。近時シェアを伸ばしてきている。現在改訂作業中(2012年秋発売予定とのこと)。
  • ☆渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2011年3月・補訂版)……刑事弁護士による司法試験受験生向けの本。基本事項・重要論点の解説・系統立てが丁寧で、人気が出始めている。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのが吉。重要論点を摘出して解説したものとして『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・2版)。田口と同門(西原門下)。

  • 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19)」(法学教室連載・283号~306号)……東大系(松尾弟子)・京大教授・司法試験考査委員。捜査法・訴因論の重要論点について近時の理論を学生向けに説明。「酒巻連載」と呼ばれ受験生に広まりつつある。証拠法は殆どない。各回の目次など→酒巻連載

〔マイナー・平成19年改正対応〕

  • 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2008年12月・第2版)……「学者の書いた予備校本」との評価と、「理論的でアカデミック」との評価が混在している。論点・学説が豊富に取り上げられている。また、他の基本書においてはあまり取り上げられる事のない論点やその意義について、生徒と教授という設定でダイアローグ演習形式によって詳しく解説しているのが特徴である。取調べ受認義務についての記述は難解(一般的には肯定説といわれるものを否定説としている)。
  • 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2009年5月・第4版)……非常にわかりやく、よみやすい叙述であり、判例の正確な紹介と批判、学説の位置づけの的確さ等に定評がある。またバランスのとれた解釈なので、試験的には使いやすくはある。以下、著書多数。『刑事訴訟法』有斐閣プリマ(2009年4 月・第6版)、『刑事訴訟法学入門』成文堂(2002年4月・第3版)、『刑事法学入門』法律文化社(2004年2・第2版月)『ベーシックマスター刑事訴訟法』法律文化社(2009年6月)
  • 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…反実務説・反多数説を求めるならば渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。独自の体系・用語法および文章が難解なため普通の受験生には不向きだが、司法試験合格後などに是非読んでおきたい名著。
  • 安富潔『刑事訴訟法』三省堂(2009年1月)……文字どおり研究者が書いたシケタイ。B5サイズで1冊で判例もカバーするというコンセプトまで同じ。情報量が多いため辞書として使用できるが(はしがきによれば、修習生や若手弁護士も読者として意識しているとのこと)、初学者には不向き。増刷の際に改訂頻繁。著者は他にも演習書の著書多数あり。概説書として『刑事訴訟法講義』慶應大学出版会(2007年6月)
  • ☆平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月,2010年11月)……元刑事裁判官。「ひららぎ」と読む。旧著『捜査法』の改訂版ではなく全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習向けテキスト。旧著よりもページ数がグッと減ったが内容の密度は増した。ついでに文字のポイントの小ささも増した。上訴・再審なし。『捜査法』成文堂(2000年4月・第2版)……総研との組合せで用いると良いとの声あり)。
  • 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……レジュメ本。「判例の理論化」という志の低い帯がついている。
  • 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2009年4月)……元最高検検事による教科書。自説が強すぎて試験には使いづらい。

