て‐と


索引


出川(でがわ)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:真田泰明《仕事》,北崎洋子《犠牲者》
  • 関連用語:石の話
 泰明三話「女優・北崎洋子の秘密」に登場。
 女優「北崎洋子」に関してスキャンダルがあるという話を泰明さんの下に持ち込んだ新人記者。

 事前調査から北崎洋子が何らかの秘密を抱えていることを「」の導きもあって確信していた泰明さんは悩みつつも出川にGOサインを出す。ただ、出川も二ヶ月に渡る極秘取材を行ったに関わらず、その後の進展は乏しかった。
 泰明さんは残り一週間で結果を出すよう通告を行うが、その結果を待たずにして出川は消息を絶ってしまう。

 そして、語りは本題の北崎洋子に移っていくのだが、出川が結局どうなったかについては以後触れられることはない。
 北崎洋子の正体次第で、その去就を察せられないことはないのだが……。 


寺田(てらだ)

 『新生2』「赤い靴下」に登場。
 臀部の出来物を診てもらいに「黒百合総合病院」に向かった足で即入院ということになった「坂上修一」の同室だった高齢の男性。釣りを趣味としているらしく、人当たりの良さや聞き上手もあって坂上とは早いうちに親しく話をする間柄となれている。

 毎夜、トイレと称して席を立つという、年齢を考えれば自然で、あえて言うなら不審といえなくはない行動はとっていた。
 ただ、坂上は特に気にすることはなく、寺田さんとの間で会話を楽しむ入院生活を送れていた。
 だがしかし坂上は、ある日の夜中に謎の影に首を絞められるという怪奇現象を体験してしまう。

 続いて翌日になって寺田さんの姿がないことに気づいた坂上が担当看護師の「藤村正美」さんに所在を聞いてみたところ、衝撃の事実を告げられるのだった。
 ……言ってしまえば寺田さんの話はこの手の病院にまつわる怪談の中では定番といえるもので真新しさはないのかもしれない。寺田さんと縁を結べたといっても、連絡先などを知りえたわけではないので、裏を取ることもできず不可解な点も残った。

 ただし多くの場合、トンデモでブラックでエキセントリックな死因を提供してくれる病院に入院したにもかかわらず、五体満足でしかも近辺に不穏な気配を感じることなく坂上が退院できた。そこに寺田さんの加護があったのかもしれない。
 これも縁というべきか、坂上の手元には寺田さんのお孫さんが祖父に持ってきてくれたという「お守り」が残ったという。


トイレのジョニーさん

  • 登場作品:追加
  • 種族:幽霊?(学校の七不思議)
  • 関連人物:新堂誠《噂》
  • 関連用語:トイレの花子さん,赤い紙青い紙,モスクワ
 『追加版』新堂シナリオ「開かずの教室」に登場。
 なぜか、日本の、それも「鳴神学園」高校のトイレに出没する存在。
 見た目はHAHAHA、と言う笑い声が似合うハイテンションかつステレオタイプな白人男性である。筆者としても自信はないが、おそらくは幽霊と思しき存在である。

 ただし見てくれはこんなのでも鳴神学園に本来配置された七不思議のひとりであるらしい。
 彼の話もしくは活動の内容は「赤い紙青い紙」と「トイレの花子さん」のハイブリットだが、召喚に用いるフレーズがイカしている。

 で、呼び出したからといって別に殺されたりはしない。
 これではいけないと呆れた花子さんは彼に大胆なキャラ変更を指示する。陽気な彼が無事に路線変更できたかは定かではないが、できなければ待っているのは「モスクワ」への左遷である以上、がんばるしかないのかもしれない。


トゥース・フェアリー

  • 登場作品:小学怖
  • 種族:妖精
  • 関連人物:松之原瑠々《噂》,桐嶋寿里
 『小学怖』月曜日「トゥース・フェアリー」に登場。
 一斉に生え変わりの時期を迎えでもしたのかたくさんの乳歯が揺らげど抜けやしない「桐嶋寿里」の前に現れた、文字通りの「歯の妖精」。
 同名の西洋圏での伝承は子どもの乳歯を枕元に置いておくと歯の妖精が少額のコインと交換してくれるというもの。
 歯と代償を結び付ける発想に関しては意外とその起源は古く、十三世紀の文献にも記述があるらしい。

 なんにせよこの種の「歯の妖精」はたくさんいそうなものだが、桐嶋さんの前に現れた彼自身の個体名は不明である。
 歯の痛みに悩む彼女との間にたくさんの乳歯と引き換えに、歯の痛みを治すという契約を結んだ。

 外見は大きく見積もって数センチ程度の真っ赤な小鬼。トゲ付きの棍棒を持っていたり、仕事現場ではヘルメットを被ってドリルで工事をしていたりとどことなくユーモラスな印象を受ける。
 同じく目撃者で言葉を交わした松之原瑠々の口の悪さに任せれば、「虫歯菌」、「バイキンマン」。言われてみればどことなく虫歯菌の擬人化、戯画化に近い印象を受けなくもない。

 言葉遣いは正直悪く、べらんめえ調でどことなく職人気質っぽい言動をするなど、一般的な「歯の妖精」のイメージからは遠いものを感じるが、翅なしでも飛べるもよう。

 もっとも、西洋における「妖精(フェアリー)」は、本邦における「妖怪」と同じく実のところ幅広く様々なイメージを包括する概念である。
 子供のところに大人の目がないタイミングでしか現れない、特殊な技術を持っていて家の助けになってくれる、加えて比較的善良――。などの特徴から、この歯の妖精さんを無理に妖精のカテゴリに入れれば「ホブゴブリン」に近いのだろう。


東条深雪(とうじょう みゆき)

  • 登場作品:学怖,学怖S
  • 種族:人間→桜
  • 職業:鳴神学園高校 一年生
  • 関連人物:福沢玲子《噂》
  • 関連用語:桜《犠牲者》,人面瘡
 福沢三話「旧校舎の裏に立つ桜の木の呪い」に登場。
 未だ「旧校舎」が現役だった頃「桜の木」と友であった少女。

