み‐も


索引


ミイラ

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,男怖,鳴七
  • 種族:アイテム
  • 関連人物:時田安男,片山徹,茂爺
  • 関連用語:カニバリズム,干首
 ホラー映画におけるモンスターの定番としても登場する乾燥した死体の総称。
 菌の発生が阻害される乾燥地帯や寒冷地帯では自然に発生することもままあるが、人為的に作製された場合が現実における学術的側面は元より創作上でも重要となることが多い。
 作成に至る動機としては死後の復活に際して魂の寄辺となる肉体を保存するためなど、そういった意味合いが大きいとされる。

 エジプトのピラミッドやシチリア島のカタコンベに埋葬されているものが世界的に有名である。変わったところでは本邦でも「即身仏」なる僧侶の骸が遺されている。
 ところでキリスト教に代表されるアブラハムの宗教では火葬を忌避する趣が強い。世界各地に残されたミイラたちは、死者の復活を願う人類の心理は古今東西であり、普遍的な発想ということを教えてくれる生き証人と言えるのだろう。

 また、正規の方法によって作成されるものとは別に、悲惨で異常な死に方を演出する意図もあってか「吸血鬼」やそれに類する怪物が血や精気を吸い取った犠牲者の成れの果てがミイラ状になっていたというパターンも存在する。
 当然ながら、この場合のミイラは前述した通りの文化的、歴史的な背景とはまったく無縁の存在である。

 『学怖(S)』荒井五話「時田君の自主制作映画」に登場。
 「時田安男」率いる「映画研究会(同好会)」がクラブ立ち上げと共に制作した映画のひとつとしてエジプトのミイラ復活を題材にした『ミイラ人間と美女』が取り上げられている。


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 『晦』泰明一話、泰明六話、哲夫一話、由香里五話に登場。
 『晦』作中には人間の遺体を乾燥させるという一点でミイラと共通する「干首」が散見されるが、そちらは別項で解説する。

 泰明一話「絵画に隠された謎
 番組制作スタッフ「片山徹」の辿る末路のひとつ。
 無名画家の「肖像画」から飛び出した謎の光に追いつかれてしまった片山は光に覆われてミイラのように干からびていった。

 (なぜだか僕たちがよく知る謎の怪男子「風間さん」の顔が光の中に浮かび上がっていることをさて置くとして。)
 「人面瘡」や「吸血鬼」からなる謎の光の正体を思えば血液や精気を吸われた犠牲者の状態としては納得がいく演出かもしれない。

 ただし、泰明さんの語る後日談を信じるという前提をまず置いて、最終的に片山の死体がどのような状態に落ち着いたかについても不明としよう。その上で怪死を遂げた片山のことを不審者の仕業として処理した日本警察はどうかしている、かもしれない。

 泰明六話「洋館に宿った尾岳冬良の魂
 今はなき大作家「尾岳冬良」の追悼番組の制作のために、泰明さんたち番組制作スタッフが下調べに撮影現場の洋館に探索に向かったところ、ほとんどドッキリハウスのようなホラーあるあるな演出で出迎えてくれる。となれば、ミイラの演出もあろうというものである。

 食堂の暖炉の壁に無数のミイラが埋め込まれている。使用人室に仕込まれた抜け穴にやはり大量のミイラが埋め込まれていた。
 などというギミックが展開によっては発見できるのである。
 ちなみに、後者の展開については人間の異常心理に注目した尾岳冬良が実際に人間を殺めて取材をしていた顛末と考えられる。

 また、尾岳冬良の一家が吸血鬼だったという結末を追補する状況証拠も殺人鬼説と並ぶ形で探索の中で発見できたりする。
 ただし、このシナリオは「死を招くベッド」とは違った意味でバッドエンド祭りであり、真相が闇の中に葬られることも多い。

 哲夫一話「不思議な登山者との遭遇」。
 「峰崎英二」が辿る末路の一つである。
 「谷村祐二」率いる某大学の山岳部の一員として峰崎は、ループ(?)する異常空間を打破すべく意を決して行動に出るものの、それが祟ったか急激に老化、果てはミイラのようになって倒れてしまう。

 そして、その入れ替わりとばかりに異常現象を引き起こしているであろう五十代くらいだけで構成された謎の登山グループの先頭に立つひとりが二十代くらいに若返っており、無言のうちにミイラ化した峰崎を列に加えて霧の中に消えていった。
 極めて不条理な現象であるが、グループの正体を含めて真相は一切明かされることはなかった。谷村たちは峰崎の犠牲あってか生還できたものの、一人脱退して一人加入する「七人ミサキ」のような内容でないのも気がかりである。

 由香里五話「遺跡で起こった事件」。
 変わったバイトが功を奏してか、話の中でうんちくを披露してくれることが多い由香里姉さんだが、この話も例外ではない。
 たとえば冒頭で「四神相応」について教えてくれたりもする。

 また、本題の遺跡発掘の話から派生する「骸骨」と「岡本のり子」さんの話を進めると「ミイラ」と聞いてなにを連想する? と問われ、この項の冒頭で挙げられたエジプトやイタリア、そして日本の「即身仏」などについて教えてくれたりもする。
 付け加えるなら、この際に軽く引き合いに出された「中国の美女のミイラ」は1980年にウイグルで発見された通称「楼蘭の美女」だと思われる。そちらは生前の顔立ちが判別できるまでに原型を留めており、確かに納得ではある。

