索引


妖怪(ようかい)

  • 登場作品:学怖,学怖S,四八,AMC1,AMC2,送り犬,特,鳴七,稲in
  • 種族:カテゴリ
  • 関連人物:逆さ女,妖怪ベロリ,しりとり小僧
  • 関連用語:都市伝説,すねこすり,ぬらりひょん,座敷童子,モノノケ様,送り犬,通り悪魔,
 日本に古来から伝わる超自然的存在。
 似た概念である「幽霊」は死後の存在であるが、かと言って類似した存在である妖怪が生きている生物かと言えば、単にそういった枠組みでくくることは出来ない広範なカテゴライズとされる。現代の未確認生物を妖怪の範疇で捉えると言う見方も存在するが、果たして……?

 その真の姿とは古代から連綿と繋がる人にとって形に出来ない畏れに人格や姿を与え、実体化させたものと言える。無論、これはひとつの定義に過ぎない。種々の異論ありきにせよ。
 故に、そこに肉体の有無もしくは架空・実在の差異はさして関係のないことである。

 たとえば一般的に大妖としてイメージされる「鬼」。
 これの成立過程を取ったとしても一言で説明するのは難しい。
 最初期の中国から伝わった「鬼(キ)」と言う概念は「死者の魂」を意味し、この時点で日本人が抱く剛人としてのイメージと大きく乖離している。
 一応「幽鬼」と言う言葉は存在するが、中国語の「日本鬼子(リーベングイス)」と言う罵倒語が当の日本人にはさして効果がなく、挙句の果てには萌えキャラにされてしまったことなどからわかるように、むしろ妖は現代では親しまれ愛でられる対象となっている。

 また山や海に住んで神の様な力や知恵を持ったものもおり、妖怪を単なる怪物と捉えることを難しくしている。
 妖怪を神の零落したものと解釈したのは柳田國男であり、現在では否定する声も大きいものの「一つ目」を軸にした説明は現代でも広く受け入れられている。

 どちらにせよ大抵は人間に危害を加え、その肉を食らったりしているが、その行動には何らかの法則があり、それを守れば退けることも可能である。
 中にはあまり害を及ぼさないかわいらしいものもあるが、それすらも油断すればなんらかの手段で命を奪ってくるので要注意である。

現代妖怪(げんだいようかい)

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,四八,VNV,AMC2,特,流神A,鳴七
  • 種族:妖怪(都市伝説
  • 関連人物:飴玉ばあさん,高木ババア,ピンクさん,弁当ババア,
  • 関連用語:悪霊,学校の怪談,トイレの花子さん,ヒトシ君,不幸の手紙,紅女,ひきこさん,
 現代妖怪とは比較的最近、近代から現代にかけて生み出された妖怪。
 戦前では「怪人赤マント」、戦後は「口裂け女」や「人面犬」などがその代表格である。

 そのバリエーションは彼らを培養する都市伝説の隆盛に合わせ、非常に豊富だが、人間もしくは「幽霊(悪霊)」に起因する妖怪が多く、わかりやすい異形としての妖怪があまり見られないのが特徴として挙げられるだろう。
 下手を打てば単なる変質者や異常者として扱われるほど、人間の特徴を色濃く残している。

 現代の病理に即したと言うべきか「通り魔」的な行動パターンを持つ妖怪も多く、四肢の一部に欠損が見られ、同時に四肢を奪ってくるというのもよく聞く特徴のひとつである。
 都市伝説全般に言えることだが、偏見や差別意識が生み出した恐怖は色濃い。

 また、姿を持たない存在や噂が錯綜していて詳しいビジュアルが伝わっていない怪異も意外と数多い。
 「メリーさんの電話」や「赤い紙青い紙」を代表格とする電話/声を介した怪異や姿がはっきりしないことそのものが怪談がキーになっている「くねくね」などが挙げられる。
 怪談文化華やかしき江戸時代においてはいわゆる妖怪画、現代において多様な漫画が妖怪のキャラを成立させてきた中でこれは異例の事態と言えるだろう。


洋館(ようかん)

