索引



サークルR

  • 登場作品:鳴七
  • 種族:部活(非公認?)
  • 関連人物:緒方麻紀,加瀬ひなた
  • 関連用語:殺人クラブ
 「鳴神学園」学内で暗躍する非公認・非合法系部活動のひとつ。
 『鳴七』におけるリブートを受けて再定義がなされたことで改称された復讐代行集団としての「殺人クラブ」を指し示す名称と思われる。それが事実なら旧来の日野貞夫率いる快楽殺人集団としての「殺人クラブ」とは明確に区別化された形となるだろう。

 なお、名称の「R」は「Revenge(復讐)」の頭文字から取ったと考えられる。
 また「緒方麻紀」や「加瀬ひなた」といった漫画版『殺クラR』のメンバーが引き続き在籍していることも匂わされている。
 以上二点から『殺クラR』で触れられた活動の性質と類似している可能性は高いが、現状シリーズ中では名称などについて軽く触れられた程度である。不明な点は数多く、現時点のこの項で論じられる情報は多くはない。今後のシリーズでの進捗に期待したい。


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 『鳴七』「殺人クラブ」に登場。


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サキュバロリン星人(-せいじん)

  • 登場作品:学恋2


桜(さくら)

  • 登場作品:学怖,学怖S,,AMC2,追加
  • 種族:植物
  • 関連人物:福沢玲子《噂》,東条深雪《恋心》,朝倉《思慕》,神ヶ崎翔
  • 関連用語:旧校舎,戦争,霊道,首吊り桜
 願わくば花の下にて春死なむ その如月の望月の頃

 話中で福沢さんの口から語られた西行法師の句を引くまでもなく、桜はどこか死と、様々な行き先を感じさせる予感の花である。まるで生き急ぐような咲き方はどこか狂気に似る。
 日本人にとっては「菊」と共に国花とされるほど親しまれ、その逸話に事欠くことは無いが、どこか不吉さが連れ添っているのは不自然ではない。

 ホラーでよく引用されることが多い逸話(フレーズ)と言えば、やはり「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」であろうか。
 『檸檬』等で知られる短編の名手梶井基次郎が残した作品の一つ『桜の樹の下には』の冒頭の書き出しであり、桜が放つ美しさに悩む男の独白である。
 西行以来続く死生の観念と桜の結び付きを如実に表現した名文と知られ、シリーズにおいてもこの着想は「早坂桃子」が「紫陽花」を応用して、見事に体現している。

 『学怖(S)』福沢三話、隠しシナリオに登場。

 福沢三話「旧校舎の裏に立つ桜の木の呪い」。
 植物に宿る精霊(意思)と言う発想から「人間」と「植物」の隔たることなき距離によって生まれた悲劇が語られる。
 話の題材になっている桜の古木は旧校舎裏に立ち「第二運動場」が本来作られるはずだった敷地を占拠、諸々の事情から立地を新校舎裏へと変更させた。樹齢が千年を越えると言えば、人間など幾つの世代を経るのだろうか。

 しかし、種の違いが招く「東条深雪」の破局だったり。
 人の過ちが作りあげる怨念の込もった器だったり。
 何も知らないが無垢さゆえ「朝倉」の反魂を試みるという愚かな行為に走ったりと。

 どれを取ってもやりきれないエピソードばかりが福沢さんの口から語られる。
 結果、切ろうとしても切れないことの出来ないワケありの樹木が学園構内にできあがってしまう。
 木を切ろうとすると事故や祟りが多発すると言ったよくある類のお話で、なぜか木を避けるように道路が不自然に折れ曲がっていたりしたのは『四八』でも聞けた話だろう。

 隠しシナリオ「真説・桜の木の伝説」。
 ただし、隠しシナリオの方で語られるのは福沢が話した設定を見事なまでにぶった斬る「首吊り桜」と呼ばれる存在である。詳細は当該の項目で。

 『AMC2』「桜の木の下で受け継がれるもの」に登場。
 不穏なイメージばかり先に挙げた「桜」であるが、実際は入学・就職と言う人生の門出を迎える若人を支える花でもあり、卒業していく者を見送る徴ともなる。
 が、桜前線に従っていけば、よほど北上しない限り入学式に満開で迎える事は出来ない。これは寂しいものだと、ジンさんは置いていく後輩のために花を咲かせる。灰を振りまき、枯れ木に花を咲かせましょう。

 『追加版』「ヒロインになりたい」、「マスクの下は」に登場。


 「マスクの下は」。
 綾小路の幼馴染「」の死を彩る情景として降り積もった桜の花びらが挙げられる。
 もし彼を狂気に走らせた理由をたった一つ挙げるなら、桜に飾られて横たわる雪の屍体があまりに美しすぎた。……そうなのだろう。

 花言葉は「優れた美人純潔精神美淡泊」等。


首吊り桜(くびつりさくら)

  • 登場作品:学怖,学怖S
⇒「首吊り桜

桜の森の満開の下(さくらのもりのまんかいのした)

  • 登場作品:追加
  • 種族:文学作品
  • 関連人物:岩下明美,沢渡美香
  • 関連用語:演劇部,生首
 『堕落論』を書き上げ戦後に殴り込んだ無頼派、作家「坂口安吾」の代表作。
 日本人が桜に抱え持つ諦念や無情感をこの上なく示した名作として知られる。
 あらすじは以下の通り;


  (執筆者募集中) 



 『追加版』「ヒロインになりたい」に登場。
 主演志望の演劇部員「佐渡美香」が主役を掴んだ演目である。
 もちろん彼女が演じるのは主演の「女」役。
 生活のほとんどを賭けて練習と役作りに意気込んだ彼女の演技は鬼気迫るものへと上達していった。

 作中に用いられた猟奇的なセリフやナレーション(地の文)はもちろん原作通りである。
 当然あらすじも。よって沢渡さんは「生首」を欲する女という役柄を完璧に演じるために、劇本番の舞台裏で本物の生首を演劇部員から調達するという凶行に走る。

 もちろん佐渡さん同様の役者魂を相手役の「山賊」役はもとよりほかの部員たち、あと観客の皆様に期待するのは酷だったのか、演目はぶち壊しになってしまう。
 ただし双方ともにアドリブ満載ではあったが、山賊に首を絞められて死んだ女、そして誰も観る者もいなくなった舞台上で孤独に花びらになって消えていったふたりという結末は遵守されたようだ。

 ちなみに岩下さんは「旧校舎の裏にある桜の木」が沢渡さんを狂わせ、彼らを連れ去ったのではないかという仮説を立てている。
 くだんの「首吊り桜」の美しくも残酷な性質を考えれば、納得が行くプレイヤーも多いかもしれない。


