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及川由紀(おいかわ ゆき)

  • 登場作品:VNV,学恋2,特,新生,月下美人,鳴七,稲in
  • 種族:人間ほか
  • 職業:鳴神学園高校 三年A組
  • 誕生日:7月12日
  • 身体:174cm/59kg ♀ B型
  • 趣味:ピラティス
  • 好きな/嫌いな食べ物:ベーグル、生ハムサラダ/肉の脂身、カエル
  • 関連人物:岩下明美《クラスメート》,佐藤直之《クラスメート,横恋慕》,本田佐知子《クラスメート,犠牲者》,細田友晴,黒川茂,荻島貫,菊池信彦《部活》,横峰佐登司《クラスメート,部活》
  • 関連用語:嬰児,座敷童子
 岩下さんのクラスメートでもある女子生徒。
 はっきり言ってしまえば、女の嫌なところを煮詰めてお出しされたような人物である。

 近くから見ている分に彼女の性格はわかりやすいといえばわかりやすいのだが、表面上は男に甘えた特徴的な甘ったるい作り声が目立つ。その分、周囲に感情剥き出しで当たる本性とのギャップが激しい。目鼻立ちのしっかりしているタイプで内面を示したようにかなりきつめの風貌をしているとかで、美人というよりは派手な顔立ちだという岩下さんの評に頷いた方は多いかもしれない。

 高校生の癖して散々遊んでいるらしく、割り切れば後腐れなく付き合えるタイプらしい。
 簡単に言ってしまえば典型的ビッチである。もっとも、それは良くも悪くも我を確立している男子にのみ言える事であり、意志薄弱な男や馬鹿な男はしっかり騙される。
 しかも始末に負えないことに及川さん自身の我やプライドも強い。彼女目線の格下相手に恨みを買ってもなんらかの報復に走るなどタチが悪く……、要は悪女であることに変わりはない、そんな女性である。

 ただし、悪さも突き抜ければ強さに転じるのか『鳴七』以後は強い女――、ある種の女傑として描かれる機会も増えている。「佐藤直之」という呪いの装備が外れたことによって大きく飛躍したと考えれば、奇しくも本田さんと立場は同じなのかもしれない。

 『VNV』『特別編』「偽りの愛」「偽りの愛(改訂)」に登場。
 初登場作品。
 級友の岩下さんの冷徹な観察眼に従えば、何でも欲しがるような卑しい人で、特に人の持ち物(挙句は人間関係!)に手を出しては喜んでいたらしい。

 この人が「佐藤直之」と「本田佐知子」の間に割り込んだことから「偽りの愛」で語られた三角関係の惨劇が巻き起こされることになってしまう。
 佐藤くんを誘惑して本田さんから引き離し、しばらく遊んだら飽きて放り出す。佐藤くんが元鞘に戻ったと見たら再びモーションをかけるが、流石に戻っては来なかった。

 すると、及川さんは今度は定番の「妊娠」がどうこうで佐藤くんを揺さぶる。
 及川さんが予想外なほどに動揺してしまった佐藤くんは「自殺」してしまうが、これで泣きわめいたところで誰も及川さんに同情はしてくれなかった。
 だからといって無責任に騒ぎ立てたクラスの皆に裁きが下るということもなかった。

 劇的なことも起こらず、事件はひっそりと忘れられ……、
 たりはしなかった。
 本田さんは佐藤くんの赤ちゃんが欲しかったらしく、及川さんを拉致し、彼女の子宮を手にいれるため解剖実習を行うに至る。
 [うん、「カエル」はやり過ぎだと思うんだ。本田さん。]
 本田さんは万全を尽くしたのだが、残念ながら及川さんは天に召されてしまった。合掌。

 ちなみに旧小説版における彼女の挿絵はかなり丸い。
 「赤川哲也」とタメを張るくらい丸い。なぜ彼女をこんなに丸くしたのか疑問は残るが、当時の挿絵担当者「南部佳絵」は後の『藤丸地獄変』にて異形デザインに定評を残すことになる。

 『学恋2』風間編「岩下」ルートに登場。
 風間さん(マザーカ)が宇宙人特有のズレた感性に従って岩下さんとの交流を深めていくと最後に及川さんの出番がやってくる。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 なぜか本田さん謹製の及川さんの解体ショーを風間さんは岩下さんといっしょに見学することになったのであった。
 ……要は「偽りの愛」のクライマックスパートの再演といえる。
 ただし相違点として今回の及川さんの正体は記憶をなくして自分のことを地球人と思い込んでいるスンバラリア星人であり、「地球破壊爆弾」が胎内に埋め込まれていた。

 そんなわけで解除条件を踏まえて、風間さんは本田さんの役割の多くを代わりに担い、首尾よく事を運んでいく。
 「長官」から送られてきた高性能の「カッターナイフ」を用い、一気に捌く!

 確かに元々のシナリオにもかなりのブラックユーモアは入っている。
 が、このイベントでは登場する四人のキャラすべてに、ちょっと・やや・とても・えらく、サイコな要素が入るという輪にかけてとてつもない状況が発生した。当の及川さんを除いて、誰一人として彼女のことを心配していないと言う凄まじさである。

 とは言え、及川さんが地球人として最低の行為を働いたのはこのシナリオでも間違いないだろうし、むしろ完全な自業自得なので別に同情はできない。地球の命運がかかっていると言え、同胞をノリノリで切り刻んでる風間さんは自重すべきかもしれないが。


 ちなみに『学恋2』攻略本に及川さんのラフな絵が載っており、「ひどい話だわ」とコメントを残している。
 確かに酷い扱いである。せっかく身体の奥の奥までさらけ出すエログロ担当なのに、今回はCGが実装されていないのだから。

 『新生』「修学旅行の一夜」に登場。
 同学年でも有名な美人のようで、岩下さんを筆頭にした三年A組の班員として名前が挙げられた。
 ただし、岩下さんが神田さんグループのところに来てくれたというその夜に、及川さんが関わったどうかまでは定かではない。

 『月下美人』第一巻「地獄屋敷」に登場。
 公私混同した「黒川茂」部長の命による「我慢クラブ」入部試験として細田さんは例の部活への入部を懇願すべく彼女と接触を図る。
 そこからの交流は比較的短期間で終わったものの、細田さんをはじめとした「我慢クラブ」のメンバーはいいように振り回される羽目になってしまった。

 性格は相変わらずである。特に今回は彼女目線では格下と見なせるうえ、いいように動かせる男たち複数と関わるためか高慢で居丈高、下品な女王様を思わせる言動の下に一貫して動く。
 特に細田さんと黒川部長に対してはギャグを疑うレベルで辛辣である。

 初対面、というより話しかけてもいないうちから、近づいてきた細田さんに暴言を吐いて寝込ませるのだから徹底している。
 一方で、ある程度容姿のレベルが高い、将来性があると察した男子には態度を甘く変えた。
 地位や社会的ステータスにも弱いなど、冷徹で気高い岩下さんの目線では見えてこなかった彼女の俗物根性はあけ透けである。

 ただし、肝は据わっているようで彼女の主導で「地獄屋敷」に一同が参加した際は、及川さん自身も臆さず屋敷内部に突入している。
 その際に明らかな怪奇現象を体験しているのに、意味不明なことを言われただけとして一笑に付して情けない男たちを背に去っていくのだから何ともたくましい。
 もっとも、彼女の身に待ち受ける運命は皆さん知っての通りであるのだが……。

 『学恋4』に名前のみ登場。
 何のとは言わないが、日野さんが候補に挙げた女子の一人。
 確かに一見挙げられた女子の中では最も可能性が高いように思えるが、誰からも見向きもされていなさそうな当作品での日野さんたちでは相手にされなさそうである。

 『秘密』「このままおとなしく成り行きを見守る」ルートに登場。
 そもそもが「夢オチ」だということを先に断っておく。
 正体を現した「ヒデブ人」に蜜田さん(とピギーちゃん)共々食べられてしまった犠牲者A。

 食べられる様子を坂上くん荒井さんに実況解説されるのみで、立ち絵もセリフも無い出演だが、七不思議の集会にゆかりのある人物の一人としてこの場に集まっていたようだ。

 『鳴七』「ヒナキちゃん」ほか多数のシナリオに登場。
 各所に顔を出すが、「悪女」という従来のイメージを崩すことはない。
 シナリオ上では硬軟使い分ける不良として動くほか、自分のエゴに忠実な女生徒の役が回ってくることも多い。
 作中ではおおむね単独で動くため描写されていないが、そんな及川さんの勇姿(?)に憧れる取り巻きもいるにはいるんだとか。

