う‐え


索引


上杉(うえすぎ)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:藤村正美《噂》,河合《ライバル》
 正美二話「両足を失った悲しみ」に登場。
 両脚に重傷を負ってしまった不遇のバレリーナ「河合」さんが所属するバレエ団の同期で、彼女にとってはライバル関係に当たる。

 上杉さんに見舞われる河合さんだったが、その振る舞いの中に上杉さんの喜びを感じ取ってしまった河合さんはひとり悶える。
 だが、当の上杉さんはその日の帰り駅のホームから蹴り落とされ、無惨な轢死体となって発見された。目撃者こそいなかったものの、後の調査によって遺体の背中には裸足の足跡が付いていることが判明する。
 背中と言う時点で生身の人間が犯人だとすれば、明らかに無理な体勢であることは明らかである。すわ、河合さんの怨念か!?

 などと普段の正美さんなら彼女の死に河合さんが介入したことを疑うはずだが、意外やさらりと流される。本筋から離れたあっさり目に流される分岐と言うことを差し引いても、いらないことまでつつき出す彼女としてはかなり珍しいケースなのかもしれない。


上田義則(うえだ よしのり)

  • 登場作品:追加
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 一年生
  • 誕生日:8月31日
  • 関連人物:塩山啓太《クラスメート,嫉妬》,荒井昭二《クラスメート》
  • 関連用語:紙袋
 『追加版』荒井シナリオ「紙袋の中身」に登場。
 いわゆる「空気の読めない」人間であり、クラスの中でも鼻つまみ者だった彼は、エレファント・マンこと「塩山啓太」に嫉妬の炎を燃やしていた。
 奇怪な格好をしている塩山くんが皆の人気者なのに、どうして自分には誰も構ってくれないのか……。そんな独りよがりな論理の下、彼は塩山くんの素顔を暴いてやろうと画策するのだった。

 最初はほんのイタズラ程度のものだったが、度重なる失敗により、上田くんの計画は次第にエスカレートしていく。ピッキングに盗撮など、本格的な犯罪行為にまで至ってしまうのだった。
 壮大な計画と多大な苦労の末に彼が見た塩山くんの素顔とは……?


植野裕樹(うえの ゆうき)

  • 登場作品:特,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 英語教師&一年C組担任&ボクシング部顧問
  • 誕生日:12月26日
  • 身体:175cm/60kg ♂ O型
  • 趣味:スポーツ観戦
  • 好きな/嫌いな食べ物:ツナのパスタ、月見うどん/ミートローフ、コハダの酢締め
  • 関連人物:新堂誠,新谷健也,立花ゆかり,菊崎あきな
  • 関連用語:ボクシング部《顧問》
 『特別編』新堂シナリオ「ゴングが鳴って」に登場。
 いじめられっ子の「新谷健也」の担任であり、彼のいじめの現場をいつも救出していた。
 いじめっ子に対抗する手段として彼を「ボクシング部」に入れ、いじめっ子をはねのける度胸を身につけさせる事に成功する。

 社交的な性格で他の生徒らの人気もあったが、内向的で意欲のない新谷には多少のいらだちも感じていた。
 なお、新堂さんがこの話を知っているわけとして、「新堂も元ボクシング部であり、植野とも親しくしていて直に話を聞いた」ということが語られている。

 『鳴七』「ゴングが鳴って」ほかに登場。
 『鳴七』での再登場に伴い他のキャラクターの要素・エピソードを折衷し、習合することで大幅にリファインが施されたキャラクターのひとり。「深山先生」の要素・エピソードが折衷、習合されており、今回は優男風のイメージで描かれている。
 元々生徒からの人気の高かった先生だが、教え子に手を出すという教師として資質を欠いた過去のエピソードが描かれる。
 基本的にはそこから改心し分け隔てなく生徒たちに接する好人物として成長を遂げたという遍歴で語られているようだ。


 (執筆者募集中) 


 「ゴングが鳴って」。


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 (執筆者募集中) 


 「十三階段」。


 (執筆者募集中) 


 「歪んだ被写体」。


 (執筆者募集中) 


 「窓枠の中で」。


 (執筆者募集中) 


 「夜泣き石」。


 (執筆者募集中) 


 「殺人クラブ」。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「植野裕樹」はその中のひとりであり、「駐車場」にいる。


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上原(うえはら)

  • 登場作品:学怖S
  • 種族:人間→霊
  • クラス:一年生
  • 関連人物:荒井昭二《噂》
  • 関連用語:屋上,自殺《魅了》
 荒井三話「飛び下り自殺の人体実験」に登場。
 日頃から勇気があることを自慢していた男子生徒で「ラグビー部」に所属していた。
 そんな彼はある日キャプテンが言い出した「屋上から飛び降りたら一年でもレギュラーにしてやる」と言う戯言をきっかけにして「屋上」に通うようになる。そして、柵の外に出ては下を眺め、風を感じると言った危険な遊びに興じるようになった。

 そんな日々が功を奏したのか、それとも実力なのか、彼は一年にしてレギュラーの座を掴むのだが、それでも皆が知る危険な遊びを止めようとせず、遂には飛び降りてしまう。
 その後、彼の霊は屋上に一人たたずむ人の前に現れて「一緒に飛ぼうよ」と言った誘いをかけているらしい。スポーツマンらしく爽やかだけど……、健全なんだか不健全なんだかサッパリわからない呼びかけである。

 勇気と無謀は紙一重と言う言葉があるが、それは彼に当てはまらない。
 彼がスリルを求めていたことも、屋上が好きだったことも、彼の願いとは微妙にニュアンスが異なるのだ。
 彼は屋上を通して“死"を感じており、最期の瞬間にやっとそれを理解したのである。恐怖を全く感じず、死にたがった彼は「生き物」として生を受けたことすら間違っていたのかも知れない――。


宇佐見妃菜(うさみ ひな

  • 登場作品:最終
  • 種族:人間(能力者?)
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:荒井昭二《噂》,榎本杏奈,夏目知佳《敵対》,沼田明日香《信者》,吾妻弓子《理解者》,向島渚
  • 関連用語:こっくりさん
 『最終版』追加シナリオ「生徒編」に登場。
 幽体離脱を用いて常人では見聞きできない情報を言い当てられることを自称しており、「沼田明日香」という熱烈な信者を従えている女子生徒。
 同じく霊能力があることを自称している「榎本杏奈」とは犬猿の仲で、顔を合わせるたびに言い争いをしていた。

 「吾妻弓子」先生の助言で、二人は「こっくりさん」を用いてどちらが本物の霊能力者か決着をつけようとする。
 しかし、吾妻先生も同席したこっくりさんの儀式は思わぬ方向へ進み出す。
 宇佐見さんに本当に霊能力があったのかは定かではないが、いずれにせよ緊急事態下では全く役に立たない程度のものであったようだ。


内田(うちだ)

  • 登場作品:学怖,学怖S,極
  • 種族:人間
  • 関連人物:新堂誠《噂》,石川
 新堂五話「ギャンブルトランプ」に登場。
 その中でも出現させることが難しい「石川」の、そのまた分岐に登場する。
 新堂さん曰く、おとなしそうで色白、ちょっとかわいくて人目を引く女生徒。
 へそ曲がりの石川に思いを寄せられたはいいが、物で釣ろうとするやり方しかできなかった彼に対して無関心な態度を取り続けたことが悲劇を生むことになる。病弱で心臓の弱かった彼女にとって一番大切なものとは……?