〔その他参考書〕

  • 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』(創文社、7訂版、1967年)……現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された初版は実務家に広く受け容れられるところとなり、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今なお團藤説(権力分立・適正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残していると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なりもはや学界で支持されることは殆どないが、平野説と並び、殆どの文献における記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献であることに間違いはない、名著。
  • 平野龍一『刑事訴訟法』(有斐閣、1958年12月)……有斐閣法律学全集の中でも三ケ月・民訴と並び有名であり、かつ人気のある一冊。きわめてアメリカ寄りの体系に立って團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の出発点となった。團藤・上掲書と並び称される名著である。訴因論などは今でも一読の価値があるだろう。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年)もあるが、平野説に触れたい場合にはより詳細な全集を読むべきであろう。
  • 松尾浩也『刑事訴訟法上下』弘文堂(上1999年11月・新版,下1999年3月・新版補正2版☆下巻は改訂中)……東大の指定教科書。2冊組。著者は「精密司法」という用語の発案者であり、ここからも伺える通り、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、また、アメリカ寄りにもなっておらず、本書の内容は日本の刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとに、ぐるぐるとらせん状に手続過程をたどっていくかたちになっている。網羅的で記述にムラがないが、その分、いわゆる重要論点も相対的に薄くなっている。文章は客観的かつ平易で極めて読みやすいが、かなり考えられて書かれているため、うかつに早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はないが、近年孤立を深めていく田宮と違い、新判例との親和性はおおむね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11および松尾上261頁以下を見よ)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的にもっとも頼れる基本書は今なお本書であると言え、まだまだ現役で使える。2004年までの法・規則改正に関する補遺は弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。
  • 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつわかりやすい記述が特徴。特に伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴だが、本書では教科書という特性からわが国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務からかい離している訳ではない。著者が1999年に他界しているため、平成12年以降の新判例、法改正、論点については記述がなく、近時、急速な判例・立法の進展により、古典としての性格を強めつつある。もっとも、2009年度新司1位合格者もアルマ刑訴の副読本として利用しているなど、根強い人気があるのも確か。
  • 光藤景皎『刑事訴訟法I』『口述刑事訴訟法中、下』(2007年5月,2005年4月・補訂版,2005年11月)……名前の読みは「みつどう・かげあき」。「口述刑事訴訟法」として上・中・下3冊組であったが、詳しくなりすぎたため、上は「刑事訴訟法I」として改訂。中・下の改訂・合本は今のところ未定。旧試時代から証拠法分野には定評がある。
  • 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。
  • 石丸俊彦『刑事訴訟法』成文堂(1992年5月)……裁判官出身。判例ベースで判例引用多数。全体の半分弱を証拠関係が占める。
  • 三井誠『刑事手続法(1)・2・3・(4未刊)』有斐閣(1997年6月・新版,2003年7月,2004年5月)……法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。
  • 平野龍一=鬼塚 賢太郎=森岡茂=松尾浩也『刑事訴訟法教材』東大出版会(1977年9月)……小説立ての教科書。平野龍一がハーバード留学の折りにあちらの証拠法の教科書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通しているため非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習本としての機能も備えている。そもそも読み物としても面白い。出版されてから大分経つが今なお亀井源太郎教授等が参考書として挙げている。
  • 「刑訴三昧」……井上正仁教授の東大での講義が(無断)録音され講義録として出回った物。400頁に及び、刑訴全体が網羅されている。稀にインターネット上にアップロードされるのを見かけるが、今となっては内容は古い。

(刑訴法実務書)
  • ☆石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分実務の運用や判例の引用が多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かないが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。石丸、川上らの影響により、早稲田ローには本書を愛読する学生がちらほらいる。
  • 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月~08)……一行問題~簡単な事例問題。かつて司法試験・二回試験のタネ本といわれていた。捜査法など、新判例・法改正によって古くなってしまった部分も多々あるが、実務家の考え方を知ることの出来る良書。改訂の噂あり。
  • 三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)……1つの論点を判事・検事・弁護士の3つの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。
  • 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。
  • ☆石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。
  • 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。
  • ☆司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2010年6月・平成21年版)…司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。

〔入門書〕

  • 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2008年9月・第5版)……元検察官の著者による入門書。197条から国民の捜査協力義務を導くなどたまに独特な記述もあるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。口語調でわかりやすい。書式が豊富。
  • 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法』有斐閣S(2006年4月・第4版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。しかし、コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすくはない。
  • 小林充『刑事訴訟法』立花書房(2009年4月・新訂版)……元刑事裁判官。
  • 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2010年5月・第5版)……入門書の定番。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と制度を説明する。
  • 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。
  • 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法』法律文化社(2007年11月)
  • 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。
  • 総研『刑事訴訟法概説』司法協会(2011年5月・3訂補訂版)


