民事訴訟法


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平成23年(2011年)
①[民事訴訟法]国際裁判管轄に関する規定(5月2日・法36)ほか
②[関連法]5月25日:(新)非訟事件手続法(法51)・家事事件手続法(法52)の成立
→平成23年12月30日現在、②に対応した基本書は伊藤眞の『民事訴訟法』第4版のみ。

【民事訴訟法】

〔基本書〕

  • ☆新堂幸司『新民事訴訟法』弘文堂(2011/08・第5版)……学界の到達点を示す最高水準の体系書。論理的かつ明快で、まことに示唆に富む。文章そのものは柔らかいが、その一文一文にとても深い意味が込められており、著者の問題意識や利益考量の手腕を味わいながら読み進めたい。具体例が豊富なので分かりやすいが、新堂説は結論の妥当性を柔軟に追求するものであり、いわゆる概念法学を好まない。それゆえ、かえって初学者にとっては取組みづらい内容となっている。第4版では訴訟承継等で改説。第5版では証明度について優越的蓋然性説を採用するなどの改説、一般条項における要件事実と証明責任について加筆等している。なお非訟事件手続法・家事事件手続法には非対応。
  • ☆伊藤眞『民事訴訟法』有斐閣(2011/12・第4版)……学者執筆の基本書としては珍しく旧訴訟物理論。はしがきには概説書とあるが、著者の見解がはっきりと打ち出されている本格派の体系書である。論点を網羅する、どちらかといえば広く薄いタイプ。全体として堅牢な体系と穏当な解釈が特徴だが、脚註で少数説がサラッと書いてあることもあり、「新司は実務家登用試験だから旧訴訟物理論の本書だけで十分!」といった安易な読み方はするべきではない、というか、できない。文章も硬く、内容もかなり難解な上、さまざまな法律用語が説明もなしに出てくるため、初学者にはまったく向かない。
  • 中野・松浦・鈴木編『新民事訴訟法講義』有斐閣大学双書(2008/05・第2版補訂2版)……各分野における第一線の教授陣による共著の概説書。執筆者の面々を見るだけで一貫性に限界があるように思われるが、各人が得意分野を担当していることもあり、意外なほど使い勝手は良い。基本的には新訴訟物理論の立場ではあるが、当然のことながら旧訴訟物理論もきちんと解説しているし、そもそも新説に立とうが結論に大きな差が生じないのが近年の傾向であるから、それほど気にする必要はない。論点も豊富に取り上げられており、その解説も秀逸。ただし初学者向けではないので、先に入門書や簡単な概説書を読んでおくとよい。また、執筆者によって文体と脚注の使い方が著しく異なるため、一冊の本としての統一性を求める読者には不向きである。いずれにせよ、ロースクール生にとって無難な選択であるのは確か。はしがきにある「最良の基準書」との称号は言い得て妙。なお、藤田広美『講義民事訴訟』との相性がよいとの声がある。
  • 松本博之・上野泰男『民事訴訟法』弘文堂(2010/10・第6版)……新訴訟物理論(二分肢説)。共著とは言え、執筆者は2名であり、言葉の定義にぶれはなく、クロスリファレンスも比較的充実している。もっとも、一冊の本として一貫しているかと言うと、たとえば予備的相殺の抗弁と不利益変更禁止の原則に関する論点では両名の見解が正面衝突している。また、上野執筆部分の注釈などを読んでいると、他にも微妙な見解の相違は少なくないようだ。単に松本執筆部分が多いから一貫性の欠如があまり表面化していないだけであろう。松本教授の執筆する単純訴訟の第1審手続の部分と、上野教授の執筆する複雑訴訟および上訴の部分では、書きぶりがまったく異なるので、以下では分けて説明する。まず、松本執筆部分について言うと、少数説が非常に多い。そうした論点では判例・通説は丁寧に語られず、結論のみか、理由があっても一、二行といった状態である。