 [彼女はいわばレアキャラである。彼女のようなちいさな悲劇が数多積み重なったこと、それこそが『学怖』を名作足らしめる遠因なのかもしれない。]


内山浩太(うちやま こうた)

  • 登場作品:学怖,学怖S,学恋2,学恋V,秘密,鳴七,稲in
  • 種族:人間,霊
  • 職業:鳴神学園高校 一年E組
  • 誕生日:7月18日
  • 身体:161cm/45kg ♂ O型
  • 趣味:ボードゲーム
  • 好きな/嫌いな食べ物:寿司(玉子)、コーンスープ/目玉焼き、イワシの甘露煮
  • 関連人物:岩下明美《噂,姉,幼馴染》,大滝《恋心》,坂上修一《クラスメート,BL》,仮面の少女《?》
  • 関連用語:いじめ《犠牲者》,悪霊《?》,カッターナイフ《自殺》,将棋部《所属》,演劇部
 「主人公(坂上修一)」のクラスメートである男子生徒。
 展開によっては岩下明美と血縁関係であることが判明し、姉弟の絆を確かめるような劇的なエピソードが都度やってくる。
 気性の激しい姉との対比もあってか、内山くん自身は大人しく、自己主張も控えめな人柄の持ち主である。ビジュアルも線が細めでどことなく儚げで薄幸の美少年として描かれる傾向が強いようだ。

 ただし、この血縁設定が必ず適用されるとは限らない。
 最大公約数的な設定を採れば、むしろ血縁関係にない方が多いのだとか。

 岩下一話「悪霊に魅入られた少年」に登場。
 優しい性格が祟ったのか酷い「いじめ」に遭っている。
 そして、クラスの皆に「悪霊」が憑いているのでは? と言う考えに至るなど、相当追い詰められていたらしい。岩下さんはそれら事実を主人公相手に事細かに突きつけて答えを迫る。
 ――すぐに気付く者も多いだろうが、この話は怪談ではなく、主人公を威圧するための糾弾と言う趣向を取っている。

 いきなり心中に土足で踏み込む岩下節は一話から健在と言える。
 プレイヤーは心の準備も出来ていないうちから、知りもしないクラスメートのいじめについてコメントを求められる羽目になる。
 特に『学怖S』では語り部選択画面の左端(最初に選ぶ率が一番高いであろう位置)に岩下が配されたこともあって「カッターナイフ」片手に襲い来る結末をはじめに迎えてしまったプレイヤーも多いのではないだろうか?

 この結末は「仮面の少女」の最初のキーでであり、隠し01・02を狙おうと思えば否が応でも通過する羽目になる。
 これこそ正しく制作陣の確信犯的所業だろうか。


 悪霊が取り憑いているという発想は追い詰められた中から生まれたもの。
 この考えを小ばかにするのは勝手だが、弱い者をあまりにコケにした態度を取るとしっぺ返しを食らうことになるのは必定か。岩下さんの反応は極端であるにせよ。
 誰も恨みたくないから架空の存在に罪を押し付けたと考えれば、彼の性格が見えてくる。

 ちなみに岩下さんがこうまで彼のことに尽力しようとする理由は、彼が「悪霊」に関わってしまったことも大きい。だが、展開によって明らかにされる「血を分けた実弟」と言う事実こそがなによりの説明だろう。

 名字が違うのは両親が離婚して片親ずつに引き取られたというのが真相。
 その設定が明らかにされない(存在しない)分岐でも先の「悪霊」繋がりのコネクションがあってか彼女は内山君に対し、終始好意的に接している。

 そして、姉が弟の仇を討とうと本編での暴挙に出たことからも分かる通り、内山君の人生は多くの場合で最悪の結末を迎える。
 が、ファンの間である種神格化された感のある岩下明美像でなく、良くも悪くも人間として行動した彼女の姿はユーザーに対して彼の存在を確かに焼き付けた。
 [それを受けてか、後のシリーズにおいても彼は岩下さんの人間的な情の側面を演出する際によく使われる。姉弟愛は勿論だが、単に家族の存在を明確にするだけでも、人ならざる神秘を人たらしめる効果は充分あるのである。]

 と、思ったら悪霊の存在を否定して立ち直ってしまったり、実は主人公(!)か唐突に登場した「大滝」さんに恋していたりとかする。
 これら千変万化の展開も『学怖(S)』の特色ではあるが、前者……自重
 ただ、後者は友達としての感情であるらしいが、この分岐になるとコミカルもしくはペーソスに溢れた展開となり、岩下さんの引き出しの多さを教えてくれる。

 他には『学怖S』では主人公こそが岩下さんが睨んだ通りに「いじめ」の首魁なのでは? と思わせる展開まで用意されている。話を通して見ると、内山君と悪霊を巡るこの話はプレイヤー=主人公の構図を揺るがした名シナリオとも言える。
 [あと、ひょっとしなくても内山君を殺した悪霊って仮面の少女?
 状況を見れば申し分ないし、彼だって仮面の少女を死に追いやった親達の一人から生まれた子どもであることに変わりはないのだから。]

 さて、今の今まで内山君についてはあの岩下さんの「弟」と言うイメージが先行していたが、彼の人物像は上記から見えてくることも多いだろう。

 外見については『学怖S』では線が細く眼鏡をかけたいかにもいじめられっこと言う印象。やや野暮ったい感じで、人間見た目ではないとは言え、あの方の弟としてはちょっぴり残念な感触だというのが正直なところか。
 実は『学怖』にも彼のグラフィックが用意されるはずだったが、容量の都合でカットされたと言う裏事情がある。そちらは『学怖S』の役者とも全く異なっているが、発売前に雑誌掲載されただけであり関連書籍等への収録もなっていないためにファンの間での認知度もかなり低い。
 同じ事情で岩下六話の「オルガンを引く女子生徒」などが挙げられる。