 そんなわけで、由香里姉さんは遺跡発掘の一員として参加した際に、成果として掘り出された美しい骸骨を現地で目撃する。
 そして、それと隣り合わせで展示されることになった女性のミイラ目当てに博物館を訪れるのだが……。
 この女性のミイラ、年代測定の結果が当てにならず出所不明、考古学的な価値は乏しいものである。それでも展示されることになったのはこのミイラがやはり美しかったから、もしくは女性の幽霊が現れて展示するようせがむという怪現象が起こったため。

 折しも岡本さんは失踪しており、加えて骸骨を愛する岡本さんの願いをかなえてあげたとほのめかす怪しい男が由香里姉さんの背後に現れる。果たして真相は……? あなたの想像もしくは断固たる決断次第で推移する。

 『男怖』


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 『鳴七』「パーフェクトじいさん」ほかに登場。


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 「パーフェクトじいさん」。
 美味しいパフェ作りに心血を注ぐ謎の老人「パーフェクトじいさん」の秘密としてこのミイラが取り上げられている。
 実際にあなたの目で確かめてみないと恐怖は伝わらないと思うので簡潔に触れてしまうが、確かにあれだけ堂に入った製作工程を踏まえたて生み出されたミイラが入っているなら「一万円」という高額での提供も納得である。
 それと、あれを見た後だとどうでもよくなる話だと思うが、じいさんがどういった伝手で死体を入手したかは不明。

 それよりアイスやフルーツなどで構成されているハズのパフェのどこに、いかにも相性が悪そうな動物性蛋白の塊であるミイラが投入されているか気になる方もいるだろうが、やはりそちらも不明となっている。
 確かにミイラは経口摂取することもあるが、食用より薬用のイメージが強いこともあって想像力を刺激する話と言えなくもない。

 なお、普通ならショッキングなミイラだが、それでも「パーフェクトじいさん」の秘密の中では比較的おとなしめであると察せられる。人にもよるが、そのことがこのシナリオの恐ろしさとバリエーションの豊富さを物語っているわけである。

 「トイレの恋」。
 「室戸葵」さんの遺体がミイラ化していたという事例で語られている。
 死後一週間という、通常なら絶対にありえない短期間で干からび果てたのはなぜだったのか? 細田さんは、 


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無限ループ(むげん-)

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,AMC1,送り犬,学恋2,鳴七
  • 種族:現象,システム
  • 関連用語:異次元,無限廊下,永劫回帰など
 行動や空間が無限に繰り返される(ループする)こと。
 シナリオのギミックとしては非常にメジャーで、ホラーの題材としては地味に恐ろしい存在。

 単に選択肢の差分を用意出来なかったと言う理由で登場人物に不自然に同じ行動を繰り返し取らせることが可能と言うケースも存在するが、閉鎖された時空間に一人取り残されてしまう恐怖や孤独感を演出する上でよく用いられる。

 『学怖(S)』新堂二話、新堂七話、岩下二話、岩下五話、隠しシナリオに登場。

 新堂二話「飴玉ばあさん」。
 『学怖』限定。
 この話の中で新堂さんから繰り出される「飴玉ばあさん」の飴玉を食べたいかどうかという質問だが、食べたいと答えるまでは本当の本当になんべんでも新堂さんはしつこく聞いてくる。絶対に解放してくれないので素直に「食べたい」と答えよう。
 なお、『学怖S』ではへそ曲がりなあなた向けに、新たな分岐展開が用意されているので一安心(?)である。

 新堂七話「殺人クラブとの戦い」。
 このシナリオ中では主人公の行動の主導権はプレイヤーに直結している。
 そのため、プレイヤーの手によって主人公に無意味な繰り返しの探索行動を強いることも可能である。
 ただ、それで説明を終えてしまってはあまり面白くないので少し変わった観点から紹介する。

 たとえば、探索中に殺人クラブの部員との対決に移行し、彼らの一応の無力化に成功した場合、意味はないが「アンプルの場所」や「殺そうする理由」を聞き続けるなんてこともできる。時間制限があるので「無限」とまではいかないが。
 有名どころではあっという間に制圧できてしまった「風間望」を時間いっぱいまで何時間にもわたって殴り続けるなんてこともできる。それだけ殴られ続けてにらみ返すことができる風間の頑丈さは一部でネタにされていたりもするかもしれない。

 ただし、風間の場合は「逃がしてやる」を五回選ぶと本当に逃がしてしまい、返り討ちに遭ってしまう。
 メッセージや反応の差分を見る上では、二回も同じ選択を選べばこのシナリオは大部分を網羅できるのだが、風間さんを殴りたくなるプレイヤーと逃がしたいプレイヤーのどちらが多いと当時の制作陣は見込んでいたのだろうか?