  • 登場作品:晦,四八,秘密
  • 種族:スポット
  • 関連人物:真田泰明,藤村正美《噂》,中山,恭介,更紗,伊藤潤二
  • 関連用語:開かずの間,管理人,吸血鬼,黒バラの城
 欧米圏との通商貿易に際してやってきた外国人が現地日本に居住するため建築された西洋風の建物。
 長崎や神戸などの居留地に集中しており、観光名所として今もなお人々の目を楽しませている。
 または触発された日本人によって西洋の様式を模して建てられた建物「擬洋風建築」等を加えての総称を指す。
 そちらは主としてゴシック様式であり塔型建築、玄関先に張り出した「車寄せ(エントランス)」などの特徴を踏襲しつつ日本建築の要素も採り入れられたものとされている。

 日本家屋を中心とする当時の日本の街並みからことさらに目立つこれら建築物を区別するために「洋館(西洋館)」という呼称が発生し、用いられるようになっていったのだとか。
 戦後に入ってからも全体としては少数にとどまるものの、擬古風な洋館風の新築が注文されないこともないなどと……、日本人の舶来への信奉やレトロ・アンティーク趣味は根強いものといえるだろう。

 また、従来の開放的な日本家屋と比べ、密閉性が強く城塞を思わせる重厚な印象や明治~昭和初期まで華族や財閥等のハイソサエティ―な富裕層が居住していたことによって生まれる歴史(なイメージ)の裏付けも見逃せない。
 そのため一見すると華やかではあるのが内部では前時代的な因習や一族間のいざこざが渦巻いており、なんらかのきっかけを経て発火点を迎えて連続殺人事件が発生し――だいたい最後には炎上する。などという創作ジャンルにおける風聞も色濃い。

 そちらでは戦前からの「探偵小説」や作家「綾辻行人」が『十角館の殺人』を端緒にして主導する「館シリーズ」などの――新本格推理/ミステリ小説から派生した、ある種のお約束を軸とした(擬)古典、もっと狭く言えば館ものミステリが挙げられる。

 そういったわけでシリーズでは探索型アドベンチャーとして「洋館」の内部を探っていく……。
 もしくは館に住まう住人たちの思惑を探っていくなどのシチュエーションに何度か恵まれている。下手を打たずとも百年以上前の、日本とは異なる文化圏の住人が持ち込んだ現代日本ではめったにお目にかかれない物品は探索に彩りを添えてくれるだろう。

 『晦』泰明六話、正美一話、正美五話、隠しシナリオに登場。
 元々題材が広くばらけている『晦』だが、舶来品にまつわる話など海外からやってきた「怖い(不思議な)話」もいくつかみられる。日本から離れずに海外の風物を存分に楽しめ、また歴史が生み出す恐怖を味わえる「洋館」もその好例である。

 テレビマンとして亡き大作家の因業を詰め込んだ空き家を訪れた「真田泰明」と。 
 富裕層の看護をする機会があり、仕事の関係から看護人の住居である洋館に招かれた「藤村正美」からそれらの話が聞ける。

 泰明六話「洋館に宿った尾岳冬良の魂」。
 三年前に大作家「尾岳冬良」が亡くなったことと合わせ、彼の作品のドラマ化企画が立ち上がり、その舞台を撮影するために、とある華族が使っていたという洋館が選ばれることになった。

 二階建てのこの洋館にはふたつの地下室がある地階、玄関ホールから三つの使用人室、テラスのある食堂に行くことができる一階、そして子供部屋、屋敷の夫人の部屋、屋敷の主人の部屋、書斎がある二階からなる作りとなっている。
 一階には二ヶ所、二階には一ヶ所のカギが見つからないため入れない部屋があったが、撮影の事前に下見をするため泰明さんたちスタッフ一行は洋館を見て回ることにしたのだという。

 そして、一行が見回った洋館の内部ではあたかもそれっぽい調度品や古い「人形」、宝飾品や凶器、それっぽい染みなどを発見することができ、二度目の探索では一度目に見て回ったものが怪奇現象を引き起こすというお化け屋敷のような趣向を取っている。

 探索者一行が体験することになる数多くのギミックはさておくとして、探索を終えると屋敷の主人だった尾岳冬良やその縁者が「吸血鬼」だったり「猟奇殺人鬼」だったりする真相が明らかになる。
 後者の場合はどうも尾岳冬良の狂気が伝染したようで、泰明さんが尾岳の行動をなぞったような危険な思考を語ったり、探索者一同が殺し合った末に泰明さんだけが生き残り、今度は前田家を舞台に虐殺に走るだなんておぞましい結末となる。
 話が飛躍し過ぎているため洋館そのものになんらかの魔力があったとも考えられるが、委細はまったくの不明のままである。

