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索引


妻果藤吉(さいか とうきち)

  • 登場作品:小学怖
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 五年生
  • 関連人物:葛町龍平《友人》,妻果寛吉,妻果宗吉,妻果圭吉《弟》
  • 関連用語:猫
 『小学怖』水曜日「格安物件」に登場。
 カメラ少年「葛町龍平」にとっては一年に同じクラスになって以来の友人で、五年生の時もクラスメートだった男子児童。
 六畳のアパート住まいだった彼ら一家は夢のマイホームを購入するための貯蓄として節約生活を送っており、その一環として家長である父とその息子四人は揃いの服に揃いの坊主頭をしているのだとか。

 葛町くんは友人の立場から文房具の取り扱いや日々の食事に対する涙ぐましい努力の数々を目撃している。
 そんな藤吉くんだが、腐る様子は見せることはなかったようでニカニカした笑顔が印象的だったようだ。
 そんな妻果家は満願叶い、掘り出し物の優良物件を見つけ出して即日購入、晴れて超節約生活から脱却するのだったが……。

 当初こそ晴れやかな顔だった藤吉の顔は一週間もするうちになぜだか曇ってしまう。
 対する葛町くんの方も、藤吉のことを友人として心配して母親と相談しながら接することにした。
 そして葛町くんは警戒の上で、前から誘われていたお宅訪問を敢行するのだが、言い訳のしようがない怪奇現象に遭遇してしまう。


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賽臥隆恭(さいが りゅうすけ)

  • 登場作品:2008,探偵局,AMC1,AMC2,流神A,新生2,鳴七
⇒「賽臥隆恭


西条陽子(さいじょう ようこ)

  • 登場作品:学怖,学怖S
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:比田先生《いじめ》,細田友晴
  • 関連用語:顔型の染み《犠牲者》
 細田二話「女子トイレの壁の染み」に登場。
 トイレの「顔型の染み」について調査する細田一行へと「比田先生」が話してくれた真実の話に登場する女生徒。今から二十年ほど前、この学校にいたいじめグループのリーダー。

 彼女の手口は気の弱そうな子をトイレに連れ込み、理不尽な言いがかりをつけ散々にけなすと言うものだった。いじめは日々繰り返されたが、その中で一人の女の子を壁の染みに関わらせてしまったため、身を滅ぼすことになる。
 染みの隣に面影を残すかどうかの違いはあるが、染みの餌になってしまったようだ。

 ルートによっては、逆に彼女の方がいじめられっ子だったとなる場合も。
 その場合はいわれなき暴力を受け続けたあげくに染みに喰われ、さらに死人に口無しとばかり彼女をいじめていた者の吹聴により悪辣ないじめグループのリーダーに仕立て上げられてしまうという、とことんまで踏んだり蹴ったりな扱いを受けている。


斉藤(さいとう)

  • 登場作品:VNV,追加
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 一年A組
  • 関連人物:坂上修一《クラスメート,友人》
 『VNV』「学校であった怖い話」に登場。
 普通の高校生と言うわりには意外と素顔が見えない「坂上修一」の初めて姿を見せた友人で、七不思議の集会までは普通にバカな掛け合いを返せる間柄だった
 しかし、長く休みを取っている友人を心配して電話をかけ、晴れて体調を回復した友人を見舞ったが、当の坂上はまるで蝿を追い払いでもするような冷たい態度を取るばかり。斉藤は腹を立て、以後物語から退場するのだった。
 ……、あの状態の坂上と会ってよく無事だった。

 ところで、坂上にとって本来の所属クラスは「一年E組」であり、『VNV』は様々な意味でイレギュラーに位置することもあり、斉藤君に今後出番は無いと思われる。
 ちなみに『関西版』ではあくまで心の声だが、「グラフィックも付いていない三下」呼ばわりされた。確かにそうだが、酷いっちゃあ酷い。ちなみに後に出た「新装版」では、絵柄が浮いているという事情こそあるがしっかり立ち絵が実装されている。

 『追加版』「マスクの下で」に登場。
 前日の「七不思議の集会」の最後で「綾小路行人」の話を聞くことを断ったことを原因として、因果不明・意味不明の村八分を受ける羽目になった坂上のことを冷たい目で見下す人々の中で、クラスメート代表としての出演である。

 『鳴七』
 ⇒「西垣嘉晃」の項を参照のこと。
 「斉藤」のエピソードは上記の人物へと集約された。

斉藤圭輔(さいとう けいすけ)

  • 登場作品:男怖,極
  • 種族:
  • 年齢/誕生日:17歳
  • 職業:笹ヶ岡学園高校 三年C組
  • 血液型:O型
  • 趣味:ナイフの収集、バイク(盗難)
  • 好きな食べ物:とにかく肉
  • 好きな教科:自習(睡眠学習)
  • 中学生の時の通り名:孤高の暴れ狼(自称)
  • 好きな女性のタイプ::ヤレりゃ良い
  • 関連人物:宮本健史《親友》
  • 関連用語:狭間の部屋
 『男怖』主要人物の一人。
 頭の悪い不良を絵に描いたような男で、口より先に手が出るタイプ。
 「宮本健史」には一目置いており、いつも一緒につるんでいる。
 彼なりに友情を感じているのか、宮本が害された際には激怒して仇討ちに走る展開も多い。しかしその逆は無い。意外と不憫な男である。

 意外と義理堅いこともあり、喧嘩も強いため操縦さえ誤らなければ実に頼りがいのある男なのだが、それにしても頭が悪過ぎる。
 事あるごとに「わざとやってんのか!」と言う頻度で「守山成樹」の名前を間違え、それを言い返す度胸の無い守山が心中毒付くと言うのが定番の流れになっている。

 暴れ出した彼を御することが出来るのは宮本だけと言っていいだろう。
 見た通りに粗暴な暴力の塊のようだが、ルートによっては意外な一面を見せることも。

 『極』「百点塾」、「イノチ」に登場。
 やはりダチの宮本と連れ立っての登場である。

 「百点熟」。
 新聞部部室の隣室である「写真部」の部室で相方の「宮本健史」に付き合って「朝比奈慎也」部長相手になんらかの話をしていたようだ。
 しかし新聞部部室では、新堂さんが失礼な態度をとった主人公を怒りに任せてぶちのめしたことによって騒音が発生する。

 その騒音にキレて斉藤が壁をぶち壊したことで新聞部部室と隣室は物理的につながってしまい、同時に行われていた「七不思議の集会」に三人が乱入する形になってしまった。そこで斉藤は全国区のボクサーである新堂誠と目が合ってしまう。
 双方はキレっぷりがどこか通じるものがあったのだろうか、そのままふたりして競争で主人公をボコりまくるという流れになってしまうのだった。夢のクロスオーバーといえば聞こえはいいものの、無礼の代償というにはあんまりなオチであろう。

 「イノチ」。


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斉藤先生(さいとう-)

  • 登場作品:学怖S
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 教師
  • 関連人物:荒井昭二《噂》,山辺《犠牲者,復讐》
  • 関連用語:人食い向日葵《犠牲者》
 荒井一話「校内に巣くう地縛霊」に登場。
 「花壇」に生えた謎の植物「人食い向日葵」を使って悪戯を目論む生徒・山辺の罠にかかり、殺されてしまった教師。ちなみにソフトボール部の顧問で、花壇に呼び出すための口実もそれを利用したものだった。