笹ヶ岡学園高等学校(ささがおかがくえんこうとうがっこう)

  • 登場作品:男怖
  • 種族:組織(スポット)
  • 関連人物:
  • 関連用語:狭間の部屋
 東京都中野区所在の私立男子校。
 2010年で創立45年を迎える、あまり由緒正しいとは言えない高校である。
 学業・部活動共に作中で芳しい噂は聞かず、偏差値もあまり高くない。在校生は母校のことを三流高校と呼んではばからない。
 天才と名高い「吉村賢太郎」が周囲とレベル差を感じ、不登校になっている事実、外面も内面も素行よしと世辞でも言えない「宮本健史」が生徒会副会長を務めている時点でお察しくださいと言う奴だろう。

 同名映画でも名高い「陸軍中野学校」からの連想か、戦前には軍の施設とかお馴染み墓地であったとか、様々な噂が飛び交っている。
 高度経済成長期、安価な土地を求めた結果、立地が訳ありであった……と言うのはよく聞く話であり「学校の怪談」の主要発生要因のひとつでもあったりする。
 が、この学校の「都市伝説」は学校でなく、「狭間の部屋」と言う独自の「開かずの間」にまつわるものに集約されている。


座敷童子(ざしきわらし)

  • 登場作品:晦,新生2,ドラマCD,鳴七
  • 種族:妖怪(現象)
  • 関連人物:風間望《正体》,風間望,賀茂泉かごめ《?》,安条ミルク,及川由紀
  • 関連用語:わらし様《?》
 「座敷童子」とは岩手・遠野地方をはじめとする東北地方で見られる伝承。 
 幼くして命を落とした子どもの霊が家に依るものとされ、この妖が家に棲みついている間その家は繁栄するが、逆に家から去られると凋落すると言うもの。その性質上、家運長久の守り神・善き化生とされることが多い。[日本の古き良き萌えキャラ?]

 「座敷わらしの出る旅館」と言うものも存在する。
 近年全焼したそれには「平民宰相」や「経営の神様」もここに泊まり、それに遭ってから出世の道を歩んだとされる。

 ただ、一般に知られている美しい稚児の姿をしているものはむしろ少数らしい。家に棲む化生の多くは醜い姿をしているとされ、一般に知られた「座敷童子」とはそれら下等なものを使役する、階層の頂点に位置する妖とする見方もある。

 また、この伝承は一般に『遠野物語』を代表するエピソードとして認識されているが、同書を編纂するに当たって柳田國男が取り上げなかった属性も数多い。
 座敷童子譚とは家に起こる怪奇現象全般を指す言葉で、先に述べたイメージとは離れた凶兆、音はすれども姿は見せずと言った怪奇現象全般を含んでいた。
 そもそもはっきりした姿の霊との遭遇が立派な神秘体験に含まれるなら、昨今のブームは事例としてレア中のレアケースを殊更に取り上げているに過ぎない、と言う意見も存在できる。

 さらに「座敷童子」自体は特に見返りを求めると言ったことをしない風に受け取られがちだが、先に述べた通り座敷童子は引越しをする。
 よって座敷童子を神と見なし、畏敬の念を持って接するという風習も多い。……、一体何が件の旅館の全焼を招いたのか、わかるような気もする。 

 原因と結果が逆だとすれば?
 居着けば益を与える反面、不興を為せば反転して害を為す、と言う属性は、恐ろしいことに構造だけ取れば呪いの一種「蟲毒」とも符合する。
 よって、座敷童子を単に悪戯好きの無邪気な霊と見なすと痛い目に遭う。可愛らしくとも「この世のモノ」にあらざることは分かりきったことであるから。

 また、古来から大事にされてきた子がなぜ命を落としたか、落とさなければならなかった、などに思いを巡らせるとかつての後ろ暗い事実――日本の暗黒史、間引きや口減らしと言った子殺しの図式が見えてくる。
 人は七つになるまでは天神様の御子だから手を下すことは出来ない――と早苗ちゃんが『AMC1』で語っている通り、幼子は畏れを持っている。
 無論公序良俗に反し、古くは江戸時代から啓蒙が行われていたこともある。
 ⇒子返しの図(歌川国明)
 上記の図は当時の道徳観が示された一例。

 座敷童子が富貴な家に棲むと伝えられている以上断言は出来ないが、望まずして亡くなった(亡くした)子が成るという前提も今となれば微笑ましいものとは到底感じられない。

 『晦』正美四話、良夫一話に登場。
 初登場作品。旧家を舞台とし、その地域性を大事にする『晦』にはやはりいた。
 二種類の類異譚が取り上げられ、片やユーモラスに片や恐怖感たっぷりに語られている。

 正美四話「風間、病院に現る!!」に登場。
 相変わらず自重しない風間さんの正体のひとつとしてこの妖怪が語られている。
 居ついている間は住居に繁栄を与え、時折悪戯をする性質というのは巷に流布されたスタンダードな伝承に基づいたものといえる。

 ただし、妖怪云々置いておいてもやっぱり風間さん。
 悪戯はとてもダイナミック。……それ以前に三十代半ば(適当)の姿をしといて、童と言い張るのも中々無茶な話か。

 良夫一話「実在した『わらし様』」。
 「わらし様」という怪異が話の中で語られるが、名と家に憑くと言う特徴の他は「子ども」や「福」と言ったわかりやすい共通項を持つことはなく、棲んでいる立川家にはむしろ害を与える存在だった。
 良夫がひとつの結末で「座敷わらしのようなものではなかった」と語っている通り、この種の妖とはかけ離れた存在のように、ぱっと見は思える。
 しかし、それはある意味正解だが、間違い。

 実は作中の「わらし様」もまた民俗学的観点から探っていけば、迂遠ながら「座敷童子」と似通ったモチーフを多く発見できる事例であったりする。 
 詳細は「わらし様」の項で。

 『新生2』「赤い靴下」に登場。
 超珍しく羽振りの良い金持ち設定で登場する風間望&風間家の家運を支える要素が「座敷童子」らしき化生であるようだ。
 ただし、その実体は人が触れてよいとは到底思えない、禍々しさの一言に尽きる得体のしれないナニカである。
 風間家で招待を受けたひとりにしてお手洗いに立った最中に、その一端を運悪く目撃してしまった新堂さんは震え上がる。