 いついかなるときも東条さんの学園生活は桜の木と語らって共にあることであり、二者は種族を越え友情をも越えた感情を互いに抱くことになった。しかし春しか咲けない桜と違い、人間には四季を問わずに春がやってくる。
 別れの時が来たことを悟った東条さんは桜の裾に、想われ人が出来たことと卒業に伴ってもう一緒にいられなくなったことを告げに赴く。そこで彼女は消息を絶った。満開の桜の木の下に靴だけを残して。

 嗚呼、ロマンチックな話……では済まない。彼女の話は終ってはいないのだ。
 彼女という人間は桜に閉じ込められ、「自由を奪われた」のである。
 たとえ好き合っている人でもたまった物ではない。

 その上、時が経ち彼女は桜の一部からそのものになってしまった。
 これでは脱出の望みなどあるはずもなく、彼女は自分を傷つけようとするものに害を為し、「人面瘡」を介して窮状を訴えかけるという、ゾッとさせられる顛末が語られることになる。


当摩(とうま)

  • 登場作品:小学怖
  • 種族:人間
  • 関連人物:松戸博士《知人》,当摩誠司《息子》
  • 関連用語:裏の科学界《所属》
 『小学怖』月曜日「全自動安全運転システム」に登場。
 「裏(夜)の科学界」に所属する科学者のひとり。同集会では数えるほどしかいない未成年者(マッドこと松戸博士を含む)には負けるが、比較的若い会員のひとりだったようだ。
 「AI(人工知能)」を専攻分野とし、インフラとの連携なしのスタンドアローンで稼働する自動車「全自動運転システム」の完成を目指していた。

 自分の息子「誠司」程に歳が離れたマッドに対しても子ども扱いすることなく、いざ研究が完成した際には試乗を誘ってくれるなど対等の目線から接してくれた。
 妻は世界的オペラ歌手、以前はアメリカのシリコンバレーに住んでいた、息子たちが衝撃の事実を目撃しても冷静沈着に理に適った説明を行って教え諭すなど、よくできた人物ではある。

 ただし、彼がシステムの構築に当たって選択した手段が「人間の脳」であったことはマッドの観察眼に従えば事実である。よって肝心なところははぐらかされたと言って差し支えないだろう。
 果たしてマッドの仮説が正しかったのか、部分的に正しく当摩氏の説明と折衷すれば真実と言えるのか、そこまではわからない。

 また、当摩一家が急に越したのか、家を引き払って消息を絶ったのはなぜかという疑問も残る。
 もちろんこちらに関してもマッド君は仮説を立てている。

 彼が開発したシステムは「国家機密情報センター」なる、詳細は語られないながらも嫌でも日本国の闇を感じさせる組織とリンクを張って情報を取得していたことが話の中で触れられている。
 よって、密かに当摩氏の研究を監視していた国による謀略の網にかかったと考えられるが、やはり真相は不明である。

当摩誠司(とうま せいじ)

  • 登場作品:小学怖
  • 種族:人間
  • 関連人物:松戸博士《友人》,当摩《父》
 『小学怖』月曜日「全自動安全運転システム」に登場。
 上記「当摩」氏の息子。
 裕福でステータスに恵まれた両親のもとで育ったということを除けば知り合った「松戸博士(マッド)」とは違って普通の児童である。ただしアメリカ暮らしが長かったという事情もあって握手の習慣を持っていた。

 また、初対面のマッドに対して同い年ということもあってか素早く距離を詰めてくるなど、育ちを窺えるところはある。
 そんな誠司だったが、母親を恋しく思う気持ちは人並みであり、父親が開発した「全自動運転システム」搭載車を持ち出して母の居場所に連れて行ってもらう。

 が、到着したのは墓地だった。
 思い起こせば、母の現況について不審を抱いていたことと、車のボンネットと開いてみてご対面したのが人間の脳髄だったことを照らし合わせて当然の帰結に辿り着いた誠司は慟哭し、直後現れた父親のことを激しくなじるのだが……。
 そこで、自分が妻を手にかけたなんて誤解だと父親から懇切丁寧に説明され、実は自分と当摩夫妻に血のつながりはないことを知らされる。衝撃の真実に混乱しながらも、誠司は父親をなじったことを謝罪しその場は無事に収まった。

 が、その後の当摩一家はマッドが第三者として事態を傍観している間に消息を絶ってしまい、真相は何もかもわからずじまいとなった。


道明寺秋彦(どうみょうじ あきひこ)

  • 登場作品:流神A
⇒「道明寺秋彦


戸浦愛梨(とうら あいり)

  • 登場作品:小学怖,新生
  • 声(CV):西口有香
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年六組
  • 誕生日:10月15日
  • 血液型:AB型
  • 趣味:人形集め
  • 好きな/嫌いな食べ物:お母さんの手料理/外食
  • 関連人物:安西真奈,木戸さやか《親友》,佐山みのり《母》
  • 関連用語:人形《友人》
 年代不明、鳴神学園初等部六年六組の生徒のひとり。
 大人びた風貌を持ち、幼いながらにお嬢様めいた雰囲気を漂わせる女子児童。
 クラス内での学業成績も五指に入るほどだが、それ以上に感受性や創造性が高いようで何かを作り出すことへの興味関心が強い。

 そのためか人形に対する思い入れが強く、対人形と対人との関係がさして変わらない。自宅でもたくさんの人形に囲まれて暮らしている。人形以外にも見えないお友達がいるらしいが、彼女の場合は霊感を持っているという言い方とは少し違うように思われる。
 むしろ少し違った位相から世界を見ていると言った方が適切なのかもしれない。
 以上のように浮世離れしたところこそあるが、クラス内では比較的常識人で人気も高い。

 実家はいわゆる豪邸を構えるレベルのお金持ちらしく「風間祝」が夏休みにお世話になろうともくろむ一幕もあった。
 文庫版では小学生とは思えないスタイルの良さを見せたが、新生やボイスドラマでは自身も人形を思わせるような冷たくも可憐な容姿の持ち主である。

 『小学怖』月曜日「隠された人形」に登場。
 「転校生」として「六年六組」にやってきた聞き手に対して最初に接触した。
 人間の都合で振り回される人形の立場に肩入れして同情しながら怖い話を語るという独特の視点が特徴的で、その流れのまま人の身勝手さをやんわりと糾弾してくる。