「学説整理に定評あり」とも言われるが、3つ以上の学説を詳細に比較検討している個所は稀であり、予備校本のような役割はまったく期待することができない。松本教授の興味関心に応じて記述にムラがあるほか、細かな論点においてある見解を採用する根拠を他の著作や研究論文に丸投げしている箇所もちらほらある。学生に向けて条文や制度の趣旨を丁寧に解説する、いわゆる教科書としての性格は薄い。文章も分かりにくく、学生にとってはあまり使い勝手の良くない本である。他方、定義がしっかりしている上に、テクニカルタームの用法には細心の注意が払われており、記述は精密である。少数説であっても、百選での引用頻度は新堂・高橋・伊藤などにも引けを取らない。章立てや概念整理も明確であり、松本説自体も利益考量を嫌う体系志向が強いものである。総じて、上級者にとっては満足のいく一冊となるだろう。次に上野執筆部分について説明する。上野教授(民訴の天才とも、破壊神とも)の執筆する複雑訴訟および上訴の部分は、思考の整理が行き届いており、文章が分かりやすく、判例や多数説をきっちり踏まえた内容となっており、非常に読みやすい。結論として少数説を採る箇所もあるが、そうした箇所で少数説に深々と立ち入るのは避けている(教科書としての分をわきまえている)。難しい議論は文字のポイントを落とすなど、記述にメリハリがあり、制度趣旨の説明も丁寧で、学生向け教科書としても出色の完成度である。これらの分野が苦手で、手持ちの教科書を読んでも今一つ理解できないという学生は、図書館等で上野執筆部分をじっくり読んでみると良いだろう。なお、上野教授は本書について「本当は20000円で売りたいくらいの価値があるが、弘文堂に断られた。」と述べている。改訂は頻繁で、今般の法改正に応じた改訂も速やかに行われると見込まれる。
  • 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『民事訴訟法』有斐閣S(2009/04・第6版)……新訴訟物理論。薄くて通読向き。学説の対立にはあまり分け入らず、判例の紹介は多いがほんの数行程度であり、単に問題提起をしただけで終わってしまっているような個所も散見される。文書もSシリーズにしては硬く、初学者は本書のみではどうにもならないだろう。上級者のまとめ用としてなら便利か。
  • 山本弘・長谷部由起子・松下淳一『民事訴訟法』有斐閣アルマ(2009/03)……「手続の時系列に則し、手続の主体である原告、被告および裁判所の手続の節目ごとの行動規範を明らかにする構成(はしがき)」を採用。多数当事者訴訟の項目を設けず、手続内で随時説明を加える構成が目を引く。見解は通説ベースながら、最新の学説にも適宜触れており、薄いように見えて重要な論点は意外なほどきちんと拾っている。近時の民訴のテキストにしてはかなり文章が分かりやすく、言葉の定義はしっかりしている。反面、掘り下げ方はやや足りない傾向にある。クロスリファレンスを徹底しているのが学習者には嬉しいところ。
  • ☆高橋宏志『重点講義民事訴訟法上下』有斐閣(2011/12・第2版,2010/03・補訂第2版)……2分冊。いわゆる重要論点の数々を取り上げて深く論じている。体系書ではないため純制度的・手続的知識には触れていないが、学界で争いのある論点についての網羅性は極めて高く、分厚い体系書でさえ一言も触れていないような細かな論点であっても脚注などで拾い上げて、それなりに論及していることが多い。まさに広さと深さとを両立した本。ロースクールの授業では必須のアイテムだと思われるが、受験対策としてここまでやるべきなのかどうかという点については異論も見られる。判例索引がないのが玉に瑕(上巻の第2版に付くようになった)。※法教355号(2010年4月号)から連載再開中。