 新堂七話「夢の世界からの脱出」。
 夢の世界で繰り返される殺戮、


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 岩下二話「無限に続く学校の廊下」。
 詳細は「無限廊下」の項を参照のこと。

 岩下五話「恋人達を引き裂く悪魔の公衆電話」。
 岩下さんを怒らせてしまった場合、主人公(男)に対して「繰り返される五話」というシナリオギミックを仕掛けてくる。
 それは、主人公がキスを迫る岩下さんを拒絶して突き飛ばしたことによって、机の角に頭を追いやって岩下さんを殺してしまったことに対する報復なのだという。どうやら死した岩下さんは主人公に呪いをかけたようである。 

 このフラグを立ててしまった場合、岩下五話を通常の手段で終わらせることはできない。
 話がオチを迎えようとするタイミングで、必ず話の初めに引き戻される。
 どのような選択肢とその組み合わせを選ぼうと絶対に解放してくれず、何十周と繰り返しても無駄である。

 この、主人公と岩下さんの一対一の対話から成り立つ隔絶した時空間が進展を見せるための条件はたったひとつ。
 繰り返される五話のさなかですべての選択肢の末尾に追加される「もうやめてくれ! と叫ぶ」の選択肢を選ぶしかない。
 その場合は「新聞部」部室から一転、永遠に続くと思われる真っ暗闇の中に突き落とされるという結末を迎えることになる。

 そんなわけで主人公に襲いかかった「呪い」という名の理不尽な現象なのだが、彼の精神を破壊するための幻覚だったのか、本当に孤絶した空間に閉じ込められてしまったのかは不明である。
 結果論として、はエコーする岩下さんの声を背景に「何もわからなくなり」 「そしてすべてが終った」、それが事実である。

 ただし「首吊り桜」の事例とは異なり、聞き戻し機能やロード機能が制限されているわけではないので正規の手段でなければプレイヤーがこの恐怖の空間から逃れ出ることは可能だったりする。
 もっとも、この場合の主人公はプレイヤーからすら見捨てられたと考えられなくもないのかもしれないが……。

 隠し01(男)「続・仮面をつけた制服の少女」。
 隠し01,02では繰り返される「七不思議の集会」が主たる例としてあげられる。


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 隠し02(男)「主人公の後輩 田口真由美」。
 隠し02は全68シナリオの総仕上げに使われただけあり、「学校であった怖い話(S)」の世界そのものがループ構造にあるという解釈すら成り立つ。
 広義に解釈すれば、語り部の話を繰り返し順番を変えては聞いて行くというゲームシステム・舞台設定すら一種の無限ループに過ぎないという見方である。
 いわばプレイヤーにとって心地良い拷問で、主人公にとっては最大の敵なのかも知れない。

 事実、坂上・倉田もこの世界を正面から相手にして、打ち勝つことが出来なかったことからも窺い知れる。


 『晦』哲夫一話、良夫七話、由香里三話に登場。
 もっとストレートに、実は死者だった一族が繰り返し終わることのない怪談を続けると言うモチーフが各所に見られる。


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 哲夫一話「不思議な登山者との遭遇」。
 「谷村祐二」率いる大学山岳部がとある山の登頂を目指していた時、霧の中で追い抜いても追い抜いても何度でも同じような五〇代くらいの年代で構成された登山グループとすれ違うという出来事が起こる。

 で、この無限ループの正体だが遭難者の霊が自分たちの遺体を見つけてほしいと願った結果という穏当な種明かしもある。
 ただし、ほかの展開ではおおむね不穏な結末に終わる。たとえば山岳部の一員「峰崎英二」がミイラ化して不可解な一行に加わることで残る山岳部の面々は脱兎のごとく逃げ出して下山できたりもする。
 また異なった展開ではふたつの登山グループの身体がいつの間にか入れ替わってしまい、谷村たち山岳部は大学生としての日常に戻る一方で、本来の谷村たちは別の身体で今も山を登っているのかもしれないと示唆する結末もある。

 また、山は時に「次元の狭間」というべき異常空間が開くことがあり一定区間を登ってもある地点にまで戻されるという原理が語られることもあった。
 この場合の五〇代くらいの面々は異常空間と化した霧の中で二〇年以上さまよっており、空腹や疲労で死ぬことはないものの加齢で今の姿になってしまったようである。その上、変わり映えのない日々に飽いた彼らは殺人を慰みにするようになったんだとか。

 結果として、襲いかかってきた連中を返り討ちにしたことが功を奏したか、谷村たち山岳部は無事下山できたようだが、以上の展開を総合すると無限ループから脱出するためには一人以上の人間がなんらかの形で犠牲になる必要があるようだ。
 ただ、上記の設定が働いているのかは不明だが、恐怖に駆られた谷村たちが先に登山グループを皆殺しにすると、因果応報というもので亡霊たちの逆襲にあって全滅してしまったりする。登山仲間の間での言い伝えと念押しされているが、不可解な話ではある。

 良夫七話「襲い来る謎の怪物」。


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 由香里三話「自殺した人々」。
 無限かどうかは不明だが、この怪談の席はすでに生者のものではなく死者となった前田家の七名によって幾度となく繰り返されているというバッドエンドが存在する。他にすることもないので、彼ら彼女らは七不思議を披露しあっているようだ。

 七回忌の夜に何が起こったのかは不明。泰明さんは白骨状態、由香里姉さんは梁から首吊り状態と親族の状態にも一貫性がない。
 余談だが、葉子ちゃんが聞き役に徹するのは脳味噌が吹っ飛んでいて思い出せないからという理由づけもつく。「七回忌の夜に怖い話をすると死者がよみがえる」といういわくを実行した当人たちがこうなってしまうとは皮肉この上ないが……