 山辺にとっては担任の先生だったが、彼は先生のことを嫌っていたようで彼の死を気に病むこともなく、以後は調子に乗って犠牲者を多数生み出すことになる。が、彼をはじめとした犠牲者達の怨念は向日葵に宿り、見事山辺に復讐を果たした。
 御祓いによって後の事件は途絶え、その年に向日葵もすべて枯れるのだが人食い向日葵の種は今もどこかに残っているらしい。そうすると、彼の怨念はどこか別の場所で芽吹く可能性が生まれたことになる。

 当初荒井さんが掲げていた「地縛霊」と言う題目からは離れるようだが、当初は土地に凝っていた負の念が拡散することになったと考えれば、事態は悪化していると言える。
 地縛霊が「都市伝説」の感染性とは無縁のものであると考えると、これは噂の発展の構図を示しているようで実に興味深い。 


佐伯(さえき)

  • 登場作品:殺クラR
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:緒方麻紀《いじめ》
  • 関連用語:
 『殺クラR』の前哨戦に値する第一話~第二話に登場するいじめっ子。
 「緒方麻紀」とは二年の時のクラスメートで取り巻きたちと陰湿ないじめを行っていた。

 いじめの理由が優等生でいつでも笑顔でいる麻紀が気に入らないからなど、自己中心的で非常に嫌ないじめっ子である。
 どうしても麻紀を動揺させたい彼女はいじめの延長線のつもりで殺人クラブの噂を利用し、傷害罪や殺人未遂などの犯罪行為にまで及んだ。
 麻紀が実は腹黒いのではないかと勝手に思い込み殺害を図る辺りも含め、シリーズでは珍しくない典型的な独りよがりのサイコキャラと言える。

 だが遊び半分で殺人クラブに足を突っ込んだのが運の尽き。
 取り巻きは殺人クラブの初代総長であった「緒方京子」に殺され、彼女自身も殺人クラブのメンバーになった麻紀に制裁を与えられ死亡する。
 相変わらずこんな人間ばかりでこの学園は大丈夫なのかと、毎度のことながら言わずにはいられない。


佐伯邦彦(さえき くにひこ)

  • 登場作品:特,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 二年C組
  • 誕生日:9月10日
  • 身体: 164cm/52kg ♂ O型
  • 趣味:バラエティ番組鑑賞
  • 好きな/嫌いな食べ物:ピーマンの肉詰め、梅干し/カニクリームコロッケ、コールスロー
  • 関連人物:細田友晴《友人,クラスメート》
  • 関連用語:落語研究会《所属》,トイレ,いじめ,トーマ君
 『特別編』細田シナリオ「トイレの友情」に登場。
 一年生の頃、当時も友達がいなかった細田さんにとって唯一の友人だったクラスメート。
 細田さん目線によると彼と自分とは似たような陰気な性格をしていた上に、トイレ好きという趣味まで共有できるなど、至って親密な仲だったようである。

 ある日、佐伯くんは一緒に夜明けまで過ごすことが出来た友と永遠の友情が約束されるという「三階外れの男子トイレの一番奥の個室」に挑戦しようと細田さんのことを誘う。前提である深夜十二時というハードル高めのスタート時刻にはじまり、最初の数時間は身の内を打ち明け合うなごやかな時間を過ごせた二人だったが……。

 例のごとく顛末はろくなことにはならず、佐伯くんは命を落としてしまうのだった。
 ただし、この佐伯くんには「裏」があることの方が多い。
 その場合はいつにも増して坂上くんを本人の同意なしに友達に認定する細田さんの言動と、霊感を強調し、向こう側の世界と親和性があるという前振りがこの上なく効いてくる。

 その場合の佐伯は細田さんが「トーマ君」という真の友人を得るための引換券扱いである。
 もちろんいじめっ子に復讐するために、友達と思わせた相手の信頼を裏切るなど言語道断かつ、自業自得でしかない行為である。細田さんを罠に嵌めるべく生理的に嫌いなと思いながら付き合った佐伯の根性も、別に努力として認められる類の努力ではないだろう。

 なお、本当に佐伯くんが細田さんに友情を抱いていた展開は存在するものの、その場合はなんともやりきれない結末を迎える。この場合は誰が悪かったとも言い切れない。
 『特別編』には細田さんの友達が登場することが多いのだが、生身の人間に関しては基本的に過去の話の範疇を越えて現在まで生き残ってはくれない。その流れには彼も逆らえなかったようである。 

 『鳴七』「トイレの友情」ほかに登場。
 やはり細田さんのクラスメートであり、語りにのぼった場合は友人のひとりとして数えられる。
 実際のところは劣等感と嫉妬が渦巻く鬱屈した内面を抱えており、人間関係にはかなり不得手な方だとされる。

 また、細田さんのことも消去法で友人として選んだ節がある。
 そのため表面上は穏やかに付き合っているのだが、蓋を開けてみれば双方の認識にはかなりの隔たりがあったりする。


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 「トイレの友情」。


 (執筆者募集中) 




 (執筆者募集中) 


 「殺人クラブ」。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「佐伯邦彦」はその中のひとりであり、「落語研究会部室」にいる。


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佐伯裕也(さえき ゆうや)

  • 登場作品:特
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 誕生日:4月15日
  • 関連人物:荒井昭二《クラスメート》
  • 関連用語:屋上,自殺
 『特別編』荒井シナリオ「誕生日プレゼント」に登場。
 彼には一つの執念に近い想いがあった。それは「人が高いところから落ちて死ぬのが見たい」というもの。
 しかも転落死体をただ見たいのでは決してなく、「落ちている最中に人が何を考えてしまうのか」という少々特殊な内容であった。

 [その際に荒井はいろいろな死に様を提案して当てようとするのだが、どれもこれも猟奇的なものばかり。佐伯よりは荒井の方が異常に見えてしまう。
 さらに彼の思想については「理解できかねない」「どうせ死ぬところを見るならもっと刺激的で生々しい方がいい」と切り捨てている。とはいえ友人となっているのだが。]

 彼は授業中にも窓から見える建設中のビルを眺め、人が落ちる光景を願い、観察しようとしていた。しかしそうそう転落事故など起きようがない。
 そんな中、彼の父親がその現場で働くと聞き、彼は最悪で最適な標的を見つけてしまう……。

 タワーやビルなどの高所に上ったとき、「ここから落ちたらどうなるだろう……」という想いは誰しも抱くものであろう。
 しかしそれらへの興味のために誰かを犠牲にしようとし、ましてや自分を育ててくれた父親を手っ取り早いからと標的にする彼の精神には異常さしか感じ取れない。

 結果的に彼はその思いの答えを手に入れ、もしくは手に入れる前に改心する。
 どちらにせよ彼は「罪悪感」を感じ、理解しているようである。そうでないと、彼は単に「人の心を持たない化け物」として処理されてしまうであろう。

 [一方で荒井さんはそれらの行為をとがめもせず、むしろ資料を与えて助長すらしている節もあった。
 こちらはもはや「手遅れ」かもしれない。]


佐伯美子(さえき よしこ)

  • 登場作品:AMC2,追加
  • 種族:悪霊
  • 職業:鳴神学園高校 二年生
  • 関連人物:弁当ババア《母》,金本俊介
 『AMC2』「弁当ババア」『追加版』「弁当ババア(改訂)」に登場。
 「1995」年度から数えること三〇年くらい前に鳴神学園に在籍していた女子生徒で、現在は都市伝説的存在と化している「弁当ババア(本名不明)」の一人娘。不登校という言葉への理解が進んでいなかった時代の生まれだった。
 よって、それが仇になって母娘ともども悲惨な最期を遂げることになってしまう。

