まつろわぬ隣人たち
悪魔(あくま)
- 登場作品:学怖,晦,学怖S,四八,VNV,AMC1,学恋,学恋2,特,学恋V,小学怖,極,ドラマCD,新生2,秘密,鳴七
- 種族:カテゴリ
- 関連人物:大川大介,ケツ,美津見志保,山本三郎,風間望《正体》吉岡,田所芳樹,大倉和雄,沢田絵利,綾小路行人《取引》,東山《犠牲者》
- 関連用語:悪魔召喚クラブ,黒魔術研究会《部活》,黒魔術,旧校舎の悪魔,旧校舎の照魔鏡,黒バラの城,校長先生,魔女
概要
悪魔とは人知に及ばぬ超越的存在のうち、「悪」や「邪な心」を象徴するものを指す。この概念は全世界に形を変えて見られるが、「旧作」を含めた「
アパシー・シリーズ」ではキリスト教的な神の敵対者としての悪魔が主に登場する。
欧米などの海外ではともかく、日本においては悪魔という存在はオカルトではあるものの、正直ホラーよりファンタジー側に偏った印象がある。
「
幽霊」や「
妖怪」と比べても、現代的な怖い話に出すには著しく臨場感を削いでしまう彼らだが、シリーズにおけるその登場率は他の怪談系作品と比べてもかなり高い。
これは悪魔という存在が、オカルトの住人の中でも特に人間の欲望や悪意と直結した存在であり、生きた人間の怖さが大きな焦点の一つでもある学怖との相性が良いためだろう。
彼らが登場する話の構造としては、「
黒魔術」の儀式などによって呼び出した悪魔と人間が交渉し、呼び出した本人の魂などを対価にして願いを叶えてもらおうとするものが多い。
偶発的なもので「
吉岡」、意図的なものでは「
沢田絵利」などが挙げられる。とは言え、この時点での悪魔は人間の悪意を引き出すための単なるギミックに過ぎなかった。
学怖
新堂一話、新堂三話、新堂五話、新堂六話、荒井四話、荒井七話、岩下五話に登場。
意図してのものかは半々だが、危険な火遊びをするダーティーな人間の心理から悪魔が浮上する新堂さんと、リスクをほかに押し付けることで悪魔を介して利益だけを貪ろうとする「学園の闇」を語る荒井さんという、ふたつの切り口から主として語られる。
ただし、悪魔そのものが姿を現す展開はごく限られている上、どちらかと言えば浅い考えや焦りに駆られて自滅していく人間側の悲哀を描いた話が多いのが特徴である。
いずれにせよこれら悪魔たちは確かに願いこそ叶えてくれるが、取引内容を曲解したり事前に注記事項を通知しないなど信用できないことはなはだしい、得体の知れない邪ななにものかであるという点では一貫している。
新堂一話「
霊界へ続く旧校舎の鏡」。
「
旧校舎の照魔境」から「
吉岡」が呼び出してしまった悪魔が該当する。
この悪魔は長い髪をだらりとたらしており、美しい女のしかばねのような姿をしていた。――と、新堂さんからは評されており、事実『学怖』のグラフィックでは顔の右半分が「
髑髏」になっているという「
悪魔のトランプ」の図柄を連想させる姿をしていた。
『学怖S』では黒装束の顔色の悪い女性という画像に変わっているが、その評価についてはここで講じない。
と、言うものの、合わせ鏡の儀式をしたかっただけで別に悪魔を呼び出したいわけではなかったはずの吉岡だったが、悪魔のつぶやく「て、のみたい……」という謎の言葉を聞くやその意味をさっそく察して、彼女(?)の求めに応えようとする。
悪魔らしく人を魅了する力や人に幻覚を見せる力も備わっているようだが、どうも彼女は血を対価にして願いを叶えてくれる悪魔のようである。展開によって吉岡の末路も変わってくるのだが、恐るべきことにどちらを取っても双方に満足のいく取引が行われる風である。げに恐ろしきは悪魔の魅力というべきほかないかもしれない。
なお、『学怖』発売前のゲーム雑誌に掲載された開発中の画像の中で、顔とドレスのようなシルエットがかろうじて判別できるゆらめく影もしくは炎のような姿がこの悪魔のものとして公開されていた。
