悪意の天使




藤村正美(ふじむらまさみ)

  • 登場作品:晦,新生2,秘密,鳴七,稲in
  • 種族:人間ほか
  • 年齢/誕生日:26歳(『晦』)/1月16日
  • 身体:156cm・48kg ♀ B型
  • 趣味:他人の面倒をみること
  • 好きな/嫌いな食べ物:サンドイッチ、シーフードグラタン/豚トロ、もやし
  • 関連人物(その1):前田一族.前田和子,前田葉子,前田良夫,真田泰明山崎哲夫,鈴木由香里,和弘《親戚》
  • 関連用語(その2):石井,上杉,浦野,恭介,佐原,更紗,武内,戸部,姫川,吉村《噂》,池波,大原,河合,高野,中山,真壁,村岡,和田,渡辺,高柳稔,犬山次郎《仕事》
  • 関連用語:前田一族,黒百合総合病院,鳴神学園附属病院《所属》,嬰児,死を招くベッド《噂》,吸血鬼《正体》

概要

 『晦』における語り部の一人で、主人公の葉子とは遠縁の親戚の関係にある女性。
 目鼻が整い、切れ長の目が映える美しい人だが、逆にどこか危うげな印象を受ける。「~ですわ」などの口癖はどこか浮世離れした彼女の性格を強調するものだろうか。

 「開かずの間」で行われた会合では、オープニングで言いだしっぺの泰明さんをたしなめたように、あまり乗り気ではなかったもよう。あくまで付き合い柄参加したようであり、性格もあるだろうが、語りは淡々と進めていく。
 性格上主人公との繋がりは薄く、むしろ他の年長組との付き合いの方が主立っている。むしろ主人公はこの人のことを苦手としているのかもしれない。

 その一方、義務感が先立っているように見えて意外とノリノリで葉子ちゃんを脅かしたりといった行動によく出る。
 お茶目さか、人の悪さかは不明だが、彼女という個人から恐怖が垣間見える展開は数知れない。
 挑発的かつ脅迫的な設問をぶつけてくることも多く、典型的な「話より本人が怖い」語り部といえる。

 埼玉の某大病院に勤めており、今で言う「看護師」の職に就いているらしい。
 ただし、作中の表記は看護婦。そもそも発売年および作中の年代(※諸説あり)では名称変更の根拠となる法令は存在しない。
 とにかく、看護婦である彼女にとって十八番のネタは必然的に「病院」となっており、普段はあまり会う機会の無い医療関係者が関わることも多い。 
 職場が「学校」に次ぐ心霊スポットとされるだけあって、話題には事欠かず、親しみやすい定番の怪談も案外取り揃えていたりする。

 美しい容姿に相応しく幻想的な話も得意とする。
 しかしそこにはエセに感じられそうな医学(生命科学)が絡むことも多く、生理的嫌悪感が強く出ているのが特色である。
 また、医学に携わる者であるに関わらず、霊感を持っているのも特徴。自称に留まらず、実際に霊を降すといったことも話によっては行う。

自己中心性

 だが、先にも触れたが彼女の危険性は半端なものではなく、恐ろしい。
 「赤い靴の女の子」から導き出される悲劇では『晦』とは人の二面性を表すものと語られているが、そもそもこの人の本性や本心だのを語ること自体が不毛なことかもしれない。

 命を救う自分の職に誇りを持っており、そのことを話のはじめに触れるのはいいが、その実すぐに患者を見捨てるような言動を取り、実際に見捨ててしまうこともままある。
 その際にすぐに弁護をはじめ、事実が自分のどうしようもなかったように捻じ曲げてしまうこともよくあることである。

 その癖、自分が自己犠牲の精神に溢れた、素晴らしい人間であると言い張るのだから救いようがない。
 「嘘も百回繰り返せば真」ではないが、自分もその嘘を信じ込んでいるようでさえいてぞっとさせられる。そこに感じられるのは献身的な愛などではなく、自己保身を第一とする自己愛、我が身可愛さの愛である。

 そもそも噂でもなく自分の業務内で死者が出でもしたら、怖い話に組み込もうとする発想自体が出てくること自体、異常である。大人たち(泰明・正美・ギリギリ由香里)に共通するエゴであろう。
 とは言え、「開かずの間」で怪我人が出るなどした場合、真っ先に行動するのは彼女の仕事である。そこは聖職に属するものとしての意地だろう。