 『学恋2』岩下編夜イベント「紫の菊の人」に登場。
 紫のバラならぬ「紫の菊の人」の名義で岩下さんに応援のメッセージを匿名で送っていた。
 ほか、姉の負担にならないようにこっそり電話をかけたり、表題の通りに紫の菊を届けたりと陰ながら彼女のことを応援していた。連鎖イベントの最後に内山くんその人が現れて、自らの口から正体を明かしてくれる。

 「夜イベントビューアー」を使わない限り自力で彼の姿を見ることは難しいが、彼の想いを見てぜひ心打たれて欲しい。
 また、内山くん自身も美麗な岩下さんの弟に相応しい整った容姿となっている。

 『学恋V』では男女主人公共に攻略可能なキャラとして登場。

 (ネタバレにつき格納)

+ ...
 主人公(V)が女性の場合、条件を満たすと岩下さんと再会する。が、『学怖(S)』や『学恋2』での接し方が嘘だったかの様に冷たくあしらわれる。
 それもそのはず、今回の設定で二人の関係は全くの他人。
 部外者に姉呼ばわりされても迷惑なだけである。
 しかし、内山君の心の内に悪霊に名を借りて巣食った弱い心と対峙するには避けて通れない道であったのかも知れない。


 『秘密』「差出人を探そう」ルート、「例の手紙を見せて相談する」ルートに登場。

 「差出人を探そう」ルート。 


  (執筆者募集中) 




  (執筆者募集中) 


 『鳴七』「悪霊のいたずら」ほかに登場。


 (執筆者募集中) 


 「無限廊下」。


 (執筆者募集中) 


 「悪霊のいたずら」。


 (執筆者募集中) 


 「黒木先生」。


 (執筆者募集中) 


 「殺人クラブ」。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「内山浩太」はその中のひとりであり、「硬式テニス部部室」にいる。


 (執筆者募集中) 


 『稲in』に登場。


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宇部壬太(うべ じんた)

  • 登場作品:小学怖,新生,新生2,鳴七
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年六組
  • 誕生日:5月12日
  • 血液型:A型
  • 趣味:編み物
  • 好きな/嫌いな食べ物:ラーメン/ナマコ
  • 関連人物:新堂大誠,富樫黎雄,松戸博士,小門宇宙《友人》,妖怪ベロリ《遭遇》
  • 関連用語:鳴神大学付属病院,黒百合総合病院《入院》
 年代不明、鳴神学園初等部六年六組に属する児童のひとり。
 生まれつき体が弱く、一年のほとんどを病院で暮らしている少年。免疫力が弱く、食事にも大きな制限がつき、激しい運動などもってのほかだが、時折登校は認められており、仲の良いクラスメートもいる。

 いつ彼の人生が終わってもおかしくはないという危機感は自他を問わずに共有されているものの、宇部くん自身は人生に悲観することなどなく、前向きに日々を過ごしている。
 明るく物腰穏やかで、だけど苦難には立ち向かっていくことができる芯の強さを持った、そんな子である。

 外を出歩く経験が乏しいため、どちらかと言えば内的世界に没頭するタイプだが、外に目を向ける好奇心もしっかり保っており、どこをとってもニュートラルで中立的な性格と言い換えられもする。

 体質上、向こう側を覗き込むことが多く、霊感も多少あるのかその手の実体験はそれなりに豊富。
 六年六組のクラスの一員ではあるが、登校も稀というある種の第三者的な立場であるためか、ある程度冷静な目線からクラスの現状を確認することもできるようだ。

 『小学怖』火曜日「妖怪ベロリ」に登場。
 今年度の場合は月一回の登校がやっとという宇部くんだったが、二回目の登校で噂の転校生と話をする機会を得る。
 もう二度目はないかもしれない縁を結ぶためと思い、そんな彼が教えてくれたのは一回目の登校の際に「妖怪ベロリ」と出会った際の体験談である。

 なぜか彼にしか見えない「妖怪ベロリ」と接触し、会話を通してその性質を目の当たりにし、たったひとりでも迎え撃つことを決意する。ただ精神は強靭でも体までは付いてきてくれない。病のため途端に宇部くんは胸を押さえることになってしまう。

 しかしベロリは元々命までは取らない善良な妖怪であり、宇部くんの痛みを看過することもなかった。
 宇部くんは彼(?)から一時的に全力疾走に耐えうるだけの元気を分け与えられ、一転してベロリの窮地を救うことになるのだった。その後宇部くんはベロリにもらった力ではなく、自力で元気になろうと決意を新たにしたのだという。

 『新生』「危険な転校生」に登場。
 これは『小学怖』本編開始の二年前、「富樫黎雄」を中心としたトリオに四人目の「新堂大誠」が加わった時の物語である。

 そのまた一年前の三年生のころのクラスメートで、彼のホームである「鳴神大学付属病院」へ結構なペースで会いに来てくれている友人の「小門宇宙」から紹介を受けたことから宇部くんはほかの三人と知り合うことになる。

 それから宇部くんは、彼が有する博物館の鍵を求めにやってきた宇宙くんに対し、人柄を見込んだうえで「閲覧禁止室」から持ち出す物品を迂闊に扱わないという条件付きで貸し出しに応じることにした。

 「トーリトーネの仮面」の危険性を鑑みれば納得ではある。 
 宇部くん自身は病弱の身であり、宇宙くんたちカルテットと松岡との対決に居合わせることは当然できなかったが、事情を聞かされてもらった上で一同にエールを送り別れるのだった。

 『新生2』「赤い靴下」に登場。
 時間軸を「現代」に合わせたことで坂上修一とまさかの共演が行われる。
 今回は「黒百合総合病院」に転院してきており、それなりに病院にまつわる黒い噂などには詳しい様子である。

 強引な言い分で入院させられた坂上くんとはひょんなことをきっかけに知り合い、三種類の靴下の色とそれが抱える意味を教えてくれる。


  (執筆者募集中) 



海野菜月(うみの なつき)