 『鳴七』「死を招くベッド」ほかに登場。


 「死を招くベッド」。


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 「うしろの正面」。


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無限廊下(むげんろうか)

  • 登場作品:学怖,学怖S,小学怖,極,鳴七
  • 種族:スポット(異次元)
  • 関連人物:岩下明美,細田友晴,元木香苗《噂》,NONAME,林吉夫,金田宗春《犠牲者》,加賀先生《?》
  • 関連用語:旧校舎,無限ループ,霊道
 端的に言ってしまえば迷い込んだがほぼ最後、永遠に続くかに思える廊下に閉じ込められる現象。または同名の話。
 この現象に巻き込まれる原因自体不明だが、主として人気も薄くなった放課後以降の時間帯に体験しやすいようである。被害者は学校の廊下から脱出できず長時間徘徊する羽目になる。下手を打てば白骨の亡霊になってなお脱出できないのだから徹底している。

 空間が引き延ばされているのか、それとも非業の死を遂げた霊に幻覚を見せられているのか、原理はその都度触れられたりもしくはまったくの不明であったりとさまざまである。
 実は「無限廊下」という通称は自然発生したもので初出の話の中で言及されたものではない(「無限の長さを持つ廊下」といった言い回しは存在する)のだが、この話もしくは現象を端的に言い表した言葉として定着したという経緯があったりもする。

 終わりの見えない恐怖、そもそも終わりがあるのかすらわからない絶望、しかも変わり果てた先住者がいた場合は最後の希望まで断ち切ってくるという三重苦が恐怖を誘うだろう。
 しかもこの無限廊下、発生条件自体が不明である。作品によっては「鳴神学園」特有の現象ではなく、全国どこにいても発生しうる普遍性を備えているかもしれない……という点が怖気を誘う。

 また、廊下が駄目なら階段を降りたり、窓を開けて飛び降りたりといった思いつきやすい対処法はおそらく意味をなさない。
 その辺も込みで異常空間の影響下にあるか、そもそも試すことさえできないか、話の中で触れられていないならきっと語るまでもないというところだろうか。

 『学怖(S)』岩下二話、細田六話に登場。

 岩下二話「無限に続く学校の廊下」。
 犠牲者は岩下も名前を知らず、いわゆる「NONAME」とされているが、仮名として主人公「坂上修一」が付けられてしまう。
 既に日が沈んでしまった学校から帰ろうとした「坂上くん」であったが、なぜか歩いても歩いても廊下の端が見つからず、異次元の迷路に迷い込んでしまう。そこで同じく遭難したらしい女生徒を見つけ、「優しい坂上くん」は彼女を背負いつつ歩き出すのだが……

 さてこの話の恐怖は「無限に続く廊下」だけではない。(またしても)語り部である岩下さんである。
 当初は仮名として付けられた「坂上くん」であったが、次第に「あんた」へと置き換わり、口調もズバリこちらを糾弾するようなものとなっていく。優しい人が好きで嘘つきや裏切りの大嫌いな岩下さんらしいネチネチとした語り口調は、怪談の内容よりも目の前の殺意を含んだ笑みを浮かべる岩下さんの方に、より一層恐怖を感じさせるものとなっている。

 種明かしのひとつとして、この話は体験者はもちろん、伝聞であるはずの話を聞いたものも無限ループしているように錯覚させられる……というものが存在し、岩下さん独自の脅迫的な語りにお墨付きを与えてくれるかもしれない。

 『学怖S』追加分岐。
 遠目ではセーラー服を着た長髪の少女のようにもみえるが、実際は……しなびた皮膚をした怪物(グラフィック付き)に追い回されるという分岐がある。この怪物、良く取って目がギョロついてる感じのオッサンにしか見えない。

 そんなのと意思疎通したくないのも事実だが、相手と言葉が通じないのは幸か不幸か。
 一定距離逃げ切ればなぜか砂のように崩れ去っていく救いはあるものの、今度は次から次へと同じような怪物に追い回され続ける。不気味なグラフィックもあいまって、こんなのに永遠に追いかけられるハメになったら……と考えると背筋も凍る恐怖である。

 細田六話「取り残された旧校舎の補習授業」。
 以上に挙げられた通り「無限廊下」は岩下二話が著名であり、こちらを指すことも多いが、細田六話にも同様の異次元が登場する。こちらでは本当に主人公が無限廊下に閉じ込められてしまう(=ゲームオーバー)になってしまう。

 奇しくも先生に居残りを命じられるシチュエーションまで同じであり、単数か複数か、一応発見されるか忘れられるかの違いはあるにせよ非常に似通った状況と言える。
 集会の序盤と終盤と言う違いもあり、こちらの無限廊下も侮れない。
 なにせ主人公自身も巻き込まれ、永劫にさまよう結末まで用意されているのだから。

 『小学怖』火曜日「無限廊下」に登場。
 語ってくれるのは霊能少女「元木香苗」。なにも知らずに通りがかった転校生相手に彼女の知る「無限廊下」のことを一応その危険が及ばない地点にまで逃れてから口授してくれる。
 場所については実験棟二階の廊下と明言されている。『学怖』および『極』ではそうと断言されることもあったが、少なくともここの無限廊下は霊道ではないらしい。 

 「加賀先生」、「林吉夫」、「金田宗春」という三例三名の事件と犠牲者が発生しているが、まともな証言が得られたのはこれを機に「無限廊下」の名といわれが実証された林くんの事例のみである。