〔コンメンタール〕

  • 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法』弘文堂(2009年12月・第4版)……実務必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で執筆しているのが特徴(そのため実務の現状を肯定する記述がほとんどである)。第3版から実質6年ぶりの改訂となり、第3版増補版から168頁増量され、被害者参加や裁判員裁判を踏まえた記述になっている。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基本的に省略しており、文字ポイントも小さいため情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解釈を、丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば大いに力を発揮する。執筆陣も豪華で信頼性が高く、価格の安い新基本法コンメンタールが出た現在でも、実務家が第一に参照するのは本書であろう。受験生が使うには、価格の面で新基本法コンメンタールの方に分がある。
  • 三井誠ほか編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2011年7月)……実務家の手による中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されている。最高裁の刑事局課長も執筆者として重要条文を解説している。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計10箇所。全て弁護人の立場からの提言)。平成22年までの法改正に対応、平成23年改正については改正条文(案)を掲示。『条解』に比べ、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。本書においては『条解』とほぼ同じ記述の箇所が多々みられるが、これは本書(及び『条解』)が刑裁教官室、検察教官室の事実上の公式見解であることに由来すると思われる。
  • 後藤昭・白取祐司『新・コンメンタール刑事訴訟法』(2010年7月)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。1184頁で条解(1272頁)の3分の1の価格が最大の売り。
  • 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮先生が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となっては流石に古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。

〔判例集〕

  • ☆井上正仁ほか編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(2011年3月・第9版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされており,解説まで読み込むべきである。
  • ☆三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2011年2月・第4版)……圧倒的掲載量。解説なし。

〔ケースブック〕

  • 井上正仁他『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2009年9月・第3版)……設問は難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。
  • 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2008年4月・第2版)
  • 加藤克佳他編『法科大学院ケースブック刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版)
  • 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というよりは判例集的な性格が強い。
  • 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』信山社(2009年9月)……中立的な立場から重要判例を分析。一つ一つの判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うことで判例に対する理解を深めさせるというオーソドックスな形式をとっている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすい。独学が可能な唯一のケースブックである。
  • 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~不定期連載)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談形式で分析する。上の「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論との勉強に有用。

〔演習〕

  • 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2010年3月)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は似た問題が本試験でも出るということで評判となっていた。設問はいずれも、近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説もおおむね穏当で参考になるが、ほとんどの設問で事案が判例そのままとなっているため、実戦訓練にはやや物足りないだろう。
  • 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法』有斐閣(2005年7月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題の類が多く問題集というよりも論点集に近いが、東大系の主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。一時期増刷されなくなりプレミアがついていたが、1年余りの停止期間を経て再度増刷された。改訂の噂有り。
  • 井田良=田口守一=植村立郎=河村博『事例研究刑事法2』(2010年9月)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした執筆陣がかなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少なめだが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば広い範囲の論点をカバーできる。上記の特徴を有する『演習刑事訴訟法』と比べると、本書の方がより実践的と言えるが、長文事例問題集というよりは中文事例問題集とでも言うべき水準で,別の言い方をすれば、ロースクールの期末試験には出題されそうだが、司法試験には出題されそうにないといった類の問題が多い。編著者に東大系の学者がおらず解説も玉石混淆であるが、実務家の解説は実践的で役に立つ。
  • 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版だったがオンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文をつけるスタイルは好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない部分もある。
  • 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習』立花書房(2008年4月)……検察官派遣教官による捜査法の演習本。条文・判例を重視した手堅い解釈論は非常に参考になる。
  • ☆古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』有斐閣(2011年2月)……法学教室の連載の単行本化。3問をプラスし、学生が混乱するポイントについての解説を加えてあるほか、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、その意味でも参考になる。実務家(検察官)出身ではあるが、実務追認というわけではなく、近時の判例を踏まえているのはもちろんのこと、学界の動向(とくに東大系学者の最新知見)をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めてある。主要論点をあまねく網羅しているわけではないものの、概ね重要論点はカバーしており、論点勉強としてもなかなか使える。