 この手のオカルトに詳しい綾小路は裏事情を詳しく調べていたもようだが、その時点で風間家はほぼ手遅れだったようだ。
 その後の話では、気前がよくユーモアを絶やさない好漢「風間望」がよもやこのような運命を辿るとは……、という無惨な結末が舞い込んでくる。結局、風間家にいたナニカであるが……座敷童子はおろか名付けてよい存在であったかすらわからない。

 『ドラマCD』Disc.7 元木早苗「座敷童の家」に登場。
 地元の名家「安条家」の家運を支える存在こそ「座敷童子」である。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 霊能力者・元木早苗を支えるご先祖様たちの上位に立つ「恩師様」の言葉によると安条家に依り憑く幼児たちの霊は、神聖な存在ともされる正規の座敷童子ではない。
 安条家の場合は邪法と呼ぶべき方法によって作り出された存在である。

 富貴な家からさらってきた赤子を蔵に閉じ込め、外界は危険なところだと言い聞かせながら物心つくまで何不自由なく育てたところで子守唄を聞かせながら安楽なうちに餓死させる。
 そういった外道の手順を繰り返すことで、いくつもの座敷童子を手にした安条家は繁栄を手にしたのだが、その由縁を忘れた今時分の当主の代になって蔵をくだらない理由で取り壊してしまう。

 自分たちを閉じ込めるものがなくなったため外界に出て騙されていることに気づいた座敷童子たちは転じて安条家に仇なす存在となり、元木早苗の助力と慰撫を経た後でさえ家そのものを滅ぼしてしまった。
 座敷童子だった子どもたちの霊は、今は安条家最後の血族となった「安条ミルク」の霊と共にいるようだが、いったいその霊たちがいかなる存在に成り果てているかは不明である。

 『鳴七』「交換日記の怖い話」に登場。
 基本的に『ドラマCD』版とシナリオに相違はない。


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サジタリウス

  • 登場作品:VNV,特,学恋V,流神A,極,鳴七
  • 種族:アイテム(蟲)
  • 関連人物:福沢玲子《噂,体験》,蜜田真奈美《流通》,野沢《犠牲者》
  • 関連用語:ワールド・ハッピー&ピース・カンパニー,大天使ミカエル
 「ワールド・ハッピー&ピース・カンパニー(以下ハピカン)」が作り出した、もしくは発見したものを研究、利用している謎の蟲。外見上は多足の黒い芋虫のような形をしている。
 彼らの活動の中核を占めるようだが、その実態は謎に包まれている。サジタリウスは「射手座」を意味するが関連は不明。ザ・デイ・オブ・サジタリウス

 『VNV』『特別編』「あなたは幸せですか?」、「あなたは幸せですか?(改訂)」「学校であった怖い話」に登場。

 「あなたは幸せですか?」、「あなたは幸せですか?(改訂)」。
 初登場作品。
 「蜜田真奈美」がクラスに流行させていたシャンプーの原料を作り出すための鍵となる寄生虫である。
 人間に寄生させると脂肪分を分解して変質、徐々に蟲の分泌物と混じり合っていく。
 結果、口から吐瀉させた液体を希釈すると飲むことも出来る万能薬の様な効き目の液体になるらしい。

 シャンプーと言うのはターゲットに飲ませるために心理的距離を近づける一種の口実ないし方便としての使用法だが、関係者の間では愛称としても呼ばれてもいるようだ。
 事実、液体は美容・痩身効果に絶大な威力を発揮するほか、頭が良くなる副次効果もある。

 しかし、蜜田自身は「ゲロでしょ?飲むわけないじゃん」と一刀両断している。
 麻薬の恐ろしさを知っていて使わないブローカーみたいな言い分である。

 実際、摂取した人間への副作用などは作中で明かされていない。
 が、シャンプーを飲む方はまだ良い方。寄生されると身体自体が変質し、餓鬼のような醜く、自立行動の取れないものへと変貌させられてしまう。
 また、寄生主は社会的地位の高い≒頭の良い人間から選ばれているようで、さながら漢方で言う「同物同治」の考えのようである。
 病を治すために墓場から骨を掘り出し喰うと言う迷信レベルでなく、実際効いているのだから何とも言えないが、一体どんな因果関係を見出しているかは不明。

 『特別編』隠しシナリオ「サジタリウス襲来」に登場。
 この蟲に寄生された蜜田が襲来し、学校中を占拠してしまった。彼女から溢れた蟲は人間を介して爆発的な勢いで増殖し、壮絶な生物兵器と化していた。
 一説に「ハピカン」はサジタリウスと人間の融合を目論んでおり、またある説では宇宙人にデータを供与するための実験場として利用したようだが……。
 初登場に続き、ホラーらしく真相が一切明かされない幕引きとなった。

 『流神A』「ひきこさん」に登場。
 相変わらず「サジタリウス」は健在だが、寄生された用済みの犠牲者達を廃棄(!)する際、見せしめも兼ねてか、酷く猟奇的な手法を取った。
 小さな子ども達で


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 『極』新堂誠分岐シナリオ「百点塾」に登場。
 「後藤歩」がハピカンの構成員であると明言した場合に持ち出す脅威のひとつ。
 焦点が当たるのは「黒い虫」と呼称されている幼体で、グラフィック上は黒いヒルのようなグロテスクな外見が特徴である。

 卵入りの水を摂取した生きた人間の体から孵化し、無数の群体となって寄生主の肉体を気付かないうちに内部から食い荒らしながら成長していく。この際幼体は麻酔もしくは酩酊効果に似た幻覚作用のある物質を分泌しているらしく、宿主は多少の違和感こそ感じるものの自分の体が虫食いだらけになり、力尽きて倒れてさえ気づくことができない。

 ちなみに諸々の検証を経た結果、冬山登山の過程を経ることでしか繁殖させられないという難儀な生態は後藤先生の口から語られているが、元々のこの寄生虫の生活環がどういったものであるかは不明である。
 「狂気山脈」と銘打った例の山がふかしでなければ、地球人類にうかがいれない未知の怪生物をハピカンが南極から発掘してしまったか、それとも従来の解釈通り彼らが独自の科学力によって開発したかは例のごとく不明であるのだが。


サッカー部

  • 登場作品:学怖,学怖S,探偵局,学恋V,特,追加,新生,鳴七
  • 種族:部活(公認)
  • 活動日:毎週 月~金
  • 活動場所:第一グラウンド
  • 関連人物:荒井昭二,袖山勝,守山,服部琢磨,中雅臣,山中学,宮田,西澤仁志,山本道夫《所属》遠藤エリ,《マネージャー》
  • 関連用語:宿泊施設,影男
  鳴神学園に数多く存在する部活動の一つ。
 フレッシュなスポーツマンが集うイメージのある花形の部活動のため、栄光からの暗転というギャップを演出するためにエース格という肩書を持つ生徒が語られることもけして少なくはない。