 ちなみに、探索途中で食堂のテラスを経由して庭から逃げ出そうという試みができないこともないが……。
 詳細は「管理人」の項を参照のこと。

 正美一話「不思議な人物・中山さん」。
 初めて正美さんが入院患者「中山」さんに出会った時、不思議な光景を幻視する。
 それは「花が咲き乱れる丘と、その上に建っている古い洋館。遠くには、青く光る山脈」というものだった。

 ただ、この映像を見た一幕が伏線として機能するのは後述の隠しシナリオに派生する一部展開などに限られている。

 正美五話「恭介と更紗の住む家」。
 病弱らしき妹「更紗」のことを個人介護してもらうべく、その兄「恭介」は正美さんの同僚であるというとある看護婦に依頼を出す。
 求めに応じてその某看護婦がやってきたのが兄妹がふたりきりで住んでいるという、大きな、立派な洋館だったという。

 外壁にツタの絡む外観からして、某看護婦が一目でポカンと立ち尽くしてしまうほどの風格あるものだったようで館の内部にも相応の家財が置かれていた。供される食事も館の雰囲気に見合ったものだが……?
 なお、館と言えば炎上するのが常なのかもしれないが、そんな展開はごくわずかである。
 某看護婦はこの兄妹が展開する奇妙な世界に囚われ命を落としてしまうことの方が多かったりするのだ。

 隠しシナリオ「「遠い追憶の日」」。
 正美さんの語る、「」と洋館にまつわる中山さんの話を聞き終え忌まわしき記憶がよみがえった泰明さんはひとり語りだす。
 二十年前の夏のある日、自分と正美と哲夫の三人は、謎のお城めいた洋館に向けてひと夏の冒険に繰り出したのだという。

 当時一桁台だったふたりの意外な幼少期に葉子ちゃんたちが驚かせられつつも、当時十二歳だった泰明さんの先導で山にふもとにあった謎の洋館を訪れた三人は、そこで謎の老婦人と出会う。
 そして 三人は物置に隠された腐乱死体にたかる無数の蝶の幼虫という悪夢的な光景を目にしながらも、なんとか逃げ出せたのだという。話の内容としては以上の通りですぐに終わる話ではあるものの、いつになく真剣な泰明さんのこと、信憑性は高い。

 『四八』岐阜シナリオ、徳島シナリオ、長崎シナリオに登場。


 岐阜シナリオ「猫屋敷」。
 ホラー漫画家「伊藤潤二」先生が越してきた洋館がシナリオの舞台となる。


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 徳島シナリオ「遺産」。
 遺産相続のもうけ話に釣られた考えの浅いカス「神谷慎吾」が「津蛾鶴人」に連れられてやってきたのが古びた某洋館である。
 ここで神谷は行動回数制限付きの探索ゲームに挑むことになる。舞台になるのは書斎と思しき一室に限られているものの、いかにもそれらしい箱にタンスや机に格子窓など殺風景ながらそれっぽい部屋で神谷は数々のひっかけに惑わされることに。
 もっとも、このシナリオの目玉は本棚から読むことができる、没シナリオなどの断片を記した胡乱な書籍の方なのだろうが。

 なお、館自体は元からあったものを購入したようだが、その実態は津蛾兄弟の実験施設であり地下に数々の実験の産物を収容している。洋館というガワはうさんくさいながらに洋装で仰々しい津蛾兄弟の格好にはマッチしているといえるかもしれない。
 神谷の送迎にリムジンを使用したことやわりと広大な敷地を持つことからも、兄弟の持つ財力がなんとなくうかがい知れる。

 長崎シナリオ「信愛」。
 長崎県の有名観光スポット旧グラバー邸および「グラバー園」がシナリオ中でピックアップされている。
 同施設は世界遺産を構成している建築物のひとつでもある。くわえて「グラバー園」はデートスポットとしても有名である。
 そんなわけで[ボンバーマンと化した]天木さん(?)相手の試練を乗り越えた上で、舞台裏を知ったプレイヤーの手助けがあって「島田次郎」さんが事前に悲劇を回避できた場合、彼は想い人である「天木茜」さんとのお付き合いにこぎつけることができる。

 そして後日、島田さんは、天木さんの提案に乘ってグラバー園で幸せのシンボルを探して回ることに。
 邸内に三ヶ所埋め込まれてたハート形の敷石「ハートストーン」を探し散策して仲を深めた男女の未来はきっと明るいだろう。