 そんな彼女が語るのは二十年前の「六年六組」にいた女子児童「安西由紀」と「佐山みのり」の間で起こった人形にまつわるとある事件である。
 語りは決定的な事件を境として終始、安西由紀さんの罪悪感を煽る方向で進むので地味に心臓に悪い。
 ただし、話はそこに留まるまでもなく二転三転し、やがて世代間ドラマを演出する『小学怖』を象徴・代表する結末に向かっていくことになる。

 『小学怖』水曜日「わすれない」に登場。
 かつてこの世界に存在したという「木戸さやか」という親友を語り継ぐために「交換日記」という思い出を軸に聞き手に向けて語ってくれる。
 自分自身に言い聞かせるように、それ以上に願うような彼女の語り口は、この世に確かなものなどないのかもしれないというあきらめと寂しさに満ちているのかもしれない。

 『新生』「ブラック・アイ・キッズ」に登場。
 都市伝説「ブラック・アイ・キッズ」検証のために黎雄くんが意見を求めたクラスのみんなのひとり。
 黒い瞳の子どもたちは話の中で各種制約に縛られて行動していたことから「吸血鬼」ではないかというオカルト寄りな意見を述べた。

戸浦みのり(とうら-)

  • 登場作品:小学怖
⇒「佐山みのり(旧姓)」


富樫美波(とがし みなみ)

  • 登場作品:探偵局,AMC1,AMC2,学恋2,流神A,新生,鳴七
⇒「富樫美波


富樫黎雄(とがし れお)

  • 登場作品:小学怖,新生,極,新生2,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年六組
  • 誕生日:8月9日
  • 血液型:AB型
  • 趣味:都市伝説
  • 好きな/嫌いな食べ物:オムライス/喉ごしの悪いもの
  • 関連人物:松戸博士,小門宇宙,新堂大誠《親友》,飴玉婆さん,坂東淳,脇坂安奈《噂》,富樫美波《姉》
  • 関連用語:都市伝説探偵局《運営》,ブラック・アイ・キッズ《噂》
 年代不明、鳴神学園初等部六年六組に属する児童のひとり。愛称は名前からそのまま取って「レオ」。
 クラスでも数少ない常識人で人当りもよく、人懐っこい。加えて柔軟でバランスの取れた広い視野を持っている。
 趣味で調査している「都市伝説」に関しては大人顔負け、一定の知見を有する研究家である。知ってか知らずか、かつての姉が所属していた組織と同名のWEBサイト「都市伝説探偵局」を運営するなどして、さまざまな事例を収集している。

 同じクラスの「松戸博士(マッド)」、「小門宇宙(ソラ)」、「新堂大誠」らとは二年かそれ以上前からの付き合いにして、親友と呼べる間柄である。レオ自身はその中でもまとめ役じみたポジションに就いている。
 そんな彼らはそれぞれが異なった分野から超常現象・オカルト案件に対して意見をぶつけ合い交流を深める。そんなレオ自身は科学とオカルトの両面から学術的に都市伝説を分析するスタイルを取っており、どんなぶっ飛んだ仮説でも一見だけでは否定しない。

 ただし、レオ自身の視点は冷静かつ中立的なのだが、好奇心に任せて危険な事案に深入りしやすい難点も抱えている。暴走しがちなソラの影に隠れて目立たないものの、前のめり気味な姿勢をみたマッドから時折は制止を受けていたりもする。
 以上の通り、大人びた面も目立つのだが、むしろ好きなことに目を輝かせる小学生らしさの方が先立つ少年といえるだろう。 

 『小学怖』水曜日「飴玉婆さん」に登場。


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 『新生』「ブラック・アイ・キッズ」、「危険な転校生」に登場。




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 「危険な転校生
 二年前は「四年七組」に属しており、当時からマッドとソラの両名とは友人だった。
 「松岡伊吹」によって完全に孤立させられ、誰からも自分の話を信じてもらえずに荒れていた「新堂大誠」に興味をもって接触し、事細かに聞き取りを行う。
 そして、新堂のことを信じるに値する人物と見込んだレオは友人ふたりを紹介して松岡に共同で立ち向かうことを提言した。ここを機にレオたち三人は新堂大誠を親友として迎えることになったのである。


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 『極』「人肉食堂」に登場。


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 『新生2』「赤い靴下」に登場。


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 『鳴七』「危険な転校生」に登場。
 基本的に『新生』版とシナリオに相違はない。
 ただし年代設定が現代に統一されたことによって、姉の年齢が高校三年生にスライドしているため年齢差が縮まったこととWEBサイト「都市伝説探偵局」の運営には携わっていないことが異なる。


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時田安男(ときた やすお)

  • 登場作品:学怖,学怖S,学恋2,ドラマCD,秘密,荒井,鳴七,稲in
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 二年B組
  • 誕生日:3月23日
  • 身体: 165cm/57kg ♂ B型
  • 趣味:映画鑑賞
  • 好きな/嫌いな食べ物:ポップコーンクリームソーダ味、カルボナーラ/グリーンピース、ナスのおひたし
  • 関連人物:荒井昭二《友人,クラスメート》,片山《同士》,中山太一《同士,実験》,赤川哲也,中村晃久,本郷茜《クラスメート》,姫乃《知人》
  • 関連用語:映画研究会,新聞部《所属》,ミイラ,呪いのフィルム《犠牲者》,いじめ,UMA
 『学怖(S)』荒井五話「時田君の自主制作映画」に登場。
 荒井さんの友人で、一年の頃は同じクラスに所属していた。
 様々な方面の好事家で知られる荒井さんが映画方面で一目置くほどの映画通で、好きが高じて自ら同好会を立ち上げ、実際に製作を開始するほどである。

 しかし、それが祟り、大好きな映画に多くの場合殺される羽目になる。
 著名な死因として挙げられるミイラ男では一人歩きをはじめ現実とリンクし始めたフィルムの編集を続けてしまったことによって、自らも命を失ってしまう。
 [さすがは死亡フラグとして知られる荒井の友人。]