ご存じの通り製品版では差し替えられたようだが、容量の問題から実際のROMカセットへの収録が見送られたグラフィックが開発中の画像から散見される中、差し替わっても専用グラフィックという例は珍しかったりする。
新堂三話「
バスケット部の秘密のノート」。
「
バスケット部」のサイコ野郎こと「
田所芳樹」が過去のバスケ部員の霊に誘われるままに呼び出してしまった悪魔が該当する。
この悪魔の名や具体的な姿は作中では伝わっていないが、なんでも人の記憶を食らう(≒消してくれる)種族であるらしい。
自分の度重なる問題行動によってバスケ部に居場所をなくしてしまった田所だったが、かつてバスケ部に在籍していた部員の霊が遺した、この悪魔の呼び出し方が記されたノートを知ったことで元通りの人間関係でやり直せないかと思案する。
同時に現れた、ノートの持ち主であり儀式を実行した過去のバスケ部員に同情した田所は儀式を実行するのだが……。
ちなみに悪魔を呼び出す儀式に必要な材料は四つ。
「カエルの心臓」、「アルコール」、「月桂樹の葉」、あと
ひとつ。
四つ目は人間なら万人が所有しているものだが、もうひとつ入手するのは非常に困難という物品である。三つ揃えた時点で悪魔を呼び出すというところまでは問題なくできるものの、あとひとつは願いを叶えてもらった時点で悪魔に持って行かれる。
四つ目の正体を知ってしまえば、田所の運命は推して知るべし。
結論から言ってしまえば過去のバスケ部員の霊は死後「
霊界」に行く前に道連れが欲しかったため、過去自分が取引した悪魔にダマされたのと同じやり口で彼をダマしてしまったのだ。
なお、当事者の記憶が消えてしまったはずのこの話が新堂さんの口から語ることができる理由としては、例のノートがまだバスケ部の部室に残っている点や、田所が記憶の部分的な消去を願った人以外の記憶は残されている、などの理由で説明可能である。
新堂五話「
ギャンブルトランプ」。
詳細は「
悪魔のトランプ」の項を参照のこと。
新堂さんのクラスメート「
大倉和雄」は魂を対価にするという旨の念書を対価に悪魔召喚をしたり、もしくはトランプに棲みつく魔物と言って過言ではない半分ドクロの女たちのエサにしようとする、などといった行動に出ることがある。
例のごとく分岐によってトランプとそこに棲みつくモノの性質は激変するため一概には言えないのだが、魔物たちの背後には一貫して悪魔が存在すると解釈した方が話は通りやすいかもしれない。
新堂六話「
最後の審判」。
この話自体が「
殺人クラブ」のお膳立てであり、新堂さんが教えてくれた「
図書室」に寄贈された呪いの本の話もまた茶番なのだが、それって本当の怪奇現象ですよね? とツッコミたくなるような体験を「主人公(男)」がすることもある。
教えてくれる呪いの本の性質は分岐によって異なるのだが、そのうちひとつ「手に取って炎のイメージを思い浮かべれば異性を口説き落とせる」という内容の場合、最後にこの本の実像が人の悪いものであることが新堂さんの口から明らかにされる。
この場合、呪いの本には悪魔かなにかでも宿っており、手に取った者に暗示をかけ素敵な幻を見せる代わりに何年かの寿命を奪うというのが本当の効力となる(らしい)。悪魔ならありそうな話だが、新堂さんの口ぶりでは確証はないため真相は不明である。
ただ、直後の七話目で明かされる(この周回における)事実によると「七不思議の集会」自体が主人公を脅かすための嘘っぱちであるとされている。よって、果たして主人公は新堂の調子のいい話に踊らされて勝手に幻覚を見るほどに信じ込みやすい人だったのか、それとも事前に薬でも嗅がせていたのか、もしくは幻を見せるという効力自体は本物だったのか、それは定かではない。
勝手に(女教師と思い込んだ)本棚に頭をぶつけ気を失った主人公を見て新堂の頭に去来したのが何であるのかも定かではない。