 親子の仲が決定的に引き裂かれた理由なのだが、娘の不登校に業を煮やした母親の策が裏目に出たためである。
 なんでも母親は佐伯さんに一服盛って眠らせて教室に運び、そこで目覚めを待つという無茶な手段を取ってしまったらしい。

 が、そんなことで事態が解消するはずもなく目覚めて現状を理解した佐伯さんは即座に狂乱状態に陥り、逃げ出した果てにあった体育倉庫に閉じこもってしまう。そこで親娘は二週間ほどは来るな出ないの押し問答を続けた。
 そして自分がしたとを理解した佐伯さんの母親は謝りながら彼女の娘である弁当を倉庫前に運ぶという日常を繰り返す。

 しかし、時遅く。
 母親に何を告げることもなく無言のまま佐伯さんは首を吊って自ら命を絶ってしまったのである。
 以後、佐伯美子さんは体育館倉庫に囚われる霊魂と化し、死んでもなお運ばれてくる弁当という形で母親の愛情と束縛を受ける形となっているようだ。

 それから時は流れ、廃屋と化した倉庫にいた彼女の下に「金本俊介」という男子生徒が訪れる。
 暗く狭く恐ろしい倉庫の中で一夜を過ごした金本は佐伯さんと会話を交わし、母親に抑圧されている現状が共通するとしてシンパシーを覚えていく。そして佐伯さんは金本に母親を殺してほしいと願うのだった。

 が、「佐伯美子」の霊は確かに存在したものの、それとは無関係な「悪霊」の一部と化してしまっており、母親を殺してほしいという言葉は彼女の真意とはいいがたかったようだ。
 弁当ババアの存在とその愛情があったため、個にして群体でもある悪霊は佐伯さんのことをギリギリ取り込めずに歯噛みしていたんだとか。愛情と束縛は紙一重であり、母は強いが同時に恐ろしい存在なのだと示唆する話ではある。

 なお、この名前も定かではない悪霊は無数の霊を己の糧として取り込んでいるようである。
 心が弱ければ生者ですら取り込めるようで金本が母親を手にかけてしまった場合は、彼のことすら吸収している。

 ただし『追加版』では金本は佐伯さんの「(金本自身の)母親を殺せ」という誘惑を何とかはねのける結末が用意された。
 この場合の佐伯美子は鳴神学園に巣食う報われない霊のひとつとして自立しているが、弁当ババアの霊と共存しているようだ。
 ふたつのエンドの設定が同時に採用できるかははなはだ怪しいのだが、死してなお健在な母親の愛情あってこそ佐伯美子は気ままに振舞えていると考えてしまうと、なんとも皮肉な話といえるだろう。


佐伯力図(さえき よしのり)

  • 登場作品:新生,荒井,鳴七
  • 種族:人間
⇒「カズ


早乙女弘樹(さおとめ ひろき)

  • 登場作品:特
  • 種族:人間,幽霊
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 誕生日:4月28日
  • 関連人物:荒井昭二,岩下明美《噂》,栗原幸大《部活,親友》,中間正平
  • 関連用語:ラグビー部《所属》,手《犠牲者》,自殺
 『特別編』荒井、岩下シナリオに登場。
 『特別編』に頻出する複数シナリオに跨いで登場するキャラのひとり。
 ちなみに彼の登場する両シナリオだが、同一の周回で両立させることが可能である。

 ただし同一人物であると仮定すると矛盾ばかりが発生し、特に語り部同士で補完の説明がされるというわけでもない。
 同じ立ち絵を採用した同姓同名の別人として捉えた方が賢明だろう。

 荒井シナリオ「ラグビー部の話」。
 かつて「ラグビー部」で「栗原幸大」と共に名を馳せていた部員。
 ラガーマンらしく長身でがっちりとした体格の持ち主で、敵目掛けて果敢に攻め込むため、チームでも屈指の身体能力を誇っていた。
 ポジションはフォワード、その中でも花形とされる右ロックを担当している。

 ただレギュラーの座は動かなかったものの二人とも成績は悪く、大雑把な性格だった。
 そのため、顧問からは今度赤点を取ったら試合に出さないと灸を据えられてしまう。
 行き詰った彼らはテスト用紙を盗み出そうと深夜の学校に張り込むのだが……。躊躇する栗原を尻目に彼はずんずんと進んでいく。それが悪夢への入り口とも気付かずに。

 邪な心の下には厄介な霊たちが集うのか、彼らは謎の霊に襲われ行方不明になってしまう。もしくは、例のごとくちょっとひねた選択肢となる荒井さんの質問によって彼の前には友人を見捨てるか助けるかの二択の運命が待っている。

 因果応報は世の常。見捨てた場合、彼は栗原に憑かれ、かつての面影を失ってしまう。
 助けることが出来た場合、彼らは二人の友情を深め合い、今はプロとして活躍する夢を叶えている。ただ、あの時襲い掛かった白い手達は今も彼らに付きまとっているのだが。
 相手チームへの妨害を恩恵と災厄のどちらと言うかは微妙だが、彼らは拾ってきてしまった。単純な善悪でなく、彼らの因業を示唆した嫌な結末と言えよう。
 結局テストは散々だったが、それとは別に忍び込んだことへの反省は無いのだから。

 岩下シナリオ「命の値段」。
 命の値段を知るために実際に売ってくれる人間を探し始めた「中間正平」だったが、そこへあっさり現れたのが早乙女である。

 「俺の命をいくらで買う?」
 考えていなかった中間も大概だが、そんなこと言われて急に答えられるはずもなく言葉に詰まってしまう。

 なおも詰め寄る彼に怖くなった中間は後に彼がこの世のモノではないことを知って、考えを改めることになる。
 と、ここまでで終わればまぁなんとなくいい話ではある。
 しかし、岩下さんは別に彼は中間の心変わりを期待して現れたわけではないのでは? と指摘しており、教訓話では片づけられない後味の悪い話の〆方となった。


早乙女麻耶(さおとめ まや)

  • 登場作品:AMC2,特,追加,荒井,鳴七
  • 種族:人間→???
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 誕生日:3月6日
  • 関連人物:曽我秀雄《恋人》
  • 関連用語:秘密の地下室,人形
 『AMC2』『追加版』「正しいフィギュアの作り方」「正しいフィギュアの作り方(改訂)」に登場。
 一年次に荒井さんと曽我くんのクラスメートだった女生徒。
 明るく笑うさまと大きな瞳が印象的で、クラスでも人気のある女の子だったが、曽我くんが目指す「生ける究極の芸術」の素材にされてしまう。
 しかし「秘密の地下室」に拉致監禁された彼女は「ストックホルム症候群」からか、曽我くんのことを心から愛するようになり、曽我くんによる激痛を伴う処置も命を保ったまま耐え抜いた。

 しかし、芸術として完成したその姿は早乙女さん本人が拒んだことから荒井さんが見ることは叶わず、プレイヤーもまた知る機会はとうとうなかった。
 今は、姿を変えた曽我くんと共に生きていると荒井さんは信じているようである。

 『特別編』「生ける人形」に登場。
 やはり曽我くんのクラスメートにして最愛の女性である。
 詳細は「曽我秀雄」の該当する節を参照のこと。
 ⇒「曽我秀雄#特別編

 『追加版』「旧校舎探訪-脱出-」に登場。
 「秘密の地下室」で蝋燭を手に取った際に姿を現したこの世ならぬもののひとり。
 新たに立ち絵が用意され、事件の当事者として当時の心境を語ってくれる。