 つまり「実験棟二階の廊下」で何が起こるかさえ本質的な意味ではよくわかっていない。
 ただし、なにかとんでもなく悪いことが起こるという予感だけは周知されており、特殊な価値観を持つ香苗ちゃんも何が原因で起こるかはわからないという前提も認めた上でそこは危険だと断言している。

 『鳴七』「無限廊下」に登場。


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蟲(むし)

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,AMC2,男怖,学恋V
  • 種族:
  • 関連人物:
  • 関連用語:蝶,ゴキブリ,サンブラ茶,動物霊,我慢クラブ
 外骨格で小型の生物を指し示す「虫」と同じ意味の言葉。
 だが「蟲」の場合は特別な力を持っていたりとさらに不気味なものとして扱われる印象がある。

 同じ字を三つ集めて一字として意味を協調するのは漢字の特徴だが、蟲の場合はたかっている印象もあってさらに不気味。普通の昆虫(ゴキブリや蜘蛛)程度ではあまり使われず、「蟲毒」など特別な呪法の漢字として使われる。

ゴキブリ

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,AMC2,学恋,特,学恋V,秘密
  • 種族:蟲
  • 関連人物:新堂誠《正体》,風間望
  • 関連用語:トイレ《出没》,我慢クラブ
 昆虫綱ゴキブリ目でシロアリ以外の総称。
 人家に潜み、残飯をあさり、黒光りするボディに「カサカサ」と言い表される挙動などから、当然害虫扱いである。主にトイレや軒下などの水気がある場所を好む。三億年前から地球に生息している古い種であり、海外ではあまり嫌われるイメージは無いが……やっぱりあまり目にしたくはない。
 所によっては愛玩用や食用に供されるというのだから実にわからない。

 シリーズでの扱われ方としては、不快感を演出する小道具としての役回りに留まる。
 だが、時にはシュール極まりないトンデモ演出の要として機能したりする。
 また、唐突に表れた黒いコイツを見た少女が女の子らしくおびえることでシナリオにちょっとしたアクセントを添えたりも。

 『学怖(S)』細田四話、荒井七話に登場。

 細田四話「新校舎のトイレツアー」に登場。
 やはりトイレ内に出没する。ただし、ここで出現するゴキブリはただの昆虫などではなくトイレから繋がる異空間の住人であり、新堂さんの身体を影ながらに気付かれないうちに乗っ取っていたようだ。
 細田さんの提案に横入りして主人公と個室で二人きりになった新堂さんはゴキブリ人間というべき姿をあらわにする。

 余談だが、『学怖』では新堂さんの一人称には「僕」が混じっており、正体を現すまでは彼らしくない嫌らしい口調だった。
 単なる表記ミスなのか、それとも中身が別人格になっているかの示唆かは不明だが『学怖S』では「俺」であり、彼らしい口調へと統一されている。こちらのバージョンだと演技は完璧ということなのだろう。
 補足すると意識を取り戻した後の第一声もきちんと「俺」になっているため、実は乗っ取られたままという危惧も消えた。

 定期的に意識を奪いながら新堂さんの体の主導権を握ろうとしていたようだが、ここで主人公を気に入って異空間の先に連れ去ろうとしたのが仇となった。主人公の決死のタックルを受けた新堂さんからは変なエネルギー体が抜け出て、彼は正気に戻る。
 その後、トイレから湧き出してきた無数のゴキブリから一同は全力で逃げ出すのだが、こんなことがあった後でも集会は続行されるのだった。なんともたくましい話である。

 荒井七話「生けにえはお前だ!」に登場。
 七不思議の集会から一夜明けて日野先輩に報告に行くと、その話の中で出席者に「荒井昭二」なんて生徒はいないという。
 ここで主人公が意気盛んに飛び出して出席者たちに話を聞くなかで、そのひとり風間さんに会いに行くと、なんと彼は巨大なゴキブリになっていた! なんてことはなく、単にゴキブリ型のマスクをかぶって主人公のことを驚かせようとしていたのだった。

 『晦』和子四話、良夫五話に登場。

 和子四話「むかし隠した宝物」。
 和子おばさんの提案によって、葉子ちゃんは宝探しをすることになる。
 なんでも葉子ちゃんは小さい頃、ここにいる誰かと一緒に前田本家の家屋のどこかに大切なものを隠したんだとか。

 そういったわけで泰明さんと一緒に宝探しをしていると、台所で唐突にゴキブリが出現!
 年頃の女ならやはりゴキブリには弱いようで、直前の甘いやり取りを忘れて逃げ出してしまうのだった。
 ただ、嫌いと言っても警戒しながら台所に二度足を運ぶことはできるので、良くも悪くも人並みに嫌いといったところだろうか。

 良夫五話「オバケ販売機」。
 食品への異物混入系の話が満載されている「オバケ販売機」だが、何も書かれていない銀色の缶を引き当てた場合はポタージュの中に「ゴキブリらしき虫の卵」が混入していたというパターンがある。
 哀れ成田は内臓の中で孵化した黒い小さな虫に侵され、激しい痛みを訴え病院に搬送されるも死んでしまったという話である。