  • 登場作品:小学怖
  • 声(CV):御苑生メイ
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年六組
  • 誕生日:6月2日
  • 血液型:B型
  • 趣味:健康オタク
  • 関連人物:白木《嫌悪》,荒牧大河《噂》
 年代不明、鳴神学園初等部六年六組に属する児童のひとり。
 気風のいい喋りが特徴的なサバサバ系女子。スポーツ好きで性格も活発、好き嫌いをハッキリ言うタイプでクラスのムードメーカー。負けん気が強く、ドッジボールではトロい男子に積極的にボールをぶつけに行くタイプと言い換えることもできる。

 切り返しの早い彼女の語りを表すかのように、彼女の文中では一人称の「ナツキ」をはじめとして形容詞や人称、単語にカタカナが頻繁に用いられる。
 反面、デリカシーがなく遠慮とは無縁の言動をクラスメートからウザがられている面もあるようだ。

 『小学怖』火曜日「奇跡の水」に登場。
 悪名高き体育教師シラミこと「白木」と、彼に気に入られたことで大惨事に巻き込まれてしまった「荒巻大河」について語る。

 白木に関しては彼女自身も授業を受けているだけあってその人となりは身に染みているのか、徹底的に嫌い抜いている。
 もっとも菜月が白木の言動と行動を取り上げて揶揄と冷笑を込めていることを差し引いたとしよう。

 起こったことだけを羅列しても白木が教師を通り越して人間として極めて問題のある人物ということはわかる。
 むしろ彼女の語りによって白木の不快感が緩和されている風情すらあるのだ。
 ただし荒巻くん相手の方には純粋な被害者ということもあって終始同情的である。


梅沢佳代(うめざわ かよ)

  • 登場作品:探偵局
  • 種族:人間
  • 関連人物:服部拓磨
 『探偵局』第四話「服部家の災難」に登場。
 服部家に仕える使用人の一人でメイド頭。


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浦野(うらの)

  • 登場作品:晦,鳴七
  • 種族:人間?
  • 関連人物:藤村正美《噂》,武内(滝本)《仕事》
  • 関連用語:嬰児,黒魔術,産婦人科,不老不死
 『晦』正美三話「愛する一念が起こす事件」に登場。
 正美さんも知る美容整形外科の女医であり、「自分で整形した」などと冗談めかしてうそぶいて見せるほどの美人。
 腕が良く顔も良いとなれば客も引く手数多で、そんな彼女を取り巻く人々の中には「武内」さんと言う浦野先生に恋して、時に秘書として彼女の下では働く青年の姿もあった。

 しかし浦野さんには裏の顔があった(洒落ではない。念のため)。
 その裏の顔は手段を選ばず美を追求する余り歪みに歪んで「グロテスク」に行き着いた極めてホラー的なものである。
 そんな浦野さんは「産婦人科」で開業医をしている姉がいて、そちらに武内さんをお手伝いとして出向させることもあったりする。

 そんなわけで、この話をご存じでない方にも察しは付くだろうが、武内さんはいわゆる犠牲者枠である。
 彼のことを仲間に引き入れてくれる展開もなくはないものの、彼女の姉を含めてまずロクな仕打ちを返してくれない。

 具体的には、武内さんのことを謎の怪物に餌として与えて咀嚼させたり「黒魔術」によって創りあげた「ホムンクルス」を思わせる人型生物の養分にしようとしたりといった具合である。
 浦野さんが裏側で繰り広げている、表沙汰にできない凶行のバリエーションは相当に多かったりする。

 ここですべてを並び立てることこそしないが、浦野さんの所業は自分自身を高めるか、理想の顔を作り上げるために尽力するかの大まかに分けて二パターンに分かれている。……研究熱心で勤勉な女性だったのかもしれない。

 『鳴七』「殺人クラブ」に登場。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 そのなかのひとり、「温室」で会うことができる「藤村正美」さんの口からふたたび浦野さんの話を聞くことができる。

 今回は「嬰児」を使った美容液の展開が採用されており、武内あらため「滝本」さんは異臭を放つ寸胴鍋を目撃しただけでスパイとみなされて恐怖のプールの中に突き落とされ、絶望の中で息絶えることになってしまう。
 なお今回の正美さんにとって浦野さんは前の勤め先の院長先生であり、直接の面識を持っていることになる。

 続いて、なぜこんな外部に絶対に漏らさないハズの機密を知っているかというところまで正美さんは教えてくれる。
 正美さんは知ってか知らずか、浦野先生の生命線を勝手に廃棄するというウルトラCを決め、浦野姉妹に引導を渡してしまったようである。浦野さんの残した記録から正美さんは、滝本さんと美容液の顛末を知ったのだとか。

 すなわち浦野さんたちの末路は、彼女たちが追い求めた「美」とはかけ離れた無惨極まるものだった。
 けれども正美さんはさしたる感慨もなく、さらっと流している。
 藤村正美の方が一枚も二枚も上手だったと言ってしまえばそれまでだが。

 むしろ、つまらない猜疑心から本当に信頼できる人間を手放して、代わりに藤村正美なんかを雇ってしまった浦野さんの人の見る目の無さ、なによりも自分たちしか信頼できず愛せないエゴこそが自業自得の末路を招いたのかもしれない。


浦部美緒(うらべ みお)

  • 登場作品:ドラマCD,鳴七,稲in
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 一年G組
  • 誕生日:2月25日
  • 身体:167cm/53kg ♀ O型
  • 趣味:節約
  • 好きな/嫌いな食べ物:からあげ、ハンバーグ/タコ、イカ
  • 関連人物:福沢玲子,元木早苗《友人》,染谷洋子《幼馴染》,神賀百々歌《噂,部活》
  • 関連用語:女子サッカー部《所属》
 『ドラマCD』Disc.6 福沢玲子「十三階段」に登場。
 日めくりカレンダーを用いた「十三階段」の検証に当たって福沢さんと同行した女子生徒。
 「女子サッカー部」に所属しており、こちらでは一年生ながらにレギュラーに選ばれる実力者らしく、なにかあった時の荒事担当を期待されていたようだ。

 事実体格も度胸にも恵まれており、普段は男子にも食って掛かる気の強い性格だったようだが、肝心の検証中は全く役に立たない。この手の話は苦手で怖がりらしいのになぜ福沢さん達についてきたのか疑問は残るが、話中ではもっぱら怖がり役にしてリアクション担当として活躍(?)してくれる。
 大体震えているか泣きそうになっているかで役に立たず、代わりに福沢さん一人が奮起する羽目になる。