 主としては「自業自得」を絵に描いたような強烈なしっぺ返しを喰らう犠牲者枠なのだが、性格が悪いため読後感を損なうこともない名悪役女優と言えるだろう。
 出演頻度がかなり高いうえ、語り部の多くの話中で登場するため、一周回のプレイの中でも複数回死亡かそれに近い結末を辿ってしまうことが多かったりする。及川さんが本当にたどった末路はどれなのか? 考察してみるのもいいかもしれない。

 また、初登場の『VNV』以来、因縁深い「本田佐知子」との絡みも印象深い。
 本田さんのことが気に食わないのかいじめていることが多いが、そんな本田さんもただ黙って耐えるばかりの女ではなく……。

 「ヒナキちゃん」。
 某N君の甘言に引っかかって、ド田舎に来てしまった鳴神生のひとり。
 なぜこんなところに来たのかは語りの倉田さんが疑問に感じている通りなのだが、同じくクラスメートの本田さんをいじめることでその憂さを晴らしていた。そのくせ雇い主には猫を被っていい顔をしながらババを本田さんに押し付けるのだからたまらない。
 しかも本田さんが虐待に耐えかねて弱ると、及川さんはその矛先を下級生である赤川くんと袖山くんに向けることになる。

 しかし、本田さんは毎夜「ヒナキちゃん」から教わったと思われる謎の粉(ムカデほか大量の「」を粉末にしたもの)を謎の呪文込みで及川さんの耳に流し込む。結果、及川さんは毎日寝込むことになってしまうが、儀式の本領は別にあるようで……?

 「死を招くベッド」。
 「緒田」さんのエピソードを踏襲している。
 ほぼ無傷で済んだとはいえ、事故に巻き込まれたという事情あってか、やはり機嫌が悪い。態度も悪い。性格はもっと悪い。

 謎の「」による圧搾死という新たなる死因が語られるほか、「無限ループ」する時空間にも不条理に取り込まれてしまう。
 一見似通っているようでいて、緒田さんのケースと比べても理不尽度が跳ね上がっているのは気のせいではないだろう。

 これらは及川さんについて事前に知っていようとも、残念ながら当然というのもはばかられる仕打ちかもしれない。 
 ただし自業自得に端を発して凄惨な最期というコンボをキメがちな彼女としては珍しいことに、選択によっては元々の緒田さんの持っている強キャラ設定を引き継ぎ、無双したりもするのだった。

 「恋愛教」。
 「天音瑞希」さんのエピソードを踏襲している。
 本田さんの宝物であるカバンを奪い、仲間と共に旧校舎で指導という名のリンチを行い、本田さんを助けに駆け付けた「中山真美華」さん共々、深手を負わせる。

 元のシナリオからの相違点としては、立石さんと天音さんの因縁が本田さんと及川さんという強烈な個性の持ち主のふたりに引き継がれたことにより宿業がより色濃くなったところだろう。
 リンチにより命を落とした本田さんは幽霊となって及川さんの前に現れ、及川さんが奪い取ったカバンにあることをするよう要求を突きつける。要求はたったひとつ、極めて短節に語られたものだが及川さんがそれをはねのけるや否や……?

 そうして辿った及川さんの末路は、「偽りの愛」を想起させる凄惨なものである。
 いくら『鳴七』でもこれほど無惨な死にざまを表示するのは無理筋というもので一枚絵が表示されることはない。
 プレイヤー各々の脳内で補完されたし、といったところだろうか。 

 「命の値段」。
 「大川百合子」さんのエピソードを踏襲している。
 自分の幸せのためなら墓荒らしさえ厭わない強烈なエゴイストっぷりがとても似合う女性であり、報いも含めて大川さんとはやはり共通している。ただし結末が変わっているところも多く、特に「前世」にまつわる奇妙な運命に巻き込まれることが多い。


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 「交換日記の怖い話」。
 「安条ミルク」さんのエピソードを踏襲している。
 安条さんも大概な人だったが、代わりに登板した及川さんは性格の悪さという一点では太鼓判が押せる人物である。

 家が火急の危機にさらされていることで切羽詰まっているのだが、元木さんに助けを求めたくだりからしてどうも高飛車さが抜けていない。が、やはりというべきか以後の経緯から続いて陥る悲惨な最期は安条さんと共通している。
 こんな人間だろうと向こうから求めてきたならお友達にしたいと考えるのだから、元木さんは危なっかしいやらなんとやら。

 他方では及川家の後ろ暗い事情を知っており家の繁栄のために元木さんたちのことを犠牲にしようとする展開が追加されていたりもする。この場合は生き汚さとたくましさで安条さんの比ではない及川さんだからこそ、取れる一手といえるかもしれない。
 それと、もし仮に及川さんがお嬢様だとすればこんな性格になってしまった理由も散々甘やかされてきたとかで納得できるかもしれない。もちろん、この七話目で出会える及川さんもあくまで可能性の一つに過ぎないと断った上での話に過ぎないとして。

 「殺人クラブ
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「及川由紀」はその中のひとりであり、三年教室棟一階の女子トイレにいる。


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 『稲in』に登場。
 坂上修一の足跡を求め「七不思議の集会」の出席者の居場所を訪ねてあなたは鳴神学園構内を歩く。
 そんなあなたが岩下さんの所属クラスである「三年A組」の教室を訪れたところ、向こうの方から因縁をつけてくる。
 カツアゲの要求を下手に受け入れても突っぱねてもロクなことにならないが、少し粘っていると同クラスの「緒方真紀」さんが助けてくれる。

 緒方さんと二、三鞘当てしたのち、あっさりその場を退いてくれた。どうも及川さんは「鳴神学園」にヤバい怪異や人間が偏在していることを知ったうえで不良として順応しているようだが、それゆえに引き際もわきまえているということなのだろう。


大内光(おおうち ひかる)

  • 登場作品:ドラマCD,鳴七
  • 種族:人間,
  • 職業:鳴神学園高校 二年生(三年生)
  • 関連人物:日野貞夫,朝比奈慎也《部活》,桃瀬毬絵
  • 関連用語:新聞部《所属》,宇宙人《敵対》,転校生
 『ドラマCD』「鬼ごっこ」に登場。
 去年の秋、当時は二十名以上の大所帯だった「新聞部」にやってきた帰国子女の「転校生」。
 大手新聞社の海外特派員だった父に連れられて、生まれてからずっと海外を点々としており八ヶ国語を喋る才子に育つ。

 そういった縁もあって鳴神学園の新聞部にやってきたようだ。
 高い語学能力と、あわよくば新聞社のコネクションを、などと下心を抱えつつも新聞部の一同は当初彼の加入を歓迎する。
 しかし、新入部員であるにも関わらず、さっそく彼の裁量で任された企画は「日本の遊び」延いては「鬼ごっこ」というテーマで推移するものの、なかなかうまく行かずにほとんど頓挫してしまう。

 周囲の部員の態度も冷笑に一変する中、部長の「朝比奈慎也」は大内のことを非常に気にかけていた。
 ひるがえって大内は思いつめたのか数日不登校になってしまうが、再度登校してきた時は雰囲気が一変していた。
 そして彼は鬼ごっこに人減らしにまつわる伝承を絡めた企画を提案し、それが学校新聞の内容にそぐわないと部員全員から反対されるや、今度は負けた方が言うことを聞くという内容の「鬼ごっこ」をやらないかと賭けを持ち出すのだった。

 大内ひとり対約二十名という圧倒的に有利な状況を向こうから言い出された新聞部部員一同は大乗り気。
 ひとり大内のことを説得にかかる朝比奈部長をよそに、深夜の学校に忍び込んでの鬼ごっこが幕を開けるのだが……。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 なんと、開幕早々に大内光が本当の本当に二本の角が生えた筋骨隆々の「」になってしまう。
 直前まで説得していた朝比奈部長を皮切りに、恐怖で周囲に散った新聞部員たちを一人、また一人と血祭りに上げていく大内あらため「鬼」。その魔の手にかかり新聞部員たちは日野副部長一人を残して全滅してしまった。

 と、ここにきて遊び心を出したのか、鬼は日野さんに対して夜明けまで待ってやると恐ろしい声で宣告する。
 恐怖に震え上がる日野さんは残された五時間で迎撃の準備を整え、「校門」で待ち受けるのだがやはり一蹴されてしまう。
 万策尽きたかに思われた日野さんだったが、ここで旧校舎の壁に空いた謎の異空間を発見、身を隠して鬼の目をかいくぐった上で、鬼を中に押し込んで倒すことに成功したのだという。


 九死に一生を得た日野さんだったが、一夜明けて朝比奈部長を含む新聞部員たちの痕跡などはなかった。
 そして朝比奈部長が控えめで冷静で驕ることのないすごい人物だ、などと評した大内がなぜあんなことになってしまったのかもわからずじまいとなった。