 『秘密』「」に登場。


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予言(よげん)

予知(よち)

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,特,月下美人,極,鳴七
  • 関連人物:逆さ女,ヒナキちゃん
  • 関連用語:悪魔,占い,死神鉛筆,人面瘡,超能力者,百点塾
 「予知」とは未来のできごとをあらかじめ起こるまでに知ること、もしくはその能力。予見とも。
 中でも予言ははっきりとした形で言葉に出して言うことを指す。そのため、言葉そのものに力があるという言霊思想と結びつき、予言をしたために未来の方がねじ曲げられるという形で悲劇を演出する道具として創作上用いられることが多い。

 自称予言者は星の数だけ存在するが、その真偽を実際に起こるまで本当の意味で図ることは難しい。
 仮に本物の予言者であっても情報のあふれかえる現代、「カッサンドラ(100%当たる予言の力を神から授かるが、同時に誰からも予言の内容を信じてもらえない呪いをかけられた王女)」の二の舞を演じてしまうことはままありそうである。

 未来を知る方法としてはほかに「占い」が存在するが、そちらはカードの絵柄やカップにできた染みなどから読み取った漠然としたイメージを未来に向けたメッセージとして解釈する技術である。
 もしくは心理的技巧を駆使して他者を誘導するための技術であり、予知や予言とは微妙に分野が異なるといえるだろう。

 英語では同じ単語「Prophecy」を用いることもあち混同されることも多いが、神から託宣を受け、その言葉を預かる「預言」とは微妙に用法が異なる。そうやすやすと神託を受けるものが現れては困るため、後者を名乗ることはまず相応の覚悟が必要となる。

 とにかく、未来を常人があらかじめ知るということは人の枠を越えた所業に他ならない。
 予知/予言の力を有する人は元々「超能力者」だったり、マジックアイテムなどを手に入れた縁だったりと力の源泉は多々あれど、シリーズ中では力の揺り返しを食らってなんらかの代償を負わされ破滅の一途をたどるという展開が支配的だったりする。
 一風変わったところでは、なんらかの装置によって本当に未来を見てきた者が当事者のとっての過去に戻るというパターンも。
 人間ではなく妖怪など人外が予言をくれるというケースも存在するが、それらの多くは死の予言である。

 また、これら予知の分野はたとえ未来を知ったところでその解釈を間違えて自滅したり、そもそも知ったところでどうしようもないケースこそが数多かったりする。この場合はそれこそ未来は変えられないと知ってあきらめるか、未来を変えようとあがくことそのものが運命に組み込まれたと思って、神ならぬ人間は残酷な現実をそっくりそのまま受け入れるしかないのかもしれない。

 なお、頻出とまではいかないまでも、この能力や現象がシリーズ中でたびたび登場することについては分岐型ノベルゲームを遊ぶプレイヤー視点に立ってみればなんとなく示唆、納得できるかもしれない。
 異なった可能性を探ってトライ&エラーを繰り返し、その人によって最善の未来を目指す過程はそのまま「予知」に喩えられる。

 『学怖(S)』荒井四話、風間四話、福沢六話に登場。
 「七不思議の集会」やこの学校の行先に不穏な影を落とす要素として予言が用いられることが多い。


 (執筆者募集中) 


 荒井四話「宿泊施設にある謎の4番ベッド」。
 詳細は当該項目を参照のこと⇒「死神鉛筆

 風間四話「風間のインチキ降霊術」。
 実証系・降霊系の話が多い風間さんだが、この話はその好例であり主人公の「守護霊」さま、もしくは「神の声」を聴いて未来を予言するという展開に派生することもある。
 あるいは、風間さんの機嫌を損ねるように話を持っていった場合は主人公の身に何かが起こるという不吉な文言を投げかける。

 この話における風間さんは主人公を担ぐつもりだったと悪びれる様子なく言ってのけることもあるが、どうも本物であるかのようなただならぬ側面も垣間見せる。
 人を越えたなにものかの力を借りて繰り出される予言は本当だったのか? それはこれからの集会の行方にかかっている。

 福沢六話「真夜中の魅惑の恋愛占い」。
 「占い」をこの上なく愛する少女「平井香苗」さんだが、そのうち「鈴木」くんと関わる結末として、問題を起こして転校するもののいずれこの学校に戻ってくれるという占いを残すというものが存在する。
 作中の扱いとしては占いだが、実質「予言」と言えなくもないだろう。