 早乙女さんは「監禁」されたうえで曽我くんによって人知を越えた芸術作品に作り変えられたはずだが、ここで見せる姿はあくまで普通の女子生徒としてのものである。


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 『荒井』「無理にでも一緒に行かせる」ルートに登場。
 荒井さんが牧場に到着した際、闇夜にうごめく謎の影を見ているのだが、これは曽我くんの手によって姿が変革したままの「早乙女麻耶」さん本人だと思われる。直後、再会した曽我くんの口から補足が入るのでほぼ間違いないだろう。

 言うならば存在が示唆・言及された程度の扱いであるため、彼女自身の出番といえるかははなはだ疑問だが、曽我くんが早乙女さんのことを深く愛していることはやはり間違いないようだ。
 そんなわけで曽我くんは早乙女さんに相応しい新天地を作り出すべく人の姿に戻って何やら目論み暗躍していたようだ。
 その総仕上げとして、最大の理解者の荒井さんを呼び寄せて成果を開帳したというのがこのルートの流れとなる。

 『鳴七』「牧場奇譚」、「正しいフィギュアの作り方」に登場。


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酒井聖美(さかい きよみ)

  • 登場作品:特,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 誕生日:5月3日
  • 関連人物:岩下明美,倉田恵美《噂》,名倉寧々《親友》,飴玉ばあさん,宮田弘江,立花ゆかり
  • 関連用語:市松人形,エレーヌ《所有》
 『特別編』岩下シナリオ「血を吸う人形」に登場。
 不気味な「人形」を所有している女子生徒。
 ぱっと見、呪われているようにしか見えない人形のことは心底大事にしているらしく、人形の絵を描いたスケッチブックを学校に持ち込むほどだった。

 そんなある日、呪いの人形に興味を惹かれた物好きな女子生徒「宮田弘江」さんに話しかけられた酒井さんは、彼女を自宅にお招きするのだが……。
 酒井さんが所有している「市松人形」の桃ちゃん、もしくは西洋人形「エレーヌ」は本当にヤバいブツだったりする。

 そして、そのどちらのケースでも酒井さんは程度は異なるものの、人形に魅入られていたと考えられる。
 また、血を人形に吸わせるという行動も自身と他者という違いこそあれ、同じである。
 ただし、お披露目するのでも前者の場合は単に自慢の子をほかの人に見せたかっただけであるし、後者の場合は他者を犠牲にしようという計算が働いていたと推測できる。このことから逆算して酒井さんの人となりについて思いを馳せてみてもいいだろう。

 『鳴七』「血を吸う人形」、「倉田恵美の飴玉ばあさん」ほかに登場。
 『鳴七』での再登場に伴い他のキャラクターの要素・エピソードを折衷し、習合することで大幅にリファインが施されたキャラクターのひとり。今回はOGとしての登場であり、過去に起こった事件の当事者として噂にのぼる形で言及されている。

 彼女に集約されたキャラクターは「片桐里子」、体型や性格や交友関係などはむしろそちらの方に準拠している。
 ただし、親友のポジションに就いている「名倉寧々」さんは明らかに人の域を脱しており、善悪で語れるような人物ではない。

 ただし、酒井さんは名倉さんの美貌に惹かれる一方でその比較からコンプレックスを抱くことはあっても、決定的なところでは自分を見失うことはなかった。
 名倉さんに見込まれたのは、そんな彼女の心優しさと心の強さを見込まれてのものだったのだろう。在学中は太っちょだった酒井さん自身も、卒業後は見違えるように痩せて美人になり、名倉さんをパートナーとして事業を行っているのだとか。

 一方で、酒井さん自身の固有エピソードや名倉さんが裏でやっていることを鑑みると、常人が立ち入ってはいけない領域へと羽ばたいてしまっていることも確かなのだろう。あなたがただ人に過ぎないのなら……知らぬが仏である。

 「血を吸う人形」。
 基本的に『特別編』版とシナリオに相違はない。  


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 「倉田恵美の飴玉ばあさん」。
 「片桐里子」の要素・エピソードを踏襲している。
 ただし前述した通りに彼女の親友は一般人の「原恵理子」さんではなく「名倉寧々」さんである。
 そのため、彼女が飴玉ばあさんにもらった飴玉に託す願いは必然的に名倉さんと絡めたものになる。

 そのため時にはめちゃくちゃいい話で終わってくれるし、時にはめちゃくちゃトンデモ展開になってしまう。
 一応、本家の原さんの末路を辿りそうになることもあるが、その場合は名倉さんがフォローに回ってくれるので一安心である。


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坂上修一(さかがみ しゅういち)

  • 登場作品:学怖,学怖S,四八,VNV,AMC1,AMC2,学恋,学恋2,特,学恋V,小学怖,月下美人,極,ドラマCD,新生2,秘密,ナポin,荒井,鳴七,稲in
⇒「坂上修一

坂上修子

  • 登場作品:特,鳴七
⇒「TSF


逆さ女(さかさおんな)

  • 登場作品:学怖,学怖S,四八,最終,小学怖,鳴七
  • 種族:妖怪
  • 関連人物:荒井昭二,倉田恵美,新堂誠,安西真奈《噂》,袖山勝,坂上修一,穂波暁子,高坂まどか《犠牲者》
  • 関連用語:宿泊施設,保健室《出没》,焼却炉
 常に逆さ吊りになっている女の妖怪。出会った人間にあの手この手でなんらかの約束をするように迫ってくる。
 この際に結ばせる約束は多くの場合で「自分と会ったことを誰にも言うな」という内容で共通している。
 約束をさせるや今度は屁理屈だろうがなんだろうが、あらゆる手口手管を使って約束を破るように仕向けてくる。

 そして、いざ対象が約束を破ったと見ると、唐突に現れて標的を殺して去っていく。
 そんな彼女の語調は、昔気質の姐さん口調(もっと言うなら山姥を連想させる)恐ろしげなものでシリーズでは一貫している。

 彼女が初登場したシナリオには同じく「女」と付く怪異「芋虫女」がおり、分量や扱いとしてはそちらの方が上なのだが後のシリーズでは逆さ女の方により多く注目の機会が巡ってきている。

 行動原理が明確なことと(恐ろしさという意味では)キャッチ―な容姿、俗にいうみんなのトラウマとして語り草になったことが幸いしたと思われる。
 (※ただし芋虫女は性質がわかりにくいだけで、不気味さでは逆さ女に匹敵または凌駕する。)
 いずれにしても作品外における知名度として逆さ女が「飴玉ばあさん」などの有名怪異に並ぶことは確かだろう。

 ちなみに「宿泊施設」のどのベッドでも出現すると語られていた通り、元々場所を選ばない妖怪としての性質は強かった。
 そのため、後続作品では本当に様々な場所に出没する。これもまた彼女の脅威として位置づけられるポイントだろう。

 ちなみに来歴まで語られているにかかわらず、逆さ女が恐ろしいと評されるのはそのグラフィックが原因という説が有力である。その仮説を証明するようにグラフィックに少々の現実味が加わった『学怖S』でやや軽減されたという意見も強い。

 ただし、あくまで相対的な意見に過ぎないということを留意する必要もあるだろう。
 インパクトだけと言われながらも、一見公平な「ルール」を手前勝手に押し付けた挙句、理不尽に命を奪ってくる性質はやっぱり恐ろしいと言わざるを得ない。

 『学怖(S)』荒井四話「宿泊施設にある謎の4番ベッド」に登場。
 初登場作品。
 彼女にとっての獲物者枠として登場する「袖山勝」が遭遇した女の怪異である。
 至近距離から一部始終を目撃していた荒井さんの視点から彼女の理不尽さがあますことなく語られる。