荒井四話「
宿泊施設にある謎の4番ベッド」。
『学怖S』追加分岐。
「
宿泊施設」に置かれた「四番ベッド」で毎夜就寝するたび、弱る一方な友人の「
袖山勝」のことを見るに見かねた荒井さんは「
サッカー部」の合宿最後の日に袖山くんの代わりに自分が例のベッドで寝ることにする。
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学怖S
新堂七話、荒井一話、福沢一話に登場。
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晦
泰明三話、哲夫四話、良夫四話、隠しシナリオに登場。
怪談の席を設けた場所が日本家屋の一室ということと社会人が自分の職場を中心とした体験談を語ることが多いという品路の性質上、悪魔自体が話の題材として取り上げられる機会には乏しい。あえて言うなら悪魔より、その産物が語られることが多いようだ。
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四八
徳島シナリオ「遺産」に登場。
「
津蛾鶴人」に五十億の遺産相続の話を持ち込まれた、性格の悪い男「神谷慎吾」だったが、その条件は故人の書斎から金貨を指定された行動内で見つけ出すというものだった。
その探索の過程で神谷は書斎に置かれた意味深な本を読むことができるのだが、その中のひとつに『日本の悪魔信仰』というものが存在する。内容としては日本に悪魔崇拝の文化は欧米と違って根付いていないというという文言に加え「六月六日生まれの人間を呪われた地に集めてはならない」という警鐘を鳴らすものになっている。
果たして呪われた地とはいかなる地なのか。そして誕生日をいわれても誰が誰だかわからないよという指摘もごもっとも。
上記の内容は没シナリオを示唆するものなのだろう。この場合は高知県に五人を集めると宇宙人による人間狩りがはじまるという内容や飯島氏のファンならおなじみ「
ONI」に関する内容の二冊を読むことができたりする。
なんにしても『四八(仮)』に収録されたシナリオは四十七都道府県に伝わる怪談奇談民話都市伝説などをモチーフとされている。悪魔をテーマとした話が諸事情によって没にされたこともあってこのシナリオ以外では言及されることすらなかったりする。
アパシー・シリーズ
『VNV』の綾小路と大川の登場以降、悪魔は漠然とした概念からはっきりとした性格を持ったキャラに変化していった。
悪魔に付きまとわれて悩む綾小路を狂言回しとして、人格を持った悪魔が登場するようになっていく。これらは『ソロモンの小さな鍵』に代表される悪魔学に則ったものであり、召喚される悪魔は多種多様。その住人達は地獄や魔界をテリトリーにしており、すさまじい力を持つ以外は、時に人間以上に人間臭い存在である。
特筆すべきはシリーズ独自の設定として、悪魔は一般に知られている名前とは別に現地に即した名前を持つと言うものがある。仰々しい姿をした悪魔達が「山本」や「鈴木」と言った垢抜けない名前を名乗ると言うのも、微妙に笑いを誘う。
ただし、神や悪魔は様々な地域に伝承が伝わり、同一のものであっても別名で呼ばれることはありふれている。本地垂迹説ではないが、究極的には名前が同じと言うだけで本来別の個体を同一視したりと言った現象すら見られる。
[本邦においては広島県三次に伝わる怪異譚『稲生物怪録』に登場する魔王「山本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)」が挙げられる。この魔王は当時の日本の習俗に合わせた裃姿の武士の姿で現れ、日本以外でも活動している(=外国では別の呼び名がある)との発言がある。
もしかしたら「
山本三郎」の元ネタってここなのかも?]