 『晦』和子二話、和子四話、正美一話、正美六話に登場。
 予知(予言)の力に巻き込まれるか、もしくは自身がそういった力を得てしまったために悲劇に遭ってしまう展開が数多く用意されている。「開かずの間」で怪談会をしている当事者のうち誰かに累を及ぶことがあるのが『学怖(S)』と比較した際の相違だろう。

 和子二話「謎の少女・ヒナキちゃん
 謎の私有地に独りたたずむという「ヒナキちゃん」に会いに行った地元の中学生「田崎」&「秋山」は、彼女から予言をもらう。
 内容はヒナキちゃんが田崎くんの頬をつねったのちに「近いうちに、つねられるよりもっと痛いことが起こる」という不条理なもので、その通りに田崎くんは痛い目に遭ってしまう。

 よせばいいのにそれから秋山は、毎日ヒナキちゃんに会いに行っては痛い目をみると同時に似た内容の予言をもらって帰ってくるということを繰り返した。ヒナキちゃんの魅力に中てられたのか、それとも未来がわかっているのなら避けられると思ったのか。
 が、結局のところヒナキちゃん相手には関わらないことが正解であって、秋山が辿る末路はそれはもう無惨なものだった。
 ヒナキちゃんは自分に近づく不愉快な子供に予言という名の呪いをもたらしたと取れるが、さて彼女の真意はどこにあるだろう?

 または最高に暗い子「中沢」くんがヒナキちゃんの歌っていた謎のわらべ歌に見立てる形で助言をくれることがある。
 この場合のヒナキちゃんは中沢くんの前の学校のお友達がどうなるかを予知していたと解釈するのが妥当だろう。もしくは中沢くんの最期を薄々感じ取っていたという展開もあるが……、青いヒナキちゃんにはいずれにせよ近づくべきでない。

 和子四話「むかし隠した宝物」。
 和子おばさんの提案によって、葉子ちゃんは宝探しをすることになる。
 なんでも葉子ちゃんは小さい頃、ここにいる誰かと一緒に前田本家の家屋のどこかに大切なものを隠したんだとか。

 哲夫おじさんか泰明さんのどちらかと一緒に葉子ちゃんは家探しを行い、展開によっては掘り返してはならない真実を見つけ出してしまったり、怖い話より大切な時間を過ごしてしまったりする。
 が、この場合は泰明さんが畳の下から見つけ出してくれた幼少期の葉子ちゃんの写真が問題になる。

 宝物の正体は当時一緒に宝物を隠した良夫と葉子ちゃんの関係を示唆するほほえましい写真(裏書きに「いちばん写りがいいしゃしん。およめにいくとき持ってこう」)であり、これを見た大人にとっては微笑ましい一幕だった。
 だが、和子おばさんに見える写真の内容は違っていた。それは葉子ちゃんに似た少女が殺されているものだったという。
 お芝居かなといぶかしむおばさん、もしくは写真は未来を予知したのだろうか。同じくらいということで、写真の内容が真なら葉子ちゃんの死はすぐそこにまで迫っているということを意味する。新たなる不安を抱えたまま、つきこもりの夜は更けていく……。

 正美一話「不思議な人物・中山さん
 不可解なことに家族からあっさり得られてしまった同意のもとに謎の老婦人「中山」さんからもっとも価値のがあるという遺産をいただくことになってしまった藤村正美だったが、それは両手で抱えられるほどの小さな木箱だった。

 そんなわけで正美さんが箱を開いてみたところ、彼女がいつか見た「花が咲き乱れる丘と、その上に建っている古い洋館。遠くには、青く光る山脈」をそっくりそのままかたどった幻視を見る。
 そして「洋館」から出てきた尖った耳と牙が光る口が見える小人が正美さんの口の中に飛び込んできて――。

 以後、正美さんの全身がにやつく人の顔に覆われることになったのと引き換えに、災害や人の死が何となくわかる予見の力を得たのだという。結局小人の正体や中山さんの真意は不明だが、正美さんはこの力を有効活用してみせると語った。

 正美六話「死を招くベッド
 おそらくは「死を招くベッド」の力によって、態度の悪い女子高生「緒田」さんが死の間際の光景を事前に幻視させられるという展開が存在する。

 緒田さんは予知能力に目覚めて「トラック」による事故を避けられたと思い一度は喜ぶものの、実は緒田さんの眼前で繰り広げられるトラック事故は二連続であり、二回目で大質量に引き潰されて死亡という流れになる。
 そして、物言わぬ屍と化した緒田さんの眼球が抜け出て、前日の生きている方の緒田さんの眼前に移動して破裂、死の寸前のビジョンを見せた――という一種のループ構造になっているようだ。