 袖山くんは彼女の手管に引っ掛かり惨殺されたあげくに「焼却炉」に投げ込まれてしまうのだった。
 このように思いっきり物理的手段で殺していく豪快な妖怪だが、その出生には哀しい(?)秘密が隠されていたらしい。荒井さんが発見した体験者が残した資料を読むと以下の事実を明らかとなる。

 彼女が生まれて間もない頃、彼女の母に当たる妖怪が父の妖怪を殺してしまった。
 それを見た逆さ女に母妖怪は「父親は約束破りだから殺した」と言い含めたらしい。

 彼女は焼き付いてしまったその考えを元に、自分の殺人を正当化している。
 逆を言えば、その前提さえなければ殺人を行うことが出来ないということになる。

 よって、運悪く出会ってしまっても絶対に約束をしないことが肝要である。
 なにせ彼女は約束を破らない相手には何をすることも出来ないのだから。

 荒井さんにせよ、プレイヤーにせよ、目撃者にトラウマを植え付けてくる彼女本人が幼少期のトラウマの犠牲者だったという構図は実に皮肉と言わざるを得ないのかもしれない。
 また、これらの事実からは逆さ女という妖怪は一族であり、複数体存在するということも明らかとなる。

 『四八』神奈川シナリオ「来訪者」、千葉シナリオ「学校であった怖い噂」に登場。
 インターネットの普及によって、逆さ女のショッキングな画像が出回ったということ、時間経過による人伝えの話の普及によって当時から逆さ女の知名度は高かった。
 作中の露出度はさほど高くないものの、印象的なところで姿ないし名を知ることができる。

 神奈川シナリオ「来訪者」。
 謎の男「鯖徒瑠陀吏雄」との面接試験で提示された議題(選択肢)のひとつとして「逆さ女」の話題が上る。

 千葉シナリオ「学校であった怖い噂」。
 荒井さんを含む特定の人物七名から送られてきた怖い話を集めると逆さ女に会える。
 荒井さんが送ってきた逆さ女にまつわる怪談の内容は「夜、寝室に一人で寝ていると逆さ女が現れる」→「私を見たことを誰にも言うなという約束を結ばせられる」→「毎晩、確認に現れる」。

 と、言うもの。当然ながら約束を破ると殺されてしまう。
 ただ、別に坂上くんは逆さ女本人と約束をしたわけではないく荒井さんとの間に結んだ(と解釈できる)「壁新聞に載せないでほしい」というお願いを破っただけなのに坂上くんだけが長い髪の毛によって締め殺されてしまうというオチである。

 論理構成が破綻しているというか、理不尽にもほどがあるとツッコみたくもなるかもしれない。
 [それでも逆さ女の中では筋が通っているのかもしれないが。] 
 ちなみに劇中では、遠景の写真も使われており至近距離からの顔面ドアップではわからなかった半身が判明した。どうやら妖怪らしく着物を着ているようだ。

 『探偵局』第十五話「深夜の学校」に登場。
 深夜の学校に忘れ物を取りに行った「賽臥隆恭」たちが教室の天井に張り付き上から血を滴らせる女の化け物を目撃した。おそらくは同種の妖怪と思われる。
 ただし、彼女のことを目の当たりにした一同は会話をする間もなく一目散に退散しており、彼女が逆さ女であるかの裏を取ることはできなかった。彼女が逆さ女であると仮定すれば対処としては間違いなく大正解なのだが。

 逆さ吊りの原理が明らかにされたのかもしれないが、上記三作品で彼女が見せた直立した姿勢を考えればやはり不明と言わざるを得ないだろう。また屋外ではいったいどうしているのかという疑問も残る。
 なお『学怖(S)』における屋外に現れるシーンだが、これは背景写真が校庭のものだったというだけで地の文に屋外だったという記述はないため実は屋内だったという線もなくはない。[やはり空中浮遊した上で体勢をさかさまに入れ替えているのだろうか?]

 『VNV』「恵美ちゃんの坂上君観察日記」に登場。
 倉田恵美が「七不思議の集会」の語り部のひとりとして呼ぼうとする暴挙に出た。
 宿泊施設の天井に住んでいて、ヤモリみたいにぶら下がっている「女の子」と言われている。

 ただ、天然ボケにもほどがある倉田恵美の提案に対して、そんな人間が存在していてたまるか!? という当然のツッコミを押しの弱い坂上はしてくれない。

 とは言え、扱いとしては小ネタ気味に軽く言及された程度である。
 その一方で、いままでの作品では妙齢の女性として登場した逆さ女の一族に少女がいたと解釈できる、どうやら彼女の名字は「吉田」と言うらしい――などと、後世への示唆に満ちたエピソードであることも確かである。

 ちなみに、このシナリオは『AMC1』への前哨を兼ねているのだが、実際に怪異を含む校内の奇人変人を集めた『AMC1』「新語り部集結ルート」に「逆さ女?の吉田さん」が出席者として採用されなかったのは幸か不幸か災いか。

 『関西版』。
 どこぞの文芸部員っぽいキャラになって「スクール・デイズ」に登場していた。うわ、萌え


 『最終版』追加シナリオ「生徒編」に登場。


 (執筆者募集中)  


 『小学怖』月曜日「学園七不思議」に登場。
 校内の怪談事情に詳しい「安西真奈」の口から新旧と初出既出を織り交ぜた様々な鳴神学園の怖い話が紹介される中で「保健室に現れる逆さ女」がいの一番に挙げられる。

 『小学怖』は構成上「放課後」に「無限廊下」や「飴玉ばあさん」などの往年の名エピソードが語られるようだが、おそらくは「逆さ女」もいずれかの巻のラストを飾ることになったと推察できる。

 もっとも、各エピソードはそっくりそのままとは行かずにアレンジが施されている。
 逆さ女がどこに現れてもおかしくないという性質は今までの登場作品でお察しの通りである。
 [わざわざ「保健室」に出現場所を区切った逆さ女がどういった理不尽さを備えているかに興味が引かれるかもしれない。]

 『鳴七』「謎の四番ベッド」に登場。
 「宿泊施設にある謎の四番ベッド」がなんと新堂さんの持ちネタに。
 といっても、運動部の話なので何も不思議な話ではない。逆さ女も例に漏れず、新堂さんの口から語られる。
 逆さ女といえば[「不思議な話」ではなく]「残酷な話」なのだが、この選択肢はなんと三話目か五話目に新堂さんを選択した時にしか出現せず、プレイスタイルによってはなかなかお目にかかれない。

 『学怖』よりそのインパクトのあるグラフィックで名が広く知れた彼女ではあるが、実は結構レアな妖怪なのかもしれない。
 現に新堂さんは面倒を見ていた「袖山勝」から話を聞くまで彼女の存在を知らなかったことから、部外ではあまり有名ではないことが推察される。

 例のごとく袖山くんを葬り去った後、様子を見ていた新堂さんの前に現れるが、流石は語り部といったところか。
 新堂さんの機転により両者WIN-WINの解決策をとることにもなったりする。
 [ふたりは良くても鳴神学園に通う者たちにとってはロクな展開じゃないことは確かである。]

 ちなみに今作の逆さ女は元々人間だったようだ。荒井さんが語るには、彼女はクラスメイトと交わした大事な約束が破られ、復讐のために皆殺しにしてしまった。その後、宿泊施設で自決したことにより、怨念が妖怪になりよく出没するんだとか。
 幽霊と妖怪の区分はわりとあやふやなものだが、今回の逆さ女は地縛霊のように場所に縛られる性質を持っている。
 そのため宿泊施設の外から出ることは叶わなかったようだ。そしてほかにも本作固有の性質を持っており……。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 今作の逆さ女なのだが、人を殺す妖怪に留まらず人を食べる妖怪でもある。
 外見上は足がなく虚空から生やした身体が蛇のように長く伸びている。人を喰らう手段も丸呑みなのだから徹底している。
 今作中は室内でしか現れなかったが、何もない空中から突如として発生しうるなら屋外でも問題なく吊り下がることができる。唐突に現れてもなんらおかしくない。ならばとグラウンドに現れた逆さ女の謎が何十年ぶりかに氷解した方もいるかもしれない。