 信憑性に欠けると知った上で「七人目」として以上の話を語った日野さんは、「旧校舎」で話の中で出た現象がまた起きると説明し、語り部たち六名と、数少なくなった新聞部の後輩である坂上と倉田を現地にいざなうのだが……。

 (さらなるネタバレにつき格納)

+ ...
 実は上記の話は大筋では合っているが、部分的には嘘であると考察できる。
 なぜならば、日野貞夫は自分たち一年前の新聞部員の正体が「寄生型宇宙人」であることを伏せた上で、寄生先となる地球人たち(集会の出席者)を母船に誘導するために、上記の話をしたためである。

 具体的には「大内光」は「鬼」の一族であり、正体を隠して新聞部に潜入し地球人にとっての敵対的存在の巣と化した「新聞部」を殲滅にかかったというところまでは確定である。新聞部に馴染めなかった経緯が、嘘か真かまではわからない。
 また、実際に鬼と会敵した宇宙人がどのような戦闘を繰り広げたかまではわからない。日野さんの話には脚色が入っている。
 結果として、大内は返り討ちに遭ったものの宇宙人たちは日野貞夫一名を残して全滅したこと、それがすべてである。


 『鳴七』「実験室の白髪鬼」ほかに登場。
 今回は学年を「三年生」に変えての再登板となる。「岩山康夫」の要素・エピソードが取り込まれた。


 「実験室の白髪鬼」。
 「岩山康夫」の要素・エピソードを踏襲している。


 (執筆者募集中) 




 (執筆者募集中) 


 「殺人クラブ」。
  このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「大内光」はその中のひとりであり、「三年F組教室」にいる。
 坂上からは日野のクラスメートという認識であることから、このシナリオ中では新聞部員ではないことが察せられる。

 海外から転校してきた際にも世話になったとかで日野への評価はすこぶる高く、彼の裏の顔には気づいていなかった。
 そのため坂上も突っ込んだことは聞けず、話を切り上げている。

 [彼の手先の器用さがあれば首輪の鍵を探すまでもない気がするが、坂上が彼の錠前破りの実力を知る機会がないこと、またこのシナリオ中でそういった技能を備えているかどうかも不明なため、そのような話にはならない。
 また、首輪の鍵はどう考えても一般的な扉の鍵とはかけ離れた特注のもので、しかも爆発の危険を常に内包している。
 もし、大内が全面協力してくれたとしても数時間で解体することはまず不可能だろう。]

 例に漏れず怖い話を聞いた場合はしっかり教えてもらえるが、この場合は『ドラマCD』版で彼が語った「鬼ごっこ」のルーツをより詳細な形で触れていく形となる。話の前提や語り手が異なるため、話がそこからの発展を見せることはない、


大川大介(おおかわ だいすけ)

  • 登場作品:VNV,AMC1,学恋,学恋2,特,学恋V,新生2
  • 種族:悪魔(ヤンデレ)
  • 職業:鳴神学園高校 三年H組
  • 関連人物:綾小路行人《恋心》,風間望《好意》,山本三郎《知人》
  • 関連用語:インキュバス《正体》
 圧倒的嗅覚の持ち主「綾小路行人」の不幸の根源として彼の前に立ちはだかる肥満体の男。
 脂ぎって不潔そうな外見に違わず、全身からこの世とは思えないような悪臭を放っている。外見と体質だけがクローズアップされがちだがその性格も相当なものであり、見た目通りのふてぶてしい立ち振る舞いと妙に女々しい態度が不快感を振りまく。

 見目麗しい綾小路のことを明らかな恋愛対象としてみている同性愛者である。
 さしずめ「美女と野獣」ではないが、嫌がる綾小路をそっちのけて強烈なアプローチを繰り返している。
 そんな彼の正体だが、いまさら隠しても仕方ないし、全作品で彼の設定はほぼ一貫しているので断言しておくが悪魔である。
 彼の発言からすると、死後に(おそらくは人間から)悪魔へと変じた存在であるらしい。

 人間を消し炭にしたり腹が異次元に繋がっていたりと人外らしさも発揮しているが、上には上がおり「下級」のただし書きが外れることはない。ただ、本人は能天気の極みなのかそれともそういう処世術を身に着けているのか結構自由に振舞っている。
 見るからに愚鈍な外見と振る舞いの通り、意外や人間に言いくるめられてしまうこともある。実際の彼が頭が回るのか、綾小路相手に講じた策は渾身の出来だったのか、それともお目当ての人間を手中に入れて以降は慢心しまくっているのは不明である。

 そんな大川だが初登場以来、綾小路の出演する作品には彼の影がつきまとうことになり、着実に登場履歴を積み重ねてきた。
 ただし、綾小路が独自の個性を発揮し、基本設定から外れていくとセットで出てきた彼の影も薄れていくことになる。

 愛しの彼に近づくものを容赦なく炭にしている辺りヤンデレと言えなくもないが、美少年と悪魔(インキュバス)でBLとか誰が得するんだろうか。
 実に味のあるキャラである彼だが、お盛んな二次創作でも「ダイノジ×ユッキー(『AMC1』で彼が提唱した互いのニックネーム)」のCPを発見できない辺り、その辺を如実に現しているかも知れない。
 一応、色恋沙汰以外ではユッキーの意志を尊重しようと言う気持ちなどはあるため、場合によってはただ愛し方が歪んでいるだけの悪魔と言えなくもないか。

 『VNV』『特別編』「かぐわしきにおひ」「かぐわしきにおひ(改訂)」に登場。
 初登場作品。
 唐突に三年H組に転校してきて、始終図々しい態度で綾小路に付きまとっては彼を何度も天国に送りかけている。
 悪臭体質を踏まえて誰も関わりたくないのか、触れたくもないのか、いじめられる対象にさえならなかった。

 なぜか豪邸に住んでいるようだ。
 ただし、後年の作品でこの設定が触れられることはほとんどない。

 なんにしても綾小路は大川の策によって周囲から切り離された孤立無援の戦いを強いられる羽目になる。
 大川の行動は天然に見えて半ば計算混じりのものだったのか、綾小路の精神は着実に追い詰められていくことになる。その上で最後に綾小路がすがった手段「悪魔召喚」は実は悪魔だった彼の土俵だったことがラストで判明し、綾小路はとどめを刺される。

 綾小路はなんの見返りもなしに死後魂が大川のものになるという詐欺過ぎる契約を結ばされてしまうのだった。
 このままでは生前はもちろん死後に至るまで、大川は綾小路のことを愛玩し続けることになる……。

 余談ながら「デブ」「眼鏡」「図太い性格」「臭い(口臭)」「親が金持ち」「気になるお相手に死後もなお付きまとうことを企んでいる」……そして「同性愛の気がある(異性に興味のない人)」という性質は「玉井佳子」を彷彿とさせる。
 [一応、玉井さんの名誉のために追記しておくと、後年の『極』ではフォローは入っている。]

 『AMC1』「新語り部集結」ルート、「人間狩り」ルートに登場。
 『VNV』に続き、綾小路が躍進するのだが、その際にセットになっている彼・大川大介もまた出番に恵まれることになる。
 ちなみに綾小路は大川から弱みを握られながらも「悪魔召喚クラブ」を立ち上げるなどして悪魔たちの討滅を狙っている。
 ただ大川はどこ吹く風で綾小路のことを追い回している。彼が企みを知らないか、知った上で高を括っているのかは不明である。 

 「新語り部集結」ルート。


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 「人間狩り」ルート。
 人懐っこい態度を取り、大悪魔である「山本三郎(ベリアル)」からも顔を覚えられており「兄ィ」と慕うなど世渡り上手なところを見せている。ただ、意中の人以外の人間には興味関心が薄いのか、その場のノリで危害を加えてきたりもする。

 意外と沸点も低いようで綾小路に害を加えようとした細田友晴相手には激怒し、ついでにそこに居合わせた倉田恵美のことも消し炭に変えてしまう。後者に関しては綾小路の企みを察知して、ついでに山本さんのアシストも兼ねた一手とも考えられるが不明。
 天然なのか計算なのか、意外と真意を悟らせない。加えて下級とは言え悪魔の持つ力をプレイヤーに誇示するなどしている。総じて登場した場合はやりたい放題のままこのルートにおける殺人クラブの一番手「細田友晴」の出番を締めくくり去っていく。

 ちなみに細田の認識によればイケメンの綾小路と相思相愛なデブのアイドルとして勝手に崇められていた。
 が、大川としては知ったことではなかったらしい。暴走した細田の扱いは前述した通りである。