 なお、これらの話は当事者ですら語ることが難しいわけだが……?
 直前まで語っていた正美さんが指摘されたところ話をしたことすら覚えていないという。
 話が嚙み合わない中、葉子ちゃんの視界に話の中で語られた眼球が出現し、やはり破裂して死の間際の光景を見せられてしまう。

 そして、真っ暗闇の視界が、今死を迎えつつある葉子ちゃんが現在進行形で見せられているものだと気づいても、彼女にはどうすることもできなかったのである。
 ……死を招くベッドにまつわる怪奇現象は多岐に渡るのだが、これはその中でももっとも性格の悪いもののひとつだろう。

 今話された禍が現実に及ぶというのはこの話ではよくあることだが、わかった時にはもう手遅れ、そもそもわかったところでどうしようもないという性質はある種の運命論に通じて極めて残酷である。その上、原因も因果も一切明かされないわけであるし。

 『特別編』「呪いマンシール」ほかに登場。
 「悪魔」だったり、元からそういう能力を持っていたりと来歴はさまざまだが、予知(予言)の力を持ってしまい、身を滅ぼした話の中での当事者が数多く語られている。


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 「呪いマンシール」。
 新堂さんが小学生くらいの時に流行っていたチョコレート菓子の付属シール「呪いマンシール」には数万枚に一枚の確率で本物の「悪魔」もしくは「天使」を呼び出せるシールが梱入されているという噂がある。
 高校生になってもコレクターを続けている「千葉祐樹」は、クラスメートの「森永安雄」から大量のシールを買い取るのだが、その中にズバリそのものなシールを見つけてしまう。

 まさかと思って、


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 「夜泣きジジィ」。
 「サッカー部」三軍所属の「山中学」は「つごもり橋」の橋の下に棲んでいる謎の老人に対して、先輩がリンチしている現場に居合わせる羽目になる。
 ここで浮浪者の老人に対し消極的であれリンチに加担してしまうと地獄が待っているのだが、同じく消極的であれ助け舟を出した場合でさえ山中には地獄が待っている。この場合の山中に見舞われるのは予言に似た「言霊」の力である。

 この力の本質を山中は、幼なじみの「園宮まゆ」の死、そして最後の最後になっておのれの舌を見ることで悟ることができたのだが、知ったところでもう手遅れだった。災いに等しい予言の力は、誰かに押し付けたくなるババのような扱いだったのかもしれない。
 詳細は「山中学」の項を参照のこと。

 「期を見る男」。
 細田さんのクラスメート「大河内雄大」は「タイミングを見る能力」を持っており、これはある種の未来予知である。
 しかもこれは知ったところでどうしようもない未来を見て絶望する類の予知能力ではない。
 行動の結果としてどう「いい/悪い」が派生するかを判別して未来を変えられるため非常に使い勝手が良く、しかもクラスメートなどの他者にも助言という形で恩恵を施すことができる。

 ただし、大河内くんは良くも悪くも普通の少年であり、能力に振り回されて精神の均衡を失ってしまう。
 もしくは能力の代償としてだんだん大きくなっていく「人面瘡」というリスクを見て見ぬ振りしたことで……?
 詳細は「大河内雄大」の項を参照のこと。 

 「できる彼女の秘密」。
 何でもできる完璧超人「渡瀬」さんの力の根源として予知能力が取り沙汰されることがある。


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 『月下美人』第一巻「地獄屋敷」に登場。
 「及川由紀」の無茶ぶりで鳴神学園近郊で屈指の危険地帯「地獄屋敷」内部に「我慢クラブ」のメンバーが突入する羽目になった際、男たちに続いて彼女自身も参加した。

 そして、そこで及川さんはほかの突入したメンバーと同じく謎の声を聞くのだがその内容は「


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 という「なに言ってんの、それ?」と状況次第では鼻で笑い飛ばしてしまいたくなる内容となっており、実際に及川さんが意に介することはなかった。ついでに我慢クラブの男どもの体たらくにあきれたこともあり及川さんは一切動ぜず去っていくのだが……。
 彼女のその後を知る岩下さんいわく、及川由紀は上記の言葉通りの最期を迎えてしまったことが示唆されている。
 というか、上記の死因は及川由紀にとって原点たるエピソード『偽りの愛』そのものである。事の真相に一切迫れないのはもちろんだが、声の主が何を思いその言葉を投げかけたのか、意図すら掴めない辺りに不気味さを感じさせる。