 霊感持ちの染谷さんと霊能力者の早苗ちゃんではキャラ被りも著しく、また『ドラマCD』の舞台設定では早苗ちゃんが同座している。というわけで早苗ちゃんに代わって彼女が登板する羽目になったということも舞台事情を鑑みればわかるかもしれない。
 実際、ドラマCD版「十三階段」は元の福沢四話「旧校舎の十三階段」からさらに事態が進展……もしくは悪化しており、比較すれば怖い話という意味では成功の部類と言えるだろう。

 『鳴七』「十三階段」ほか多数のシナリオに登場。
 今作では初めて立ち絵が実装となる。腰に手を当てた堂々とした立ち振る舞いが印象的で、活発な性格が日に焼けた肌とショートヘアにも表れている。
 ちなみに制服の裾が浮き上がっているのは、キャラクターデザインの倉馬奈未氏いわく躍動感の表現で下から風が吹いているようだ。

 「キャラクター図鑑」には新たに家族構成や、怖がりであるはずの彼女がなぜ怪奇渦巻く鳴神学園に入学したかの経緯などが語られている。
 普段の元気な振る舞いからは想像もつかない家庭環境を抱えているが、なんだかんだで高校生活は楽しめているようだ。

 今作は上記『ドラマCD』で行動を共にした面々に「元木早苗」を加えた四人でいることが多く、四人でよく怖い体験に行くらしい。通称「ポンコツ四人組」。
 怖がりでヘタレな美緒ちゃんであるが、怖いもの見たさや不思議な体験をしてみたいという気持ちも少なからずあるらしく、毎度嫌だ嫌だと言いながらも付いてくるようだ。

 「あなたは幸せですか?」。
 一年G組を席巻したシャンプー騒動に巻き込まれ、シャンプーを飲んだ福沢さんのクラスメイトの一人として登場。
 初めはシャンプーを飲んだり目に入れたり、変な歌を歌ったり踊ったりする連中を気味悪がって遠巻きに見ていたが、シャンプーを飲んだ人たちが軒並み美人に変身する様を見て手のひらを返し、「プーダン」の一員となってしまう。

 余談だが、製品版の初期バージョン及び体験版では、美緒ちゃんの立ち絵が一つ手前の「女子生徒A」のセリフのタイミングで表示されるという不備があり、「モブなのに立ち絵が!?」と戸惑った人は多いかもしれない。[今作で初めて立ち絵が付いた喜びで勢い余って早く出てきてしまったのかも、と考えると可愛いのだ。]

 「十三階段」。
 早苗ちゃんのエクトプラズムを初めて見て腰を抜かしたり、展開によっては福沢さん達から距離を置くようになってしまうなど、おそらくポンコツ四人組としてのファースト・エピソードにあたる。

 美緒ちゃんはドラマCD版からセリフ増量、帰りたさもマシマシで、実際に猛スピードで帰ってしまう一幕も用意されている。早苗ちゃんのご先祖様からの評価は散々である。
 一方本人は自覚がないかもしれないが、例の旧校舎の赤ん坊を蹴散らしながら駆け抜けるなど、対霊的なフィジカルの強さを見せつけてくれた。

 「トイレット・シャーク」。
 十三階段の検証以後、おかしくなってしまった染谷さんを美緒ちゃんは心配していた。
 この日も一緒に帰る約束をしていたが、突然フラフラと染谷さんがどこかへ行ってしまい、慌てて早苗ちゃんを呼んでくる。

 早苗ちゃんの活躍により染谷さんは元に戻った。
 目に涙を浮かべつつもホッと胸をなでおろす美緒ちゃんは、染谷さんには小学生の頃から苦労させられてきたことをぽつぽつと語ってくれる。
 染谷さんは懲りない様子だが、二人の間には確かな信頼が見て取れるのだった。

 現場にたまたま居合わせた細田さんは「二人は幼なじみで親友なんですね。羨ましいなあ」とコメントを残している。
 [筆者はあまりに尊い二人の関係性に大の字になって空を仰いだ。]

 「坂上修一の学校であった怖い話」。
 坂上くんが「福沢玲子」の存在を確かめるべく訪れた一年G組で応対してくれる女子生徒。

 「狂気の夜」。
 七人目として新聞部室にやってきた「蜜田真奈美」の話に登場する。
 上記「あなたは幸せですか?」ではシャンプーを飲んでより後の描写は無いが、こちらでは福沢さんの指揮で行われた「野沢知美」いじめを率先して行っている。

 なおこれはハピカンの洗脳によるものであり、本来の美緒ちゃんの言動とはかけ離れている。
 蜜田さんと福沢さん、どちらの語りが真なのかは定かではないが、彼女もまた犠牲者の一人であることには違いない。
 [それにしても「おい」とか「お前」とか、普段の美緒ちゃんからは絶対聞けないワードが目白押しで、ぶっちゃけ可愛いと思う。]

 「交換日記の怖い話」。
 霊媒師の肩書きを持つ早苗ちゃんは、呪われた我が家を何とかしてほしいと「及川由紀」に頼まれる。
 その様子を見ていた美緒ちゃんと染谷さんは何事かと早苗ちゃんの元へ駆け寄ってくるのだった。

 及川さんといえば黒い噂が絶えないものの、超豪邸に住んでおり、毎晩世界中の料理が食べ放題だとの噂もある。
 早苗ちゃんの「及川さんとはお友達」という言を真に受けた美緒ちゃんは、その及川家でのバイキングに招待されたのだと勝手に話を膨らませ、早苗ちゃんに羨望の眼差しを向ける。
 更にそこへ染谷さんに上手く乗せられ、美緒ちゃんは「私たちも行きたい」と二人で早苗ちゃんに付いて及川家へ行くことにするのだった。
 及川さんも一時は怪訝な表情をするも、不思議と迷惑には思っていないようだが……。

 なお、勘違いさせたままではいられないので、早苗ちゃんもきちんと(?)及川さんの家が呪われていることは説明してくれる。
 美緒ちゃんは、それでは及川家は怖いところなのではないかと心配になるものの、またも染谷さんに言いくるめられ、最終的には食欲に負けたようである。
 早苗ちゃんはそれよりも別に食事は出ないことを訂正すべきなのだが、唯一ツッコミを入れられそうな福沢さんは生憎の不在である。

 「摩訶不思議風間ワールド」。
 十三階段検証に行ってより、染谷さんは連日のごとく赤ん坊のように泣きながら旧校舎に入り浸るようになってしまう。美緒ちゃんはそんな染谷さんにいつも付き添っているようだ。
 おかげで女子サッカー部の練習に参加できず、すでにレギュラーは外され、クビになる寸前らしい。それでも染谷さんのことに責任を感じ、一人きりにはさせられない・自分が守らなければと思っている。