 ちなみにゴキブリは卵鞘と呼ばれる俵や小豆に似た型の保護カプセルで柔らかく乾燥に弱い卵本体を保護する。
 これは薬品を通さない優れものであるが、さすがに胃液に浸されれば消化されるし内臓をうねらせるほど幼虫を大量に孵化させるとなれば、ポタージュに入っていて気づかれない程度の分量ではお話にならない。

 とはいえ、小学生の間で伝わる、これに限らず信憑性が極めて低い噂話について逐一ツッコミを入れていても仕方がない。
 一応擁護すれば上で挙げた反証も、もしそれが一般的なゴキブリではなく未知の虫だったとすればわからないでもないし。

 さらに付け加えれば、ゴキブリの生命力が「都市伝説」の中で過度に強調され、元々有する生理的嫌悪感と合わせることで怖気をもたらす怖い話が生み出されていったことは確かである。
 「オバケ販売機」から出てきたこの一事例もそういったものの中のひとつとして数えられることになるのだろう。

 『AMC2』『追加版』「我慢クラブ」「我慢クラブ(改訂)」に登場。


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 『秘密』「行かないほうがいい」「黒バラの城」ルートに登場。
 魔王少女☆あけみんこと「岩下明美」様といっしょに「黒バラの城」の内部を探索していたYチューバー「坂上修一」だったが、キッチンでは出くわすことが多いアイツを発見する。


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蝶(ちょう)

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,月下美人
  • 種族:蟲
  • 関連人物:仮面の少女,白井伝三郎,中山,真鍋ライカ
  • 関連用語:幽霊,夢
 二枚の大きな翅による儚くも力強い羽ばたきや、美しい紋様などから愛好者も数多い昆虫。
 古くから「夢」や「魂」となじみ深い性質を持つと伝承で洋の東西問わず語られており、故事成語「胡蝶の夢」などはその代表例だろう。トンボなどと同じく蝶は「死者の乗り物」もしくは「死者そのもの」とみなされる「魂虫」と言えるのかもしれない。

 ところで近縁と捉えられがちな蛾だが、どうも最近では一般的に相違とされる特徴に例外が続出しており、明確に区分することが出来ないでいる。
 そんなこんなではないが、愛好者も多いものの美しい模様の蝶のことを嫌う方は一定数存在するのは事実である。

 大量の蝶が舞う光景、それを不吉にも死肉啄むおぞましい光景と見るか幻想的に闇夜に舞う美しい光景と見るかはまさに人それぞれであるのだから。
 蝶と言えば蜜を吸うイメージがあるが、種によっては腐肉やアブラムシを好んだりと肉食性のものもみられる。
 そのため、シリーズ中ではグロテスクな後者の事例を採用するなんてこともあったりする。

 『学怖(S)』「仮面をつけた制服の少女」に登場。
 主人公(男)に向けあまた問いを投げかけた「仮面の少女」が去り際に見せてくれる化身のひとつに青い蝶の群れが挙げられる。

 詳細は「仮面の少女」の該当する節を参照のこと。
 ⇒「仮面の少女#仮面(ペルソナ)

 『晦』「不思議な人物・中山さん」に登場。


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 『月下美人』第一巻「蝶の道」に登場。
 老昆虫学者「白井伝三郎」氏が生涯を賭して心血を注ぐ題材がこちら「蝶」である。


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ミミズ

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,AMC2,追加,極
  • 種族:蟲
  • 関連人物:玉井佳子,成田《犠牲者》
  • 関連用語:ブペキッポ人《好物》,オバケ販売機《出没》,我慢クラブ
 土の中に潜んでいる生物。
 目も耳もなく、小さく細長い軟体の体には小さな口と肛門しかない。

 ミミズの居る土地は良く耕されてかつ土壌改良になるということで農家にはありがたがられているが、海外の一部地域などでは逆に悪影響をもたらしている場合もあるので、嫌われて害虫扱いされていたりする。

 さてその扱いだが、軟体ということを活かして蛇口などから噴出してオレンジジュースと間違われたりしている。他にも食材として我慢比べに使われたりと、なぜか食品に紛れ込むというイメージが多いようだ。
 [私見だが、有名な都市伝説「ミミズバーガー」はミンチ肉に似たミミズの印象から着想されたと考えられる。]

 『学怖(S)』福沢二話、風間五話に登場。

 福沢二話「血なま臭い水の謎」。
 精神を病んだ「玉井佳子」さんが先に挙げた例の異物混入という被害に遇っている。
 ここで、誰もが思っていながら口に出さないであろう台無しな事実を言ってしまえば。み、水(みず)……。
 …………………………………………、おそまつさまでした。

 [なお、蛇口からオレンジジュースというのは都市伝説……のはずだったのだが、ポンジュースが本当に作ってしまった。
 松山空港をはじめ愛媛県内の数か所には常設されているほか、期間限定のイベントで設置されていたりするので、興味のある人は夏休みなどに行ってみるといいだろう。]

 風間五話「謎に満ちた風間の秘密」。
 自分が地底人「ブペキッポ人」であり、見聞を広めるために地上にやってきた地上帝国の王子であるという事実をカミングアウトしてくれた風間さん。

 そんな風間さんは義眼を取り外し、デモンストレーションのために軽い地震を起こさせるなどした後、ふと思い出したおやつタイムで口に運んだのがミミズである。
 主人公のツッコミも内心で虚しく響き、軽く現実逃避をしようとも信じるしかない事実を前に次なる六話目に臨むのだった。