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 『学恋2』風間編「細田」ルート、「綾小路」ルートに登場。
 風間と綾小路の縁にくっついて登場した大川だが、腹の中が異次元空間に繋がっているなど、変な設定が追加された。
 下級悪魔のくせに大邸宅に住んでいるとか原子爆弾にも耐えるとか、スペック高すぎな気がしないでもない。

 また、細田さんと体形つながりでコネクションを築くことになった。
 細田さんは勝手に彼のことを「デブのアイドル」として崇めているが、正直悪魔悪臭的である。

 「細田」ルート。


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 「綾小路」ルート。 


 『学恋V』「倉田」ルート(女性)、「綾小路」ルートに登場。
 主人公にとって綾小路をネタにするかお付き合いするかの違いはあるが、大川がその間に立ちはだかる障害としての役割を持つことは変わらない。
 前者のルートで、主人公は彼のことをあまり頭は良くなさそうと評しており、実際上手く言いくるめることもできる。
 [詐術の才=悪魔の格と捉えるなら納得の話である。]
 実際『学恋2』では風間の説得に容易く応じていた。

 が、


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大川百合子(おおかわ ゆりこ)

  • 登場作品:学怖,学怖S
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 三年H組
  • 関連人物:岩下明美《クラスメート》,岡崎幸枝
  • 関連用語:ラピスラズリ《所有》,ルーベライズ《所有,犠牲者》
 岩下六話「幸せの石・ルーベライズ」に登場。
 「パワーストーン」の神秘の力に魅せられ、絶大な力を持つといわれる「ルーベライズ」の存在に行き当たった女子高生。
 岩下さんは彼女をわがままな人などと斬って捨てたが、こう言う人に限って、あり余らんばかりの行動力を持ち合わせていたりするのだから困る。

 偶然が手伝ったとは言え、自分が生まれる前の話から情報を集めると親族に渡りを付けて良いように言いくるめ、または墓荒らしを決行してしまう。
 そのレベルなら、当然力のベクトルは負に傾くにせよ相当なものだろう。
 岩下さんではないが、これだけの労力を自分磨きに使えれば普通に輝けたはずである。ただ、この類の人は普通の努力にすることを考慮に入れない。
 単に願いを叶える手段が他力本願の妄想だけなら害は無いのだが、肝心の宝石が願いを叶える本物であったため収拾の付けなさに拍車を駆けた。

 死者を冒涜する行為を働いた彼女は自業自得か、所有者だった「岡崎さん」の呪いに巻き込まれて死んでしまうことが多い。
 が、首尾よくルーベライズを手に入れても幸せになれるとは限らない。
 「最高の幸せ」を祈ると、酷い性格の大川さんは早く死んだ方が幸せとルーベライズに判断され、死んでしまう。
 確かに、彼女みたいな人は早く死んでくれた方が人類のためにも幸せだった。

 彼女が生き残る唯一の展開は地味に大迷惑である。
 石の力を有効活用した彼女はどんどん幸せになっていく。
 岩下さんが語りの中でさらりと、石の願いなど関係なく彼女が自分でやった風に流しているのはズルいところである。さり気なくではあるが、「他人を殺してでも幸せになる」と言う岩下さんの哲学を実践しているのも怖い。

 挙句の果てにはそれでもまだ幸せになれていない、不幸だと思った彼女はとてつもなくはた迷惑な願いを石に向けてしまう。

 どうか、みんなを不幸にしてください

 幸福と言う概念には実体がなく、実感だけであるからこそ嫌らしい。
 考えれば考えるほどドツボに嵌る「呪い」と言って良いかも知れない。

 また、大川さんが現役でこの学園の生徒をやっていることも忘れてはいけない。もし石の力が騙りであったとしても、彼女に近づくのは危険である。
 なにせ保険金のためには父親も殺し、素敵な恋人のことも放っておけば別れるほどの傲慢さを持っているのだから。

 [また、可能性は低いが大川=岩下と言う仮説も成り立つ。
 『学怖S』追加分岐で、岩下さんがなぜかルーベライズを持っていた展開がわかりやすい。もっとも、とある横暴な手段で譲ってもらったと考えても良いが。

 どちらにせよ、岩下さんは大川さんの心理を看破している。
 さしずめ、荒井昭二相沢信彦のシンクロのように。
 実在の有無を置いたとしても岩下の境地に迫った大川と言う人物は彼女の似姿と捉えても何ら問題ない。それどころか皆の心に巣食うエゴとしても。
 自白とも取れる状況はホラーに大きな威を示す。虚と実の境界が揺らぐことによって、モニターと言う安全装置を取り払う。
 だれもが持つ感情のひとつであると、プレイヤーに共感を与える。]

 『鳴七』
 ⇒「及川由紀」の項を参照のこと。
 「大川百合子」の要素・エピソードなどは上記の人物へと集約された。


大倉和雄(おおくら かずお)

  • 登場作品:学怖,学怖S,学恋2,学恋V,極,稲in
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 三年D組
  • 関連人物:新堂誠《クラスメート》,小林,星野元風,吉川虎之助
  • 関連用語:悪魔《取引》,悪魔のトランプ《犠牲者》,百点塾,茶道部
 一応は新堂さんと同じクラスのご学友という設定だが、学生をやりながら高利貸しを営むという、末恐ろしすぎる男子生徒。
 財務・金融などを司り、かつては日本の中央官庁の中で最大の力を誇った「大蔵省(現:財務省)」がその名字の由来だろう。

 「高利貸し」のほかにも「ギャンブル」という、シリーズでも唯一無二というべき個性を二本も抱える危険な男であるが、いささか詰めが甘い傾向がある。やっていることはあくどいのだが、どこか隙があるため本当の巨悪にまでは至れない立ち位置といえる。
 もっと言うならば悪魔だったり「百点塾」だったりと、危険極まる力に手を出して身を滅ぼすという役回りで語られがちだった。

 『学怖(S)』新堂五話「ギャンブルトランプ」に登場。
 初登場作品。
 高利貸しを営んでいることが新堂さんの口から語られている。
 しかも彼の利率はミナミの鬼よろしくトイチ(十日で一割)という法外なものである。ご利用は計画的に

 悪辣なことに、わざと姿をくらませて時間の経過を待ち金利を膨らませるという、実在した手口まで使いこなす。
 その他にも盗品の売買(スキー板やパソコンをどうやって万引きするのかは不明)や賭博(八百長)の元締めなど、本業(?)の傍らで多種多様な違法行為に手を出している。一方で自分の身は用心棒でしっかりガードしているという念の入れようである。

 新堂さん曰く「世渡りの上手い男」だが、とある事情を抱えており、事ある度に貯め込んだ金を吐き出していたらしい。
 そのため一応は問題を起こさずに過ごせていた模様である。その事情とは大倉がギャンブル好きだったこと。
 しかし、大倉は弱かった。悲しくなるほど、とてつもなく弱かった。下手の横好きであった。現に、大倉はギャンブルをするために金儲けをしてるという証言も得られている。

 しかし、ある日どこからか手に入れてきた「悪魔のトランプ」を大倉が持ち出すと話は変わってくる。今までの負けを取り返すように強くなってしまったのである。
 悪魔と取引して得たアイテムなら納得の効力だが、どう上手く立ち回ってみても所詮は高校生というべきか、経験の浅さは隠せない。悪魔相手に甘い汁ばかり吸えるはずもなく、大倉の運命は暗転するのであった。

 そういったわけで、このシナリオにおける「大倉和雄」という男の死亡率は相当高かったりする。話の冒頭で生存を示唆するかのような新堂さんの言質も取れているのに、この始末はあんまりな扱いかもしれない。
 具体的にこのシナリオ中で大倉が登場し、彼の末路に焦点が当たる六種類の結末の内訳を簡潔に述べると……、明確な死亡が三種類、まず生きてはいないだろう行方不明が二種類である。つまり生還エンドは一種類とごく限られていたりする。

 『学怖S』ではイケメンの役者が演じており、ロンゲが今で言うちょい悪の風味を醸しだす。意外と好評かも知れない。実は「神田拓郎」と演者は同じなのだが、そうと感じさせないのは彼を演じた役者と撮影スタッフの力量かも知れない。

 「学怖inよんはち」では彼の話のほとんどが収録されているのだが、唯一「黒井きらら」が助けに来てくれる点で異なる。おかげで一つしかなかった大倉の生存エンドが倍に増えたと言えば、新堂さんと共に奴は感謝すべきだろう。
 しかし、島根県で高利貸しの高校生とは、中々シュールかもしれない。