〔基本書(その他)〕

  • 上田徹一郎『民事訴訟法』法学書院(☆2011/06・第7版)……基本事項を網羅的かつ丁寧に解説する教科書。縦書き。教育的配慮から基本部分と応用部分を本文と脚注に2分して解説する独特のスタイルをとっている。自説主張が弱く、判例・学説の発展の経緯が丁寧に書かれている一方、最新の議論についてはやや弱い面がある。かつては受験生トップシェアだったが、伊藤や講義案のシェアが増加する一方、本書を利用する学生は減少傾向にある。だが、教育効果の高い良書であることに変わりはないので、民訴が苦手な人や初学者は試す価値がある。著者高齢のため第6版・第7版の改訂は上田教授の意向を受けた稲葉教授が行った。本文に変更はほとんどなく、稲葉教授が論点を補充したほか、新判例や新立法のみを巻末にまとめて追加しただけの、やや残念な改訂となっている。
  • 総研『民事訴訟法講義案』司法協会(2010/06・再訂補訂版)……実務説(旧訴訟物理論)。掲載されている論点が豊富。ただし試験に関係ない記述も多数。淡白。
  • 藤田広美『講義民事訴訟』東京大学出版会(2011/04・第2版)……総研本著者による話題の新著。民事訴訟法の体系書ではなく、民事訴訟実務の手続きをコンパクトにまとめたマニュアル本。『民事訴訟実務の基礎』などに近い。たまに論点を取り上げて独自の考察をしているが、おおむね学説の対立には分け入らない傾向にあり、実務上定着している論点はほとんど所与のものとして扱っている(たとえば訴訟物論争についても完全にスルー。)。前半部分で要件事実についても多くの頁を割いて解説しているため,内容が薄いとの声もある。もっとも「新試にはこの一冊で充分」などと言われることもあり、賛否両論あるところだろう。はしがきやあとがきを見ると、本書が民訴の初学者に向けて書かれたものであるということは明らかだが、民法・民訴・要件事実について一通り知識がないと読みこなせないとの評価もある。第2版では手形訴訟手続・簡易裁判所手続・上訴などの記述を補充し,頁数がかなり増えた。
  • 林屋礼二『新民事訴訟法概要』有斐閣(2004/09・第2版)……読みやすく、かつ分かりやすい。中小サイズの体系書にありがちな論理の飛躍を徹底的に排除しており、読者に行間を読ませない。いわゆる論点落ちもあるが、厚い所は意外なほど厚い。全体を通じてベースはあくまで判例・通説で、それらを紹介した後に、必要に応じて新しい有力説も取り上げる。基礎理論についての判例・学説の変遷を時系列順に説明するため、読者はなぜそれが問題になっているのかを把握しながら、自然と現時点の学説状況に追いつくことができる。16年改正対応。2010年4月より オンデマンド版 を有斐閣HPから購入することができるようになった。
  • ☆三谷忠之『民事訴訟法講義』成文堂(2011/07・第3版)……薄め。判例重視。15年改正対応(第2版)。第3版は評価待ち。
  • 河野正憲『民事訴訟法』有斐閣(2009/05)……横書き900頁超。概して重たい傾向にある民訴の基本書の中でもひときわボリュームが大きい。判決文を頻繁に,かつ長めに引用している点に特色があるが,その分,論点に対する解説は頁数の割に薄くなってしまっており,意外と使いにくい。
  • ☆小林秀之・原強『民事訴訟法(論点講義シリーズ8)』弘文堂(2011/07・第4版)......国際裁判管轄規定に対応。
  • 納谷廣美『講義民事訴訟法』創成社(2004/06)……読み易くコンパクト。実務も重視。演習書『演習民事訴訟法』創成社(2005/02)と対をなす。
  • 梅本吉彦『民事訴訟法』信山社(2009/04・第4版)……分厚い文字どおりの体系書。改訂頻繁だが、はしがきを読むとなんか許せてしまう。
  • 岡伸浩『民事訴訟法の基礎』法学書院(2008/09・第2版)……弁護士の著作。読みやすく、判例の紹介も詳細。
  • 伊藤眞・山本和彦『民事訴訟法の争点』有斐閣(2009/03)……シンプルな論点集。網羅性は高いが、やや舌足らずな解説も見られる。
  • 【旧法】兼子一・竹下守夫『民事訴訟法』弘文堂(1993/07・新版)……旧通説。2008年10月にOD版として復活。新民訴法不対応だが、簡明に伝統的通説を示した本書(全体で300頁ほどしかない)が改訂されることなく消えていくのは、惜しまれてならない。
  • 【旧法】谷口安平『口述民事訴訟法』成文堂(1987/12)……口述法律学シリーズの傑作。著者は元京大教授、「コップの中の嵐」で知られる大御所。臨場感あふれる軽妙な語り口で、分かりやすく、かつユーモラスに民訴を解きほぐす。普通の基本書はあまり触れないようなことが丹念に述べられており、非常に示唆的である。旧法下の本だが、本書の大部分は、法改正にほとんど関係ない総論部分にあてられているため、既に一通り勉強した学生が参考書として通読ないし拾い読みをしていけば、立体的な民訴の理解に到達できるだろう。

