大量破壊兵器の不拡散


大量破壊兵器の拡散は基本的には次の3つの条約で規制されている:
  • 核不拡散条約(NPT)
  • 生物兵器禁止条約(BWC)
  • 化学兵器禁止条約(CWC)

しかし、弾道ミサイルは拡散を防止する法的枠組みはなく、保有は禁止されていない。またグローバル化の進展とともにミサイルに利用可能な資機材や技術の移転の防止も難しくなっている。
→北朝鮮は弾道ミサイルの能力を向上させ、中東各国に輸出し、拡散源となってきた。


大量破壊兵器の不拡散を防ぐ方法

これは主に条約がないミサイル関連で適用される。

①経済制裁(負のインセンティブや制裁)
②兵器の開発や取得を思いとどまった国に対して経済援助
③軍備管理体制の構築などを通じて兵器に対する軍需を生じさせる
④兵器を取得する際の障害を設ける(輸出管理)

ただ経済制裁は成功した例がほぼ皆無である。これまでにユーゴスラビア、キューバ、イラン、ポーランド、イラク、リビア等さまざま国に経済制裁が行われてきたが、功を奏したと言えるのは92年に行われたリビアに対してのもののみである。通常、経済制裁の実効性を高めようとし、海上封鎖→武力行使→戦争とエスカレートしてしまう(日本も41年に米国から石油輸出全面禁止という経済制裁を受けた結果、海軍が米国の真珠湾を攻撃し戦争へと発展)。
また、北朝鮮の場合は中国・ロシアと陸続きの半島国家であるため、効果的な経済制裁はさらに困難であるという側面もある。


輸出管理

輸出管理は、大量破壊兵器に使用できる技術や物資の輸出に対する管理を強化し、好ましくない国やグループに渡るのを防ぐに渡る可能性を減じる。輸出管理は上にあげた大量破壊兵器の不拡散の方法よりも一般的、合法的で国際的にも認められた手段である。

輸出管理の体制:
  • 原子力供給国グループ(Nuclear Suppliers Group - NSG)・・・核兵器関連物資と技術の管理
  • オーストラリア・グループ・・・生物・化学兵器関連の管理
  • ミサイル技術管理レジーム(Missile Technology Control Regime - MTCR)・・・ミサイル関連技術と物資管理
  • ワッセナー・アレンジメント(協約)





参考文献:
  • 「新版 軍縮問題入門」 黒澤満・編 東信堂

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最終更新:2007年04月16日 20:52