 『学恋2』新堂編に登場。
 「赤坂陽介」と共に電話越しのアドバイザーとして出演する。
 あいにく契約のカウントダウンが迫っているため世渡りが上手いという風評通りとは行かずテンパっているが、それでも謎の情報源を介して手に入れた攻略情報を教えてくれる。
 が、彼との会話に合わせて「夜イベント」にてトランプの女達の出現フラグが立つので注意。……一体、新堂さんが何をしたと言うのだろうか。

 『学恋V』に登場。
 立ち絵を実装し、本格参戦を果たす。
 ……のだが、その扱いはかなり悪い。
 主人公がS過ぎると「図書室」に現れ、ポーカー勝負を申し込んでくる。
 そして散々に負けた挙句、悲鳴をあげて逃げていく。
 まぁ、悪魔の援護なしでは無茶苦茶弱いとされている彼なら仕方ないね。

 『極』「百点塾」に登場。
 「神田拓郎」、「吉田達夫」とともに新堂さんのクラスメートとして顔を連ねる。

 意外や成績は良くなかったらしいが、百点塾に参加した動機は成績よりむしろ儲け話の気配を察知したため。
 目端の利く性格に変わりはなかったことになる。
 ただし、その感性はいたって常識的で、いきなり秘密結社もかくやという入会儀式をはじめ、常識はずれの百点塾と「後藤歩」相手には度々文句を垂れる。そのため、保身から様子を見ることが多い新堂さんに比べ被害に遭いやすい傾向にある。

 ただし、参加に至った動機が動機のため比較的自業自得と言える展開が多いようだ。
 一方で極限状況にもかかわらず、女の子相手にいいところを見せようと奮起したり、母親思いのあまり神田相手に一歩も引かない闘争を演じるなど、彼の俗っぽさは卑近な親しみやすさに転じる一面として作中では現れている向きも多い。

 『稲in』に登場。
 坂上修一の足跡を求め「七不思議の集会」の出席者の居場所を訪ねてあなたは鳴神学園構内を歩く。
 その中のひとり「風間望」が茶道部に顔を出しているという情報を得てあなたが赴いた先で出会った輩のひとりである。 

 「茶道部」部室を裏で占拠してカジノ(もしくは賭場)に作り替えた張本人であり、不良ふたり(「星野元風」・「吉川虎之助」)を飛車角のごとく引き連れて、来訪者のことを悠然と待ち受けていた。
 [誰が呼んだか、トランプを武器にして戦いそうにみえる]実に胡散臭く飄々とした風貌を構え、モノクルをかけている。

 大倉はチャラけてはいるが実にフレンドリーな態度で(カモという名の)顔なじみである風間さんと巻き込まれた「あなた」にギャンブルの誘いをかけるのだった。
 その際、大倉の方から提示したギャンブルはどう考えても胴元不利の内容だったが……。


 (執筆者募集中) 



大河内雄大(おおこうち ゆうだい)

  • 登場作品:特,追加,鳴七,稲in
  • 種族:人間(能力者)
  • 職業:鳴神学園高校 二年C組
  • 誕生日:2月20日
  • 身体:163cm/47kg ♂ O型
  • 能力:万物にとっての絶好の機を見る
  • 趣味:旅行
  • 好きな/嫌いな食べ物:エビフライ、ご当地駅弁/ウニ、牡蠣
  • 関連人物:細田友晴《クラスメート,友人》
  • 関連用語:人面瘡《犠牲者》,予知,自殺
 名は体を成すとは言うが、現実でその原則が当てはまらないのは周知の通り。
 (大倉佐久間は当てはまる例である)。太っているのに細田なクラスメート同様、大河内くんは名に似合わない華奢で小さな体格の持ち主だった。

 が、漂わせる独特の雰囲気からか、いじめの対象にはならず、同時にクラス内に友人はいなかった。
 が、同じくクラスで孤立していた細田からは共感を得ていた。
 ちなみにこれは細田さんの片想いに終わらなかった珍しい例であるが、彼の持つ特別な力は心ならずも自身を滅ぼすことが多い。

 大河内雄大の持つ力とは「タイミングを見る能力」。
 誰もいない時のトイレに行ける瞬間、告白が絶対成立する機会、万物には絶好のタイミングが存在する。それらを全て見ることが出来れば、理想的な人生を送ることが出来るだろう。けれど目立つことを避ける彼は力をさして使わずに日常を送っていた。

 『特別編』細田シナリオ「期を見る男」に登場。
 細田に気を許したのをきっかけに、彼は人の輪に囲まれるようになる。
 が、気を良くして能力を乱発したのが悪かった。

 一種の「未来予知」とも取れた絶大な能力にはとんだ落とし穴があった。
 彼は代償として人面瘡に取って代わられてしまった(らしい)。
 もしくはクラスの爪弾きにされた末思いつめて自殺してしまう。ちなみに力の代償か生気をかなり失っていたようだが、動機にはあまり関係ない。

 あまりに強い力は人を堕落させるのか、周囲に集まってきた連中は彼を偶像として祭り上げ、好き勝手な望みを果たせなくなったら放り出す。
 彼の最期はどちらもそんな群衆心理の恐怖が招いたものと言える。

 後者の結末は相当スプラッター。
 「塚本明」のビジュアルや「藤井三枝」とどこか重なるやり方はクラスメート全員に拭い去れない思い出を与えた。
 後、細田は彼の力は本当は「タイミングを操作する能力」ではないかと仮説を立てたが、今となってはわからず終い。神の如き力は葬り去られた。

 どちらの結末を選ぼうと、細田さんの脳裏には彼には似つかわしくない満面の笑みが残されることになってしまう。
 [「細田の友達」が死亡フラグとして機能した例である。]
 [能力のインパクトと性格の良さ、どっからどう見ても陰のある美形に見える立ち絵が功を奏したのか、『特別編』の面々では一歩抜きん出た存在感を持つ。もしかしたら今後の再登場もアリかも知れない。]

 『追加版』「続・期を見る男」に登場。
 ユーザーからの好評に応える形での再登場だろうか。
 「七人目」として“本人”が新聞部部室に現れ、『追加版』特有の「続」と付く追補録が語られていくことになる。

 この場合は力を得るきっかけの話と基本的なところにはじまり、お馴染み主客転倒の種明かしに至ったと思いきや……?
 果ては、視点人物を細田友晴に代えて行われる掟破りの幻想恐怖までもが綴られている。
 詳細は「小林翔太」の項を参照のこと。

 『鳴七』「期を見る男」ほかに登場。
 細田さんが属する「二年C組」の男性陣の中では「川辺志道」と「高田護」と並びおそらく中核をなすメンバーのひとり。
 従来のいかにも何か持っていそうなグラフィックの印象を崩さないままに、やや青みがかかった髪色をしている。
 さしずめ川辺と高田で三人並ぶと青、黄、赤となる点はあたからもこれら三名が同じ枠だと示してくれているようである。

 ただし、手番シナリオの「期を見る男」のように自身の特殊能力がクラス内で大いに脚光を浴びた例はむしろレアケースのようでクラスでひとり孤独に佇んでいることが多いようである。
 例外的に細田さんとはおおむね良好な関係を築けており、上手く距離を取りながら親密な友人として付き合えている。

 ただし、細田さんと仲良くなる機会がない場合は本当に接点がないようで脇目で流し見をする程度の付き合いのようだ。
 パラレル設定と言ってしまえばそれまでだが、そういった世界に巡り合って細田さんの孤独と直面するのもまた世の無常といえるだろう。


 (執筆者募集中) 


 「期を見る男」。
 基本的に『特別編』版とシナリオに相違はない。
 ただし、大河内くんが五体満足な状態で生還した上、細田さんとの友情にも陰りがないというハッピーな結末が新たに用意されている。


 (執筆者募集中) 


 「死を招くベッド」。


 (執筆者募集中) 




 (執筆者募集中) 


 「殺人クラブ」。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「大河内雄大」はその中のひとりであり、「鉄道研究会」部室にいる。


 (執筆者募集中) 


 『稲in』に登場。


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大篭哀子(おおごもり あいこ)

  • 登場作品:新生2
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 三年A組
  • 関連人物:岩下明美,瓜田茄子,高洞由利《クラスメート》
  • 関連用語:監禁,ポエッター
 『新生2』「正義のゴネシエーター」に登場。
 最近、岩下さんのクラスで起こった内輪もめ騒動の中心人物である女子生徒。
 特に際立った容姿の描写は文中ではされていないが、暗く凝ったような基本の表情と、感情を荒立てる際であってすら不器用としか思えないような怒りの差分が立ち絵として印象的かもしれない。

 なお、そんな彼女が引き起こしたか、むしろ巻き込まれたかの事の起こりを語っておくと……。
 クラス内で孤高を貫く岩下さんに惹かれて大篭さんが友達になりたいと接触をかけてきたことが発端である。ただし大篭さんが内面に問題を抱えていると即座に判断した岩下さんはにべもなく拒絶。