〔入門書〕

  • 木山泰嗣『小説で読む民事訴訟法』法学書院(2008/04)……小説形式で民事訴訟法・民事裁判を学ぼうという意欲作。寝転がって気楽に読める。基本書を読んでもイマイチわからなかった点が、スッキリと理解できる。学習効果抜群の良書。
  • 中野貞一郎『民事裁判入門』有斐閣(2010/04・第3版)……入門書の定番。咀嚼された文章に定評があるが、それほど易しい本ではない。いくつかの論点については比較的高度な検討を加えており、意外と内容は深い。第3版では執行・保全の章が削除された代わりに管轄と家事事件の章が追加され、判決手続きに特化されることになった。もっとも、本書のみでは択一ですらおぼつかないところがあり、できるだけ早く通常サイズの基本書に移行するべきだろう。
  • 山本和彦『よくわかる民事裁判』有斐閣(2008/08・第2版補訂)……平凡吉という主人公の人生が物語調に書かれている。賃貸借契約にかかる事例を用いて、民事裁判の始まりから終わりまで、小説を読む感覚で学ぶことができる。
  • 司法研修所監修『民事訴訟第一審手続の解説-事件記録に基づいて』法曹会(2001/06・4訂版)……司法研修所の民事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審民事訴訟手続を解説。手続法において重要な手続の流れをつかむのに最適。

〔判例集〕

  • 高橋宏志・高田裕成・畑瑞穂編『民事訴訟法判例百選』有斐閣(2010/10・第4版)……7年ぶりの改定。判例数をさらに絞って国際民事訴訟法に関する判例を割愛。競合の判例集が少ないこともあり、ほぼ皆が利用している
  • 小林秀之編『判例講義 民事訴訟法』悠々社(2010/09・第2版)…205の判例を収録。判例数は多く、テーマごとに同一著者が評釈している点が特徴。
  • 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『基本判例民事訴訟法』有斐閣(2010/09・第2版補訂)……Sシリーズ著者による判例集。判例解説なし。
  • 小川英明・長秀之・宗宮英俊編著『民事訴訟法主要判例集』商事法務(2009/08)……裁判官(及び元裁判官)が編集した判例集。条文順の並びで判例解説はなく、判例収録数は驚きの604件(そのほとんどが大審院および最高裁の判例)。
  • 三木浩一・山本和彦編『ロースクール民事訴訟法』有斐閣(2010/03・第3版補訂)……授業以外では使わない本。独習には向かない。
  • 長谷部由起子他『ケースブック民事訴訟法』弘文堂(2010/03・第3版)

〔注釈書〕

  • 秋山幹男ほか『コンメンタール民事訴訟法I・II・III・IV』日本評論社(I・2006/04・第2版,II・2006/03・第2版,III・2008/06,IV・2010/12)……旧民事訴訟法下の定番コンメンタールであった菊井=村松『全訂民事訴訟法(全3巻)』の改訂版であり、実務家必携の詳細な注釈書。現時点での刊行は242条まで。旧版の執筆者は裁判官が中心であったこともあり実務的に手堅い見解をとっている。少数執筆者による合議を経て執筆されているため、執筆部分につき匿名方式をとっている。
  • 兼子一原著・松浦馨ほか著『条解民事訴訟法』弘文堂(2011/04・第2版)……上記コンメン民訴が実務家必携であるのに対し、こちらは研究者執筆(今回の改訂には裁判官も執筆者に参加しているが)にかかる理論的な解説も充実したアカデミックな(新訴訟物理論を支持していたりする)定評ある注釈書。1冊本だが本文1924頁(!)。山本和彦教授が本書の書評において、本書の採用する見解を論点ごとに短評しており参考になる(判タ1350号80頁)。
  • 秋山幹夫ほか『基本法コンメンタール民事訴訟法1・2・3』」日本評論社(1・2006/03・第3版,2・2008/01・第3版,3・2007/09・第3版)……改訂が比較的頻繁。実務的な細かい手続きの情報が充実しているのが特徴。本のサイズが大きく文字ポイントも小さいため学生には十分な情報量がある。
  • 笠井正俊・越山和広『新・コンメンタール民事訴訟法』日本評論社(2010/12)……TKCで提供されているインターネットコンメンタールを紙媒体に印刷したもの。頁数は1264頁と多いが、結構空白が多く文字ポイントも大きいので情報量はわりと少なめである。もっとも、短答対策には十分である。