 もちろん「」や「服部先輩」のように見た目からして“らしい”人も多いが、怪談として焦点が当てられている部分はそこではない。
 なまじっか人気のあるばかりに、抱えきれないほど多くの人間を抱えることになった淀みが恐怖の源泉となって語られることが多い。

 確かにサッカーは多人数で行うスポーツだが、それにも限界はある。
 必然的に技術の劣るもの・情熱のないものは下に落とされていく。
 結果、二軍や三軍と言う吹き溜まりのようなグループが出来上がってしまい、落ちこぼれはそこでさえ馴染めず心中に黒いものを抱えながら生きていくのだった。

 『学怖(S)』荒井四話「宿泊施設にある謎の4番ベッド」に登場。
 意外なことに荒井さんがこの部に所属しており、そこでの体験談が語られる。
 ただ、語り手が語り手なだけに聞き手が耳にするのは屈託なく笑う少年の青春ではない。屈折して嗤った少年の挫折である。

 話の題材自体は合宿で用いた「宿泊施設」にまつわる怪異との遭遇体験でほぼ一貫している。
 それから「山本道夫」という知人や「袖山勝」という友人との後悔に満ちた別れについても。

 ただ見た目通りにスポーツは不得手な上に集団生活に馴染めない荒井さんの鬱屈とした感情を抜きにしてこの話は語れないだろう。
 袖山くんと「芋虫女」と遭遇したことで起こった受難にまつわる根幹ルートはそもそも「四番ベッド」の危険性を認知している周囲の部員が教えてくれていたら発生していない。

 落ちこぼれ同士と態度を割り切ることで気が合っていた荒井さんと袖山くんに対して周囲が向けていた視線がなんとなくわかるかもしれない。ついでに、袖山くんを失ったためか棘のある言葉を主人公にぶつけてくる荒井さんの態度も。
 ただ、そんな中でサッカー部キャプテン「守山」に逆襲を仕掛ける分岐(『学怖S』限定)は無形の空気に虐げられてきた荒井さんと、その同類たるプレイヤーにとって救いかもしれない。

 『特別編』「夜泣きジジィ」に登場。
 吹き溜まりの「三軍」


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 『追加版』「影男」に登場。


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 『鳴七』「謎の四番ベッド」ほかに登場。


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女子サッカー部(じょし-)

  • 登場作品:ドラマCD,鳴七
  • 種族:部活(公認)
  • 関連人物:浦部美緒,神賀百々歌《所属》
 鳴神学園の部活動の一つ。
 ちなみに女子サッカーがオリンピック競技になったのは1996年から、俗にいう「なでしこジャパン」として注目されるようになったのは2004年のアテネオリンピックであり、年代にもよって注目度が変わってきそうな部活動である。
 運動部といえば男女で分かれているものが多いが、語り部の女性陣が運動部の話を語ることが少ないためか、女子運動部が怖い話の渦中となることはほとんどなかった。(女子水泳部ぐらいだろうか)

 『ドラマCD』Disc.6 福沢玲子「十三階段」に登場。
 初登場作品。
 この時点では「十三階段」の検証のために福沢さんに同行させられた「浦部美緒」のプロフィールの一部として語られたに過ぎなかった。

 『鳴七』「十三階段」ほかに登場。
 同じサッカー部でも「男子サッカー部」の方はエースの「西澤仁志」の肩書に留まらず、部活そのものも怪談を生み出す温床として語られている。
 打って変わって本作中の「女子サッカー部」だが、浦部美緒を接点として今後話を展開する端緒を示したという段階である。
 果たして今後はいかなる問題が浮上し、いかなる悲劇が生まれるのか? 次回作以降の動向に注目したい。 


 (執筆者募集中) 


 「十三階段」。


 (執筆者募集中) 


 「殺人クラブ」。


 (執筆者募集中) 



サトリサマ

  • 登場作品:特,鳴七
  • 種族:霊,組織
  • 関連人物:細田友晴,     《正体,所属》,米田秋,小林先生(稲垣優作),佐藤直之《犠牲者》
  • 関連用語:トイレ,かきとり小僧
 『特別編』『鳴七』細田シナリオ「サトリサマ」に登場。

 『特別編』「サトリサマ」。
 トイレにいると人間気が緩むのか、ポロリと個人の秘密や誰それに向ける本音が漏れる。ならば個室に籠って情報を収集し続ければ、人の弱みを握ることはもちろん、匿名で真実をぶちまげることで不和の感情を煽ったりといったことができる。
 「サトリサマ」とは、そんな発想に辿り着いた細田さんが始めた活動もしくは出会ってしまった集団、または謎の霊である。

 名称の由来は細田さんの口からも語られているが、人の心を読むという妖怪「覚(サトリ)」から。
 名称としては被害者たちの間で自然発生的にささやかれ始めたのが興りと思われるが、定かではない。
 と、いうわけでいじめこそ受けていないものの孤独にさいなまれていた細田さんは秘密を知った不特定多数に対して無作為に、匿名の手紙を通じて流していった。それも誰それに嫌われているなど、知ってしまったが最後人間関係が壊れる情報を、である。

 一ヶ月間にわたって活動を続けた結果、各所で人間関係がこじれるトラブルが多発し、細田さんは陰ながら快感を覚えていた。
 そのタイミングで、細田さんと酷似した内容の活動をしてきた五人の男女が彼を見込んで「サトリサマ」を名乗り接触してくる。彼らは気に入らない人間の情報を協力して収集しピンポイントに知られたくない相手に知らせる、という手口で密かに活動していたらしい。どれほどの歴史を持っているかは不明だが、賛同者をスカウトしながら代を積み重ねてきたようである。

 というわけで、この話をしてくれた時点で坂上くんは敵に回しても味方につけても厄介そうな彼らに目をつけられてしまったことになる。トイレ限定の細田さんを除いても誰が構成員かわからない「サトリサマ」の耳目をかわすのは容易ではないだろう。
 坂上くんの未来はどっちだ!?