 そして最大の相違点。
 単一個体と思われるこの逆さ女が約束を破った者を(食い)殺すところは同じだが、別に約束を結ばなければ、逆さ女に殺されるための条件を満たさず、殺されることはないという理屈は今回に限っては働かない。
 対象が約束を結ばないなら、逃げたり叫んだりといった素振りを見せただけで即座に殺しにかかってくる。

 要するに、本作の逆さ女は対面してしまった際に約束を結ばなければその場を逃れることはできない。
 荒井さんのように逆さ女について体験者(≒生還者)経由の事前知識を持っており、約束を結ばなければ助かるという発想に至った人間イコール「死」の構図になるのが今回の逆さ女の悪辣な点である。

 約束を結んだあとはそれなりに筋を重んじてくれるようだが、やはりダマしにかかってくる。
 それと前述した通り『鳴七』版逆さ女は宿泊施設以外に現れないのが唯一の救いだったのだが。
 保身に走った新堂さんが、逆さ女とある契約を結んだ場合。この妖怪はさらに悪質な方向に変化することになってしまう。 

 霊の性質も持っているらしい逆さ女は、新堂さんに取り憑くことで学園中、いや新堂さんが行動する範囲でどこまでも移動が可能になってしまった。しかもそれによって、より多くの人間を食べられるようになった逆さ女は増殖してしまうのだった。

 一人では抱えきれなくなった新堂さんは、日野さんを逆さ女の媒体に任命しつつ、集会にて逆さ女の媒体を探すことに……。
 人間は食われる一方であり、逆さ女に会って逃れる方法こそあれど滅する方法は発見されていない。鳴神学園が逆さ女に巣食われるのも、時間の問題なのかもしれない。


 [「逆さ女」がどう着想されたかは定かでない。
 しかし、伝承を追っていけば「逆さ」と言うモチーフは大きな意味を持っている。葬式で広く行われている「逆さ屏風」や招かねざる客にお引取り願う「逆さ箒」など、民間伝承レベルでもありふれていた事象である。

 そのものズバリ「逆柱」と言う妖怪も存在する。
 いくらなんでも逆さ女をそこに当てはめるのは無理がありそうだが、実はそのものを言い当てた「約束」を破る逆さ姿の女幽霊の話は存在する。
 江戸時代中期の怪談集『諸国百物語』四巻に収録されている「端井弥三郎 幽霊を船渡しせし事」がそれである。

 また、現実では東京都渋谷区の「千駄ヶ谷トンネル」や静岡県浜松市の「旧本坂トンネル」などには逆さまになってドライバーを脅かす女の幽霊の目撃例があり、こちらから影響を受けたという線もなくはないかもしれない。]


坂田守(さかた まもる)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間?
  • 職業:俳優
  • 関連人物:真田泰明《仕事》,片桐智紀
 泰明二話「配役をめぐる怨執」に登場。 
 元アイドルで人気上昇中の俳優(グラフィックはあまりアイドルっぽくはないが……)だったが、中堅実力派俳優「片桐智紀」に決まっていたドラマの主役をスポンサーの意向により彼に変更され、代わりに敵役が配役された片桐と共演する羽目になった。
 彼が登場するシナリオは複数の視点から成り立っており、泰明さんから提示される質問として「片桐智紀」と「坂田守」、どちらが好みか聞かれる。その際に坂田を選ぶと彼視点の話に分岐することになる。

 片桐視点だと得体の知れない怪物のように捉えられている彼だが、坂田自身は主役の座が転がり込んできたことを申し訳なく思っていた。そのため片桐に卑屈なくらい気を使っていたようだが、どう転ぼうと彼にまともな結末が訪れることはない。


 (執筆者募集中)  



佐久川太一(さくがわ たいち)

  • 登場作品:レンタル
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 一年生
  • 関連人物:帆加辺春生《親友》,佐久川英太《父》,佐久川昌美《母》
  • 関連用語:自殺
 『レンタル家族』「自殺志願」に登場。
 ハロー君こと「帆加辺春生」の親友。
 しかし、その仲はどこかよそよそしい。
 その理由は幼稚園時代にハロー君を守るために太一が起こした事件によって望まぬ別れをしてしまったため。
 一番大切な時期に親友が離れて言ってしまったことを春生は「裏切り」と捉えてしまった。鳴神学園で二人は再会するが、関係にどこかわだかまりを残していた。

 当時はやんちゃな子どもだった太一は穏やかな少年となる。それから入学後しばらく経ってふたりは再会を果たす。
 それからは、当時は泣き虫だったが今はどこか擦れた方向に成長を遂げたハロー君と(表面的には)従属した付き合いを続けていた。

 しかし、ハロー君がどっかから幼女拉致監禁して来た際は激怒して殴りかかるなど、正しいことの何たるかを理解した漢っぷりは健在である。

 そのまま彼を見捨てるかと思いきや、親友を納得させるため、心中の付き添いまで務めた。

 死ぬ気も死なせる気もなかったようだが、結果は二人して意識不明。生死の淵をさまようことになってしまう。
 ここまで彼は一切見返りを求めていなかったが、ラストで親友はその恩に報いた。
 名誉も何もかも投げ捨てて眠る彼に呼びかけたのである。その甲斐あってか彼は意識を取り戻す。

 その後、エピローグでは親友から生き別れの父を紹介されている。

佐久川英太(さくがわ えいた)

  • 登場作品:レンタル
  • 種族:人間
  • 関連人物:佐久川太一《息子》,佐久川昌美《妻》
 『レンタル家族』「自殺志願」に登場。
 佐久川太一の父親で、とても穏やかな人柄をしている男性。
 ハロー君こと「帆加辺春生」へのいじめに反撃したことで太一が退園させられる羽目になった事件で理不尽なことであっても頭を下げないといけないこと、だけど自分は息子のことを信じているのだという確かな姿を示す。
 当然ながら当時の太一からは反発を喰らったものの、高校生となった太一の姿を見ればその影響の強さは一目でわかるだろう。

 また、実際にはハロー君が仕掛けた「心中」によって息子を失っても、昏睡状態になったハロー君の回復を願い続け、彼の将来のために反論せずに口をつぐみ続ける。その生き方は不器用なほどに愚直であるものの高潔極まりないものだった。

 ただ、そんな彼ら夫妻も相次ぐ心ない中傷に精神が限界を迎えつつあった。
 生と死の狭間の世界「ステップ・オブ・ヘブン」からハロー君が自分のやったことの意味を知らされる中で、このまま何事もなければ佐久川夫妻もまた息子の後を追って自殺することが「ミスター・コート」から示唆されている。

佐久川昌美(さくがわ まさみ)

  • 登場作品:レンタル
  • 種族:人間
  • 関連人物:佐久川太一《息子》,佐久川英太《夫》
 『レンタル家族』「自殺志願」に登場。
 佐久川太一の母親で、作中では夫の影に隠れて目立った活躍は見せないが夫とともに世間からのいわれなきバッシングに耐え続けるなど、高潔で強い女性であることがわかる。もちろん息子を失ったことへの悲しみは隠せなかったものの……。