このように親しみやすい悪魔達であるが、彼(女)らは人間の魂を奪うべく行動しているようで、普通に会う機会は少なく(鳴神には既に悪魔が通ってたりするが……)とも儀式を行う際には注意が必要である。
彼らは約束や契約に則っている限りは悪魔のルールに誠実で嘘を付くことはないが、こちら側を悪意を持って騙そうとしていることに変わりはない。
言葉尻を捉えたり、意図的に一部の情報を伏せて勘違いをさせたりと言った手管を使い、人間を巧みに破滅に誘う。
また、下級悪魔と言っても、人間を一瞬で炭に変えてしまったり、本の中に閉じ込めてしまったりと言った業を難なく行うなど、悪魔が人間には簡単に退けられる存在でないことがわかる。
VNV
「ゲーマーの条件」、「かぐわしきにおひ」に登場。
トランプに引き続き、悪魔は同人PCゲームという身近なところから「魔」への接点と誘惑の機会を設けているようだ。
それに加えて、一般生徒に溶け込んで生活している名前付きの悪魔が登場した初の作品である。
悪魔自体の種族的特性などに迫っていくとまではいかないが、後続作品の中で度々顔を出す要素がここでは散見される。
「
ゲーマーの条件」
謎のゲームソフト「
スクール・デイズ」の出どころを調べていた荒井昭二とたまたま接触できた噂好きのおばさんが高説を披露しているのだが、その中でも開発会社が悪魔を崇拝していたという説がクローズアップされている。
ただし、所詮は噂であり裏を取ることもできなかった。
そのため、この話がそれ以上掘り下げられることはなく物語は明後日の方向へ向かっていくのだった……。
「
かぐわしきにおひ」。
前述したとおり、大川がそれに当たる。
ただ受動的に願いを叶えるというだけでなく、詐術をもって積極的に契約相手を騙そうとしており、最終的には自らの懐を一切痛めることなく目的を達してしまった。
作中では『悪魔くん』であまりにも有名な黒い雌鳥の一節で召喚の儀式が行われる。
つまりは「エロイム、エッサイム! 我は求め訴えたり」ではじまるアレである。
また、大川の言い分によると悪魔とは既に死した存在であるという。後日わかったことだが「滅する」という言い回しでなければ大川を綾小路の前から消し去ることはできなかったようだ。
AMC1
前日譚「
綾小路行人の憂鬱」と合わせ悪魔のヒエラルキーや命名規則が明らかとなった。ほかに詐術は騙された方が悪い、魂と引き換えに契約は履行する、他の悪魔との二重契約はできないなどのルールが確認され、綾小路を中心とした「悪魔召喚クラブ」の図式が完成した。
学恋
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学恋2
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特別編
再録された「かぐわしきにおひ」を差し引いたとしても計七シナリオに顔を出すという盛況っぷりである。
登場した悪魔たちは個々の性格こそ弱く、行動もある意味テンプレ的だが、
単なるおもちゃや対照的に仰々しい謎の魔導書から出現したりとバリエーションは非常に豊かである。
特に衆目を集めるのは福沢シナリオに三回登場した「
旧校舎の悪魔」だろう。
彼ら彼女らのつながりは
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追加版
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学恋V
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小学怖
火曜日「
魔音」に登場。
かつて鳴神学園初等部で音楽教師として勤めていた「
間土根司人」が心血を注ぎ、おのれの生涯すら賭けて完成を目指していたレコード「
魔音(まのん)」は悪魔と密接に関わっている。
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極
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ドラマCD
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新生2
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秘密
「行かないほうがいい」ルートほかに登場。
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鳴七
「恋愛教」ほか多数のシナリオに登場。
「
綾小路行人」&「
中山真美華」およびそのふたりからなる「
黒魔術研究会」がリファインされ数多くのシナリオ中で顔を出す。
『特別編』で衆目を浴びた「
旧校舎の悪魔」もかなりのシナリオで姿を現しており、そちらは少女の不安定で浅はかな心理に注目している「福沢玲子」の口から語られがちである。
悪魔自体の個性が出ているかについてはまちまちである。強烈な個性が出ているネームドも少数ながら存在する。
どちらかと言えば悪魔という超自然的な存在を利用して利益を得ようとする専門家とそれに利用されてしまう何も知らない一般生徒という形で二極化が進んだと言えるだろう。
他方では悪魔と交わる連想が働いている「
魔女」たちの影が色濃くなったが、必ずしも関係を持っているとは限らないようだ。
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(執筆者募集中)
「
彼と彼女の秘密」。
基本的に『特別編』版とシナリオに相違はない。
シナリオ中で脚光を浴びる「
美津見志保」さんが悪魔と強い関連を持っているというのは共通である。
ただし、美津見さんに堕天使疑惑が浮上したりで、少々救いのあるエンドが追加されていたりもする。
また、美津見さんの彼氏である「
八重樫彰」に悪魔対策のスペシャリストである「綾小路行人」が接触したことが既存のエンドに追補されたりもしている。どうやら今回の綾小路は余裕のある人物ということもあって、八重樫相手には善意で相談に乗るようだが……、その真意は不明である。
(執筆者募集中)
「
黒と赤の法悦」。
基本的に『特別編』版とシナリオに相違はない。
相田瑞穂さんあらため「
海女宮亜里沙」さんが魔導書に魅入られて身を持ち崩していくことになる。
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最終更新:2024年03月14日 22:34