 謎の霊の場合は「米田秋」の項目を参照のこと。

 『鳴七』「サトリサマ」。
 基本的に『特別編』版とシナリオに相違はない。
 ただし、妖怪「かきとり小僧」を呼び出す儀式を指すこともある。はたまた、人間の組織であった場合はリーダー格である某男子が坂上くんがよく知る意外な人物であることが立ち絵を介して判明したりもする。

 当然ながら坂上くん目線では、プレイヤーだけが知ることができる立ち絵の情報が伝わることはない。そのため、この「サトリサマ」が誰なのか? どこまで情報網が浸透しているのかという危機感はプレイヤーの方により強く伝わることになるだろう。
 そんなわけでリーダー格のA氏だが、どう控えめに言い繕っても陰険な活動であり、かつ陰キャラを勧誘していたため、かつては「根暗の会」と自嘲的に自分たちのことを呼び表していた。それを細田さんにならい現状の「サトリサマ」に改名したらしい。

 ついでに根暗つながりで新たな構成員を一年生から迎えるにあたって、荒井さんと細田さんの二択で悩んでいたことが明らかになる。[一応、荒井君としか言われていないので「荒井昭二」ではないほかの荒井姓の人の可能性はある。]
 荒井さんがその話を知っていたかは不明だが、彼にとってはまさかの流れ弾である(残念ながら彼の口から反応はないが)。


殺人クラブ(さつじん-)

  • 登場作品:学怖,学怖S,2008,VNV,AMC1,学恋,学恋2,殺クラR,極,秘密,鳴七
⇒「殺人クラブ


サルバドール・ダリ

  • 登場作品:学怖,学怖S,四八,特
  • 種族:偉人
  • 関連人物:岩下明美《嗜好》,鯖徒瑠陀吏雄《?》
  • 関連用語:夢
 サルバドール・ダリ(Salvador Dali, 1904年5月11日-1989年1月23日)は、スペインの画家。
 超現実主義とも訳されるシュールレアリズムの代表的な芸術家であり、生前から様々な奇行によって耳目を集めた。

 岩下三話「美術室の肖像画」に登場。
 岩下さんの好きな画家と言うことでダリの名が挙げられる。彼女曰わく“絵は幻想の世界を私たちに与えてくれる”らしいが、それも尤もな話である。

 それもそのはず、彼は夢から絵の着想を得たことでも知られており、「柔らかい時計」の別名でも知られる代表作『記憶の固執』もそのアイデアなしでは成立せしえなかった。

 また、潜水服を着てマスコミの前に登場する等と言った奇矯な振る舞いも一種の話題づくりにかけた彼なりのしたたかな戦略であったとも言われている。

 その辺りのキャラクターはどこか浮き世離れしている一方で現実的であったりする岩下さんや学怖の世界観と重なるところがあったのだろうか。

 また、彼自身は非常な愛妻家として知られ、ひとりの女性ガラを一途に想い続けた。
 ところで、もし仮に同時代かつ同国のフルネームがやたら長い大芸術家(対照的に派手な私生活で知られた)を口に出していたら……? 相当なツッコミどころとなっていただろう。

 『四八』神奈川シナリオ「来訪者」に登場。
 謎の男「鯖徒瑠陀吏雄(さばとる・だりお)」の芸名(?)は、この大芸術家の名前のもじりである。

 『特別編』荒井七話「生ける人形」に登場。
 荒井さんは神域の才を持つモデラ―「曽我秀雄」とその恋人「早乙女麻耶」の関係のことを「サルバドール・ダリ」とその妻「ガラ・エリュアール」のそれになぞらえている。
 要は芸術家と、その理解者にして霊感を授ける芸術の女神という関係性である。


三時の怪人(さんじのかいじん)

  • 登場作品:学怖S
  • 種族:現代妖怪?
  • 関連人物:荒井昭二《噂,正体》,日野貞夫
  • 関連用語:カッターナイフ,自殺
 『学怖S』荒井五話「午後三時に現れる『三時の怪人』」に登場。
 荒井曰く、「午後三時ちょうどに現れる謎の怪人」であり、その正体などは深い謎に包まれている。しかも、あまり正体などが知られていない理由については、「三時の怪人」と出会った者は全て殺されてしまっているというもっともらしい理由も付けられている。

 その召喚については、単にその辺の時計が三時を示した瞬間ではなく、とある特別な時計が三時を示した瞬間…それも新聞部にある古びて止まっている時計がそれだと荒井は話す。
 早速試してみたところ、部室から覗く不気味な影を見つけ、後を追ってみるも明確な姿は発見できなかった… もしくは現れなかったことに責任を感じた荒井が、カッターナイフを取りだして新たな三時の怪人として惨劇を繰り広げる… もしくはそれをその場のメンバーに止められ、落胆と一抹の気遣いを見せてくれる。[このシーンの荒井は間違った責任の取り方ではあったもののなんだかさわやかな笑顔を見せてくれる。]

 別の分岐では、生徒を自殺に追い込んだ体育教師の安達が、自殺後に三時の怪人になったとされ、その話を聞いてしまった人間の元に午前三時に訪れるという。そしてそれを退ける方法を荒井から教えて貰うことになる。
 それは1:待つ 2:叶う(叶える) 3:聖なる言葉「ソウ」
 さあ、あなたも三時の怪人に襲われたくなければしっかり覚えておこう。
 「待つ」「叶う」「ソウ」・・・


三途の川(さんずのかわ)

  • 登場作品:学怖S,男怖,小学怖
  • 種族:スポット(異次元)
  • 関連人物:仮面の少女,小笠原聖
  • 関連用語:語り部,地獄,狭間の部屋
 仏教思想において「此岸(この世)」と「彼岸(あの世)」を隔てる川。
 ここを訪れる死者は渡ったのちに、閻魔王(もしくは彼を含む十王)による死後の審判を受けることになる。
 ちなみに「三途」は、人間(生物)が死後転生する際に六つの世界に振り分けられるという「六道輪廻」の思想のうち、苦しみの度合いが大きい下位の世界「畜生道」、「餓鬼道」、「地獄道」の総称「三途(三悪道)」に由来するとも言われている。

 付属して「賽の河原」と呼ばれる地点も存在し、そこでは親に先立った不孝を償うために幼い子供たちが石を積み上げさせられているという。完成させれば向こう側に行けるというが、間際になって鬼によって崩され永い時を過ごす羽目になる。
 しかし、最終的には地蔵菩薩によって救われるのだという。余談ながら地蔵菩薩は閻魔王のもう一つの顔ともされている。
 ただし、こちらは民間伝承としての属性が強く仏教の教えに組み込まれているかといえば半々といったところか。

 「川」が生と死を分かつ境界線であるという発想は東西を問わず、エジプトやギリシャなど人類の文化史では普遍的にみられる。そのためか臨死体験として三途の川を渡ろうとする寸前で引き返す、なんて経験をしたという証言も珍しくなかったりも。