 現に『学怖S』で分岐が追加されるまでは栄えある全分岐死亡を誇っていた。
 ちなみに『学怖S』で死亡率は87.5%、要するに生存する分岐はただ一つだけである。これは分岐ありの話に限れば、他の友人を凌ぐ確率である。
 また唯一の生存ENDも謎の宇宙生物に寄生されるもので非常に後味が悪い。

 また、映画への執念のあまりに、リアリティを求めて同士に手をかけ、仕返しに殺されるなど良心を欠いたあまりに自業自得な死を迎える場面も多い。
 基本的には普通の高校生であり、理不尽な巻き込まれ方をすることの方が多いが。
 やはり好奇心猫を殺す。荒井さんは彼の熱意を認めつつも、流石に黄泉路にまで一緒することは避けたいようで、彼の末路に対しては冷静である、
 よって身の危険を感じた荒井によって時田君の終いの住処は無情にも燃やされることも。嗚呼非情。

 そんなある意味自滅と言える末路の中で、格段に悪質な分岐がひとつ存在する。
 それは「いじめ」を題材としたドキュメンタリーを制作するはずがコメディ映画に編集し、挙句意図が伝わらなかった大衆相手に再び受けを狙い、同じようなことを繰り返そうとしたこと。映画の中身は実際の出来事だったというのに……。

 大義の前では小事にこだわるべきでないと考えたのか、対象とされた生徒へのいじめを止めることなく、彼を単なる被写体と割り切って撮影を断行。
 これは奇しくも『学怖S』の内山浩太がいじめられている現場と同じグラフィックである。

 自殺の現場も見過ごし、結果得るはずのものをいじめへの問題提起を単純な笑いに変えてしまったとあらば、自殺した生徒も報われない。
 彼の死体は描写もはばかられるほどの惨状で彼の所属する部室にあったと言う話である。この分岐に限って彼は映画同好会の他に新聞部に所属していたとされ、ネタのためなら良心も捨てる、かの部の体質の一環を示したものとしても興味深い。

 そんな彼だが、鳴神新聞に誌面を割いてもらい某ホラーゲームに登場する某語り部を彷彿とさせる役者達の募集を行っていた。
 [さて、彼が役者達にどんな殺され方をされるのか楽しみである。]

 また、『学恋2』岩下編において、演劇に成功した荒井さんが岩下さんをヒロイン映画を撮ろうという話が持ち上がり、その際に時田君に協力を求めている。
 ―――平和な世界なら、彼も生き残り映画を撮る夢を見るのかもしれない。

 『秘密』「このままおとなしく成り行きを見守る」ほか多数のルートに登場。


 「このままおとなしく成り行きを見守る」ルート。
 そもそもが「夢オチ」だということを先に断っておく。
 そのため脈絡なく時田くんも現れ、変身を解いて「ヒデブ人」としての正体を現すだなんて展開に発展してしまう。

 なんでも女性と豚が大好物だというヒデブ人は「及川由紀」、「密田真奈美」、ピギーちゃんを食べてしまう。
 その後正体を現したヤパーレ人の風間さんが止めようとした所で場面は終了する。



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 『荒井』「やりたくない」ルート、「自分も行かない」ルート、に登場。
 荒井のソウルフレンズとして参戦。社交的で気が良く、荒井が困った時は親身に相談に乗ってくれる。
 加えて、複数人で話し合う時にもリーダーシップを発揮する。映研でも普段からメンバーをまとめているのだろうか。

 しかし、映画の事になると話は別であり、最高の映画を撮るためには手段を選ばない。
 リアルさを追求するあまり無関係な周囲を巻き込んだり、演者を危険な目に遭わせたりする事もある。
 日常を映画の舞台へと変化させてしまう所は流石の腕ではあるのだが……。
 一方で「映画」という言葉に対しても目がないのか、飛びついて不利益を被る事もあるようだ。

 容姿に関しては、『学怖(S)』の頃より「個性派」と荒井さんから言及があった通り。
 ハイトーンカラーのマッシュルームカットに赤メッシュ、へそ出しというキャラクターの中でも一際目立つファッションをしている。

 「やりたくない」ルート。
 クラスメートの「中村晃久」がブラックバイトの斡旋をして周っていると荒井の下へ忠告しに来る。
 その後、牧場アルバイトの実態が暴かれた後も荒井に意見を伺いに来ては褒めちぎるなど友人として接しつつも、身近で滅多にお目にかかれないような事件が起こったために興奮を隠しきれていないようだ。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 今回の事件は全て時田監督による映画のためのものであり、荒井やクラスメート達も彼の映画の糧となっているのではないかと荒井は推測している。
 中村と手を組んでいたのかどうかは時田のみぞ知る所だが、映画が公開されれば明らかになるのかもしれない。

 [仮にそうだとすると、荒井の方が一枚上手とも思えるが、分かった上で黙っているのは荒井なりの映画への期待と彼への友情なのだろうか。
 しかし、友人である荒井にはあえてある程度の手の内を明かしているとなると話は変わり、その反応さえも映画にしてしまえる時田君も生粋のシネマディクトなのかもしれない。]


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 「自分も行かない」ルート。
 夏休みは「駅前の塾」の特別コースに参加する。同時に学校には内緒で清掃員のアルバイトをこなしているため、多忙な様子。

 荒井が危険な目に遭う前に自ら進んで作戦を立てるが、結果的にやりすぎてしまったと反省。
 その後も荒井の身を案じつつも、本人の意思を尊重するという友人思いな面が見られた。

 『鳴七』「時田君の自主製作映画」ほかに登場。


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 「殺人クラブ」。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「時田安男」はその中のひとりであり、「映画研究会」部室にいる。


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 「秘密」。


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 『稲in』に登場。
 坂上修一の足跡を求め「七不思議の集会」の出席者の居場所を訪ねてあなたは鳴神学園構内を歩く。
 その中のひとり「荒井昭二」を探す道中、様子を見かねて話しかけてくれたのが彼である。

 なんでも自主製作映画「ミイラ男と美女」の好評を受け、第二弾を製作中だという。
 作中でカメオ出演的に現れる数多いキャラのひとりではあるものの、『学怖(S)』では達成が出来ずに終わった映画公開にこぎ着けたのだから喜びもひとしおといえるだろう。
 ともあれ時田くんは詳しい事情を聞くや、あなたに対して荒井さんが屋上にいるだろうことを教えてくれた。