 『晦』良夫五話「オバケ販売機」に登場。
 食品への異物混入系の話が満載されている「オバケ販売機」だが、何も書かれていない銀色の缶を引き当てた場合はポタージュの中に釣餌などに使う「糸ミミズ」が混入していたというパターンがある。
 ただ「糸ミミズ」を飲み込んだとしても別に死にはしない、一生モノのトラウマになるだけなので「成田」が遭遇する可能性のある怪現象の中ではまだ大人しい方である。同じ蟲でも「ゴキブリ」の卵の場合は死んでしまったりもするし……。

 『AMC2』『追加版』「我慢クラブ」「我慢クラブ(改訂)」に登場。
 「我慢クラブ」部長「黒川茂」が新入部員の細田さんのための歓迎会で用意したバスケットの中身である。
 とは言え、ぱっと見で目立ったのは何十匹となくひしめき合っていた「ゴキブリ」のようだが、そのほかに「ムカデ」や「カメムシ」などといった不快害虫と並んで我らが「ミミズ」も名が挙げられている。

 ノルマは一人:五匹。
 なんの心準備もできていなかった細田さんは、ゲジゲジ、それからミミズを咀嚼させられる羽目になるのだった。
 なお、部員のひとりがゲジゲジやミミズは行けてもゴキブリは無理とコメントしている通り、上記にある面々の中ではまだマシな方である。とは言え、調理はおろか衛生管理がされているとも思えない生のミミズである。
 細田さんが一週間ショックで寝込んだのは、頭蓋骨を目にした精神的な原因だけではないのかもしれない。 

 『極』「福沢玲子シナリオ」に登場。


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娘は二歳(むすめはにさい)

  • 種族:同人誌
  • 関連用語:童貞
 はじめにことわっておきます。
 この用語辞典の敗北を認めます。
 暴力的なまでな各種フォントの使い分けには……。


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夢想荘(むそうそう)

  • 登場作品:AMC1,学恋,特,男怖,ナポin
⇒「夢想荘


紫犬(むらさきいぬ)

  • 登場作品:学恋,学恋2
⇒「紫犬


メンド・クサガリーナ

  • 登場作品:学怖S
  • 種族:セリフ(迷言)
  • 関連人物:岩下明美《迷言》,倉田恵美《言わした》
 岩下二話「夜の旧校舎を彷徨う霊」に登場。
 岩下さんが主人公(男)に向けて言い放った伝説の台詞「マメダマメオ」の親類(多分)にして、彼女を代表する迷言その2である。
 欧州系と思しいが、正確に何系の人名なのかは多分永遠の謎である。

 「忘れ物を学校にしてあなたなら一体どうする?」
 と、問われて「あきらめる」を選択すると呆れた岩下様が愛でるようにして主人公(女)のことをこう命名してくれる。
 ここで終わってくれれば、心温まる(?)一時なのだが、話の最後になってこの一言がじわりと効いてくるので注意すべきである。


モールス信号(-しんごう)

  • 登場作品:男怖
  • 種族:
  • 関連人物:吉村賢太郎
  • 関連用語:歴史部
 モールス符号とも。
 主に船舶通信などで使われてきた歴史ある符丁であり、短音(・〈トン〉)と長音(―〈ツー〉)の組み合わせによってアルファベットを示す。

 『男怖』第二章「計画」に登場。
 「歴史部」が遺した狭間の部屋探索記録を解読する中、モールス信号が暗号として浮上する。
 ゲームを遊んだ方なら誰しもが思うことだが、このゲーム最大の難関と言っても過言ではないポイントである。

 解読法自体はソフト付属の説明書に記載された早見表を見れば瞭然だが、「区切り方が分からない」・「間違うと強制終了」と言う二点が難易度を大きく跳ね上げている。『AMC1』「一番細田」と並ぶ初見キラーと言って過言ではないだろう。


モスクワ

  • 登場作品:追加
  • 種族:スポット
  • 関連人物:トイレのジョニーさん
  • 関連用語:
 いわずと知れたロシア連邦の首都。
 ロシア帝国時代、「サンクトペテルブルグ」に首都の座を明け渡したこともありはしたが、古くからロシアの政治経済の中心を担ってきた北国メガロポリス。
 その影響力の強さは一時期「モスクワ」を讃える歌がロシア全体の国歌とされたことからもわかる。 
 日本人にとってはタマネギ頭な大聖堂や「赤の広場」などが有名どころだろう。

 『追加版』「開かずの教室」に登場。
 在地の凶悪な怪異たちに圧されてまったく存在感がなくなった本来の「学校の七不思議」たちの指導のため、外部から鳴神学園に派遣されてきた花子さんの口からこの都市の名前がである。
 日本全国に配属された学校霊たちにとってモスクワはなぜか左遷の地として恐れられているようだ。流刑地に等しい扱いである。

 一応大国の首都なのに、なぜそこまで酷く言われているのか一応考察してみると、日本在住の霊(一応メリケン?はいるが)にとっては土地勘がないことと怪談の文化的基盤がないことの二点だろう。
 要は全くゼロの状態から開拓を命じられたと考えれば納得である。

 それから日本人がロシアと聞いて何を連想するかと言えば……、
 [あなたは「シベリアで木の本数を数えることになるだろう」。]