 『極』新堂誠分岐シナリオ「百点塾」に登場。
 謎の学習塾「百点塾」は未来に向けて情報を送受信するというアプローチの実験を行っており特定の状況下で限定的な運用とは言え「エレベーター」と「鏡」を用いることでそれを実現させた。
 すなわちこれは未来を予知する技術であり、もっといえば生身の人間が「タイムトラベル」せずとも未来を変えられるかもしれない試みといえる。百点塾が何を目的に研究を行っているかはともかく、将来的にいくらでも利用しがいのある技術であることは確かだろう。

 なにはともあれ、入塾した新堂さんとそのクラスメートたちは実証実験も兼ねているのか、この技術を利用させてもらえる。
 具体的には未来のテストの内容を未来の自分に「携帯電話」を介して送ってもらうことで、絶対にばれないカンニングを実現させたのだ。それで終わりさえすれば百点塾の思惑はともかく、新堂さんにとっては万々歳なのだが……。

 よりにもよって新堂さんと肩を並べて入塾した級友のひとり「神田拓郎」の妹が「トラック」にはねられて亡くなってしまう。
 普通なら泣き寝入りするところだが、超技術を知った神田は死者の声を聞くなり、妹の事故を避けるために過去にメッセ―ジを送ったりなりで突破口を開こうとした。

 その先は二者択一で誰を犠牲にするかの運命の袋小路に迷い込んでしまったり、鏡を境界として異次元なり「パラレル・ワールド」なりの自分自身と入れ替わってしまったりで輪にかけて複雑怪奇な事態を招き入れてしまう。
 わりとシンプルに終わってくれる結末を含めてだいたいロクなことにはならないため、たかが人間が未来を知るべきではないのかもしれない。もちろんこの実験が予知/予言だけではなく、死者との交霊などあまたの属性によって成り立つと断ったうえで。


寄姫転生(よりひめてんせい)

  • 登場作品:鳴七
  • 種族:同人誌
  • 関連人物:倉田恵美
  • 関連用語:異類婚礼譚,前世
 同人サークル「七転び八転がり」が2007年3月に小冊子形式で頒布した同人誌、または同名のシナリオ。
 元々は『四八(仮)』の熊本県シナリオとして収録予定であったそうだが、諸事情によって丸ごとカットされた。

 内容としては熊本県阿蘇郡の「白糸の滝」にまつわる「寄姫伝説」に題を得て独自に翻案したもの。
 伝承ではかつて「兵十」という男がおり、その男が「寄姫」という常人とは思えない美しい女性に心奪われ契りをかわす。
 しかし、寄姫にまつわるよからぬ噂を聞いて心を乱した兵十は寄姫を切りつける。
 兵十が点々と血の跡を残して白糸の滝に消えた寄姫の後を追うと、そこには大蛇の骸が横たわっていたそうな。

 劇中でも指摘されているが、別に寄姫と兵十の間に正体を巡ってのあれこれの明確な約定が結ばれていたわけではない。
 本性が大蛇だった寄姫も、特に悪事を働いていたなどという描写はない。
 にもかかわらず、身勝手な男の理屈によって寄姫は信頼のみならず命を奪われてしまうのだから理不尽な話というでしかないだろう。この種の「異類婚礼譚」はおおむね男女の別離という悲劇に終わりがちだが、加えて民話の残酷さを思い知らせてくれる。

 と、それから時は流れて現代に移りゆく。
 現地に観光に赴いた主人公たちが上記のような伝承を聞き上記のような感想を述べ合う。
 そしてやはりこの世のものとは思えない女性と出会ったことから、物語は現実へ、新たな局面を描き出すことになっていくのだった……。

 2018年からは電子書籍として配信されており、読むことができる。

 Kindle

 『鳴七』「殺人クラブ」に登場。
 このシナリオの探索パートでは、情報棟にある「図書室」を訪れると作中作としていくつかの短編がそっくりそのまま収録されており、プレイヤーの任意で読むことができる。
 これはその中のひとつで『レンタル家族(家族写真)』、『送り犬』、『花壇の恋』と共に坂上にとってもなじみ深い人物「倉田恵美」が執筆した同人誌という体裁を取っている。