戸沢美紀(とざわ みき)

  • 登場作品:特
  • 種族:人間→霊
  • 職業:鳴神学園高校 一年C組
  • 関連人物:細田友晴《噂,クラスメート》,片瀬隆二《恋人》,室戸葵
  • 用語辞典:屋上
 『特別編』細田シナリオ「トイレの恋」に登場。
 「室戸葵」と別れた男子生徒「片瀬隆二」の今の彼女で一年前は細田さんのクラスにいる女子生徒のボス的存在だったらしい。
 女性人気の高い片瀬とはお似合いのカップルだったらしいが、元カノの室戸さんからすれば諦めきれるものではなかった。

 室戸さんは細田さんを利用する形で戸沢さんを「屋上」にまで呼び出してもらい、そこで直談判で勝負をつけようとする。
 が、話がこじれたのかそれとも最初から殺すつもりだったのかは定かではないが、戸沢さんは屋上から転落死してしまう。
 そんなことになれば戸沢さんとしても死んでも死にきれないというもので、恋人を失った片瀬くんに最接近してよりを戻そうとする室戸さんをけん制するように怒りに燃える姿でこの世に姿を残し、また彼の夢枕に立つという行動を取った。

 一方、細田さんの方も室戸さんの方から自分の些細な恋心さえ切って捨てられてしまったことに絶望し、なにもかもどうでも良くなってしまう。そのため口止めされていた事の経緯を暴露し、そのことで追い詰められた室戸さんも屋上から転落死してしまう。
 その最後のひと押しには死んで霊と化した戸沢さんの尽力があったことはもはや言うまでもないだろう。

 恋人二人に先立たれ最後に残った片瀬くんは当然ながら憔悴してしまう。
 が、最後の最後、片瀬くんは細田さんに導かれる形でふたりの女性が待ち受ける夜の校庭にやってくる。

 戸沢さんと室戸さんの間で真に決着がつく最後のチャンスの到来であった。
 が! 片瀬くん同情には値するが、女の間でフラフラするバカヤローだったため決着は不本意な形で終わってしまう。
 そのためだろうか戸沢さんもまた、室戸さんと同じく悲しい顔をして彼の前から姿を消したのだという。

 結局のところ。戸沢さんと室戸さんの間での片瀬くんを巡っての恋の綱引きは引き分けに終わったのかもしれないし、両者敗北で終わったのかもしれないし、片瀬くんだけの痛み分けで終わったのかもしれないが、あなたが思うにどれだろうか?

 『鳴七』 
 ⇒「姫乃愛良」の項を参照のこと。
 「戸沢美紀」の要素・エピソードなどは上記の人物へと集約された。


戸津怜人(とつ れいと)

  • 登場作品:レトin
  • 種族:悪霊
  • 関連人物:細田友晴《正体》
  • 関連用語:いじめ
 「レトルトin鳴神学園 第三章」に登場。
 「主人公」が「新聞部」の入部テストを断ると同じクラスに転校してくる。

 友人が欲しいらしく、自己紹介の時も再三に渡り繰り返していたり、校内案内時にはトイレの個室について語り出したりと要所要所であの人を彷彿とさせる……というかそのものである。
 「戸津怜人」という名前もトイレットの逆さ読みであると作中で丁寧に説明してくれている。

 その正体とは、昔、悲惨な「いじめ」にあっていた「細田友晴」が亡くなったトイレに現れるようになった仮面の少年の悪霊。
 孤独から寂しい思いをしていた彼は、友人になることを拒否した主人公を殺害する。

 また、彼は正しいルートを分かっていながらも別選択肢を選んだ(ループから逃げようとした)プレイヤーに対して咎めた「日野貞夫」の差し金であった可能性が極めて高いといえるだろう。


戸波(となみ)

 良夫六話「7つの不思議な話」に登場。
 もっと言うなら、良夫六話は「七不思議」と称したショートストーリーの集合と言う体裁を取っているため、その内のひとつと言うことになる。
 良夫の通っている学校の隣の学区にいる小学五年生で、彼曰く「普通の背で、普通の成績で、普通の顔してる、普通のヤツ」。ひ、となみ……。普通って言うなぁ!

 そんな普通の彼はとある三日月の晩に普通にお腹が痛くなってしまい、普通じゃなかった駅前公園のトイレへ駆け込む。三つあった個室の内二つが故障中だったり、茶髪の高校生に割り込まれたりして散々だったが、用を足すことには成功。
 が、個室内に描かれていた落書きを見てからが彼にとって本当の運の尽き。
このラクガキを見てうしろをふり向いた時おまえらは死ぬ

 さっきの高校生が実は子どもだけを襲う連続殺人犯で、少し前に逝った「双子」の兄同様に殺されかけたり、謎の怪物に見たら殺すと脅されるわ、人面蜘蛛に卵を産み付けられて無惨な死を遂げるかと言う三択が待っている。
 彼の死亡率は概算で五割と言ったところか。一番目ならちょっとした奇跡に、二番目なら己の迂闊さを呪うか、それとも本能に感謝するか、三番目なら単に不運を嘆いてください。

 ちなみに、この駅は葉子たちも本家に向かう際に使った物と同じものらしい。
 化生の類が出現することを与太話と差し引いても地味に嫌な話ということになる。トイレが元々危険な場所と言うこともあるが、駅前と言うのも意外な落とし穴だった。人が集まるところだと言うのに、そこが誰も気付いていない盲点だったのだから。


戸部(とべ)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:藤村正美《噂》,佐原
  • 関連用語:死を招くベッド《犠牲者》
 正美六話「死を招くベッド」に登場。
 「死を招くベッド」の犠牲となる候補者の一人。 アフロヘアーが目立ち、とにかく柄が悪くて厳つい中年。パパイヤ鈴木
 が、彼をベッドの生贄に選ぶと案外小心で臆病なところが拝めたりする。
 また、それ以上にバッドエンド地獄を脱出できる数少ない結末の一つが彼を選んだ分岐に置かれており、実はいい人だったりする「石井」さんを生かしたいなら戸部さんを犠牲にするしかない。