モテルンジャイ

  • 登場作品:男怖


モノノケ様(-さま)

  • 登場作品:晦
  • 種族:妖怪
  • 関連人物:
  • 関連用語:
 良夫六話「7つの不思議な話」に登場。
 年前、平安の世において人に仇なしていた鬼。
 どういうわけか娘ばかりを攫っては食い殺していた。
 しかし、都からやってきた侍に討たれ、地には平和が戻った。

 それから時は流れて現代。
 前田本家 近くの裏山 ここにたまたま遊びに来ていた女の子が古ぼけた石を見つける
 触れたその瞬間に響く謎の声、時を同じくして地中より出でたる骸骨の群れに襲われ、女の子が声に導かれるまま に水をかけると

 現れたるは烏帽子に をまとった時代錯誤な謎の男。
 人は彼のことをモノノケ様と呼ぶ。
 かくして、ここ現代に古の鬼は復活してしまった。
 [酒とかならまだ分かるが、石どけて水かけただけで復活するとかインスタント食品かよ! と言うツッコミは置いとこう。封印(?)が綻んでいたということで]

 で、このモノノケ様が最初に何をしたかと言えば、助けてくれた女の子を花嫁にした。
 ロリコン乙。
 [ちなみに、何かと誤解されがちなロリータ・コンプレックスの語源となったウラジミール・バーコフ著の『ロリータ』によると女児は下は九歳、上は十四歳まで。
 それを愛でる男子は最低十は上回ることが望ましいそうである。]

 で、この変態。
 その恩人でいたした後、良夫が言うには近隣の小学校から 高学年くらいの女の子を攫っているようである。
 ……まぁ昔の人(鬼だけど)をあまりいじめないでおこう。
 当時と結婚適齢期は今とはずいぶん事情が異なることもある。
 [恐ろしいことだが、江戸時代で二十を越えた女は既に「年増」と呼ばれていた。
 現代の常識が計れないのも当然の話である。
 さらに時代を遡って、近年センター試験で出題され猛威を振るうと共に一挙に知名度を上げた『恋路ゆかしき大将』では十一歳の帝の娘に恋をした二十五歳の公卿の話が取り扱われている。
 高名な『源氏物語』における若紫十歳の例を引くまでもなく、昔の日本人は早熟だったのだなあと嘆息するのみである。ただし、鵜呑みにはできない。むしろしてはならない。
 先の物語は鎌倉時代に成立したいわゆる擬古物語だが、この時点で公卿の行動に対する周囲の反応はドン引きである。重ねて言おう。 ド ン 引 き だと。
 ちなみに光源氏もなんだかんだ言って十四歳まで待っている。
 あの大将、成長を待とうと言う発想でなく、普通に幼子に恋焦がれている。結局、結ばれることには成功したが、中々に複雑な気分である。]

 だけど……ね。
 当時でも全然ノーマルじゃなかったよ! やったね。
 と、言うわけでこの小児愛好者(ぺドフィリア)どうにかしてくれ。
 == アパシーの孫の手は腕の立つ武芸者を募集しております ==


 さて、話を真面目な方向へ戻すと、結局この鬼のやっていることは食人である。
 花嫁などと雅ぶっているものの、恩人までも喰らいついて殺めている。
 ただし、ここで注意すべきは「花嫁」の意味である。
 詳細は異種婚礼譚の項を参照のこと。
 「鬼」が元々「死者の霊魂」を指していた事を考えると、花嫁に「死」を与えることはけしておかしなことではない。
 「生贄」のことを「神の花嫁」と言い換える事例も他方では存在していたりするが、そちらの観点で言うなら「送り犬の花嫁」財部美穂は非常に危うい瀬戸際に立たされているのかも知れない。

 ただし、そちらモノノケ様の事例では
 になるまで髪を伸ばさないと言う約定をかけ、
 実はこれも「約束を果たしたから迎えに来た」のではなく、「約束を果たさなかったら会いに行けない」と順序が逆であった可能性がある。
 神、妖と言う存在は我々人が捨て去った見立て 未だ生きているのかもしれない

 「本物の良夫はどこにいったのか?」と深く考えなければ結構な名EDと言えるが、他の結婚エンド同様バッドエンドである。「結婚は人生の墓場」と言う言葉を『晦』は体現している。
 長い良夫六話目において一度は引っかかるトラップとして機能している。
 物語に深く関わろうとすれば、もう一度


 (執筆者募集中) 



モモちゃん

  • 登場作品:小学怖,極
⇒「モモちゃん



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  • 「無限廊下」の項の『秘密』「「先生、好きです」と告白する」ルートの節の記述ですが、それらしい展開や記述が見当たりませんでした。人気がないという描写一点で無限廊下ないしそれに類似した現象が発生しているとは断言するのはあまりにも牽強付会だと思われます。 -- 名無しさん (2022-02-27 17:10:37)
  • 時計、時間間隔が狂っているなどの状況証拠と合わせれば仮説として取り上げるくらいの記述でしたら問題ないとは思われますが、いずれにしても根拠として弱いのでは? と提言いたします。 -- 名無しさん (2022-02-27 17:15:06)
  • ↑お時間かけて書いていただいたのに申し訳ないですが、同意です。 -- 名無しさん (2022-03-09 21:09:27)
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最終更新:2024年04月04日 08:38