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 『学怖S』隠し01(男)「続・仮面をつけた制服の少女」に登場。
 語り部たちの声に惹かれて取り壊されつつある旧校舎の残骸を訪れた「主人公(男)」だったが、そこで落下する木材に巻き込まれ生死の境をさまようことになる。その上でためらいなく、主人公を誘導する声に引かれて進んだ場合に待っていたのは……。

 進む上では小川にしか見えず飛び越える程度の労力で済んだが、戻る上では到底引き返せそうにない巨大な「三途の川」だった。語り部たちと再会でき主人公もまた喜ぶ。
 しかし、どうやら語り部たちの思惑は違っていた。彼らは何もない死後の世界で主人公を「いじめ」虐げ楽しむつもりらしい。

 死後の世界は自身の望む通りになると、語り部たちは言った。彼らの言い分に従えば主人公の望みによって語り部たちは呼び寄せられたと考えられるし、もちろんそういった言い分は真っ赤な嘘と解釈することもできる。
 仮面の少女が言うにまた事実として主人公は語り部たちに“呼ばれていた”。語り部たちの言い分は正直、分が悪いだろう。

 『男怖』「邂逅」「地下を走る電車」に登場。
 作中で主題となる「狭間の部屋」を介して地獄に辿り着く展開がいくつか用意されているためか、生と死の境界地帯である「三途の川」を渡るシチュエーションも同時に存在することが多い。


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 「邂逅」。
 「小笠原聖」が


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 「地下を走る電車」。


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 『小学怖』月曜日「死を呼ぶゼッケン」に登場。
 「藤森美沙」さんからもらったお守りのゼッケンを握りしめながら。自分そっくりの「ドッペルゲンガー」との間に繰り広げられた死のレースを制しつつあった「新堂大誠」くんだったが、ここでゴールに設定されたのが「三途の川」手前と思しき地点である。

 健闘をたたえ、マラソンの勝ちを譲ろうとするドッペルゲンガーだったが、大誠は直感でも知識でもなくスポーツマンシップに則って真の勝利条件を満たすのだった。ヒントを言っておくと、三途の川に至るまでの間にゴールテープは張られていない。


産婦人科(さんふじんか)

  • 登場作品:学怖,晦,学怖S,VNV,特,鳴七
  • 種族:スポット
  • 関連人物:早坂桃子,本田佐知子《実家》,浦野
  • 関連用語:嬰児
 妊娠した女性が通う診療科。妊娠初期から出産までを手広くカバーする。
 普通の学生がお世話になることはあまりなさそうだが、一方で堕胎や中絶などのダークな面での登場も……。

 また、未成熟な赤子「嬰児」は「秘薬」の材料として用いられることが多い。
 入手が難しく貴重なこと、いかにも淫靡でインモラルなイメージが幸か不幸か創作の世界で花開いたのかもしれない。
 [ちなみに、筆者は「小人地獄」を思い出す。ハンナはつるそう。]

 『学怖(S)』「校内に巣くう地縛霊」に登場。
 「早坂桃子」さんの実家が産婦人科であることが展開によっては判明したりもする。
 この場合の早坂さんは死に瀕しつつある愛しい花壇を救うため、堕胎児を家から持ち出し肥料として与えた可能性が高い。

 花壇の復活と共に死が目前まで迫っていた早坂さんも快癒して今は無事に暮らしているそうである。もしかしたら闇へと葬られるしかなかった自分たちを陽の下へ連れ出してくれたことに対する恩返しなのではないかと、この際に荒井さんは述べていた。

 『晦』「愛する一念が起こす事件」に登場。
 「浦野」先生の姉が開業している科は「産婦人科」である。


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 『VNV』『特別編』「偽りの愛」「偽りの愛(改訂)」に登場。
 「本田佐知子」さんの家は産婦人科らしい。そんなわけで本田さんが「「及川由紀」」さんをクロロホルムで眠らせての開腹手術を行った際用いられたメスやハサミなどの手術器具は家から持ち出されたものだと考えられる。

 ただし本田さん自身に施術経験があるわけもない。事前にある程度の用意はしていたものの手術の過程は惨憺たるものになってしまうのだが、それらについてこの項で語ることではないだろう。

 『鳴七』「殺人クラブ」に登場。


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サンブラ茶(-ちゃ)

  • 登場作品:学怖,学怖S,四八,学恋,流神A,新生
  • 種族:アイテム(植物・蟲・食品)
  • 関連人物:竹内清,細田友晴《嗜好》,裳異土の翁
  • 関連用語:イチョウ,学怖inよんはち,麻薬
 これを飲むと一切の排泄行為をしなくて済み、美容にも大きな効果を発揮するという、まさに夢のお茶。しかし代償は大きい。
 まず挙げられるのが異様な不味さ。分岐、作品によって形容は違うがいずれも名状しがたく、蟲っぽさも織り交ざるとんでもない味がする。見た目もコーヒーのように真っ黒で、作品によってはツタのようなものがはみ出たグラフィックが用意されている。
 加えて薬草のような青臭い匂いがするなどお世辞にも褒められたものでない。

 その一方で、飲み慣れると癖になる味らしく愛好家も数多い。
 作品によっては、中毒性すら持っているのだから恐れ入る。その辺は『学怖』が抱える怪しい食品の双璧「飴玉ばあさんの飴玉」に共通するポイントだろうか。

 で、このお茶が抱える最大の問題点だが、飲むと体質が変化し、植物との合成人間になってしまう。
 この際のメカニズムや形質は作品によって微妙に解釈は違うものの、蟲のような性質を持つ植物と共棲関係になることで体内の不純物(老廃物)を排除してもらう、というものが多い。

 根本的に通常人類とかけ離れているようにしか見えなかったりもするので、摂取したものが理解者を得るのは難しいだろう。
 (ある程度意識すれば引っ込めることも出来るようだが)至近距離に近づいてみればわかるレベルで植物や蟲の一部が体の表層に露出するデメリットもあるので、初見の者にとって上記のメリットに釣り合うかは疑問が残る。
 一般人・細田さんの恐怖からくる偏見もあるとはいえ白井先生の手による合成実験の如く、植物主導で乗っ取られて本人の意思があるかどうかは不明……という寄生生物全般に共通する恐怖を拭うのも難しい。

 『学怖(S)』細田三話および隠しシナリオに登場。

 細田三話「絶対トイレに行かない男」。
 初登場作品。先輩の「竹内清」が細田さんを自宅に招待した際に「トイレに行かない秘密」を伝授するのを兼ねてご馳走してくれる。この際に上記の特性、味、見た目の悪さなどが紹介された。