 佐久川夫妻が何より願ったことは残されたハロー君に目覚めてほしいということで、その思いこそが生と死の狭間でかろうじて彼を生かしていた。
 ここまで聞くとお人良しも通り越していると思われるかもしれないが、因果は回る。ハロー君が自分の犯した罪と向き合い、世界の間も回って晴れて目覚めて真相を告白したことで息子の命も名誉も回復することになる。
 その後の夫妻の動向は不明なものの、一家の人柄を考えればこれから厳しい人生を歩むことになるだろうハロー君にそれでも温かく接してくれることは確かと断言できる。


佐久間昇(さくま のぼる)

  • 登場作品:学怖,学怖S,四八
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:新堂誠《噂》,飴玉ばあさん《犠牲者》
 新堂二話「飴玉ばあさん」に登場。
 飴玉ばあさんの飴が欲しくてたまらない男子生徒。
 だが、わがままで自己中心的かつひねくれ者な性格が災いして表向きにはつっけんどんとした態度を貫いていた。
 いざ、ばあさんと出会えた時すら、その態度をなかなか崩そうとしないのだから徹底している。

 それでも佐久間は雨の日も風の日もそれこそ雪の日も、電柱の陰に隠れてばあさんを張り込むといった根性を見せた。お前は恋する乙女か。
 念願叶って佐久間はばあさんに出会えるのだが、どの分岐でも彼は自滅する。ザ☆自業自得であることは変わりないが。

 ここまで書いてわかる通り、彼は狙ったわけではないだろうが、時代を先取りしすぎたツンデレ。
 ホントに「あ、あんたなんか知らないんだからねっ!」みたいな言い回しをするのは驚きである。と言うか『学怖』でツンデレを挙げろと言われて、並み居る美少女を押しのけて真っ先にコイツが出てくるのは実に哀しいものがある。

 飴玉ばあさんの許しを乞うために人間の目玉を狩るようになったり、何を食べても飴玉の味しかしなくなったために他人の舌を切り落として自分に移植しようとしたり、飴玉を奪った報いとして両目をくり抜かれ、校門に現れては泣き言を抜かすなど、どうあがいても怪人と化す非常に迷惑なヤツ。
 こいつが死ぬ分岐は実はひとつもないが、死んでくれていたほうが本人にとっても周りにとっても幸福だったかもしれない。

 『四八』千葉県シナリオ「学校であった怖い噂」に登場。
 と言うより、新堂が坂上にメールで送ってくれた怖い話が『学怖(S)』の「飴玉ばあさん」の話ほぼそのものである為、必然的に佐久間も(飴玉ばあさんと共に)登場していることになる。
 「両目をくり抜かれるルート」が採用(再利用)されている。

 『AMC1』「山本さんと飴玉婆さん」ルート。
 本人は登場しない。
 ただし飴玉ばあさんの回想コメントに「これは最近のじゃな……この子は欲張りじゃった。ギラギラした眼光が眩しいほど(中略)あたしから飴を三つも奪って……(後略)とあるが、これは佐久間のことと思われる。

 『ドラマCD』Disc.7 元木早苗「飴玉ばあさん」に登場。


 (執筆者募集中)  


 『鳴七』
 ⇒「田所尚敬」の項を参照のこと。
 「佐久間昇」のエピソードは上記の人物へと集約された。

 余談だが、『学怖』では桜井先生を突き落とす男子生徒のグラに使いまわされる。[勝手だが、『学怖S』では関西の芸人みたいな役者が演じている(ような気がする)。]

 [やはり、名前の由来は「サクマ式ドロップス」だろうか。ところで、サクマドロップを作っている会社は二つあるというのはご存知か?
 二次大戦を境として、一旦は廃業した旧会社だったが、戦後、新たに二つの会社が興ることになる。番頭と社長の三男が商標を巡って争った結果、前者が勝利し、前者の「佐久間製菓株式会社」がサクマ式ドロップスを、後者が「サクマ製菓株式会社」でサクマドロップスを、現在まで並立して製造・販売する事態となっている。
 と、言うことで佐久間昇の生き別れの双子の兄が今後登場するということは――ねーな。] 


咲野(さくや

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:前田良夫《クラスメート》
  • 関連用語:わらし様《犠牲者》
 良夫一話「実在した『わらし様』」に登場。
 「わらし様」の調査のために立川家へ向かった五人の内一人。
 ちなみにその内訳は男子三人、女子二人。他の展開に登場する「小坂」と同じく、名前が登場する分岐は限られている。逆説的だが、つまり死の危険が少ないと言うことである。

 ところで『晦』もまた「パラレル・ワールド」と言う前提があっての世界観であるに関わらず、他の展開でもどことなく彼女の存在(例を取ると、他に富田)を想起してしまうのはプレイヤーにとっての悪い癖だろうか。
 [さしずめ「あ、名前出てないけどコイツさっき見た○○だな」と思い込んでしまうように。
 やはり名前が出る出ないと言う問題は個人(アイデンティティー)と群集(カオス)を分かつ重要な命題なのかもしれない。]

 閑話休題。
 小さな子どもの姿をしたわらし様と一緒にカゴメカゴメの遊びをすることになった自由研究組だったが、そこで咲野は彼のことを怒らせてしまったため"持っていかれてしまう"。
 何を? ここでは言うまい。強いて言うなら向こう側ですよ。


桜井先生(さくらい-)

  • 登場作品:学怖,学怖S
  • 種族:人間
  • 関連人物:荒井昭二《噂》
  • 関連用語:旧校舎,宿直,精神病院
 荒井二話「古びた旧校舎の深夜の見回り」に登場。
 今はもういない学園の教師。真面目な堅物で臆病でこそあったが、誰よりも一生懸命で責任感の強い性格の持ち主だった。
 他の同僚たちが嫌がっておざなりにさえ済ませて来なかった「宿直」業務における旧校舎の見回りも行っていた。

 しかしそれが命取りになる。
 ある九月の夜、誰もいないハズの旧校舎に灯る光を目撃した桜井先生は「宿直室」で煩悶するものの、結局赴いてしまう。そこで何らかの怪異と遭遇してしまい、程度の差こそあれいずれもショックで学園を去ることになった。
 命こそ取られなかったものの場合によっては完全に正気を失い、廃人同様の状態にまで陥ってしまうのだから酷い話である。

 そんな先生は虚ろに歌い続ける末路を迎えることが多い。
 朝の校庭で照らしたままの懐中電灯を片手に、完全に正気を逸した桜井先生が歌う「……あいつは、私のお友だち。……私も、あいつのお友だち。……みんなで死のう。 ……楽しく死のう」というフレーズはけっこう有名だろう。
 ただ、他の事例でも先生は多大なダメージを受けて入院したままのことが多い。むしろほとんど復帰の目途がつくことはない。

 なお他のケースでは、煙に巻かれて姿勢を低くしたが亡くなってしまった用務員さんの無念を受けて四つん這いではい回る。
 または、古戦場に由来する霊に憑かれて、全身に引っかき傷を受けたうえ、今なお体温を奪われている。
 もしくは、謎の男子生徒の霊によって階段から突き落とされ、外傷で済む。以上の四パターンで語られている。

 おわかりいただけただろうか。
 つまり、先生が遭遇する可能性のある怪異の中で最初のパターンだけは唯一正体がみじんたりとも明らかになっていないのだ。
 ヒントは先生が歌っている歌の内容のみだが、いったい先生はどれほどに恐ろしいものを目にしてしまったのだろうか。
 症状の重篤さでも間違いなく一番で、先生は三十年は老け込んだ上に髪まで真っ白になってしまったのだとか。