 そこへたまたま風間さん率いる七不思議の集会メンバーが現れ、美緒ちゃんは福沢さんに(自称)霊媒師の風間さんを紹介される。
 早苗ちゃんよりも凄い霊媒師だと聞かされた美緒ちゃんは、絶大な期待を込めて染谷さんの治療を頼み込むのだった。

 特別シナリオ「秘密」。
 蜜田さん・染谷さんと共に、炎上したYチューバー・坂上くんの噂話に花を咲かせている。
 染谷さんの押さえた決定的な場面の映像に興味津々で、一般大衆的な女子高生(端的に言えばモブ)として描かれている。

 「殺人クラブ」。
 このシナリオの探索パートでは、各シナリオで語られたキャラクターたちが鳴神学園の至るところに潜んでいる。
 「浦部美緒」はその一人であり、「女子サッカー部部室」にいる。

 他のキャラクターと同様に怖い話をしてくれ、美緒ちゃんが語るのは「女子サッカー部」の「神賀百々歌」という女子生徒について。
 卑怯な手で部員たち、果ては美緒ちゃんをも陥れようとする神賀さんを、彼女は持ち前の正義感で強く糾弾するのだった。
 美緒ちゃん自身が怖い話が苦手ということもあり、心霊的な恐怖は皆無だが、リアルに関わりたくはない人間の嫌らしさを当事者目線で語ってくれる。

 また「殺人クラブ」のメンバーである福沢玲子について尋ねると、薄っすらとではあるが彼女の本来の性質を感じ取っていることが判明する。

 『稲in』に登場。
 鳴神学園への入学を果たし、所属クラスである「一年G組」に組み込まれたあなただったが……。
 自己紹介の席でなぜか唐突なめまいを覚え、気を失ってしまう。
 そして目を覚ましたはいいが不審極まりない両親にせかされるようにして学園に足を運んだあなたのことをクラスの一員として心配してくれていた(一部除く)。浦部さんはそんな心温まるクラスメートの中のひとりである。

 また、「オカルト同好会」への入部を決めたあなたが同クラスの早苗ちゃんを探している時に声を掛けてくれるのも彼女である。早苗ちゃんはオカルト同好会の活動ですでにいないことを教えてくれた。
 その後現れた染谷さんが今日のオカルト同好会の活動場所は旧校舎だと教えてくれるのだが、極めて常識的な観点であなたの身を心配してくれる。

 「逃げることも正義。とても大事だよ」

 ついでに染谷さんは美緒ちゃんも入れた三人で旧校舎へ行かないかと提案してくるが、美緒ちゃんはこの日は部活があるからと断っている。[その断り方だと部活が無ければ来てくれるのだろうか。]


瓜田茄子(うりた なす)

  • 登場作品:新生2
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園高校 三年A組
  • 関連人物:岩下明美,大篭哀子,鬼城遊香《クラスメート》
 『新生2』「正義のゴネシエーター」に登場。
 最近、岩下さんのクラスで起こった内輪もめ騒動に積極的に乗っかった女子生徒。
 特に容姿の描写は文中ではされていないが、陰の印象が強い大篭さんと対をなすような陽っぽい茶髪と、どことなくヒステリックじみた表情などが立ち絵として印象的かもしれない。

 クラスメートの「大篭哀子」さん筆による「岩下明美の実態を暴く真実のレポート」なる、センセーショナルな題名の怪文書に釣られて繰り広げられた狂騒劇のメインキャストのひとり。

 声は大きいものの、彼女自身の語彙力や国語力はさほどないのか、スピーディーだが説得力に欠けるスピーチを作中で数多く繰り広げてくれた。また、彼女が登場する展開では大篭さんもツートップで存在感を放つのだが、揃って「下品」の一言で片づけられるくらいに印象が低下する。

 長々と語りはしたが、要は事の真偽は関係なくデマゴギーに加担しては事を大きくしたがる、どこにでもいるタイプの人間である。
 彼女もまた冗談のような名前をしているが、大篭さんとは違い話の中ではスルーされている。

 なお、岩下さんを吊るし上げようとする集団は発起人の大篭さんと、目立った動きを見せる瓜田さんの両名を含めて七名と結構集まってしまったものの、クラス全体ではわりと少数派に留まった。

 ちなみに語る側の岩下さんはくだんのレポートについて一度も目を通すことはなかった。
 彼女たちが辿る末路から逆算して考えれば、知る意味はないというのがきっと正解だろう。
 そんなわけで岩下さんは自身に起因する冷徹な価値観に従って、この七名に対しては最小限の受けごたえに留めた。当然、彼女たちの求める面白い反応は返ってこなかったことになる。

 すると、集団内で突出する大篭さんや瓜田さんたちは夜の岩下家を訪問しはじめた。
 互いに裏切っただの、自分は岩下さんの味方だのの、支離滅裂気味な言動に切り替えつつ、それはそれと昼間の学校では吊るし上げや嫌がらせは続行するなど、はた迷惑さに翳りはなかった。

 岩下さんは孤高の人であって、孤独な人ではない。
 味方のふりした敵なんて願い下げということに気付いているのか、いないのか。
 この段階にくれば、もうこの集団が何を考えているのか分からなくなってくるのだが、冷静な第三者から見た「集団ヒステリー」なんてこんなものなのかもしれない。

 話がここで終われば『正義のゴネシエーター』と銘打たれた演劇の題材にされるくらいで留まる。現在進行形で続いている話ということをさて置けばの話ではあるが。
 が、話が集団内での不和をはみ出すと勝手は変わってくる。詳細は省くが、肥大化した自己顕示欲や自己保身に駆り立てられた瓜田さんは大篭さんといっしょに完全な迷走をはじめるのだ。

 愛憎という言葉がある通り、愛と憎しみは表裏一体。
 岩下さんに対して恨みを抱きつつも、結局のところ直接害を及ぼそうという思考に至らなかったことからもわかる通り、自分の尻に火が付くと岩下さんへ媚びる方向へとかっ飛んでいく。
 彼女たちの憎しみは岩下さん相手に崇拝に似た感情に転化してしまったようだ。

 で、崇拝者同士、似た者同士が殺意と狂気のぶつけ合いに挑むのに時間はかからなかった。
 またもや詳細については省かせていただく。
 両名は現代の寓話、もしくは悪趣味な現代劇としか言いようがない凄惨な過程を辿ったのち、輪にかけて現実感のない鮮血の同士討ちという結末を迎えることになる。