 それを逆恨みした大篭さんがなんらかのアクションを起こそうとするところから展開は派生する。
 なお、上記のシナリオ中では当の岩下さんの口から大篭さんの人柄について徹底的に辛辣な評が下されるので、この項目ではその追認を避ける意味であまり触れることはしない。

 けれど大篭さんが対人関係に関しては不得手の一言に尽きる、友達のいない孤独な人であること。
 それに加えて他者との会話も途切れ途切れでおぼつかないのに、討論の場での熱弁に長け、収集したデータに支えられた説得力ある文章作りにも優れるという意外な側面を持つということ。
 最後に、その才能に溺れて浅はかな本質を明け透けにしていることを押さえて損はないだろう。 

 とはいえ文章力に優れていたというのは本当のようで、展開によっては皮肉交じりとはいえ岩下さんから趣味の小説に没入した方がよかったと、もっともな正論をつぶやかれていたりする。

 なお作中では冒頭でも触れられているが、特異な名前も目を引くかもしれない。
 その印象を補完するように、彼女の家庭環境も破綻していると語られることも多いようである。
 よって、そんな大篭「哀」子さんは、その名前に倣うかのようにして半ば以上は自業自得とはいえ、ほとんどの結末でとてつもなく悲惨な目に遭ってしまう。 

 一見善意で接近してきた「高洞由利」の人心操作の網に見事にかかって心身が擦り切れるまで追い詰められたり、思いつめた挙句変な病院ヤブ医者に顔を切り刻まれたりといった具合である。
 この場合は流石に一方的に騙される側に陥っていることに同情したくなるようだが……。

 どうも大半の分岐展開の裏側で大篭さんは岩下さんを陥れようと真偽不明の怪文書をクラスにばらまいて級友たちを扇動し、岩下さんを吊るし上げようとしていたようだ。
 ただし、その文書が表に出る展開においても目論見が功を奏すことはない。肝心の岩下さんが全く乗ってこずにほとんど無視を貫いたためである。

 悪意も受け取る側がいなければ空回るしかない。
 行き場をなくした悪意は「反岩下勢力」というクラス内での小集団の中を駆け巡ることになった。
 結果、発生するのは最初は岩下さんのことを上っ面の正義心から弾劾しようとしていた同じくクラスメートの「瓜田茄子」さん達との間で繰り広げられる強烈で滑稽な内ゲバである。

 また、一見岩下さんに一矢報いた展開に行き着いたとしても、岩下さんはどこまでも彼女たちの先を見据えた上での一手を打っていたりするのでほとんど痛打になっていなかったりする。

 結論としては、流言飛語はやめましょう。
 それと他者を貶めるより自分を高める努力をしましょうという当たり前のところに落ち着くのだろうが、それ以上に情報を介して人の心を弄ぶのは危険という教訓にも辿り着くかもしれない。


大沢先生(おおさわ-)

  • 登場作品:殺クラR
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 教師
  • 関連人物:真田亮太,緒方麻紀,玄武拓馬《部活》
  • 関連用語:弓道部《顧問》
 鳴神弓道部の顧問である大らかな感じの教師。
 マネージャーの「緒方麻紀」に指摘されるまで「玄武拓馬」の一年生放置を特に注意しなかった。
 落とすためとしか思えない入部試験も本気で落とすわけがないじゃないかと言って見過ごしたりと、随分のんびりした教師である。

 しかし「真田亮太」の拓馬に対する大胆発言を熱を持って応援するなど、どうもスポ根的熱い展開が好きらしい。
 いざという時は自分がどうにかすると発言している辺りからも、鳴神の中ではかなり珍しい普通の良い教師であるようだ。


大滝(おおたき)

  • 登場作品:学怖,学怖S,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 一年E組
  • 関連人物:岩下明美《噂》,内山浩太,坂上修一《クラスメート》
 『学怖(S)』岩下一話「悪霊に魅入られた少年」に登場。
 同じクラスの「内山浩太」が思いを寄せる同じクラスの女子生徒。
 しかし、内山くんは「いじめ」によって追い詰められており、クラスメートに「悪霊」が取り憑いていると思い込んでいた。内山くんはそんな状況を憂いて、愛する大滝さんを悪霊から救うだの云々な文面を持って、あえて恋文を出すことにしたのだが……。

 いきなり「悪霊」どうこう言われても普通の人は気味悪がるしかないわけで。
 大滝さんは大いに弱り、それを察したいじめっこたちは都合の良い義憤に駆られて内山君を「旧校舎」に呼び出し――、

 以降の流れは大滝さんにとっては何ら与り知るところでないため記述しない。
 それと岩下さんの話の通例として特に咎を負わない人はあっさり解放される風潮があるため、その後が特に触れられない彼女が酷い目に遭った可能性は低いだろう。

 『鳴七』「悪霊のいたずら」に登場。
 基本的に『学怖(S)』版とシナリオに相違はない。
 シナリオとまたいでキャラクターが活躍する『鳴七』中だが、大滝さんの出番は旧来通りにここだけである。
 ただし、大滝さんのこのエピソードが別の人物へ統合されることもなかった。


 (執筆者募集中) 



大友(おおとも)

  • 登場作品:特
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:鍋島香織《友人》,細川
  • 関連用語:こっくりさん《呪い》
 『特別編』岩下シナリオ「図書室の話」に登場。
 大人びた容姿の女生徒。同じく「鍋島香織」の友達だった「細川」さんと共に、「こっくりさん」に取り憑かれてしまった。


大沼繁夫(おおぬま しげお)

 『極』「イノチ」に登場。
 福沢の通う学校では恒例となっている「N湖(野尻湖)」で開かれたサマーキャンプの二〇年以上前の回に参加した男子生徒。
 とあるルートから彼についての情報を仕入れた福沢によると水恐怖症が祟ってか、歯も髪も服装も常に不潔な風体である上に悪臭を放っていた。加えていじめられっ子を自称する被害妄想に囚われ「人間嫌い(ミザントロープ)」をこじらせていたようだ。

 さらに言えば大沼くんをいじめていた加害者が見当たらないこともあって、愚痴とくだを巻く厄介者とみなされていたらしい。
 事実、とある伝手から入手した大沼くんの肉声が録音されたテープを聞いた福沢さんは、くどくどとした長ったらしい主張だとして暴言じみた感想を述べている。続いてその感想を元に大沼くんの人格を全否定して話を進めていくのだった。

 で、そんな大沼くんだったが、どうやら装飾品作りの才能があったようだ。サマーキャンプで行われる水辺遊びの際に直感的に員数確認ができるシステムおよびそのカギとなるペンダント「イノチ」を素晴らしい出来栄えで作り出す。
 ちなみに当時の女子たちにとって「イノチ」は男女間での交換を成立させることで愛の告白の小道具も兼ねるロマンチックなアイテムだった。が、どうもそれ以上に美術品としての価値に目が曇ったか、女子一同はこぞって大沼くんのイノチを欲しがった。

 しかし、当の大沼くんはにべもなく激しい言葉で拒絶する。
 当然反感を食うが、それとは関係なく大沼くんはサマーキャンプの最初から最後までずっと孤立しており、最終日の肝試しにこれまたひとりで参加したは良いものの行方不明になってしまう。
 しかも夏休み明けの二学期になるまでクラスメート全員はおろか両親からもいなくなったことに気づかれなかったという。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 ただし、以上の大沼繁夫の人間性についての評はそのほとんどが伝聞に基づくことに注意が必要である。
 そもそも伝聞からなる彼の人格のほとんどは福沢さんが持っている彼の肉声テープに立脚している。もっと言えば、その入手ルートが福沢の母であり、大沼の殺害をほのめかす発言と、古ぼけたペンダントという(状況)証拠まで揃っている。
 (なお、福沢玲子は気づいたうえですっとぼけているのか、それとも気づかずに天然で残酷なことを言っているのかは不明。)

 大沼くんの、これ見よがしに精神を病んだような言葉も、誰も味方がいない孤立無援の状況に晒された結果、本当に精神の均衡を崩してしまったから。いじめの加害者が露見しなかった理由も複数人が結託して口裏合わせをしていた等の理由で説明できる。
 テープに吹き込まれた傲慢なメッセージも第三者である福沢の母に言わせられたと解釈すれば、すべてが覆るだろう。

 また、長期間息子がいなくなっても親が気にしないというのは普通に考えればあり得ない状況である。
 このことから大沼家は「育児放棄(ネグレクト)」などを疑わせる重大な問題を家庭環境に抱えており、大沼繁夫は家から逃げるために参加したくもなかったサマーキャンプに来るしかなかったと考えられなくもない。