 竹内先輩は体内(血管)内を遊泳する緑色の微生物(植物性)と共棲関係になっており、近くに寄ると皮膚(眼球まで!)の下に蠢いている様がよく見える。
 また、口内を覗くと根のようなものがびっしりと張っていたり、グラによってはイクラのようなものや緑色の蟲が奥に見えるなど、気味が悪い。あと、吐息も青臭くなってしまう。

 ちなみに来歴についてだが、不浄物を餌とする植物が寄生した謎の蟲を煮詰め、抽出した繁殖エキスを体内に入ることによって効果を持つともされている。
 『学怖S』以降は「サンブラ樹」という植物に来歴が集約されているが、「蟲」はそこでも外せない属性だろう。

 ただし、いずれにせよ隠しシナリオにもつながる根幹分岐では細田は無理に飲まされそうになって吐き出している。
 その後竹内さんは急に転校してしまう。しかし以降は「排泄しなくなる体になる」という作用を知ったこともあり、また体に少量でも入ったことで変化の兆しと駆り立てられるような謎の衝動も感じた細田さんは再び巡り会うことを熱望している。

 隠しシナリオ「復活・トイレに行かない男」。
 こちらでは蟲よりむしろ植物の性質について着目したふたつの結末が待ち受けている。なお、後続作品におけるサンブラ茶の登場については「サンブラ樹」の項目も参照のこと。

 隠し02(男)「主人公の後輩 田口真由美」に登場。
 『学怖S』追加分岐。
 姉妹品である「ヨンブラ茶」なるものが製品化されていたりする。なかなかに侮れない。ちなみにこの「ヨンブラ茶」も非常に不味いが、死者には美味しく感じられるらしい。

 『学恋』にも登場するなど、ネタとしての命脈は太い。


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 『流神A』「ひきこさん」に登場。
 大人気エステサロン「サロン・ド・ボーテ・ミシェル」の人気商品「大天使のハーブティー」に含まれる成分のひとつとして「サンブラ」の名が挙げられている。
 肝心のハーブティー自体も黒くドロッとした液体、青臭い匂い、エグみのある味……などなど従来作品における特徴三点セット揃い踏み、試供された賀茂泉警部補も思いっきり躊躇していた。

 ちなみに『アパシー/学怖』シリーズにおける定番ネタではあるが、『流行り神』シリーズ自体のリアリティラインに則ったかサンブラ自体の超自然的な恐怖については触れられていない。

 服用し続ければなにかが起こるかもしれないと想像はできるが……。作中で描かれていない以上、想像の域を出ない。
 むしろ、この商品が登場する展開のバッドエンドとグッドエンドを比較すれば、予備知識がなくとも真の恐怖、尾に引く後味の悪さ――要は不屈の人間の心情を曲げるほどのなにかがが見えてくる。

 当のハーブティー自体については服用者が実感するほど即効性があり、むくみ防止などの美容効果に大きな効果を発揮する。他のシリーズ作品における驚異の効能を思えば納得だろう。
 しかし、日本国内で販売の認可されていない麻薬に似た成分が含まれている。こちらも『四八』以降に強調された中毒性を思えば腑に落ちる種明かしかもしれない。

 表沙汰になればエステサロンとは当然営業停止、法を守る警察官としての視点に立てばもちろん、知らずに愛用している顧客にとっても問題しかない商品といえるだろう。

 『新生』「トイレに行かない男」に登場。
 「サンブラ茶」名義は出ないが、間違いなく「サンブラ樹」由来のお茶がお出しされているため、便宜上この項でも記述する。
 まんまる小学生「御手洗吾郎」がトイレに行かない先輩「竹内清二」の自宅に招待された際に紅茶のような飲み物をご馳走される。
 小学生向けではないのかもしれないが味はそう悪くはないようで、中に黒い粒のような植物(サンブラ)の種が入っており、スパイシーさが大人の味を演出する……らしい。事実、種は貴重な香辛料としても流通しており好事家の間での評価は高いようだ。

 で、例のごとく黒い粒の方がこのお茶の本領なわけだが、紅茶部分も外せない要素だろうと御手洗くんは推測している。
 なお、このお茶には強力かつ即効性の麻痺作用が隠れており、飲んだものの意識、感覚をそのままに急速に首から下の動きを奪い、能動的な行動を不可能にする。
 こちらも裏の世界という但し書きは付くが、尋問(拷問)用に利用されているらしい。

 ただし、サンブラ茶(便宜上)の危険な側面はむしろ本体の「サンブラ樹」の特性にも深く食い込んでいるため、この項だけで詳細に語ることはできない。あくまでこのお茶は「トリガー」である。

サンブラ樹(-じゅ)

  • 登場作品:学怖S,四八,新生,極,新生2,鳴七
  • 種族:アイテム(植物)
  • 関連人物:竹内清,竹内清二,細田友晴,裳異土の翁,高柳稔
  • 関連用語:不老不死,黒百合総合病院
 「茶」と言うだけあり、サンブラ茶は基本的に加工品である。
 よって、サンブラ茶を産出する母体となる植物「サンブラ樹」が着想されてもけしておかしくないという理由からシリーズ中では度々顔を出す。時にはサンブラ茶から独立してこちらの脅威がピックアップされる機会も多かったりする。

 なお、サンブラ茶は海外産の希少なお茶らしく、入手は困難といわれている。
 つまりサンブラ樹も海外原産であるが、商社が買い付けもしくは栽培契約などを結んで一般に流通している類の商品ではなさそうだ。怪しい植物ばかり売り歩いている「裳異土の翁」が取り扱っていることなどからも窺い知れる。

 『学怖S』「復活・トイレに行かない男」に登場。
 「サンブラ・ツリー」名義。インド原産で熱帯産の絶滅寸前の植物(雌雄性)なるものが存在することが七人目として部室に現れた竹内先輩の口から語られた。
 ただし、これは半ば与太話のようなものであるため信憑性は低い。部室に現れた竹内先輩は偽物であるし。

 だが、サンブラ茶の原料を求めて海外に渡航し消息を絶った……という本物の竹内先輩の足取りは『学怖S』から二十二年後の作品『新生』でまさかの伏線回収が行われることになる。詳細は後述のこと。
 また、違った展開としては竹内先輩(本物)がサンブラ茶の原料となる植物を品種改良した結果、新種が誕生したようだ。中途半端に飲むとなぜか「首が伸びる」。これは植物の「光屈性」の性質を人間が得てしまったかららしい。
 念願の竹内と再会するも、どちらにしても半端にしかサンブラ茶を飲むことが叶わなかった細田さんへの報いだろうか?