 もっとも、このふたりは展開が「館伊織」の死に伴うエトセトラに移っていくと、そろって醜い保身に走るのだが……。どちらにせよ、瓜田茄子、大篭哀子のふたりは不条理劇、風刺劇としての役柄としてはその本分を全うしたと言い換えることもできる。

 くわえて主演助演の違いこそあれ、両展開における両名の喜劇役者としての演技は間違いなく一級品であったことを申し上げておこう。
 悲しいことに、両名はこの物語は作中における現実ということに、自分たちが踊らせる側でなく不格好なダンスを踊る側になっていることに最期まで気付けなかったのかもしれない。


江藤(えとう)

  • 登場作品:晦
  • 種族:人間
  • 関連人物:前田良夫,園部茜《クラスメート》
  • 関連用語:
 良夫四話「転入生・園部茜」に登場。
 良夫のクラスメートで典型的お調子者。良夫曰く健康だけが取り柄だとか。
 「園部茜」の転入時も一人冷めている良夫をよそに隣で勝手に盛り上がっていた。

 が、そんな江藤はゲーム内ではロクな目に遭わない。
 たとえば園部が用意した異物混入済みのケーキを勝手に食うか、良夫に食わされる羽目になる。

 結果、毒入りもしくはガラス入りかのケーキを食べたせいで江藤は血を吐く羽目になったりもする。
 ただし、その展開の場合は良夫の視線は園部に釘付けであり、江藤のその後について触れられることもなく去就も不明である。

 異物の正体が「謎の種」だった場合は生物の生血を啜り、園部の笛によって操られる傀儡にされてしまう。
 哀れ、ペットの犬と同列の扱いである。が、良夫の思わぬ反撃により吹きまくられた笛が高周波を発生。体内の植物が振動を起こし、謎効果により園部諸共に爆発してしまった。

 どちらにせよ良夫が彼のことを気にした様子は見あたらず、実にドライな反応である。
 [ぶっちゃけ、良夫って友達付き合い悪くね?]


江藤昭子(えとう あきこ)

  • 登場作品:学怖S
  • 種族:人間→霊
  • 関連人物:岩下明美《噂》,秋山恵理子《呪い?》
  • 関連用語:死の掲示板《呪い》,自殺,花壇
 岩下一話「災いを呼ぶ死の掲示板」に登場。
 新校舎が建てられたばかりの頃、在籍していた女生徒。
 彼女も例のごとく地味でおとなしく、クラスで目立つ存在でなかった。
 ……定番の口上だが、実際のゲームではこんな人こそが事件を起こすものである。
 「死の掲示板」の怪談は彼女の呪いのためと言うのだから、普通の人だって死しては恐ろしいことになるだろう。それでも、普通じゃない人は生きている内から恐ろしかったりするわけだが。

 そんな江藤さんが残した呪いはだったが、ほんの些細な悪戯から発生したものである。
 誰かにとっては悪気の無いちょっとした遊びのつもりだったのだろうが、苦手だった数学のテストの答案を掲示板に晒されてしまう。[ちなみに点数は赤点に近い25点]
 これを苦にした彼女は一週間家に閉じこもった末、校庭の花壇めがけ投身自殺。後の、死の掲示板には遺書とも取れる、彼女の末期の言葉が書き散らされていた。

 「くやしい」「何で私だけがこんな目に遭うの……」「くやしいわ」  

 以来、血とも取れる赤文字が掲示板に貼られた日は必ず死人が出ると言う。
 因果は不明だが、この学園で異常な数の死を振り撒くための一翼を担っていることは確かである。

 ちなみに彼女の呪いから逃れる方法は存在する。
 無記名で数学のテストを受け百点を取り、その答案を死の掲示板に貼り出すことである。そうすれば彼女から感謝の言葉をもらい、当人だけが確実に呪いを跳ね返すことが出来る。――地味に滅茶苦茶辛い条件。[岩下さんの実体験であるので信憑性はありそうだが、数学が苦手と答えている分岐なので相当な苦行である。ていうか、岩下さん頭いいのね。]

 [なお、この学園に伝わる怪談の数は尋常でないので、仮に知った対処法すべてを実行していくとすれば、現実問題「死の掲示板」にばかりかまけてもいられない気がしてならない。
 教えてもらった怪談の、解呪に向けたハードルがまだ一話目だと言うのにさっそく高すぎる。ありえない例えだが、誰かが「高木ババア」の話などの不幸の手紙型階段を乱発したら、主人公はどうなる?]

 さらに数学が得意と岩下さんに伝えてしまうと、上記の解法は教えてもらえず、江藤さんは数学が得意な生徒を狙うと言われてしまう。[メタな視点だが、初見で普通(苦手)、次に得意と答えた方は先手を打たれた感ひしひしかもしれない。]

 ほんの些細なことがこの執念を生むのはげに人の恐ろしさといえる。
 とは言え、目立たなかった彼女が最後に見せた昏い表情は同時に艶やかにも見えたりする(※筆者の意見です)。
 江藤さんの話は岩下さんからすれば、凡庸とも言える。
 ただ、同時に、平凡な少女から恐怖と魅力を引き出す手腕にかけて岩下さんに勝る語り部は存在しないのかもしれない。


榎本杏奈(えのもと あんな

  • 登場作品:最終
  • 種族:人間(能力者?)
  • 職業:鳴神学園高校 生徒
  • 関連人物:荒井昭二《噂》,宇佐見妃菜,沼田明日香《敵対》,夏目知佳《親友》,吾妻弓子《理解者》,向島渚
  • 関連用語:こっくりさん
 『最終版』追加シナリオ「生徒編」に登場。
 霊感があることを自称しており、親友の「夏目知佳」を筆頭に自身の妄信的な信者を従える人気者。
 同じく霊能力があることを自称している「宇佐見妃菜」とは犬猿の仲で、顔を合わせるたびに言い争いをしていた。

 「吾妻弓子」先生の助言で、二人は「こっくりさん」を用いてどちらが本物の霊能力者か決着をつけようとする。
 しかし、吾妻先生も同席したこっくりさんの儀式は思わぬ方向へ進み出す。
 榎本さんに本当に霊能力があったのかは定かではないが、いずれにせよ緊急事態下では全く役に立たない程度のものであったようだ。


遠藤(えんどう)

  • 登場作品:学怖S
  • 種族:人間
  • 関連人物:荒井昭二《噂》,沢田絵利
  • 関連用語:悪魔《取引,犠牲者》,ランダム分岐
 荒井一話「校内に巣くう地縛霊」に登場。
 「沢田絵利」のオカルト仲間のひとりで、悪魔の召喚に難色を示す沢田さんをよそに、無責任に計画を推し進めた女生徒。
 供物に「」を使うと聞き、すぐに用意する辺り……。
 「女の子って大胆ですね。集団って怖いですね」とは荒井さん談である。