 なおこの話だが、立場上仕方ないとは言え担当看護婦「佐原」さんの対応の酷さも目立つ。
 部屋の隅から次第に近づいてくる看護婦の霊らしきものに怯える彼に対して、鎮静剤を投与して無理に寝かしつけるのだから。
 おかげで彼は恐怖のまま覚醒した意識のまま弛緩した肉体で窮状を訴えかけることが出来ずに悲惨な死に方をする羽目になる。

 『鳴七』
 ⇒「黒木源造」の項を参照のこと。
 「戸部」のエピソードは上記の人物へと集約された。


飛べない小鳥(とべないことり)

  • 登場作品:ナポin
  • 種族:人間
  • 職業:会社員
  • 関連人物:杉田かおる《噂》,志垣瑠璃《犠牲者》,サネアツ《恋人》,怪人X,リスカリリカ《同士》
  • 関連用語:夢想荘《犠牲者》,自殺
 『ナポin』第2話「自殺志願者の鎮魂歌」に登場。
 とある自殺サイトで「志垣瑠璃」の呼びかけに応じて集まった自殺志願者の一人。
 本名は不明で、おそらく三十路前後の薄幸そうな会社員の女性。
 同じく自殺志願者の「サネアツ」とは恋人関係にあるようで、もうすぐ結婚するらしい。

 しかしサネアツから新しい事業を始めたいのでお金を貸してほしいと頼まれ、会社から横領してまで一千万円を貸したそうだが、サネアツはそのお金を騙し取られてしまう。
 こうして二人は責任を取って自殺するしかないと決断するのであった。

 「リスカリリカ」からは「それって典型的な結婚詐欺でしょ」とツッコミを入れられており、サネアツは「結婚詐欺なら一緒に心中するはずない」と否定するが……。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 [下記は飯島氏から言及のあった内容だが、まだ作品として世に出たものではないため参考程度であることを留意願いたい。

 多くの人が察した通り「サネアツ」は結婚詐欺師である。
 そして後始末に彼女を殺すため夢想荘にやってきたのだ。

 「飛べない小鳥」は可哀想なその被害者の女性……ではない。
 サネアツの正体を十分に分かったうえで、その彼に多額の保険金をかけ殺そうとしている根っからの殺人鬼である。

 彼女のその人を殺すことなど何とも思わない本性は、自殺志願者たちが夢想荘の中に入ってから現れるらしい。
 二人の殺し合いがどうなるのか、志願者たちは夢想荘とどう闘うのか……といった「夢想荘」の中に入ってからの様子を描くエピソードの構想も既にある(「怪人X」の抱える包みなどはその伏線の好例である)ようで、いずれ何らかの形での公開が期待される。

 なお結末は「杉田かおる」が目撃した通りである。
 以上を踏まえると、二人が最期に見せる後悔に満ちた苦悶の表情の意味もわかるのではないだろうか。]



富江(とみえ)

  • 登場作品:四八,AMC1,学恋,追加,極
  • 種族:猫
  • 関連人物:福沢玲子,伊藤潤二
  • 関連用語:猫草
 死んだはずだよお富さん♪
 富江とは福沢の飼い猫。元ネタとしては後述する経緯を参照のこと。
 一発ネタかと思いきや後の作品にも踏襲された珍しい例であり、福沢への各種インタビューをはじめシリーズ中では度々顔を出している。元ネタ通り、メスの[(ロングの黒髪を彷彿とさせるのか)]黒猫らしい[(ほくろがあるかは不明)]。

 黒猫の女の子は気が強いらしいが、元ネタの女性「富江」は元々傲慢でドSな女王様気質の美少女であり、そこから名を受けた猫もそんな性格になっておかしくないのかも知れない。
 どういうわけかいなくなってしまうことが多く、初登場作品の時点からしてよく彼女を追いかけている福沢さんを目撃できる。

 『四八』岐阜シナリオ「火葬場の町」、「猫屋敷」に登場。
 初登場作品。岐阜県在住の女子高生として「伊藤潤二」氏の知己となる展開を与えられた福沢玲子が「富江」と言う名前の猫を飼っている設定を得たことが発端である。
 富江とは氏のファンにとっては説明不要のホラー・クィーンであり、数多のキャラを生み出してきた中でも最も印象に残るヒロインにして、モンスターである。[貞子と並んで女児に付けたくない名前No.1(適当)に選ばれたと思う。]

 「猫屋敷」。
 最近越してきたホラー漫画家「伊藤潤二」氏の住まう「洋館」を訪れる理由が、例のごとくいなくなってしまった富江を探しに行くというものである。猫の声はやたらすれど、家主は屋敷内には猫は一匹もいないと言い張る――、確かに怪しい。
 詳細は「猫草」の項を参照のこと。ところで生物の部位が無法図に生える地獄絵図といえば、本家「富江」のオマージュと取れないこともないだろう。

 『追加版』「モモのいた学校」に登場。
 本猫ではなく、福沢の口を借りての登場であるが本家本元「富江」の寄生を思わせる展開の仕方である。一応福沢さんは冗談と言っているが……。
 やっぱり定番。なんかスカートの下から見えているのはご愛嬌である。

 『極』「招霊騒動」に登場。
 福沢さん本人がはるばる岐阜から千葉まで出張している都合上、本猫は登場しない。
 ただし、可愛がっているためか着信音にこの愛猫の鳴き声を設定したことがまさかの生還へのキーパーツのひとつになった。

 ファンで無い方のためにも一応元ネタに触れておこう。
 なお、原作漫画と映画など他メディアの描写を統合的に記述したものであることを断っておく。

 富江は長い黒髪と左目の泣きぼくろが印象的な美少女。
 自らの美貌に絶対の自信を持ち、鼻にかけて言い寄る男どもを弄ぶ魔性の女である。その女王様じみた性格から繰り出される身勝手な要求はギャグの域にまで達している。
 その美貌は最早絵にも描けないレベルの記号的かつ絶対的なものと度々強調されており、激怒した彼女が(メタなギャグだが)作者の伊藤潤二先生本人の元に赴いて再現度の低さを責めあげたことすらある。

