インド・ヨーロッパ語族
印欧語族とも呼ばれる。インドからヨーロッパに渡る多くの言語を含む
語族。とくに
英語などヨーロッパの言語が世界に広まった関係で、世界30億人もの人々が広範囲に使用する事実上世界一勢力の広い語族。
イギリスの裁判官
ウィリアム・ジョーンズが、1786年に
サンスクリット語とヨーロッパの諸言語のあいだに良く似た特徴があることに気づいたのがきっかけ。これらの言語の間には、ただ単に語が似ているだけでなく、似方に一定の法則性があり、文法的な性質にも類似点があった。これを詳細に調べた結果、インドからヨーロッパに及ぶ広範囲の多くの言語が、一つの祖先(
祖語)に辿れるだろうと結論付けられた。
また、この研究によって
比較言語学が発展。これが現代言語学のはじまりにもつながった。現代言語学における多くの用語や概念が、このインド・ヨーロッパ語族の研究に基づいたものである点には注意が必要(後述)。
含まれる言語
多くの言語を含むので、まず下位分類として「語派」に分ける。
★
ケルト語派: 現存する言語が少ない。現在ではイギリスの一部地域とかに話者がいる。
★
バルト語派: スラブ語派に近いと考えられている。
特徴
インド・ヨーロッパ語族は祖先が同じであり、語の似ている具合からそれが証明された。文法的にも全てのインド・ヨードッパ語族に共通する特徴がある、というわけではない。
英語の語順といえば、SVO語順を思い出すだろう。
実際インド・ヨーロッパ語族の中にもSVO語順の言語はいくつもあるが、古い時代にはSOVが多かった可能性がある。例えば
ラテン語は(語順は、比較的自由な面もあるけれど)SOV語順になることが多い。そして今もインド語派とかはSOV語順になる。
ケルト語派には、VSO語順になるものもある。
わりとわかりやすい文法的な共通点としては、
・名詞に「性」があり、「数」と「格」で変化する
という特徴が挙げられる。
名詞の「性」
名詞は「性」で分類される。「性」とは、自然の性(人間や動物の性)を基本として、全ての無生物にも任意で「性」が与えられ分類されたもの。言語にもよるが、「男」「女」「中」の三分類がありうる。
名詞の「
数」と「
格」
名詞は、まずその「数(すう)」つまり
複数か
単数か(あるいは
双数か)によって変化する。そしてそれぞれの「数」について、今度は他の語(とくに動詞とか)との関係によって「
格」変化する。こうした変化は、「性」によっても異なるらしい。
が、やはり現代のインド・ヨーロッパ語族では、こうした特徴はそれぞれ。例えば英語には、あまり「性」の特徴は残っていないし(「本」とか「ペン」とかが男か女かというのは考えない)、「格」変化もあまりしない(I my me mine みたいな代名詞なら変化するが、普通の名詞は Mike's みたいな変化くらいしかしない)。
その他、動詞は主語の
人称によって変化したり、
時制や
法で色々な変化があるというのもこの語族の特徴かもしれない。
歴史
ケントゥム・サテム語:
インド・ヨーロッパ語族は、次第に東西に分かれて行った。西のをケントゥム語、東のをサテム語と呼ぶ。
最終更新:2013年06月24日 10:25