 余談だが『学怖S』の桜井先生は登場に際して至近距離から超アップで顔が出る。けっこう心臓に来るかもしれない。別に恐怖画像というわけでなく、先生の顔も一般男性のそれに過ぎないのだが、特に予告などがないため虚を突かれるのである。


桜井瑠奈(さくらい るな)

  • 登場作品:小学怖
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年生→鳴神学園高校 三年生
  • 関連人物:藤森美沙《噂》,桜井《父》,蒼樹ローラ《?》
 『小学怖』月曜日「腕のいい美容師」に登場。
 年代不明、鳴神学園高等部に属する生徒のひとり。
 いわゆるカリスマ美容師である「桜井」氏の一人娘で、彼が手塩にかけて育ててきた美しい少女である。
 彼女が幼い頃に亡くなったという母譲りの美しい黒髪は、やはり父が長年ケアをしてきただけあって、トップクラスの芸能人すら超えるほどに美しいものであるらしい。 

 そんな桜井瑠奈さんは五年前の小学六年生の頃までは大人しく物静かでピーマンが嫌いで、学校での友達付き合いも良好、家庭では愛する父親のことを支え、なにより「いじめ」など悪いことは悪いとはっきり言えて笑顔が素敵な普通の女の子だった。
 しかし「蒼樹ローラ」という災厄がやってきたことによって彼女の人格は大きな影響を受けてしまう。

 テレビでもよく見る綺麗なお姉さんの姿にあこがれを抱いたのも束の間だった。
 一見優しく接してくるローラの真意とは、桜井瑠奈が持つ長く美しい黒髪への、延いては「美」への嫉妬に他ならなかった。
 芸能人として持ち得る限りの狂気と権力をぶつけ、自分たちを破滅に追い込もうとするローラの姿を目の当たりにし、そこで桜井さんの中でなにかが吹っ切れたのか、逆転の一手として彼女はローラにある言葉を吹き込み、自滅へと追い込む。

 なお、以上のエピソードを教えてくれる「藤森美沙」さんは桜井父娘の店に顧客として足を運んでおり、この話を知っているのは一定の親交を得ているためだと推察できる。
 よって、人間の悪意というものを小学六年生の身空で知っている藤森さんをして、桜井瑠奈さんは怒らせると恐ろしい人だと匂わせている。この事件を機に彼女は常人では辿り着けない精神性に達しているのかもしれないが、詳細は不明である。

桜井(さくらい)

  • 登場作品:小学怖
  • 種族:人間
  • 職業:ビューティーサロン・アフロディーテ 美容師
  • 関連人物:藤森美沙《常連》,桜井瑠奈《娘》,蒼樹ローラ
 美容室「ビューティーサロン・アフロディーテ」の店長を務める男性で、彼自身も素晴らしい腕前の理容師である。
 少なく遡って五年前から現在に至るまで彼の店は盛況を保っており、五年前の時点ですら一ヶ月の予約待ち状態なのだとか。
 詳細は不明だが、妻を亡くしており男やもめとなった身の上で娘の「瑠奈」のことを大切に育ててきた。

 が、そんな父娘の平穏な日々は唐突に破られる。
 最高の容姿と最悪の性格を合わせ持つ女「蒼樹ローラ」が押しかけてきたためである。
 予約待ちを無視してやってきたあげく、桜井氏の意志を無視して自分の専属に出迎えようとするローラの対応に苦慮させられたが、良くも悪くも「美」に対して妥協のない彼女を満足させる辺り、改めてその腕前の高さがうかがえる。

 が、娘の瑠奈を見た蒼樹ローラの二転三転する対応を前にしては、対応を大きく誤ってしまう。
 桜井氏が良識ある誠実な男性であることは間違いはないだろうが、一般人に過ぎないため、いささか脇の甘いところがあった。
 あと、髪については間違いなく専門家であるのだろうが、化粧などの女性の美容についてはやや疎いところをみせている。

 桜井氏はローラの演技力と話術の巧みさがあったとはいえ娘といっしょにローラの牙城であるテレビ局に赴き、情報番組に出演してほしいという提案にOKを出してしまった。
 しかも相手の言葉を鵜呑みにして契約書の内容を確認せずにサインをしてしまうというオマケつきである。

 そんな桜井さんだったが、蒼樹ローラというとびっきりの毒花を枯らすため、父親を守るために毒を身に着けてしまった愛娘のことをどう思っているのか、知っているのか知らないのかは不明である。

 ただ、少なくとも娘の言葉で自分たちのことを脅かすローラは破滅に追い込まれ、災厄は去ったことは事実である。
 そして娘が現在に至って女子高生に成長して髪の美しさに磨きがかかるとともに、愛する父と平穏な生活を守るためなら、恐ろしい手段に打って出ることも辞さない厳しさを備えていることもきっと確かなのだろう。


桜木隆敏(さくらぎ たかとし)

  • 登場作品:生徒総会
  • 種族:人間
  • 関連人物:日野直哉《部活》
  • 関連用語:新聞部《所属》
 第一回鳴神学園生徒総会に登場。
 同イベントは『学怖』25周年を前して行われたクラウドファンディングの成功に伴い、成功のリターンとして発表した企画のひとつ。ファンとの交歓や企画の進行状況を発表するためという理由を兼ねて2019年8月12日に開催されたリアルイベントである


 (執筆者募集中)  



佐古修司(さこ しゅうじ)

  • 登場作品:2008
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:袋田昭吾《噂》,大場雅嗣,関根晃,桐瓦のぞみ,福山梢《友人,いじめ?》
  • 関連用語:地獄屋敷《犠牲者》
 『2008』4話「地獄屋敷」5話「思惑」に登場。
 一年前の六月の金曜日に「地獄屋敷」での肝試しを敢行したひとり。
 彼は用意周到なことにデジカメを用意しており、探索にともなって地獄屋敷内部の様子が記録に残されることになる。

 探索のさなか、誰もいないハズの屋敷の二階で何者かによってドアを叩く音を聞いた一同はそこで肝試しを打ち切るのだが、佐古はファインダーも覗かずに二階の様子を激写しまくってから逃げだしている。
 いち抜けした大場を除いた一同は写真の内容を確認したのち解散するのだが、佐古はその日の夜に自分の喉をナイフで掻き切って自殺してしまったのだという。そして肝試しを敢行した五人はひとりずつ死んでいくことになる。

 それも共通してデジカメを握りしめたままとても恐ろしいものを見たかのような死に顔で心臓発作を起こすというものだった。
 ちなみに鳴神学園で一年前に発生した連続怪死事件ということで二年生以上の生徒の間ではかなり有名な事件だったようだ。
 この話をした袋田は最後の犠牲者である大場とは知り合いだったこともあって、追い詰められた彼から話を聞かされたらしい。

 なお語り部のひとり「山本繁」は彼らが元々五人組のグループということ、同じグループ内での交際関係、そして大場が死んで探索した五人が全滅した翌日に佐古の両親も「心中」して亡くなっていることから逆算して佐古がいじめを苦に亡くなった。
 佐古の両親は息子の仇を取るために呪いにしか見えない形で四人を殺して最後に命を絶ったという仮説を立てている。

 ただし、山本の話に具体的な証拠はなく、状況から逆算した仮説にすぎない。
 一方でオカルトの存在を前提に話を組み立てている袋田の方もなぜか証拠を見せない。しかも地獄屋敷に行けばわかるの一点張りだったこともあって五人の死の真相についての話は平行線をたどり、またも解決を見ないまま次の話へと移行することになる。



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最終更新:2024年03月22日 14:59