 それから儀式で本当に悪魔が現れてしまうと一転して沢田さんを吊し上げた。集団の無責任さと恐ろしさを体現したような人である。

 召喚に臨んだ集団も完全なパニックに陥ったかと言えば、そんなこともない。誰か一人を犠牲にすれば助かるという事実が判明した
 となれば団結して事態の収拾(?)に当たるのだから女の子って怖い。

 ここで生贄がモブ生徒であった場合、順当に犠牲者は決まり平穏(?)に一同は日常を取り戻すのだが、ここで遠藤さんが選ばれると最後っ屁とばかりにトンでもない願いを悪魔にして消えていく。

 じゃー、あの子達に、醜い顔と不幸な人生を与えてちょうだい

 「じゃー」が気になるが、願いはしっかり聞き届けられ沢田さんをはじめとした少女達は鏡に映る己の姿が醜く変わっていたのを知る。一同は今も入院中らしい。


遠藤エリ(えんどう-)

 『学恋V』で転校してきた主人公のクラスメイトとして登場する。衣笠聡と共にクラス委員を務める傍ら、サッカー部のマネージャーとしても奮闘している。
 ハキハキと明るい世話焼きタイプの女の子。

 あなたが女性の場合なら、特定のルート以外ではほとんど出番が無い。そしてそのルートでもロクな目に遭わない。
 また、ある人物のバッドエンドではその人物との関係を匂わせる発言をするが、それ以外のルートではこれといった絡みはない。


 (執筆者募集中) 


 『学恋V』女主人公編「荒井」ルートに登場。


 (執筆者募集中) 


 『学恋V』女主人公編「元木」ルートに登場。


 (執筆者募集中) 


 『学恋V』女主人公編「衣笠」ルートに登場。


 (執筆者募集中) 


 『学恋V』男主人公編「遠藤」ルートに登場。
 一定の条件を満たす事で攻略可能になる。
 親しくなるうちに主人公に悩み事があることを察したエリちゃんは、主人公にかけられた呪いを解く方法を一緒に探してくれることになる。


 (執筆者募集中) 



遠藤佳奈美(えんどう かなみ)

  • 登場作品:新生
  • 種族:人間
  • 職業:鳴神学園初等部 六年六組
  • 関連人物:荒井規子《噂》,中井彩,吉田,熊野《いじめ》,滝山《クラスメート》
  • 関連用語:呪い
 『新生』「呪いの法則」に登場。
 十年ほど前の「六年六組」に籍を置いていた女子児童で、現在は永久欠番となっている出席番号「六番」抹消の鍵を握る人物である。『新生』のパッケージ表紙を彼女が飾ることもあって本作を知るプレイヤーからは印象深い子かも知れない。

 当時は物怖じしがちで、か細く弱々しくにしか自己主張できない気弱な子だった。
 抵抗など考えられず、目線で助けを求める事しかできない弱気が災いし、本質的にはいじめる相手は誰でもよかった中井彩というクラスメートに目を付けられて強烈ないじめを受ける羽目になる。 
 この際ゲーム上は極小のフォントで彼女の声の小ささを表現しており、なかなかに芸が細かい。

 そんな彼女の運命は小学校最後の夏休みを機に大きく変わっていくことになる。
 せっかくの長期休暇、中井さんが呪縛のようにかけた言葉のせいで楽しめなかったものの、そんな娘を見かねた両親に父方のもう使われていない実家に里帰りした遠藤さんだったが……。
 優しい両親との珍しい環境での交流を介して心を癒しつつ、旧家の蔵から「呪術大全」という人生を変える書物を発掘するのだった。

 人を呪うなんて発想が生まれてこの方存在しなかっただろう遠藤さんの前に、直接接触せずに外敵を排除するための手段が転がり込んできたのである。
 比較的平易かつ軽微(と思われる)呪いを選んだものの、いざ実行に至る前に逡巡、躊躇する中井さんだったが、いよいよ夏休み中に命の危険さえ感じたことからとうとう実行に移す。

 結果的に言えば彼女の願いはかなえられたことになる。
 ただし、根本的な解決には至らなかったうえに、理解者と思われた滝山さんに秘密を打ち明けたことが裏目に出て、中井さんに格好の攻撃材料を与えてしまう。

 口下手な遠藤さんと声が大きい中井さんで勝負になるはずがなく、クラス内の民意も完全に向かい風になってしまった。
 それから、いじめの存在を知り遠藤さんが被害者であることを知っていたはずの担任教師が「大人の対応」として遠藤さんの退学を両親に求めたことから、学校を去ることになってしまう。
 憎まれ役、貧乏くじを遠藤さんに押し付けることで早急な事態の幕引きを図ったのである。

 そんな踏んだり蹴ったりな遠藤さんだったが、失意の帰り道の中でいつまでもどこまでも自分の味方だという両親の愛に支えられていることを再確認する。
 そして、父親から「呪い」の持つ二面性について教えられ、自分にも非があったことを知る。

 そして登校最後の日、クラス一同はうつむくのを止めて前を向いた遠藤さんの晴れやかですがすがしい言葉を聴き、同時に内容自体は物騒だったことから自分たちになにかが降りかかることを知る。
 その後の六年六組の顛末については、ほかの当事者の記事で語る部分も多いだろう。

 ただし、遠藤さん一家は心機一転の意味もあってインドネシアへ移住しており、右往左往の六年六組に関しては心理的にも物理的にもまるきり関知せずの立ち位置にいた。
 [余談ながら一家の父が友人の事業の手助けもあってインドネシアに渡航というエピソードはシリーズの原作者「飯島多紀哉」氏が一家で経験した経歴でもある。]

 最後に話のまとめとして彼女の話を語る荒井さんは邪推との断りも入れた上で、実は「呪い」の原理を知っている遠藤さんには悪意や打算もあったのではないかという推測も語ってくれる。 
 同時に遠藤さんは優しくて、人を呪うことなんて本質的にはできない人だろうとも言っているが。

 果たして長じた「遠藤佳奈美」という人はどういう人なのか? 
 出会いを示唆する言葉なども引き連れつつ『呪いの法則』という物語は幕を閉じる。



情報提供・文章の補足、編集方針の動議その他諸々歓迎します。
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最終更新:2023年10月31日 23:16