 一応、大沼くんの性格が本当に悪く、世をはかなんで命を絶った、世捨て人のように姿をくらませたという可能性もなくはないが……。これも読者(プレイヤー)の精神衛生が楽にするというだけの、甘い考えかもしれない。
 重ねて言っておくと真相はすべて闇の中である。この一言で故人の名誉が守られたかどうかについては、各人に一任する。


 ちなみにテープ自体に注目した場合は、大沼くんのことがどうでも良くなるような恐ろしい声が聴けたりする。繰り返し福沢さんにやめておいた方がいいと念押しされるが、当の福沢さんはノイズに混じった謎の声を聴くことはできないようで……。
 つまり、その声の来歴や正体などは、まったく謎のまま集会を進めることを余儀なくされる。

 または同じ行方不明になるのでも「原口瑞希」の踏み台にされてというパターンも存在する。こちらの場合は衆前で常の彼には似合わない挨拶をしながら、という釈然としない去り方をしている。
 こちらの場合は、どうしても体と命(心)の収支計算が合わない中で絶望の淵に追いやられて差し引きマイナス一を演じたと思われる「蒼樹ローラ」をよそにギリギリ勝ち馬に乗れたと考えられなくもないが、やはりその後の“彼?”の行く先は不明である。


大場雅嗣(おおば まさつぐ)

  • 登場作品:2008
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:袋田昭吾《友人,噂》,桐瓦のぞみ《恋人》,関根晃,福山梢《友人》,佐古修司《友人,いじめ》
  • 関連用語:地獄屋敷《犠牲者》
 『2008』4話「地獄屋敷」5話「思惑」に登場。
 一年前の六月の金曜日に「地獄屋敷」での肝試しを敢行したひとり。
 発起人は大場だったが、はしゃぎ回るほか四人の参加者をよそになぜか終始おびえた様子だった。

 なお鍵を開けるための事前工作などしていなかったはずなのに、大場が入り口に立った時ドアは自然と開き、自分たちを迎え入れるかのような声を聞いているのだとか。
 が、その日のうちに参加者のひとり「佐古修司」がナイフで首を掻き切り自殺したことをはじめに肝試しを敢行した五人はひとりずつ死んでいくことになる。

 大場は最後の犠牲者であり、死んでいった者たちに共通する死のサインである「デジカメ」が自分のところに訪れたことによって錯乱し、頼りになりそうな知人の袋田の下にすがりつくのだが一蹴されている。
 大場が遺したという真相を記した手紙は死後に袋田の手元にやってきて、続いて七不思議の集会の進行役である「工藤光輝」の手に渡っている。

 そんな大場は同じグループの「桐瓦のぞみ」とは交際関係にあったようだ。
 その上で例の五人組は同じく付き合っている「関根晃」&「福山梢」と合わせた四人が唯一孤立している佐古のことをグループ内での奴隷に置いた力関係が成立していたのではないか? という旨を語り部のひとり「山本繁」が補足と称して語っているのだが、実際のところは不明である。


大原(おおはら)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間(ヤンデレ)
  • 職業:看護婦
  • 関連人物:藤村正美《仕事》,池波《恋心,復讐》
  • 関連用語:自白
 正美三話「愛する一念が起こす事件」に登場。
 藤村正美の同僚の看護婦で、個性的な顔立ちにずんぐりとした体型の持ち主だった。
 ……、はっきり言うなら不美人だったらしい。しかし、それを補うかのように性格は優しく、患者にも分け隔てなく接するなど仕事面では有能な人物だったようだ。

 が、「池波」さんと言う若くて美しい男性が入院して、彼女は彼に恋をする。その心はすぐに皆の知るところになったが、我が身を思ってただ忍び、その想いを伝えることはなかった。しかし――、

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 正美は恋のキューピッド気取りで彼女の恋心を池波さんに伝えた。
 その恋は叶わない。池波さんは大原さんのことを嘲笑い、丁度居合わせた彼女にもしっかり釘を刺される。
 まるで誰かに狙われたようにその会話を聞いてしまった大原さんは、翌日にも凶行に走る。点滴に劇薬を注入して池波さんを殺害、自身もその毒を仰ぎ自ら命を絶ってしまう。

 たとえ、共に命を絶ったとしても冥府で一緒になれはしないと言うのに。
 殺す勇気などいらない。自ら死ぬ勇気もまた然り。最期が幸せに見えてもそれは自己満足に過ぎない。

 こんなことで二つも命を奪う人間はやはり間違っていたのだろうか。
 後日談として、彼女の霊は点滴台を引きずりながら今も病院内をさまよっているのだという。

 ちなみに正美にやはり間違っていたと言わしめた場合、真相が明らかになる。
 正美は、話を吹き込むことで何が起こるかをしっかり把握していた。
 要は彼女、この二人がなんとなく目障りで、これ幸いと大原さんが自滅するように仕込んだようだ。

 計画通り←本当に言う。

 手口の鮮やかさもさることながら、その動機の身勝手さ、何よりもこんなことを見知った親戚に臆面も無く吹聴できるその神経が何よりも恐ろしい。



大原(おおはら)②

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間→妖怪
  • 職業:小学生
  • 関連人物:前田良夫《友人》
  • 関連用語:人面犬
 良夫六話「7つの不思議な話」に登場。
 もっと言うなら、良夫六話は「七不思議」と称したショートストーリーの集合と言う体裁を取っているため、その内のひとつと言うことになる。

 誰もが知ってる「都市伝説」の「人面犬」を本当に信じてしまい、学校が終わってはドッグフード片手に探して回る小学生。
 なぜそんなことをしているかと言えば、彼には病理不明で寝たきりの祖母がいた。
 そこに偉い坊さんに犬を生贄とすれば祖母の病気が治るよと吹き込まれたためらしい。

 良夫は友人の彼のことを「大バカ」などと言いつつ語ったが、聞き手の葉子ちゃんからは(心の中とは言え)「頭悪男」とか「馬鹿男」などと毒を飛ばされてしまうのだからわからないものである。

 確かに、常の良夫ならすぐにでも気付きそうなポイントではある。
 いくら才気走る良夫と言え、友人のこととなれば頭が回らなかったのかもしれない。
 大原は先に「普通の犬じゃ効かない」と言っている。つまりは、もう試し済みということである。

 そんな大原は無理をし過ぎたせいか、自分も病気になってしまう。
 この話は病床で彼がしてくれたものである。大原はその日の夜に体調を押して家を飛び出し、心配した良夫と再会するもすぐに消えてしまう。そして本当に人面犬がいたことの実証がなんとも皮肉な形でされてしまう。

 翌日の夕方、彼がいた公園に再び行ってみるとそこにいたのは「大原」の顔をした人面犬だった。
 泣きそうな顔をして何も言わずに去っていった大原は、この町の噂となってしまったという。
 結局、大原の身に何が起こったかは全くの不明のままだという。 

 [全ての元凶は彼によからぬことを吹き込んだ坊さんだろう。
 まともな僧が殺生を勧めるとは考えにくい。インチキの類と考えられる。
 通常仏教では「霊魂」の類を認めないのが普通。
 「輪廻転生」を説明する上で霊の存在は邪魔になるからである。

 一方、因果応報の論法に従えば大原の身に起きたことへの推察も可能となる。
 この場合の大原は一度死に、即座に畜生の身に生まれ直したことになる。
 時間が短すぎると言うツッコミもあるが、この場合も近くに出産間近の犬がいたと考えればなんとかなるだろう。~『四八』より『仙吉地蔵』説~。
 どの道、犬は試しで犠牲に出来ても自分を犠牲にしてまで祖母を治そうとはしなかった辺りが、少々酷な言い方ではあるが彼という人間の限界だったと言える。自分でもそれを理解していたからこそ、彼は良夫を前にして何も言えなかったのかもしれない。]


大原茂子(おおはら しげこ)

  • 登場作品:学怖,学怖S,極
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 二年生
  • 関連人物:福沢玲子《噂》
 『学怖(S)』『極』福沢二話「血なま臭い水の謎」「福沢玲子シナリオ」に登場。
 昔、二年にいた女生徒。
 神経質かつ潔癖症で水道水などもってのほか、ハンカチとミネラルウォーターを手放せない生活を送っていたらしい。

 が、記録に残る猛暑に当てられ、日射病でゆだって朦朧とする頭で慣れない水道の蛇口にしゃぶり付いてみたが、出てきたのはなんとアリ! 実は貯水タンクの中身はとっくに枯れ果てており、内部に入り込んでいたアリが大量に排出されたのだった。