〔演習書〕

  • 長谷部由起子ほか『基礎演習民事訴訟法』弘文堂(2010/04)……執筆陣は東大卒の若手研究者を中心とする30名で,おのおのが得意分野を担当しており,学習者向けの良質な論点解説集となっている。はしがきには学部生や未修者向けの演習書と書かれているが,決して易しい問題ばかりという訳ではない。解析民訴やライブ本に取り組む前の橋渡しとして,多くの学生にとって有益な一冊と言えるだろう。 
  • 藤田広美『解析民事訴訟』東京大学出版会(2009/02)……藤田『講義』の続編。こちらも口語体。通説以外の学説をスルーしすぎたきらいのある『講義』を補完。昭和24年度から平成20年度までの旧試論文問題に適宜寄り道して検討を加えながら、重点講義のように体系順に重要論点を解説している。全体としてかなり広い範囲をカバーしているが、掘り下げは受験レベルとしてもやや物足りない。旧試過去問のうち、事例問題の中には数頁を費やして解説されているものもあるが、一行問題の多くはほとんど、あるいは全く解説が付いていない。そもそも過去問の解説は答案作成を想定したものになっておらず、演習書と言うよりは教科書に近い。初刷は誤記・誤植多数のため、東大出版会HPで長大な訂正一覧が発表されている。必ず第2刷以降を買うべきである。
  • 和田吉弘『司法試験論文本試験過去問 民事訴訟法』辰巳法律研究所(2005/04)……元判事の教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。いわゆるライブ本。辰巳作成解答例・講師レジュメ・問題解説・解答例の検討からなる。旧司法試験受験生向けの講義のため、基本的に引用文献を伊藤・双書・新堂・上田等の代表的体系書と重点講義・百選(第3版)に抑えて解説している。分厚いが要するに講義録なので読みやすく、わかりやすい。新版は平成16年度の問題まで収録しており,全40問。絶版だったが2008年に万能書店からオンデマンド版で復刊された。16年改正対応。復刊後、万能書店の全書籍売れ筋ランキングでほとんどの期間を通じて1位を維持している(2011年6月12日現在)。
  • 遠藤賢治『事例演習民事訴訟法』有斐閣(2008/10、2011/03改訂予定)……法学教室の「演習」連載の単行本化。著者は判事出身のロースクール教員。初~中級向けの事例問題と丁寧な解説。何気に有斐閣ロースクール民訴との相性が抜群なので(同書で問われている事項の基礎を本書でさらっていくことができる。)、ロースクールの授業で同書を使用している学生は、余力があれば並行して本書を使用してみるとよいだろう。独習でガンガンいける。
  • 小林秀之『プロブレム・メソッド新民事訴訟法』判例タイムズ社(1999/08・補訂版)……判例の事案を中心に学べる本。 結構面白い。後継本として『ケースで学ぶ民事訴訟法』日本評論社(2008/04・第2版)。
  • 小林秀之『事例分析ゼミ 民事訴訟法』法学書院(2007/12)……受験新報連載を単行本化。優秀な大学生の男女、努力家の大学院生、若手渉外弁護士、4人のゼミ生による小林ゼミ(という設定)。レベルはかなり高い。