 『四八』長崎シナリオ「サンブラ樹」に登場。
 「サンブラ樹」名義としての初登場作品。
 太ってはいるが、にこやかで好青年の極みな花屋の従業員「島田次郎」さんの下に苗が持ち込まれる。
 店を訪れた謎の老人「裳異土の翁」からは育て上げれば人生が変わるという触れ込みで売ってくれたわけだが、結論から言えば翁から提示される三択のうち唯一のハズレ。
 島田さんは思いを寄せていた女性「天木茜」さんにその場の勢いで首を絞められて殺されてしまう。

 葉にも無数の極小の蟲が付いており、調べて発見した島田さんはこの時点で嫌な思いを抱えていたが、まさか人生の最後に見る光景が想い人の皮下を這いまわる粒粒というショッキングな光景とは思いもしなかっただろう。

 茶としては排泄不要、美容痩身にも効果あり、若さも保証されるという効能を持っていたようだ。
 ただ、かつてのサンブラ茶そのままにいいことづくめに思えて、服用者に精神の均衡を失わせる作用もあったのかもしれない。
 なお葉を煎じて飲むことによっても、発揮する効能も薄いものらしい。つまり濃い用法から外れてもとんだ劇薬っぷりである。

 『学怖inよんはち』『極』細田シナリオに登場。
 旧校舎のトイレで人型の植物を育てている竹内さん――の分岐展開を絡めて「サンブラ樹」の栽培過程が密に語られる。
 挿し木からならかなり簡単に育てられるが、種から育てるには人間の排泄物を日に数回与える必要があるとのこと。蟲と植物が混じり合った独特の生態をしているらしく、育てることは困難。
 また、傷付けられそうになると、人間を襲って同化させることすらあるなど、かなり侮れない。

 取り込まれた者はしばらくだが人間としての自意識を保持しており、自身と同じ顔をした頭型の果実を介して会話すらできるものの、やがて果実はしおれてしまうということ。
 身じろぎ出来ない植物の体に閉じ込められる恐怖はモチーフとしてシリーズ中度々用いられている通り、ぞっとしない話である。

 ちなみに『学怖(S)』における人型植物の正体は「悪霊」とされていたが、こちらでは魔法植物すら取り扱っている謎の行商人「裳異土の翁」がトイレに種を蒔いていたことが話のきっかけ。超特殊な類ではあるが、一応植物のカテゴリに入るようだ。
 翁はそこを目撃した竹内さんに挿し木と引き換えに栽培を依頼したのが約三年前のこと。相応の月日を経て種はすくすく育ち、とうとう竹内先輩と同じ顔の果実をつけるまでに至る。
 が、先に述べた通り専門的知識のない竹内先輩がハサミを入れたことから逆襲を受けて取り込まれてしまう。

 要は蟲と植物の繋ぎに人間の成分が必要という理解をすることもできる。最終的にはお茶による摂取という形を経て人間と共棲することになる植物(蟲)のあり方を表しているのかもしれない。
 ちなみに一部の好事家の間では極めて高額で取引されており、自分で使うにしてもメリットは『四八』作中で挙げられた通り。デメリットは伏せられているものの、竹内先輩が翁の提案を快諾したというのは頷ける話である。

 ただし、竹内さんの代わりとばかりに翁が細田さんに向けた提案を受けるか断るかはプレイヤーの裁量に任されているのだが。

 『新生』「トイレに行かない男」に登場。
 おそらくは(亜)熱帯圏に位置するであろう某国に存在する希少植物。
 本体の樹木に付いている間は運動性を持つ種を多数、樹表部に露出させるという独特の生態をしている。
 また、この種を摂取した人間を植物の特性を持つ亜人のような性質に変異させ、代わりに栄養源として犠牲者となる人間の血を根元に運ばせるという、一種の共生関係を結ばせる。

 言うならば世界最大の食人植物にして吸血樹である。
 運動能力は常人に比べ劣るとはいえ動けはする人間のことを子機として扱い、動けない親機のことを守らせ餌を運ばせる。
 要は社会性昆虫に似た関係と言い換えることも出来る。

 人間を変異させることで不老を与える反面、近くにサンブラ樹がなければ変異した人間は生きられないのではないか? ……などと込み入った事情を知ってしまった御手洗くんは推測を立てたが、まぁ人を縛るうえでは理にはかなった話である。

 『新生2』「赤い靴下」に登場。
 『新生2』は『極』の追加パッチとして当初開発され、単独作品としてリリースされたソフトである。
 よってこの「サンブラ樹」の設定も『四八』-『極』系列ということになる。

 通常は葉を煎じて飲むサンブラ樹の利用方法だが、ならば人間に「種」を飲み込ませたらどうかという疑問に答えてくれる展開が「黒百合総合病院」の問診でやってくるのだ。

 こちらはさまざまな病気の治療に役立つと思われる。劇中で「薬」と言われて服用した坂上くんは臀部のできものが瞬間で消えてなくなったことに気づき小躍りしていた。
 しかし、この種を服用した後は異様に細かく量が多い注意書きを守る必要がある。

 それが守れなかった場合、種は服用者の身体を苗床に発芽し、一夜にして元の肉体を枯死させ元の肉体の頭部に似た果実をつける。また、この果実は元の人間の自意識を宿す。
 「サンブラ樹」そのものになってしまうとこの種を処方した高柳先生は評したが、果実を抜きにした樹木部分が再利用できるかも不明である。この果実は数寄者のお金持ちに高額で流されており、病院にとっても重要な資金源になっているらしい。  

 少なくとも果実は美味であるようだが、どういった効用があるかは不明。
 また、高柳先生が服用者の自己責任が成り立つよう投げっぱなしの説明しかしないことで罪悪感を感じないようにしているのか? と言われればそんなことはないようだ。

 研究の結果判明した上記のからくりを高柳先生と正美さんはすべて知っている上に金儲けという本音を隠すつもりもないようで両名は穏やかに談笑している。この分岐における彼らも例のごとくヤバい人だと断言できる。



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  • コメント欄追加 ダリにリンク貼り リンク先もつくっとかないと -- 名無しさん (2011-07-16 00:40:30)
  • 「血を吸う桜の木」の項を削除しました。『霊怪記』のチラシにあったフレーズで今後登場の可能性はありますが、現状置き続けるのは時期尚早でしょう。 -- 名無しさん (2022-01-12 18:17:14)
  • 「サブリミナル効果」の項目を削除しました。長期にわたってリンク付けのまま放置されていましたため。異論のある方は書き込みをお願いします。 -- 名無しさん (2023-11-25 14:10:51)
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最終更新:2024年02月27日 15:24