 アリは大した実害がないようでいて、不快な生物に挙げられること甚だしく、何より『学怖』名物の蟲の一種でもあることを忘れてはならない。そんなブツが体内に入り込んできたものだから、たまったものでなかった。
 幸いにも大原さんは早期の内に発見されたが、ショック症状を起こして入院することになる。

 が、精神の均衡を欠いた彼女は「屋上」の貯水タンクに侵入。汚物を消毒しようとでもしたのか大量の漂白剤を投入。足を滑らせたらしく、タンク内に転落しそのまま帰らぬ人になってしまう。
 トドメとばかり彼女は全身が漂白された水死体として発見された。驚きの白さ

 よって、この話では封印された蛇口を開くと、大原さんの無念の呪いか真っ白なアリがざんざか出てくるようになってしまったため、先生の手で封印されたと言うオチとなる。
 しかし、自分でも言ってるが、さんざ水道水の安全性で怖がらせといて、こんな話をする福沢さんはイイ性格をしている。水道の話は微妙に現実にありそうなベクトルから攻めて来るため、集会の序盤に聞くにしては結構厳しいところがあるかもしれない。


大村(おおむら)

  • 登場作品:晦
  • 種族:
  • 職業:
  • 関連人物:真田泰明,鈴木優子,北田裕
 泰明四話「録音されていた悲鳴」に登場。
 テレビ局の音響部門の長(課長)で、このシナリオ中で視点人物を担う「北田裕」の上司におそらくは当たる人物。

 探索パートに入ると「悲鳴に襲われた。」の一言で体に裂傷が走り、体力ゲージをすり減らされていく北田さんだったが、力尽きることなくなんらかの部屋に入ることができれば、この大村さんもしくは監督と出会うことができる。
 続いて、事情を知っている大村さんや監督の口からこの超常的な事態がなぜ起こっているのかが明らかになったりする。

 なんでも大村さんは制作会社の「監督(姓名不明)」と過去女性を巡ってのトラブルがあったらしい。そこで殺されたかつて大村さんの恋人「鈴木優子」の怨念こそがこの不可思議な「悲鳴」の正体であるという。
 または、より良い悲鳴を求めた大村さんがさらってショック死させてしまった、名も語られなかった女性ということもある。

 どうも監督、もしくは大村さんはクオリティの高いドラマを作るためなら手段を選ばない危うさを秘めていたようである。
 なお、監督もしくは大村さんにとって、恋人の死の真相が場合によっては二十年越しに明かされるとなれば、流石に心穏やかではなかったようだ。下手人に食って掛かる様子を見せ、直後復讐を(見)届けている。

 なお、泰明さんはわざか天然かは不明だが、イマイチ釈然としないオチを持ってくることが多い。加えてこの話も北田さんが真相まで辿りつけるかどうか、さらに言えば「悲鳴」という超常現象の説明不足からくるシュールさにダマされがちである。

 ただし、話(現象)のオチとしては多少変則的なものも混じるものの、「殺された女性の怨念」でほぼ一貫している。
 話の要点としてそれだけ押さえておけば十分である。
 そこから女性の名が明かされるかどうか、殺された時期が二十年ほど昔かつい近日か。保存されていた悲鳴を持ちだしたのは監督であり故意に、もしくは北田さんが偶然……などといったバリエーションが展開されていくことになる。

 しかし泰明さんにいまさら言っても詮無きことではあるが、数年前に本当に起こった事件という触れ込みで複数人の死傷者を出した職場の話をするのはいささか不謹慎かもしれない。たとえ、それが別部署での話であれ。

 ちなみにひとつの結末で言及された犠牲者の数(おそらくは最小限で食い止められたパターン)は「死者三名、負傷者五名」、これが多いか少ないかは各人の判断にお任せする。
 一方で、探索パートに移行せず、監督と大村さんのいさかいで話が終わる場合は行方不明一名に留まるのだが。

 ちなみに大村さんと北田さんが生還した場合、くだんの悲鳴のテープを処分せずに保管しており、時々仕事で使っているというあんまりな後日談が語られたり、泰明さん自身も保管し続けていることを面白がっている風に話を〆たりもする。
 マスコミというかテレビマン、というか泰明さんがどこかねじのハズレた人間だと思わされたプレイヤーも多いかもしれない。


大本真美(おおもと まみ)

  • 登場作品:VNV,鳴七
  • 種族:幽霊?
  • 職業:鳴神学園高校 一年A組
  • 関連用語:七不思議の集会,七人目《所属》,人形《所有?》,凶夢
 『VNV』「学校であった怖い話」に登場。
 存在・思考・正体、そのすべてが謎に包まれた「七人目」の語り部。
 気弱そうな外見そのままに、今にも泣きそうで弱々しい女子生徒である。

 ちなみに『VNV』では語り部の話す噂の中の登場人物のグラフィックは白目だけと、なぜか一貫した描き方をされている。
 そんな中で、大本さんの瞳は一応書き入れられており、語り部の話の中の登場人物とは一線を画す立場にあると考えられる。
 が、よくよく見ればその目はイッちゃてて怖い。

 ちなみに執筆段階では「大元真実」という姓名であり、文字通りこの話のすべての真相を握るキャラクターであったと思われる。実際に世に出た決定稿ではあまりにも直接過ぎるとして現在のものに変更されたという。

 本人曰く集会当日は大切な人形を探していて来ることができなかったらしい。
 が、前提として坂上が最初に行った(と認識している)集会は、周囲の反応からするとないものとして扱われており、そもそもの前提が食い違っている。加えてそのズレが、坂上修一の精神を狂わせる一因となっている。

 よって、そんなことを言われても、怒りの持っていきようがなくて納得もできない坂上は壊れた精神に任せて暴走、大本さんの首を掻っ切るのだが……。

 定まった解法を持たない『VNV』であるが、語り部がお馴染みの六人であるなら、まだ解釈の余地はある。
 単純にかつての守護霊エンドを彷彿とさせる妄想や憑依として片付けても良い。また、作中で坂上が触れた「パラレル・ワールド」説を採るのも悪くはない。

 しかし、始末の悪いことに夢か現かが定かでない痕跡に留まった他六人の語り部と比べ、彼女だけは確固たる存在した証拠を残している。
 坂上は名前までは確認していないので正確なところはわからないが、何年か前に転落して死亡した女生徒と言う記録に行き当たった、これは十中八九「大本真美」本人だろう。 

 ちなみに、坂上修一が「一年A組」に所属するのはほぼこのシナリオのみでの設定である。
 これは『VNV』がシリーズの源流でありながら『学怖』から続く本流からやや離れた位置にあることの証明かもしれない。

 『鳴七』「坂上修一の学校であった怖い話」ほかに登場。
 過去、鳴神学園に在籍していた生徒のひとりだが、ほぼ共通して劇中での扱いは故人である。
 得体のしれない過去からやってきた何者かという属性に加えて「七人目」として大きな存在感を示すポジション、それに気弱な性格や臆病な物言いなど、多くの点において同作品中に出演している「包帯の女」と共通した属性を有している。

 ただし、包帯の女の場合は自我も不明瞭な正体不明の魔物として語られることが多い。
 ひるがえって大本真美の場合は明確な自意識を備えた人間であり、無辜の犠牲者として捉えられている向きがあるようだ。
 彼女が悲劇の住人になってしまったのは彼女自身の因果ではなく、なにか巨大な力に巻き取られてしまったからなのだろうか。


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 「交換日記の怖い話」。
 「皆川千春」さんのエピソードを踏襲している。


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大山幸二(おおやま こうじ)

  • 登場作品:学怖S
  • 種族:人間→地縛霊
  • 職業:鳴神学園高校 三年生
  • 関連人物:荒井昭二《噂》
  • 関連用語:バスケット部《所属》,地縛霊《犠牲者》,第一体育館《出没》
 荒井一話「校内に巣くう地縛霊」に登場。
 三年になったに関わらず、レギュラーはおろか補欠すらなれなかった「バスケ部」の雑用部員。目立たず大人しい性分だが、バスケが本当に好きでかける情熱も人一倍だった。
 すぐに気付かれたと思うが、彼の境遇や性格は野球部の「浅田茂」とほぼ同じである。細田さん風に言えば「魂の双子」と言う奴かも知れない。

 そんな大山くんはある日、禁止されているに関わらず夜遅くまで「体育館」でバスケの練習をしている四人組と出会い、仲間に誘われる。前に、自分の練習で学校側から禁止措置を食らった大山くんだったが、この時ばかりは規則など忘れ、真夜中の交流を深めていく。
 しかし、親に気付かれ今度ばかりは駄目だと告げたため、彼ら――正体は体育館に潜む「地縛霊」の仲間に引き込まれてしまった。バスケが五人でやるスポーツである以上、避けては通れない道だったのかもしれない。



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最終更新:2024年03月13日 15:33