 元々がプロ作家の作品であるので当然だが、倉田さんに苦手意識を持っている坂上くんも(自分を題材にされていないということもあって)評価している。
 それと同時に、この分量の小説をたった三分で読み切ってしまえる坂上の速読術をも称えるべきなのかもしれない。
 もちろん、ゲーム的な都合といってしまえばそれまでなのだが。


夜イベント(よる-)

 「学恋」シリーズに実装されているシステム。
 平日のコマンド終了後にランダムで挿入されるイベントである。
 大まかな流れとして夜、自宅にいる主人公のところに怪奇現象が起こるか、何らかの訪問者(主に語り部たち)がやってくる、もしくはその両方というもの。
 内容は多種多様で一つのゲームを取っても軽く見積もって百を越える。

 主人公に襲いかかる怪奇現象は前フリがあったりなかったりと実に様々だが、理不尽かつ横暴と言う点で共通している。
 刺されたり、喰われたり、場合によっては殺されてしまったり、などと言った惨劇もけして珍しくない。

 ただし、その多くは「夢オチ」で処理される。
 そのため本編の進行とは関係なく、バッドエンドとして扱われることもない。主人公は何事も無かったかのように起床して新たな一日に臨むのである。

 また、主人公によっては遭遇する夜イベントの傾向には差が出る。
 メンタリティが普通人に近い坂上・倉田・新堂・あなたには怪異襲来系のイベントが多く、深夜番組を楽しむなど普段の生活はとっても普通である。
 まぁ、その中でも倉田はかなり異彩を放っているが……。
 反面、存在自体が理不尽な風間・岩下は単純に被害に遭うことはなく、訪問者系のイベントが多いことが挙げられる。

 一応「ランダム分岐」の一種ではある。
 が、実際は特定の発生条件を持っており、本編で特定の人物と会っておかないと夜イベントにも登場しない等と、直前までの本編進捗度にも左右される。
 単独でなく連続のストーリーを持つイベントも存在するため、自力で全てを見ることが難しいもの(特に『学恋』)も存在した。

 制作サイドも全てを見せるような仕組みにはしていない旨を語っている。
 ただし、一応要望に答える形か『学恋2』では全ての夜イベントを見ることが出来るオマケ「夜イベントビューアー」を条件は厳しいにせよ追加、『学恋V』では連続イベントを見るための条件が緩和されている。

 本編とあまり関係ないオマケとしての要素が強い分、どんなに唐突な状況であっても珍しい(もしくは既に退場した)キャラを登場させることが出来、各々のキャラの交流を補完することも出来る。また、意外な裏設定を知ることも。
 もちろん唐突に出たり出なかったりする怪奇のドッキリを愉しむも良し。
 本編と切り離すことによって「ランダム分岐」の本来の目的である何が飛び出してくるかわからないビックリ箱的楽しみを実現させたシステムと言える。 


夜の科学界(よるのかがくかい)

  • 登場作品:小学怖,新生,鳴七
  • 種族:組織
  • 関連人物:松戸博士,当摩《所属》,松岡奏次郎《噂》
 さまざまな分野に渡って有望な研究を行っている科学者たちの集い。
 国や企業との関係はなく、あくまで個人研究者の集団でありフリーターも在籍しているようだ。

 一般での知名度はほとんどないようだが、最年少会員である「松戸博士(愛称:マッド)」はここに属していることを誇りに思っており有意な交流を楽しめているということから、会員のレベルは高いことが察せられる。
 ただし現状の作中での描写範囲では互助団体としての側面は不明である。

 その一方で松戸くんはここのコネクションから科学界の現状や一般層での知名度の低い危険人物などの情報を引き出しており、情報源として捉えるならばその精度はかなり高いようである。

 『小学怖』月曜日「全自動安全運転システム」に登場。
 初登場作品。
 人工知能を研究する「当摩」氏と松戸くんが出会った舞台である。
 上記で挙げたような集会の特性が語られている。
 ちなみにこちらの作品中では、文庫/ゲーム版問わず「裏の科学界」と呼ばれている。
 作品によって名称が異なっているのか、正式名称が別に存在しており通称が複数存在するのか、理由は不明である。

 『新生』「危険な転校生」に登場。
 こちらでは「夜の科学界」と呼称されている。
 マッドが「松岡奏次郎」の情報を知る伝手とした組織として軽く触れられている。



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最終更新:2024年04月22日 18:08