〔その他〕

  • 伊藤眞・加藤新太郎・山本和彦『民事訴訟法の論争』有斐閣(2007/07)……民事訴訟法の重要論点を対談形式で進めていく。学説の整理、学会の最新の議論などに秀でる。

【民事執行・民事保全】

〔基本書・入門書〕

  • 和田吉弘『基礎からわかる民事執行法・民事保全法』弘文堂(2010/04)……図表を駆使し、簡潔明瞭な文章で徹底的に分かりやすさを追求した学生向け入門書の決定版。学習のはじめに間違いのない一冊である。その分中身は薄いが、学部やロースクールの定期試験なら本書を数回通読するだけでも乗り切れるだろう。
  • 中野貞一郎『民事執行・保全入門』有斐閣(2010/04)……民事手続法の第一人者による入門書。好著『民事裁判入門』の姉妹版であり、同様のコンセプトに立つ。適度にくだけた文章により分かりやすく解説する。和田・基礎よりも内容は充実しているが、標準的な概説書と比べるとやはり多少の物足りなさもある。
  • 中西正・中島弘雅・八田卓也『リーガルクエスト 民事執行法・民事保全法』有斐閣(2010/01)……スタンダードな民事執行法・民事保全法のテキスト。記述に安定感はあるが、リーガルクエストシリーズらしく発展的な知識も随所にちりばめられている。民法・民事訴訟法の知識があるのは当然の前提としているため初学者には向かない。和田・基礎や中野・入門などを経てから取り組むべき本である。
  • 生熊長幸『わかりやすい民事執行法・民事保全法』成文堂(2006/10)……本文そのものは条文の引き写しに終始したいささか無味乾燥なものとなっているが、理解を助ける図表や実際の書面のサンプル、読者の興味を惹くコラムなどが随所に散りばめられており、学生向けの教科書を強く意識した作りとなっている。レジュメ調の構成はやや好みが分かれるところであろう。著者が専門とする担保物権とのつながりも強く意識されている。
  • ☆上原敏夫他『民事執行・保全法』有斐閣アルマ(2011/03・第3版)……入門書と概説書を兼ねた一品。コラムも面白い。
  • ☆福永有利『民事執行法・民事保全法』有斐閣(2011/03・第2版)……名著である山木戸克己『民事執行・保全法』(1999/05)の叙述を利用しつつ(はしがきで明記されている)、現行法に即して書き下ろされた、民事執行法の大家の手による教科書。自説は抑え気味。文章は平明で、注も少なく読みやすい。発展的な内容はコラムに回されている。一冊だけ読むならコレ。2版の改訂箇所は判例の追加、ゴシック体への変更などごくわずか。
  • 中野貞一郎編『民事執行・保全法概説』有斐閣双書(2006/06・第3版)……おそろしく豪華な執筆陣による概説書。平均年齢の高さもあってか文章は硬くて平板。図表の類も少なく、意外とボリュームもあるため、初学者が手を出すと失敗するタイプの本。
  • 藤田広美『民事執行・保全』羽鳥書店(2010/4)……

〔体系書・実務書〕

  • 中野貞一郎『民事執行法』青林書院(2010/10・増補新訂6版)……民事手続法の第一人者による決定版。まさに孤高の体系書。
  • 瀬木比呂志『民事保全法』判例タイムズ社(2009/01・第3版)……民事保全の第一人者である現役裁判官による体系書。
  • 須藤典明・深見敏正・金子直史『リーガル・プログレッシブ・シリーズ1民事保全』青林書院(2008/07・改訂版)……東京地裁保全部経験裁判官が同部の運用を解説した著書。
  • 齊藤隆・飯塚宏編著『リーガル・プログレッシブ・シリーズ4民事執行』青林書院(2009/01)……東京地裁民事第21部(執行部)経験裁判官による民事執行の概説書。

〔注釈書〕

  • 浦野雄幸編『基本法コンメンタール 民事執行法』日本評論社(2009/09・第6版)……実務必携の詳細な注釈書。平成20年改正まで対応。他に新しい注釈書がないためか、実務家向けの分厚い本になっている。学生は図書館で参照すれば十分である。