 プロバビリティーの犯罪(もしくは未必の故意)を多用する点で、同じく従兄弟の由香里と傾向が似ているようだが、基本的に自慢話のように語る点で彼女と異なる。

 ちなみに彼女の表情差分の中には悪鬼の如く怒りの表情を見せるものが存在するのだが、これを見るのはかなり難しかったりする。

アパシー・シリーズ

 埼玉の大病院あらため「黒百合総合病院」または「鳴神学園附属病院」に勤務する看護師として登場する。
 無表情で一本調子であるものの職務には忠実であり、彼女の方から入院患者に害を加えてくることはさしてない。
 ただ、シナリオ中の役回りは主として外面はいいが実のところはアヤシゲな「高柳稔」先生のところへ案内する死のガイドというものである。患者からの視点に立てば恐怖のナースであることに、変わりはなかったりする。

 冷徹な印象も受け継いでいるものの、意外や作中での行動を追う限りは献身的といえば頷ける余地も生まれている。
 ただし、常識とはかけ離れたネジの外れた内面を抱えている風にも見受けられる。
 高柳先生たちの恐怖の施術とそれが生む災禍も彼女の中では良かれと思っている節もあるようだ。


 (執筆者募集中) 


新生2

 「赤い靴下」、「正義のゴネシエーター」に登場。

 「赤い靴下」。
 悪名高きブラック病院「黒百合総合病院」に勤務する看護師のひとり。

 今回は勤務中ということもあって言葉を荒げたり、遊び心を出したりといった一幕はそうはなく、入院患者である主人公「坂上修一」相手には淡々と対応する。
 相変わらず容姿こそ美しいものの、非人間的で冷淡な印象を周囲に与える女性である。

 劇中では坂上の入院案内(実質的には死の前の猶予期間)をするほか、「高柳稔」先生の傍で坂上の悲惨な末路を観察しては、無表情のままで他人事のような薄情な感想を述べる。

 仮に主人公が病院の魔の手から逃れたいと思うのならば、まず彼女の目をかいくぐらなければならない。
 実際のゲームでプレイヤーが受けるプレッシャーを語る上で彼女の存在は欠かせないだろう。

 「正義のゴネシエーター」。
 黒百合総合病院にやってきた「大篭哀子」と担当の高柳医師との問診の現場に居合わせ、術前には大篭さんのことを軽くいたわってくれる。

 藤村さんも実際に執刀現場に助手として立ち会い、セリフも立ち絵も存在するなどピン出演ではあるが存在感はある。
 ただし、あくまで主役は実験台にされた大篭さんであり、彼女自身は「赤い靴下」とのリンクを示す程度の役回りに留まった。

秘密

 「先生に病院を紹介してもらおう」ルートに登場。
 「黒百合総合病院」が大きくピックアップされた『秘密』だが、病院の外に出張することも多い高柳医師とは異なり、藤村さんは病院から離れずに患者さんを相手にする看護師である。そのため、彼女の出番は坂上の方から出向く本ルートのみとなる。

 そんなわけで坂上くんの背中にできた「人面瘡」を呪いと看破した「葛城美和」先生からの紹介で、「高柳稔」先生の問診を受け特別病棟で入院という運びになった坂上くんを案内したのが藤村さんである。[『新生2』「赤い靴下」でさんざん見た流れとか言わない。]
 例のごとく異様に手回しがいい病院の対応に乗っかるまま、通路に所狭しと並べられたぬいぐるみを横目に病室に入る坂上くんだったが、そこで藤村さんは事前説明通りに「犬のぬいぐるみ(命名:修くん)」を彼に渡し、生活を共にするよう依頼する。

 藤村さんが坂上くんに対して無言の圧を加えたこともあって、短い入院生活の中で両者は大いに触れ合うことになっていく。
 その甲斐あってか無事に坂上くんもしくは修くんに対して行った施術は成功した。
 高柳医師と藤村看護師目線に立てば呪いの脅威は永遠に去って患者を救えたと喜びあえるハッピーエンドになるのだろう。