 そんな富江に近づく男にはどういうわけか一つの欲求が生まれる。

 それは彼女を殺してバラバラにしたいと言う殺人衝動である。
 それは男であるなら絶対に免れぬことの出来ないものであり、ほぼ確実に男は正気と社会的地位を失い破滅する。だが、富江は死なない。
 刻まれた肉片の一つ一つ、たとえ血の一滴からでもプラナリアのように再生する。再生の途上こそ醜いものの、それを終えた富江は美しい姿に戻る。

 その不死性と増殖力こそが富江のモンスター性を支える主因である。
 富江を確実に滅しようとするなら、二度と再生できないよう完膚なきまでに焼き払うことである[と思いたい。メディアやエピソードに拠っては灰の状態からですら蘇っている]。強酸に浸けても耐える生命力は伊達ではない。
 また、増殖した富江は全く同じ性格と容姿を持ち、個体各々が自分こそが本物であると主張して他の富江を殺そうとする。

 おそらくこの抗争が個体数を抑える要因となっているのだが、不死性を除けば富江はか弱い女性に過ぎないため、その争いは信奉者の男性を用いたはた迷惑な代理戦争の体を擁する。
 改めていう事では無いが、ホラーに登場するモンスターの多くが直接的暴力に頼っている中、富江は極めて偏ったスペックを誇っていることになる。 

 外傷はなんら障害にならず、病魔とも無縁だろう。幼児の状態から成長はしても老いる事はない(と思われる)。
 [エピソードのひとつで富江に恨みを持つ男性が策を弄し、富江を老衰させようとしたが結局拝む事はできなかった。]
 古くは明治時代から彼女らしき存在が確認されるが、もしくはオリジナルなどというものは最初から存在しないのかもしれない。
 本人は「川上富江」と名乗っているが、気まぐれに偽名を名乗る事も多い。

 そんな傍若無人な富江にとって意外なことだが、彼女はメンタル面に弱点を抱える。
 まず、富江は「写真」を嫌う。
 見られる事を好む彼女らしからぬことだが、それには原因があり写真に写った富江はまるで彼女の"本質"を表したかのような醜悪なモノに見えてしまう。
 富江は自身の怪物性に一定のコンプレックスを抱いているようで「バケモノ」などと罵られると、常の調子を崩し途端に激高する。
 そして感情が高ぶると、本人の意思と反して「人面瘡」のようなものが発生し、増殖が勝手に始まってしまう。
 この隙を見、かつ当事者が富江の妖気に当てられる事の無い女性なら生き残る事は難しくはないだろう。

 ただ、注意すべきなのが「寄生」である。
 男性に対して用いられたことが無いので不明だが、富江の細胞が少しでも女性の体内に入ってしまうと、そこから徐々に侵食していき完全に乗っ取ってしまう。 
 流石に毛髪から全体を乗っ取ることは出来ないようだが、その際には富江の意思らしきものが宿主に語りかけていた。

 この性質上、女性を主人公としたエピソードの場合は自分が何者なのか、もしかしたら富江なのではないか、と言うサイコ・サスペンスの要素がよく入る。
 また、異性からの愛情を使い捨てる富江だが、ひるがえって同性相手に愛憎交じりの好意らしきものを向けることもある。
 よって映像化作品で同性愛的な作劇が行われるケースが散見されたりする。もっとも富江たち本人同士が同族嫌悪していること自体は変わらないが。

 ところで、この富江という女性は映像化の回数にも恵まれている。
 初代の「菅野美穂」に続き、「宝生舞」、「酒井美紀」、「安藤希」、「松本莉緒」、「白田久子(美波)」、「あびる優」、「仲村みう」、「池澤春菜(声の出演)」などと言った多くの女優達が彼女の再現に挑み続けている。


富沢七姉妹(とみざわななしまい)

  • 登場作品:四八
  • 種族:人間
  • 年齢:17歳
  • 関連人物:坂上修一,津蛾鶴人,津蛾亀人
  • 関連用語:
 『四八』千葉シナリオ「学校であった怖い噂」に登場。
 全国各地に散らばって登場し、ボイス付きのあっという間に終わる観光案内を行っては去っていく謎の姉妹。上記には条件を満たすと揃い踏みで登場する。
 同じ顔をしている理由は非常によく似た姉妹の組み合わせ(年子+三つ子以上×2)もしくは七つ子と考えられるが、なかなか考えにくい話ではある。
 そんな彼女たちの出生には、とある双子の存在が……。

 ちなみに彼女たちを演じたのは声優の野川さくら。
 髪型と服装くらいしか変化はないにしても、声に留まらない七変化を披露してくれた。
 むろん本業も例外でなく、異なった性格の七姉妹を演じ分けている。

 ちなみに三次元なので好悪は分かれるが、全員が全員あざとい萌え属性持ちである。なお名は曜日にちなんで付けられているようである。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 公式生放送(2021年5月7日)の言及によると、当初飯島氏が構想していたシナリオ・プロットによると彼女たちの正体は日本全国各地に伝わる巨人「ダイダラボッチ」であるらしい。
 氏がシナリオ制作に中途からさほど関われなかった都合上、公式とは言いづらいものの興味深いこぼれ話と言える。

 両手、両足、頭部、胴体、心臓に七分割された彼女たちが集まると巨人が復活するという話と、実際のゲームで用いられた話を見比べてみてその類似性に頭をひねらせてもいいかもしれない。


富沢月野(-つきの)

 三重シナリオ「牛鬼の像」に登場。
 一人称「私(わたし)」。髪型「ストレート」。
 落ち着いた性格が話し方からも聞いて取れる姉妹のまとめ役。


富沢火乃(-かの)

 岡山シナリオ「吉備津神社」に登場。
 一人称「あたし」。髪型「ポニーテール」。
 乱暴で男勝りな性格。坂上を気絶させて拉致した。


富沢水貴(-みずき)

  • 関連用語:UMA,心霊写真,ランダム分岐
 広島シナリオ「ヒバゴン」に登場。
 一人称「ボク」。髪型「ルーズサイドテール」。
 自称とシナリオのインパクトに全部もっていかれた感がある。
 唐突に現れては謎の動く写真を自慢して、鶴ちゃん亀ちゃんの存在を示唆して去っていくという嵐のような子である。