 ……確かに「呪い」という問題は去った。一方でそれ以外の問題も一切合切なくなってしまったという巨大な問題も残った。
 しかし、両者に対してそう問いかける者がいるはずもなかった。だって、残された修くんにその能力はもうないのだから。

鳴七

 「死を招くベッド」ほかに登場。
 今回も「高柳稔」先生とタッグを組む形で出演しているが、黒百合総合病院に代わって「鳴神学園附属病院」に勤務しており、鳴神学園の生徒は時折お世話になるようだ。
 附属病院が都市伝説や怪異に長けている理由付け、それと彼女たちが自然な形で生徒たちと関わっていく上での設定変更と思われるが、肝心の附属病院自体は全体を見ればまともな病院とされている。病院側は風評被害を喰らっていい迷惑かもしれない。


 (執筆者募集中) 


 「死を招くベッド」。
 「佐原」さんのエピソードを踏襲している。
 つまりは今回は語りの中の登場人物である。倉田恵美さんの語りでは当初、彼女の視点に立って「死を招くベッド」に誰を寝かせるかの選択を担う形を取り、態度が悪い入院患者のことを佐原さんに輪にかけて塩な対応で見送っていく。
 そこから視点がどう飛ぶのか、この噂の真偽がどうなってしまうのか、ベッドの理不尽がどう坂上に累をなすはあなた次第。

 ところで『晦』版では語る側に立って安全圏から入院患者の末路を冷淡に告げていた正美さんは、『鳴七』版では彼女自身の持ちネタに組み込まれ時にひどい目に遭う羽目になっている。なかなかに皮肉が効いているかもしれない。


 (執筆者募集中) 


 「秘密」。
 基本的に『秘密』版とシナリオに相違はない。
 常通りの一本調子で、傍から見れば病的な下準備を坂上修一に施した。
 ただ、問題しかない「修くん」の術後の状態を祝福する様子から含みや下心を感じ取れないことも確かである。

 「殺人クラブ」。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「藤村正美」はその一人であり、「温室」にいる。

 附属病院と学園の間の具体的な距離は不明だが、今日の藤村さんは夜勤ということもあって休憩時間を使って来てみたらしい。
 異常事態に理解のありそうな大人の部外者ということもあり助けを求めるにもってこいの人物と言えるが、問題は彼女が「藤村正美」ということである。坂上が詳しい事情を説明した際の彼女の対応は病院に連れていくの一辺倒で取りつく島もなかった。
 いかにも裏がありそうだということで、怪しんだ坂上はこの話を打ち切ることにするのだった。 

 ただし、例に漏れず怖い話を聞いた場合はしっかり教えてもらえる。
 内容は『晦』での持ちネタである「浦野」先生の美容液の話である。『晦』版と比べ前提や細かい設定に変更はあるものの、やはりエグい話をいたずら心も織り交ぜつつさらりと言ってのけている。往年の藤村節が健在であることはきっと明白だろう。

稲in

 何を思ったか入学式から時を置いて「空手部」に足を運んだ場合、運悪く後輩たちの指導に訪れていた伝説のOB「十字架ブラザーズ」こと有馬兄弟によって「あなた」は病院送りにされてしまう。

 そして、病室で目を覚ましたあなたを真っ先に対面することになったのが担当看護師であるこちら藤村さんである。
 なんでも「有馬健二」の一撃によってあなたの顔面は崩壊したらしく、絶対に視認させないよう病室の鏡も取り外したのだとか。
 それでも命があってよかった旨のなんともズレた励ましの言葉をかけてくれる藤村さんだったが、その言葉の裏にはやはりロクでもない裏が隠されているようで続くエンド名と合わせてあなたの辿る今後は最悪の一途であると予想させる。

 ところで、このゲームの開幕で入る部活を決める際、おなじみの「新聞部」やいかにも学園ホラーらしい「オカルト同好会」をさておいて空手部を選ぶプレイヤーはいないだろうが、いきなりこの分岐を選んでも安心だったりする。
 それはというもの、本筋で事の真相や主人公の正体を知った後だと藤村さんたち腹黒い病院関係者の魂胆は見えてくるのだが、この結末単独では何もわからないという描き方で一貫しているためである。


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最終更新:2024年03月11日 15:06