 ちなみに彼女が誰ぞやに見せてくれる見るたびに出てくるものが違う「心霊(?)写真」を彼女に渡したのは新潟シナリオ「心霊写真」などに登場するカメラマン「箕澄雄大」だと考えられる。

 件のシナリオでは持っているだけで危険すぎると処分に躍起になっていたブツをなぜか通りすがった女子高生(?)に押し付けたかは不明である。
 富沢水貴は平然としているので、半ば人外に足を突っ込んでいる彼女にはおあつらえ向きであるが。

 メタ的な事情を言えばこのシナリオは『四八(仮)』開発後期で切羽詰まる中で開発サイドからシナリオサイドに出されたシナリオ「千文字制限」という無茶ぶりに応えた当時のスタッフが編み出した苦肉の策であると後日語られている。
 よって、シナリオの整合性を問うのは酷というものだろう。

富沢木里(-きり)

 大阪シナリオ「大阪トンネル巡り」に登場。
 一人称「うち」。髪型「1本みつあみ」。
 見ての通りの元気っ娘。弾むような語尾が特徴的。


富沢金花(-かなか)

 山口シナリオ「壇ノ浦」に登場。
 一人称「私(わたくし)」。髪型「おさげ三つ編み」。語尾「~ですの」。眼鏡。
 どこか気取った話し方と見た目とからかい混じりな語調が目立つ。


富沢亜土(-あど)

 愛知シナリオ「桃太郎神社」に登場。
 一人称「あどっち」。髪型「サイドテール」。ネクタイ。
 間延びした話法が眠気を誘う姉妹随一の不思議ちゃん。
 一番キャラが立っており、話し方のせいで担当県も(体感的に)長い方。


富沢日(-あき)

  • 関連用語:パワーストーン
 静岡シナリオ「奇石博物館」に登場。
 一人称「あき」。髪型「ツインテール」。
 子供っぽい性格で、話の中に謎の「パパ」が登場。



富田(とみた)

  • 登場作品:学怖,学怖S
  • 種族:人間
  • 関連人物:細田友晴《知人》
  • 関連用語:顔型の染み《犠牲者》
 細田二話「女子トイレの壁の染み」に登場。
 霊感少年・細田友晴が女子トイレにある「顔型の染み」の調査に赴いた際に同行した女生徒のひとり。
 余談だが、彼女は元祖『学怖(S)』で「あたし」という一人称を使うほとんど唯一の女性キャラである。
 それに加えてベタベタのてよだわ口調の喋り方や、自己顕示欲が強そうでツンケンとした生意気な言動、そして『学怖』では彼女のグラフィックはないが『学怖S』で彼女を演じた役者はキツい顔立ちのツインテールの娘だったりしていろいろキャラが立っており、一分岐にのみ登場するマイナーキャラなわりには印象は強かった。

 で、この富田さんは普段から霊感があることを自慢しておりトイレの中には何もないと判断した細田さんに逆らい、一人で特攻する。……これが『学恋』シリーズであったのなら別のフラグが立つ余地もあったのだろう。
 だが、そこは硬派で鳴る(?)元祖『学怖(S)』、彼女に立ってしまったのは死亡フラグだけである。

 案の定、除霊したと自慢した直後、逆に取り憑かれてしまったことが判明。錯乱して細田さんたちに襲いかかった。その場は怪我人もなく、何とか取り押さえることができたものの、教師たちに連れて行かれた彼女がその後どうなったかは定かでない。

 学校から染みが消えた時点では操られた彼女が何をしでかすかを心配すればよかった。
 学校から富田さんが消えた後は遠くに転校したとか、入院しているとか思って、人事ですむ間はまだ大丈夫だっただろう。
 ただし、壁の染みが復活したとなれば話は別。富田さんの安否は決まったも同然である。

 どちらにせよ、自分が特別な力を持った選ばれし者であるという妄想は思春期だけ、それも足踏み程度に留めておくべきだったのだ。名だたる「語り部」や後の「探偵局」すら気を抜けば、怪異に飲み込まれてしまうと言うのに……。


トモさん

 隠しシナリオ「触れざる儀式の真相」に登場。
 十年ほど前に前田本家に雇われて、住み込みで庭の手入れなどを行ってくれていた男性。本名は不明。
 小動物を無体な方法で殺そうとしていた子守りの女性、良夫、葉子たちを叱って止めていた。

 もちろん人としては間違ったことはしていないのだが、それを逆恨みした三人の罠によってトモさんは蔵に閉じ込められてしまう。その上で火を放ち殺害されたのだという。
 そう言った記憶が正美さんの催眠術による記憶の呼び起こしによって良夫の口から明らかにされた。
 ちなみに良夫は当時よちよち歩きだったころとされるため一、二歳くらい、それから計算すると葉子は六歳前後だろう。

 もちろん火をつけたのは子守りの女性である。その女性は当時近所に住んでいたらしい。
 面白がって小動物を殺しまわったうえ、幼児にそういった外道の遊びを教え込んだ彼女が主犯であることに間違いはないのだが、幼い頃の葉子たちが罪悪感など覚えなかったこと、十年ほどの時を経て記憶に蓋をしたことも確かだろう。
 また、当時トモさんが本家で働いており蔵の出火に巻き込まれて死んだこと、そして葉子がその頃に本家に泊まっていたことは事実である。果たして、本当に一人の人間の死に葉子は関わってしまったのか、それとも単に良夫の勘違いなのか? 

 ちなみに葉子はこの話を知った上で現実逃避したまま、怖い話を続けることもできる。
 とは言っても、これらの展開は由香里姉さんが自我もおぼろげだった幼児期の良夫と関わることで前田本家が抱える裏側に迫ったりかすったりする本筋に比べるとややパンチが弱い。ここでの子守りの女性と由香里姉さんが関係ないことは確定であるし。
 ただ、関係ないと思っていた幼さゆえのあやまちが主人公にも襲いかかるのは、十分「厭な話」だったりするのかもしれない。



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最終更新:2024年03月11日 08:09